JPH0559032A - エイコサペンタエン酸モノエポキシ体及びその製造法 - Google Patents

エイコサペンタエン酸モノエポキシ体及びその製造法

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JPH0559032A
JPH0559032A JP3219951A JP21995191A JPH0559032A JP H0559032 A JPH0559032 A JP H0559032A JP 3219951 A JP3219951 A JP 3219951A JP 21995191 A JP21995191 A JP 21995191A JP H0559032 A JPH0559032 A JP H0559032A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 11,12−エポキシエイコサテトラエン酸
及び14,15−エポキシエイコサテトラエン酸、並び
に、式(3) 【化1】 で表されるエイコサペンタエン酸又はその誘導体を、リ
パーゼの存在下、過酸化水素と反応させることを特徴と
するエイコサペンタエン酸モノエポキシ体の製造法。 【効果】 簡便に、かつ低コストでエイコサペンタエン
酸の二重結合を選択的にエポキシ化することができ、免
疫系疾患、炎症性疾患、脳疾患、腫瘍等の治療薬とし
て、あるいはこれらの研究のための試薬として使用され
る11,12−エポキシエイコサペンタエン酸及び1
4,15−エポキシエイコサペンタエン酸を効率よく得
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エイコサペンタエン酸
モノエポキシ体及びその製造法に関し、さらに詳細に
は、免疫系疾患、炎症性疾患等の治療薬として有用な1
1,12−エポキシエイコサペンタエン酸及び14,1
5−エポキシエイコサペンタエン酸、並びにその製造法
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】アラキ
ドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等
の高度不飽和脂肪酸は、生体内で種々の化合物に代謝さ
れ、各組織で様々な生理作用を示す。例えば、アラキド
ン酸の代謝系としては、シクロオキシゲナーゼ系、リポ
キシゲナーゼ系、チトクロムP−450系などが知られ
ており、これらの系で数多くの化合物に代謝されてい
る。
【0003】これらの代謝系のうち、チトクロムP−4
50系では高度不飽和脂肪酸の二重結合のエポキシ化が
行われている。例えば、アラキドン酸が代謝されて生じ
たモノエポキシ化合物には、5,6−エイコサエポキシ
トリエン酸、8,9−エイコサエポキシトリエン酸、1
1,12−エイコサエポキシトリエン酸、14,15−
エイコサエポキシトリエン酸などがあり、これらは多く
のホルモンの分泌、血小板凝集阻害、Na+ , K+ −A
TPase阻害などに関与し、生体にとって重要な化合
物となっている。また、エポキシ化合物の水付加物であ
るジヒドロキシ化合物はNa+ ,K+ −ATPase活
性阻害を示し、生化学的に重要なものである。
【0004】また、慢性閉塞性動脈硬化症の治療薬とし
て用いられているエイコサペンタエン酸や脳機能改善に
効果があるといわれているドコサヘキサエン酸などのエ
ポキシ化合物やその水付加物については、炎症や免疫、
脳機能に作用すると考えられており、現在その機能の解
明が進められている。
【0005】ところで、アラキドン酸、エイコサペンタ
エン酸、ドコサヘキサエン酸などの高度不飽和脂肪酸の
分子内にある二重結合をエポキシ化する方法として最も
簡便なものとして、メタ−クロロ過安息香酸を用いる方
法が知られている。このエポキシ化については、マイク
バンロリンズ(Mike VanRollins, Lipids, 25, 419-50
4, 1990)によりエイコサペンタエン酸メチルエステルを
用いて検討されているが、彼らの方法によれば、エポキ
シ化する際、二重結合の位置選択性がないことから、モ
ノエポキシ体は可能な全ての位置異性体の混合物として
得られるのみである。また、反応条件によっては、ジエ
ポキシ体、トリエポキシ体などのポリエポキシ体が得ら
れることもあり、このようにして得られる混合物から目
的のモノエポキシ体を単離精製することは非常に難し
く、しかも、収率も低いことから、この方法を実用化す
ることは困難であった。
【0006】また、高度不飽和脂肪酸のエポキシ体を得
る他の方法として、肝細胞ミクロソームやミトコンドリ
ア由来の酵素チトクロムP−450を用いることもでき
るが、これらの酵素自体を得ることが困難であり、産業
的に利用することは不可能である。
【0007】一方、コーリーら(E.J.Corey, H.Niwa, J.
R.Falck ; J.Am.Chem.Soc., vol.101, 1586-1589, 197
9) は、無水過酸化水素をアラキドン酸イミダゾールに
作用させ、14位の二重結合を選択的にエポキシ化する
ことに成功している。しかしながら、エポキシ体製造に
用いられる無水過酸化水素は、一般には入手し難く、し
かも大量に用いるのは危険であるため、実用的な方法で
はなかった。
【0008】さらに、ビョンクリンら(F.Bjonkling, S.
E.Godtfredsen, O.Kirk ; J.Chem.Chom, comme ; 1301-
1303, 1990) は、60%過酸化水素とリパーゼを用いて数
種の脂肪酸を過酸にし、モノエン酸と反応させることに
よりエポキシ体を得ている。しかし、この反応も過酸化
水素濃度が60%とやはり高いことや、異分子間反応であ
るため高度不飽和脂肪酸への応用が困難であることなど
から、実用的な方法ではなかった。
【0009】このように、簡便に高度不飽和脂肪酸の特
定の位置のみを選択的にエポキシ化する方法は未だ確立
されておらず、従って、炎症、免疫疾患、脳機能におけ
る高度不飽和脂肪酸のエポキシ代謝物の作用機構の解
明、研究に使用することができるエポキシエイコサペン
タエン酸及びその製造法が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意研究を行った結果、エイコサペンタエン
酸又はその誘導体を、リパーゼの存在下、過酸化水素と
反応させれば、エイコサペンタエン酸又はその誘導体の
二重結合のうち、特定の位置のみを選択的にエポキシ化
できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、式(1)
【化4】 で表される11,12−エポキシエイコサペンタエン酸
及び式(2)
【化5】 で表される14,15−エポキシエイコサペンタエン
酸、並びに、式(3)
【化6】 (式中、Rは水素原子又はフッ素原子が置換していても
よい低級アルキル基を示す)で表されるエイコサペンタ
エン酸又はその誘導体を、リパーゼの存在下、過酸化水
素と反応させることを特徴とするエイコサペンタエン酸
モノエポキシ体の製造法を提供するものである。
【0012】本発明において、原料として用いられるエ
イコサペンタエン酸及びその誘導体は、前記式(3)で
表されるものであるが、その誘導体としては、例えばエ
イコサペンタエン酸メチルエステル、エイコサペンタエ
ン酸エチルエステル、エイコサペンタエン酸トリフルオ
ロメチルエステル、エイコサペンタエン酸トリフルオロ
エチルエステル等が挙げられ、特に、エイコサペンタエ
ン酸トリフルオロエチルエステルが好ましい。反応は、
これらの原料を有機溶剤に溶解し、これにリパーゼ及び
過酸化水素を加え、4〜50℃、好ましくは25〜40
℃で1〜24時間攪拌することにより行われる。ここで
用いられる有機溶剤としては、例えばヘキサン、ジエチ
ルエーテル、イソプロピルエーテル、トルエン、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタ
ン、四塩化炭素等が挙げられる。また、リパーゼは通常
市販されているものを使用することができる。
【0013】得られたエイコサペンタエン酸のモノエポ
キシ体は、カラムクロマトグラフィーに付し、分画する
ことにより、11,12−エポキシエイコサペンタエン
酸及び14,15−エポキシエイコサペンタエン酸を得
ることができる。
【0014】
【実施例】次に、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。 実施例1 11,12−及び14,15−モノエポキシエイコサペ
ンタエン酸の合成:エイコサペンタエン酸トリフルオロ
エチルエステル 104.7mgをイソプロピルエーテル10mlに
溶解し、Hyflo super cellに固定化したリパーゼP(天
野製薬)89.1mgを加えて30℃で攪拌した。これに30%
過酸化水素 632μl を滴下して3時間攪拌し、モノエポ
キシ体35.8mg(収率約40%)を得た。得られたエポキシ
体を、シリカゲル60(ナカライ)20gを担体とするカ
ラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン/エーテ
ル(55:45)を溶出液として溶出させた。得られた画分
をジアゾメタンを用いてメチルエステル化した後、キー
ゼルゲル60(メルク)を担体とし、n−ヘキサン/エ
ーテル(93:7)を溶出液とするカラムクロマトグラフ
ィーに付して分画し、11,12−モノエポキシエイコ
サペンタエン酸及び14,15−モノエポキシエイコサ
ペンタエン酸を得た。 11,12−モノエポキシエイコサペンタエン酸; H1-NMR(CDCl3) ; δ(ppm) 0.9-1.0(3H,t,CH3), 1.2-1.3(3H,ww,CH3), 1.6-1.8(2H,
t,CH2), 2.0-2.2(2H,CH2), 2.2-2.4(2H,t,CH2), 2.4-2.
6(4H,CH2), 2.8-2.9(2H,t,CH2), 2.9-3.0(2H,t,CH2),
4.1-4.2(2H,ww,CH2), 5.3-5.4(4H), 5.4-5.6(4H) M+ : 332 14,15−モノエポキシエイコサペンタエン酸; H1-NMR(CDCl3) ; δ(ppm) 1.0-1.1(3H,t,CH3), 1.2-1.3(3H,t,CH3), 1.5-1.6(2H,
t,CH2), 1.6-1.8(2H,CH2), 2.0-2.2(2H,t,CH2), 2.2-2.
4(4H,CH2), 2.7-2.9(2H,t,CH2), 2.9-3.0(2H,t,CH 2),
4.1-4.2(2H,ww,CH2), 5.3-5.4(4H), 5.4-5.6(4H) M+ : 332
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、簡便に、かつ低コスト
でエイコサペンタエン酸の二重結合を選択的にエポキシ
化することができ、免疫系疾患、炎症性疾患、脳疾患、
腫瘍等の疾患の治療薬として、あるいはこれらの研究の
ための試薬として使用される11,12−エポキシエイ
コサペンタエン酸及び14,15−エポキシエイコサペ
ンタエン酸を効率よく得ることができる。
【手続補正書】
【提出日】平成4年5月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 エイコサテトラエン酸モノエポキシ体
及びその製造法
【特許請求の範囲】
【化1】 で表される11,12−エポキシエイコサテトラエン
酸。
【化2】 で表される14,15−エポキシエイコサテトラエン
酸。
【化3】 (式中、Rは水素原子又はフッ素原子が置換していても
よい低級アルキル基を示す)で表されるエイコサペンタ
エン酸又はその誘導体を、リパーゼの存在下、過酸化水
素と反応させることを特徴とするエイコサテトラエン酸
モノエポキシ体の製造法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エイコサテトラエン酸
モノエポキシ体及びその製造法に関し、さらに詳細に
は、免疫系疾患、炎症性疾患等の治療薬として有用な1
1,12−エポキシエイコサテトラエン酸及び14,1
5−エポキシエイコサテトラエン酸、並びにその製造法
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】アラキ
ドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等
の高度不飽和脂肪酸は、生体内で種々の化合物に代謝さ
れ、各組織で様々な生理作用を示す。例えば、アラキド
ン酸の代謝系としては、シクロオキシゲナーゼ系、リポ
キシゲナーゼ系、チトクロムP−450系などが知られ
ており、これらの系で数多くの化合物に代謝されてい
る。
【0003】これらの代謝系のうち、チトクロムP−4
50系では高度不飽和脂肪酸の二重結合のエポキシ化が
行われている。例えば、アラキドン酸が代謝されて生じ
たモノエポキシ化合物には、5,6−エポキシエイコサ
トリエン酸、8,9−エポキシエイコサトリエン酸、1
1,12−エポキシエイコサトリエン酸、14,15−
エポキシエイコサトリエン酸などがあり、これらは多く
のホルモンの分泌、血小板凝集阻害、Na,K−A
TPase阻害などに関与し、生体にとって重要な化合
物となっている。また、エポキシ化合物の水付加物であ
るジヒドロキシ化合物はNa,K−ATPase活
性阻害を示し、生化学的に重要なものである。
【0004】また、慢性閉塞性動脈硬化症の治療薬とし
て用いられているエイコサペンタエン酸や脳機能改善に
効果があるといわれているドコサヘキサエン酸などのエ
ポキシ化合物やその水付加物については、炎症や免疫、
脳機能に作用すると考えられており、現在その機能の解
明が進められている。
【0005】ところで、アラキドン酸、エイコサペンタ
エン酸、ドコサヘキサエン酸などの高度不飽和脂肪酸の
分子内にある二重結合をエポキシ化する方法として最も
簡便なものとして、メタ−クロロ過安息香酸を用いる方
法が知られている。このエポキシ化については、マイク
バンロリンズ(Mike VanRollins,L
ipids,25,419−504,1990)により
エイコサペンタエン酸メチルエステルを用いて検討され
ているが、彼らの方法によれば、エポキシ化する際、二
重結合の位置選択性がないことから、モノエポキシ体は
可能な全ての位置異性体の混合物として得られるのみで
ある。また、反応条件によっては、ジエポキシ体、トリ
エポキシ体などのポリエポキシ体が得られることもあ
り、このようにして得られる混合物から目的のモノエポ
キシ体を単離精製することは非常に難しく、しかも、収
率も低いことから、この方法を実用化することは困難で
あった。
【0006】また、高度不飽和脂肪酸のエポキシ体を得
る他の方法として、肝細胞ミクロソームやミトコンドリ
ア由来の酵素チトクロムP−450を用いることもでき
るが、これらの酵素自体を得ることが困難であり、産業
的に利用することは不可能である。
【0007】一方、コーリーら(E.J.Corey,
H.Niwa,J.R.Falck;J.Am.Che
m.Soc.,vol.101,1586−1589,
1979)は、無水過酸化水素をアラキドン酸イミダゾ
ールに作用させ、14位の二重結合を選択的にエポキシ
化することに成功している。しかしながら、エポキシ体
製造に用いられる無水過酸化水素は、一般には入手し難
く、しかも大量に用いるのは危険であるため、実用的な
方法ではなかった。
【0008】さらに、ビョンクリンら(F.Bjonk
ling,S.E.Godtfredsen,O.Ki
rk;J.Chem.Soc.Chem.Commu
n.;1301−1303,1990)は、60%過酸
化水素とリパーゼを用いて数種の脂肪酸を過酸にし、
純オレフィンと反応させることによりエポキシ体を得て
いる。しかし、この反応も過酸化水素濃度が60%とや
はり高いことや、分子間反応であるため高度不飽和脂肪
酸への応用が困難であること、また、エポキシ化反応自
体は非酵素的プロセスであるため立体・位置選択性は期
待できないことなどから、実用的な方法ではなかった。
【0009】このように、簡便に高度不飽和脂肪酸の特
定の位置のみを選択的にエポキシ化する方法は未だ確立
されておらず、従って、炎症、免疫疾患、脳機能におけ
る高度不飽和脂肪酸のエポキシ代謝物の作用機構の解
明、研究に使用することができるエポキシエイコサテト
エン酸及びその製造法が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意研究を行った結果、エイコサペンタエン
酸又はその誘導体を、リパーゼの存在下、過酸化水素と
反応させれば分子内で反応が進行し、エイコサペンタエ
ン酸又はその誘導体の二重結合のうち、特定の位置のみ
を選択的にエポキシ化できることを見出し、本発明を完
成した。
【0011】すなわち、本発明は、式(1)
【化4】 で表される11,12−エポキシエイコサテトラエン酸
及び式(2)
【化5】 で表される14,15−エポキシエイコサテトラエン
酸、並びに、式(3)
【化6】 (式中、Rは水素原子又はフッ素原子が置換していても
よい低級アルキル基を示す)で表されるエイコサペンタ
エン酸又はその誘導体を、リパーゼの存在下、過酸化水
素と反応させることを特徴とするエイコサテトラエン酸
モノエポキシ体の製造法を提供するものである。
【0012】本発明において、原料として用いられるエ
イコサペンタエン酸及びその誘導体は、前記式(3)で
表されるものであるが、その誘導体としては、例えばエ
イコサペンタエン酸メチルエステル、エイコサペンタエ
ン酸エチルエステル、エイコサペンタエン酸シアノメチ
ルエステル、エイコサペンタエン酸トリフルオロエチル
エステル等が挙げられ、特に、エイコサペンタエン酸ト
リフルオロエチルエステルが好ましい。反応は、これら
の原料を有機溶剤に溶解し、これにリパーゼ及び過酸化
水素を加え、4〜50℃、好ましくは25〜40℃で1
〜24時間攪拌することにより行われる。ここで用いら
れる有機溶剤としては、例えばヘキサン、ジエチルエー
テル、イソプロピルエーテル、トルエン、ジクロロメタ
ン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、四
塩化炭素等が挙げられる。また、リパーゼは通常市販さ
れているものを使用することができる。
【0013】得られたエイコサテトラエン酸のモノエポ
キシ体は、カラムクロマトグラフィーに付し、分画する
ことにより、11,12−エポキシエイコサテトラエン
酸及び14,15−エポキシエイコサテトラエン酸を得
ることができる。
【0014】
【実施例】次に、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。 実施例1 11,12−及び14,15−モノエポキシエイコサ
トラエン酸の合成:エイコサペンタエン酸トリフルオロ
エチルエステル104.7mgをイソプロピルエーテル
10mlに溶解し、Hyflo super cell
に固定化したリパーゼP(天野製薬)89.1mgを加
えて30℃で攪拌した。これに30%過酸化水素632
μlを滴下して3時間攪拌し、モノエポキシ体35.8
mg(収率約40%)を得た。得られたエポキシ体を、
シリカゲル60(ナカライ)20gを担体とするカラム
クロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン/エーテル
(55:45)を溶出液として溶出させた。得られた画
分をジアゾメタンを用いてメチルエステル化した後、キ
ーゼルゲル60(メルク)を担体とし、n−ヘキサン/
エーテル(93:7)を溶出液とするカラムクロマトグ
ラフィーに付して分画し、11,12−モノエポキシエ
イコサテトラエン酸メチル及び14,15−モノエポキ
シエイコサテトラエン酸メチルを得た。 11,12−モノエポキシエイコサテトラエン酸メチ
; H−NMR(CDCl);δ(ppm) 0.9−1.0(3H,t,CH),1.2−1.3
(3H,ww,CH),1.6−1.8(2H,t,
CH),2.0−2.2(2H,CH),2.2−
2.4(2H,t,CH),2.4−2.6(4H,
CH),2.8−2.9(2H,t,CH),2.
9−3.0(2H,t,CH),4.1−4.2(2
H,ww,CH),5.3−5.4(4H),5.4
−5.6(4H) M:332 14,15−モノエポキシエイコサテトラエン酸メチ
; H−NMR(CDCl);δ(ppm) 1.0−1.1(3H,t,CH),1.2−1.3
(3H,t,CH),1.5−1.6(2H,t,C
),1.6−1.8(2H,CH),2.0−
2.2(2H,t,CH),2.2−2.4(4H,
CH),2.7−2.9(2H,t,CH),2.
9−3.0(2H,t,CH),4.1−4.2(2
H,ww,CH),5.3−5.4(4H),5.4
−5.6(4H) M:332
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、簡便に、かつ低コスト
でエイコサペンタエン酸の二重結合を選択的にエポキシ
化することができ、免疫系疾患、炎症性疾患、脳疾患、
腫瘍等の疾患の治療薬として、あるいはこれらの研究の
ための試薬として使用される11,12−エポキシエイ
コサテトラエン酸及び14,15−エポキシエイコサ
トラエン酸を効率よく得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) 【化1】 で表される11,12−エポキシエイコサペンタエン
    酸。
  2. 【請求項2】 式(2) 【化2】 で表される14,15−エポキシエイコサペンタエン
    酸。
  3. 【請求項3】 式(3) 【化3】 (式中、Rは水素原子又はフッ素原子が置換していても
    よい低級アルキル基を示す)で表されるエイコサペンタ
    エン酸又はその誘導体を、リパーゼの存在下、過酸化水
    素と反応させることを特徴とするエイコサペンタエン酸
    モノエポキシ体の製造法。
JP03219951A 1991-08-30 1991-08-30 エイコサテトラエン酸モノエポキシ体の製造法 Expired - Lifetime JP3088791B2 (ja)

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Cited By (2)

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