JPH0562639A - 原子配列立体解析方法及びその装置 - Google Patents

原子配列立体解析方法及びその装置

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JPH0562639A
JPH0562639A JP3219605A JP21960591A JPH0562639A JP H0562639 A JPH0562639 A JP H0562639A JP 3219605 A JP3219605 A JP 3219605A JP 21960591 A JP21960591 A JP 21960591A JP H0562639 A JPH0562639 A JP H0562639A
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needle
tip
shaped sample
ions
position detector
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JP3219605A
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Inventor
Toshihiko Yoshimura
敏彦 吉村
Yuichi Ishikawa
雄一 石川
Shunichi Tsuchiya
俊一 土屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】従来のポジションセンシティブアトムプロ−ブ
(3次元アトムプロ−ブ)のイオン検出効率を高め、検
出イオンの位置分解能を向上させるため、針状試料先端
にパルスに同期して電界蒸発しなかった粒子をポストイ
オン化する機構を設け、位置検出器に電子増倍板100
1表面の一部で跳ね返ったイオン1003を再び該電子
増倍板1001へ取り込むためのメッシュ電極1004
を具備した。 【効果】上記方法を適用することにより、針状試料先端
の領域における構成原子を全て立体的に可視化解析でき
るので、ステンレス鋼の脆化に大きく寄与する微量添加
元素の挙動を精度よく定量化することが可能になる。そ
の結果、プラント実機材の脆化度の評価や、余寿命予測
の信頼性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属材料及び半導体材
料の組成分析・解析装置に係り、特に化学プラント及び
発電プラントの高温環境下で使用される含フェライト系
ステンレス鋼の実機材の高温時効脆化損傷の診断と、余
寿命予測に好適な原子配列立体解析方法及びその装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】発電プラントを設計時の寿命である30
年から40年、50年へと長期間高い安全性を確保して
稼働するためのプラント長寿命化が従来より検討されて
きた。発電プラントのバルブやポンプケ−シング、配管
部は、予防保全技術によって確立される評価基準に従っ
材料強度の低下が顕著に認められる場合には、リプレイ
スすなわち取替えを行う予定である。
【0003】このバルブやポンプケ−シングにはオ−ス
テナイト/フェライト2相ステンレスが使用されている
が、300℃付近でプラントが稼働するためいわゆる4
75℃脆性によって脆化することが知られている。これ
は、フェライト相中のFe原子とCr原子が偏析し極微
細なFe−rich相とCr−rich相に2相分離す
ることに起因する。
【0004】従来、上記脆化材を評価する手段として、
深さ方向に1原層毎の組成分析をすることのできる飛行
時間型アトムプロ−ブや、本発明に最も近い約10Åの
空間分解能で極微細相の立体形態や3次元の組成分析が
できるポジションセンシティブアトムプロ−ブが適用さ
れてきた。
【0005】このポジションセンシティブアトムプロ−
ブの基本原理は国際公開WO87/00682に記載さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】発電プラントの実機材
の脆化度を診断するために、実プラントから直接サンプ
リングすることは困難であり、また実機材と同様に30
0℃30年程度の試料を実験室で作成することも時間が
かかり過ぎてしまう。そこで、300℃での現象を推定
するために、400℃以上の温度で加速加熱した材料を
試料として用いるのが通例である。
【0007】しかしながら、前記フェライト相に含有さ
れるSiやMo等の微量添加原子が主構成原子であるF
eやCr、Ni原子の挙動を左右し、400℃と300
℃での脆化機構の解明や、前記加速試験の妥当性、脆化
の活性化エネルギに定量化に多大な影響を与えることが
明かになってきた。
【0008】上記従来技術のうち、最も有効であると考
えられる前記ポジションセンシティブアトムプロ−ブで
も、針状試料先端から取り込むことのできる検出効率が
50%以下と低いため、脆化の定量化に寄与するSiや
Mo等の微量添加原子を見逃す確率が高いという問題が
あった。
【0009】従って、SiやMo等の挙動を定量化する
ためには統計的な手法に頼らざる得ないという問題があ
った。その結果として脆化機構の解明が困難となり、実
機材の脆化度評価や余寿命予測の信頼性が低下するとい
う問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記問題は前記ポジショ
ンセンシティブアトムプロ−ブにおいて、針状試料先端
から脱離する粒子をポストイオン化するために、該針状
試料先端近傍にレ−ザパルスや電子シャワ−を集光する
ポストイオン化機構を設けることにより解決される。
【0011】さらに、前記ポジションセンシティブアト
ムプロ−ブにおいて、位置検出器の一部を構成する電子
増倍板のイオン入射側に正の電場を印加するためのメッ
シュ電極を設けることにより達成される。
【0012】本発明の原子配列立体解析方法及び装置
は、真空容器を有し針状試料と該針状試料に正の定常高
電圧を印加する高圧電源、及び該正の定常高電圧に正の
パルス電圧上乗せするためのパルサ−及びその高圧電源
又はパルスレ−ザを該針状試料先端に照射するためのパ
ルスレ−ザ、該針状試料先端から電界蒸発し飛行するイ
オンの到着位置を検出する位置検出器並びに該飛行イオ
ンの飛行時間を測定する電気タイマ−を具備した分析装
置において次のいずれかの構成を採ることを特徴とす
る。
【0013】(1)前記針状試料先端から脱離した粒子
を該針状試料先端近傍でポストイオン化すること。
【0014】(2)前記位置検出器の一部を構成する電
子増倍板のイオン入射側に正の電場を印加するための電
極配置することにより、該電子増倍板表面で跳ね返った
イオンを再び該電子増倍板に取り込むこと。
【0015】(3)前記針状試料先端から脱離した粒子
を該針状試料先端近傍でポストイオン化する機構を具備
することを特徴とする。
【0016】(4)前記位置検出器の一部を構成する電
子増倍板のイオン入射側に正の電場を印加し該電子増倍
板表面で跳ね返ったイオンを再び該電子増倍板に取り込
むことための電極を具備することを特徴とする。
【0017】(5)上記(1)または(2)において、
前記分析装置がポジションセンシティブアトムプロ−ブ
であること。
【0018】(6)上記(1)において、前記針状試料
先端近傍にパルスレ−ザを集光させることにより、或い
は前記針状試料先端近傍に電子シャワ−を集中させるこ
とによって、該針状試料先端から脱離した粒子をポスト
イオン化すること。
【0019】(7)上記(1)において、前記ポストイ
オン化する粒子が、電界蒸発時に脱離中性原子、選
択蒸発によって表面に残存し前記電気パルスや前記レ−
ザパルスに同期せずDC蒸発したイオン、またはクラ
スタイオンであること。
【0020】(8)上記(3)または(4)において、
前記位置検出器にウエッジストリップ型アノ−ドを備
えたこと、前記位置検出器にCCDカメラを備えたこ
と、前記位置検出器の一部を構成する前記電子増倍板
のイオン入射面のフレ−ムの厚さを増倍された電子が放
出される該電子増倍板の表面のフレ−ムの厚さより小さ
くしたこと、前記イオンの飛行時間と検出位置を取り
込むためのパ−ソナルコンピュ−タを前記位置検出器と
電気タイマ−に接続し、分析後画像処理コンピュ−タで
立体解析し、さらに切替えスイッチにより直接該画像処
理コンピュ−タを該位置検出器と電気タイマ−に接続
し、分析中に該画像処理コンピュ−タで動的に画像処理
すること、または画像処理コンピュ−タを該位置検出
器と電気タイマ−に接続し、分析中に原子配列の立体画
像の動画を該画像処理コンピュ−タのディスプレイ上に
表示することを可能にするソウトウエアを具備するこ
と。
【0021】
【作用】前記ポジションセンシティブアトムプロ−ブに
おいて、前記針状試料先端からレ−ザパルスに同期して
電界蒸発するイオンとともに中性原子が脱離するが、該
中性原子をパルスレ−ザ又は電子シャワ−を照射するこ
とによってポストイオン化され位置検出器に到達するの
で、検出効率が向上する。
【0022】また、選択蒸発によって電気パルスやレ−
ザパルスに同期せず表面に残存し、最終的にはDC蒸発
するイオンをポストイオン化することによっても、検出
効率が向上する。
【0023】さらに前記ポジションセンシティブアトム
プロ−ブにおいて、前記メッシュ電極を設けることによ
って前記電子増倍板で跳ね返ったイオンは前記正の電場
で再び該電子増倍板へ取り込まれる。これにより、該位
置検出器へ到達した入射イオンほぼ100%が検出され
ることになる。
【0024】上記技術を併用することで試料先端の1領
域を構成する原子のうち100%近くが立体可視化解析
される。従って、実機材の時効脆化に影響を与えるSi
やMo等の微量添加原子を直接観察解析できるので、従
来のような統計的手法を用いて該微量添加原子挙動を定
量化する必要がなくなる。その結果、脆化機構の解明が
可能になり、プラント実機材の脆化度の評価や余寿命予
測の精度が向上する。
【0025】
【実施例】図1に本発明の1実施例である原子配列立体
解析装置の概略図を示す。
【0026】測定する試料は、図2に示すような先端の
曲率半径が1000Å以下の鋭い針状試料201であ
る。針状試料201は電解研磨又は化学研磨、場合によ
って収束イオンビ−ムを用いた研磨等によって製作する
ことができる。
【0027】針状試料201はMoル−プ202の中央
にスポットウエルドして固定する。針状試料201をサ
ファイアホルダ101に装着し10~10torr台の真
空チャンバ−102内に導入後、極低温冷凍機のクライ
オヘッド103で約40Kまで冷却する。
【0028】針状試料201に数KVの正のDC高電圧
104を印加し、更に数ナノ秒幅でDC電圧約15%の
パルス電圧105か又は1秒幅のパルスレ−ザ106を
集光し先端に照射すると、先端の表面原子が電界蒸発に
よってイオン化し脱離する。脱離した正のイオンは試料
先端から反発力を受けて放射状に飛行し、位置検出器1
07へ到達する。
【0029】到達したイオンの飛行時間(パルス電圧1
05又はパルスレ−ザ106を照射してから検出器へ到
達するまでの時間)を電気タイマ108で測定するとと
もに到達したイオンの位置を位置検出器107で計測し
両デ−タをデ−タ取り込み用コンピュ−タへ送付する。
ここでDC高電圧104とパルス電圧105又はパルス
レ−ザ106の出力を試料先端から表面原子が1個又は
2個蒸発する程度に制御し、連続計測で1試料に対して
10万個以上のイオン110を取り込む。
【0030】電界蒸発後イオンは等速運動を行い位置検
出器へ到着するのでイオンの飛行速度をv、質量をm、
価数をn、蒸発電圧をVeとすると次式の関係が成り立
つ。
【0031】 (1/2)×mv2=neVe −−−(1) 飛行距離Lは試料先端から位置検出器107までの距離
l、及びイオンが到着した位置と位置検出器の中心との
距離Rで次のように定まる。
【0032】L=√(l2+R2) −−−(2) イオンの飛行時間tは式(1),(2)より t=L/v=√(l2+R2)/√2neVe/m −−−(3) となる。
【0033】式(3)よりイオンの質量電荷比 m/nはm/n=2t2eVe/(l2+R2) −−−(4) となる。
【0034】位置検出器には図3に示すようなウエッジ
ストリップ型アノ−ド301が具備されている。ウエッ
ジストリップ型アノ−ドは、ガラス基板302の上にA
l、又はCrの薄膜を図のような形態でX,Y,Z電極
を真空蒸着したものである。アノ−ドの前面には電子増
倍板(チャンネルプレ−ト)が配置されているので、イ
オンが該電子増倍板に衝突するとチャンネリングによっ
て電子のなだれ現象が起き一個のイオン信号は約100
万倍に増幅された電子線信号となる。
【0035】アノ−ドに該電子線が入射し、X,Y,Z
電極にそれぞれQx,Qy,Qzの電荷が侵入したとす
ると、イオンの検出位置は次式で与えられる。
【0036】 X=2Qx/(Qx+Qy+Qz) −−−(5) Y=2Qy/(Qx+Qy+Qz) −−−(6) 従って電気タイマからのイオンの飛行時間tと位置検出
器からのイオンの検出位置(X,Y)より、デ−タ取り
込み用コンピュ−タ109を用いてイオンの種類m/n
を同定することができる。
【0037】デ−タ取り込み用コンピュ−タ109で検
出順に蓄積したイオンの種類と検出位置を画像処理コン
ピュ−タ111に転送し、試料先端の原子配列を3次元
立体構成する。
【0038】図4は、CCDカメラによる位置検出機構
を備えた原子配列立体解析装置の構成図である。この機
構は、ウエッジストリップ型アノ−ド301の代わりに
螢光スクリ−ン401を設置しCCDカメラ402を真
空中チャンバ−102の外側に配置したものである。
【0039】針状試料の向きを、ウエッジストリップ型
アノ−ド301を具備した位置検出器107からCCD
カメラ402を具備した位置検出器403へ変更する。
電界蒸発したイオンは電子増倍板404(チャンネルプ
レ−ト)へ入射し、増倍されて螢光スクリ−ン401上
で輝点化されてビュ−イングポ−トを通してCCDカメ
ラ402を動作させる。この場合、飛行時間を測定する
ことができないのでイオンの種類を識別することは不可
能であるが、原子の配列を立体的に可視化することがで
きる。
【0040】また検出位置の精度は、ウエッジストリッ
プ型アノ−ド301では10Å程度であったものが約5
Åまで向上するという効果がある。さらにCCDカメラ
402による位置検出の方が計測速度が早くなるので、
測定効率が向上するという効果もある。
【0041】図5はデ−タを取り込みながらオンライン
で原子配列を立体解析することのできる装置の構成図で
ある。切替えスイッチ501により位置検出器107と
制御回路502をデ−タ取り込み用コンピュ−タ109
から画像処理用コンピュ−タ111へ直接接続し、図6
の如く動画が可能なソフトウエアによりその場で画像処
理し、3次元の原子配列601を再構築していく。
【0042】このシステムを採用すると、材料内部にお
いて目的の場所の分析が終了すれば止めることができる
ので、解析時間の大幅な省力化を図ることができるとい
う効果がある。また、デ−タ取り込み用コンピュ−タ1
09を解する分析は、無人でコンピュ−タ制御による自
動分析を行う場合に適する。
【0043】レ−ザを用いた電界蒸発では、試料温度の
短時間で急激な上昇に伴い中性原子もイオンともに脱離
する。中性原子をエキシマレ−ザ光701を集光し先端
から1〜数mm程度の近傍に照射することによってポス
トイオン化し、位置検出器へ取り込むことができる。
【0044】図7はその原理図である。GaAs試料7
02にレ−ザ型アトムプロ−ブによりレ−ザ光703を
照射すると、Ga,Asは1価又は2価のイオンあるい
はクラスタリングを形成して脱離するが、それらととも
にイオン化されない中性の原子704が引き出される。
【0045】中性原子はパルスレ−ザ光によって表面上
でポストイオン化し、表面から反発力を受けて検出器へ
飛行する。またここで、パルスレ−ザの代わりに先端近
傍に電子ビ−ムを照射して中性原子をポストイオン化す
ることもできる。
【0046】電界蒸発させる電気パルスやレ−ザパルス
に同期させてポストイオン化させると、飛行時間を測定
することによって中性原子として表面から脱離した原子
の種類を決定することができる。
【0047】電界蒸発させた針状試料の表面原子の飛行
時間を測定するアトムプロ−ブ分析では、通常表面原子
は種類に関係なく順番に表面から脱離する。
【0048】しかしながら図8に示すようなAlCu合
金801ではAlとCu原子のサイズの相違からAl原
子802の方が電気パルスに同期して電界蒸発し易く、
Cu原子803は表面に残存し最終的に低い価数のイオ
ンとしてパルスに同期せず、DC蒸発してしまう。
【0049】DC蒸発した例えば1価のCuイオンにパ
ルスレ−ザ光804を照射することによってポストイオ
ン化し、Cu2イオン(2価の陽イオン)として下地金
属から脱離させて検出器へ到達させる。中性原子の場合
と同様に電界蒸発させるための電気パルスやレ−ザパル
スに同期させてポストイオン化させると、DC蒸発した
原子の種類を決定することができる。
【0050】レ−ザ型アトムプロ−ブで半導体を分析す
るには、電界蒸発するイオンの一部はクラスタイオンと
して検出される。材料内部の原子配列を完全に立体解析
するためにはクラステイオンを発生させないパルスレ−
ザ条件を見出す必要がある。更に、発生した該クラスタ
イオンをその場で1個毎のイオンに分離する必要があ
る。
【0051】図9は試料先端で発生したクラスタSiイ
オン901をパルスレ−ザ光804で分離しポストイオ
ン化し、1個毎のSiイオンとする場合の原理図であ
る。
【0052】図10に本発明の位置検出機構の構成図を
示す。電子増倍板1001は図の如くチャンネルを起す
ための通常6角形の筒1002を平面上に束ねたもので
あるが、6角形の筒1002を構成するフレ−ムに電界
蒸発したイオンが衝突すると跳ね返ってしまいチャンネ
リングを起さない。このため市販の電子増倍板は入射粒
子の約60%が該6角形に筒1002の中でチャンネリ
ングし増倍されるが、約40%の入射粒子は検出されな
いことになる。
【0053】フレ−ムで跳ね返ったイオンを再び近傍の
6角形の筒1002の中に取り込むために、該電子増倍
板のイオンの入射側にメッシュ電極1004を配置す
る。該電極を用い該電子増倍板の近傍に正の弱い電場を
加えることによって、前記跳ね返ったイオンを該電子増
倍板へ再び引き戻す。
【0054】以上のようにメッシュ電極1004を配置
することにより、入射イオンはほぼ100%検出される
という効果がある。ただし、イオン入射面積の占めるメ
ッシュ電極1004の比率をできる限り抑さえているこ
とと、メッシュ電極1004には正の電圧を印加してい
るために、該メッシュ電極1004に衝突するイオンの
割合は無視できる程小さい。
【0055】前述の如く市販の電子増倍板の検出されな
い領域即ちデッド領域は約40%であるが、図11の如
く該電子増倍板の前記6角形の筒1002にテ−パ11
01を付け、前記フレ−ムの占有面積を減少させること
ができる。これにより、チャンネリングを起す荷電粒子
の割合は約75%まで向上する。
【0056】改良型電子増倍板を図10に示した位置検
出器に採用すると、前記跳ね返るイオン1103の数が
減少するので、前記メッシュ電極1004の占有面積を
さげることができる。その結果さらに入射イオンの検出
効率は100%に近ずくという効果がある。
【0057】図7及び図8,9に示した本発明のポスト
イオン化技術と、図10及び図11に示した本発明の位
置検出器を採用することにより、試料先端の一領域を構
成する全ての原子の種類と配列を調べ、立体的に可視化
することができるという効果がある。
【0058】図12は発電プラントのポンプやバルブケ
−シングに使用されている2相ステンレスの時効脆化材
を従来の3次元アトムプロ−ブで検出した結果(a)
と、同一材料を本発明の原子配列立体解析装置で検出し
た結果(b)である。
【0059】従来の3次元アトムプロ−ブでは鉄原子1
201の第一近接位置に存在する原子のうち、Si原子
1202やMo原子1203は検出されない。これに対
して本発明の原子配列立体解析装置ではSi原子120
2やMo原子1203を漏らさず可視化できる。
【0060】Si原子1202やMo原子1203は時
効脆化に伴うFe−Cr系の相分離速度に大きな影響を
与えるため、時効脆化を精度良く捕らえるためにはSi
原子やMo原子の挙動を正確に把握しなければならな
い。
【0061】従来、微量添加原子の挙動は統計的手法に
よって定量化されてきたが、本発明の原子配列立体解析
装置を用いると統計的な手法によらず直接構成原子の挙
動を観察できるという効果がある。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、材料内部の構成原子を
100%可視化、同定することができるので、発電プラ
ントの実機材である2相ステンレス鋼の475℃脆性に
伴う相分離過程の定量化を精度よく行うことができると
いう効果がある。また、これにより、材料組成の相違に
よる脆化の活性化エネルギの違いを定量化することがで
きるとともに、実機プラント材料の脆化度診断と余寿命
予測を信頼性よく実施できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例である原子配列立体解析装置
の概略図である。
【図2】本発明の原子配列立体解析装置に挿入する針状
試料の概観図である。
【図3】ウエッジストリップ型アノ−ドの構成図であ
る。
【図4】CCDカメラによる位置検出機構を備えた原子
配列立体解析装置の構成図である。
【図5】デ−タを取り込みながらオンラインで原子配列
を立体可視化することのできる分析装置の構成図であ
る。
【図6】動画が可能なソフトウエアによりその場で画像
処理し3次元の原子配列を再構成する際のコンピュ−タ
ディスプレイ状の様子を示す図である。
【図7】中性原子をポストイオン化する場合の原理図で
ある。
【図8】選択蒸発によりパルス電圧やパルスレ−ザに同
期せず残存しDC蒸発するイオンをポストイオン化する
場合の原理図である。
【図9】半導体分析で一部発生するクラスタイオンを分
離しポストイオン化する場合の原理図である。
【図10】本発明の位置検出機構の原理図である。
【図11】検出効率を向上させた改良型電子増倍板の概
略図である。
【図12】2相ステンレス鋼の時効脆化材を従来の3次
元アトムプロ−ブで検出した結果と本発明の原子配列立
体解析装置で検出した結果とを比較した図である。
【符号の説明】
101…サファイアホルダ,102…真空チャンバ−,
103…クライオヘッド,104…DC高電圧,105
…パルス電圧,106,804…パルスレ−ザ光,10
7,403…位置検出器,108…電気タイマ,109
…デ−タ取り込み用コンピュ−タ,110…イオン,1
11…画像処理コンピュ−タ,201…針状試料,20
2…Moル−プ,301…ウエッジストリップ型アノ−
ド,302…ガラス基板,401…螢光スクリ−ン,4
02…CCDカメラ,404…電子増倍板,405…ビ
ュ−イングポ−ト,501…切り替えスイッチ,502
…制御回路,601…3次元の原子配列,701…エキ
シマレ−ザ光,702…GaAs試料,703…レ−ザ
光,704…中性の原子,801…AlCu合金,80
2…Al原子,803…Cu原子,901…クラスタS
iイオン,1001…電子増倍板,1002…6角形の
筒,1003…イオン,1004…メッシュ電極,11
01…テ−パ,1201…鉄原子,1202…Si原
子,1203…Mo原子。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空容器を有し針状試料と該針状試料に正
    の定常高電圧を印加する高圧電源、及び該正の定常高電
    圧に正のパルス電圧上乗せするためのパルサ−及びその
    高圧電源又はパルスレ−ザを該針状試料先端に照射する
    ためのパルスレ−ザ、該針状試料先端から電界蒸発し飛
    行するイオンの到着位置を検出する位置検出器並びに該
    飛行イオンの飛行時間を測定する電気タイマ−を具備し
    た分析装置において、前記針状試料先端から脱離した粒
    子を該針状試料先端近傍でポストイオン化することを特
    徴とする原子配列立体解析方法。
  2. 【請求項2】真空容器を有し針状試料と該針状試料に正
    の定常高電圧を印加する高圧電源、及び該正の定常高電
    圧に正のパルス電圧上乗せするためのパルサ−及びその
    高圧電源又はパルスレ−ザを該針状試料先端に照射する
    ためのパルスレ−ザ、該針状試料先端から電界蒸発し飛
    行するイオンの到着位置を検出する位置検出器並びに該
    飛行イオンの飛行時間を測定する電気タイマ−を具備し
    た分析装置において、前記位置検出器の一部を構成する
    電子増倍板のイオン入射側に正の電場を印加するための
    電極配置することにより、該電子増倍板表面で跳ね返っ
    たイオンを再び該電子増倍板に取り込むことを特徴とす
    る原子配列立体解析方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、前記分析装置
    がポジションセンシティブアトムプロ−ブであることを
    特徴とする原子配列立体解析方法。
  4. 【請求項4】真空容器を有し針状試料と該針状試料に正
    の定常高電圧を印加する高圧電源、及び該正の定常高電
    圧に正のパルス電圧上乗せするためのパルサ−及びその
    高圧電源又はパルスレ−ザを該針状試料先端に照射する
    ためのパルスレ−ザ、該針状試料先端から電界蒸発し飛
    行するイオンの到着位置を検出する位置検出器並びに該
    飛行イオンの飛行時間を測定する電気タイマ−を具備し
    た分析装置において、前記針状試料先端から脱離した粒
    子を該針状試料先端近傍でポストイオン化する機構を具
    備することを特徴とする原子配列立体解析装置。
  5. 【請求項5】真空容器を有し針状試料と該針状試料に正
    の定常高電圧を印加する高圧電源、及び該正の定常高電
    圧に正のパルス電圧上乗せするためのパルサ−及びその
    高圧電源又はパルスレ−ザを該針状試料先端に照射する
    ためのパルスレ−ザ、該針状試料先端から電界蒸発し飛
    行するイオンの到着位置を検出する位置検出器並びに該
    飛行イオンの飛行時間を測定する電気タイマ−を具備し
    た分析装置において、前記位置検出器の一部を構成する
    電子増倍板のイオン入射側に正の電場を印加し該電子増
    倍板表面で跳ね返ったイオンを再び該電子増倍板に取り
    込むことための電極を具備することを特徴とする原子配
    列立体解析装置。
  6. 【請求項6】請求項1において、前記針状試料先端近傍
    にパルスレ−ザを集光させることによって該針状試料先
    端から脱離した粒子をポストイオン化することを特徴と
    する原子配列立体解析方法。
  7. 【請求項7】請求項1において、前記針状試料先端近傍
    に電子シャワ−を集中させることによって該針状試料先
    端から脱離した粒子をポストイオン化することを特徴と
    する原子配列立体解析方法。
  8. 【請求項8】請求項1において、前記ポストイオン化す
    る粒子が電界蒸発時に脱離中性原子であることを特徴と
    する原子配列立体解析方法。
  9. 【請求項9】請求項1において、前記ポストイオン化す
    る粒子が選択蒸発によって表面に残存し前記電気パルス
    や前記レ−ザパルスに同期せずDC蒸発したイオンであ
    ることを特徴とする原子配列立体解析方法。
  10. 【請求項10】請求項1において、前記ポストイオン化
    する粒子がクラスタイオンであることを特徴とする原子
    配列立体解析方法。
  11. 【請求項11】請求項4または5において、前記位置検
    出器にウエッジストリップ型アノ−ドが備わったことを
    特徴とする原子配列立体解析装置。
  12. 【請求項12】請求項4または5において、前記位置検
    出器にCCDカメラが備わったことを特徴とする原子配
    列立体解析装置。
  13. 【請求項13】請求項4または5において、前記位置検
    出器の一部を構成する前記電子増倍板のイオン入射面の
    フレ−ムの厚さを増倍された電子が放出される該電子増
    倍板の表面のフレ−ムの厚さより小さくしたことを特徴
    とする原子配列立体解析装置。
  14. 【請求項14】請求項4または5において、前記イオン
    の飛行時間と検出位置を取り込むためのパ−ソナルコン
    ピュ−タを前記位置検出器と電気タイマ−に接続し、分
    析後画像処理コンピュ−タで立体解析し、さらに切替え
    スイッチにより直接該画像処理コンピュ−タを該位置検
    出器と電気タイマ−に接続し、分析中に該画像処理コン
    ピュ−タで動的に画像処理することを特徴とする原子配
    列立体解析装置。
  15. 【請求項15】請求項4または5において、画像処理コ
    ンピュ−タを該位置検出器と電気タイマ−に接続し、分
    析中に原子配列の立体画像の動画を該画像処理コンピュ
    −タのディスプレイ上に表示することを可能にするソウ
    トウエアを具備することを特徴とする原子配列立体解析
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5716913A (en) * 1995-04-18 1998-02-10 Asahi Denka Kogyo Kabushiki Kaisha Metal working oil composition and method of working metal
JP2006260780A (ja) * 2005-03-15 2006-09-28 Japan Atomic Energy Agency 超短パルスレーザー集光と高電圧印加の併用による針状サンプル表層のイオン化方法、及びこれを使用した針状サンプル表層の分析方法
JP2017512639A (ja) * 2014-03-24 2017-05-25 ザ ユニバーシティ オブ バーミンガム 制御された原子源
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