JPH0560909A - 軽量化反射鏡用基体及びその製造方法 - Google Patents

軽量化反射鏡用基体及びその製造方法

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JPH0560909A
JPH0560909A JP35721391A JP35721391A JPH0560909A JP H0560909 A JPH0560909 A JP H0560909A JP 35721391 A JP35721391 A JP 35721391A JP 35721391 A JP35721391 A JP 35721391A JP H0560909 A JPH0560909 A JP H0560909A
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吉明 伊勢
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寛幸 宮沢
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博至 木村
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信一 大越
Tatsumasa Nakamura
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】酸化珪素を主体とする反射鏡用基体が、透明な
石英ガラス又は高珪酸ガラス製鏡面形成層を表面に有す
る面を持ち、該層を保持する保持層が、内部に含まれる
全気孔体積の30%以上の独立気泡を含み、0.1〜
1.2g/cm3の見掛け密度を有する酸化珪素多孔性
発泡体層から成る軽量化反射鏡用基体。 【効果】本発明に係る軽量化反射鏡用基体は軽量で優れ
た操作性に有し、また充分な研磨圧強度を持つので高精
度の反射面を形成することができる。従って、実用性の
高い反射鏡を工業的に有利に提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波反射や天体
観測、ビーム集光、拡散あるいは宇宙産業等に用いられ
る実用性の優れた反射鏡に関し、特に、軽量で優れた被
支持強度を有し、しかも温度変化にも実質的に鏡面が変
形することのない操作性に優れた軽量化反射鏡用基体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、天体用反射鏡や高エネルギービー
ム等の光学的な集光に用いられる反射鏡は、所定の曲率
面を有する、例えば、石英ガラスや高珪酸ガラス等の研
磨板素材表面に、光学的な反射層としてアルミニウムな
どの金属蒸着膜を400℃から800℃のCVD法等に
より形成させ、これを操作用の支持台に支持し所望の方
向に自由に回転操作される。このため、反射鏡用基体は
可及的軽量で、反射面の温度や内力的な状況変化に影響
されない精度保持が要求される。
【0003】しかして、かかる反射鏡は、これまで直径
が5cm〜20cm程度の小型のものが主流であった
が、近年高い集光率を得るため直径が30cm〜1m以
上の大型のものが要求され、また一部で実用化されてい
るが、集光ビームの輻射や環境温度の変化による微妙な
板素材の体積変化による鏡面うねりなどや、鏡面形成面
への反射膜蒸着の際の200℃〜800℃の高温熱処理
による熱変形が、その反射鏡の性能を低下させることか
ら熱膨張変化や熱変形の小さい石英ガラスや高珪酸ガラ
スが主要に使用されるようになった。
【0004】ところが、前記の石英ガラスや高珪酸ガラ
スを使用した場合においても、大型化に伴い反射鏡自体
の重量が極めて大きくなり、その反射鏡の支持角度等の
支持姿勢の変化によって自重による変形を生じ、しいて
は鏡面のうねりとなり性能の低下が問題となっている。
【0005】また、分光光度計のような分光分析装置な
どにおいては、その光学系に使用される反射プリズムな
どが小型でありながら精密な可変操作と装置の温度変化
に対しての光学系の安定性が一層強く要求されることか
ら、分光分析の高性能化のために軽量で温度変化に比較
的安定な反射部品が望まれている。一方、これらの問題
に対して反射鏡用素材の軽量化と高い被保持強度を与え
る反射鏡に関する提案がなされている。
【0006】例えば、特公昭63−57761号公報に
は、天体用軽量反射鏡用基体として、透明反射鏡板と後
板との間に、数列の管からなる石英ガラス等の支持格子
を有し、その管列の各管が、隣接する列の2個の管と接
触線又は接触体を有するように互い違いに形成され、そ
の接触等の領域内における管の厚さが壁の残部に比べて
減少し、更に管が接触線等に沿って相互に溶接されてい
る特殊な管構造のものが開示されている。
【0007】しかし、かかる特殊構成の天体反射鏡基体
は、構成が複雑なだけでなく製作が厄介で工業的に著し
く不利である。また、かかる反射鏡基体は、反射鏡の中
心軸方向と直行する方向の強度は著しく低く、また鏡面
垂直方向からの研磨圧に対して支持格子の支持部分と非
支持部分では、鏡面の変形の度合いが異なり、一体化さ
れた反射鏡板の均質な面研磨に対して満足し得るもので
はない。
【0008】更に、製作の際に支持格子である管素材の
有効高さを厳密な意味で一定にする事が難しく、このた
め張り合わせた透明反射鏡板に管素材の不均一な凹凸が
歪として残り、後日鏡面うねりなどの経時変化を引き起
こすため、反射鏡の性能低下の要因となっている。ま
た、支持格子は、その構造状鏡面を重力に対して水平に
した時と垂直にした時では、自重に対する剛性が変わる
ため鏡面の姿勢により面精度に微少な変化が現れ、姿勢
の大きな変動操作が必要な用途には使用し難い。
【0009】また、特公昭61−26041号公報は、
軽量鏡に関し、特に石英ガラス類の前板と後板との間
に、これらの板に動かないように連結された石英ガラス
類で作られた支持格子が融着一体化された天体用軽量鏡
を記載している。この支持格子は、石英ガラス類の板状
部材及び(又は)管状部材が支持用の板の上に置かれ、
それぞれ2個の部材の間に残っている空間の中に、粒状
体、小管片、小粒子、小板片又はこれらの混合物からな
る焼結されるべき物質が充填され、この配置が、黒鉛リ
ングよって一緒に保持され、次いでこれらが炉内におい
て非酸化性雰囲気下に焼結温度に加熱され、そのように
形成された支持格子が前板と後板に動かないように加熱
融着によって連結されることも開示している。
【0010】しかし、この方法は適切な形状の板状部材
や管状部材を予め多数作成し、並列配置した所定空間に
焼結されるべき物質を充填して前後板と融着させるなど
多くの労力と時間を要し、操作は極めて厄介で工業的に
は採用し難い。しかも、この方法は、支持格子が融着す
る前板の個所がしばしば歪を形成したり、焼結物質自体
が低密度の連続気孔をもった多孔質体であるため、収縮
あるいは崩壊し形状変形をおこすので、前板表面の精度
を損なうという不利も回避出来ないという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】かかる実情に鑑み、本
発明者らは、実用的に望ましい大型の反射鏡を工業的に
有利に提供する方法について多くの試作研究を重ねた。
従って、本発明の課題は、軽量でしかも鏡面の角度姿勢
の変化にも鏡面の変形が起こらず操作性に優れ、鏡面を
形成する面に温度変化などによる歪や反射膜蒸着の際に
熱変形が発生しない均質で優れた鏡面形成面を有する実
用的に望ましい大型反射鏡を提供することにある。
【0012】また、他の課題は、反射鏡板と直交する方
向にも全面に渡って優れた強度を有し、鏡面部研磨の際
にも変形やうねりをおこさない優れた強度を有する反射
鏡基体を提供することにある。更に、他の課題は、その
ような軽量化された大型反射鏡用基体を工業的に有利に
しかも安価に製造する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決すべく多くの試作研究を重ねた結果、実用的に
優れた反射鏡用基体を開発した。すなわち、本発明は、
明細書の前記特許請求の範囲に記載の構成用件からなる
軽量化された反射鏡用基体とその効果的な製造方法を提
供するものである。
【0014】本発明による軽量化反射鏡用基体を用いた
反射鏡は、電磁波や光、例えば、太陽光やレーザー光、
マイクロ波などを集めたり散乱させたり、反射により光
路を変更する反射鏡、主として伝送用、天体用、レーザ
ー集光用、太陽熱用、分光用として有用な反射鏡であっ
て、その鏡面形成面には反射光に適切な膜を一層ないし
多層形成することにより様々な用途があるが、かかる反
射鏡は高い反射鏡精度と軽量化による高い操作性が要求
される。この軽量化は、実用上一層構造の同型の鏡体に
比較して、50%以上、望ましくは70%以上の重量軽
減が必要とされている。
【0015】従って、その鏡面形成面層は、温度変化に
対して絶対的な熱膨張率が小さく変形しない実質的に無
気泡の透明高珪酸ガラスや石英ガラス等の二酸化珪素質
部材が専ら用いられ、また、この鏡面形成面層を保持す
る多孔性発泡体基体層も鏡面形成面と熱膨張差による歪
や反射膜蒸着時の熱変形が発生しない二酸化珪素質部材
が用いられる。なお、ここでの酸化珪素質部材とは、7
2%以上、望ましくは90%以上の二酸化珪素を含有す
る素材である。しかして、鏡面形成層を支えるために鏡
面形成層の下部の保持層として一体形成される二酸化珪
素部材は、軽量化と強度を得るためにその気孔中に多量
の独立気泡を含み、かつ0.1〜1.2g/cm3 の見
かけ密度を有する多孔性の発泡体であることが重要であ
る。
【0016】多孔性発泡体層の気孔における独立気泡の
割合を高めると、三次元的に格子構造のネットワークが
層中に形成され、その強度を顕著に向上する。しかし、
発泡体の見かけ密度が0.1g/cm3 未満では、この
三次元的格子構造を形成する独立気泡間の壁肉厚の厚み
が充分得られず鏡面形成層を支持する強度が不充分とな
り、特に反射鏡面の研磨の際に研磨圧に耐えられず多孔
性の発泡体層の多孔部分の局部的な潰れが発生し易く、
特にその部分に対応する鏡面形成層の表面を陥没変形さ
せて反射鏡面の精度を大きく低下させる原因になるので
不都合である。
【0017】また、見かけ密度が1.2g/cm3 を超
えると反射鏡の重量が充分に軽量化されないため、その
剛性に比較して自重によるところの変形が増大するため
に結果として保持姿勢によっては重力方向の反りを発生
し、反射鏡面の精度を著しく損なうだけでなく、操作性
も大きく低下するので実用的に好ましくない。
【0018】また、多孔性発泡体層に含まれる独立気泡
は、その三次元的に格子構造のネットワークが充分に形
成されるために、全気孔体積の30%以上の独立気泡で
ある必要があり、独立気泡の合計体積が30%より小さ
いと、鏡面形成面の研磨による押し圧や自重による曲げ
たわみにより多孔性の反射鏡肉厚層内の連通気孔部分に
沿って割れが発生する恐れがあるので好ましくない。
【0019】独立気泡の径はその格子構造を形成し格子
の強度を得るためには小さい方が良いが、実用的には全
気孔体積の30%以上は約0.01mm〜3mm程度の
気泡径の範囲にある独立気泡であることが望ましい。
【0020】しかしながら、上記発泡体層だけの保持強
度では、例えば反射鏡を水平保持した時の変形までも完
全に無くすことは困難であり、変形により鏡面形成面の
うねりや鏡面形成層の破損を招く恐れがある。この為、
このような多層構造の構造体においては、鏡面形成面層
とその基体層との複合強度が重要であり、また鏡面形成
面層自体もその表面の研磨の際等に破損を生じないだけ
の厚みを必要とする。
【0021】また、二酸化珪素質多孔性発泡体層の鏡面
形成層側と反対の面に、補強層が形成されていることに
よりより変形の少ない複合強度を得ることが出来るだけ
でなく、補強層が設けられた面が、研磨時や反射鏡とし
て使用時に固定面となり至極有用である。
【0022】この補強層としては反射鏡の軽量化と補強
層の強度確保を考慮し、0.8〜2.2g/cm3 の見
かけ密度を有する二酸化珪素質の焼結体又はガラス体、
あるいは二酸化珪素質多孔性発泡体層の見かけ密度より
大きく60%以上の独立気泡を含むより高強度の発泡体
からなることが好ましい。
【0023】次に、本発明の好適な反射鏡用基体の製造
方法について説明する。本発明の多孔性発泡体層を構成
する部材は、二酸化珪素質、好ましくは90%以上の二
酸化珪素からなり、水酸基を含有するシリカ粉末を60
0℃〜1000℃のアンモニア雰囲気中で1〜4時間加
熱反応させたのち所望形状のアンモニア化成形体とする
か、シリカ粉末を1200℃前後の温度の焼結などによ
り成形し多孔質成形体としたのちに、その成形体をアン
モニア雰囲気中で加熱反応させたアンモニア化成形体又
はゾルゲル法や火炎加水分解により得られた多孔質成形
体をアンモニア雰囲気中で加熱反応させたアンモニア成
形体を、例えば電気炉中で1500℃〜1800℃の二
酸化珪素の軟化、融着温度にて加熱することにより、ア
ンモニア化成形体から窒素又は窒素と水素の化合物ガス
を離脱させ、主として独立気泡からなる発泡体とするこ
とにより効果的に製造することが出来る。
【0024】また、1500℃〜1800℃の二酸化珪
素が軟化、融着する温度範囲で反応ガス化する物質を二
酸化珪素多孔質体に含浸させ、あるいは二酸化珪素粉体
に混合して1500℃〜1800℃の温度で加熱するこ
とにより融着発泡させ、同様な多孔性発泡体部材を製造
することが出来るが、前記アンモニア化成形体から加熱
発泡させた方が均質な独立気泡を得られ易いので望まし
い。
【0025】これらの多孔性発泡部材の気泡径、気泡
数、密度の調整においては、アンモニア成形体の密度、
気孔率、比表面積、加熱発泡時の雰囲気気圧、温度、加
熱時間、加熱時の容器の大きさ等を選択することによ
り、あるいはガス化物質の添加量を選択することにより
コントロールすることが出来る。
【0026】アンモニア成形体の密度は0.5〜1g/
cm3 の範囲が好ましい。その密度は大きいほど気泡数
が多く微細な独立気泡の多孔性発泡体になり、小さいと
連通気泡が多い多孔性発泡体になる。また、加熱発泡時
の雰囲気気圧は高いほど微細で緻密な独立気泡を持った
発泡体となるが、同時により密度が大きくなり軽量性が
失われるため、大気圧より低い減圧状態を適宜選ぶのが
良い。
【0027】また、加熱発泡時の温度や時間は、高温且
つ長時間の方がより気泡径が大きく低密度で軽量な発泡
体を得ることが出来るが、あまり温度が高すぎたり長時
間の加熱発泡を行うと独立気泡が破裂したり連通して、
独立気泡含有率が低下し、逆に収縮が起こって密度が高
くなるので、1500℃〜1800℃の加熱発泡温度と
他の条件とを併せて適宜組合せ選択することにより30
%以上の独立気泡をもった密度が0.1〜1.2g/c
3 の多孔質発泡体部材を得ることが出来る。
【0028】このようにして製造された反射鏡の多孔性
発泡体層用の部材は、所定の曲率又は平面度を持った円
盤状又は、立方体状等所定の形状に成型され、例えば、
石英ガラス又は高珪酸ガラス又は低膨張結晶化ガラス等
の実質的に透明な鏡面形成層用板部材、及びガラス又は
焼結体又はより強度の高い発泡体からなる補強層用板部
材と一体化される。
【0029】この一体化操作においては、所定の形状に
形成された多孔性発泡体層用部材の一面又は複数の面と
鏡面形成層用板部材及び補強層用板部材の間に、二酸化
珪素質粉末を、例えば1mm程度の層厚に全面にわたっ
て介在させ、そのような接合状態で1300℃〜160
0℃の温度にて約0.5〜4時間程度加熱することによ
り効果的に融着一体化させることが出来る。この温度
は、低いと融着一体化が進まず、高いと多孔性発泡体層
用部材が熱変形又は収縮して、所定の形状が得られな
い。
【0030】また、この時の二酸化珪素質粉末は、多孔
性発泡体層用部材の構成物質より1300℃〜1600
℃の温度における粘性が低いガラス塊を粉砕した粉末
か、あるいはゾルゲル法又は熱化学気相法により製造し
た微粉末等の融着し易い二酸化珪素質微粉末を使用する
ことが望ましく、著しい融着促進効果がある。また、こ
の方法において、二酸化珪素質微粉末は融着促進だけで
なく、多孔性発泡体層用部材の表面の露出気泡等の凹部
を埋め、一体化板部材との接合面を大幅に増大する効果
と自ら融着し層状として残ることにより接合部の補強効
果も達成される。その粉末は、泡の径より小さ目の粒径
のものを使用することにより、板部材を多孔性発泡体層
用部材の面に一層安定に固定でき、板部材と発泡体部材
の複合強度も著しく増大する。
【0031】しかしながら、通常は、粉末が融着の際に
収縮を起こし、鏡面層の変形を招くので、融着後鏡面形
成層と多孔性発泡体層の間に融着粉末層を残さないよう
にすることが好ましいが、より高い接合面の強度を必要
とする場合には、収縮の起こりにくい非晶質ガラス粉末
を使用し0.5mmから2mmの半透明融着層を形成す
ることが望ましい。該粉末の粒径は発泡体の気泡径の構
成から考えて100μm以下が実用上極めて望ましい。
【0032】また、鏡面形成層用板部材又は補強層用板
部材と多孔性発泡体層用部材の実質的な接合肉厚の断面
積は板部材全面積の5%以上あるほうが、研磨時などの
荷重時における剥離防止に効果があり望ましい。
【0033】次に、このように一体に接合された軽量化
反射鏡用基体の鏡面形成層用部材の面は予め又は一体化
時に所定の曲率の曲面又は平面に形成されるが、融着一
体化後に、更に高精度に研磨仕上げされ、その面に適用
が予定された反射光又はエネルギー、電磁波に適切な金
属反射膜が形成される。その反射膜は例えばアルミニウ
ム金属、銅又は銀等の蒸着により容易に形成される。ま
た、曲率のある反射面の形成は、一体化後所定のカーボ
ン型を減圧高温雰囲気中で押し当てて成形してもよい。
【0034】その鏡面仕上げにおいては、面に平行な摩
擦力と垂直な圧力(0.5N/cm2 程度)が作用する
が、本発明による反射鏡基体の鏡面形成層を保持する多
孔性発泡体層は、独立気泡を多数含んでいるために、あ
らゆる方向に対して実質的に等しい三次元的抵抗強度を
有し、鏡面形成層あるいは補強層とその保持層である多
孔質発泡体層が強固に結合されているので、研磨加工時
にも安全で高精度な反射面が得られ、更に軽量で三次元
的に等しい強度を有するために操作性に優れた反射鏡が
得られる。従って、本発明による軽量化反射鏡基体は、
実用的に前記先行技術に比べて遥かに優れている。
【0035】このように形成された本発明の方法によっ
て得られる軽量化反射鏡用基体は、軽量で高い剛性を有
する高い精度の反射鏡であって、得られた基体は、反射
膜が付けられたのちに、回転、移動等可能な操作台等に
取り付けられて実用される。
【0036】次に、本発明を添付図面により、更に具体
的に説明する。図1は、本発明に係る代表的軽量化反射
鏡用基体の一例の斜視図であり、図2は、図1の基体の
断面図である。図3及び図4は、本発明に係る軽量反射
鏡基体の異なる他の反射鏡基体の斜視図であり、図5及
び図6は凹面反射鏡と交差状二反射面をもつ反射鏡の断
面図である。
【0037】図1及び図2において、表面の透明な石英
ガラス円板から成る鏡面形成層1は、これを保持する酸
化珪素多孔性発泡体層2と一体に構成され、該発泡体層
の下側面に円板状酸化珪素質補強層3が一体に形成され
ている。
【0038】また、図3に示すように、酸化珪素質多孔
性発泡体層12の各面に形成された酸化珪素質補強層1
3と鏡面形成層11が所定の角度を持って構成されたプ
リズム状のものや、図4に示すような湾曲した鏡面形成
層21や酸化珪素質多孔性発泡体層22や酸化珪素質補
強層23を持った長方体のものも有用に使用される。
【0039】更に、図5及び図6に示されるように、反
射鏡の形状や鏡面形成層の形状に捕らわれず、酸化珪素
質多孔性発泡体層32、42の鏡面形成層を持たないほ
とんどの面に補強層を形成することにより、反射鏡の固
定台への取り付けを容易にすることができ、強度的にも
優れた反射鏡とすることができる。また、特に図6のよ
うな交差状に対向する二反射鏡面が形成された鏡面形成
層41を有するものや、更に多くの反射鏡面を有するも
のは、それぞれの機能を利用する反射素子部品として利
用することができる。
【0040】
【作用】本発明に係る大型軽量化反射鏡基体は、それ自
体軽量でかつ優れた被支持強度を有し、且つ使用環境の
温度や姿勢による鏡面の変形がほとんど無いので、その
鏡面に金属光沢膜を形成させて高い反射精度と優れた操
作性を有する反射鏡を提供する。従って、従来の格子構
造の大型反射鏡に比べて簡素な構造であり低コストで工
業的にも実用的にも著しく有利である。
【0041】
【実施例】次に、本発明を具体例により更に詳細に説明
する。 実施例1 水酸基を約200ppm程度含有する粒径50μm以下
の二酸化珪素粉末を約1400℃の温度で成形焼結して
焼結体を製造した。次に、この焼結体を800℃の温度
のアンモニア雰囲気中で加熱反応させてアンモニア化し
た後、更に1600℃の温度の減圧雰囲気にて3時間加
熱し、融着させると共に離脱ガスにより発泡させ発泡体
を得た。
【0042】次いで、これをカットして直径が500m
m、厚さが40mmの多孔性発泡体円盤を作成した。こ
の多孔性発泡体部材は、見かけ密度は0.4g/cm3
で、含有する独立気泡の全気孔体積にしめる割合は約6
8%程度であった。この独立気泡の含有率は、部材の見
かけ密度と部材を構成する二酸化珪素質ガラス自体の密
度の測定及び元の多孔性発泡体である部材を液体に侵漬
して得られる連通気孔の体積から容易に得られる。
【0043】このようにして得られた多孔質発泡体円盤
の円形の上下二面に、それぞれ直径500mm、厚さ3
mmの透明な石英ガラス円板を当てがい、その接触面間
に全面にわたって二酸化珪素微粉末を厚さ約1mm程度
介在させて接合した後、一方の石英ガラス円板を下向き
に平滑なカーボン板上に水平に保持し、約1400℃の
温度の減圧雰囲気で加熱溶着一体化させた。また、この
時に上側の石英ガラス円板上には直径520mm、厚さ
20mmのカーボン円盤を重りとしてのせ、石英ガラス
円板の上から発泡体部分を圧縮することにより石英ガラ
スと多孔性発泡体との融着は促進した。
【0044】この操作において、石英ガラス板と多孔性
発泡体円盤との間に介在させた二酸化珪素微粉末は、溶
着一体化の際に収縮して石英ガラスと多孔性発泡体を完
全に一体化させ層厚は消滅していた。なお、二酸化珪素
微粉末は、四塩化珪素を酸水素火炎で燃焼酸化分解して
得られたものを、6μm以下に調製して使用した。
【0045】更に、前記の一体化された2枚の石英ガラ
ス板表面をダイヤモンド砥石によりそれぞれの肉厚0.
5mmまで研削し、石英ガラス層と多孔性発泡体層の全
体の厚みが約40mmの反射鏡用基体を得た。
【0046】このようにして得られた反射鏡用基体の機
械的強度ないし安定性を、次の4つの実験によって評価
した。
【0047】実験1:反射鏡用基体を一方の石英ガラス
層を下面にし定盤上に水平に保持し、その中央部の50
cm2 に500kgの荷重を加えたときの石英ガラス
円板表面部の凹変形量と荷重を除去したときの残留変
形量を測定する。
【0048】実験2:反射鏡用基体を一方の石英ガラス
層を下面にし、その石英ガラス層の外周5mmを円周方
向に120度毎に3点下面から水平に支持して、その
時の自重による中央の変形量を測定する。
【0049】実験3:実験2と同様に反射鏡用基体を支
持し、中央に最大10kgまで荷重を加えていった時の
たわみと破損状況を調査する。上記、いずれの測定実験
においても、変形量が少なく破損が無いほど反射鏡用基
体の研磨時の機械的強度及び最終的な反射鏡の精度及び
操作性が優れていることを示す。
【0050】本実施例によって得られた反射基体を上記
実験により評価した結果、実験1では、加重時の荷重部
表面変形が0.4μmで、除去時には表面の変形が殆ど
観察されなかった。また、実験2では中央の変形が0.
15μm程度であり、実験3では最大10kgまで耐
え、たわみは1mm程度であった。
【0051】実施例2 実施例1と同じ水酸基を約200ppm程度含有する5
0μm以下の粒径に調整された二酸化珪素粉末を約14
00℃の温度で成形焼結して焼結体を製造した。次に、
この焼結体を800℃の温度のアンモニア雰囲気中で加
熱反応させアンモニア化した後、更に1700℃の温度
の減圧雰囲気中で3時間加熱し、融着及び離脱ガスによ
り発泡させ発泡体を得た。また、これをカットして直径
が500mm、厚さが40mmの多孔性発泡体円盤を作
成した。この多孔質発泡体部材は、見かけ密度は0.1
g/cm3 で、含有する独立気泡の全気孔体積にしめる
割合は約62%程度であった。
【0052】このようにして得られた多孔性発泡円盤に
実施例1と同様に、円形の二面に、直径500mm、厚
さ3mmの透明な石英ガラス円板を、前記多孔性発泡体
円盤の円形の面と間全面に二酸化珪素微粉末を厚さ約1
mm程度を介在させ接合した後、約1400℃の温度で
加熱溶着一体化させ、更に、前記一体化された二枚の石
英ガラス板表面をダイヤモンド砥石によりそれぞれの肉
厚0.5mmまで研削し、石英ガラス層と多孔性発泡体
層の全体の厚みが約40mm反射鏡用基体を得た。
【0053】得られた反射鏡基体を実施例1と同様に3
つの実験により評価した。実験1による測定では、加重
時の荷重部表面変形が0.8μmで、除去時には表面の
変形が殆ど観察されなかった。また、実験2では中央の
変形が0.20μm程度であり、実験3では最大10k
gまで耐え、たわみは約1.2mmであった。
【0054】実施例3 アンモニア化焼結体の発泡を1700℃の温度で常圧雰
囲気下で行った以外は実施例1と同様に操作して、見か
け密度が約0.9g/cm3 、独立気泡の含有量が、全
気孔体積の約90%の多孔性発泡体円盤を得た。このよ
うにして得られた多孔性発泡体円盤を実施例1と同様
に、円形の二面に、直径500mm、厚さ3mmの透明
な石英ガラス円板と加熱溶着一体化させ、更に、前記一
体化された二枚の石英ガラス板表面をダイヤモンド砥石
によりそれぞれの肉厚0.5mmまで研削し、石英ガラ
ス層と多孔性発泡体層の全体の厚みが約40mmの反射
鏡用基体を得た。
【0055】得られた反射鏡基体を実施例1と同様な3
つの実験により評価した。実験1では、加重時の荷重部
表面変形が0.1μmで、除去時には変形が観察されな
かった。また、実験2では、中央の変形が0.10μm
程度であり、実験3では最大10kgまで耐え、たわみ
は0.9mm程度であった。
【0056】比較例1 実施例1と同様に、水酸基を約200ppm程度含有す
る50μm以下の粒径を有する二酸化珪素粉末を約14
00℃の温度で成形焼結して焼結体を製造した。次に、
この焼結体を800℃の温度のアンモニア雰囲気中で加
熱反応させアンモニア化した後、更に1750℃の温度
の減圧雰囲気条件下で3時間加熱し、融着及び離脱ガス
により発泡させ発泡体を得た。また、これをカットして
直径が500mm、厚さが40mmの多孔性発泡体円盤
を作成した。この多孔性発泡体部材は、見かけ密度は
0.06g/cm3 で、含有する独立気泡の全気孔体積
にしめる割合は約68%程度であった。
【0057】このようにして得られた多孔性発泡体円盤
に実施例1と同様に、円形の上下面に、直径500m
m、厚さ3mmの透明な石英ガラス円板を、前記多孔性
発泡体円盤の円形の面との間全面に二酸化珪素微粉末を
厚さ約1mm程度を介在させ接合した後、約1400℃
の温度で加熱溶着一体化させ、更に、前記一体化された
2枚の石英ガラス板表面をダイヤモンド砥石によりそれ
ぞれの肉厚0.5mmまで研削し、石英ガラス層と多孔
性発泡体層の全体の厚みが約40mmの反射鏡用基体を
得た。
【0058】得られた比較例1による反射鏡基体を実施
例1と同様な3つの実験により評価した。実験1の測定
では、加重時の荷重部表面変形が12.2μmで、除去
時には6.2μmの変形が観察された。また、実験2で
は、中央の変形が10μm程度であり、実験3では最大
6kgで上下面の石英ガラス板が破損し、全体も折損し
た。
【0059】比較例2 アンモニア化焼結体の発泡を1580℃の温度の減圧雰
囲気にて6時間加熱し融着発泡を行った以外は実施例1
と同様に操作して、見かけ密度が約1.3g/cm3
独立気泡の含有量が全気孔体積の約30%の多孔性発泡
体円盤を得た。このようにして得られた多孔質発泡円盤
を実施例1と同様に、円形の上下面に、直径500m
m、厚さ3mmの透明な石英ガラス円板と加熱溶着一体
化させ、更に、前記一体化された2枚の石英ガラス板表
面をダイヤモンド砥石によりそれぞれの肉厚0.5mm
まで研削し、石英ガラス層と多孔性発泡体層の全体の厚
みが約40mmの反射鏡用基体を得た。
【0060】得られた反射鏡基体を実施例1と同様な3
つの実験により評価した。実験1では、加重時の荷重部
表面変形が0.05μmで、除去時には表面の変形が殆
ど観察されなかったが、実験2では、中央の変形が30
μm程度であり、実験3では最大10kgまで耐えた
が、たわみは1.4mmであった。
【0061】比較例3 アンモニア化焼結体の発泡を1580℃の温度の減圧雰
囲気にて8時間加熱し融着発泡を行った以外は実施例1
と同様に操作して、見かけ密度が約0.8g/cm3
独立気泡の含有量が全気孔体積の約10%の多孔性発泡
体円盤を得た。このようにして得られた多孔質発泡円盤
を実施例1と同様に、円形の上下面に、直径500m
m、厚さ3mmの透明な石英ガラス円板と加熱溶着一体
化させ、更に、前記一体化された2枚の石英ガラス板表
面をダイヤモンド砥石によりそれぞれの肉厚0.5mm
まで研削し、石英ガラス層と多孔性発泡体層の全体の厚
みが約40mmの反射鏡用基体を得た。
【0062】得られた比較例3による反射鏡基体を実施
例1と同様な3つの実験により評価した。実験1では、
加重時の荷重部表面変形が3.1μmで、除去時には
2.8μmの変形が観察された。また、実験2では、中
央の変形が80μmもあり、実験3では最大5kgで上
下面の石英ガラス板が破損し、全体も折損した。
【0063】また、強度的に優れてた前記実施例1、2
及び比較例2の反射用基体の重量から、同寸法の従来の
反射鏡に対する軽量化率を算出し比較すると、その結
果、実施例1は79%、実施例2は93%と軽量化率が
優れているのに対して比較例2では38%と軽量化率が
劣っていることがわかった。
【0064】実施例4 保持層を形成する多孔性発泡部材を、四塩化珪素を酸水
素火炎中で加水分解しスート体を得るCVD法(熱化学
気相成長法)により得られたシリカ多孔質体を800℃
のアンモニア雰囲気中で加熱反応させ、次いで1650
℃の減圧雰囲気(10-1torr)にて3時間の加熱融着及
び離脱ガスにより発泡させ約70%の独立気泡をもった
多孔性発泡体を得、更にこれを直径498mm肉厚約5
0mmの円板状にカットして得た。
【0065】次に、得られた多孔性発泡体部材を直径5
04mm×高さ48mm×厚み3mmの石英ガラスリン
グの中に入れ、更にこれを2枚の直径502mm×厚み
3mmの石英ガラス円板間に挟み、直径500mmのグ
ラファイト円板20kgでプレスしながら1400℃に
て約1時間減圧雰囲気(10-1torr)の電気炉で加熱し
一体化した。尚、この時石英ガラスリングと多孔性発泡
体部材、石英ガラス円板と多孔性発泡体部材のそれぞれ
の間に約0.1g/cm3 割合でシリカ粉体を介在させ
一体化を行った。
【0066】この一体化された構造体の体積及び重量か
ら、石英ガラスと粉体融着層の外殻除いた多孔性発泡体
部分の密度を調べたところ約0.2g/cm3 であっ
た。得られた構造体の外周を研削し、更に直径約500
mmの一面を鏡面形成層として研磨し、直径500m
m、厚み50mmで外面に1mmの肉厚の鏡面形成層と
石英ガラス補強層を有する軽量化反射鏡基体を製造し
た。
【0067】得られた軽量化反射鏡基体を次の様な試験
を行い評価した。結果を後掲表2に示す。 試験:反射鏡を垂直と水平に外周を3点支持し、反射面
の面精度を測定した。その測定は、光干渉計を用い反射
鏡面に垂直な方向の最大変形量(ピー クとバレー)
について行った。
【0068】実施例5 実施例4と同様に保持層を形成する多孔性発泡部材を、
CVD法により得られたシリカ多孔質体を800℃のア
ンモニア雰囲気中で加熱反応させ、次いで1650℃の
減圧雰囲気(10-1torr)にて1時間の加熱融着及び離
脱ガスにより発泡させた。約82%の独立気泡をもった
多孔性発泡体が得られた。更にこれをカットして直径4
98mm肉厚約50mmの円板を得た。
【0069】次に、得られた多孔性発泡体部材を直径5
04mm×高さ48mm×厚み3mmの石英ガラスリン
グの中に入れ、更にこれを2枚の直径502mm×厚み
3mmの石英ガラス円板間に挟み、直径500mmのグ
ラファイト円板20kgでプレスしながら1400℃に
て約1時間減圧雰囲気(10-1torr)の電気炉で加熱し
一体化した。なお、この時石英ガラスリングと多孔性発
泡体部材、石英ガラス円板と多孔性発泡体部材のそれぞ
れの間に約0.1g/cm3 割合でシリカ粉体を全接合
面に介在させ加熱一体化を行った。
【0070】この一体化された構造体の体積及び重量か
ら、石英ガラスと粉体融着層の外殻除いた多孔性発泡体
部分の密度を調べたところ約0.6g/cm3 であっ
た。得られた構造体の外周を研削し、更に直径約500
mmの一面を鏡面形成層として研磨し、直径500m
m、厚み50mmで外面に1mmの肉厚の鏡面形成層と
石英ガラス補強層を有する軽量化反射鏡基体を製造し
た。実施例4と同様な試験を行い、その結果を後掲表2
に示した。
【0071】実施例6 実施例4と同様に保持層を形成する多孔性発泡部材を、
CVD法により得られたシリカ多孔質体を800℃のア
ンモニア雰囲気中で加熱反応させ、次いで1650℃の
減圧雰囲気(10-1torr)にて3時間の加熱融着及び離
脱ガスにより発泡させた。約82%の独立気泡をもった
多孔性発泡体を得、更にこれを直径498mm肉厚約5
0mmの円板状にカットして得た。
【0072】得られた多孔性発泡体部材を直径502m
m×厚み3mmの石英ガラス円板を約0.1g/cm3
割合でシリカ粉体を介在させ接合し、円板上部からグラ
ファイト円板20kgでプレスしながら1400℃にて
約1時間減圧雰囲気(10-1torr)の電気炉で加熱し一
体化した。一体化された構造体の体積及び重量から、石
英ガラス円板と粉体融着層の外殻除いた多孔性発泡体部
材の密度を調べたところ約0.2g/cm3 であった。
【0073】得られた構造体の外周側面を研削し、更に
直径約500mmの円板面を鏡面形成層として研磨し、
直径500mm、厚み50mmで外面に1mmの肉厚の
鏡面形成層を有する軽量化反射鏡基体を製造した。実施
例4と同様な試験を行い、その結果を表2に示した。
【0074】比較例4 実施例4と同様に保持層を形成する多孔性発泡部材を、
CVD法により得られたシリカ多孔質体を800℃のア
ンモニア雰囲気中で加熱反応させ、次いで1750℃の
減圧雰囲気(10-1torr)にて1時間の加熱融着及び離
脱ガスにより発泡させた。約14%の独立気泡をもった
多孔性発泡体を得た。これをカットして直径498mm
肉厚約50mmの円板状を作成した。
【0075】次に、得られた多孔性発泡体部材を直径5
04mm×高さ48mm×厚み3mmの石英ガラスリン
グの中に入れ、更にこれを2枚の直径502mm×厚み
3mmの石英ガラス円板間に挟み、直径500mmのグ
ラファイト円板8kgでプレスしながら1400℃の温
度の電気炉中で約30分間減圧雰囲気(10-1torr)下
に加熱し一体化した。なお、この時石英ガラスリングと
多孔性発泡体部材、石英ガラス円板と多孔性発泡体部材
のそれぞれの間に約0.1g/cm3 割合でシリカ粉体
を介在させ体一体化を行った。
【0076】この一体化された構造体の体積及び重量か
ら、石英ガラスと粉体融着層の外殻除いた多孔性発泡体
部分の密度を調べたところ約0.05g/cm3 であっ
た。得られた構造体の外周側面を研削し、更に直径約5
00mmの一面を鏡面形成層として研磨し、直径500
mm、厚み50mmで外面に1mmの肉厚の鏡面形成層
と石英ガラス補強層を有する軽量化反射鏡基体を製造し
て実施例4と同様な試験を行った。その結果を表2に示
す。
【0077】参考のために、実施例4、5、6及び比較
例4の仕様をまとめると下記表1のようになる。
【表1】 鏡面形成層厚 基体層密度 基体層独立気泡率 補強層厚 実施例4 1.0mm (2%) 0.2 g/cm3 70% 1.0mm(2%) 実施例5 1.0mm (2%) 0.6 g/cm3 82% 1.0mm(2%) 実施例6 1.0mm (2%) 0.2 g/cm3 73% 無し 比較例4 1.0mm (2%) 0.05g/cm3 14% 1.0mm(2%)
【0078】これらの実施例、比較例の試験結果は下記
表2の通りである。
【表2】 これらから、低密度の比較例4は他の実施例より劣って
いることがわかる。
【0079】
【発明の効果】上記具体例から明らかなように、本発明
による軽量化反射鏡は軽量で且つ多孔質体の支持強度が
優れているので、水平、垂直などの姿勢にとらわれない
面精度の保持が可能であって、高い操作性と優れた反射
鏡精度を有し、種々の光学的な反射鏡として実用的に極
めて望ましいものである。更に、本発明の方法によって
得られる軽量化反射鏡は、反射鏡形成面の強度が高く鏡
面形成研磨時の研磨圧にも充分な強度を有するから、高
精度の反射面を形成させることができ、しかも、多孔性
発泡体層の鏡面形成面以外の面に補強層を設けたものは
一層高い操作性を有する。また、従来の反射鏡に比較し
て製造が容易で、低コストで提供されるから、工業的に
著しく有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軽量反射鏡基体の一例の断面図で
ある。
【図2】図1の軽量反射鏡基体の斜視図である。
【図3】本発明に係る軽量反射鏡基体の他の例の斜視図
である。
【図4】本発明に係る軽量反射鏡基体の更に他の例の斜
視図である。
【図5】凹面反射鏡の例の断面図である。
【図6】両反射鏡平面が対向するように交差する例の断
面図である。
【符号の説明】
1、11、21、31、41 ・・・・ 鏡面形成層 2、12、22、32、42 ・・・・ 多孔性発泡体層 3、13、23、33、43 ・・・・ 補強層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大越 信一 福井県武生市北府2丁目13番60号 信越石 英株式会社武生工場内 (72)発明者 中村 達政 東京都新宿区西新宿一丁目22番2号 信越 石英株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化珪素を主体とする素材で形成される反
    射鏡用基体において、該基体が、鏡面形成が可能で透明
    な石英ガラス又は高珪酸ガラスである鏡面形成層を表面
    に有する面を持ち、該鏡面形成層を保持する保持層が、
    内部に含まれる全気孔体積の30%以上の独立気泡を含
    み、0.1〜1.2g/cm3 の見かけ密度を有する酸
    化珪素質多孔性発泡体層からなることを特徴とする軽量
    化反射鏡用基体。
  2. 【請求項2】前記酸化珪素質多孔性発泡体層の鏡面形成
    層を有しない面に、0.8〜2.2g/cm3 の見かけ
    密度を有する酸化珪素質補強層が形成されている請求項
    1記載の軽量化反射鏡用基体。
  3. 【請求項3】前記酸化珪素質補強層が、石英ガラス又は
    高珪酸ガラス又は、これらガラスの粉末を加熱焼結した
    焼結体又は、前記酸化珪素質多孔性発泡体層よりも高密
    度の発泡体である請求項2記載の軽量化反射鏡用基体。
  4. 【請求項4】酸化珪素を主体とする素材で形成された請
    求項1記載の軽量化反射鏡用基体を製造する方法におい
    て、予め所定形状に作成した独立気泡を含有する多孔性
    発泡体と鏡面形成層又は補強層となる酸化珪素質板体と
    を、その接合面全面にわたって、酸化珪素質粉体を介在
    させて加熱一体化する請求項1又は2記載の製造方法。
  5. 【請求項5】前記酸化珪素質粉体が、ゾルゲル法又は熱
    化学気相法により得られた微粉体かあるいは、非晶質ガ
    ラス塊を粉砕した粉体である請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】前記酸化珪素質粉体が、1300℃〜16
    00℃における粘度が前記酸化珪素質発泡体層の構成物
    質より低いガラス塊を粉砕した微粉体である請求項4記
    載の製造方法。
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