JPH0572337B2 - - Google Patents
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- JPH0572337B2 JPH0572337B2 JP62231848A JP23184887A JPH0572337B2 JP H0572337 B2 JPH0572337 B2 JP H0572337B2 JP 62231848 A JP62231848 A JP 62231848A JP 23184887 A JP23184887 A JP 23184887A JP H0572337 B2 JPH0572337 B2 JP H0572337B2
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03B—MANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
- C03B37/00—Manufacture or treatment of flakes, fibres, or filaments from softened glass, minerals, or slags
- C03B37/01—Manufacture of glass fibres or filaments
- C03B37/02—Manufacture of glass fibres or filaments by drawing or extruding, e.g. direct drawing of molten glass from nozzles; Cooling fins therefor
- C03B37/022—Manufacture of glass fibres or filaments by drawing or extruding, e.g. direct drawing of molten glass from nozzles; Cooling fins therefor from molten glass in which the resultant product consists of different sorts of glass or is characterised by shape, e.g. hollow fibres, undulated fibres, fibres presenting a rough surface
- C03B37/023—Fibres composed of different sorts of glass, e.g. glass optical fibres, made by the double crucible technique
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- Materials Engineering (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)
- Surface Treatment Of Glass Fibres Or Filaments (AREA)
Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は、後工程においてイオン交換法により
屈折率分布型レンズを作製する母線の製造方法に
関し、特に失透性の高いガラス組成でレンズの母
線を紡糸する場合に有効な方法に関する。 〔従来の技術〕 断面内で中心から外周に向けて、屈折率がパラ
ボリツク状に変化している屈折率分布型レンズ
(以下GIレンズと略称する)は、レンズ面が平面
であつても、球面レンズと同様の結像作用を有
し、微小径、短焦点のレンズも容易に製作できる
等の利点を持つているため、複写機、光プリン
タ、フアクシミリ装置の光学ヘツド等に広く用い
られている。 従来、後工程でイオン交換を施すことで、製造
されるGIレンズの母線ガラスとしては、主に
タリウム系、セシウム系、リチウム系の3種
類がある。 タリウム系では、その電子分極率の大きいこと
から、非常に高開口角のGIレンズができるが、
その反面色収差が大きくなり、特にカラー対応の
光学系としては使えない。 セシウム系では、タリウム系とは逆に、色収差
は小さいものの、ガラス中に多量に含ませること
ができないため、小さな屈折率差のものしか得ら
れない。さらに、ガラスの熔融温度がきわめて高
くなる。 これらに対して、リチウム系では、適度な屈折
率差を得ることができ、しかも色収差も極めて小
さいので、光学性能の面で高性能GIレンズ用ガ
ラスとして非常に有望であることが見いだされて
いる。また、ガラスの熔融温度も適当である。た
だし、唯一最大の欠点は失透を非常におこしやす
い点である。 かかるGIレンズを製造する場合、まずノズル
付きるつぼを用いてガラス母線を成形紡糸し、こ
の母線を、このガラス成分中のイオンと交換可能
なイオンを含む熔融塩と接触させ、熔融塩中のイ
オンを母線の外周面から中心に向けて交換拡散さ
せることにより、断面内で屈折率が中心から外周
に向けて変化する。例えば屈折率が中心で最大で
外周で最小となる分布を形成する方法がとられて
いる。 上記るつぼの構造は、大別すると熔融ガラスを
収容するポツト部と、このポツト部の下底から下
方に延びるノズル部とで構成される。 ポツト部は、隔壁によつて、熔解ゾーン、均質
化ゾーンに区画されており、まずポツト部の熔解
ゾーンに投入されたガラス原料は、この熔解ゾー
ンで熔解されて熔融ガラスとなり清澄ゾーンで脱
泡が行われる。その後、均質化ゾーンで撹拌装置
による撹拌で脈理を切つた後、底部流出口から流
出し、ノズルを通る間に徐々に冷却されて保形性
が与えられ、ノズル下端口から所定径のフアイバ
の形でロールにより引き出される。 上記のようにして、連続的に成形されるGIレ
ンズの母線は、一定長に切断され、後工程である
イオン交換処理工程に送られる。 〔従来技術の問題点〕 上述した従来の方法では、レンズの母線が失透
性の高いリチウム系ガラスである場合、母線成形
工程でつぎのような問題を生じる。 熔融ポツト部では、約1100〜1300℃というガラ
スの液相温度に保たれることから、失透の発生は
ない。しかし、ノズル部内でガラスを成形温度に
まで冷却する段階で、失透を起こす温度域を通過
するため、ガラスの流速の遅いすなわち停滞時間
の長いノズル内壁の近傍部分において、失透が発
生して成長していくという問題点があつた。 この失透の発生の原因について、さらに詳しく
述べる。上記ガラスでは、失透温度域と成形温度
域の大部分が重なり合つているために、もともと
成形紡糸の際に失透をおこしやすい性質を持つて
いる。 ガラスの失透は、母線成形工程の紡糸装置のノ
ズル内で発生する。それも、ノズル内壁のガラス
接触面で発生する。その理由は、主に以下の2つ
が考えられる。 熔融ガラスの流速が極端に遅くなると、上述
の成形温度まで下げる段階で、失透温度域にガ
ラスが長く留まることになる。 ノズルの内壁には、長時間の使用などが原因
で失透物の残渣などの異物が、数多く存在す
る。失透性の高いガラスでは、この異物を核に
して失透を発生する。 上述のように、ガラスに失透が発生し成長する
と、この成長した失透物が、母線表面に付着し
て、線径の安定性や後工程のイオン交換の安定性
を損ねる。このため、失透発生後は数時間のうち
に、紡糸を中断せざるを得なくなる。 このような状態に至つた場合は、ポツト内の熔
融ガラスを高温にして流しだし、るつぼに付着し
たガラスをフツ酸水溶液で洗浄する。そして、ま
た新たにガラス原料を再熔融して、改めて母線の
引き出しを行うことが必要となる。このため、極
めて生産効率が悪いという問題点があつた。 本発明の目的は、リチウム系ガラスであつて
も、レンズ母線を連続安定して成形できる方法を
提供することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 上記の問題点を解決するために、本発明では、
熔融ガラスを収容するポツト部11とこのポツト
部の下底に設けられたノズル部17とを有するる
つぼを用いて、前記熔融ガラスを前記ノズル部を
通して連続的に引き出して成形紡糸することによ
り、屈折率分布型レンズの母線を製造する方法に
おいて、 前記るつぼのポツト部11は同心二重構造の内
ポツト12と外ポツト13をもち、さらに前記る
つぼのノズル部17は、前記同心二重構造のポツ
ト部に続いて、一定の長さの範囲で同心二重構造
の内ノズル17Aと外ノズル17Bをもち、さら
にそれに続いて前記外ノズルのみの単一構造をも
ち一定の長さを有しているノズル17Cと、 以下の(イ)に示す組成範囲から選択されたリチウ
ム系コアガラスを該二重るつぼの内ポツト部12
に、同じく以下の(ロ)に示す組成範囲から選択され
た被覆ガラスを内ポツト部12を囲む外ポツト部
13に収容し、前記ポツト部から前記二重構造の
ノズル部では前記コアガラスの液相温度に保ち、
前記両熔融ガラス接触部18近傍のノズル温度を
前記コアガラスの失透発生温度域の上限近傍に保
つて、二重構造のガラス母線を形成し、さらに前
記母線を前記ノズル部の前記単一構造部分17C
において、前記コアガラスの失透温度域を通過さ
せ冷却して、屈折率分布型レンズの母線を製造す
る。 (イ) 前記コアガラスは、モル%で SiO2:25〜68%、TiO2:2〜16%、B2O3:
0〜25%、Al2O3:0〜10%、 SiO2+TiO2+B2O3+Al2O3:58〜77%、 MgO:4〜22%、PbO:0〜13%、 MgO+PbO:4〜22%、 Li2O:2〜18%、Na2O:3〜22%、
La2O3:0〜5%、Y2O3:0〜5%、ZrO2:
0〜3%、 K2O:0〜3%、ZnO:0〜5%、CaO:0
〜3%、 SrO:0〜3%、BaO:0〜3%、SnO2:
0〜1%、Sb2O3:0〜0.5%、As2O3:0〜0.5
%、 BPO4:0〜1%の組成からなる。 (ロ) 前記被覆ガラスは、前記コアガラスの組成の
うちLi2Oの全量をアルカリ金属酸化物
(R2O:Rは1価のアルカリ金属)で置換した
組成からなる。 さらに、前記被覆ガラスのアルカリ金属酸化物
R2OをNa2Oとした組成である屈折率分布型レン
ズの母線を製造する。 またさらに、前記母線のコア径が0.5〜2.0mm
で、前記被覆ガラスの厚みが0.01〜0.152mmであ
る屈折率分布型レンズの母線を製造する。 〔作用〕 上述した方法によれば、二重構造のノズルのう
ち内側ノズル内を流下する熔融コアガラス20
は、外側ノズルを流下する被覆ガラス21と合流
するまでの間(l1の区間)、つまり内側ノズル1
7Aの内壁と接触している間は、液相温度に保た
れている。 したがつて、この二重構造の部分においてはコ
アガラスは失透をおこすことがないので、その内
側ノズル17Aの内壁には、失透の核となる失透
物の残渣などの異物が存在する可能性が非常に小
さくなつている。 しかも、この部分においてはコアガラスは液相
温度に保たれているので、コアガラスの流れが停
滞し、かつ内側ノズル17Aの内壁に接触してい
ても、コアガラスは失透をおこすことがなくな
る。 なお、一般にリチウム系ガラスは、他のアルカ
リガラスに比べて、温度変化に対する粘性の変化
が急激である。したがつて、このノズルの二重構
造の部分では、コアガラスの熔解温度から、失透
発生温度域の上限近傍まで冷却する必要がある。
その際にこの部分には、熔融したガラスの持つ熱
量が順次供給されており、その熱量を含めて冷却
する必要がある。 さらに、前記した両方のガラスが合流した後、
つまり単一構造のノズル部17Cにおいては、失
透温度域を通過するものの、コアガラス20は被
覆ガラス21によつて被覆されているので、もは
や失透の核となる異物の存在することの多いノズ
ル17Cの内壁とは接触していない。また同様
に、ノズル17Cの内壁との接触抵抗による停滞
をおこすこともなく、失透温度域を通過冷却する
ことができる。よつて、長時間の停滞に伴う失透
の発生を回避することができる。 また、この単一構造のノズル部17Cにおいて
は、コアガラス20の失透発生温度域の上限近傍
から、成形温度域まで冷却する必要がある。 一方、被覆ガラス21の方はノズル部の全長l
にわたつてノズル(17Bおよび17C)の内壁
と接触しているが、被覆ガラス21は耐失透性の
高い組成のものを選択しているので、失透の発生
を大きく低減することができる。 したがつて、上述の方法により、光学特性には
優れるものの、失透をおこしやすいリチウム系ガ
ラスを用いて、GIレンズの母線を製造すること
が可能となつた。 〔実施例〕 以下に、本発明を図面に示した実施例に基づい
て、詳細に説明する。 第1図は本発明方法で使用する母線成形装置1
0の断面図であり、ポツト部11は中心に配置さ
れた内ポツト12と、この内ポツト12とは隔壁
で区画された内ポツト取り囲む環状に配置された
外ポツト13との二重構造となつている。 そして、ポツト部11と分離してコアガラス熔
融槽14が設置され、この熔融槽14は、深部に
流路開口を設けた隔壁15によつて、溶解ゾーン
14A、脱泡ゾーン14Bとに区画されていると
ともに、脱泡ゾーン14Bと内ポツト12とは、
上方で連絡流路16を介して連通している。 ポツト部11の下底部から、熔融ガラス流出用
の長尺ノズル17が延出しており、このノズルは
全長lのうち、ポツト下底から一定長l1にわたり
同心二重構造となつている。さらに、内ノズル1
7Aは上端が内ポツト部12と接続しているとと
もに、外ノズル17Bの上端は外ポツト部13に
接続している。 そして、上記のポツト部下底からl1隔たつた合
流部18で、内外両ノズル17A,18Bは、径
が絞られて内ノズル17Aは開放されており、こ
れより先の一定長(l−l1)は、外ノズル17B
の径を絞つた単一構造のノズル17Cとなり、さ
らにその径を絞つたノズル下端部17Dとなつて
いる。 また、内ポツト部12には、スターラ19が設
置されている。上記構造の母線成形装置10は、
白金等の高耐熱性、耐侵食性材料で構成され、加
熱装置を持つた炉内(記載せず)に設置される。 上記の母線成形装置10において、コアガラス
原料は、まず熔融槽14の熔解ゾーン14Aで熔
解された後、脱泡ゾーン14Bで泡抜きされて内
ポツト12に流入する。熔解されたコアガラス2
0は、この内ポツト12内で、スターラ19によ
り撹拌され、脈理切りが行われた後、内ノズル1
7Aを流下する。 一方、被覆ガラス原料は、上記コアガラス原料
とは別の熔融槽(記載せず)で熔解されてから、
外ポツト部13内に送られ、外ノズル17B内を
流下する。そして、被覆ガラス21は、合流部1
8で上記コアガラス20を取り囲むように合流し
た後、両者は単一ノズル17C内を流下しつつ冷
却され、ノズル下端部17DからGIレンズ母線
22として成形紡糸される。 以上のような方法で製作された上記母線22
は、第2図に示すように、コア部がコアガラス2
0からなり、このコアの外周を一定厚みの被覆ガ
ラス21が覆う二重構造となつている。 この母線22は一定長に切断され、その後第3
図に示すように、周知の方法でイオン交換処理を
施される。 すなわち、ガラス中のリチウムイオンとの交換
が可能な陽イオン(例えば、ナトリウムイオン)
を含む硝酸塩の熔融塩23中に上記母線22を浸
漬する。一定時間の浸漬処理によつて、ガラス中
のリチウムイオンは、熔融塩中のイオンと交換さ
れて、母線22の断面内にはイオン濃度分布に基
づく屈折率分布、例えば中心で最大で周辺に向け
てパラボリツク状に漸減する屈折率分布24が形
成される。 つぎに、上記工程のうち、母線の成形紡糸工程
について、さらに詳しく説明する。 第1図に示した母線成形装置10において、ノ
ズル17の長さ方向の温度分布は、本発明の必須
要件の一つである。すなわち本発明では、ノズル
17の合流部18近傍をコアガラス20の失透温
度域の上限近傍に保ち、これより上流側を液相温
度に保つ。そして、合流部18以降の単一ノズル
17Cの部分で、ノズル下方に向けて徐々に温度
を低下させて、母線を成形する。 一方、被覆ガラス22については、ノズル全長
lにわたつて、ノズルの内壁と接触しているが、
後で詳述するような耐失透性の高いガラス組成を
選択してやることによつて、この被覆ガラスでの
失透の発生を、抑えることが可能である。 つづいて、本発明におけるガラス組成について
説明する。まず、コアガラス20として使用でき
る好適な組成としては、モル%で、 SiO2:25〜68%、TiO2:2〜16%、B2O3:0
〜25%、Al2O3:0〜10、 SiO2+TiO2+B2O3+Al2O3:58〜77%、 MgO:4〜22%、PbO:0〜13%、 MgO+PbO:4〜22%、 Li2O:2〜18%、Na2O:3〜22%、La2O3:
0〜5%、Y2O3:0〜5%、ZrO2:0〜3%、 K2O:0〜3%、ZnO:0〜5%、CaO:0〜
3%、SrO:0〜3%、BaO:0〜3%、
SnO2:0〜1%、Sb2O3:0〜0.5%、As2O3:
0〜0.5%、BPO4:0〜1%の範囲の組成を挙げ
ることができる。 上記組成のガラスは、GIレンズの母材として、
イオン交換性がよく、低収差でしかも高開口角の
レンズが得られる反面、耐失透性がよくないた
め、従来の母線成形法では安定した連続した生産
が不可能であつた。 さらに、被覆ガラス21としては、前記コアガ
ラスの組成のうちLi2Oの全量をアルカリ金属酸
化物(R2O:Rは1価のアルカリ金属)で置換
し、その他はほぼ同一組成としたガラスが好適で
ある。このガラス組成では、LiO2の全量がR2O
に置換されているため、コアガラスに比べて耐失
透性が十分に高く、しかもコアガラスと同じガラ
ス網目構造を有しているので、屈折率分布を与え
る際のイオ交換処理を阻害しないと考えられる。 さらに上記R2Oを全量Na2Oとすれば、被覆ガ
ラス自身のガラス転移点(Tg)およびガラス降
伏点(At)は、コアガラスに対して30〜40℃上
昇する。この場合、被覆ガラスを施さないコアガ
ラス単独の場合と比べて、母線の全体の高温強度
が上がり、同一のイオン交換条件の下で、ガラス
の変形(おもに、重力方向への伸び)が抑制され
る。したがつて、この変形に伴う母線の外径のば
らつきの発生が、大幅に減少できるという効果も
得られる。 本発明の方法において、被覆ガラス21の厚み
が薄すぎると、母線成形時における失透抑制効果
が充分でなくなる。 一方、これが厚すぎると、上述のようにイオン
交換そのもには悪影響しないものの、ガラス原料
の組成比には実際的にはロツト間のばらつきが無
視できず、その結果として、コアガラスと被覆ガ
ラスとの境界面に、屈折率の勾配の連続性に段差
ができる、という問題点を生じてしまう。 したがつて、レンズの有効径が小さくなる(開
口角が小さくなる)ことにつながつてしまうの
で、一般的な母線のコア径0.5〜2.0mmに対して、
前記被覆ガラスの厚みが0.01〜0.15mmの範囲内と
するのが望ましい。 〔具体例〕 以下に、本発明の具体的数値例について説明す
る。 まず、コアガラス20の組成として、モル%
で、 SiO2:54.5%、TiO2:5.0%、MgO:11.9%、
BaO:2.0%、PbO:6.0%、Li2O:11.98%、
Na2O:7.95%、ZrO2:0.55%、Sb2O3:0.07%、
BPO4:0.05%の組成からなるガラスを使用する。 また、被覆ガラスとしては、上記コアガラスの
成分のうち、Li2Oを全量Na2Oに置換した、すな
わちモル%で、 SiO2:54.5、TiO2:5.0、MgO:11.9%、
BaO:2.0%、PbO:6.0%、Na2O:19.93%、
ZrO2:0.55%、Sb2O3:0.07%、BPO4:0.05%の
組成からなるガラスを使用する。 上述したコアガラスおよび被覆ガラスを用い
て、第1図の示した構造の白金製二重るつぼで、
母線を成形紡糸した。 このるつぼは、以下に示すような寸法であつ
た。 まず、内ノズル17Aの内径は50mm、外ノズル
17Bの内径は70mm、二重構造部分の長さl1は
460mmであつた。このl1の値は、炉体の構造、炉
材である煉瓦の保温性によつて決まつてくる。ま
た、ノズルの内径は、製造しようとしている母線
の外径から決まつてくる。この場合の母線の外径
は、約1mmとしている。 さらに、単一構造のノズル17Cの部分では、
その内径が24mm、その長さ(l−l1)は900mmで
あり、ノズル下端部17Dの開口径は16mmとし
た。 まず、母線の外径を約1mmとすると、そのため
ノズル下端部の開口径は、経験的に母線の外径の
15〜20倍程度が好適である。したがつて、この具
体例では16mmとした。さらに、その開口径に対応
するノズルの内径は、24mm程度が経験的に必要と
なる。このような寸法のノズル内に、上記コアガ
ラスを流下させ、失透温度域上限温度の約1000℃
から、成形に好適な粘性を持つ温度(650〜750
℃)に冷却するためには、経験的に900mm程度以
上の長さが必要となつてくる。 また比較例として、前記コアガラスのみを通常
の単一構造の白金製一重るつぼを用いて、母線を
成形紡糸した。 いずれの場合も、第5図に示すようにノズル部
分を5分割して、温度制御を行つた。 第1表に、第5図の各ゾーンにおける温度制御
の値と母線の引張速度を示す。
屈折率分布型レンズを作製する母線の製造方法に
関し、特に失透性の高いガラス組成でレンズの母
線を紡糸する場合に有効な方法に関する。 〔従来の技術〕 断面内で中心から外周に向けて、屈折率がパラ
ボリツク状に変化している屈折率分布型レンズ
(以下GIレンズと略称する)は、レンズ面が平面
であつても、球面レンズと同様の結像作用を有
し、微小径、短焦点のレンズも容易に製作できる
等の利点を持つているため、複写機、光プリン
タ、フアクシミリ装置の光学ヘツド等に広く用い
られている。 従来、後工程でイオン交換を施すことで、製造
されるGIレンズの母線ガラスとしては、主に
タリウム系、セシウム系、リチウム系の3種
類がある。 タリウム系では、その電子分極率の大きいこと
から、非常に高開口角のGIレンズができるが、
その反面色収差が大きくなり、特にカラー対応の
光学系としては使えない。 セシウム系では、タリウム系とは逆に、色収差
は小さいものの、ガラス中に多量に含ませること
ができないため、小さな屈折率差のものしか得ら
れない。さらに、ガラスの熔融温度がきわめて高
くなる。 これらに対して、リチウム系では、適度な屈折
率差を得ることができ、しかも色収差も極めて小
さいので、光学性能の面で高性能GIレンズ用ガ
ラスとして非常に有望であることが見いだされて
いる。また、ガラスの熔融温度も適当である。た
だし、唯一最大の欠点は失透を非常におこしやす
い点である。 かかるGIレンズを製造する場合、まずノズル
付きるつぼを用いてガラス母線を成形紡糸し、こ
の母線を、このガラス成分中のイオンと交換可能
なイオンを含む熔融塩と接触させ、熔融塩中のイ
オンを母線の外周面から中心に向けて交換拡散さ
せることにより、断面内で屈折率が中心から外周
に向けて変化する。例えば屈折率が中心で最大で
外周で最小となる分布を形成する方法がとられて
いる。 上記るつぼの構造は、大別すると熔融ガラスを
収容するポツト部と、このポツト部の下底から下
方に延びるノズル部とで構成される。 ポツト部は、隔壁によつて、熔解ゾーン、均質
化ゾーンに区画されており、まずポツト部の熔解
ゾーンに投入されたガラス原料は、この熔解ゾー
ンで熔解されて熔融ガラスとなり清澄ゾーンで脱
泡が行われる。その後、均質化ゾーンで撹拌装置
による撹拌で脈理を切つた後、底部流出口から流
出し、ノズルを通る間に徐々に冷却されて保形性
が与えられ、ノズル下端口から所定径のフアイバ
の形でロールにより引き出される。 上記のようにして、連続的に成形されるGIレ
ンズの母線は、一定長に切断され、後工程である
イオン交換処理工程に送られる。 〔従来技術の問題点〕 上述した従来の方法では、レンズの母線が失透
性の高いリチウム系ガラスである場合、母線成形
工程でつぎのような問題を生じる。 熔融ポツト部では、約1100〜1300℃というガラ
スの液相温度に保たれることから、失透の発生は
ない。しかし、ノズル部内でガラスを成形温度に
まで冷却する段階で、失透を起こす温度域を通過
するため、ガラスの流速の遅いすなわち停滞時間
の長いノズル内壁の近傍部分において、失透が発
生して成長していくという問題点があつた。 この失透の発生の原因について、さらに詳しく
述べる。上記ガラスでは、失透温度域と成形温度
域の大部分が重なり合つているために、もともと
成形紡糸の際に失透をおこしやすい性質を持つて
いる。 ガラスの失透は、母線成形工程の紡糸装置のノ
ズル内で発生する。それも、ノズル内壁のガラス
接触面で発生する。その理由は、主に以下の2つ
が考えられる。 熔融ガラスの流速が極端に遅くなると、上述
の成形温度まで下げる段階で、失透温度域にガ
ラスが長く留まることになる。 ノズルの内壁には、長時間の使用などが原因
で失透物の残渣などの異物が、数多く存在す
る。失透性の高いガラスでは、この異物を核に
して失透を発生する。 上述のように、ガラスに失透が発生し成長する
と、この成長した失透物が、母線表面に付着し
て、線径の安定性や後工程のイオン交換の安定性
を損ねる。このため、失透発生後は数時間のうち
に、紡糸を中断せざるを得なくなる。 このような状態に至つた場合は、ポツト内の熔
融ガラスを高温にして流しだし、るつぼに付着し
たガラスをフツ酸水溶液で洗浄する。そして、ま
た新たにガラス原料を再熔融して、改めて母線の
引き出しを行うことが必要となる。このため、極
めて生産効率が悪いという問題点があつた。 本発明の目的は、リチウム系ガラスであつて
も、レンズ母線を連続安定して成形できる方法を
提供することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 上記の問題点を解決するために、本発明では、
熔融ガラスを収容するポツト部11とこのポツト
部の下底に設けられたノズル部17とを有するる
つぼを用いて、前記熔融ガラスを前記ノズル部を
通して連続的に引き出して成形紡糸することによ
り、屈折率分布型レンズの母線を製造する方法に
おいて、 前記るつぼのポツト部11は同心二重構造の内
ポツト12と外ポツト13をもち、さらに前記る
つぼのノズル部17は、前記同心二重構造のポツ
ト部に続いて、一定の長さの範囲で同心二重構造
の内ノズル17Aと外ノズル17Bをもち、さら
にそれに続いて前記外ノズルのみの単一構造をも
ち一定の長さを有しているノズル17Cと、 以下の(イ)に示す組成範囲から選択されたリチウ
ム系コアガラスを該二重るつぼの内ポツト部12
に、同じく以下の(ロ)に示す組成範囲から選択され
た被覆ガラスを内ポツト部12を囲む外ポツト部
13に収容し、前記ポツト部から前記二重構造の
ノズル部では前記コアガラスの液相温度に保ち、
前記両熔融ガラス接触部18近傍のノズル温度を
前記コアガラスの失透発生温度域の上限近傍に保
つて、二重構造のガラス母線を形成し、さらに前
記母線を前記ノズル部の前記単一構造部分17C
において、前記コアガラスの失透温度域を通過さ
せ冷却して、屈折率分布型レンズの母線を製造す
る。 (イ) 前記コアガラスは、モル%で SiO2:25〜68%、TiO2:2〜16%、B2O3:
0〜25%、Al2O3:0〜10%、 SiO2+TiO2+B2O3+Al2O3:58〜77%、 MgO:4〜22%、PbO:0〜13%、 MgO+PbO:4〜22%、 Li2O:2〜18%、Na2O:3〜22%、
La2O3:0〜5%、Y2O3:0〜5%、ZrO2:
0〜3%、 K2O:0〜3%、ZnO:0〜5%、CaO:0
〜3%、 SrO:0〜3%、BaO:0〜3%、SnO2:
0〜1%、Sb2O3:0〜0.5%、As2O3:0〜0.5
%、 BPO4:0〜1%の組成からなる。 (ロ) 前記被覆ガラスは、前記コアガラスの組成の
うちLi2Oの全量をアルカリ金属酸化物
(R2O:Rは1価のアルカリ金属)で置換した
組成からなる。 さらに、前記被覆ガラスのアルカリ金属酸化物
R2OをNa2Oとした組成である屈折率分布型レン
ズの母線を製造する。 またさらに、前記母線のコア径が0.5〜2.0mm
で、前記被覆ガラスの厚みが0.01〜0.152mmであ
る屈折率分布型レンズの母線を製造する。 〔作用〕 上述した方法によれば、二重構造のノズルのう
ち内側ノズル内を流下する熔融コアガラス20
は、外側ノズルを流下する被覆ガラス21と合流
するまでの間(l1の区間)、つまり内側ノズル1
7Aの内壁と接触している間は、液相温度に保た
れている。 したがつて、この二重構造の部分においてはコ
アガラスは失透をおこすことがないので、その内
側ノズル17Aの内壁には、失透の核となる失透
物の残渣などの異物が存在する可能性が非常に小
さくなつている。 しかも、この部分においてはコアガラスは液相
温度に保たれているので、コアガラスの流れが停
滞し、かつ内側ノズル17Aの内壁に接触してい
ても、コアガラスは失透をおこすことがなくな
る。 なお、一般にリチウム系ガラスは、他のアルカ
リガラスに比べて、温度変化に対する粘性の変化
が急激である。したがつて、このノズルの二重構
造の部分では、コアガラスの熔解温度から、失透
発生温度域の上限近傍まで冷却する必要がある。
その際にこの部分には、熔融したガラスの持つ熱
量が順次供給されており、その熱量を含めて冷却
する必要がある。 さらに、前記した両方のガラスが合流した後、
つまり単一構造のノズル部17Cにおいては、失
透温度域を通過するものの、コアガラス20は被
覆ガラス21によつて被覆されているので、もは
や失透の核となる異物の存在することの多いノズ
ル17Cの内壁とは接触していない。また同様
に、ノズル17Cの内壁との接触抵抗による停滞
をおこすこともなく、失透温度域を通過冷却する
ことができる。よつて、長時間の停滞に伴う失透
の発生を回避することができる。 また、この単一構造のノズル部17Cにおいて
は、コアガラス20の失透発生温度域の上限近傍
から、成形温度域まで冷却する必要がある。 一方、被覆ガラス21の方はノズル部の全長l
にわたつてノズル(17Bおよび17C)の内壁
と接触しているが、被覆ガラス21は耐失透性の
高い組成のものを選択しているので、失透の発生
を大きく低減することができる。 したがつて、上述の方法により、光学特性には
優れるものの、失透をおこしやすいリチウム系ガ
ラスを用いて、GIレンズの母線を製造すること
が可能となつた。 〔実施例〕 以下に、本発明を図面に示した実施例に基づい
て、詳細に説明する。 第1図は本発明方法で使用する母線成形装置1
0の断面図であり、ポツト部11は中心に配置さ
れた内ポツト12と、この内ポツト12とは隔壁
で区画された内ポツト取り囲む環状に配置された
外ポツト13との二重構造となつている。 そして、ポツト部11と分離してコアガラス熔
融槽14が設置され、この熔融槽14は、深部に
流路開口を設けた隔壁15によつて、溶解ゾーン
14A、脱泡ゾーン14Bとに区画されていると
ともに、脱泡ゾーン14Bと内ポツト12とは、
上方で連絡流路16を介して連通している。 ポツト部11の下底部から、熔融ガラス流出用
の長尺ノズル17が延出しており、このノズルは
全長lのうち、ポツト下底から一定長l1にわたり
同心二重構造となつている。さらに、内ノズル1
7Aは上端が内ポツト部12と接続しているとと
もに、外ノズル17Bの上端は外ポツト部13に
接続している。 そして、上記のポツト部下底からl1隔たつた合
流部18で、内外両ノズル17A,18Bは、径
が絞られて内ノズル17Aは開放されており、こ
れより先の一定長(l−l1)は、外ノズル17B
の径を絞つた単一構造のノズル17Cとなり、さ
らにその径を絞つたノズル下端部17Dとなつて
いる。 また、内ポツト部12には、スターラ19が設
置されている。上記構造の母線成形装置10は、
白金等の高耐熱性、耐侵食性材料で構成され、加
熱装置を持つた炉内(記載せず)に設置される。 上記の母線成形装置10において、コアガラス
原料は、まず熔融槽14の熔解ゾーン14Aで熔
解された後、脱泡ゾーン14Bで泡抜きされて内
ポツト12に流入する。熔解されたコアガラス2
0は、この内ポツト12内で、スターラ19によ
り撹拌され、脈理切りが行われた後、内ノズル1
7Aを流下する。 一方、被覆ガラス原料は、上記コアガラス原料
とは別の熔融槽(記載せず)で熔解されてから、
外ポツト部13内に送られ、外ノズル17B内を
流下する。そして、被覆ガラス21は、合流部1
8で上記コアガラス20を取り囲むように合流し
た後、両者は単一ノズル17C内を流下しつつ冷
却され、ノズル下端部17DからGIレンズ母線
22として成形紡糸される。 以上のような方法で製作された上記母線22
は、第2図に示すように、コア部がコアガラス2
0からなり、このコアの外周を一定厚みの被覆ガ
ラス21が覆う二重構造となつている。 この母線22は一定長に切断され、その後第3
図に示すように、周知の方法でイオン交換処理を
施される。 すなわち、ガラス中のリチウムイオンとの交換
が可能な陽イオン(例えば、ナトリウムイオン)
を含む硝酸塩の熔融塩23中に上記母線22を浸
漬する。一定時間の浸漬処理によつて、ガラス中
のリチウムイオンは、熔融塩中のイオンと交換さ
れて、母線22の断面内にはイオン濃度分布に基
づく屈折率分布、例えば中心で最大で周辺に向け
てパラボリツク状に漸減する屈折率分布24が形
成される。 つぎに、上記工程のうち、母線の成形紡糸工程
について、さらに詳しく説明する。 第1図に示した母線成形装置10において、ノ
ズル17の長さ方向の温度分布は、本発明の必須
要件の一つである。すなわち本発明では、ノズル
17の合流部18近傍をコアガラス20の失透温
度域の上限近傍に保ち、これより上流側を液相温
度に保つ。そして、合流部18以降の単一ノズル
17Cの部分で、ノズル下方に向けて徐々に温度
を低下させて、母線を成形する。 一方、被覆ガラス22については、ノズル全長
lにわたつて、ノズルの内壁と接触しているが、
後で詳述するような耐失透性の高いガラス組成を
選択してやることによつて、この被覆ガラスでの
失透の発生を、抑えることが可能である。 つづいて、本発明におけるガラス組成について
説明する。まず、コアガラス20として使用でき
る好適な組成としては、モル%で、 SiO2:25〜68%、TiO2:2〜16%、B2O3:0
〜25%、Al2O3:0〜10、 SiO2+TiO2+B2O3+Al2O3:58〜77%、 MgO:4〜22%、PbO:0〜13%、 MgO+PbO:4〜22%、 Li2O:2〜18%、Na2O:3〜22%、La2O3:
0〜5%、Y2O3:0〜5%、ZrO2:0〜3%、 K2O:0〜3%、ZnO:0〜5%、CaO:0〜
3%、SrO:0〜3%、BaO:0〜3%、
SnO2:0〜1%、Sb2O3:0〜0.5%、As2O3:
0〜0.5%、BPO4:0〜1%の範囲の組成を挙げ
ることができる。 上記組成のガラスは、GIレンズの母材として、
イオン交換性がよく、低収差でしかも高開口角の
レンズが得られる反面、耐失透性がよくないた
め、従来の母線成形法では安定した連続した生産
が不可能であつた。 さらに、被覆ガラス21としては、前記コアガ
ラスの組成のうちLi2Oの全量をアルカリ金属酸
化物(R2O:Rは1価のアルカリ金属)で置換
し、その他はほぼ同一組成としたガラスが好適で
ある。このガラス組成では、LiO2の全量がR2O
に置換されているため、コアガラスに比べて耐失
透性が十分に高く、しかもコアガラスと同じガラ
ス網目構造を有しているので、屈折率分布を与え
る際のイオ交換処理を阻害しないと考えられる。 さらに上記R2Oを全量Na2Oとすれば、被覆ガ
ラス自身のガラス転移点(Tg)およびガラス降
伏点(At)は、コアガラスに対して30〜40℃上
昇する。この場合、被覆ガラスを施さないコアガ
ラス単独の場合と比べて、母線の全体の高温強度
が上がり、同一のイオン交換条件の下で、ガラス
の変形(おもに、重力方向への伸び)が抑制され
る。したがつて、この変形に伴う母線の外径のば
らつきの発生が、大幅に減少できるという効果も
得られる。 本発明の方法において、被覆ガラス21の厚み
が薄すぎると、母線成形時における失透抑制効果
が充分でなくなる。 一方、これが厚すぎると、上述のようにイオン
交換そのもには悪影響しないものの、ガラス原料
の組成比には実際的にはロツト間のばらつきが無
視できず、その結果として、コアガラスと被覆ガ
ラスとの境界面に、屈折率の勾配の連続性に段差
ができる、という問題点を生じてしまう。 したがつて、レンズの有効径が小さくなる(開
口角が小さくなる)ことにつながつてしまうの
で、一般的な母線のコア径0.5〜2.0mmに対して、
前記被覆ガラスの厚みが0.01〜0.15mmの範囲内と
するのが望ましい。 〔具体例〕 以下に、本発明の具体的数値例について説明す
る。 まず、コアガラス20の組成として、モル%
で、 SiO2:54.5%、TiO2:5.0%、MgO:11.9%、
BaO:2.0%、PbO:6.0%、Li2O:11.98%、
Na2O:7.95%、ZrO2:0.55%、Sb2O3:0.07%、
BPO4:0.05%の組成からなるガラスを使用する。 また、被覆ガラスとしては、上記コアガラスの
成分のうち、Li2Oを全量Na2Oに置換した、すな
わちモル%で、 SiO2:54.5、TiO2:5.0、MgO:11.9%、
BaO:2.0%、PbO:6.0%、Na2O:19.93%、
ZrO2:0.55%、Sb2O3:0.07%、BPO4:0.05%の
組成からなるガラスを使用する。 上述したコアガラスおよび被覆ガラスを用い
て、第1図の示した構造の白金製二重るつぼで、
母線を成形紡糸した。 このるつぼは、以下に示すような寸法であつ
た。 まず、内ノズル17Aの内径は50mm、外ノズル
17Bの内径は70mm、二重構造部分の長さl1は
460mmであつた。このl1の値は、炉体の構造、炉
材である煉瓦の保温性によつて決まつてくる。ま
た、ノズルの内径は、製造しようとしている母線
の外径から決まつてくる。この場合の母線の外径
は、約1mmとしている。 さらに、単一構造のノズル17Cの部分では、
その内径が24mm、その長さ(l−l1)は900mmで
あり、ノズル下端部17Dの開口径は16mmとし
た。 まず、母線の外径を約1mmとすると、そのため
ノズル下端部の開口径は、経験的に母線の外径の
15〜20倍程度が好適である。したがつて、この具
体例では16mmとした。さらに、その開口径に対応
するノズルの内径は、24mm程度が経験的に必要と
なる。このような寸法のノズル内に、上記コアガ
ラスを流下させ、失透温度域上限温度の約1000℃
から、成形に好適な粘性を持つ温度(650〜750
℃)に冷却するためには、経験的に900mm程度以
上の長さが必要となつてくる。 また比較例として、前記コアガラスのみを通常
の単一構造の白金製一重るつぼを用いて、母線を
成形紡糸した。 いずれの場合も、第5図に示すようにノズル部
分を5分割して、温度制御を行つた。 第1表に、第5図の各ゾーンにおける温度制御
の値と母線の引張速度を示す。
本発明によれば、失透をおこしやすいリチウム
系ガラスでも、安定連続的にGIレンズ用の母線
を成形紡糸することができる。 したがつて、母材ガラス組成の選択範囲が広が
るとともに、この母線を用いて、低収差、高開口
角の高性能なGIレンズの量産が可能となつた。
系ガラスでも、安定連続的にGIレンズ用の母線
を成形紡糸することができる。 したがつて、母材ガラス組成の選択範囲が広が
るとともに、この母線を用いて、低収差、高開口
角の高性能なGIレンズの量産が可能となつた。
第1図は、本発明を実施するための母線成形装
置の一例を示す断面図である。第2図は、同装置
で成形される母線の横断面図である。第3図は、
イオン交換処理工程を示す断面図である。第4図
は、第3図の処理で母線内に形成される屈折率分
布を示す断面図である。第5図は、本発明の効果
確認のため用いた実施例装置と、比較例装置を示
す概略断面図である。第6図は、第5図のそれぞ
れの装置の成形した母線に発生した失透物の個数
を示すグラフである。 10……母線成形装置、11……ポツト部、1
2……内ポツト部、13……外ポツト部、14…
…コアガラス熔解槽、15……隔壁、16……連
絡流路、17……ノズル部、17A……内ノズ
ル、17B……外ノズル、17C……単一ノズ
ル、17D……ノズル下端部、18……合流部、
19……スターラ、20……コアガラス、21…
…被覆ガラス、22……母線、23……熔融塩、
24……屈折率分布曲線。
置の一例を示す断面図である。第2図は、同装置
で成形される母線の横断面図である。第3図は、
イオン交換処理工程を示す断面図である。第4図
は、第3図の処理で母線内に形成される屈折率分
布を示す断面図である。第5図は、本発明の効果
確認のため用いた実施例装置と、比較例装置を示
す概略断面図である。第6図は、第5図のそれぞ
れの装置の成形した母線に発生した失透物の個数
を示すグラフである。 10……母線成形装置、11……ポツト部、1
2……内ポツト部、13……外ポツト部、14…
…コアガラス熔解槽、15……隔壁、16……連
絡流路、17……ノズル部、17A……内ノズ
ル、17B……外ノズル、17C……単一ノズ
ル、17D……ノズル下端部、18……合流部、
19……スターラ、20……コアガラス、21…
…被覆ガラス、22……母線、23……熔融塩、
24……屈折率分布曲線。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 熔融ガラスを収容するポツト部11とこのポ
ツト部の下底に設けられたノズル部17とを有す
るるつぼを用いて、前記熔融ガラスを前記ノズル
部を通して連続的に引き出して成形紡糸すること
により、屈折率分布型レンズの母線を製造する方
法において、 前記るつぼのポツト部11は同心二重構造の内
ポツト12と外ポツト13をもち、さらに前記る
つぼのノズル部17は、前記同心二重構造のポツ
ト部に続いて、一定の長さの範囲で同心二重構造
の内ノズル17Aと外ノズル17Bをもち、さら
にそれに続いて前記外ノズルのみの単一構造のも
ち一定の長さを有しているノズル17Cと、 以下の(イ)に示す組成範囲から選択されたリチウ
ム系コアガラスを該二重るつぼの内ポツト部12
に、同じく以下の(ロ)に示す組成範囲から選択され
た被覆ガラスを内ポツト部12を囲む外ポツト部
13に収容し、前記ポツト部から前記二重構造の
ノズル部では前記コアガラスの液相温度に保ち、
前記両熔融ガラス接触部18近傍のノズル温度を
前記コアガラスの失透発生温度域の上限近傍に保
つて、二重構造のガラス母線を形成し、さらに前
記母線を前記ノズル部の前記単一構造部分17C
において、前記コアガラスの失透温度域を通過さ
せ冷却して、屈折率分布型レンズの母線を製造す
る方法。 (イ) 前記コアガラスは、モル%で SiO2:25〜68%、TiO2:2〜16%、B2O3:
0〜25%、Al2O3:0〜10%、 SiO2+TiO2+B2O3+Al2O3:58〜77%、 MgO:4〜22%、PbO:0〜13%、 MgO+PbO:4〜22%、 Li2O:2〜18%、Na2O:3〜22%、
La2O3:0〜5%、Y2O3:0〜5%、ZrO2:
0〜3%、 K2O:0〜3%、ZnO:0〜5%、CaO:0
〜3%、 SrO:0〜3%、BaO:0〜3%、SnO2:
0〜1%、Sb2O3:0〜0.5%、As2O3:0〜0.5
%、 BPO4:0〜1%の組成からなる。 (ロ) 前記被覆ガラスは、前記コアガラスの組成の
うちLi2Oの全量をアルカリ金属酸化物
(R2O:Rは1価のアルカリ金属)で置換した
組成からなる。 2 特許請求の範囲第1項において、前記被覆ガ
ラスのアルカリ金属酸化物R2OをNa2Oとした組
成である屈折率分布型レンズの母線を製造する方
法。 3 特許請求の範囲第1項において、前記母線の
コア径が0.5〜2.0mmで、前記被覆ガラスの厚みが
0.01〜0.15mmである屈折率分布型レンズの母線を
製造する方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62231848A JPS6476931A (en) | 1987-09-16 | 1987-09-16 | Production of refractive index-distributing type lens |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62231848A JPS6476931A (en) | 1987-09-16 | 1987-09-16 | Production of refractive index-distributing type lens |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6476931A JPS6476931A (en) | 1989-03-23 |
| JPH0572337B2 true JPH0572337B2 (ja) | 1993-10-12 |
Family
ID=16929959
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP62231848A Granted JPS6476931A (en) | 1987-09-16 | 1987-09-16 | Production of refractive index-distributing type lens |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6476931A (ja) |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP3983322B2 (ja) * | 1996-11-06 | 2007-09-26 | 日本板硝子株式会社 | コア/クラッド構造の屈折率分布型光学素子のガラス組成物 |
| JP2006056768A (ja) | 2004-07-23 | 2006-03-02 | Nippon Sheet Glass Co Ltd | 屈折率分布型ロッドレンズ用クラッドガラス組成物、およびそれを用いた屈折率分布型ロッドレンズ母ガラスロッド、ならびに屈折率分布型ロッドレンズ、およびその製造方法 |
| JP2006154868A (ja) * | 2006-03-09 | 2006-06-15 | Nippon Sheet Glass Co Ltd | レンズ機能付き光ファイバおよびその製造方法 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5612258A (en) * | 1979-07-06 | 1981-02-06 | Sony Corp | Coil winding method |
-
1987
- 1987-09-16 JP JP62231848A patent/JPS6476931A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6476931A (en) | 1989-03-23 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| EXPY | Cancellation because of completion of term |