JPH0553140U - ケーブル接続部の防水保持具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】メンテナンスを容易に行なえる復元性を備え、
ケーブル接続部への取付作業が簡単であって安価に製作
できる構成のケーブル接続部の防水保持具を提供する。 【構成】本体部に、互いに連通する複数個の入線孔と、
入線孔の開口部近辺の外周面の雄ねじとを形設する。各
雄ねじに螺合する雌ねじを有する袋ナット状のキャップ
に、ケーブルの挿通孔と、内面隅部の雄ねじの未形成部
分全周において雌ねじのピッチ方向に対し斜めに傾斜し
た傾斜部とを形成する。キャップに、ケーブルの外径よ
り僅かに大きな内径と該キャップの雌ねじの未形成部分
の内径と略同じ外径を有する円筒状の弾性体を内装す
る。従って、キャップを本体部に対し締め付ける簡単な
操作で、傾斜部により弾性体がケーブルに押圧されて密
着状態となり、該ケーブルを防水状態に保持し、引っ張
り力等の外力が接続部に及ぶのを阻止して確実に接続状
態を保持する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、湿度の高い場所で２本のケーブルを接続する場合、或いは幹線とな るケーブルから２本以上に分岐する場合等において複数本のケーブルを電気的接 続した接続部を防水状態に被覆し且つ外力に対しケーブルの接続状態を保持する のに用いられるケーブル接続部の防水保持具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、このような用途に対しては、ケーブルの接続部分にカバーを被せてそ の内部に樹脂をモールドする樹脂注入方式、ケーブル自体を特別仕様で製作する 分岐ケーブル、ケーブルの接続部分に被せた熱収縮チューブまたは熱収縮ゴムを 加熱して収縮させる圧縮チューブ方式または圧縮ゴム方式等の手段が主に採用さ れている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

然し乍ら、樹脂注入方式、圧縮チューブ方式および圧縮ゴム方式の手段は作業 性が悪い上に復元性が無いためにメイテナンスが容易でなく、また、分岐ケーブ ルは特別注文で製作されるので高価なものとなる欠点がある。

【０００４】 そこで本考案は、容易にメンテナンスを行なえる復元性を備え、ケーブル接続 部への取付作業が簡単で、しかも安価なケーブル接続部の防水保持具を提供する ことを技術的課題とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記した課題を達成するための技術的手段として、ケーブル接続部 の防水保持具を次のように構成した。即ち、複数本のケーブルの各端部を電気的 接続状態に接続した接続部を防水状態に被覆し且つ接続状態を保持するためのケ ーブル接続部の防水保持具において、互いに連通する複数個の入線孔を有し、該 各入線孔の開口部近辺の外周面に雄ねじが各々形成された本体部と、ケーブルの 挿通孔を有する袋ナット状の外体を有し、その内周面に前記雄ねじに螺合する雌 ねじが形成され、内面隅部の前記雌ねじの未形成部分全周に前記雌ねじのピッチ 方向に対し斜めに傾斜した傾斜部が形成されたキャップと、ケーブルの外径より 僅かに大きな内径と前記キャップの前記雌ねじの未形成部分の内径と略同じ外径 とを有する円筒形状に形成されて前記キャップに内装された弾性体とを具備して なることを特徴として構成されている。

【０００６】

【作用】

ケーブル接続部への取り付けに際しては、各ケーブルの接続すべき端部の芯線 を露出させてこのケーブルをキャップおよびこのキャップに内装された弾性体に 挿通させた後に、この各ケーブルを本体部の入線孔に挿入或いは挿通させ、且つ 各々の芯線を本体部の外部に導出した状態で芯線の端部同士を圧着または半田付 け等の周知の手段で電気的接続し、更に絶縁処理を施した上で本体部無いに収納 した後に、各キャップを本体部に螺合する。そして、各キャップを本体部に向か って締め付けてゆくことにより、本体部の入線孔の周端面に当接した弾性体が、 本体部に向かって螺入するキャップの傾斜部により圧縮されつつケーブルに向か って押圧され、更に締め付けてゆくことにより、円筒状の弾性体の内周面がケー ブルの外被に密着するとともに、ケーブルは弾性体によって押圧保持される。圧 縮状態に密接した弾性体によりケーブルの外被の外周面と本体部との間が密封さ れて確実に防水されるとともに、弾性体によりケーブルを締め付けているので、 引っ張り力等の外力が接続部に加わるのを阻止することができ、接続状態を確実 に保持することができる。

【０００７】 このケーブル接続部の防水保持具は、キャップを締め付ける簡単な作業でケー ブルを防水状態に接続保持することができ、キャップを回転させて本体部から外 すことによりケーブルの接続を解除できる復元性を備えているので、メンテナン スが容易となる。しかも、構成が簡単であって安価に製作できる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の好適な実施例について図面を参照しながら詳述する。図１は２ 本のケーブルの接続部を防水保持する場合に適用した本考案の一実施例の半部切 断正面図で、図２（ａ），（ｂ）はそれぞれ図１におけるＡ−Ａ線断面図および Ｂ−Ｂ線断面図を示す。これらの図において、本体部（１）は、略円筒形状であ って両側開口部が互いに連通する入線孔（２）になっており、この両側の各入線 孔（２）の開口部近辺の外周面に雄ねじ（３）が各々形成されている。また、本 体部（１）の中央部外周面に、図２（ａ）に示すように六角形部（４）が形設さ れている。

【０００９】 この本体部（１）の両側にそれぞれ螺着される同一形状の各キャップ（５）は 、後述のケーブルの挿通孔（６）を有する外面が六角形となった袋ナット状の形 態になっており、その内周面に前記雄ねじ（３）に螺合する雌ねじ（７）が形成 され、内面隅部の前記雌ねじ（７）の未形成部分全周に該雌ねじ（７）のピッチ 方向に対し斜めに傾斜した傾斜部（８）が形成されている。

【００１０】 各キャップ（５）には、ケーブルの（１１）の外径より僅かに大きな内径と該 キャップ（５）における雌ねじ（７）の未形成部分の内径と略同じ外径とを有す る円筒形状に形成されたゴム等からなる弾性体（９）と、ナイロンまたはジュラ コンからなるリング状の摺動潤滑板（１０）とが内装されている。接続すべき各 ケーブル（１１）として、図２（ｂ）に示すように、この実施例では被覆部（１ ３）で被覆された芯線（１２）が外被に３本挿通された３芯のものを示してある 。そして、各ケーブル（１１）の接続すべき先端部において外被から被覆状態の 各芯線（１２）を露出させて分岐するとともに、図２（ａ）に示すように個々の 筒状導体接続部（１４）内において各芯線（１２）の端部が相互に電気的接続さ れている。

【００１１】 ケーブル（１１）の接続部に取り付けるに際しては、各ケーブル（１１）の接 続すべき端部の芯線（１２）を露出させてこのケーブル（１１）をキャップ（５ ）、弾性体（９）および摺動潤滑板（１０）にそれぞれ挿通させ、何れか一方の ケーブル（１１）を一方の入線孔（２）から本体部（１）内を挿通させ、両ケー ブル（１１）の各芯線（１２）の対応するもの同士を個々の導体接続部（１４） に両側から挿入して相互の芯線（１２）を電気的接続状態に接続する。この導体 接続部（１４）としては、絶縁被覆を有する圧着端子等を用いるか、或いはテー プ等の絶縁物により相互に絶縁処理を施す手段を用いる。この状態の導体接続部 （１４）を本体（１）内に挿入した後に両キャップ（５）の雌ねじ（７）を本体 部（１）の雄ねじ（３）に螺合する。そして、六角形部（４）により本体部（１ ）を回り止めしながら両キャップ（５）を本体部（１）に向かって締め付けてゆ くことにより、本体部（１）の入線孔（２）の周端面に当接した弾性体（９）が 、本体部（１）に向かって螺入する各キャップ（５）の傾斜部（８）により圧縮 されつつケーブル（１１）に向かって押圧され、更に締め付けてゆくことにより 、円筒状の弾性体（９）の内周面がケーブル（１１）の外被に密着するとともに 、ケーブル（１１）は弾性体（９）によって押圧保持される。圧縮状態に密接し た弾性体（９）によりケーブル（１１）の外被の外周面と本体部（１）との間が 密封されて確実に防水されるとともに、弾性体（９）によりケーブル（１１）を 締め付けているので、引っ張り力等の外力が接続部に加わるのを阻止することが でき、接続状態を確実に保持することができる。尚、前述の両キャップ（５）の 締め付け操作時、摺動潤滑板（１０）によりキャップ（５）の回転が容易となっ てキャップ（５）を円滑に螺入できる。

【００１２】 このケーブル接続部の防水保持具は、キャップ（５）を締め付ける簡単な作業 でケーブル（１１）を防水状態に接続保持することができ、キャップ（５）を回 転させて本体部（１）から外すことによりケーブル（１１）の接続を解除できる 復元性を備えているので、メンテナンスが容易となる。しかも、構成が簡単であ って安価に製作できる。

【００１３】 図３は３本のケーブル（１１）の接続部を防水保持する場合に適用した本考案 の他の実施例の一部破断正面図で、説明を簡略化して理解を容易にするために、 図１および図２と実質的に同等のものには同一の符号を付してある。そして、主 に相違する点は、本体部（１５）をＴ字形状として三方に入線孔（１６）を有す る形状とし、導体接続部（１７）をＴ字形状とした構成のみであり、図１で同一 の構成要素を２個一対設けたのに対し同一の構成要素を３個一組設けるよう変形 されているのみで、前記実施例と同様の効果を得られるものである。

【００１４】 尚、図３ではＴ字形状の外形のものを例示したが、Ｙ字形状とすれば、ケーブ ルを本体部内に挿通させて芯線を外部に導出する作業を容易に行ない得る利点が ある。

【００１５】

【考案の効果】

以上のように本考案のケーブル接続部の防水保持具によると、本体部に対しキ ャップを締め付ける簡単な作業により圧縮させた弾性体でケーブルを防水状態に 接続保持することができ、キャップを回転させて本体部から外すことによりケー ブルの接続を解除できる復元性を備えているので、メンテナンスが容易となる。 しかも、構成が極めて簡単であって安価に製作できる。

【００１６】 また、圧縮状態に密接した弾性体によりケーブルの外被の外周面と本体部との 間が密封されて確実に防水されるとともに、弾性体によりケーブルを締め付けて いるので、引っ張り力等の外力が接続部に加わるのを阻止することができ、接続 状態を確実に保持することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の半部切断正面図である。

【図２】（ａ），（ｂ）は同上のＡ−Ａ線断面図および
Ｂ−Ｂ線断面図である。

【図３】本考案の他の実施例の一部破断正面図てある。

【符号の説明】

１，１５ 本体部 ２ 入線孔 ３ 雄ねじ ５ キャップ ６ 挿通孔 ７ 雌ねじ ８ 傾斜部 ９ 弾性体 １１ ケーブル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数本のケーブルの各端部を電気的接続
   状態に接続した接続部を防水状態に被覆し且つ接続状態
   を保持するためのケーブル接続部の防水保持具におい
   て、互いに連通する複数個の入線孔を有し、該各入線孔
   の開口部近辺の外周面に雄ねじが各々形成された本体部
   と、ケーブルの挿通孔を有する袋ナット状の外体を有
   し、その内周面に前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成さ
   れ、内面隅部の前記雌ねじの未形成部分全周に前記雌ね
   じのピッチ方向に対し斜めに傾斜した傾斜部が形成され
   たキャップと、ケーブルの外径より僅かに大きな内径と
   前記キャップの前記雌ねじの未形成部分の内径と略同じ
   外径とを有する円筒形状に形成されて前記キャップに内
   装された弾性体とを具備してなるケーブル接続部の防水
   保持具。