JPH0567215U - 混合液肥灌水装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 同一の育苗ハウス内において複数の育苗ベッ
ド群を設け、該育苗ベッド群毎に異なる苗を育苗して、
それぞれの苗に適応した灌水を行うことができる灌水装
置を構成することを目的とする。 【構成】 育苗ハウスＨ内に複数の育苗ベッド群を設
け、該育苗ベッド群と同数のタンク組を設け、該タンク
組に種類もしくは濃度の違う液肥を貯水し、該液肥を前
記育苗ベッド群に灌水することができることができるよ
うに構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、育苗ハウス内の作物に、作物の種類や生長の度合いに合わせて水ま たは液肥を灌水する灌水装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から水または液肥の灌水装置に関する技術は、公知のものであり、ハウス の内又は外に動力噴霧器と薬液タンクを配置し、該薬液タンクに所望の肥料を解 かして一定量噴霧して灌水が行われているのである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、同一の育苗ハウス内において育苗ベッドを複数組配置して、作物の種 類の異なるものや、同一の作物であっても生長の異なる作物を育てることがあり 、この場合、ある時期になると水を必要とする苗と、液肥を必要とする苗に分か れるので、従来技術の如く一系統の灌水装置であると、水のみの灌水もしくは一 定濃度の液肥のみの灌水しか行えず、前記育苗ベッド毎の苗に適応した水もしく は液肥の灌水を行うには、薬液タンクを一旦空にしないと他の育苗ベッド組に灌 水できなかったのである。そして、タンクに残っている液肥に水を加えて灌水す るようなことをすると、肥料過多により軟弱で徒長した苗になり、病気が発生す る等の不具合が生じるのである。また、液肥を必要とする苗に水のみを灌水する と、葉の色が黄化して、苗の生長が抑制されるのである。そこで、本考案は、同 一の育苗ハウス内において複数の育苗ベッドを設け、該育苗ベッド毎に異なる苗 を育苗する場合に、該苗に適応した灌水を行うことができる灌水装置を提供しよ うとするのである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

以上のような課題を解決するための手段として、育苗ハウス内の作物に薬液や 水等を灌水する灌水装置において、育苗ハウス内に複数の育苗ベッド群を設け、 該育苗ベッド群と同数のタンク組を設け、該タンク組に種類、濃度の異なる液肥 を貯水可能とし、該液肥をそれぞれの育苗ベッド群に灌水可能に構成したもので ある。

【０００５】

【作用】

次に、作用について説明すると、育苗ハウスＨ内に二つの育苗ベッド１・２を 配設し、該育苗ベッド１・２それぞれに異なる苗を育苗し、該苗毎に適応する種 類、濃度の違う液肥及び水を灌水する場合において、所定の種類もしくは濃度の 違う液肥を灌水する場合は、育苗ベッド１・２毎に設けられている希釈タンクＴ １・Ｔ２に、苗毎に適応する種類もしくは濃度の違う液肥を溜めておき、該液肥 を動力噴霧機Ｆ１・Ｆ２により前記育苗ベッド１・２の異なる苗に灌水すること ができるのであり、水のみを灌水する場合には、三方向切換弁Ｅ１・Ｅ２を切り 換えて、動力噴霧機Ｆ１・Ｆ２により原水タンク１１の水を直接育苗ベッド１・ ２の苗に灌水することができるのである。また、前記三方向切換弁Ｅ１・Ｅ２の 一方をだけを切り換えることにより、育苗ベッド１・２の一方の苗に前記液肥を 、他方の苗に水を灌水することができるのである。

【０００６】

【実施例】

本考案の実施例について説明する。図１は、本考案の複数系統の混合液肥灌水 装置のシステムブロック図、図２は、育苗ハウスＨ内の育苗ベッド１・２とノズ ルＮ１・Ｎ２の正面図、図３は、苗の生育度と日数の関係を示す図、図４は、ノ ズルＮの斜視図、図５は、同じく側面図、図６は、育苗ハウスＨに雨よけ庇部１ ６を付設した状態を示す斜視図である。

【０００７】 図１・図２において、本考案の複数系統の混合液肥灌水装置の構成について説 明すると、育苗ハウスＨには育苗ベッドを多数並べた二列の育苗ベッド群１・２ が配設されており、該育苗ベッド群１・２毎にノズルＮ１・Ｎ２が配設されてい る。該ノズルＮ１・Ｎ２は切換バルブＧ１・Ｇ２を介して混入ユニットＪの動力 噴霧機Ｆ１・Ｆ２に接続配管されている。前記切換バルブＧ１・Ｇ２は駆動回路 ４を介してコントローラＳにより制御されており、前記動力噴霧機Ｆ１・Ｆ２も 駆動回路６を介してコントローラＳにて制御され、該動力噴霧機Ｆ１・Ｆ２の吸 水側に三方向切換弁Ｅ１・Ｅ２が接続されて、該三方向切換弁Ｅ１・Ｅ２の一方 の配管には希釈タンクＴ１・Ｔ２が、他方には原水タンク１１が接続されている 。前記希釈タンクＴ１・Ｔ２には、レベルセンサーＤ１・Ｄ２が配設されており 、該レベルセンサーＤ１・Ｄ２により、希釈タンクＴ１・Ｔ２内の液肥量を検知 しているのである。

【０００８】 前記希釈タンクＴ１へは給水管２０ａが挿入され、該給水管２０ａは二方向に 分かれて流量計Ｂ１・Ｂ２を介して電磁バルブＡ１に接続されており、前記二方 向に分かれた内の一方の管は、中途部に混入器Ｃ１と接続し、該混入器Ｃ１はポ ンプを内蔵して濃縮液タンク１２から液肥を吸い上げることを可能としている。 他方の管には混入器Ｃ２が接続されて濃縮液タンク１３から液肥を吸い上げるこ とを可能としている。また、希釈タンクＴ２への給水管２０ｂは前記同様に流量 計Ｂ３・Ｂ４を介して電磁バルブＡ２と接続され、それぞれ二つに分岐した管の 中途部で混入器Ｃ３・Ｃ４を介して濃縮液タンク１２・１３に接続されている。 前記濃縮液タンク１２・１３には、それぞれに種類の違う養液が貯蔵されており 、例えば、濃縮液タンク１２に硝酸等を混入した養液、濃縮液タンク１３に燐酸 、カリ等の複合型養液等を貯留しているのである。

【０００９】 前記電磁バルブＡ１・Ａ２の一次側は原水ポンプＰを介して原水タンク１１に 接続されており、該原水タンク１１には水を常に一定量貯留して、希釈タンクＴ １もしくは希釈タンクＴ２及び三方向切換弁Ｅ１・Ｅ２に供給するように構成さ れている。前記混入器Ｃ１・Ｃ２・Ｃ３・Ｃ４はそれぞれ流量計Ｂ１・Ｂ２・Ｂ ３・Ｂ４のと接続して、該流量計Ｂ１・Ｂ２・Ｂ３・Ｂ４の値により水の量を検 知して、該水に所定の濃縮液タンク１２もしくは濃縮液タンク１３からの養液を 混入器Ｃ１・Ｃ２・Ｃ３・Ｃ４により混入することにより予め設定された濃度に 設定することができるのである。前記混入器Ｃ１・Ｃ２・Ｃ３・Ｃ４は駆動回路 ３を介してコントローラＳと接続され、該コントローラＳにて所定の濃度に設定 できるのである。

【００１０】 前記混入器Ｃ１もしくは混入器Ｃ２により一定濃度となった液肥は、希釈タン クＴ１に貯留されるのであるが、レベルセンサーＤ１からの信号が駆動回路３を コントローラＳに入力され、所定量に達するとポンプＰ、混入器Ｃ１・Ｃ２・Ｃ ３・Ｃ４を停止させて、希釈タンクＴ１内の液肥量を一定に保つように構成して いるのである。同様に混入器Ｃ３もしくは混入器Ｃ４により一定濃度となった液 肥は、希釈タンクＴ２に貯蔵され、一定量に保たれている。

【００１１】 前記ノズルＮは、図４に示す如く、平行に噴霧ノズル１４・１４・・・とシャ ワーノズル１５・１５・・・が配置され、該噴霧ノズル１４は広範囲に吐水でき るように構成しており、シャワーノズル１５は狭範囲で圧水を吐水できるように 構成しており、苗が小さい場合には噴霧ノズル１４にて苗を傷めないように散布 し、苗が生長すると葉も大きくなって苗の葉に遮られて十分に液肥が培養土へ行 き渡らないので、前記シャワーノズル１５により強く散布するのである。つまり 図３に示す如く、苗の生長に合わせて噴霧灌水とシャワー灌水を行うことができ るようにしているのである。該噴霧灌水とシャワー灌水の切換は、コントローラ Ｓに制御されている電磁バルブ８により行われるのである。また、噴霧ノズル１ ４とシャワーノズル１５の位置関係は、図５に示す如く、噴霧ノズル１４の噴霧 範囲外にシャワーノズル１５の噴口１５ａを配置し、該シャワーノズル１５に液 肥が掛かることがなく、液肥の滴り落ちがないようにしているのである。

【００１２】 前記の如く構成されたノズルＮは、図２に示す如く、育苗ハウスＨ内の育苗ベ ッド群１・２毎に配設されており、該ノズルＮ１・Ｎ２は、支持アーム１０・１ ０に取り付けられており、該支持アーム１０・１０は、ウイング形状の移動アー ム９に垂設されており、該移動アーム９は、育苗ハウスＨの天井中央と両側に架 設されているレール１７・１８・１８に載置されて、育苗ベッド１・２上をノズ ルＮ１・Ｎ２が往復しながら灌水できるようにし、その移動速度や灌水量等はコ ントローラＳにより制御されている。

【００１３】 そして、前記コントローラＳ、原水タンク１１、濃縮液タンク１２・１３、原 水ポンプＰ、電動バルブＡ、流量計Ｂ、混入器Ｃ、希釈タンクＴ、動力噴霧機Ｆ 等により構成されている混入ユニットＪは、図６に示す如く、育苗ハウスＨに付 設されている雨よけ庇部１６に設置されている。該雨よけ庇部１６には、他に空 調設備の室外ユニットＵ１や温水タンクＵ２等を設置することができ、該機器類 等が雨ざらしとならず、故障や錆の発生等を防止し、育苗ハウスＨの育苗面積の 有効利用を図っているのである。

【００１４】 以上の如く構成することにより、育苗ハウスＨ内の育苗ベッド群１・２それぞ れに異なる苗を育苗し、該苗毎に適応する種類、濃度の違う液肥及び水を灌水す る場合において、種類もしくは濃度の違う液肥を灌水する場合には、制御システ ムＳを操作し、苗毎に適応する所定の種類もしくは濃度の違う液肥を育苗ベッド 群１・２毎に設けられている希釈タンクＴ１・Ｔ２に溜めておき、該希釈タンク Ｔ１・Ｔ２内の液肥を動力噴霧機Ｆ１・Ｆ２により吸水してノズルＮ１・Ｎ２か ら吐出して、前記育苗ベッド群１・２上の苗毎に灌水することができるのである 。

【００１５】 前記育苗ベッド群１・２の苗に水のみを灌水する場合には、コントローラＳを 操作し、三方向切換弁Ｅ１・Ｅ２を切り換えて、動力噴霧機Ｆ１・Ｆ２により原 水タンク１１の水を直接育苗ベッド群１・２の苗に灌水することができるのであ る。また、コントローラＳを操作し、前記三方向切換弁Ｅ１・Ｅ２の一方をだけ を切り換えることにより、育苗ベッド群１・２の一方の苗に所定の種類もしくは 濃度の違う液肥を、他方の苗に水を灌水することもできるのである。以上のよう に本考案の複数系統の混合液肥灌水装置は、育苗ベッド群１・２の異なる苗毎に 系統別にして、種類もしくは濃度の違う液肥の灌水、水のみの灌水、種類もしく は濃度の違う液肥と水の灌水を行うことができるのである。

【００１６】 なお、本実施例においては、混入ユニットＪは、育苗ベッド群１・２に対する 二系統の混合液肥の灌水を行うべく構成されているが、更にそれ以上の育苗ベッ ドに対応して複数系統の混合液肥の灌水を行うことができるように構成すること も可能であり、また、コントローラＳにより、複数の混入ユニットと育苗ハウス を制御すべく構成し、該混入ユニットと育苗ハウスをコントローラＳによる遠隔 集中管理の構成にすることも可能である。また、例えば、切換バルブＧ１により 二台の育苗ベッドに灌水作業を行い、切換バルブＧ２により一台の育苗ベッドに 灌水作業を行う如く、液肥と水の組み合わせを変えて灌水するようにすることも 可能である。

【００１７】

【考案の効果】

本考案は、以上のように構成したので、以下のような効果を奏するのである。 即ち、育苗ベッドの異なる苗毎に系統別にして、種類もしくは濃度の違う液肥の 灌水、水のみの灌水、種類もしくは濃度の違う液肥と水の灌水を行うことができ るようになり、同一の育苗ハウス内において、育苗ベッド群の異なる苗の生長に 適応した適切な灌水作業を自動制御にて行うことができ、肥料過多や肥料不足を 解消し、健康な苗を育苗することができるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の複数系統の混合液肥灌水装置のシステ
ムブロック図である。

【図２】育苗ハウスＨ内の育苗ベッド群１・２とノズル
Ｎ１・Ｎ２の正面図である。

【図３】苗の生育度と日数の関係を示す図である。

【図４】ノズルＮの斜視図である。

【図５】同じく側面図である。

【図６】育苗ハウスＨに雨よけ庇部１６を付設した状態
を示す斜視図である。

【符号の説明】

１、２ 育苗ベッド群 １１ 原水タンク １２、１３ 濃縮液タンク Ｈ 育苗ハウス Ｊ 混入ユニット Ｎ ノズル Ｔ 希釈タンク

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ａ０１Ｇ 25/16 6852−2Ｂ Ａ０１Ｍ 7/00 Ｆ 8602−2Ｂ (72)考案者 竹村 明 大阪府大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマ ー農機株式会社内 (72)考案者 野口 延浩 大阪府大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマ ー農機株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 育苗ハウス内の作物に薬液や水等を灌水
   する灌水装置において、育苗ハウス内に複数の育苗ベッ
   ド群を設け、該育苗ベッド群と同数のタンク組を設け、
   該タンク組に種類、濃度の異なる液肥を貯水可能とし、
   該液肥をそれぞれの育苗ベッド群に灌水可能に構成した
   ことを特徴とする混合液肥灌水装置。