JPH0574289U - 菓子類へのクリーム供給注入装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 比重の大小など物性の異なる各種クリームを
一台の装置でもって取り扱うことができ、しかも菓子類
に対して均一に拡がるクリーム注入が可能であって、か
つ一度に多数個の菓子に対して定量的なクリーム注入が
できるという菓子類へのクリーム供給注入装置を開発す
ること。 【構成】 ホッパーからポンプを介して設定圧力にてク
リームを供給ブロックへ圧送し、多数の切替弁を備えた
切替弁棒により切替え式に多数の定量シリンダーへ前記
クリームを吸入させ、前記各々定量シリンダーに対向し
て設けられた注入ノズルへ前記切替弁を介してクリーム
を送り込むと共に、これら注入装置全体をスライド式に
移動させて菓子類に注入ノズルを挿入して、この注入ノ
ズルを後退させながらクリーム注入を行なわせる様にす
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、カステラ類や菓子パン類などその他各種の菓子に対してクリームを 供給・注入するための装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来から菓子類の内部等へクリームを供給注入する装置は使用されているが、 クリームには比重の大きいチョコレートペースト、軽いが流動性の小さいバター クリーム、硬いカスタードクリーム、比重が非常に軽いマシュマロ用クリーム、 更にはミカン等の果肉やジャムその他の固形物が混入されたクリームなど、非常 に多くの種類があり、これら種類の異なるクリームはそれぞれ別々の注入装置が 使用されているのである。

【０００３】 また、クリームの注入量を定量しながら注入できる装置はあったが、あらゆる 種類のクリームを１回の作動で多数の定量を行ない一度に多数個の菓子に対して 定量的にクリームの注入ができる装置はなかったのである。 さらに、菓子内にクリームを注入するに際して、そのクリームを菓子の内部に 広く均一に注入できる装置もまだ開発されていないのである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記の様な従来のクリーム供給注入装置の諸欠点を一挙に解決しよう とするものであり、クリームにおける比重の大小（１．０〜０．２）や硬さ・流 動性に関係なく、また果肉等の混入物の有無にも係わりなく、あらゆる種類のク リームを一台の装置でもって菓子類ヘ供給・注入することができ、しかも１回の 作動によって多数個の菓子に対して均一にクリームの定量的な注入ができるとい う装置を開発することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するために種々検討した結果、従来の様にホッパーの螺旋状 羽根による押出し力だけであらゆる種類のクリームとりわけ比重の小さいクリー ムを供給することは困難であることが判明し、更に研究を続けたところ、ポンプ によってクリームの比重に応じた供給圧力を設定して供給すること、また多数の 切替弁を一列に連設した切替弁棒を介することによって多数個の定量シリンダー にクリームを定量して各々注入ノズルへ切替え式に送り込むこと、さらには注入 ノズルを菓子に対して移動させながらクリーム注入を行なうこと、などを実行で きる装置が非常に好適であることを見い出したのである。

【０００６】 すなわち本考案は、ホッパー内にて任意のクリームを下部に向かって案内し、 前記ホッパーの下部出口に取付けられたポンプにより設定圧力にて前記クリーム を供給ブロックへと圧送するようになっており、前記供給ブロック内のクリーム は経路を介して定量ブロックに供給され、前記定量ブロックには多数の切替弁を 多列式に備えた切替弁棒があって切替え式に多数の定量シリンダーと連通し、前 記定量シリンダー内に定量して吸入されたクリームは前記定量シリンダーに対向 して設けられた注入ノズルへと前記切替弁を介して送り込まれるようになってお り、かつこれら定量ブロックと供給ブロックは一体となって往復移動するスライ ド台に設置されていて前記注入ノズルの注入位置を移動させながら前記クリーム を菓子類へ注入するようになっていることを特徴とする菓子類へのクリーム供給 注入装置、を要旨とするものである。

【０００７】 本考案を実施例をあげながら図面を参照して説明する。 図１は本考案装置の１実施例の概略説明正面図である。 この図の様に本考案は、ホッパー（１）内に任意のクリームを入れて羽根（２ ）にて下方へ案内しながら下部出口（３）に取付けられたポンプ（４）にてホー ス（５）を介して供給ブロック（６）へクリームを圧送するようになっている。

【０００８】 この供給ブロック（６）は定量ブロック（７）と共に一体となってスライド台 （８）に設置されているのである。 定量ブロック（７）には多列式に切替弁が多数連設されている切替弁棒（９） があり、切替弁用エアシリンダー（１０）によって弁切替えができるようになっ ている。またこの定量ブロック（７）には多数の定量シリンダー（１１）が設け られているのである。

【０００９】 本考案に使用するポンプ（４）はクリームの比重に応じて供給圧力を設定でき るようになっており、供給ブロック（６）の一端に設けた圧力計（１２）に連動 するスイッチによりクラッチオン・オフ制御し常に一定の圧力でクリームを供給 ブロック（６）へ送り込んでいるのである。 このポンプ（４）としては、例えば特殊機化工業株式会社から市販されている 「サインポンプ」が好適に使用できるものである。

【００１０】 なお、図１の（１３）はスライド用エアシリンダーの略図であり、これによっ てスライド台（８）に設置されている供給ブロック（６）や定量ブロック（７） が前後方向にスライド移動するのである。 この場合、ホース（５）の全体又は上部が柔軟な可撓性材料から構成され上記 移動に追従することは言うまでもない。

【００１１】 図２は本考案における注入機構を表した断面図で、定量シリンダー内へクリー ムが入る様子を示したものである。 図３は本考案における注入機構を表した断面図で、菓子内へクリームの注入が 始まるときの様子を示したものである。

【００１２】 まず図２のように供給ブロック（６）内のクリーム（ｓ）は経路（１４）から 切替弁（１５）を通って定量シリンダー（１１）内に、図の矢印の如く吸入され るのである。 つまり切替弁棒（９）の回転により切替弁（１５）が経路（１４）と定量シリ ンダー（１１）とを連通させた状態になると、定量ピストン（１６）が後退して クリーム（ｓ）を吸い込み設定された注入量のクリーム（ｓ）を定量シリンダー （１１）内に取り込むのである。

【００１３】 ついで、切替弁棒（９）の回転により切替弁（１５）が、図３の様に定量シリ ンダー（１１）とそれに対向して設けられている注入ノズル（１７）とを連通さ せる状態にするのである。 そして、スライド台（８）をスライド用エアシリンダー（１３）により前進さ せて供給ブロック（６）及び定量ブロック（７）の全体をスライドさせることに より注入ノズル（１７）を菓子（ｋ）内に挿入するのである。

【００１４】 その後、定量ピストン（１６）を押出してクリーム（ｓ）を菓子（ｋ）内に注 入しながら、スライド台（８）を後退させるのである。 つまり、注入ノズル（１７）から吐出するクリーム（ｓ）は、その注入位置を 後退させながら菓子（ｋ）内に注入されるので、菓子（ｋ）の全体に均一に広が るのである。

【００１５】 この場合、菓子（ｋ）内にて注入を終らせる様に、一旦スライドを停止させ、 このスライド端にて定量シリンダー（１１）内のクリーム（ｓ）の吐出を完了さ せた後、タイマーを利用して少し間をおいて吸い戻し注入ノズル（１７）の残圧 を抜くことが望ましい。 そして定位置までスライドさせて戻し、注入ノズル（１７）を菓子（ｋ）から 抜くのである。 なお、スライド用エアシリンダー（１３）はオイルによりスピードコントロー ルされていることは勿論である。

【００１６】 この様にして１回の注入作動が完了し、再び切替弁（１５）が吸込み状態に切 替えられ、以下同様の作動を繰返し行なうのである。 図２、図３における注入ノズル（１７）内のクリーム（ｓ）は、前回の作動に より残留しているものであり、これらの図が連続作動中の１回であることを示し ている。

【００１７】 上記のようなクリーム注入作動が、１本の切替弁棒（９）に多数連設された切 替弁（１５）のそれぞれに対応して設けられた多列の定量シリンダー（１１）及 び多列の注入ノズル（１７）により、一度に実行されるため、１回の作動により 多数個の菓子への定量注入が可能となり能率が大幅に向上するのである。

【００１８】

【作用】

本考案は以上の様な構成からなり、設定された圧力でポンプによってクリーム を圧送する装置であるため、クリームの比重が約０．２位の非常に軽いものから １．０に近い重いものまで広範囲の種類にわたって使用できるものであり、その 他流動性や硬さなどが変化しても、また果肉などの固形物が混入されていても、 同様にクリーム供給には何らの問題も発生しないのである。 なお、果肉等の混入クリームの場合は、混入物に応じて注入ノズルの内径を大 きくする必要があることは勿論である。

【００１９】 また、本考案装置では注入ノズルからクリームを吐出するに際して、この注入 ノズルを菓子内で後退させながらクリーム注入を行なうので、クリームは菓子内 に広く均一に注入されるのである。

【００２０】 さらに本考案装置では、１回の作動で多数列に設けられた定量シリンダー、注 入ノズル等が操作されるため、菓子類への定量的なクリーム注入を一度に多数実 行することができ、非常に能率的な装置になっている。

【００２１】

【考案の効果】

本考案の効果は、作用欄で詳述した通りであるが、箇条書きに簡単にまとめる と下記の如くである。 （ａ）比重、硬さ、流動性、混入物の有無などに左右されることなく、あらゆる 種類のクリームを一台の装置でもって、菓子類に供給注入できる。 （ｂ）注入ノズルを移動させながら菓子類に注入するので、均一なクリーム注入 が達成できる。 （ｃ）多数の定量シリンダーと注入ノズルを一度に作動させることができ、多数 個の菓子に対してクリームの定量注入が一度に実行でき、能率向上が極めて大で ある。 以上の様に本考案は種々なる優れた効果を奏し、菓子製造業界に顕著な有用性 を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案装置の１実施例の概略説明正面図であ
る。

【図２】本考案における注入機構を表した断面図で、定
量シリンダー内へクリームが入る様子を示したものであ
る。

【図３】本考案における注入機構を表した断面図で、菓
子内へクリームの注入が始まるときの様子を示してい
る。

【符号の説明】

（１） ホッパー （２） 羽根 （３） 下部出口 （４） ポンプ （５） ホース （６） 供給ブロック （７） 定量ブロック （８） スライド台 （９） 切替弁棒 （１０） 切替弁用エアシリンダー （１１） 定量シリンダー （１２） 圧力計 （１３） スライド用エアシリンダー （１４） 経路 （１５） 切替弁 （１６） 定量ピストン （１７） 注入ノズル （ｓ） クリーム （ｋ） 菓子

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホッパー内にて任意のクリームを下部に
   向って案内し、前記ホッパーの下部出口に取付けられた
   ポンプにより設定圧力にて前記クリームを供給ブロック
   へと圧送する様になっており、前記供給ブロック内のク
   リームは経路を介して定量ブロックに供給され、前記定
   量ブロックには多数の切替弁を多列式に備えた切替弁棒
   があって切替え式に多数の定量シリンダーと連通し、前
   記定量シリンダー内に定量して吸入されたクリームは前
   記定量シリンダーに対向して設けられた注入ノズルへと
   前記切替弁を介して送り込まれるようになっており、か
   つこれら定量ブロックと供給ブロックは一体となって往
   復移動するスライド台に設置されていて前記注入ノズル
   の注入位置を移動させながら前記クリームを菓子類へ注
   入するようになっていることを特徴とする菓子類へのク
   リーム供給注入装置。