JPH0550182A - 消失模型鋳造法及び鋳枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 消失模型を鋳砂中に埋没させた後、この消失
模型内に溶湯を注入し、消失模型を溶湯で置換する消失
模型鋳造法において、上記消失模型を内部連通空間を有
する３次元網状骨格構造をなしたセラミック多孔体上に
載置した状態で消失模型を鋳砂中に埋没し、溶湯を注入
することを特徴とする消失模型鋳造法及び消失模型が入
れられると共に、この消失模型を埋没する鋳砂が入れら
れる消失模型鋳造法用鋳枠において、鋳枠本体内に上記
消失模型が載置される内部連通空間を有する３次元網状
骨格構造をなしたセラミック多孔体を配設したことを特
徴とする消失模型鋳造法用鋳枠を提供する。 【効果】 本発明によれば、消失模型鋳造法の実施にお
いて、底面の平坦化操作を省略でき、また模型から発生
する排ガスの排出性が良好なものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、消失模型鋳造法及びこ
れに用いる鋳枠に関する。

【０００２】

【従来の技術】消失模型鋳造法は、砂型鋳造法に比べ
て、中空部材を製造する際に中子を必要としない、鋳砂
に粘結剤を混入させないので鋳砂の回収や再利用が可能
である、複雑な形状のものにも適用できるなどの利点が
あるため、従来より広く使用されている。

【０００３】この消失模型鋳造法としては、従来、図４
〜７に示すように、振動モーターａによって振動可能な
振動テーブルｂ上に鋳枠ｃを置き、この鋳枠ｃ内に床砂
（鋳砂）ｄを入れ（図４）、加振して床砂ｄをかたく詰
め、次いで床砂ｄを平らな面とする平面化を行なった
後、消失模型ｅを鋳枠ｃの床砂ｄ上に載置し（図５）、
更に鋳枠ｃ内に鋳砂を入れ（砂入れ）、加振することを
１回又は必要回数繰り返して模型ｅを鋳砂ｆに埋没させ
（図６）、次に模型ｅに湯口カップｇを取り付け（図
７）、この湯口カップｇから溶湯を模型ｅに供給（注
湯）する方法が一般に採用されている。

【０００４】この場合、模型ｅは発泡プラスチック等に
より形成され、湯口カップｇから高温の溶融金属が注入
されると、模型が直ちに熱分解，ガス化し、溶融金属に
置換され、模型と同形状の鋳造品が得られるものであ
る。なお、模型ｅの表面には通常保護膜として塗膜が形
成される。

【０００５】なお、鋳枠ｃ内への砂入れは、図８に示し
たように、鋳枠ｃの上方に鋳砂が収容された砂供給槽ｈ
を配設し、この槽ｈの底壁に形成した砂供給孔ｉと該底
壁に摺動可能に配設したシャッターｊの連通孔ｋとを連
通させることにより行なうのが通常である。この機構に
よれば、シャッターｊを摺動させることにより、砂供給
槽ｈからの鋳砂の供給を調整することができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、砂供給
槽から鋳枠内に鋳砂を供給して床砂を形成した場合、そ
のままでは床砂表面は凹凸状であり、この床砂上に消失
模型を置くと模型が傾き、良好な鋳物が鋳造できないの
で、これを防ぐため振動モーターによって床砂を加振
し、平均化するが、このような加振による平均化だけで
は床砂全体が傾く場合があり、これに模型を置き、砂を
入れると模型の変形が生じてしまう。このため、最終的
には手作業で床砂の平面化、平滑化を行なうが、手作業
は面倒である上、手作業によってもなお“むら”の発生
が起こる場合がある。

【０００７】また、注湯時において、特に複雑な形状の
模型では、注湯により模型から熱分解ガスが生じた際、
熱分解ガスの排出が一様でないため、鋳造品に熱分解ガ
スが残ることがあり、不良率を高くする場合が多い。

【０００８】なお、模型によっては一段ではなく多段で
鋳造することもあるが、段の境界は砂だけであるため、
一段鋳込みの場合と同様に各段の砂の平滑化を手作業で
行なわなければならず、上記と同様の問題点を有してい
た。

【０００９】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
床面の簡便な平滑化、模型の熱分解ガスの良好な排出性
を達成し得る消失模型鋳造法及びこれに用いる鋳枠を提
供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、消失模型を鋳砂中に埋没させた後、この消
失模型内に溶湯を注入し、消失模型を溶湯で置換する消
失模型鋳造法において、上記消失模型を内部連通空間を
有する３次元網状骨格構造をなしたセラミック多孔体上
に載置した状態で消失模型を鋳砂中に埋没し、溶湯を注
入することを特徴とする消失模型鋳造法、及び、消失模
型が入れられると共に、この消失模型を埋没する鋳砂が
入れられる消失模型鋳造法用鋳枠において、鋳枠本体内
に上記消失模型が載置される内部連通空間を有する３次
元網状骨格構造をなしたセラミック多孔体を配設したこ
とを特徴とする消失模型鋳造法用鋳枠を提供するもので
ある。

【００１１】ここで、上記３次元網状骨格構造を有する
セラミック多孔体としては、セル膜のない軟質ポリウレ
タンフォームの骨格にセラミック泥漿を付着させ、該セ
ラミック泥漿を焼成することにより、上記軟質ポリウレ
タンフォームを消失させると共に、このフォームの形状
にセラミックを置換したものが好適である。

【００１２】

【作用】本発明は、消失模型を内部連通空間を有する３
次元網状骨格構造のセラミック多孔体上に置くようにし
たもので、このセラミック多孔体を床面としてその上に
模型が載置されるので、床面の平滑化操作が省略でき、
鋳造作業が容易に行なわれると共に、模型は傾いたり変
形することなく確実に固定される。

【００１３】また、鋳砂の充填時に鋳砂はセラミック多
孔体内に流入するが、セラミック多孔体は３次元網状で
あるため、鋳砂は連通空間内に平均的に広がり供給さ
れ、模型と接した面にも薄い砂の相が形成され得るの
で、模型消失時に溶融金属がセラミック多孔体内に入る
ことが防止される。この場合、セラミックハニカム構造
のものを用いると、模型に接した下部には鋳砂が入ら
ず、模型消失時にハニカムの下に溶融金属が入るおそれ
があるが、上記セラミック多孔体はかかる不都合が生じ
難い。

【００１４】更に、セラミック多孔体は、通気性も良好
で、鋳造時に模型から発生する熱分解ガス等に対する排
出性が良好である。

【００１５】従って、本発明は、複雑な形状、例えば内
燃機関の吸・排気マニホールドや各種の薄肉ケーシング
部分の鉄鋳物及びアルミニウム鋳物の鋳造に好適に用い
られる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例につき図１〜３を参照
して説明する。図１は本発明の一実施例に係る消失模型
鋳造法用の鋳枠１を示すもので、この鋳枠１は上端開放
部を有する箱形の鋳枠本体２の内底面に内部連通空間を
有する３次元網状骨格構造をなした平板上セラミック多
孔体３を配設してなるものである。この鋳枠１は、振動
モーター４の作動により振動可能な振動テーブル５上に
載置されている。

【００１７】ここで、上記セラミック多孔体３として
は、セル膜のない軟質ポリウレタンフォームにセラミッ
ク泥漿を付着させ、これを焼成して得られたものが好適
であり、また空孔率が３５〜９０％、空孔数が６〜３０
個／２５ｍｍ、かさ比重が０．３〜０．７、特に０．３
５〜０．５のものが好ましい。空孔率が３５％より少な
いと通気性が砂と変りなく、排ガス性が十分改善されな
いおそれがある。一方、９０％より多いと排ガス性が高
くなりすぎて湯流れが早くなり、模型の巻き込みによる
ブローホール欠陥を発生し易く、またセラミック多孔体
内に溶融金属が入るおそれがある。空孔数が６個／２５
ｍｍより少ないと、目開きが多くなり、セラミック多孔
内に溶融金属が入るおそれがあり、３０個／２５ｍｍよ
り多くなると、圧力損失が高くなり、排ガス性が悪くな
る場合が生じ、また鋳砂も内部に入り難くなる。一方、
かさ比重が０．３より小さいと、鋳枠内に鋳砂が充填さ
れた時の面圧強度に耐えられない場合が生じ、０．６よ
り大きくなると、鋳砂による目詰まりが多くなり、排ガ
ス性が不良となる場合が生じる。

【００１８】上述した鋳枠を使用して消失模型鋳造法を
実施する場合は、上記セラミック多孔体３上に消失模型
を置き、鋳枠１内に鋳砂を供給し、振動テーブル５を振
動させて鋳枠１を加振することを繰り返し、模型を鋳砂
に埋没させた後、常法に従って鋳造を行なうものであ
る。

【００１９】この方法によれば、床面（平板状セラミッ
ク多孔体）は平らであるため、床面平坦化操作が省略さ
れ、模型が傾き、変形することなく配置でき、また砂充
填時に加振しても床面の移動、変形がないので模型の変
形が生じ難いものである。

【００２０】この場合、鋳砂の充填時に鋳砂はセラミッ
ク多孔体内に流入するが、該セラミック多孔体は３次元
網状であるため、模型との当接面にも鋳砂が特に加振に
より流通供給され、薄い砂の相が形成されるので、鋳造
時に溶融金属により模型が消失した際に溶融金属が多孔
体内に入ることが防止される。

【００２１】また、セラミック多孔体内に鋳砂が流入し
ても、セラミック多孔体はある程度の空隙を保持してい
るため、通気性が良く、このセラミック多孔体からのガ
ス排出性は良好で、溶湯注入に発生する模型の熱分解ガ
スの排出性に優れている。

【００２２】図２は本発明の鋳枠の他の実施例を示すも
ので、この鋳枠１は、鋳枠本体２内にその底面と所定の
間隔を持って模型が載置される平板状セラミック多孔体
３を配設すると共に、鋳枠本体２の内周壁にもこの内周
壁と当接してセラミック多孔体３’を配置し、かつ鋳枠
本体２の内底面とセラミック多孔体３との間に形成され
る空隙６に連通して減圧ポンプ７に連結される排気管８
を配設したものである。

【００２３】この実施例に係る鋳枠１は、鋳造時に減圧
ポンプ７を作動して上記空隙６内、更にセラミック多孔
体３，３’内を減圧し、模型消失時に発生する熱分解ガ
スを排出するようにしたものである。このように、充填
砂型くずれ防止、注湯時の熱分解ガスの排出の目的で減
圧にする場合、セラミック多孔体を配設すると、セラミ
ック多孔体は砂に比べて通気性が良く、かたよりもない
ので鋳型の圧力分布が均一化し、特にセラミック多孔体
を底面側に加えて内周壁にも配設することにより、圧力
分布がより均一化する。このため、模型の変形が確実に
防止される。なお、このようにセラミック多孔体を底面
側に加え、内周壁にも配設する場合、両者のセラミック
多孔体は同じ空孔率、空孔数のものを用いることが鋳枠
内の圧力分布の均一の点から好ましい。

【００２４】更に、図３は本発明の別の実施例に係る鋳
枠１を示すもので、この鋳枠１は多段鋳造に使用するも
のである。即ち、この鋳枠１は、鋳枠本体２内にその底
面と所定の間隔を持って平板状セラミック多孔体３を配
設すると共に、このセラミック多孔体３の上方にそれぞ
れ開口１０，１０を有する２個の支持板１１，１１を互
いに所定間隔離間して配設し、これら支持板１１，１１
上に更に開口１２，１２を有する平板状セラミック多孔
体３”を載置したものである。なお、図中１３は消失模
型である。

【００２５】この鋳枠１によれば、多段鋳込みを容易に
行なうことができ、この場合も各段における床面の平滑
化操作が省略されるので、作業が非常に簡便化され、し
かも模型１３はセラミック多孔体３，３”上にしっかり
と固定でき、傾き、変形が防止できるものである。な
お、支持板１１，１１の開口１０，１０は鋳砂の下段へ
の供給流通を可能にし、湯口の設置を可能にする。

【００２６】従って、このようにセラミック多孔体を多
段に使用することにより、効率よく多段鋳込みができる
ものである。

【００２７】なお、本発明の鋳枠の構成及びこれを用い
た鋳造法は上記実施例に限られるものではなく、消失模
型をセラミック多孔体上に載置するという要旨を逸脱し
ない範囲で種々の変形が可能である。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、消失模型鋳造法の実施
において、底面の平坦化操作を省略でき、また模型から
発生する排ガスの排出性が良好なものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る鋳枠の断面図である。

【図２】本発明の他の実施例に係る鋳枠の断面図であ
る。

【図３】本発明の別の実施例に係る鋳枠の断面図であ
る。

【図４】従来の消失模型鋳造法における床砂入れ工程を
説明する鋳枠断面図である。

【図５】従来の消失模型鋳造法における模型挿入工程を
説明する鋳枠断面図である。

【図６】従来の消失模型鋳造法における砂入れ工程を説
明する鋳枠断面図である。

【図７】従来の消失模型鋳造法における湯口カップセッ
ト工程を説明する鋳枠断面図である。

【図８】従来の消失模型鋳造法における砂供給態様を説
明する鋳枠断面図である。

【符号の説明】

１ 鋳枠 ２ 鋳枠本体 ３，３’，３” セラミック多孔体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小高 文雄 埼玉県新座市栗原６−７−10

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 消失模型を鋳砂中に埋没させた後、この
   消失模型内に溶湯を注入し、消失模型を溶湯で置換する
   消失模型鋳造法において、上記消失模型を内部連通空間
   を有する３次元網状骨格構造をなしたセラミック多孔体
   上に載置した状態で消失模型を鋳砂中に埋没し、溶湯を
   注入することを特徴とする消失模型鋳造法。
2. 【請求項２】 消失模型が入れられると共に、この消失
   模型を埋没する鋳砂が入れられる消失模型鋳造法用鋳枠
   において、鋳枠本体内に上記消失模型が載置される内部
   連通空間を有する３次元網状骨格構造をなしたセラミッ
   ク多孔体を配設したことを特徴とする消失模型鋳造法用
   鋳枠。