JPH0561995A - 多相交流回路における電磁場解析方法 - Google Patents
多相交流回路における電磁場解析方法Info
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- JPH0561995A JPH0561995A JP24527691A JP24527691A JPH0561995A JP H0561995 A JPH0561995 A JP H0561995A JP 24527691 A JP24527691 A JP 24527691A JP 24527691 A JP24527691 A JP 24527691A JP H0561995 A JPH0561995 A JP H0561995A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 三相誘導モーター、三相同期モーター、三相
変圧器等の多相交流電気機器を商用電力系統等の多相交
流電圧源で駆動する場合の電磁場を解析する。 【構成】 誘導性負荷素子ZL1〜ZL3を流れる互いに独
立した2個の線電流IR 及びIT に関し、閉回路1及び
2に夫々キルヒホッフの第二法則を適用することによ
り、各誘導性負荷素子ZL1〜ZL3において解析しようと
する電磁場のベクトルポテンシャルで規定される各誘導
性負荷素子ZL1〜ZL3における逆起電力jωψR 、jω
ψT 、jωψS を含む回路方程式をたて、従来の励磁電
流の代わりに、これらの線電流IR 及びIT を未知変数
として用いて電磁場を解析する。 【効果】 交流回路が互いに独立していないために従来
は解析不可能であった多相交流回路の電磁場解析が可能
となる。
変圧器等の多相交流電気機器を商用電力系統等の多相交
流電圧源で駆動する場合の電磁場を解析する。 【構成】 誘導性負荷素子ZL1〜ZL3を流れる互いに独
立した2個の線電流IR 及びIT に関し、閉回路1及び
2に夫々キルヒホッフの第二法則を適用することによ
り、各誘導性負荷素子ZL1〜ZL3において解析しようと
する電磁場のベクトルポテンシャルで規定される各誘導
性負荷素子ZL1〜ZL3における逆起電力jωψR 、jω
ψT 、jωψS を含む回路方程式をたて、従来の励磁電
流の代わりに、これらの線電流IR 及びIT を未知変数
として用いて電磁場を解析する。 【効果】 交流回路が互いに独立していないために従来
は解析不可能であった多相交流回路の電磁場解析が可能
となる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、起電力と内部インピー
ダンスが既知の多相交流電源により駆動される誘導性負
荷における電磁場を解析する方法に関し、例えば、三相
誘導モーター、三相同期モーター、三相変圧器等の多相
交流電気機器を商用電力系統等の多相交流電圧源で駆動
する場合の電磁場解析に適用して好適なものである。
ダンスが既知の多相交流電源により駆動される誘導性負
荷における電磁場を解析する方法に関し、例えば、三相
誘導モーター、三相同期モーター、三相変圧器等の多相
交流電気機器を商用電力系統等の多相交流電圧源で駆動
する場合の電磁場解析に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】交流電磁場の磁束密度分布を求めるため
の基礎方程式は、一般に、次式〔数1〕で与えられる
の基礎方程式は、一般に、次式〔数1〕で与えられる
【0003】
【数1】
【0004】この〔数1〕中、頭に矢印記号の付いた文
字は、全て、x、y、z成分を有するベクトルである
(以下同様。但し、明細書の文章中では、この頭の矢印
記号は省略する。)。また、A:ベクトルポテンシャ
ル、φ:スカラーポテンシャル、J0 :励磁電流密度、
Je :渦電流密度、B:磁束密度、σ:導電率、ν:磁
気抵抗率、ω:角周波数、j:虚数単位である。なお、
単位系は、国際単位系(SI)を用いるものとする。こ
れらの物理量のうち、ベクトルポテンシャルA、スカラ
ーポテンシャルφ、励磁電流密度J0、渦電流密度Je
及び磁束密度Bは、全て、座標(x,y,z)及び時間
tの関数である。また、電磁的物性値σとνは夫々テン
ソル量であり、3×3の行列として表現される。
字は、全て、x、y、z成分を有するベクトルである
(以下同様。但し、明細書の文章中では、この頭の矢印
記号は省略する。)。また、A:ベクトルポテンシャ
ル、φ:スカラーポテンシャル、J0 :励磁電流密度、
Je :渦電流密度、B:磁束密度、σ:導電率、ν:磁
気抵抗率、ω:角周波数、j:虚数単位である。なお、
単位系は、国際単位系(SI)を用いるものとする。こ
れらの物理量のうち、ベクトルポテンシャルA、スカラ
ーポテンシャルφ、励磁電流密度J0、渦電流密度Je
及び磁束密度Bは、全て、座標(x,y,z)及び時間
tの関数である。また、電磁的物性値σとνは夫々テン
ソル量であり、3×3の行列として表現される。
【0005】この〔数1〕の解析対象領域が交流電流源
で駆動される場合には、励磁電流密度J0 は与えられた
ものとして扱い、この〔数1〕の第1式〜第3式を連立
して解いてベクトルポテンシャルAとスカラーポテンシ
ャルφを求めた後、〔数1〕の第4式から磁束密度Bを
求める。この解析は、通常、有限要素法を用いて行われ
る。
で駆動される場合には、励磁電流密度J0 は与えられた
ものとして扱い、この〔数1〕の第1式〜第3式を連立
して解いてベクトルポテンシャルAとスカラーポテンシ
ャルφを求めた後、〔数1〕の第4式から磁束密度Bを
求める。この解析は、通常、有限要素法を用いて行われ
る。
【0006】ところが、〔数1〕の解析対象領域が交流
電圧源で駆動される場合には、ベクトル量である励磁電
流密度J0 も未知変数となるので、このままでは〔数
1〕を解くことはできない。そこで、この場合には、交
流電圧源から供給される線電流I0 を用い、励磁電流密
度J0 を与える導体コイルにおける関係式、
電圧源で駆動される場合には、ベクトル量である励磁電
流密度J0 も未知変数となるので、このままでは〔数
1〕を解くことはできない。そこで、この場合には、交
流電圧源から供給される線電流I0 を用い、励磁電流密
度J0 を与える導体コイルにおける関係式、
【0007】
【数2】
【0008】を使って、本来はベクトル量である励磁電
流密度J0 の代わりにスカラー量である線電流I0 を未
知変数として用いる。但し、nc :導体コイルの巻き線
数、Sc :導体コイルの断面積である。
流密度J0 の代わりにスカラー量である線電流I0 を未
知変数として用いる。但し、nc :導体コイルの巻き線
数、Sc :導体コイルの断面積である。
【0009】そして、図3に示すように、この線電流I
0 に関し、この交流回路の回路方程式である次式〔数
3〕をたてる。
0 に関し、この交流回路の回路方程式である次式〔数
3〕をたてる。
【0010】
【数3】
【0011】ここで、V0 :電源の起電力、R:電源部
の内部抵抗、L:電源部のインダクタンス、C:電源部
のキャパシタンスであり、電源部の内部インピーダンス
Z=R+j(ωL−1/ωC)である。また、R′:導
体コイルZL における負荷抵抗、ψ:導体コイルZL に
鎖交する磁束であり、jωψが導体コイルZL の負荷に
よる逆起電力を与える。そして、磁束ψは、この導体コ
イルZL において誘導される電磁場のベクトルポテンシ
ャルAを用いて、次式〔数4〕で表される。
の内部抵抗、L:電源部のインダクタンス、C:電源部
のキャパシタンスであり、電源部の内部インピーダンス
Z=R+j(ωL−1/ωC)である。また、R′:導
体コイルZL における負荷抵抗、ψ:導体コイルZL に
鎖交する磁束であり、jωψが導体コイルZL の負荷に
よる逆起電力を与える。そして、磁束ψは、この導体コ
イルZL において誘導される電磁場のベクトルポテンシ
ャルAを用いて、次式〔数4〕で表される。
【0012】
【数4】
【0013】但し、この〔数4〕における積分は、導体
コイルZL の線路に沿った線積分である。
コイルZL の線路に沿った線積分である。
【0014】そこで、〔数2〕のJ0 を〔数1〕の第1
式に代入して、未知変数J0 をI0 に変換し、この〔数
1〕の第1式〜第3式並びに〔数3〕及び〔数4〕を連
立して解くと、線電流I0 、ベクトルポテンシャルA及
びスカラーポテンシャルφを夫々求めることができ、そ
の結果、〔数1〕の第4式から磁束密度Bを求めること
ができる。
式に代入して、未知変数J0 をI0 に変換し、この〔数
1〕の第1式〜第3式並びに〔数3〕及び〔数4〕を連
立して解くと、線電流I0 、ベクトルポテンシャルA及
びスカラーポテンシャルφを夫々求めることができ、そ
の結果、〔数1〕の第4式から磁束密度Bを求めること
ができる。
【0015】上述した回路方程式〔数3〕は、独立した
交流回路であれば、原理的には、幾つでも増やすことが
でき、例えば、図4に示すような2回路の場合でも、各
々の回路に〔数3〕の回路方程式をたてれば、解析領域
Pの電磁場解析を行うことができる。
交流回路であれば、原理的には、幾つでも増やすことが
でき、例えば、図4に示すような2回路の場合でも、各
々の回路に〔数3〕の回路方程式をたてれば、解析領域
Pの電磁場解析を行うことができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
三相交流回路における星形結線の場合のように、交流回
路が互いに独立していない場合には、上述した方法をそ
のまま適用することができない場合が殆どであり、従っ
て、そのような場合には、従来、その解析を行うことは
できなかった。このため、例えば、三相誘導モーター等
の三相交流電気機器を商用電力系統等の三相交流電圧源
で駆動する場合のように、それらの電気機器の実使用状
態に近い状態での解析を行うことは従来できなかった。
三相交流回路における星形結線の場合のように、交流回
路が互いに独立していない場合には、上述した方法をそ
のまま適用することができない場合が殆どであり、従っ
て、そのような場合には、従来、その解析を行うことは
できなかった。このため、例えば、三相誘導モーター等
の三相交流電気機器を商用電力系統等の三相交流電圧源
で駆動する場合のように、それらの電気機器の実使用状
態に近い状態での解析を行うことは従来できなかった。
【0017】そこで、本発明の目的は、上記のような多
相交流回路における電磁場解析を常に可能とする解析方
法を提供することである。
相交流回路における電磁場解析を常に可能とする解析方
法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、起電力と内部インピーダンスが既知の
多相交流電源(相数をnとする。)に接続されて、この
多相交流電源により駆動される誘導性負荷における電磁
場を解析する方法において、前記多相交流電源と前記誘
導性負荷とで形成される多相交流回路の中の(n−1)
個の異なる閉回路部分に夫々キルヒホッフの第二法則を
適用して、前記多相交流電源から前記誘導性負荷に供給
される線電流のうちの互いに独立な(n−1)個の線電
流に関し、前記誘導性負荷を、その誘導性負荷部分にお
いて解析しようとする電磁場のベクトルポテンシャルで
規定される逆起電力として含む(n−1)個の回路方程
式をたて、これらの回路方程式を用いて電磁場解析を行
う。
に、本発明では、起電力と内部インピーダンスが既知の
多相交流電源(相数をnとする。)に接続されて、この
多相交流電源により駆動される誘導性負荷における電磁
場を解析する方法において、前記多相交流電源と前記誘
導性負荷とで形成される多相交流回路の中の(n−1)
個の異なる閉回路部分に夫々キルヒホッフの第二法則を
適用して、前記多相交流電源から前記誘導性負荷に供給
される線電流のうちの互いに独立な(n−1)個の線電
流に関し、前記誘導性負荷を、その誘導性負荷部分にお
いて解析しようとする電磁場のベクトルポテンシャルで
規定される逆起電力として含む(n−1)個の回路方程
式をたて、これらの回路方程式を用いて電磁場解析を行
う。
【0019】
【作用】以下、本発明の作用を、三相交流の星形結線の
場合を例にとって説明する。
場合を例にとって説明する。
【0020】図1に示すように、誘導性負荷として3個
の誘導性負荷素子ZL1〜ZL3が星形に結線されており、
電源の内部インピーダンス及び各誘導性負荷素子ZL1〜
ZL3の負荷抵抗が三相でバランスしている場合を考え
る。この時、説明を簡単にするために、既述した〔数
3〕において、電源の内部インピーダンスに誘導性負荷
の負荷抵抗を加えたものを電源の内部インピーダンスZ
として取り扱う。即ち、
の誘導性負荷素子ZL1〜ZL3が星形に結線されており、
電源の内部インピーダンス及び各誘導性負荷素子ZL1〜
ZL3の負荷抵抗が三相でバランスしている場合を考え
る。この時、説明を簡単にするために、既述した〔数
3〕において、電源の内部インピーダンスに誘導性負荷
の負荷抵抗を加えたものを電源の内部インピーダンスZ
として取り扱う。即ち、
【0021】 Z=R+R′+j(ωL−1/ωC) …(1)
【0022】である。
【0023】図1において、まず、電位VR と電位VT
との間で形成される閉回路1にキルヒホッフの第二法則
を適用すると、
との間で形成される閉回路1にキルヒホッフの第二法則
を適用すると、
【0024】 ZIR −ZIT +jωψR −jωψT =VR −VT …(2)
【0025】が得られる。一方、電位VR と電位VS と
の間で形成される閉回路2にキルヒホッフの第二法則を
適用すると、
の間で形成される閉回路2にキルヒホッフの第二法則を
適用すると、
【0026】 ZIR +Z(IR +IT )+jωψR −jωψS =VR −VS …(3)
【0027】が得られる。
【0028】これらの(2)式及び(3)式を整理する
と、
と、
【0029】 3ZIR +jω(2ψR −ψT −ψS )=2VR −VT −VS …(4)
【0030】 3ZIT +jω(2ψT −ψR −ψS )=2VT −VR −VS …(5)
【0031】が得られる。
【0032】そこで、本発明においては、これらの
(4)式と(5)式を、互いに独立な線電流IR とIT
に関する回路方程式として用いる。即ち、(4)式で表
される第1の回路では、誘導性負荷素子ZL1〜ZL3にお
いて解析しようとする全導体を解析対象に指定(但し、
磁束ψにマイナス符号が付いているT相及びS相の導体
は、その方向を逆方向に指定)する。この回路の未知変
数はIR で、電源の内部インピーダンスは3Z、R相に
相当する導体コイルの巻き線数は実際の2倍とし、電源
の起電力として2VR −VT −VS を複素数でコンピュ
ータに入力する。一方、(5)式で表される第2の回路
でも、解析対象として全導体を第1の回路とダブって指
定し、今度は、R相及びS相の導体を逆方向にし、その
他は、第1の回路の場合と同様に、(5)式に従い、各
値を設定して、コンピュータに入力する。そして、これ
らの(4)式及び(5)式と、既述した〔数1〕、〔数
2〕及び〔数4〕を用い、解析対象である各導体の電磁
場解析を、例えば有限要素法を用いて行う。
(4)式と(5)式を、互いに独立な線電流IR とIT
に関する回路方程式として用いる。即ち、(4)式で表
される第1の回路では、誘導性負荷素子ZL1〜ZL3にお
いて解析しようとする全導体を解析対象に指定(但し、
磁束ψにマイナス符号が付いているT相及びS相の導体
は、その方向を逆方向に指定)する。この回路の未知変
数はIR で、電源の内部インピーダンスは3Z、R相に
相当する導体コイルの巻き線数は実際の2倍とし、電源
の起電力として2VR −VT −VS を複素数でコンピュ
ータに入力する。一方、(5)式で表される第2の回路
でも、解析対象として全導体を第1の回路とダブって指
定し、今度は、R相及びS相の導体を逆方向にし、その
他は、第1の回路の場合と同様に、(5)式に従い、各
値を設定して、コンピュータに入力する。そして、これ
らの(4)式及び(5)式と、既述した〔数1〕、〔数
2〕及び〔数4〕を用い、解析対象である各導体の電磁
場解析を、例えば有限要素法を用いて行う。
【0033】なお、この三相バランスの例において、誘
導性負荷素子ZL1〜ZL3が同一の構成で、且つ、電源側
も星形結線の場合には、電源側と負荷側の星形結線の中
性点を互いに結んだ回路を考えることにより、回路方程
式をもう1つ作ることができる。従って、この場合に
は、独立した交流回路が3つ存在すると仮定することに
より、例外的に、従来の方法でも解析を行うことができ
る。但し、実際には、電源側の構成が不明な場合が殆ど
であり、また、誘導性負荷素子が同一構成でない場合
や、後述するように三相がアンバランスな場合には、従
来の方法では全く解析を行うことはできない。
導性負荷素子ZL1〜ZL3が同一の構成で、且つ、電源側
も星形結線の場合には、電源側と負荷側の星形結線の中
性点を互いに結んだ回路を考えることにより、回路方程
式をもう1つ作ることができる。従って、この場合に
は、独立した交流回路が3つ存在すると仮定することに
より、例外的に、従来の方法でも解析を行うことができ
る。但し、実際には、電源側の構成が不明な場合が殆ど
であり、また、誘導性負荷素子が同一構成でない場合
や、後述するように三相がアンバランスな場合には、従
来の方法では全く解析を行うことはできない。
【0034】図2に、電源の内部インピーダンスがアン
バランスな場合を示す。但し、負荷抵抗は、内部インピ
ーダンスに加えている
バランスな場合を示す。但し、負荷抵抗は、内部インピ
ーダンスに加えている
【0035】この場合には、閉回路1におけるキルヒホ
ッフの第二法則の式は、
ッフの第二法則の式は、
【0036】 ZR IR −ZT IT +jωψR −jωψT =VR −VT …(6)
【0037】となり、閉回路2におけるキルヒホッフの
第二法則の式は、
第二法則の式は、
【0038】 ZR IR +ZS (IR +IT )+jωψR −jωψS =VR −VS …(7)
【0039】となる。
【0040】そこで、(6)式×ZS +(7)式×ZT
から、
から、
【0041】 (ZR ZS +ZS ZT +ZT ZR )IR +(ZS +ZT )jωψR −ZS jωψT −ZT jωψS =(ZS +ZT )VR −ZS VT −ZT VS …(8)
【0042】また、(6)式×(ZR +ZS )−(7)
式×ZR から、
式×ZR から、
【0043】 −(ZR ZS +ZS ZT +ZT ZR )IT +ZS jωψR +ZR jωψS −(ZR +ZS )jωψT =ZS VR +ZR VS −(ZR +ZS )VT …(9)
【0044】が得られる。(8)式をZS で割り、
(9)式をZR で割ると、第1の回路の回路方程式とし
て、
(9)式をZR で割ると、第1の回路の回路方程式とし
て、
【0045】 (ZR +ZT +ZR ZT /ZS )IR +(1+ZT /ZS )jωψR −jωψT −(ZT /ZS )jωψS =(1+ZT /ZS )VR −VT −(ZT /ZS )VS …(10)
【0046】また、第2の回路の回路方程式として、
【0047】 (ZT +ZS +ZS ZT /ZR )IT −(ZS /ZR )jωψR −jωψS +(1+ZS /ZR )jωψT =−(ZS /ZR )VR −VS +(1+ZS /ZR )VT …(11)
【0048】が得られる。この第1の回路においては、
解析対象として全導体を指定(但し、ψにマイナス符号
が付いている場合は、方向が逆)、電源の内部インピー
ダンスはZR +ZT +ZR ZT /ZS 、R相に相当する
導体の巻き線数を(1+ZT /ZS )倍、S相に相当す
る導体の巻き線数を(ZT /ZS )倍する。また、電源
の起電力は(1+ZT /ZS )VR −VT −(ZT /Z
S )VS である。第2の回路についても同様である。
解析対象として全導体を指定(但し、ψにマイナス符号
が付いている場合は、方向が逆)、電源の内部インピー
ダンスはZR +ZT +ZR ZT /ZS 、R相に相当する
導体の巻き線数を(1+ZT /ZS )倍、S相に相当す
る導体の巻き線数を(ZT /ZS )倍する。また、電源
の起電力は(1+ZT /ZS )VR −VT −(ZT /Z
S )VS である。第2の回路についても同様である。
【0049】なお、以上の説明は三相交流の星形結線の
場合であるが、本発明の方法は、他の結線、例えば環状
結線の場合にも適用が可能である。また、交流の相数は
三相に限られないことは言うまでもない。
場合であるが、本発明の方法は、他の結線、例えば環状
結線の場合にも適用が可能である。また、交流の相数は
三相に限られないことは言うまでもない。
【0050】このように、本発明の解析方法によれば、
n相交流回路中の(n−1)個の異なる閉回路部分に夫
々キルヒホッフの第二法則を適用して、n相交流電源か
ら誘導性負荷に供給される線電流のうちの互いに独立な
(n−1)個の線電流に関し、各誘導性負荷部分を、そ
の誘導性負荷部分において解析しようとする電磁場のベ
クトルポテンシャルで規定される逆起電力として含む
(n−1)個の回路方程式をたて、これらを用いて電磁
場解析を行うようにしているので、多相交流回路でn個
の互いに独立な交流回路を仮定できない場合でも、例え
ば有限要素法を用いて、その電磁場解析を行うことがで
きる。
n相交流回路中の(n−1)個の異なる閉回路部分に夫
々キルヒホッフの第二法則を適用して、n相交流電源か
ら誘導性負荷に供給される線電流のうちの互いに独立な
(n−1)個の線電流に関し、各誘導性負荷部分を、そ
の誘導性負荷部分において解析しようとする電磁場のベ
クトルポテンシャルで規定される逆起電力として含む
(n−1)個の回路方程式をたて、これらを用いて電磁
場解析を行うようにしているので、多相交流回路でn個
の互いに独立な交流回路を仮定できない場合でも、例え
ば有限要素法を用いて、その電磁場解析を行うことがで
きる。
【0051】
【実施例】以下、本発明を三相誘導モーターのモデル解
析に適用した実施例につき説明する。
析に適用した実施例につき説明する。
【0052】図5は、本発明の解析方法を適用した三相
誘導モーターのモデルの全体概略斜視図である。解析に
際しては、下面を自然境界面、上面及び側面を固定境界
面とし、要素数1080、節点数1355の有限要素法
を用いて解析を行った。物性値としては、比透磁率を
1、周波数を60〔Hz〕とした。なお、導電率は、内
部抵抗に含まれるので零とした。
誘導モーターのモデルの全体概略斜視図である。解析に
際しては、下面を自然境界面、上面及び側面を固定境界
面とし、要素数1080、節点数1355の有限要素法
を用いて解析を行った。物性値としては、比透磁率を
1、周波数を60〔Hz〕とした。なお、導電率は、内
部抵抗に含まれるので零とした。
【0053】まず、このモデルの回路を従来の三相3回
路を用いた方法で解析した。即ち、電源の星形結線の中
性点とR相、T相、S相の3つのコイルの星形結線の中
性点とを結んだ回路を考えることにより、互いに独立し
た3回路を考え、これらの3つの回路に夫々回路方程式
をたてて、従来の方法で解析を行った。この時、R相で
は、起電力〔V〕の実部を100.0、虚部を0.0と
し、T相では、実部を−50.0、虚部を86.6、S
相では、実部を−50.0、虚部を−86.6とし、更
に、各相において、巻き線数を1000、内部抵抗を
0.1〔Ω〕、電源インダクタンスを1×10
-4〔H〕、回路キャパシタンスを1×104 〔F〕とし
た。従って、本例は、各相がバランスしている場合の解
析結果で、得られた線電流I0 の絶対値は、全ての相に
おいて、約2.95×10-1〔A〕、電圧との位相差θ
〔deg〕は、R相において、約−90、T相におい
て、約30.0、S相において、約150であった。
路を用いた方法で解析した。即ち、電源の星形結線の中
性点とR相、T相、S相の3つのコイルの星形結線の中
性点とを結んだ回路を考えることにより、互いに独立し
た3回路を考え、これらの3つの回路に夫々回路方程式
をたてて、従来の方法で解析を行った。この時、R相で
は、起電力〔V〕の実部を100.0、虚部を0.0と
し、T相では、実部を−50.0、虚部を86.6、S
相では、実部を−50.0、虚部を−86.6とし、更
に、各相において、巻き線数を1000、内部抵抗を
0.1〔Ω〕、電源インダクタンスを1×10
-4〔H〕、回路キャパシタンスを1×104 〔F〕とし
た。従って、本例は、各相がバランスしている場合の解
析結果で、得られた線電流I0 の絶対値は、全ての相に
おいて、約2.95×10-1〔A〕、電圧との位相差θ
〔deg〕は、R相において、約−90、T相におい
て、約30.0、S相において、約150であった。
【0054】次に、同じモデルの回路を、既述した本発
明の方法により解析した。具体的には、R相、T相、S
相の三相を、既述した第1の回路と第2の回路の2回路
の回路方程式を用いて解析した。即ち、第1の回路で、
起電力2VR−VT −VS の実部を300.0、虚部を
0、第2の回路で、起電力2VT −VR −VS の実部を
−150.0、虚部を259.8とし、各回路におい
て、巻き線数を1000、内部抵抗を0.3〔Ω〕、電
源インダクタンスを3×10-4〔H〕、回路キャパシタ
ンスを3.33×103 〔F〕とした。得られた線電流
I0 の絶対値は、何れの回路においても約2.95×1
0-1〔A〕、電圧との位相差θ〔deg〕は、第1の回
路において、約−90、第2の回路において、約30.
0であった。
明の方法により解析した。具体的には、R相、T相、S
相の三相を、既述した第1の回路と第2の回路の2回路
の回路方程式を用いて解析した。即ち、第1の回路で、
起電力2VR−VT −VS の実部を300.0、虚部を
0、第2の回路で、起電力2VT −VR −VS の実部を
−150.0、虚部を259.8とし、各回路におい
て、巻き線数を1000、内部抵抗を0.3〔Ω〕、電
源インダクタンスを3×10-4〔H〕、回路キャパシタ
ンスを3.33×103 〔F〕とした。得られた線電流
I0 の絶対値は、何れの回路においても約2.95×1
0-1〔A〕、電圧との位相差θ〔deg〕は、第1の回
路において、約−90、第2の回路において、約30.
0であった。
【0055】図6は、図5の中心部分Aの拡大図であっ
て、上述した本発明の方法による各相(R相、T相、S
相)での解析結果の電流路の方向を示しており、これ
は、上述した比較例で得られた結果と一致している。
て、上述した本発明の方法による各相(R相、T相、S
相)での解析結果の電流路の方向を示しており、これ
は、上述した比較例で得られた結果と一致している。
【0056】以上の結果から、互いに独立した3つの交
流回路が必要な従来の解析方法と同様の結果が、本発明
の方法によって、2つの回路方程式を用いることにより
得られることが分かる。従って、本発明の方法によれ
ば、例えば三相交流がバランスしており且つ電源も星形
結線である場合に限らず、各種の多相交流の場合に解析
が可能である。
流回路が必要な従来の解析方法と同様の結果が、本発明
の方法によって、2つの回路方程式を用いることにより
得られることが分かる。従って、本発明の方法によれ
ば、例えば三相交流がバランスしており且つ電源も星形
結線である場合に限らず、各種の多相交流の場合に解析
が可能である。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、交流回路が互いに独立
していないために従来は解析が不可能であった電圧源に
よる多相交流回路における電磁場解析を行うことができ
る。このため、例えば、三相誘導モーター、三相同期モ
ーター、三相変圧器等の多相交流電気機器を商用電力系
統等の多相交流電圧源で駆動する場合の電磁場解析を行
うことができるようになり、各電気機器の実際の使用状
態に近い状態での解析を行うことができる。従って、本
発明の解析方法は、それらの電気機器の設計や各種運転
条件の設定に利用して極めて有用なものである。
していないために従来は解析が不可能であった電圧源に
よる多相交流回路における電磁場解析を行うことができ
る。このため、例えば、三相誘導モーター、三相同期モ
ーター、三相変圧器等の多相交流電気機器を商用電力系
統等の多相交流電圧源で駆動する場合の電磁場解析を行
うことができるようになり、各電気機器の実際の使用状
態に近い状態での解析を行うことができる。従って、本
発明の解析方法は、それらの電気機器の設計や各種運転
条件の設定に利用して極めて有用なものである。
【図1】本発明の作用を説明するための三相星形結線の
回路構成を示す回路図である。
回路構成を示す回路図である。
【図2】図1の構成において、電源の内部インピーダン
スがアンバランスな場合を説明するための回路図であ
る。
スがアンバランスな場合を説明するための回路図であ
る。
【図3】回路方程式を説明するための回路図である。
【図4】交流回路が独立している場合の従来の解析方法
を説明するための回路図である。
を説明するための回路図である。
【図5】本発明の解析方法を適用した三相誘導モーター
のモデルの全体概略斜視図である。
のモデルの全体概略斜視図である。
【図6】図5の三相誘導モーターのモデルの中心部にお
ける電流の方向の解析結果を示す概念図である。
ける電流の方向の解析結果を示す概念図である。
1、2 閉回路 IR 、IT 線電流 Z、ZR 、ZT 、ZS 電源の内部インピーダンス ZL1、ZL2、ZL3 誘導性負荷素子 jωψR 、jωψT 、jωψS 逆起電力
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和嶋 潔 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内
Claims (1)
- 【請求項1】 起電力と内部インピーダンスが既知の多
相交流電源(相数をnとする。)に接続されて、この多
相交流電源により駆動される誘導性負荷における電磁場
を解析する方法において、 前記多相交流電源と前記誘導性負荷とで形成される多相
交流回路の中の(n−1)個の異なる閉回路部分に夫々
キルヒホッフの第二法則を適用して、前記多相交流電源
から前記誘導性負荷に供給される線電流のうちの互いに
独立な(n−1)個の線電流に関し、前記誘導性負荷
を、その誘導性負荷部分において解析しようとする電磁
場のベクトルポテンシャルで規定される逆起電力として
含む(n−1)個の回路方程式をたて、これらの回路方
程式を用いて電磁場解析を行うことを特徴とする方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24527691A JP2513548B2 (ja) | 1991-08-30 | 1991-08-30 | 多相交流回路における電磁場解析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24527691A JP2513548B2 (ja) | 1991-08-30 | 1991-08-30 | 多相交流回路における電磁場解析方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0561995A true JPH0561995A (ja) | 1993-03-12 |
JP2513548B2 JP2513548B2 (ja) | 1996-07-03 |
Family
ID=17131272
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24527691A Expired - Fee Related JP2513548B2 (ja) | 1991-08-30 | 1991-08-30 | 多相交流回路における電磁場解析方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2513548B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103399271A (zh) * | 2013-07-15 | 2013-11-20 | 杭州鹤见南方泵业有限公司 | 一种完善的电机出厂性能评定试验方法 |
CN104808147A (zh) * | 2015-05-06 | 2015-07-29 | 华北电力大学 | 一种三相短路下双馈发电机仿真方法及其系统 |
CN112557901A (zh) * | 2020-12-01 | 2021-03-26 | 重庆邮电大学 | 一种基于多相磁电感应的精密微电机检测装置及方法 |
-
1991
- 1991-08-30 JP JP24527691A patent/JP2513548B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103399271A (zh) * | 2013-07-15 | 2013-11-20 | 杭州鹤见南方泵业有限公司 | 一种完善的电机出厂性能评定试验方法 |
CN104808147A (zh) * | 2015-05-06 | 2015-07-29 | 华北电力大学 | 一种三相短路下双馈发电机仿真方法及其系统 |
CN104808147B (zh) * | 2015-05-06 | 2017-10-10 | 华北电力大学 | 一种三相短路下双馈发电机仿真方法及其系统 |
CN112557901A (zh) * | 2020-12-01 | 2021-03-26 | 重庆邮电大学 | 一种基于多相磁电感应的精密微电机检测装置及方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2513548B2 (ja) | 1996-07-03 |
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