JPH0550334A - 高低圧一体ロータの製造法 - Google Patents
高低圧一体ロータの製造法Info
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- JPH0550334A JPH0550334A JP20581391A JP20581391A JPH0550334A JP H0550334 A JPH0550334 A JP H0550334A JP 20581391 A JP20581391 A JP 20581391A JP 20581391 A JP20581391 A JP 20581391A JP H0550334 A JPH0550334 A JP H0550334A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は高圧ロータ、低圧ロータ素体を溶接
して一体にするにあたり、高、底側部分の特性を十分に
確保すると共に溶接接合部における硬化を低下し、機械
的性質が良好でかつ応力腐食割れ等の発生しないすぐれ
た靭性を有する高低圧一体ロータの製造法を提供する。 【構成】 それぞれの適正成分を有し、鍛造で成形した
高圧側および低圧側ロータ素体を、その溶接予定面をバ
タリング溶接した後それぞれの特性を確保させるための
熱処理を施し、その後両ロータ素体を突合せ溶接するこ
とにより、溶接部の硬化を低減し、すぐれた特性を有す
る高低圧一体ロータを製造する。
して一体にするにあたり、高、底側部分の特性を十分に
確保すると共に溶接接合部における硬化を低下し、機械
的性質が良好でかつ応力腐食割れ等の発生しないすぐれ
た靭性を有する高低圧一体ロータの製造法を提供する。 【構成】 それぞれの適正成分を有し、鍛造で成形した
高圧側および低圧側ロータ素体を、その溶接予定面をバ
タリング溶接した後それぞれの特性を確保させるための
熱処理を施し、その後両ロータ素体を突合せ溶接するこ
とにより、溶接部の硬化を低減し、すぐれた特性を有す
る高低圧一体ロータを製造する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発電用の高圧、低圧一
体のタービンロータの製造法に関わる。
体のタービンロータの製造法に関わる。
【0002】
【従来の技術】発電設備の高性能化と機構の簡略化か
ら、低温の蒸気に曝される低圧部と、高温の蒸気に曝さ
れる高圧部を、一体化したローラが使用される傾向が強
くなり、最近では、かなりの大容量の発電機のタービン
にも、この種のロータが使用されるようになって来た。
ら、低温の蒸気に曝される低圧部と、高温の蒸気に曝さ
れる高圧部を、一体化したローラが使用される傾向が強
くなり、最近では、かなりの大容量の発電機のタービン
にも、この種のロータが使用されるようになって来た。
【0003】これらのロータは従来高圧部から低圧部迄
同一の成分を持つ鋼で構成されていたが、ロータの大型
化に伴い、同一成分の鋼で高圧部と低圧部のそれぞれの
特性を作り分けることは困難になって来た。すなわち、
高圧側では、高温蒸気に耐える耐熱性およびクリープ特
性が要求され、また低圧側では翼長が大きくなることか
ら切欠き靭性が求められ、それぞれの特性を具備する必
要があるからである。これらの問題に対処する方法とし
て、例えば、特公昭52−4254号公報のように、異
成分よりなる鍛鋼棒材を接合した鋼塊素材を、エレクト
ロスラグ法等で再溶解して複合鋼塊を製造し、それを鍛
造して高低圧一体タービンロータとする方法や、特公昭
55−27813号公報にみられるように、成分の異な
る鋼塊をエレクトロスラグ溶接にて溶接接合して一体の
ロータ素体とし、該ロータ素体を仕上鍛造した後、それ
ぞれの成分範囲部分を異なる保定温度で熱処理する方法
などが提案されているが、いずれも工業的、性能的にみ
て不十分な点があり、実際ロータとして製造、使用され
る迄には至っていない。
同一の成分を持つ鋼で構成されていたが、ロータの大型
化に伴い、同一成分の鋼で高圧部と低圧部のそれぞれの
特性を作り分けることは困難になって来た。すなわち、
高圧側では、高温蒸気に耐える耐熱性およびクリープ特
性が要求され、また低圧側では翼長が大きくなることか
ら切欠き靭性が求められ、それぞれの特性を具備する必
要があるからである。これらの問題に対処する方法とし
て、例えば、特公昭52−4254号公報のように、異
成分よりなる鍛鋼棒材を接合した鋼塊素材を、エレクト
ロスラグ法等で再溶解して複合鋼塊を製造し、それを鍛
造して高低圧一体タービンロータとする方法や、特公昭
55−27813号公報にみられるように、成分の異な
る鋼塊をエレクトロスラグ溶接にて溶接接合して一体の
ロータ素体とし、該ロータ素体を仕上鍛造した後、それ
ぞれの成分範囲部分を異なる保定温度で熱処理する方法
などが提案されているが、いずれも工業的、性能的にみ
て不十分な点があり、実際ロータとして製造、使用され
る迄には至っていない。
【0004】すなわち、特公昭52−4254号公報の
異成分の複合鋼塊は同一鋼塊の上下に化学成分の異った
鋼を注入して、上下の二鋼種が混合することなく、しか
も完全に融合する具体的技術が確立しておらず、又仮り
に確立したとしても、鋼塊の後工程での鍛造成型で両成
分部分を高圧部分、低圧部分に正確に位置づけることは
殆んど困難といえる。また特公昭55−27813号公
報の成分の異なる二つの鋼塊をエレクトロスラグ溶接に
て溶接接合しても、鍛造成型で両成分部分を同様に鍛造
にて正確に造り分けることは極めて難しい。
異成分の複合鋼塊は同一鋼塊の上下に化学成分の異った
鋼を注入して、上下の二鋼種が混合することなく、しか
も完全に融合する具体的技術が確立しておらず、又仮り
に確立したとしても、鋼塊の後工程での鍛造成型で両成
分部分を高圧部分、低圧部分に正確に位置づけることは
殆んど困難といえる。また特公昭55−27813号公
報の成分の異なる二つの鋼塊をエレクトロスラグ溶接に
て溶接接合しても、鍛造成型で両成分部分を同様に鍛造
にて正確に造り分けることは極めて難しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような問題点を解
消するために、高圧ロータと低圧ロータを一体化する従
来技術の代表的な方法として、それぞれのロータ材を仕
上鍛造および調質(焼入、焼戻)後、溶接接合する方式
があるが、この場合、溶接部が著しく硬化する。この溶
接硬化部は、その後の機械加工を困難にし、さらに使用
中の応力腐食割れ(SCC)発生の危険性を高め、また
靭性不足による破壊が懸念されるため、その硬化を防止
する必要がある。
消するために、高圧ロータと低圧ロータを一体化する従
来技術の代表的な方法として、それぞれのロータ材を仕
上鍛造および調質(焼入、焼戻)後、溶接接合する方式
があるが、この場合、溶接部が著しく硬化する。この溶
接硬化部は、その後の機械加工を困難にし、さらに使用
中の応力腐食割れ(SCC)発生の危険性を高め、また
靭性不足による破壊が懸念されるため、その硬化を防止
する必要がある。
【0006】本発明は、このような要請に応えるべく、
溶接型高低圧一体ロータの製造において、溶接部の硬化
の低減しうる製造法を提供することを目的とするもので
ある。
溶接型高低圧一体ロータの製造において、溶接部の硬化
の低減しうる製造法を提供することを目的とするもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するためなされたものであって、その要旨とするとこ
ろは高圧部で優れた強度とクリープ破断特性、低圧部で
優れた強度と靭性を持つようにそれぞれの有効な成分を
配したロータ素体を溶接にて一体化させることによって
製造することを基本とし、その溶接の工程において低圧
側ロータと高圧側ロータの溶接予定面を、同一か又はそ
れぞれの化学成分を持つ溶接金属でバタリング溶接し、
その後、高,低圧それぞれのロータとしての特性を確保
するための所定の熱処理条件で熱処理を行った後に、突
合せ溶接を行うことを特徴とする溶接型高低圧一体ロー
タの製造法である。
成するためなされたものであって、その要旨とするとこ
ろは高圧部で優れた強度とクリープ破断特性、低圧部で
優れた強度と靭性を持つようにそれぞれの有効な成分を
配したロータ素体を溶接にて一体化させることによって
製造することを基本とし、その溶接の工程において低圧
側ロータと高圧側ロータの溶接予定面を、同一か又はそ
れぞれの化学成分を持つ溶接金属でバタリング溶接し、
その後、高,低圧それぞれのロータとしての特性を確保
するための所定の熱処理条件で熱処理を行った後に、突
合せ溶接を行うことを特徴とする溶接型高低圧一体ロー
タの製造法である。
【0008】また、本発明は、前述の方法とは逆に、高
圧部素体、低圧部素体を先ず、それぞれ最終特性を確保
のための所定の熱処理条件で熱処理を施こし、次にこれ
らの溶接予定面をバタリング溶接し、バタリングによっ
て生じた溶接硬化部を軟化するための熱処理を施こした
後に、突合せ溶接接合することを特徴とする高低圧一体
型ロータを製造する方法も別の要旨とするものである。
圧部素体、低圧部素体を先ず、それぞれ最終特性を確保
のための所定の熱処理条件で熱処理を施こし、次にこれ
らの溶接予定面をバタリング溶接し、バタリングによっ
て生じた溶接硬化部を軟化するための熱処理を施こした
後に、突合せ溶接接合することを特徴とする高低圧一体
型ロータを製造する方法も別の要旨とするものである。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明は、高低圧一体ロータにおいて、そ
の高圧部と低圧部が遭遇する使用条件に対して、必要な
性質を具備し得るために、適正な化学成分を有するそれ
ぞれの鋼を鍛造して別個のロータ素体とし、これらの素
体を溶接後鍛造することなく、熱処理のみにてそれぞれ
のロータ部分の特性を確保する製造方法である。この際
低圧側ロータ素体と高圧側ロータ素体の溶接予定面をバ
タリング溶接する。その後それぞれのバタリング溶接部
を含むロータ素体を、ロータとしての最終特性を確保す
るための、所定の熱処理条件で熱処理を行った後、バタ
リング溶接を行った両溶接予定面を突合せて溶接接合す
ることを特徴とする溶接型高低圧一体ロータの製造法で
ある。
の高圧部と低圧部が遭遇する使用条件に対して、必要な
性質を具備し得るために、適正な化学成分を有するそれ
ぞれの鋼を鍛造して別個のロータ素体とし、これらの素
体を溶接後鍛造することなく、熱処理のみにてそれぞれ
のロータ部分の特性を確保する製造方法である。この際
低圧側ロータ素体と高圧側ロータ素体の溶接予定面をバ
タリング溶接する。その後それぞれのバタリング溶接部
を含むロータ素体を、ロータとしての最終特性を確保す
るための、所定の熱処理条件で熱処理を行った後、バタ
リング溶接を行った両溶接予定面を突合せて溶接接合す
ることを特徴とする溶接型高低圧一体ロータの製造法で
ある。
【0011】上記高圧側ロータは、蒸気温度が高く、ロ
ータそのものも高温に曝されるためクリープ破断強度、
高温強度が要求され、これらの特性を確保するために、
Cr,Mo等を多く添加するとよく、一方低温側ロータ
は圧力が低く蒸気量が多いため、ロータ径は大きくな
り、一体型ロータでの周速度が大きくなるため、高靭性
が要求される。そのためにCr,Moを低く目にし、N
iを高めに添加することが好ましい。
ータそのものも高温に曝されるためクリープ破断強度、
高温強度が要求され、これらの特性を確保するために、
Cr,Mo等を多く添加するとよく、一方低温側ロータ
は圧力が低く蒸気量が多いため、ロータ径は大きくな
り、一体型ロータでの周速度が大きくなるため、高靭性
が要求される。そのためにCr,Moを低く目にし、N
iを高めに添加することが好ましい。
【0012】また、高,低圧ロータに施す熱処理は、そ
れぞれの特性を付与するために別々の条件で実施する
が、これは、実施例に示すような焼入れ−焼戻処理を採
用する。
れぞれの特性を付与するために別々の条件で実施する
が、これは、実施例に示すような焼入れ−焼戻処理を採
用する。
【0013】なお、バタリング溶接はその後に行う突合
せ溶接に際して、その熱影響部がそれぞれの母材部分に
かからない程度の厚みになる溶着量とすることが好まし
く、その溶接方法はTIG溶接、MIG溶接、潜弧溶接
などで行えばよく特に限定しない。また、突合せ溶接方
法についてはTIG溶接、MIG溶接、潜弧溶接、電子
ビーム溶接などがあるが、これらの溶接法を単独か、又
は2種以上の溶接法を組合せることにより製造すること
ができる。尚、一体化突合せ溶接後は必要に応じ応力除
去焼鈍を施すことが好ましい。
せ溶接に際して、その熱影響部がそれぞれの母材部分に
かからない程度の厚みになる溶着量とすることが好まし
く、その溶接方法はTIG溶接、MIG溶接、潜弧溶接
などで行えばよく特に限定しない。また、突合せ溶接方
法についてはTIG溶接、MIG溶接、潜弧溶接、電子
ビーム溶接などがあるが、これらの溶接法を単独か、又
は2種以上の溶接法を組合せることにより製造すること
ができる。尚、一体化突合せ溶接後は必要に応じ応力除
去焼鈍を施すことが好ましい。
【0014】
【作用】本発明に係わる高低圧一体型タービンロータの
製造方法で製造されたロータは、従来製造されているロ
ータの製造方法によるロータに較べ、高圧部および低圧
部の強度、靭性がそれぞれの部分が必要とする値を、充
分クリアーするのみでなく、高圧部(高,中圧部)の高
温強度も優れるなど、遥かに高性能の特性を確保するこ
とが可能であり、しかも、バタリング溶接後のロータ素
体側に現出した溶接熱影響部の硬化層がバタリング溶接
後の所定の熱処理により消去されることにより、硬さが
大きいことによるSCC(応力腐蝕割れ)の懸念がない
と言う優れた特徴を有する。
製造方法で製造されたロータは、従来製造されているロ
ータの製造方法によるロータに較べ、高圧部および低圧
部の強度、靭性がそれぞれの部分が必要とする値を、充
分クリアーするのみでなく、高圧部(高,中圧部)の高
温強度も優れるなど、遥かに高性能の特性を確保するこ
とが可能であり、しかも、バタリング溶接後のロータ素
体側に現出した溶接熱影響部の硬化層がバタリング溶接
後の所定の熱処理により消去されることにより、硬さが
大きいことによるSCC(応力腐蝕割れ)の懸念がない
と言う優れた特徴を有する。
【0015】又、低圧部と高圧部のそれぞれのバタリン
グ溶接の際の溶接金属材料を選択することや、続いて行
われる突合せ接合溶接の際の溶接金属材料を選択するこ
とにより得られた高低圧一体ロータの溶接部分が硬化す
ることによるSCC発生の懸念や靭性、延性不足による
破壊の懸念が消失すると言う利点が得られる。
グ溶接の際の溶接金属材料を選択することや、続いて行
われる突合せ接合溶接の際の溶接金属材料を選択するこ
とにより得られた高低圧一体ロータの溶接部分が硬化す
ることによるSCC発生の懸念や靭性、延性不足による
破壊の懸念が消失すると言う利点が得られる。
【0016】
実施例1 次に本発明を実施例によって更に詳細に説明する。
【0017】先ず表1に示す化学成分を持つ高圧側、お
よび低圧側のロータ素体を各々溶製した。
よび低圧側のロータ素体を各々溶製した。
【0018】
【表1】
【0019】次にこれらを実際のロータの溶接部分を想
定した外径500mmφ、内径100mmφ、長さ300mm
の中空円筒を製作し、第3段階としてこれらを開先加工
を行った最終的溶接接合予定面であるドーナツ状の面
に、それぞれのロータ素体とは異なる成分を持つ溶接ワ
イヤを用いてバタリング溶接を行った。バタリング溶接
に用いたワイヤは表2に示す成分を持つもので溶接方法
は交流MIG溶接法である。
定した外径500mmφ、内径100mmφ、長さ300mm
の中空円筒を製作し、第3段階としてこれらを開先加工
を行った最終的溶接接合予定面であるドーナツ状の面
に、それぞれのロータ素体とは異なる成分を持つ溶接ワ
イヤを用いてバタリング溶接を行った。バタリング溶接
に用いたワイヤは表2に示す成分を持つもので溶接方法
は交流MIG溶接法である。
【0020】
【表2】
【0021】バタリング溶接後、高圧側、低圧側それぞ
れのロータ素体を、所定の機械的性質を得るため表3に
示す熱処理を行った。
れのロータ素体を、所定の機械的性質を得るため表3に
示す熱処理を行った。
【0022】
【表3】
【0023】その後予定突合せ接合面をバタリング溶接
金属が十分に残存するように(この場合、突合せ溶接時
に、その溶接熱が高圧、低圧それぞれの母材へ材質的影
響を与えないようにして)開先加工を行い、交流MIG
溶接法にて、突合せ溶接を行った。突合せ溶接後更に、
溶接残留応力除去と溶接部硬化層を軟化する目的で56
0℃×6hrの焼鈍を行った。
金属が十分に残存するように(この場合、突合せ溶接時
に、その溶接熱が高圧、低圧それぞれの母材へ材質的影
響を与えないようにして)開先加工を行い、交流MIG
溶接法にて、突合せ溶接を行った。突合せ溶接後更に、
溶接残留応力除去と溶接部硬化層を軟化する目的で56
0℃×6hrの焼鈍を行った。
【0024】一方、比較のために高圧側ロータ素体と低
圧側ロータ素体をそれぞれ所定の熱処理を行った後、バ
タリング溶接による開先面の肉盛りなしに突合せ溶接を
行い、560℃×6hrの焼鈍を行ったものを試作した。
圧側ロータ素体をそれぞれ所定の熱処理を行った後、バ
タリング溶接による開先面の肉盛りなしに突合せ溶接を
行い、560℃×6hrの焼鈍を行ったものを試作した。
【0025】両者の溶接継手部分の硬さ分布および2mm
Vノッチ衝撃試験の結果を図1、および表4に示す。
Vノッチ衝撃試験の結果を図1、および表4に示す。
【0026】
【表4】
【0027】本発明による製造方法を採用したロータ
の、溶接継手部分の機械的性質は、比較のための製造方
法によるそれとは大きく異っており、十分なる特性を有
することがわかる。比較法のそれは、溶接部の硬さが、
溶接後の焼鈍を行っても十分な低下が見られておらず、
ロータ使用時におけるSCC発生の懸念があって危険で
ある。
の、溶接継手部分の機械的性質は、比較のための製造方
法によるそれとは大きく異っており、十分なる特性を有
することがわかる。比較法のそれは、溶接部の硬さが、
溶接後の焼鈍を行っても十分な低下が見られておらず、
ロータ使用時におけるSCC発生の懸念があって危険で
ある。
【0028】実施例2 次に、本発明の請求項2に関する実施例について説明す
る。前述の実施例1と同一の化学成分の高圧側および低
圧側ロータ素体を各々溶製し、外径500mmφ、内径1
00mmφ、長さ300mmの中空円筒を製作した後、高圧
材、低圧材それぞれ所定の機械的性質を得るために表3
に示す熱処理を行った。その後、それぞれの溶接接合予
定面のドーナツ状の面に、それぞれのロータ素体とは異
なる成分を持つ溶接ワイヤを用いてバタリング溶接を行
った。バタリング溶接に用いたワイヤは、表2に示す成
分を持つもので、溶接方法は交流MIG溶接法である。
る。前述の実施例1と同一の化学成分の高圧側および低
圧側ロータ素体を各々溶製し、外径500mmφ、内径1
00mmφ、長さ300mmの中空円筒を製作した後、高圧
材、低圧材それぞれ所定の機械的性質を得るために表3
に示す熱処理を行った。その後、それぞれの溶接接合予
定面のドーナツ状の面に、それぞれのロータ素体とは異
なる成分を持つ溶接ワイヤを用いてバタリング溶接を行
った。バタリング溶接に用いたワイヤは、表2に示す成
分を持つもので、溶接方法は交流MIG溶接法である。
【0029】バタリング溶接後、溶接部の硬化層を軟化
する目的で焼鈍を行った。この軟化焼鈍は、高圧側ロー
タ素体および低圧側ロータ素体の母材の材質を損わない
ようにするため、それぞれの焼戻温度を越えないように
する必要がある。そのため、高圧側ロータ素体は640
℃×6hr、低圧側ロータ素体は560℃×6hrとした。
この場合、バタリング溶接部分を局部的加熱により焼鈍
する場合は、焼鈍温度を高めて保持時間を短縮すること
ができる。
する目的で焼鈍を行った。この軟化焼鈍は、高圧側ロー
タ素体および低圧側ロータ素体の母材の材質を損わない
ようにするため、それぞれの焼戻温度を越えないように
する必要がある。そのため、高圧側ロータ素体は640
℃×6hr、低圧側ロータ素体は560℃×6hrとした。
この場合、バタリング溶接部分を局部的加熱により焼鈍
する場合は、焼鈍温度を高めて保持時間を短縮すること
ができる。
【0030】次いで軟化焼鈍後、突合せ予定接合面を、
バタリング溶接金属が十分残存するようにして開先加工
を行い、交流MIG溶接法にて突合せ溶接を行った。突
合せ溶接後更に、溶接残留応力除去と溶接部硬化層を軟
化する目的で560℃×6hrの焼鈍を行った。
バタリング溶接金属が十分残存するようにして開先加工
を行い、交流MIG溶接法にて突合せ溶接を行った。突
合せ溶接後更に、溶接残留応力除去と溶接部硬化層を軟
化する目的で560℃×6hrの焼鈍を行った。
【0031】本発明による溶接継手部分の硬さ分布およ
び室温における2mmVノッチ衝撃試験の結果を図2およ
び表4に示す(図および表中では本発明(2)として示
す。)。比較材は実施例1のデータと同じ値を示す。
び室温における2mmVノッチ衝撃試験の結果を図2およ
び表4に示す(図および表中では本発明(2)として示
す。)。比較材は実施例1のデータと同じ値を示す。
【0032】
【発明の効果】以上説明でもわかるように、本発明の高
低圧一体ロータの製造法により、高圧部分と低圧部分の
特性を十分確保でき、しかも溶接接合部の機械的性質が
良好で、且つSCCの懸念のない高低圧一体ローラの製
造が可能である。
低圧一体ロータの製造法により、高圧部分と低圧部分の
特性を十分確保でき、しかも溶接接合部の機械的性質が
良好で、且つSCCの懸念のない高低圧一体ローラの製
造が可能である。
【図1】本発明実施例1および比較法によって製造した
高低圧一体ロータの溶接接合部分の硬さ分布を示す図で
ある。
高低圧一体ロータの溶接接合部分の硬さ分布を示す図で
ある。
【図2】本発明実施例2および比較法によって製造した
高低圧一体ロータの溶接接合部分の硬さ分布を示す図で
ある。
高低圧一体ロータの溶接接合部分の硬さ分布を示す図で
ある。
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】発電設備の高性能化と機構の簡略化か
ら、低温の蒸気に曝される低圧部と、高温の蒸気に曝さ
れる高圧部を、一体化したロータが使用される傾向が強
くなり、最近では、かなりの大容量の発電機のタービン
にも、この種のロータが使用されるようになって来た。
ら、低温の蒸気に曝される低圧部と、高温の蒸気に曝さ
れる高圧部を、一体化したロータが使用される傾向が強
くなり、最近では、かなりの大容量の発電機のタービン
にも、この種のロータが使用されるようになって来た。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】
【発明の効果】以上説明でもわかるように、本発明の高
低圧一体ロータの製造法により、高圧部分と低圧部分の
特性を十分確保でき、しかも溶接接合部の機械的性質が
良好で、且つSCCの懸念のない高低圧一体ロータの製
造が可能である。
低圧一体ロータの製造法により、高圧部分と低圧部分の
特性を十分確保でき、しかも溶接接合部の機械的性質が
良好で、且つSCCの懸念のない高低圧一体ロータの製
造が可能である。
Claims (2)
- 【請求項1】 低圧側ロータと高圧側ロータを溶接で一
体とし、高低圧一体ロータを製造する溶接過程におい
て、低圧側および、高圧側としてそれぞれの成分を有す
る鋼塊を鍛造して成る低圧側ロータ素体と高圧側ロータ
素体の溶接予定面をバタリング溶接し、その後低圧側素
体および高圧側素体にそれぞれの特性を確保する熱処理
を施してから、各々を突合せ溶接して成る溶接型高低圧
一体ロータの製造法。 - 【請求項2】 低圧側ロータと高圧側ロータを溶接で一
体とし、高低圧一体ロータを製造する溶接過程におい
て、低圧側および高圧側としてそれぞれの成分を有する
鋼塊を、鍛造して成る低圧側および高圧側ロータ素体の
各々に、先ずそれぞれの特性確保のための熱処理を行っ
た後、溶接予定面を、バタリング溶接し、更にバタリン
グ溶接硬化部の軟化熱処理を実施後、各々を突合せ溶接
して成る溶接型高低圧一体ロータの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20581391A JP2849496B2 (ja) | 1991-08-16 | 1991-08-16 | 高低圧一体ロータの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20581391A JP2849496B2 (ja) | 1991-08-16 | 1991-08-16 | 高低圧一体ロータの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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