JPH0563563U - 遊泳用足ひれ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダウンキックで足ひれを幅方向に湾曲させ大
きな推力を得る。 【構成】 足ひれ１の羽根部３の幅方向中央部および両
側縁１１の内側に上面から下面方向へ膨出し、かつ、先
端部８から足挿入部２方向に延在する溝１５，１６を設
ける。足ひれ１は硬軟２種類の弾性素材３０，４０を使
用する一体成形品にし、羽根部３の両側部１０には硬質
弾性素材４０を配し、これら両側部１０間には軟質弾性
素材３０を含ませることが望ましい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、遊泳用の足ひれに関する。

【０００２】

【従来の技術】

遊泳に必要な推力を得るために使用する足ひれは、その形状により得られる推 力が大きく変化する。それゆえ、従来、足ひれの形状について種々提案がされて おり、例えば、特公昭５１−３５９９９号公報では足ひれの羽根部を屈曲面と補 助羽根部とリブとによって構成し、水に対する接触面積を広くして多くの水を掻 き捉え、この水を後方へ押し流すことにより大きな推力を得ようとしている。ま た、特公平２−７６７２号公報では、相対的に硬質な材料でできた羽根部分の側 縁に沿ってスリットを設け、このスリットを柔軟な材料で満たすことにより、ス リットにはさまれた羽根の中央部分を、その根元付近を支点にして上下に屈曲可 能にしておき、足の上下運動のいずれからも推力を得ることを目的にしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

これら公知技術によるまでもなく、多くの足ひれ設計者にとって、大きな推力 を得るための設計上の重要ポイントの一つが、いかに多くの水を捉え、いかにこ の水を勢いよく後方へ送りだすかにある、ことは明らかである。

【０００４】 そこで、この考案は、足の上下運動のうち特に下方向への運動、いわゆるダウ ンキック、をするときに水を送り出す大きな力が得られることに着目し、ダウン キック状態にある足ひれにおいて羽根部の下面側（いわゆる足の裏側）が凸とな るように足ひれを幅方向に湾曲させ、湾曲した内側で捉えた水を確実に後方へ送 りだすことにより大きな推力を得ることを課題にしている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この考案が前記課題を解決するために要旨とするところは、以下のとおりであ る。

【０００６】 この考案は、足挿入部と羽根部とからなり、羽根部には両側部において上下面 に突出するリブを有する遊泳用足ひれを前提にしている。かかる足ひれが、羽根 部の少なくとも幅方向中央部と、各側縁の内側とに先端部から足挿入部方向に延 在し、かつ、上面から下面方向へ（いわゆる足の甲側から足の裏側へ）膨出する 溝を有していることが、その特徴である。

【０００７】 好ましい実施態様においては、この足ひれが硬軟２種類の弾性素材の一体成形 品であって、羽根部側縁とその内側に設けた各溝の外側縁との間が硬質弾性素材 であり、これらの溝の外側縁間が軟質弾性素材、または積層状態の硬軟両弾性素 材にしてある。

【０００８】 また、他の好ましい実施態様においては、羽根部側縁と両側部に設けた各溝の 外側縁との間の硬質弾性素材が足挿入部の甲の部分で連結している。

【０００９】 さらにまた、他の好ましい実施態様の一つにおいては硬軟２種類の弾性素材が 色違いにしてある。

【００１０】

【作用】

この足ひれでは、羽根部の幅方向中央部と、両側縁内側とに下面側へ膨出する 溝を設けたから、ダウンキックのときに下面側が凸となるようにその幅方向が湾 曲する。湾曲した内側の水は、ダウンキックとともに羽根部の側方から外側に逃 げることなく、羽根部先端から後方へ勢いよく送り出され、その反作用として強 い推力が得られる。このとき、羽根部の両側部に設けたリブ、および各溝は送り 出す水に整流作用を及ぼし、強い推力を得ることに寄与する。羽根部の両側部は 硬質弾性素材にして変形を抑え、その内側は軟質弾性素材、または両素材を積層 して湾曲を容易にしたから、幅方向中央部を頂点とし、滑らかな曲線からなる湾 曲形状が得られ、かつ、その形状は安定しており送り出す水の流れを乱すことが ない。両側部の硬質弾性素材は甲の部分で連結しており、ダウンキックのときに 羽根部がねじれるのを防止する。硬軟両素材の色を違えることにより、ツートー ンカラーの足ひれが得られる。

【００１１】

【実施例】

この考案の詳細を添付の図に基づいて説明すると、以下のとおりである。

【００１２】 図１は、この考案に係る足ひれ１の斜視図である。足ひれ１は足挿入部２、足 挿入部２から所要角度の広がりをもって延びる羽根部３、バックル５を介して足 挿入部２に着脱可能なゴムベルト４からなっている。羽根部３は左右に側縁１１ を有し、各側縁１１の内側の側部１０には上下面にリブ６が突出し、また両側部 １０間には２条のリブ７が先端部８から足挿入部２に向って延在している。この 足ひれ１は、硬軟２種類の弾性素材を一体成形して足挿入部２と羽根部３とを作 ることが好ましいもので、図示の例では足挿入部２は主に軟質弾性素材を、また 両側部１０には硬質弾性部材４０を配し、これら硬質弾性素材４０が足挿入部２ の甲の部分で連結している。

【００１３】 図２は、羽根部３の断面図であり、その（Ａ）と（Ｂ）とは図１のＸＸ線、Ｙ Ｙ線断面を各々の上面を下向きにして示す。羽根部３は、その幅方向断面におい て中央部と左右側縁１１の内側とに、先端部８から足挿入部２の方向に延在する 溝１５と１６とを有し、中央部の溝１５は両側の溝１６よりもやや短めにしてあ る（図１を併せて参照）。溝１６は外側縁１２と内側縁１３とを有し、外側縁１ ２は側縁１１に対向している。各溝１５，１６は、少なくとも羽根部３の先端部 ８およびその近傍において上面側（足の甲側）から下面側（足の裏側）へ膨出し ているが、足挿入部２に近づくにつれて膨出量を少なく、溝深さを漸減させてあ る。溝１５，１６は軟質素材３０で構成してあり、溝１５と１６とに挟まれた領 域１７は上面側の軟質素材３０と下面側の硬質素材４０とが積層して一体化した 状態にある。この領域１７では、下面側の素材４０の一部を上面側に突出させ、 リブ７にしてある。

【００１４】 図３は、図２の断面がダウンキックのときに湾曲する状態を示す。羽根部３は 、幅方向中央部の溝１５を頂点に滑らかな曲線からなる湾曲形状を有する。

【００１５】 このように羽根部３が湾曲する足ひれ１は、ダウンキックとともに湾曲してそ の内側に捉えた水を溝１５，１６や、リブ６，７により整流しながら先端部８か らその外方へと勢いよく送り出し、大きな推力を得ることができる。このとき、 両側部１０は硬質素材４０で構成することともに、リブ６を有するから、ねじれ その他の変形が少なく、内側の水が羽根部３の側縁１１から外側へ逃げ出るのを 防ぐことができる。両側部１０の硬質素材４０は甲の部分で連結させてあり、そ のねじれ防止を一層効果的にしてある。ダウンキックが完了すると、足ひれ１の 湾曲は自らの弾性復元力により図２のごとき平坦な断面状態に戻るが、この間に 遊泳者の労力を費やすことがなく、しかもこの平坦になった足ひれ１には、遊泳 者の技量に応じアップキックの際に推力を得ることができるという利点がある。

【００１６】 足ひれ１の弾性素材３０，４０には、ゴム、合成ゴム、エラストマー、および その他の熱可塑性合成樹脂等、この分野においての慣用素材から硬軟に所要の差 のあるものを選択して使用する。選択した素材は、例えば射出成形技術の分野に おいて一体成形、または二色成形として知られる成形技術を利用して足ひれに成 形する。弾性素材３０と４０とは色違いにしておけば足ひれ１をツートンカラー に仕上げることができる。

【００１７】 足ひれ１を効果的に湾曲させるための硬軟２種類の弾性素材の使い分け方は、 前記実施例に限らず羽根部３について左右両側部１０を硬質素材４０としておき 、左右の溝１６の外側縁１２間は全体を軟質素材３０にするか、または両素材３ ０，４０を積層したものにすることができる。なお、一般に一体成形は製品コス トの上昇につながるから、それを嫌う場合には足ひれ１に溝１５，１６を設けた うえで、例えば羽根部３の厚みを幅方向において適宜変化させ、所要の湾曲形状 が得られるようにすることもできる。

【００１８】 溝１５，１６は、少なくとも羽根部３の先端部８およびその近傍において上面 から下面方向へ膨出していることが重要であって、このように膨出させることに より羽根部３を速やかに湾曲させることが可能な溝深さを容易に得ることができ 、加えて、その溝形状を安定させておくに足る十分な肉厚を得ることができる。 実施例では溝１５，１６が合計３本である場合を示したが、溝１５と１６との間 に溝を適宜追加することができる。

【００１９】

【考案の効果】

この考案に係る足ひれは、羽根部の先端部から足挿入部方向に延在し、かつ、 上面から下面方向へ膨出する溝を設けたから、ダウンキックのときに、下面側が 凸となるように幅方向中央部を頂点として湾曲する。羽根部の両側部に硬質弾性 素材、および両側部間に軟質弾性素材を配したから、溝の存在と相俟ってダウン キックの開始とともに滑らかな曲線からなる湾曲が速やかに形成される。湾曲し た内側で捉えた水はダウンキックとともに羽根部側方から外側へ逃げることなく 、先端部から後方へ勢いよく送り出すことが可能になり、大きな推力を得ること ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る足ひれの斜視図。

【図２】図１のＸＸ、およびＹＹ線断面を各々（Ａ）、
（Ｂ）で示す断面図。

【図３】図２の（Ａ）、（Ｂ）が湾曲した状態を示す断
面図。

【符号の説明】

１ 足ひれ ２ 足挿入部 ３ 羽根部 ６ リブ ８ 先端部 １０ 側部 １５ 溝 １６ 溝 ３０ 軟質弾性素材 ４０ 硬質弾性素材

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】足挿入部と羽根部とからなり、前記羽根部
   の両側部において上下面にリブが突出する遊泳用足ひれ
   であって、前記羽根部には少なくともその幅方向中央部
   と各側縁の内側とに先端部から足挿入部方向に延在し、
   かつ、前記上面から下面方向へ膨出する溝が設けてある
   ことを特徴とする前記足ひれ。
2. 【請求項２】前記足ひれが硬軟２種類の弾性素材の一体
   成形品であって、前記羽根部各側縁とその内側に設けた
   各溝の外側縁との間が硬質弾性素材により形成され、前
   記両溝の外側縁間が軟質弾性素材により形成されている
   請求項１記載の足ひれ。
3. 【請求項３】前記足ひれが硬軟２種類の弾性素材の一体
   成形品であって、前記羽根部各側縁とその内側に設けた
   各溝の外側縁との間が硬質弾性素材により成形され、前
   記両溝の外側縁間が積層状態の前記硬軟両弾性素材によ
   り形成されている請求項１記載の足ひれ。
4. 【請求項４】前記足ひれが硬軟２種類の弾性素材の一体
   成形品であって、前記羽根部各側縁とその内側に設けた
   各溝の外側縁との間が硬質弾性素材により、前記幅方向
   中央部と各側縁内側に設けた溝が軟質弾性素材により、
   および前記各溝間が積層状態の前記硬軟両弾性素材によ
   り形成されている請求項１記載の足ひれ。
5. 【請求項５】前記羽根部各側縁とその内側に設けた各溝
   の外側縁との間の各硬質弾性素材が、前記足挿入部の甲
   の部分で連結している請求項２、３、４のいずれかに記
   載の足ひれ。
6. 【請求項６】前記硬軟２種類の弾性素材が色違いにして
   ある請求項２、３、４、５のいずれかに記載の足ひれ。