JPH0559010U - チェーン式動力伝動用ベルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 センターピンの両端部に装着したキャップ体
の脱落を防止し、ベルト駆動時の騒音を軽減する。 【構成】 プーリ壁面１８に当接する傾斜面を有するセ
ンターピン３は、リンクプレート２の開口部３に挿入
し、両側部からリンクプレートの開口部３に設けた凹状
の収容部６に設置されたサイドピン７によって挟持され
ている。このセンターピン３とサイドピン７の接触部に
おける少なくとも一方の面は、凸状の湾曲した形状にな
っている。また、係止体１５と緩衝体１５とからなるキ
ャップ体１３は、リンクプレート２から突出したセンタ
ーピンの両端部１０に嵌入固定して、該キャップ体の係
止体１５がセンターピンの両端部１０に装着し、かつ緩
衝体１５がプーリ壁面１８に当接するようになってい
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はチェーン式動力伝動用ベルト、特にリンクプレートから突出したセン ターピンの両端部に緩衝体を有するキャップ体を嵌入したチェーン式動力伝動用 ベルトに関する。

【０００２】

【従来の技術】

今日、自動車の無段変速装置に適用される高負荷伝動用ベルトとして、ゴム製 Ｖベルト、金属チェーン及び金属ベルトが提案されている。このうち、金属チェ ーンベルトは複数のリンクプレート群がピンによって屈折自在に結合され、この ピンの間にＶベルトと接触するテーパー面を有するＶ形ブロックを嵌入した構成 になっており、例えば特開昭５７−２２４４２号、特開昭５９−２２６７２９号 あるいは特開昭５９−２２６７３０号公報等に開示されている。

【０００３】 また、同種ベルトとしてリンクプレート群を連結するピンの両端をテーパー面 にしてＶプーリの壁面に係合させるベルトも例えば実開昭６３−３７８４６号公 報に開示されており、この種のベルトはピンの径を大きくすることで充分な動力 を伝達することが知られている。

【０００４】 また、更に他のチェーンベルトとして、特開昭６３−２１９９３７号公報に開 示されているとおり複数のリンクプレート群を連結しているピンの両端部に自由 動可能なチップ体を装着し、ベルトをプーリに進入させる際にチップ体端面をプ ーリの側壁に適合させ、またチップ体自身を回転させることにより、ベルトがプ ーリへ進入する際の振動、ローリングあるいは衝突を緩和させるベルトも知られ ており、実用化の試みが進められている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記各ベルトのうち、ピンの両端部にチップ体を装着したチェーン 式ベルトはチップ体がピンの回りをわずかながら旋回するように設計されている ため、特に高負荷伝動の条件下においてベルトがプーリに進入またはプーリから 離脱するとき、Ｖプーリの側壁とチップ体間の接触線上にかかる側圧あるいはベ ルト長手方向の引っ張り力がこの接触線上において異なる大きさで分散し、これ がチップ体に回転モーメントを発生させるため、チップ体が積極的に回転しよう とする。この結果、内部の摺動面の磨耗が促進されてチップ体とピンとの間隙が 大きくなり、チップ体がピンから脱落することがあった。とりわけ、チップ体の 内部摺動面においては入口での磨耗が最も激しく、チップ体とピンとの引き抜き 力は低下した。

【０００６】 しかも、ベルトがプーリに進入するときのプーリとチップ体との衝突音は依然 として解消されていない。更に、リンクプレート群に設けたッピン孔に嵌入して いるピン表面には潤滑油が供給されにくいため、ピン表面の磨耗が激しくなり、 リンクプレートの屈曲時に異音が発生した。 本考案は、特にこのような問題点を改善するものであり、センターピンの両端 部に装着したキャップ体の脱落を防止し、ベルト駆動時の騒音を軽減したチェー ン式動力伝動用ベルトを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

即ち、本考案においては、リンクプレート群をピンによって長手方向に屈曲自 在に連結し、最も外側に位置するリンクプレートから突出したピンの両端部をプ ーリ壁面に当接させるようにしたチェーン式動力伝動用ベルトにおいて、プーリ 壁面に当接する傾斜面を有するセンターピンをリンクプレートの開口部に挿入す るとともに、該センターピンを両側面からリンクプレートの開口部に設けた凹状 の収容部に設置したサイドピンによって挟持し、該センターピンとサイドピンの 接触部における少なくとも一方の面が凸状の湾曲した形状になるようにし、係止 体と緩衝体とからなるキャップ体をリンクプレートから突出したセンターピンの 両端部に嵌入固定して、該キャップ体の係止体をセンターピンの両端部に装着し 、かつ緩衝体をプーリ壁面に当接させるように配置したチェーン式動力伝動用ベ ルトにある。 また、キャップ体はセンターピンの両端部に設けた溝部に嵌着する板状の係止 体と、該係止体に固着した筒状の緩衝体とからなる場合を含む。

【０００８】

【作用】

本考案のチェーン式動力伝動用ベルトでは、まずプーリ壁面に当接する傾斜面 を両端面に有するセンターピンを両側からサイドピンで挟持し、しかもセンター ピンとサイドピンの接触部における少なくとも一方の面を凸状の湾曲した形状に しているため、ベルトがプーリに巻き掛かる際、リンクプレートの傾斜の応じて サイドピンがセンターピン側面をスムーズに転動する。また、キャップ体は係止 体によってリンクプレートから突出したセンターピンの両端部に装着し、センタ ーピンおよびサイドピンの抜けを防止するばかりか、係止体によってキャップ体 の脱落を大きく阻止している。しかも、緩衝体がプーリ壁面に当接して、プーリ 壁面に当接する際の衝突音を大きく緩和する。 また、サイドピンがベルトの幅方向へ移動して係止体面に衝突しても緩衝体を 介してプーリ壁面で反力を受けるから係止体は破損しない。 このように、緩衝体は衝突対策と係止体のバックアップ機能による補強効果が ある。

【０００９】

【実施例】

以下、更に本考案の実施例を添付図面に従って説明する。 図１は本考案に係るチェーン式動力伝動用ベルトの断面図、図２は図１のベル トにおいてキャップ体を取り除いた状態の部分側面図、図３は図１のＡ−Ａ断面 図、図４はキャップ体の正面図、そして図５〜図８は本考案に係るチェーン式動 力伝動用ベルトに用いる構成部品の斜視図である。

【００１０】 このチェーン式動力伝動用ベルト１においては、細長い開口部３を有する板状 のリンクプレート２は、ベルトの長手方向においては所定の間隔をもって夫々平 行に配列されたセンターピン４の２つを挿入した状態で置かれ、しかもベルトの 幅方向においてこれらのリンクプレートの開口部３の両側部を互いに一致させて リンクプレートの両側部に閉鎖したピン孔５を形成するように配置され、このピ ン孔５にセンターピン４を挿入することによりベルト長手方向に屈曲可能に連結 され、エンドレスに構成されている。 また、センターピン４の上面がアーチ状になってリンクプレートに位置するピ ン孔５の円弧状の内面に接触し、リンクプレート２の屈曲を良好にしている。

【００１１】 上記リンクプレートの開口部３の両側部には凹状の収容部６があって、サイド ピン７がここに安定した状態で挿入されている。サイドピン７はセンターピン４ に接触してこれを両側より挟持しているが、センターピン４に当接する側は凸状 の湾曲した形状になっている。これによってベルトがプーリに巻き掛かる際、リ ンクプレート２の傾斜の応じてサイドピン７がセンターピン４の側面をスムーズ に転動する。 むろん、サイドピン７とセンターピン４の接触部においては、サイドピン７と センターピン４とが転がり摩擦によって転動すればよいため、センターピン４の みを、もしくはセンターピン４とサイドピン７の両方を凸状の湾曲した形状にし てもよい。 前記サイドピン７はセンターピン４の長さより短くて、ベルト幅方向へ移動可 能であるが、センターピン４のプーリ当接部１１から突出しない。

【００１２】 上記ベルトの最外側に位置するリンクプレートの外壁９から突出したセンター ピン４の両端部１０には、プーリ壁面に係合するプーリ当接部１１とキャップ体 １３を嵌入する支持部１２とからなり、プーリ当接部１１は傾斜した平面あるい は円錐面になっている。一方、支持部１２はキャップ体１３を固定する上下２つ の溝部１４を有している。

【００１３】 該キャップ体１３は支持部１２に設けた溝部１４に嵌入する板状の突出した係 止体１５とこれと一体になった緩衝体１６からなっている。キャップ体１３を支 持部１２に嵌入すると、係止体１５が支持部１２に設けた溝部１４に嵌着してリ ンクプレートの外壁９と接触し、一方緩衝体１６の端面はセンターピン４の両端 面１７と一致してプーリ壁面１８に当接するようになる。 係止体１５はサイドピン７のベルト幅方向への移動を規制し、たとえサイドピ ン７がベルト幅方向へ移動して係止体１５面に衝突しても、緩衝体１６を介して プーリ壁面１８で反力を受けるから破損しにくくなる。また、該係止体１５はキ ャップ体１３をセンターピンの両端部に確実に装着するため、したキャップ体１ ３の脱落を防止する。

【００１４】 この緩衝体１６は、プーリ壁面１８との衝突時のエネルギーを吸収して衝突音 を緩和し、しかもたとえサイドピン７がベルトの幅方向へ移動して係止体１５の 面に衝突してもプーリ壁面で反力を受けるから係止体を破損させない。この材質 としては、例えばＴｉ−５０％Ｎｉ系合金、Ｆｅ−５０％Ｃｏ系合金、Ｆｅ−（ １０〜２０％）Ｃｒ系合金，Ｃｕ−４０％Ｍｎ系合金等の金属材料あるいはポリ ウレタン、超高分子量ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の合成樹脂 等の高分子材料であって制振効果を有するものである。 尚、本考案における係止体１５は、前記の手段に限らず、ネジ、カシメ部材等 であってもよい。

【００１５】

【考案の効果】

以上のように本考案のチェーン式動力伝動用ベルトでは、まずプーリ壁面に当 接する傾斜面を両端面に有するセンターピンを、両側からサイドピンで挟持し、 しかもセンターピンとサイドピンの接触部における少なくともどちらか一方の面 を凸状の湾曲した形状にしているため、ベルトがプーリに巻き掛かる際、リンク プレートの傾斜の応じてサイドピンがセンターピン側面をスムーズに転動し、ま たリンクプレートから突出したセンターピンの両端部に装着したキャップ体によ って、センターピンおよびサイドピンの抜けを防止し、また係止体によってキャ ップ体の脱落を阻止している。しかも、緩衝体がプーリ壁面に当接してベルト駆 動時の騒音を軽減し、また緩衝体がセンターピンのバックアップ機能よる補強効 果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るチェーン式動力伝動用ベルトの断
面図である。

【図２】図１のベルトにおいてキャップ体を取り除いた
状態の部分側面図である。

【図３】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図４】キャップ体の正面図である。

【図５】使用するリンクプレートの平面図である。

【図６】使用するセンターピンの斜視図である。

【図７】使用するサイドピンの斜視図である。

【図８】使用するキャップ体の斜視図である。

【符号の説明】

１ チェーン式動力伝動用ベルト ２ リンクプレート ３ 開口部 ４ センターピン ５ ピン孔 ６ 収容部 ７ サイドピン １３ キャップ体 １５ 係止体 １６ 緩衝体 １８ プーリ壁面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 金岡 富蔵 神戸市長田区浜添通４丁目１番21号 三ツ 星ベルト株式会社内 (72)考案者 長谷川 博幸 神戸市長田区浜添通４丁目１番21号 三ツ 星ベルト株式会社内 (72)考案者 川口 彰 神戸市長田区浜添通４丁目１番21号 三ツ 星ベルト株式会社内 (72)考案者 野中 昌樹 神戸市長田区浜添通４丁目１番21号 三ツ 星ベルト株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 リンクプレート群をピンによって長手方
   向に屈曲自在に連結し、最も外側に位置するリンクプレ
   ートから突出したピンの両端部をプーリ壁面に当接させ
   るようにしたチェーン式動力伝動用ベルトにおいて、プ
   ーリ壁面に当接する傾斜面を有するセンターピンをリン
   クプレートの開口部に挿入するとともに、該センターピ
   ンを両側面からリンクプレートの開口部に設けた凹状の
   収容部に設置したサイドピンによって挟持し、該センタ
   ーピンとサイドピンの接触部における少なくとも一方の
   面が凸状の湾曲した形状になるようにし、係止体と緩衝
   体とからなるキャップ体をリンクプレートから突出した
   センターピンの両端部に嵌入固定して、該キャップ体の
   係止体をセンターピンの両端部に装着し、かつ緩衝体を
   プーリ壁面に当接させるように配置したことを特徴とす
   るチェーン式動力伝動用ベルト。
2. 【請求項２】 キャップ体はセンターピンの両端部に設
   けた溝部に嵌着する板状の係止体と、該係止体に固着し
   た筒状の緩衝体とからなる請求項１記載のチェーン式動
   力伝動用ベルト。