JPH055911Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は缶詰殺菌釜やレトルト殺菌装置に用い
られるスペーサーに関するもので、特に缶詰、ビ
ン詰等をされた被処理物を段積みをする場合、そ
の間に挿入されるスペーサーに関するものであ
る。

従来の技術 従来、レトルト殺菌装置内で缶詰やビン詰の被
処理物を段積みする場合、段毎にスペーサーを用
いているが、この際のスペーサーには主としてア
ルミニユウムやステンレス鋼板等の金属製スペー
サーやゴム等の軟質スペーサーが使用されてい
る。

このようなスペーサーを用いることにより、ケ
ージやトレー中に段積みされた被処理物の横移動
や上下方向へのずれ防止がなされている。

考案が解決しようとする問題点 上記のような金属製のスペーサーの場合、滑性
が強いので、缶詰等の段積みには滑り易く、容易
に作業が進む反面、被処理物に傷をつけたり、静
止安定性に問題があつて高く段積みすることがで
きず、又レトルト殺菌行程中に投入される蒸気等
によつてスペーサーに振動が生じて、ケージやト
レーの塗装が剥れてサビを生じさせる原因となる
等の難点がみられた。

又、ゴムやその他の軟質スペーサを用いた場
合、滑性に乏しく、作業性が悪くなる難点を有し
ていた。

本考案の目的は、スペーサーとしての機能面に
着目することにより、上面を滑性の強い材質を用
い、下面を滑性の弱い材質から成る二層シートと
し、加熱媒体の流通性を図つたスペーサーを提供
しようとするものである。

問題点を解決するための手段 本考案は上記目的達成のため、缶詰殺菌釜やレ
トルト殺菌装置に装填されるケージ及びトレー上
に複数個の缶詰、ビン詰、パウチ等の被処理物を
整列させ段重ねする場合に、被処理物間に装填す
るスペーサーにおいて、上面をポリプロピレン樹
脂その他の滑性の強い材質から成る層とし、下面
を熱可塑性エラストマー樹脂等の軟質で滑性の弱
い材質から成る層とした二層シートとし、これら
二層シートを貫挿通する複数の貫通孔を設けたレ
トルト殺菌装置等に用いるスペーサーとした。

作 用 本考案のスペーサーでは、上面をポリプロピレ
ン樹脂その他の滑性の強い材質から成る層とし、
下面を熱可塑性エラストマー樹脂等の滑性の弱い
材質から成る層とした二層シートとしたので、下
面では缶詰やビン詰の上端面に当接して滑り止め
の作用があり、且つビン詰等蓋に傷を付けないよ
う保護作用をすると共に上面は滑性が強いので、
上方へ段積みする場合に滑り易く整列を効率的に
行なうことができ、作業性を高めるようになつ
た。

さらに、二層シートには複数個の貫通孔が設け
られているため、この貫通孔を通して蒸気や熱水
その他の加熱媒体の流通に支障をきたすことがな
い。

実施例 図面は本考案の実施例を示すもので、１は上面
層、２は下面層で、これらの層１，２は融着一体
化した二層シート３を構成している。４は貫通孔
で、二層シートを貫挿通して多数形成されてい
る。上面層１は灰色に着色され、下面層２は白色
になつている。

上面層１はポリプロピレン樹脂で１mm〜10mm
厚、下面層２は熱可塑性エラストマー樹脂で厚み
を0.2〜２mmに構成した。貫通孔４の大きさは段
積みされる缶詰やビン詰の形体や大きさに従つ
て、種々変形することができる。

尚、上面層１の材質としては滑性の強いもので
あればよく、例えば高密度ポリプロピレン樹脂、
ポリプテン樹脂、ABS樹脂、変性ポニフエニレ
ンエーテル（PPE）のシートを使用し、下面層
２としては、滑性の弱いものを用いエチレンプロ
ピレン共重合体ゴムとポリプロピレン樹脂のブレ
ンド物からなる熱可塑性エラストマー樹脂、
EVA樹脂、低密度ポリエチレン樹脂等の軟質材
料を用いる。

第２図はケージ５中に段積みされた缶詰６の段
積み間にそれぞれ二層シート３をスペーサーとし
て装填した状態を示す斜視図である。

二層シート３の下面層２は蒸気のように軟質で
滑性の弱い材質から成つているので、缶詰等を段
積みしても傷をつけることなく、滑り止め効果が
ある。又、上面層１は滑性を強くしているので、
一段毎の積重ね時に多数の缶詰等をすばやく整列
させることができ、取出し時にも容易となつて作
業性を向上させることができる。

又、これらスペーサーはレトルト殺菌装置内に
装填されるケージ及びトレー等につき数多く使用
されるので、その使用時に上面下面の識別性を高
めるため、上面下面をそれぞれ異色に着色して、
一見して識別できるようにしてもよい。

考案の効果 本考案は上記のような構成をとつたので、二層
シートを介在させることによつて、ケージやトレ
ー内に多数の缶詰、ビン詰その他の被処理物を複
数段積重ねし易くなつた。特に下面層が熱可塑性
エラストマー樹脂のように軟質で滑性に弱い材質
を用いているので、缶詰等の積重ね時に横滑りや
移動を防止し、且つ傷をつけるおそれもない等の
効果があり、又上面層はポリプロピレン樹脂のよ
うに滑性の強い材質を用いているので、積重ねの
ための缶詰等の整列がし易く、作業性を向上させ
ることができた。さらに、本考案では二層シート
の識別をし易く異色層としのたで、取扱いし易い
効果があり、貫通孔を多数備えているので、加熱
媒体の流通性に支障をきたすことがない等、その
実用上の効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案二層シートの斜視図、第２図は
積重ね状態を示した一部破断斜視図である。 １……上面層、２……下面層、３……二層シー
ト、４……貫通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 缶詰殺菌釜やレトルト殺菌装置に装填されるケ
   ージ及びトレー上に複数個の缶詰、ビン詰、パウ
   チ等の被処理物を整列させ段重ねする場合に、被
   処理物間に装填するスペーサーにおいて、上面を
   ポリプロピレン樹脂その他の滑性の強い材質から
   成る層とし、下面を熱可塑性エラストマー樹脂等
   の軟質で滑性の弱い材質から成る層とした二層シ
   ートとし、これら二層シートを貫挿通する複数の
   貫通孔を設けたことを特徴とするレトルト殺菌装
   置等に用いるスペーサー。