JPH0569949B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は小型の水槽の前部から水流を発生さ
せ、この水流に逆らつて泳ぐように構成した流水
式プールに関するものである。

（従来技術とその問題点） 健康の維持・増進のため、水泳は多くの人々が
行なうスポーツであるが、通常の大型プールでは
所要面積の大きいことに加えて、冬期に温水プー
ルとするためには莫大なエネルギーを費やすため
都市区域では徐々に経営が困難となつてきてい
る。

そのため、省エネ、省スペースを図るべく、小
型の水槽の前部から水流を発生させ、この水流に
逆らつて泳ぐように構成した小型流水プールが開
発されている。

このような小型流水プールとしては、第５図な
いし第７図に示すように、船舶模型の水理実験用
回流水層５０を応用したものがある。これは幅約
２ｍ、水深約１ｍ、長さ約５ｍの水泳部５１に、
水流発生用プロペラ５２、整流部５３により断面
一様の水流を発生させるようにしたものであり、
水泳をする上では一様流であり、しかも希望する
水流に設定することが可能であるため問題はなか
つた。

しかしながら、このような回流水槽５０では整
流部５３が大きく、かつ断面全体に一様流を発生
させるため、所要経費、所要場所、所要動力が大
きいという欠点があつた。

一方、第８図に示すように、水槽５４の前部に
複数のノズル５５を設け、このノズル５５からジ
エツト流を噴出させることにより、局所的に噴流
部を作り、循環系により循環させるようにした小
型流水プールがある。このような小型流水プール
は前述のような整流部が必要ないので所要場所を
小さくでき、かつ局所流れだけを発生させるので
所要動力が前述の約1/10で済む。

しかし、局所的な噴流により速度分布が大き過
ぎ、水泳の上では困難を伴ない、かつ流速を任意
に設定することは極めて難しい。

そのため、本出願人はこのような問題点を解消
すべく既に流水式プール（特開昭61−266776号）
を出願している。

これは水槽幅方向に連続するスリツトノズルが
設けられた水流発生装置を水槽の水表面近傍に設
置し、スリツトノズルから水流を噴出させ、水泳
に充分で一様な水面表層流を発生させるようにし
たものであり、幅方向にほぼ一様で速度分布の小
さな表層流を得ることができるが、さらに滑らか
な表層流の得られる流水式プールが望まれてい
た。

（問題点を解決するための手段） この発明に係る流水式プールは、水槽内に設け
られたヘツダーと当該ヘツダーに接続され水槽外
に設けられるポンプからなる水流発生装置を有
し、前記ヘツダーには水槽幅方向に開口された水
流ノズルを上下方向に２列設けるとともに水槽の
表面近傍に設置し、前記水流ノズルから水流を噴
出させ、水泳に充分で、一様かつ滑らかな水面表
層流を発生させるようにしたものである。

（実施例） 以下この発明を図示する一実施例に基づいて説
明する。

第４図に示すように、この発明に係る流水式プ
ールは、例えば幅2.2ｍ、、長さ4.5ｍ、水深0.9ｍ
で容量約９m³の小型水槽１に２本の循環パイプ２
を接続してなり、ポンプ３により循環させ、調整
弁４により水量調整し、ヘツダー５から噴出さ
せ、水面表層流Ｆを発生させる。なお、水槽１の
後部には水面の高さを調整する調整用パイプ６が
接続されている。

小型水槽１はコンクリート、鉄板、アルミ板、
ステンレス板あるいはFRP板などから形成され
ている。

ヘツダー５は小型水槽１の前部における水表面
近傍に、水槽１の幅方向に沿つて設置された円筒
体であり、長手方向に連続する幅５〜10mm程度の
開孔およびガイド突片８により、上下に、並行に
配設された２列のスリツトノズル９が構成されて
いる。さらに、ヘツダー５内におけるスリツトノ
ズル９の手前には整流板１０が設けられている。

このようなヘツダー５の両端には、循環パイプ
２の端部が挿入されて導水が行なわれるとともに
ヘツダー５を回転自在に支持している。ヘツダー
５と循環パイプ２の端部との間にはＯリング１１
が配されて止水され、ヘツダー５を回転させるこ
とによりスリツトノズル９の噴出方向を水面に対
し変更でき、これにより水面の流速を増減でき
る。

なお、循環パイプ２の端部には、ヘツダー５の
側面に当接する回転調整用ラチエツト１２が設け
られている。

以上のような構成において、スリツトノズル９
から噴出された水は水表面に層をなして拡散して
ゆくが、２列配置としたスリツトノズルから分け
て水を噴出させる構成としたので、水表面での波
立ちが小さくなり、その分流速は増し、スムーズ
な水流を得ることができる。

なお、スリツトノズル９における噴出速度とノ
ズルからのある距離における流れの速度には一定
の関係がある。

したがつて、ヘツダー５の水面からの取付け深
さを適切に設定しておき、調整弁４によりノズル
よりの水の噴出速度を調整することにより、水泳
に適切な流速を適当な位置で発生させることがで
きる。またノズルの水面に対する噴出方向を変更
させることによつても、水面の流速を増減でき
る。

このようなスリツトノズル式とすれば、従来の
回流水槽の所要動力が約55KWであつたのが、約
5KW程度の所要動力ですむ。また、実施例はス
リツトノズル、即ち水槽幅方向に連続して開口さ
れた水流ノズルとしたが、同様の表層流を得られ
るのであれば本発明はこれに限定されるものでは
なく、水槽幅方向に断続して開口された水流ノズ
ル、例えば複数のパイプよりなるノズル等として
もよいことはもちろんである。

（発明の効果） 前述のとおり、この発明によればスリツトノズ
ルを有するヘツダーを水槽の水表面近傍に設置し
て表層流を発生させるようにしたため、わずかの
所要動力で水泳に充分な水面表層流を発生させる
ことができる。さらに、スリツトノズルを上下に
２列としたため、幅方向にほぼ一様で速度分布が
小さく滑らかな表層流を得ることができ、水泳が
やり易くなる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図はこの発明に係る水流
発生装置を示す部分断面正面図、側面図、斜視
図、第４図は同様の流水式プールを示す概略図、
第５図、第６図、第７図は従来の回流水槽を示す
平面図、正面図、側面図、第８図は複数ノズル式
流水プールを示す斜視図である。 １……小型水槽、２……循環パイプ、３……ポ
ンプ、４……調整弁、５……ヘツダー、６……調
整用パイプ、７……開孔、８……ガイド突片、９
……スリツトノズル、１０……整流板、１１……
Ｏリング、１２……ラチエツト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 前部から水流を発生させ、この水流に逆らつ
   て泳ぐように構成した流水式プールであつて、水
   流発生装置は水槽内に設けられたヘツダーと、当
   該ヘツダーに接続され水槽外に設けられたポンプ
   とからなり、 前記ヘツダーには水槽幅方向に開口された水流
   ノズルを上下方向に２列設けるとともに水槽の水
   表面近傍に配置し、前記水流ノズルにより表層流
   を発生させるようにしたことを特徴とする流水式
   プール。