JPH0554852A - フーリエ変換質量分析装置 - Google Patents

フーリエ変換質量分析装置

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JPH0554852A
JPH0554852A JP4026577A JP2657792A JPH0554852A JP H0554852 A JPH0554852 A JP H0554852A JP 4026577 A JP4026577 A JP 4026577A JP 2657792 A JP2657792 A JP 2657792A JP H0554852 A JPH0554852 A JP H0554852A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 既知の物質を含有する気体中のその成分濃度
の分析装置として、永久磁石または電磁石の磁場が測定
中変動するにもかかわらず、安定した高分解質量分析を
可能にしたフーリェ質量変換分析装置を提供すること。 【構成】 磁場の長周期変動を特定成分のイオンサイク
ロトロン共鳴周波数の変化として検出し、その変化分を
磁場変動の誤差信号として磁場電源、あるいは高周波源
に帰還し、あるいは帰還することなく、コンピュータで
誤差補正を行い測定周波数を校正することにより、長時
間安定度を向上したフーリェ質量変換分析装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、フーリェ変換質量分
析装置に関する。より詳しくは、化学プラントにおける
反応ガスの分析等の所謂プロセス分析、生体の呼,吸気
ガスについての分析による代謝機能や麻酔状態の分析あ
るいは反応経過を知るいわゆる医療用あるいは医学上の
成分分析、またはたとえば半導体や触媒等を加熱するこ
とにより脱離する気体成分から、その表面状態あるいは
反応経過を知る等、いわゆる脱離気体や発生気体の分析
等に好適なフーリェ変換質量分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】各種の化
学プロセスにおいては、たとえばそのプロセスの最適条
件を維持するために、あるいはその最適条件を見つける
ために、化学プロセスのある工程で採取される試料中の
特定成分を分析する必要が多々ある。そのような化学プ
ロセスに関する種々の分析においては、従来、種々の分
析計あるいは分析装置が使用されてきている。それらの
多くは、アンモニア計、酸素計、炭化水素計等々、対象
成分を限定した単能機である。
【0003】一方、化学プロセスに関する種々の分析と
しては、測定の本質上、多成分同時分析の可能なこと、
リアルタイム分析が可能なことが望まれている。多成分
同時分析の前記要請を満たすためには、それら成分の化
学的性質の差異に基づく従来の化学分析では、対象が同
様な化学的性質を持つ成分に限定され、多成分分析に
は、本質的な困難が避けられない。
【0004】したがって、この目的には、いかなる物質
にも共通に備わっている物理的性質の差異を分析する物
理測定(いわゆる機器分析)が望ましい手段となる。こ
のような機器分析のうち、プロセス分析計として、従
来、用いられてきた手段は、ガスクロマトグラフおよび
赤外分光計等の分光分析装置がある。しかし、ガスクロ
マトグラフは、試料成分に特有の保持時間による成分分
離を原理としているため、測定周期が、数分〜数十分と
いう長時間を要し、上述したリアルタイム測定という条
件を満たすことは困難である。
【0005】また、ガスクロマトグラフでは、対象成分
によるカラムの選択、カラムを装填するオーブンの温度
条件の指定、キャリアガスたとえばヘリュームガスの流
量設定等々、測定条件の設定が煩わしく、豊富な経験と
熟練とが要求されるという問題がある。次に、赤外分光
計は、非対称分子の赤外線吸収から、その振動エネルギ
ー、回転エネルギーを測定するもので、二原子分子の元
素は検出できない。たとえば、窒素、酸素、塩素、水素
等のプロセス分析において、測定対象とされる気体成分
を測定することができず、多成分測定の条件が満たされ
ない。また、赤外分光計においては、スペクトルの分解
能は低く、二酸化硫黄、二酸化炭素、水等には、スペク
トル相互間に干渉を生じる等、一般的な成分弁別は困難
である。
【0006】紫外分光その他の分光分析においても、汎
用性に同様の問題を残している。質量分析計は、分析管
内に導入された気体分子をイオン化し、その質量対電荷
比によって、気体成分を弁別することを原理としてい
る。したがって、本質的に検出不能の気体成分はなく、
多成分試料の分析には、汎用性の最も高い分析手段とい
うことができる。しかし、整数質量数の等しい気体成分
は、それらのイオンが重畳するために、成分弁別は、一
般的には困難である。
【0007】このような場合に、従来行われてきた方法
は、i)各成分気体のフラグメントピークを検出し、成分
ピーク間に重なりのないピーク(ユニピークと称されて
いる。)を選んで弁別する方法、ii) 混在する成分ピー
ク群から、多重回帰法により成分弁別を行う方法、iii)
ガスクロマトグラフを前置し、混合気体試料を純成分に
分離し、その後に質量分析計により同定する方法、iv)
高分解能質量分析計を用い、成分ピークの質量数を1/
1000質量単位の精度で測定し、元素組成分析により
弁別する方法、等である。
【0008】前記 i) の方法は、試料気体の成分組成に
より、選択するピークが異なる外に、必ずしも適切なピ
ークが得られないという点において一般性に欠ける問題
がある。 前記 ii)の方法は試料気体成分すべての質量スペクトル
が判明しており、パターン係数が正しく得られているこ
とが条件になる。未知成分が含まれている場合には、ス
ペクトル・ピークの信号対雑音比が低い場合では、意外
に大きな誤差があらわれるという欠点がある。
【0009】前記 iii) の方法は、測定周期が長い等、
前述のガスクロマトグラフ同様の問題が生じる。 前記 iv)の方法は、いわゆる精密質量数の測定により、
対象ピークの元素組成を知り、成分弁別を行うもので、
成分種別にかかわらず測定可能であるが、従来は、大型
二重収束質量分析計、超電導磁石を備えた大型フーリェ
変換質量分析計にのみ可能であるとされていた方法であ
る。しかしながら、これらの大型の装置は、設置条件、
測定操作が、プロセス現場に適しないため、プロセス分
析計として実用化された例はない。
【0010】医療現場における成分分析、特に麻酔状態
の分析に関し、手術室における吸入全身麻酔時に、患者
に対する適正換気を判定するためや、空気塞栓やショッ
クの診断をするためには、赤外線吸収による呼気炭素ガ
ス分析装置が、一般に用いられる。この場合には、炭酸
ガスと麻酔剤として使用される笑気とは分子量が等し
く、赤外線吸収も類似しているので、笑気補正を必要と
する問題がある。一部には、単収束方式または四重極方
式質量分析計を使用している例もあるが、分解能は低
く、前述したところと同様の問題が残されている。
【0011】発生気体分析では、半導体表面にレーザを
照射し、離脱ガスを分析し、SiN2 +、SiCO+ 等の
分離測定の例もあるが、大型質量分析計が使用されてい
る。これらの気体分析分野における従来技術の課題は、
精密質量数測定可能な高分解能を備え、しかも、小型で
あり、低価格であり、保守や操作の簡易な質量分析計を
提供することである。
【0012】前記利用分野においては、いずれも測定対
象を常温で気体であるような試料に限定される。このよ
うに測定対象の限定された気体分析用フーリェ変換質量
分析計は、次のような条件を満たすことで実現される。 i)常温で気体である物質の分子量は概して低いので、質
量分析計の測定質量範囲を2〜200amuに定めても
よい。
【0013】ii) したがって、イオン・サイクロトロン
共鳴磁場も、高磁場である必要はなく、永久磁石が用い
られる。この場合には、超電導マグネットを備えた従来
のフーリェ変換質量分析計のように、液体ヘリウム補給
の煩わしさはなく、運転、保守ははるかに容易、簡易と
なり、装置もまた、小型、簡潔、低価格にまとめられ
る。
【0014】iii)共鳴周波数は、6,000ガウスの磁
場を有する永久磁石を採用する場合、水素イオンで約
4.8MHz、メタンや炭酸ガスに対し、約600KH
z〜220KHzである。したがって、AD変換器、メ
モリ等も、通常の市販モジュールで充分に対応すること
ができる。しかし、永久磁石は温度係数が大きく、これ
による磁場ドリフトのため、スペクトルの安定度は超電
導マグネットを使用した従来フーリェ変換質量分析装置
に比し、低下することは避けられない。
【0015】そこで、この発明の目的は、前記利用分野
において、充分な安定度が得られ、特に磁場ドリフトを
自動的に補償して、高分解能質量分析を行うことができ
るフーリェ変換質量分析装置を提供することにある。こ
の発明の他の目的は、磁場ドリフトに前記自動補償を施
すことなく、磁場ドリフトに応じて、測定された共鳴周
波数を校正してこれを出力し、高分解能質量分析を行う
ことができるフーリェ変換質量分析装置を提供すること
にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第一の手段の発明は、静磁場内に置かれた高真空セル
内に導入した試料気体をイオン化し、高真空セルに設け
られた照射電極対に高安定高周波源より高周波を印加す
ることによりイオンを励起して、測定対象である特定成
分のイオンにイオンサイクロトロン共鳴を誘起させ、前
記イオンサイクロトロン共鳴を高周波電気減衰信号とし
て検出し、この高周波電気減衰信号をデジタル信号に変
換し、時間領域信号であるデジタル高周波電気減衰信号
を周波数領域信号に変換するフーリェ変換質量分析装置
において、静磁場としての永久磁石または電磁石と、補
償磁場を形成する磁場補償コイルおよび高安定直流電源
からなる磁場発生手段と、磁場の長周期変動を特定成分
のイオン・サイクロトロン共鳴周波数の変化として検出
し、その変化分を磁場変動の誤差信号として、前記高安
定直流電源に帰還する帰還手段とを備え、静磁場/照射
周波数比を一定に保持するように磁場を制御することを
特徴とするフーリェ変換質量分析装置である。
【0017】前記課題を解決するための第二の手段の発
明は、静磁場内に置かれた高真空セル内に導入した試料
気体をイオン化し、高真空セルに設けられた照射電極対
に高安定高周波源より高周波を印加することによりイオ
ン励起して、測定対象である特定成分のイオンにイオン
サイクロトロン共鳴を誘起させ、前記イオンサイクロト
ロン共鳴を高周波電気減衰信号として検出し、この高周
波電気減衰信号をデジタル信号に変換し、時間領域信号
であるデジタル高周波電気減衰信号を周波数領域信号に
変換するフーリェ変換質量分析装置において、静磁場と
しての永久磁石または電磁石と、磁場の長周期変動を特
定成分のイオン・サイクロトロン共鳴周波数の変化とし
て検出し、その変化分を磁場変動の誤差信号として、前
記高安定高周波源に帰還する帰還手段とを備え、静磁場
/照射周波数比を一定に保持するように照射周波数を制
御することを特徴とするフーリェ変換質量分析装置であ
る。
【0018】前記課題を解決するための第三の手段の発
明は、静磁場内に置かれた高真空セル内に導入した試料
気体をイオン化し、高真空セルに設けられた照射電極対
に高安定高周波源より高周波を印加することによりイオ
ンを励起して、測定対象である特定成分のイオンにイオ
ンサイクロトロン共鳴を誘起させ、前記イオンサイクロ
トロン共鳴を高周波電気減衰信号として検出し、この高
周波電気減衰信号をデジタル信号に変換し、時間領域信
号であるデジタル高周波電気減衰信号を周波数領域信号
に変換するフーリェ変換質量分析装置において、静磁場
としての永久磁石または電磁石と、磁場の長周期変動を
特定成分のイオン・サイクロトロン共鳴周波数の変化と
して検出し、その変化分より算出された校正係数を用
い、測定された共鳴周波数を校正しこれを出力する校正
手段とを備えることを特徴とするフーリェ変換質量分析
装置である。
【0019】
【作用】この発明のフーリェ変換質量分析装置において
は、試料気体中の特定成分のイオンサイクロトロン共鳴
周波数の変化を検出し磁場ドリフト等の補償または共鳴
周波数の変化の校正を行うが、特定成分は、高真空排気
後の残留大気成分、たとえば窒素でもよい。以下これを
基準成分と呼び、その共鳴周波数を基準周波数と呼ぶこ
とにする。
【0020】フーリェ変換質量分析装置一般について
は、すでにコミサロウ、マーシャル等の業績がある(フ
ーリェ変換式イオンサイクロトロン共鳴質量分析の方法
および装置;特公昭59−4829号参照)。 しかし、彼らの装置は、未知試料の分析、同定を目的と
し、試料イオンのすべてを励起させ、検出するため、分
析セルには広帯域励起磁場を加えること、および受信系
が広帯域特性であることを特長としている。
【0021】しかし、この発明が目的とする各種の前記
成分分析においては、未知試料の同定は含まない為に、
試料気体のイオンすべてを励起する必要はない。したが
って、分析対象とする特定成分に基づくイオンのサイク
ロトロン共鳴周波数に近い固定周波数の高周波電場を高
真空セル中の一対の送信電極間に加える。高真空セルに
より検出される高周波信号電圧を増幅する受信系もすべ
ての気体成分を対象とする必要はなく、試料気体の特定
イオンに対応する共鳴信号に応答する狭帯域増幅器を用
いることができる。
【0022】その結果、 ・測定対象外であるイオンの共鳴信号は、増幅系に入ら
ないので、高周波増幅器およびA/D変換器のダイナミ
ック・レンジの制限が緩和される。 ・不用帯域の雑音が除かれるので、信号対雑音比(S/
N)が向上する。等の特長が得られる。
【0023】測定は、たとえば次の手順で行われる。す
なわち、測定対象である試料気体は、静磁場内におかれ
ると共に高真空に減圧された高真空セル内に導入され、
電子衝撃法等によりイオン化する。その後、高周波送信
手段によって、高真空セル内に設けられた照射電極対に
印加された高周波電圧により、イオンに高周波電場が照
射され、測定対象イオンには、イオンサイクロトロン共
鳴が誘起される。
【0024】イオンサイクロトロン共鳴は、受信電極に
誘起する高周波電気減衰信号として検出される。この高
周波電気減衰信号を増幅し、高速A/D変換器によりデ
ジタル信号に変換する。また、この高周波電気減衰信号
は時間領域信号として記憶される。時間領域信号は、測
定周期の後、フーリェ変換の手法により周波数領域信号
に変換される。この周波数領域信号は質量スペクトルに
相当するが、この周波数と質量数との間には後述の式
(2)の関係があるので、単位の変換は容易に行うこと
ができ、通常の質量スペクトルが得られる。
【0025】このように、この発明においては、測定し
ようとする特定対象イオンのイオンサイクロトロン共鳴
周波数に近似する照射周波数を照射電極対に印加するの
で、検出された高周波減衰信号をデジタル変換する際の
限られたダイナミックレンジの範囲内で、特定対象イオ
ンを測定可能な程度に十分に大きく励起することができ
るようになる。そして、このフーリェ変換質量分析装置
においては、試料気体を連続的にあるいは定期的に高真
空セルに供給することにより、試料気体中の特定対象イ
オンの検出を継続的に行うことができる。
【0026】ところで、フーリェ変換質量分析装置にお
いて、静磁場として永久磁石や電磁石を使用した場合、
長時間にわたってそのようなフーリェ変換質量分析装置
を稼働させていると、温度変化等により静磁場が徐々に
変化することは、避けられないことである。長期間にわ
たる分析においては、静磁場等の変化が実質的に10-3
上にもなるとイオンに対する照射効率が低下し、特定対
象イオンの正確な検出が困難になる。
【0027】そこで、この発明においては、静磁場の経
時的ドリフトにより生じる静磁場/高周波数比の変化を
本発明の第一および第二の手段により補償し、または本
発明の第三の手段によりイオンサイクロトロン周波数を
校正する等、本発明の第1〜3のいずれによっても、正
確な質量分析が可能になる。
【0028】さらに詳述すると、本願第一の手段におい
ては、静磁場の変化を前記基準成分のイオンサイクロト
ロン周波数、すなわち基準周波数の変化として検出し、
この変化分を磁場変動の誤差信号として高安定直流電源
に帰還する。高安定直流電源は、帰還された誤差信号に
基づいて、前記静磁場の変化を消去するように前記磁場
補償コイルに流す電流を制御、静磁場を安定化する。す
なわち、第一の手段は基準成分に対する照射周波数とし
て高安定発信器を用い、その周波数を制御の標準として
静磁場を安定化する手段である。
【0029】また、本願第2の手段においては、静磁場
の変化を前記基準成分のイオンサイクロトロン共鳴周波
数、すなわち基準周波数の変化として検出し、これを磁
場変動の誤差信号として高安定高周波源に帰還する。高
安定高周波源は、帰還された誤差信号に基づいて、静磁
場/照射周波数比が一定に保持されるように、高安定高
周波源の出力すなわち照射周波数を制御する。換言すれ
ば、第二の手段は、静磁場が制御の標準となり、高安定
高周波源の出力周波数をこれに追随変化させ、静磁場/
照射周波数比を一定に保持する手段である。
【0030】また、本願第3の手段においては、測定に
あたり、基準成分の共鳴周波数すなわち基準周波数を測
定、記憶しておく。静磁場の変化にともないイオンサイ
クロトロン共鳴周波数が変化すれば、記憶された基準周
波数に基づき測定されたイオンサイクロトロン共鳴周波
数の校正係数を算出する。そして、この校正係数を用い
て前記イオンサイクロトロン共鳴の測定周波数を校正す
る。この第3の手段においては、静磁場のドリフトを特
に制御するものではなく、静磁場のドリフトと静磁場/
照射周波数比の変動との関係から実測されたイオンサイ
クロトロン共鳴周波数を基準として、測定された共鳴周
波数を校正するものである。
【0031】このように、この発明においては、静磁場
の経時的変化があったとしても、その経時的変化をイオ
ンサイクロトロン共鳴周波数の変化として検出し、その
イオンサイクロトロン共鳴周波数の変化に応じて、ある
いは照射周波数または静磁場を制御することにより、磁
場の経時変化を補償し、あるいは周波数測定値を校正
し、フーリェ変換質量分析装置を設置する部屋や装置を
とりまく周囲温度の変化に対しても高精度の測定を可能
にする。
【0032】
【実施例】以下に、この発明の実施例を詳細に説明す
る。図1は、本願第1の手段の一実施例を示す全体回路
ブロック図である。図1に示すように、フーリェ変換質
量分析装置1は、高真空セル2と、永久磁石3と磁場補
償コイル3cと磁場補償コイルに補償電流を供給する直
流電源12とからなる磁場発生手段(図5をも参照のこ
と)と、高周波送信手段4と、コンピュータ27の指令
を受けてイオンサイクロトロン共鳴に関する高周波パル
ス系列の制御および試料気体のイオン化のための電子流
制御を行なう制御回路6と、共鳴信号検出手段7と、演
算制御手段8と、キーボード9およびCRTディスプレ
イ10とを有している。
【0033】前記高真空セル2は、超真空チャンバ11
により保護され、かつ、恒温槽(図示せず。)内に収容
されている。前記高真空セル2は、永久磁石3の磁場方
向に直交する一対の電極と、磁場に平行しかつ互いに直
交する一対の照射電極と、一対の受信電極とからなるキ
ュービック・セルを用いることができる。このようなキ
ュービック・セルとしては、M.B.Comisarow;"Cubic Tra
pped IonCell for Ion Cyclotron Resonance" Int.J.
Mass Spect. Ion Phys., 37,(1981)p.251 〜257 等に
記載の通常のセルを使用することができる。
【0034】このキュービックセルにおいては、図2に
示すように、前記磁場方向に直交するように配置された
一対の電極P,P’は、高真空セル2内のイオンの磁軸
方向のドリフトを防止するため、わずかの正電位たとえ
ば0.1〜2Vの正電位が与えられるようになってい
る。照射電極T,T’は、磁場方向に沿うように相対向
して前記一対の電極P,P’間に配置され、キュービッ
ク・セル内で発生したイオンにサイクロトロン共鳴を励
起させる高周波信号が短時間たとえば0.1〜10ms
の期間与えられるようになっている。受信電極R,R’
は、磁場方向に沿うように相対向し、かつ前記の電極
P,P’と照射電極T,T’とに直交するように配置さ
れ、共鳴により誘起する高周波信号電圧を受信するよう
になっている。なお、図2において、2aはグリッドで
あり、2bはフィラメントである。
【0035】前記恒温槽は、周囲温度の変化に対し、前
記磁場発生手段の温度変化をほぼ1℃以内に保つように
動作することにより、磁場補償範囲を限定し、補償電流
の変化を適切な範囲に保つ付加装置である。
【0036】前記永久磁石3は、高真空セル2を挟んで
相対向して配置された一対の磁極片3a、3bを具備し
ている。
【0037】この永久磁石3を使用することはこの発明
の一つの特長である。超電導マグネットを使用の場合
は、その磁場安定度は極めて高く、得られる質量・スペ
クトルは、温度変化も経年変化も受けることはない。し
かし、永久磁石や電磁石の場合は、磁場は、周囲温度に
影響されて変化し、その温度係数は、電磁石では、約−
2×10-4/℃、稀土類磁石では約−5×10-4〜−6
×10-3/℃である。したがって、104 〜105 の分
解能を保証するには、温度等による磁場変動を補償する
ことが必要となる。
【0038】そこで、この実施例のように永久磁石3を
使用する場合には、温度係数補償の手段として、まず整
磁鋼による補償が好適に採用される。この補償は、温度
係数を数倍度向上させることができる。たとえば、ネオ
ジウム、鉄、硼素系ボンド磁石(Nd2 Fe14B)で
は、現在のところ、温度係数は1×10-3/℃にとどま
っている。
【0039】フーリェ変換質量分析計1の備える高分解
能特性に基づき、1/1000質量単位の精密測定、い
わゆるミリマス測定により、試料気体の元素構成分析を
行うには、安定度をさらに一桁以上向上することが必要
である。前記高周波送信手段4は、高周波発信器4aと
高周波送信器4bとを有する。高周波発信器4aは、図
3に示すように補償用高周波源4cと測定用高周波源4
dと周波数合成器4eとを備えている。
【0040】補償用高周波源4cは基準成分のイオンの
サイクロトロン共鳴周波数を供給する。高周波発信器4
aの周波数は、分析対象成分の共鳴周波数に等しく選ば
れる。高周波送信機4bは周波数合成器4eの出力を受
け、且つ制御回路6を経由するコンピュータの指令によ
り、その出力をパルス変調し、高真空セル2の送信電極
T,T’を励振するに充分な電力の2相高周波パルスを
供給する。
【0041】制御回路6は、フーリェ変換手法に定めら
れたイオン化、高周波照射、測定、残留イオンの消去等
の諸動作が定められた順序にしたがい作動するように、
コンピュータ管理の下に高周波送信手段4、エミション
コントローラ6に指令する。動作順序の一例を高真空セ
ルの各電極の制御電圧およびその時間変化と共に図4に
示す。
【0042】図4は分析周期における分析セル各電極の
印加電圧、誘起信号の典型的な関係の一例を示してい
る。 (a)まず、フィラメント電位が−20〜−70(V)
にスイッチングされ、セル内に照射された電子ビームに
より、試料ガス分子は、イオン化される。 (b)電子ビーム照射後、あらかじめ定められた時間を
経て、高周波送信器の出力ゲートが開き、 (c)高周波発信器から高周波パルスである照射周波数
が高真空セルの送信電極に印加される。
【0043】(d)照射周波数によって励起されたイオ
ンは、イオンサイクロトロン共鳴を誘起する。イオンが
励起された後、出力ゲートは閉じられる。 (e)こうして、受信電極にはイオンサイクロトロン共
鳴の信号が誘起される。 (f)共鳴信号測定の後、次の測定周期の直前に磁軸に
直交するようおかれたトラップ電極対には、それぞれ正
負の電位が与えられ、セル内に残留するイオンは消去さ
れる。
【0044】制御回路6は、プログラマブルシーケンサ
5の指令を受けて、高周波パルス印加に先行し、分析セ
ル内に導入された試料分子に電子ビームを照射し、イオ
ン化する機能、高周波パルス印加時および共鳴信号測定
期間中、電子ビーム照射を遮断する機能、および測定終
了時に残余のイオンを消去する機能等を実行する分析セ
ル内の各電極電圧、熱電子放射用フィラメントのポテン
シャルを制御する回路である。
【0045】前記検出手段7は、前置増幅器20と、高
周波増幅器21と、低域瀘波器22と、高速処理を行う
A/D変換器23とを具備している。前記前置増幅器2
0は、図3に示すように補償信号増幅器24と、測定信
号増幅器25と、周波数合成器26とを具備し、高真空
セル2における受信電極R,R’で誘導されるイオンサ
イクロトロン共鳴周波数を個々に狭帯域増幅した後、合
成して、高周波増幅器21に出力するようになってい
る。
【0046】前記高周波増幅器21は、周波数混合器を
含んでいる(図示せず)。すなわち狭帯域増幅されたイ
オンサイクロトロン共鳴周波数と演算制御手段8から別
途に入力する周波数fo の参照信号との混合処理を行
い、共鳴高周波信号を信号周波数とfo との差周波数の
低周波信号に変換し、その低周波数信号を低域濾波器2
2に送出するようになっている。
【0047】この周波数変換は、通信機器におけるいわ
ゆるヘテロダイン検波と同じ手法で、信号波の増幅情報
を保持し、周波数のみ参照周波数との差周波数に変換す
る。前記参照周波数f0 はイオンサイクロトロン共鳴周
波数よりも高く設定するのが好ましい。低域瀘波器22
は、A/D変換器23におけるAD変換時の折返し信号
を除くもので、その遮断周波数は、予めA/D変換器2
3のクロック周波数の1/2以内に設定される。
【0048】A/D変換器23は、不要周波数帯域が除
去されると共にA/D変換可能な程度の信号レベルにま
で増幅された共鳴信号を、デジタル信号に変換し、演算
制御手段8に出力するようになっている。前記演算制御
手段8は、全体の制御を行うコンピュータ27と、記憶
装置28と、出力装置29と、前記A/D変換器23を
制御するとともにこのA/D変換器23の出力を高速で
取り込み、且つ前記制御回路6および直流電流12に対
し、コンピュータ27からの制御信号を伝送するインタ
ーフェイス30とを具備している。
【0049】こうして、不用周波数帯を除去し、A/D
変換器23に適する信号レベルにまで増幅された共鳴信
号は、A/D変換器23により、デジタル信号に変換さ
れ、インターフェイス30を経て、コンピュータ27に
転送され、時間領域データとして記憶装置28に格納さ
れる。測定後、時間領域データは、コンピュータ27に
よる高速フーリェ変換処理を受けて、周波数領域のデー
タ、すなわち通常の質量スペクトルに変換される。
【0050】当然のことながら、これらの測定制御動作
は、すべてインターフェース30を経由するコンピュー
タ27からの制御信号により、自動的に実行される。ま
ず、測定対象成分につき、分子ピークイオン、またはベ
ースピークイオンを選ぶ。その共鳴各周波数をω0 、印
加静磁場をBとすれば、その間には、式(2)であるω
o =Be/mの関係がある。ただし、mは対象イオンの
質量数、eは電荷である。
【0051】したがって、送信電極に印加する照射周波
数をωo にほぼ等しくすれば、イオンサイクロトロン共
鳴は継続して観測される。しかし静磁場がドリフトし、
Bが変化すれば、式(2)の関係は崩れスペクトル測定
は困難となる。第一の手段では、磁場補償コイル3cに
直流電源12から補償電流を流し、補償磁場ΔBを、永
久磁石による磁場Bo に加え、式(3)であるB=Bo
+ΔBに設定されている。
【0052】いま、永久磁石磁場Bo のドリフトによ
り、Bが変化すれば、共鳴周波数ωoもまた変化するの
で、照射周波数との差が検知される。第一の手段ではこ
の周波数差を磁場変化の誤差信号として、直流電源12
に帰還、Bが一定に保たれるようにΔBを制御する。こ
れにより、永久磁石磁場Bo のドリフトにかかわらず、
長時間にわたる安定な測定が可能となる。
【0053】次に第二の手段について説明する。図6は
本手段の一実施例を示すブロック図である。第二の手段
においては、誤差電圧は磁場ではなくて、周波数に対し
て帰還されるので、コンピュータの制御命令は高周波発
信器4aに与えられる。高周波発信器4aはコンピュー
タの指令により発信周波数、出力電圧および位相を変更
できるいわゆるプログラマブル機能を備える発信器であ
る。具体的には、周波数シンセサイザ、ファンクション
・ジェネレイタ、電圧周波数変換器等が使用されうる。
【0054】測定開始時、式(2)で表されていた基準
周波数ωo が磁場BがB’Nに変化したため、ωo ’に
なったとすれば、磁場の変化率kは式(4)としてk=
B’/Bで与えられる。したがって、補償用高周波源4
c(図3)の出力周波数をkωo になるように制御すれ
ば、基準成分の共鳴条件は保持される。同様に測定用高
周波源4dの周波数もk倍に制御する。
【0055】測定当初にあたり、基準成分の共鳴周波数
ωo を基準値として記憶しておく。また測定周波数ωi
をも同様に記憶しておく。以後連続的または定時間間隔
で測定される共鳴周波数ωo ’により変化率k=ωo
/ωo を求め、補償用高周波源、測定用高周波源それぞ
れの周波数ωo 、ωi にたいして、kωo 、kωi にな
るよう制御する。これにより、静磁場Bの変動にもかか
わらず、長時間にわたり、安定な測定を行うことができ
る。
【0056】さらに第三の手段について説明する。図7
は本手段の一実施例を示すブロック図である。第三の手
段においては、誤差電圧は磁場にも、周波数にも帰還さ
れていないので、コンピュータの制御命令は、直流電源
にも、高周波発信器4aにも与えられていない。また、
高周波発信器は4aは、測定用高周波源4dの他に、補
償用高周波源4cの出力をも送出する(図3参照)。そ
の周波数は、測定対象成分、基準成分それぞれのピーク
の共鳴周波数に等しくしておく。たとえば、窒素の場
合、この周波数は、0.6テスラの磁場で、約345K
Hzとなる。
【0057】測定用高周波源4c,4dからの出力は、
合成され、高周波送信器4bにおいて、パルス変調、電
力増幅を受け、高真空セル2の送信電極T、T’に印加
される。受信電極R、R’に誘起する補償信号、測定信
号は、各々前置増幅器20内で、狭帯域増幅を経て、合
成され、高周波増幅器21に転送される。両信号は、高
周波増幅器21内に含まれる周波数合成器26で、高安
定度の参照信号との差周波数をもった低周波信号に変換
される。
【0058】この周波数変換は、通信機器におけるいわ
ゆるヘテロダイン検波と同様の手法で、信号波の増幅情
報を保持したまま、周波数のみを参照信号周波数との差
周波数に変換する。前記参照周波数f0 は通常信号周波
数よりも高く設定される。この周波数関係を図8に示
す。図8における(a)では、基準成分イオン1の共鳴
周波数をfr1、測定成分イオン2の共鳴周波数をfr2
参照信号の周波数をf0 として表示している。
【0059】共鳴角周波数ωc は、第一の手段と同様に
式(2)であるωc =eB/mによって与えられる。
【0060】すなわち、共鳴周波数は静磁場に比例し、
質量数に反比例する。基準成分Nに対し、測定成分を
たとえばO とすれば、それぞれの共鳴周波数fr1
fr2の関係は、図8における(a)のように表すことが
できる。なお、共鳴周波数fr1はfr2よりも幾分高い値
に選ばれている。周波数合成器26を経て、参照信号の
周波数との差周波数となった信号は、図8における
(a)の下段に示すように、f0 が周波数の基点とな
り、参照周波数f0 と共鳴周波数fr1との差周波数f
a1、参照周波数f0 と共鳴周波数fr2との差周波数fa2
は低周波数となる。ここでは、fa1<fa2であってイオ
ンの質量数の順に表示される。
【0061】いま、周囲温度の変化等により、静磁場B
がドリフトし、kBになったとすれば、fr1、fr2はそ
れぞれkfr1、kfr2となる。ここで係数kは、磁石の
温度係数の程度で、k<10-3〜10-4程度には、従来
技術により製作することが可能である。この状態を図8
における(b)に示す。
【0062】基準信号周波数と測定信号周波とが共にド
リフトし、そのために両周波数の間隔もまた変化してい
る。測定開始にあたり、fr1を測定し、コンピュータに
記憶させておけば、その後の静磁場のドリフト率kは、
その時点での基準成分の共鳴周波数fr1’を測定し、k
=fr1/fr1’{式(5)}により、容易に知ることが
できる。このとき、スペクトルとしてはfa1’にドリフ
トして表示される。
【0063】したがって、スペクトルとして表示される
べき周波数fa1は、式(6)であるfa1={f0 −(f
0 −fa1’)}/kにより、ドリフト補償された共鳴周
波数を得ることができる。同様に、測定成分の共鳴はk
fr2とドリフトしているが、f0 と混合され、その周波
数は、fa2’= f0 −kfr2に変換されている。した
がって、式(7)としてfa2=fo −(fo −fa2’)
・(fo−fa1)/(fo −fa1’)を用い、ドリフト
補償された共鳴周波数が得られる。
【0064】上述したように本実施例によれば、超電導
マグネットに比較し、安定度の劣る永久磁石3をもちい
たフーリェ変換質量分析装置1でも、実用分析に充分な
安定度で、試料気体中の分析対象成分も濃度変化を知る
ことができる。なお、コンピュータ27は転送されたA
D変換後の共鳴信号に対し、フーリェ変換を実行し、基
準成分イオンも共鳴周波数を算出し、記憶装置28に記
憶する。
【0065】この第三の発明の上記実施例における補償
値の計算手順を図9に示す。本発明は、上述した実施例
に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で、種々
の変形が可能である。たとえば、分析対象成分が複数の
場合は、それぞれに対応する測定用高周波源、狭帯域測
定信号増幅器を加えればよい。これは、プラグイン・ユ
ニット型式等で容易に実施することができる。
【0066】たとえば、また対象成分それぞれに対する
高周波源ユニットをプラグインする代わりに、単一周波
数シンセサイザを備え、イオン励起期間の間に、順次照
射周波数を切り替えてもよい。この場合、各イオンに対
する照射時間は、測定成分数だけ短縮されるが、高周波
出力をそれに対応して増大すれば、同等の照射効率を得
ることができる。
【0067】あるいはまた、市販の任意波形発生装置の
ような装置を利用し、必要とする数の周波数の波形の合
成波形をあらかじめ、記憶装置に格納しておき、適切な
周期でこれを読み出して高周波送信器に伝送することも
できる。また本明細書では、静磁場の手段として主に永
久磁石として説明したが、電磁石を用いても同様の効果
を期待できることは言うまでももない。特に電磁石の場
合は励磁電源が備えられているので、第一の手段におい
て、磁場補償用直流電源12を用いることなく、前記誤
差信号を直接励磁電源に負帰還し、静磁場を安定化する
ことができる。
【0068】
【発明の効果】以上に詳述した本発明の作用により、フ
ーリェ変換質量分析計に使用した永久磁石の磁場変動を
補償し、精密質量数の測定により、整数質量数の等しい
試料成分間の分離測定が可能となる。これにより、次の
効果が得られる。 (1)プロセス分析において、混合気体試料の成分分離
が、事実上、実時間で可能になる。
【0069】これにより、従来、プロセス・ガスクロマ
トグラフに頼り、長時間を必要とした成分分離をリアル
タイムで実行することができる。また、多種の単能測定
器を組合わせて使用していた方法のように、対象成分に
制限を受けることなく、プラントより導入されたどのよ
うな気体成分でも分析対象とすることができる。
【0070】本装置によって、多成分のリアルタイム測
定というプロセス分析に本質的な要請に応じるほとんど
唯一の分析法を提供することができる。
【0071】(2)呼気分析において、従来分離できな
かった窒素と一酸化炭素、亜酸化窒素と二酸化炭素等、
生体の呼・吸気の重要な成分の分離測定がリアルタイム
で実行することができる。特に亜酸化窒素と二酸化炭素
との分離が可能になることは全身吸入麻酔時のモニタと
して、適正換気の判定、空気塞栓、シヨックの診断等を
リアルタイムで行えることになる。
【0072】(3)発生ガス分析においても、従来大型
質量分析装置に依存していたところの、イオンを構成す
る元素分析が、小型装置で、しかも短時間で可能とな
る。 (4)窒素酸化物のように短寿命の成分を発生時点で分
析できる等である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1の手段の一実施例装置を示
すブロック図である。
【図2】図2は同装置の高真空セルを示す説明図であ
る。
【図3】図3は同装置の高周波源および検出手段のを示
すブロック図である。
【図4】図4は高真空セルの各電極電位の変化を示すタ
イミングチャートである。
【図5】図5は本発明の第一の手段の一実施例装置の要
部を示すブロック図である。
【図6】図6は本発明の第2の手段の一実施例装置の要
部を示すブロック図である。
【図7】図7は本発明の第3の手段の一実施例装置を示
すブロック図である。
【図8】図8は各イオンの共鳴周波数間の関係と磁場ド
リフトによる周波数変化を示す説明図である。
【図9】図9は本発明の第三の手段の一実施例における
補償値の計算手順を示すプログラムの流れ図である。
【符号の説明】
1 フーリェ変換質量分析装置 2 高真空セル 3 永久磁石 4 高周波源 7 検出手段 8 演算制御手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静磁場内に置かれた高真空セル内に導入
    した試料気体をイオン化し、高真空セルに設けられた照
    射電極対に高周波を印加することにより高周波電場をイ
    オンに印加して、測定対象である特定成分のイオンにイ
    オンサイクロトロン共鳴を誘起させ、前記イオンサイク
    ロトロン共鳴を高周波電気減衰信号として検出し、この
    高周波電気減衰信号をデジタル信号に変換し、時間領域
    信号であるデジタル高周波電気減衰信号を周波数領域信
    号に変換するフーリェ変換質量分析装置において、静磁
    場としての永久磁石または電磁石と、静磁場の変動を補
    償する変動磁場補償コイルおよび高安定直流電源からな
    る磁場発生手段と、磁場の長周期変動を特定成分のイオ
    ン・サイクロトロン共鳴周波数の変化として検出し、そ
    の変化分を磁場変動の誤差信号として、前記高安定直流
    電源に帰還する帰還手段とを備え、静磁場/照射周波数
    比を一定に保持するように磁場を制御することを特徴と
    するフーリェ変換質量分析装置。
  2. 【請求項2】 静磁場内に置かれた高真空セル内に導入
    した試料気体をイオン化し、高安定高周波源から高真空
    セルに設けられた照射電極対に高周波を印加することに
    より高周波電場をイオンに印加して、測定対象である特
    定成分のイオンにイオンサイクロトロン共鳴を誘起さ
    せ、前記イオンサイクロトロン共鳴を高周波電気減衰信
    号として検出し、この高周波電気減衰信号をデジタル信
    号に変換し、時間領域信号であるデジタル高周波電気減
    衰信号を周波数領域信号に変換するフーリェ変換質量分
    析装置において、静磁場としての永久磁石または電磁石
    と、磁場の長周期変動を特定成分のイオン・サイクロト
    ロン共鳴周波数の変化として検出し、その変化分を磁場
    変動の誤差信号として、前記高安定直流電源に帰還する
    帰還手段を備え、静磁場/照射周波数比を一定に保持す
    るように照射周波数を制御することを特徴とするフーリ
    ェ変換質量分析装置。
  3. 【請求項3】 静磁場内に置かれた高真空セル内に導入
    した試料気体をイオン化し、高真空セルに設けられた照
    射電極対に高周波を印加することにより高周波電場をイ
    オンに印加して、測定対象である特定成分のイオンにイ
    オンサイクロトロン共鳴を誘起させ、前記イオンサイク
    ロトロン共鳴を高周波電気減衰信号として検出し、この
    高周波電気減衰信号をデジタル信号に変換し、時間領域
    信号であるデジタル高周波電気減衰信号を周波数領域信
    号に変換するフーリェ変換質量分析装置において、静磁
    場としての永久磁石または電磁石と、磁場の長周期変動
    を特定成分のイオン・サイクロトロン共鳴周波数の変化
    として検出し、その変化分より算出された校正係数を用
    いて、測定された共鳴周波数を校正して出力する校正手
    段とを備えることを特徴とするフーリェ変換質量分析装
    置。
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