JPH0562539U - 合わせガラス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】２枚の板ガラス１は、その稜線部分にその長さ
方向に横断面が斜め形状の切り欠き部２を有しており、
この切り欠き部２が対向するように２枚の板ガラス１は
中間膜３を介して貼り合わされている。この２つの対向
する切り欠き部によって、合わせガラス５の端部には横
断面がＶ字状の溝部が設けられる。この溝部にシール材
４が充填されることによって、中間膜３の露出しない合
わせガラスとなる。 【効果】中間膜が露出することなく、この中間膜として
用いられる有機材料の剥離・劣化の防止された合わせガ
ラスを得ることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、合わせガラス、特に建造物の外壁用合わせガラスに関する。

【０００２】

【従来の技術】

合わせガラスは、複数枚の板ガラスを貼り合わせる際に、それぞれの板ガラス 間に中間膜が設けられており、一般にはその中間膜として、ポリビニールブチラ ール（以下ＰＶＢとする）やエチレン−酢酸ビニル共重合体（以下ＥＶＡとする ）等の有機材料が用いられている。しかしながら、これらの有機材料は耐水性に 劣り、中間膜が外気にさらされる合わせガラスの端部では、膜の劣化や剥離が生 じてしまうという欠点を有していた。

【０００３】 そこで、合わせガラスを建造物の外壁用、あるいは窓等に用いる際には、水抜 き等の排水機構のついたサッシに合わせガラス４辺をのみこませて使用したり、 また、美観に富んだサッシレスの建造物の外装用には、例えばStructural Silic one Sealant Glazing 構法（以下ＳＳＧ構法という）等によって施工される際に は、２枚の板ガラスを段違いにして接合した合わせガラスを用いたり、２枚とも 同じ方向に斜面加工した合わせガラスを用いたりしていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

図４は、従来の段違いの合わせガラスの施工例を示す要部断面図である。段違 いの合わせガラス１５の端部において露出している中間膜３を、建造物のコーナ ーにおける施工時にシール材６によって覆ってしまうため、外気にさらされるこ とを防ぐことができる。しかしながら、このシール材６の充填作業は建築現場で の作業となるため、シール材６の充填不良から免れることができず、どうしても 中間膜３への雨水等の侵入が生じてしまうといった欠点を有している。さらに、 この合わせガラス１５の端部は単板になっているため、耐風圧等に関する強度面 の弱さを有している。

【０００５】 また、図５は、従来の斜面加工の合わせガラスの施工例を示す要部断面図であ る。この場合もやはり、合わせガラス２５の端部において露出している中間膜３ を、建造物のコーナーにおける施工時にシール材４によって覆ってしまうため、 外気にさらされることを防ぐことができるが、このシール材６の充填作業は建築 現場での作業となるため、シール材６の充填不良が生じてしまうといった欠点を 有している。

【０００６】 本考案の目的は、従来技術が有していた前述の欠点を解決しようとするもので あり、従来知られていなかった合わせガラスを新規に提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、前述の課題を解決すべくなされたものであり、複数の板ガラスが中 間膜を介して貼り合わされた合わせガラスにおいて、各々の板ガラスは、その稜 線部分にその長さ方向に沿って形成された断面斜め形状の切り欠き部を有すると ともに、前記切り欠き部を有する面側同士を対向させて貼り合わされ、貼り合わ された板ガラスの稜線部分の前記切り欠き部同士により構成されたＶ字状の溝部 にはシール材が充填されていることを特徴とする合わせガラスを提供するもので ある。

【０００８】 以下、図面に基づいて本考案を詳述することとする。 図１は、本考案の１例を示す要部断面図であり、２枚の板ガラス１はその稜線 部分にその長さ方向に沿って形成された横断面が斜め形状の切り欠き部２を有し ており、この切り欠き部２が対向するように２枚の板ガラス１は中間膜３を介し て貼り合わされている。この２つの対向する切り欠き部によって、合わせガラス ５の端部には横断面がＶ字状の溝部が形成される。この溝部にシール材４が充填 されることによって、中間膜３の露出しない合わせガラスが得られる。

【０００９】 ここで、本考案における板ガラス１の片側の面の稜線部分にその長さ方向にあ る切り欠き部２は、板ガラス１の横断面形状が斜めになるように適宜研削、面取 されて設けられる。さらに、この切り欠き部２が対向するように板ガラス１を合 わせるため、合わせガラス５の端部の断面は、中央がへこんだＶ字状になり、し たがって、このへこんだ中央部において中間膜３が外気に触れるため、ここにシ ール材４を充填することによって、中間膜３は、板ガラス１とシール材４によっ て囲まれて外に露出しない。さらに、図１では２枚の板ガラス１によって合わせ ガラス５を構成しているが、３枚以上の場合にも、内側になる板ガラスの両面の 稜線部分に切り欠き部を設けることによって、中間膜の露出しない合わせガラス を得ることができる。

【００１０】 また、本考案におけるシール材４は、建築現場において充填されるのではなく 、２枚の板ガラスの合わせ工程の後、一連の作業として工場内において充填する ことができ、施工前から中間膜の露出していない合わせガラスとして建築現場に 向けて搬出することができる。このシール材４としては、シリコーン樹脂、ブチ ルゴム、ウレタン樹脂等を用いることができ、特に、シリコーン樹脂が好ましく 用いられる。さらに、本考案における中間膜３としては、ＰＶＢ系樹脂、ＥＶＡ 系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等の有機材料が用いられ、特に 強靭性、耐貫通性に優れている点で、ＰＶＢ、ＥＶＡもしくはポリウレタン系樹 脂が好ましく用いられる。

【００１１】

【実施例】

図１は、本考案の１例を示す合わせガラスの要部断面図である。 ２枚の板ガラス１には、その稜線部分にその長さ方向に横断面が斜め形状の切 り欠き部２が設けられ、２枚の板ガラス１はこの切り欠き部２が対向するように 、ＥＶＡからなる中間膜３を介して貼り合わされた。この対向する２枚の板ガラ ス１の切り欠き部２によって、合わせガラス５の端部には横断面がＶ字状の溝部 が設けられた。この溝部には、シリコーン樹脂からなるシール材４が充填され、 中間膜３が板ガラス１とシール材４によって囲まれた、外に露出しない合わせガ ラス５を得ることができた。

【００１２】 図２は、本考案の合わせガラスを用いた施工例を示す要部断面図であり、建造 物のコーナー部が合わせガラスによって形成されたものである。建築現場におい て、前記のごとく得られた合わせガラス５を２枚用い、一方の合わせガラス５ａ の端部の合わせガラス表面に、もう一方の合わせガラス５ｂの端部の溝部を埋め たシール材４のあるエッジ面を、現場施工用のシリコーン樹脂からなるシール材 ６によって接合し、建造物のコーナー部を中間膜３の露出しない合わせガラス５ によって構築することができた。

【００１３】 図３は、本考案の合わせガラスを用いた別の施工例を示す要部断面図であり、 建造物の外壁が合わせガラスによってＳＳＧ構法を用いて形成されたものである 。建築現場において、前記のごとく得られた合わせガラス５を２枚用い、お互い の、端部の溝部を埋めたシール材４のあるエッジ面を、現場施工用のシリコーン 樹脂からなるシール材６によって接合し、さらに、ＳＳＧ構法用のシリコーン樹 脂からなるシール材７によって建物躯体８に固定支持し、建造物の外壁を中間膜 ３の露出しない合わせガラス５によって構築することができた。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案による合わせガラスによれば、合わせガラスの端 部にＶ字状の溝部が設けられており、この溝部にシール材が充填されるため、中 間膜が露出することなく、この中間膜として用いられる有機材料の剥離・劣化の 防止された合わせガラスを得ることができる。

【００１５】 また、この合わせガラスのＶ字状の溝部にシール材を充填する作業は工場内で 行うことができるものであるため、建築現場での作業のように充填不良をもたら すこともなく、完成した合わせガラスを現場に運び込んで取りつけるだけなので 、これまでの単板ガラスの施工と同様の方法によって容易に建造物に取りつける ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の１例を示す合わせガラスの要部断面図

【図２】本考案の合わせガラスを用いた施工例を示す要
部断面図

【図３】本考案の合わせガラスを用いた施工例を示す要
部断面図

【図４】従来の合わせガラスを用いた施工例を示す要部
断面図

【図５】従来の合わせガラスを用いた施工例を示す要部
断面図

【符号の説明】

１ 板ガラス ２ 切り欠き部 ３ 中間膜 ４ シール材 ５ 合わせガラス ６ 現場施工用のシール材 ７ ＳＳＧ構法用のシール材 ８ 建物躯体 １１ 板ガラス １５ 段違いの合わせガラス ２１ 板ガラス ２５ 斜面加工の合わせガラス

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の板ガラスが中間膜を介して貼り合わ
   された合わせガラスにおいて、各々の板ガラスは、その
   稜線部分にその長さ方向に沿って形成された断面斜め形
   状の切り欠き部を有するとともに、前記切り欠き部を有
   する面側同士を対向させて貼り合わされ、貼り合わされ
   た板ガラスの稜線部分の前記切り欠き部同士により構成
   されたＶ字状の溝部にはシール材が充填されていること
   を特徴とする合わせガラス。