JPH0581254B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は大腿骨骨折治療のためのインプラント
接合体に関し、特に、大腿骨骨頭部に埋設される
インプラントと、大腿骨骨幹部で固定されるプレ
ートとを備え、破段された大腿骨の骨頚部を整復
した状態で骨頭部と骨幹部とを固定する場合に好
適なインプラント接合体の改良に関する。

〔従来の技術〕

従来、大腿骨骨折治療のためのインプラント接
合体としては、第７図に示すように、チユーブ５
１ｄが上端部に設けられ、固定用ネジ孔５１ｃが
配設されたプレート５１と、内部軸線方向に案内
貫通穴５２ａを、又先端部に骨頭部内で固定する
ためのネジ部５２ｂを、それぞれ備えた骨頭部固
定スクリユー５２とからなるものが使用されてい
る。

このインプラント接合体を用いて骨折治療する
場合には、先ず大腿骨転子部から骨頭部内部に穴
あけを行い、この穴にタツピングを施したのち、
案内ロツド（図示せず）に案内貫通穴５２ａを通
すようにして上記の固定スクリユー５２をねじ込
む。次に、プレート５１のチユーブ５１ｄを骨頚
部内に挿入した状態で固定用ネジ孔５１ｃに固定
ネジ５５を通して大腿骨骨幹部にプレート５１を
固定する。最後に、圧迫ネジ５４をネジ挿入穴５
１ｄに入れて固定スクリユー５２の頭部に形成さ
れた雌ネジ５２ｃにねじ込み、固定スクリユー５
２を縮めつける。

かかる従来のインプラント接合体にあつては生
体との適合性を考慮して特殊なチタン合金などが
材料として使用されるが、上記プレート５１のよ
うな形態を実現するには該材料の難加工性により
技術的に困難であり、またプレート５１の容積が
大きくなるため切開部を大きくとる必要があり、
また術後の圧迫も大きい、患者によつてチユーブ
５１ｄの長さを変える必要があることから多種の
プレートを用意する必要がある、圧迫ネジ５４の
取付けなどにより取扱いが煩雑で手術時間が長く
なるなど、製造コスト、手術コストを増大する要
因が多々ある。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明は上記従来のインプラント接合体におけ
る問題点を解決しようとしてなされたもので、そ
の１つの目的は、簡易な形状のプレートとするこ
とにより難加工性の材料であつても低コストで製
造できるインプラント接合体とすることである。
また、他の目的は、患者に適合させるために多種
用意する必要のある部材のコストを低減し、手術
コストを引き下げることである。さらに、他の目
的は手術中に取扱いの容易なインプラント接合体
を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、大腿骨骨幹部に沿
つて固定されるプレートと、大腿骨骨頭部に植設
され、プレートに接続された状態で骨幹部と骨頭
部との整復状態を維持すべきインプラントとを備
えたインプラント接合体において、本発明が講じ
た手段は、 プレートを、プレート面に対して所定角度で形
成されたチユーブ挿嵌孔と、チユーブ挿嵌孔の隣
接位置で回転可能に内設されたバヨネツト回転体
とを備えたものとし、このバヨネツト回転体には
プレート表面側に露出した回転操作部と、本体周
囲に部分的に形成され、開口を通してチユーブ挿
嵌孔の内部に臨む係合鍔とを設け、 一方インプラントを、チユーブ挿嵌孔に挿嵌さ
るべき挿入チユーブと、挿入チユーブの内部で軸
線まわりを回転及び軸芯方向を摺動自在にかつ挿
入チユーブからの最大引出し長が規定されるよう
に取り付けられ、先端に固定ネジ部を設けた植設
軸とを備えたものとして、この挿入チユーブには
その外周面上に係合鍔に嵌合すべき係合溝を設
け、植設軸の基端部には軸回転用頭部を形成する
ものである。

ここで、バヨネツト回転体の少なくとも一部に
は、チユーブ挿嵌孔の表面側縁部に臨むように配
置された停止部を設け、一方、挿入チユーブの先
端には、この停止部に嵌合すべき切欠き部を設け
ることが望ましい。

また、軸回転用頭部に植設軸を引き出すための
治具係合溝を形成すればなお効果的である。

〔作用〕

かかる手段によれば、インプラントを骨頭部内
に植設した後、バヨネツト回転体の係合鍔の形成
されていない部分がチユーブ挿嵌孔に臨むように
回転操作部を回転させたプレートを、挿入チユー
ブの先端側をチユーブ挿嵌孔に導入して挿入チユ
ーブに嵌合させ、回転操作部を回転させて係合鍔
を突出させると、係合鍔が挿入チユーブの係合溝
に嵌合して、挿入チユーブにプレートが固定され
る。プレートを骨幹部表面に密着させ、軸回転用
頭部に工具を作用させて植設軸を回転させると、
骨内にネジ部が螺進して植設軸に固定された骨頭
部とプレートに当接した骨幹部とが圧迫状態に固
定される。

バヨネツト回転体に停止部、及び挿入チユーブ
に切欠き部を設ける場合には、挿入チユーブをチ
ユーブ挿嵌孔に導入する際に、プレート表面側か
ら目視できる位置においてその導入方向及び回転
方向に挿入チユーブの姿勢を規制するので、係合
溝に係合鍔を確実に係合でき、また、係合後にお
いても２点支持の故に確実に固定できる。

植設軸の軸回転用頭部に治具係合溝を形成する
場合には、該頭部に治具を挿入して治具係合溝に
係合させることにより植設軸に引張り力などを加
えることができ、植設軸が埋設される骨頭部の姿
勢を調整して骨折部分を整復することができる。

〔実施例〕

次に、本発明の実施例を添付図面を参照して説
明する。

第１図は本発明に係るインプラント接合体の実
施例を示す組立平面図、第２図は同実施例の縦断
面図、また第３図は実施例の一部拡大背面図であ
る。

プレート１には、その左端側に、大腿骨形状に
合致しうる所定の角度で形成されたチユーブ挿嵌
孔１ａ、これに隣接してバヨネツト収納穴１ｂ、
及び右端側に４つの骨幹部固定孔１ｃがそれぞれ
配設され、バヨネツト収納穴１ｂ内には、本体上
方に円柱形状の位置決め固定突起４ａ及び本体の
外周部に係合鍔４ｂを備えたバヨネツト回転体４
が回転自在に内包されている。この位置決め固定
突起４ａの上面には回転操作溝４ｃが形成されて
いる。また、第５図に示すように、バヨネツト回
転体４の係合鍔４ｂは、その外周部の反対側で一
部カツトされ、後述する挿入チユーブ２に対して
接触しない形状のテーパー部４ｅが形成されてい
る。

骨頭部固定スクリユー３は、内部軸線方向に貫
通する案内穴３ａ、先端部に骨頭部の内部で固定
されるための固定ねじ部３ｂ、基部に拡大段部３
ｃ、基端に締付角穴３ｄ、この奥に引張調整用雌
ねじ部３ｅを備えている。この骨頭部固定スクリ
ユー３の基部は挿入チユーブ２の基部側において
スクリユー挿入孔２ａ内に回転かつ摺動自在に導
入されており、骨頭部固定スクリユー３の拡大段
部３ｃが挿入チユーブ２の基部内側にある保持段
部２ｂに当接し、相互に抜けないようになつてい
る。この挿入チユーブ２は、上記プレート１のチ
ユーブ挿嵌孔１ａ内に導入されている。挿入チユ
ーブ２には、第５図に示すように、その先端に、
上記位置決め固定突起４ａの側面に嵌合する回転
止め固定溝２ｃが、その外周面上に、上記係合鍔
４ｂに係合する係合溝２ｄが、それぞれ形成され
ている。

第３図はプレート１を背面から見たもので、バ
ヨネツト回転体４の底面縁部に度決め突起４ｄが
形成され、この度決め突起４ｄを収容するように
プレート１側には半円周状に伸びる度決めサライ
１ｄが形成されている。

次に、上記構成のインプラント接合体を大腿骨
に装着した状態を示す第４図を参照して、本実施
例の使用方法及び作用を説明する。ここで、大腿
骨３０は、骨頭部３０ａ、骨頚部３０ｂ、転子部
３０ｃ及び骨幹部３０ｅからなり、転子部３０ｃ
にて骨折部分３０ｄが存在する（転子骨折）場合
を例にとる。

先ず、骨幹部３０ｅから、転子部３０ｃ及び骨
頚部３０ｂを通過して骨頭部３０ａに達する穴を
あけ、タツピングを行う。次に、この穴にガイド
ピン（図示せず）を挿入し、骨頭部固定スクリユ
ー３及び挿入チユーブ２を固定スクリユー３の案
内穴３ｄにガイドピンを通した状態で上記穴に挿
入し、締付角穴３ｄに角頭ドライバを用いて固定
ねじ部３ｂを骨頭部３０ａにねじ込み、骨頭部固
定スクリユー３及び挿入チユーブ２を植設する。

次に、プレート１を、そのチユーブ挿嵌孔１ａ
内に挿入チユーブ２を導入するようにして装着す
るが、このとき、バヨネツト回転体４は、そのテ
ーパー部４ｅがチユーブ挿嵌孔１ａに臨む位置に
回転されており、係合鍔４ｂはチユーブ挿嵌孔１
ａ内に突出していない。挿入チユーブ２は、その
先端の回転止め固定溝２ｃが位置決め固定突起４
ａの側面に嵌合するまで押し入れられ、この状態
で回転操作溝４ｃにドライバを入れてバヨネツト
回転体４を回転させ、挿入チユーブ２の係合溝２
ｄに係合鍔４ｂを嵌合させると、プレート１は挿
入チユーブ２に固定される。ここで、度決め突起
４ｄが度決めサライ１ｄの一端に当接している場
合にはテーパー部４ｅがチユーブ挿嵌孔１ａに臨
む位置に、度決めサライ１ｄの他端に当接してい
る場合には係合鍔４ｂがチユーブ挿嵌孔１ａ内に
突出するようになつている。両状態間の回転角度
は、45度〜180度の範囲内に設定される（第３図
に示す度決めサライ１ｄの場合には180度であ
る）。

次に、プレート１を骨幹部３０ｅの表面に沿わ
せた状態で固定スクリユー３を更に骨頭部３０ａ
内にねじ込み、骨頭部３０ａを骨幹部３０ｅに引
きつけて完全な整復状態に調整する。このとき、
締付角穴３ｄの奥に形成された引張調整用雌ねじ
部３ｅに、先端に雄ねじを有する引張治具をねじ
入れ、この引張治具を引張りながら骨頭部３０ａ
の位置を正しく復元することができる。最後に、
固定スクリユー３５を骨幹部固定孔１ｃに通して
骨幹部に植設し、プレート１を骨幹部３０ｅに対
して固定する。

第６図は、本発明に係るインプラント接合体に
使用できる骨頭部固定スクリユーの他の例を示す
断面図である。この固定スクリユー１３は、上記
骨頭部固定スクリユー３と同様に案内穴１３ａ、
固定ねじ部１３ｂ、締付角穴１３ｄ及び引張り雌
ねじ部１３ｅを備えているが、基端部にキヤツプ
２３が取り付けられる。ここで、キヤツプ２３は
割り溝２３ｆと固定段部２３ｇとを備え、上記骨
頭部固定スクリユー１３の基部にキヤツプ２３を
割り溝２３ｆによる弾力によつて挿入し、固定段
部２３ｇを固定スクリユー１３のキヤツプ固定溝
１３ｈに嵌合させ、この状態で割り溝２３ｆの部
分を溶接固定する。固定されたキヤツプ２３のへ
り２３ｃは、上記実施例と同様の拡径段部を構成
する。

上記実施例によれば、プレート１が挿入チユー
ブ２と分離されているので従来に比してシンプル
の構造となり、またプレート１と挿入チユーブ２
及び固定スクリユー３との２体構造であるから、
製造コストと低減、簡便な操作性、インプラント
各部材の互換容易性が得られる。そして、たとえ
ば患者の骨格や骨折部の位置等によつて必要な接
合体のサイズが変わるが、上記実施例では、プレ
ートサイズを変えることなく挿入チユーブ２及
び／又は固定スクリユー３の長さのみを変更する
ことで対処できるので、在庫部品のコストを減ら
すことができ、手術コストの低減が可能となる。
また、上記のシンプルな構造は、手術の際の大腿
切開部を小さくさせ、手術時間の短縮化を促し、
術後体内の接合体容積も低減できるので、従来の
ものよりも骨折治療に適した接合体となる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明は、チユーブ挿嵌
孔を備えたプレートと、挿入チユーブを植設軸の
基端部に接続したインプラントとの２体構造を有
するインプラント接合体としたことを特徴とする
ので、以下の効果を奏する。

簡易形状のプレートであるため難加工性の材
料であつても低コストで製造できる。また、患
者に適合させるためにプレートを多種用意する
必要がないので在庫部材のコストを低減し、手
術コストを引き下げることができる。さらに、
各部材がシンプルな形状で、プレートとインプ
ラントとを接続する他の部品が不要になるな
ど、手術中における取扱いが容易である。

バヨネツト回転体に停止部、挿入チユーブの
先端に切欠き部を設けると、プレート表面側か
ら目視できる位置で、挿入チユーブが挿嵌深さ
方向及び回転方向に規制されるので、接続操作
が極めて容易になり、迅速かつ確実にプレート
をインプラントに固定できる。

植設軸の軸回転用頭部に治具係合溝を設ける
ことにより植設軸の位置調整ができるので、手
術中における骨折部分の整復が簡単になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るインプラント接合体の実
施例の構造を示す組立平面図である。第２図は同
実施例の縦断面図である。第３図は同実施例の拡
大一部背面図である。第４図は同実施例のインプ
ラント接合体を大腿骨に取り付けた状態を示す縦
断面図である。第５図は同実施例のプレートと挿
入チユーブとの接続部及びバヨネツト回転体を中
心とする拡大断面図である。第６図は骨頭部固定
スクリユーの他の例を示す断面図である。第７図
は従来のインプラント接合体の構造を示す縦断面
図である。 〔符号の説明〕、１……プレート、１ａ……チ
ユーブ挿嵌孔、１ｃ……骨幹部固定孔、２……挿
入チユーブ、２ｂ……保持段部、２ｃ……回転止
め固定溝、２ｄ……係合溝、３……骨頭部固定ス
クリユー、３ａ……案内穴、３ｂ……固定ねじ
部、３ｃ……拡大段部、３ｄ……締付角穴、４…
…バヨネツト回転体、４ａ……位置決め固定突
起、４ｂ……係合鍔、４ｃ……回転操作溝、４ｅ
……テーパー部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 大腿骨骨幹部に沿つて固定されるプレート
   と、大腿骨骨頭部に植設され、該プレートに接続
   された状態で該骨幹部と該骨頭部との整復状態を
   維持すべきインプラントとを備えたインプラント
   接合体において、 前記プレートは、そのプレート面に対し所定角
   度で形成されたチユーブ挿嵌孔と、該チユーブ挿
   嵌孔の隣接位置で回転可能に内設されたバヨネツ
   ト回転体とを有し、該バヨネツト回転体は、プレ
   ート表面側に露出した回転操作部と、本体周囲に
   部分的に形成され、開口を通して該チユーブ挿嵌
   孔の内部に臨む係合鍔とを備えており、 前記インプラントは、前記チユーブ挿嵌孔に挿
   嵌されるべき挿入チユーブと、該挿入チユーブの
   内部で軸線まわりを回転及び軸芯方向を摺動自在
   にかつ該挿入チユーブからの最大引出し長が規定
   されるように取り付けられ、先端にて固定ネジ部
   を備えた植設軸とを有し、該挿入チユーブは、そ
   の外周面上に前記係合鍔に嵌合すべき係合溝を備
   え、該植設軸の基端部には軸回転用頭部が形成さ
   れていることを特徴とする大腿骨骨折治療のため
   のインプラント接合体。 ２ 請求項１において、前記バヨネツト回転体の
   少なくとも一部は、前記チユーブ挿嵌孔の表面側
   縁部に臨むように配置された停止部を構成し、前
   記挿入チユーブの先端には、該停止部に嵌合すべ
   き切欠き部が形成されていることを特徴とする大
   腿骨骨折治療のためのインプラント接合体。 ３ 請求項１又は請求項２において、前記軸回転
   用頭部には、植設軸を引き出すための治具係合溝
   が形成されていることを特徴とする大腿骨骨折治
   療のためのインプラント接合体。