JPH0566944A - オブジエクト指向コンピユータシステムにおける関係記憶方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】オブジェクト指向コンピュータシステムにおけ
るオブジェクトの事例間の関係を容易に追跡することの
できる方法を提供する。 【構成】本発明の方法によれば、関係情報を記憶するた
めに、関係オブジェクトとして参照される、オブジェク
トの新しい種類を利用する。関係オブジェクトの各事例
は、オブジェクトの事例の対を所定の関係によって関係
づける方法を指定する情報を記憶する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータシステム
に関し、更に詳細には、目的（オブジェクト）指向コン
ピュータシステムにおいて種々なオブジェクト間の関係
を格納し、操作する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】初期のコンピュータシステムは、比較的
少数の操作が大量のデータに加えられる、反復データ処
理タスク用に設計されていた。プログラムすべき問題を
データおよびデータを処理するプログラムに一般的に分
割する。この組織は、初期のコンピュータは、データ
を、データ処理するコードとは異なる記憶の形態で格納
することが非常に多かったので、初期のハードウェア設
計にとって有用であった。たとえば、データはしばしば
パンチカードに格納されたが、データを処理するコード
は中央処理装置の磁気記憶装置に格納されていた。

【０００３】コード化のこの初期の形態は初期のコンピ
ュータ構成に固有の多数の問題を克服しているが、非デ
ータ処理域に現われる更に一般的な問題に関しては最適
から程遠いものであった。特に、プログラムとデータと
の間を分けると、コードが当該データより記憶集約的で
ある多数の問題を効率良くモデル化できない。

【０００４】最近の計算問題の一層複雑な性格を取扱う
ため、いわゆるオブジェクト指向コンパイラが開発され
ている。オブジェクト指向プログラムでは、データおよ
びコードから成る構造を「オブジェクト」と言う原型か
ら作る。オブジェクトの各「事例」は、オブジェクトの
その事例に割当てられたデータ、および当該データにつ
いて動作する一組のプログラムを持つ小さいコンピュー
タであるかのように振舞う。特定の問題の解はオブジェ
クトの数千の事例を含んでいることがある。

【０００５】格納の効率を改善し、システムの論理構造
を改善するには、共通の性質を持つオブジェクトをトリ
ー状構造に組織し、根元のノードにあるオブジェクトに
すべてのオブジェクトに共通の性質を持たせる。トリー
の各後続のレベルは、それらと根元ノードとの間のオブ
ジェクトのすべての性質および幾つかの付加性質を備え
ているオブジェクトから構成される。この形式の関係を
しばしば遺伝（ｉｎｈｅｒｉｔａｎｃｅ）と言う。

【０００６】遺伝により関係づけられているオブジェク
トの事例を除き、オブジェクト指向システムはオブジェ
クトの事例間の関係を処理する一様な方法を備えていな
い。各種ワークステーション、プリンタ、および他の周
辺装置を備えている大形コンピュータネットワークをモ
デル化するシステム、および仕事をそれらに接続されて
いる装置に分配するハブ（ｈｕｂ）を考えよう。オブジ
ェクト指向計算システムでは、ネットワークはシステム
の物理的部分の各々に対するオブジェクトの一つの事例
を作り出すことによりモデル化される。たとえば、各ワ
ークステーションに対するワークステーション・オブジ
ェクトの一事例、各プリンタに対するプリンタ・オプジ
ェクトの一事例、各モデムに対するモデムオブジェクト
の一事例、等々が存在する。完成すべきモデルについ
て、装置間の関係についての情報をシステムに備えなけ
ればならない。

【０００７】オブジェクト指向コードは例題中の装置に
関係する情報を格納するには良く適しているが、装置間
の非遺伝形式の関係を取扱うにはあまり適当でない。従
来技術のオブジェクト指向システムでは、この情報は一
般にオブジェクトの他のオブジェクトとの関係を指定す
るデータを各オブジェクトに入れることにより処理され
ている。この方法には多数の問題点がある。第１に、探
索を行って特定の関係で結ばれているオブジェクトのす
べての事例を見つけ出すことができる場所が一つも存在
しない。特定のハブに取付けられているすべてのプリン
タを見つけ出すには、プログラムはプリンタ・オブジェ
クトのすべての事例を探索して当該事例が当該ハブに取
付けられているか否かを判定しなければならない。この
探索を行うには、プログラムにあるすべてのオブジェク
トが或る共通の形態の接続性データ用記憶装置を備えな
ければならない。接続性が広範に異なる広範囲の種々な
装置を表わすオブジェクトのためのこのような共通の記
憶装置を設計するのは困難である。

【０００８】第２に、このような共通の記憶装置を見つ
けることができたとしても、記憶装置は通常特定の用途
に特有のものである。その結果、新しいそれぞれのシス
テムについて異なる記憶装置システムを見つけなければ
ならない。関係データを管理し且つ格納する任務特有の
記憶装置システムを作り出す必要性からシステムを計画
する費用がかなり増大する可能性がある。

【０００９】第３に、各オブジェクトに対して関係デー
タが規定されると、システムを計画してしまってから予
期しない関係の導入に対する応答を変更するのは困難で
ある。新しい関係を装置の或るサブセット間に導入する
場合を考えよう。たとえば、装置に責任を持つ保守要員
を指定するデータを格納しようとすると仮定する。この
情報に対するオブジェクトの定義に空間が設けられてい
なければ、すべてのオブジェクトに対する定義を変更し
なければならなくなり、保守データを各オブジェクトの
各事例の新しい空間に入れなければならなくなる。この
ためコンピュータコードのかなりの部分を書き直さなけ
ればならなくなる可能性が生ずる。

【００１０】

【発明の目的】幅広く言えば、オブジェクト指向コンピ
ュータシステムにおいて関係を指定するデータを格納
し、管理する改良された方法を提供するのが本発明の目
的である。本発明の他の目的は、オブジェクトの事例間
の関係についての情報を格納する効率良い方法を備えた
オブジェクト指向システムを提供することである。本発
明の別の目的は、或る所定の仕方で関係づけられている
オブジェクトのすべてのデータを検出する一つのデータ
構造を備えている関係データを格納し、操作する方法を
提供することである。本発明の更に他の目的は、多数の
用途を通じて標準化することができる関係を管理する方
法を提供することである。

【００１１】

【発明の概要】本発明は、その中にオブジェクトが規定
されているプログラムをコンパイルする手段を備えてい
るオブジェクト指向ディジタルコンピュータシステムを
動作させる方法から構成されている。オブジェクトの各
事例は、データおよびそのデータで動作するコードを備
えている。その他、オブジェクトの事例は一つ以上の関
係により関係づけられている。本発明は、オブジェクト
の事例を前記関係により関係づける仕方を指定する情報
を格納する方法を備えている。本発明の方法では、デー
タ・オブジェクトという一つ以上のオブジェクトを規定
する。これらデータ・オブジェクトの少くとも二つの事
例を規定するが、当該事例は前記関係により関係づけら
れる。次に関係オブジェクトを規定する。前記関係オブ
ジェクトの各事例は、特定の関係についての情報を記憶
している。前記関係オブジェクトの事例は、前記各関係
に対応して規定される。

【００１２】

【実施例】本発明は、上に説明した従来技術の解法の問
題点を、他のオブジェクトの事例間の関係を記憶する別
のオブジェクトを規定することにより回避している。本
発明が動作する仕方は、図１の１０で示したもののよう
なローカルエリアネットワークを模擬する簡単なプログ
ラムを参照することにより一層容易に理解されるであろ
う。ローカルエリアネットワーク１０は、ファイルサー
バ２０、その中の１２〜１６が代表的なものである多数
のワークステーション、およびその中の１７〜１９が代
表的なものであるプリンタを備えている。保守要員がロ
ーカルエリアネットワーク１０の各構成要素に割当てら
れているとも仮定している。

【００１３】ローカルエリアネットワーク１０は、ワー
クステーション、サーバ、およびプリンタを表わすオブ
ジェクトを規定することによりオブジェクト指向プログ
ラミング言語でモデル化することができる。このような
オブジェクトを図２に示してある。ローカルエリアネッ
トワーク１０の各構成要素は適切な形式のオブジェクト
の事例である。たとえば、プリンタ・オブジェクト３２
は、プリンタ３４〜３６の三つの事例を規定するのに使
用される。この説明の目的で、オブジェクトの事例をそ
の名前に「：Ｎ」を付けることによりオブジェクトから
区別することにする。ここでＮは当該オブジェクトの事
例を同じオブジェクトの他の事例から区別する番号であ
る。同様に、ワークステーションの二つの事例を４３お
よび４４で示してある。これらは、コンピュータ・オブ
ジェクト４２を参照して規定される。

【００１４】オブジェクトの各事例はデータおよびその
データで動作するコンピュータコードの両者から構成さ
れているとして見ることができる。データおよびコード
はオブジェクト指向言語で互いに接続されている。オブ
ジェクトそれ自身は単に、各オブジェクトを構成するの
に使用される原型である。

【００１５】上に注記したように、オブジェクト指向プ
ログラムはオブジェクトの各種事例を規定する効率的な
方法となるが、オブジェクト間の関係を追跡するにはあ
まり適当でない。たとえば、ローカルエリアネットワー
ク１０の各種接続を考えよう。関係「…に接続されてい
る」を接続を記述するのに規定することができる。この
説明の目的で、接続はその上をデータが通るものであ
る。ローカルエリアネットワーク１０のオブジェクトの
各種事例間の接続を図３に示す。各接続をデータが流れ
る方向に矢頭を有する線を接続することにより示す。こ
の図から接続の数および方向をローカルエリアネットワ
ーク１０の各種対象の事例間で広く変えることができる
ことが明らかである。

【００１６】この可変性のため、情報を各オブジェクト
の各事例と共に格納する場合には記憶装置の利用が非能
率になる。各事例は、ローカルエリアネットワーク１０
について認められる接続の最大のリストを格納するのに
充分な記憶装置であることが必要である。事例の中のほ
んのわずかなもののみがこの最大数の接続を持つ。した
がって、かなりな量の格納空間が無駄になる。その他
に、プログラムがリストの大きさを設定する際に誤りを
犯すと、接続を接続のリストが既に一杯になっているオ
ブジェクトの事例に追加するときすべてのオブジェクト
規定を或る時間後に変更しなければならなくなる。

【００１７】ほとんどの実際的問題において、オブジェ
クトの事例の間の多数の関係を追跡しなければならない
ことに注目すべきである。したがって、この従来技術の
方法を利用すれば、各形式の関係について別々のリスト
を保持していなければならない。各リストは悪い事態の
関係を格納するに充分でなければならない。加えて、シ
ステムを新しい関係を追跡しなければならないように変
更すれば、オブジェクトのすべてを新しい関係のリスト
を挿入するようにプログラムしなおさなければならな
い。

【００１８】最後に、この従来技術の方法は特定の関係
により関係づけられているすべての事例を位置決めする
には非常に不充分である。特定の関係により関係づけら
れているオブジェクトのすべての事例を見つけるには、
システム内の各オブジェクトの各事例のリストを探索し
なければならない。この種の探索は典型的な従来技術の
オブジェクト指向プログラミング言語では非常に不充分
である。

【００１９】下記の説明を簡単にするのに、二つの部類
のオブジェクトを規定することにする。第１の部類を
「データ・オブジェクト」と呼ぶことにする。上の例で
は、これらオブジェクトの事例を各装置に関する情報を
格納するのに使用する。たとえば、この部類のオブジェ
クトにはプリンタ、ハブ、およびワークステーションに
対するオブジェクトが含まれる。プリンタ・オブジェク
トの一つの事例は、ネットワーク内の各プリンタについ
て規定される。以下同様。ここに規定されるデータ・オ
ブジェクト指向システム内のオブジェクトと同じであ
る。

【００２０】第２の部類のオブジェクトを関係オブジェ
クトと呼ぶことにする。この部類のオブジェクトの各事
例はデータ・オブジェクトのどの事例が指定の関係によ
り接続されているかを指定する情報を格納するのに使用
される。上に説明した例では、関係オブジェクトの事例
はどの装置がネットワーク内の他の装置に接続されてい
るかを指定することに関する情報を格納するのに使用さ
れる。二つ以上の関係を追跡しなければならない場合に
は、関係オブジェクトの別々の事例を各付加的関係を追
跡するのに使用する。たとえば、関係オブジェクトの第
２の事例がデータ・オブジェクトのどの事例が指定の保
守要員に割当てられているかを指定する情報を格納する
のに使用される。関係オブジェクトの各事例はシステム
内の他のオブジェクトの事例間の精密に一つの関係に関
する情報を格納する。

【００２１】本発明の装置は、オブジェクトの各種事例
間の関係を格納する従来技術の方法を参照して上に説明
した問題点を克服するものである。所定の仕方で関係づ
けられているオブジェクトのすべての事例を見つけるに
は、所定の関係を格納するのに使用された事例に対する
関係オブジェクトのリストを探索するだけでよい。一旦
この事例が見つかると、その事例に格納されている情報
に所定オブジェクトがあるか探す。新しい関係を追跡し
ようとする場合には、プログラムはその新しい関係に対
応する関係オブジェクトの事例を規定するだけでよい。
残りのオブジェクト規定を変更する必要はない。

【００２２】本発明の好適実施例では、関係オブジェク
トは関係を格納するのに使用される２進マトリックスを
備えている。図４は、オブジェクトの四つの事例間の特
定の関係を表わす２進マトリックス４０の用法を示す。
当該四つの事例は、Ａ：１およびＡ：２と記してあるオ
ブジェクトＡの二つの事例、Ｂ：１と記してあるオブジ
ェクトＢの一つの事例、Ｃ：１と記してあるオブジェク
トＣの一つの事例から構成されている。当該関係は隣接
マトリックスの形態を決定することには無関係である。
しかし、以下の説明を簡単にするのに、関係「…にデー
タを送ることができる」を例として使用することにす
る。オブジェクトの事例間の関係の方向性は５１〜５４
で示す矢で示してある。模範的関係の見地から、各矢は
データがそれによって接続されている事例間を流れるこ
とができる方向を示している。Ａ：１とＣ：１との間の
関係は、２頭矢５１で示したように、双方向性である。
したがって、Ａ：１はデータをＣ：１に送ることができ
ると共にＣ：１から受取ることができる。Ｃ：１はデー
タをＢ：１から受取ることができるだけである。

【００２３】２進マトリックス４０は、当該関係を有す
る各事例について一つの列および一つの行を備えてい
る。列および行には当該事例のラベルが付けてある。２
進マトリックスの各エントリは、単一ビットから構成さ
れている。第１の事例がデータを第２の事例に送ること
ができれば、第２の事例の行にある第１の事例の列のエ
ントリは１に設定される。その他の場合には、値が０に
設定される。１に設定されている値については図４で
「ｘ」で示してある。

【００２４】２進マトリックスは、このようなマトリッ
クスはグラフ理論で隣接マトリックスと解釈することが
できるので、好ましい。このようなマトリックスに関す
る広範な理論的および実用的研究の結果をオブジェクト
指向コンピュータコードに迅速に変換することができる
形で利用することができる。したがって、本発明は、グ
ラフ理論から発展した広範な最適化作業に関して引出す
ことができる関係データを処理する均等なシステムを提
供する。隣接マトリックスを格納し且つ操作する方法の
詳細な説明はＤｏｎａｌｄ Ｖ．Ｓｔｅｗａｒｄ著「Ｓ
ｙｓｔｅｍｓＡｎａｌｙｓｉｓ ａｎｄ Ｍａｎａｇｅ
ｍｅｎｔ：Ｓｔｕａｃｔｕｒｅ，Ｓｔｒａｔｅｇｙ，ａ
ｎｄ Ｄｅｓｉｇｎ」、Ｐｅｔｒｏｃｅｌｌｉ Ｂｏｏ
ｋｓ，Ｉｎｃ．，１９８１に記されている。

【００２５】本発明は、特定の関係により関係づけられ
ているオブジェクトの事例間の優先関係を格納する便利
な方法をも提供する。このような情報は２進マトリック
スの各行、または各列、に対する優先関係を規定する数
を格納することにより格納することができる。

【００２６】本発明の好適実施例は特定の関係により関
係づけられているオブジェクトの事例の本性を指定する
情報を格納するのに２進マトリックスを利用している
が、当業者には伝統的テーブルまたはマトリックスをこ
の目的に使用することができることが明らかであろう。
伝統的なマトリックスは各列および行の交点に単一ビッ
ト以外の数を備えている。この数は、二つの事例が当該
関係により関係づけられている仕方に関する他の情報を
格納するのに使用することができる。たとえば、その数
を関係の「強さ」を格納するのに使用することができる
実施例が当業者には明らかであろう。代りに、二つの当
該事例が関係により関係づけられる仕方についての別の
情報を格納し得る区域を指すポインタを使用することが
できる。

【００２７】本発明を「データ・オブジェクト」および
「関係オブジェクト」について説明してきたが、当業者
には関係オブジェクトそれ自身がデータ・オブジェクト
であり得ることが明らかであろう。すなわち、関係オブ
ジェクトの他の事例間の関係を指定する情報を格納して
いる関係オブジェクトを本発明の教示の範囲内で規定す
ることができる。上の説明は明瞭のためオブジェクトを
これら二つの部類に分類したに過ぎない。したがって、
オブジェクト指向計算システムにおける関係を格納する
改良された方法が説明された。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明を用いるこ
とにより、オブジェクト指向コンピュータシステムにお
けるオブジェクトの事例間の関係を容易に追跡すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】簡略コンピュータネットワークを示す図であ
る。

【図２】図１に示すネットワークをオブジェクト指向コ
ンピュータシステムでモデル化する方法を示す図であ
る。

【図３】図１に示すネットワークをモデル化するのに用
いられるオブジェクトの事例間の関係を示す図である。

【図４】関係を記憶するのに２進マトリックスを本発明
が利用する方法を示す図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】１つ以上のデータ・オブジェクトを定義す
   る段階と、 前記データ・オブジェクトの、所定の関係によって関係
   づけられた少なくとも２つの事例を定義する段階と、 関係オブジェクトを定義する段階と、 前記所定の関係によって関係づけられた前記データ・オ
   ブジェクトの全ての事例間の関係を指定するデータを備
   えた前記関係オブジェクトの事例を定義する段階と、 を備えて成る、関係を指定する情報を記憶する方法。