JPH0547420B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は、鉄道システムにおいて、列車運行
状況を予測するための、列車運行シミユレータに
関するものである。

〔従来技術〕

列車運行シミユレータは連続型シミユレータと
イベントシミユレータに大別され、本発明はイベ
ントシミユレータに属するものである。従来この
種の列車運行シミユレータとして第１図に示すも
のがあつた。図は従来の一般的な列車運行イベン
トシミユレータの構成図を示す。図において、１
はデータ処理装置であり、２のキヤラクタデイス
プレイ装置（入力装置）より入力された初期状態
に対し、３のデータベース中の列車運行に関する
データを用いて列車運行シミユレーシヨンを行な
い、４の図形出力編集装置を介して５のグラフイ
ツクデイスプレイ装置に予測ダイヤが表示され
る。なお、図形出力編集装置４とグラフイツクデ
イスプレイ装置５から出力装置３０が構成されて
いる。

データ処理装置１は初期設定装置６とイベント
テーブル７、作業メモリ８、シミユレーシヨン装
置９より構成される。上記初期値設定器６は列車
ダイヤ切り出し装置１０、初期値設定装置１１よ
り構成され、また上記シミユレーシヨン装置９は
処理可能イベント選定装置１２、イベント処理装
置１３より構成されている。

従来の列車運行シミユレータには前記したよう
に秒単位で列車位置を決定していく連続型シミユ
レータと、駅及び閉そく単位など離散的に行なう
イベントシミユレータがあるが、列車運行管理シ
ステム等でリアルタイムに使用する場合には計算
効率の点からイベントシミユレータが用いられ
る。

そこで従来のイベントシミユレータについてそ
の動作を説明すると、第１図において先ずキヤラ
クタデイスプレイ２よりシミユレーシヨン対象範
囲、ダイヤ乱れ等の条件が入力され、これに対し
列車ダイヤ切り出し装置１０によりデータベース
３からシミユレーシヨンの対象となる部分の列車
ダイヤに関連するデータを切り出し、作業メモリ
８に記憶する。また初期値設定器１１により、シ
ミユレーシヨン開始時刻における列車在線状況、
ダイヤ乱れ等の条件が設定され、作業メモリ８に
記憶される。

さらに初期値設定器１１により、初期状態にお
ける処理可能イベントが処理可能時刻とともにイ
ベントテーブル７に登録される。次に処理可能イ
ベント選定装置１２によりイベントテーブル７の
中から処理可能時刻の最も早いイベントが選定さ
れ、イベント処理装置１３により作業メモリー８
中のデータを用いてイベント処理が行なわれる。
イベント処理においては列車の発・着時刻等のイ
ベント時刻が決定され、列車位置が進められてこ
れらの情報が作業メモリに記憶される。さらにイ
ベント処理装置１３により新たに処理可能となつ
たイベントがイベントテーブル７に登録される。
以上の処理可能イベント選定とイベント処理がシ
ミユレーシヨン装置９により繰返されることによ
りシミユレーシヨンが進行し、最終的なシミユレ
ーシヨン結果が、図形出力編集装置４を介して、
グラフイツクデイスプレイ装置５に表示される。

従来の列車運行シミユレータは、イベント間の
因果関係が不明確なために実際の時間的進行にそ
つてイベント処理を行なわなければならず、常に
イベント処理可能時刻をチエツクすることが必要
であり計算効率が悪い。また個々の線区や列車ダ
イヤに依存し、汎用的でないという欠点があり、
また列車ダイヤの矛盾検出等の機能がないなどの
欠点があつた。

〔発明の概要〕

この発明は上記のような従来のものの欠点を除
去するためになされたもので、列車走行過程にお
いて使用する駅間線路、停車番線、渡り線、折返
し線等を全て設備という同一形式のデータとして
扱い、即ち、駅間線路等をすべて設備とみなして
扱い、列車運行を列車のこれらの設備使用の連続
として表現することにより個々の線区や列車ダイ
ヤによらない汎用性を持たせ、またイベント間の
因果関係を表現する因果グラフを作成してこの因
果グラフにもとづいてイベント処理を進めて行く
ことにより、シミユレーシヨン処理の高速化、汎
用化が図れるとともに、列車ダイヤの矛盾検出が
容易になる列車運行シミユレータ得ることを目的
とする。

〔発明の実施例〕

以下、この発明の一実施例を図について説明す
る。第２図において、１はデータ処理装置であ
り、２のキヤラクタデイスプレイ装置より入力さ
れた初期状態に対し３のデータベース中の列車運
行に関するデータを用いて列車運行シミユレーシ
ヨンを行ない、４の図形出力編集装置を介して５
のグラフイツクデイスプレイ装置に予測ダイヤを
表示する。

データ処理装置１は、初期設定装置６と因果グ
ラフ作成装置２１と作業メモリ８及びシミユレー
シヨン装置９より構成される。上記初期設定装置
６は列車ダイヤ切り出し装置１０、列車ルート作
成装置２２、運転条件設定装置２３、初期値設定
器１１より構成され、また上記シミユレーシヨン
装置９は処理可能イベント選定装置１２、イベン
ト処理装置１３より構成される。

まず、第２図２のキヤラクタデイスプレイ装置
よりシミユレーシヨンの開始、終了時刻と、ダイ
ヤ乱れ等の特殊な列車運行条件が入力される。こ
の条件に従つて１０のダイヤ切り出し装置により
データベース３中の列車ダイヤに関するデータの
うち対象となるデータが切り出され、作業メモリ
８に記憶される。

本シミユレータでは列車が走行過程において使
用する駅間線路、駅構内停車番線、渡り線、折返
し線等を全て設備として所要時間や容量等の設備
使用を表す同一形式のデータとして扱うことによ
り、個々の線区、列車ダイヤによらない汎用性を
持たせるという特徴がある。第３図に簡単な例を
示す。第３図ａにおいて１ｉ〜４ｉの番号は各設
備番号であり、設備１ｉ，４ｉは駅間線路、設備
２ｉ，３ｉは駅構内番線であり、設備２ｉは側
線、設備３ｉは本線とする。第３図ｂは列車ダイ
ヤ図である。

第３図ａのような設備状況を表わす第２図のデ
ータベース３中の設備データと、切り出されて作
業メモリ８中に記憶されている列車ダイヤを用い
て列車ルート作成装置２２により列車ダイヤが、
列車の設備使用の連続という形で表現される。第
３図ｃのグラフにおいて縦の実線がこの列車ルー
トを表わしている。上記第３図ｃにおいて記号
（ｊ，ｋ）ｉは列車ｊがｋ番目に設備ｉを使用す
るというイベントを表わしている。第３図ｂのダ
イヤにおける列車１ｊは、第３図ａ中の設備を設
備１ｉ，２ｉ，４ｉという順序で使用し、列車２
ｊは設備１ｉ，３ｉ，４ｉという順序で使用して
おり、これが第３図ｃの列車ルートとして表現さ
れている。

この様に列車ルート作成装置２２により、ダイ
ヤを設備使用という形式に変換したのと同様に、
データベース３中の列車運行上の種々の条件を表
わす運転条件データも運転条件設定装置２３によ
り設備使用という形式に変換され作業メモリ８に
記憶される。

次に初期値設定器１１によりシミユレーシヨン
開始時刻における各列車の在線状況を求め、また
ダイヤ乱れ等の特殊な運転条件を設備使用という
形式に変換し設定する。以後、第４図の本発明の
列車運行シミユレータ処理を示すフローチヤート
を用いて説明する。図におけるステツプ１４の上
記初期状態設定の後にステツプ１５の因果グラフ
作成に移りシミユレーシヨンの前処理として、因
果グラフ作成装置２１によりイベント間の因果関
係を表わす因果グラフを作成し、作業メモリ８に
記憶する。ここで上記イベント間の因果関係を説
明すると、第３図においてｃは、第３図ａの設備
と第３図ｂの列車ダイヤに対する因果グラフを表
わし、縦の実線は前述した列車ルートであり、横
向きの破線は各イベント間の因果関係を表わして
いる。例えば、第３図ｃにおいて、節点（１ｊ，
２ｋ）２ｉから節点（２ｊ，２ｋ）３ｉへの枝
は、列車２ｊが設備３ｉを使用するというイベン
トにおいて、列車１ｊが設備２ｉを使用するとい
うイベントが満たされなければならないという因
果関係を表わしている。上記イベント間の因果関
係を表わす因果グラフはデータベース３中の列車
出発順序データ、番線使用順序データなどの列車
ダイヤ及び先に作成した列車ルートとを用いて作
成され、列車運行に関して時間的要素を除いた全
情報を有している。

この次にこの因果グラフを含む作業メモリ８中
の情報を用いてシミユレーシヨン装置９により列
車運行シミユレーシヨンが行なわれる。その後、
第４図におけるステツプ１６に進み、シミユレー
シヨン装置９において、まず処理可能イベント選
定装置１２により因果グラフを使つて処理可能な
イベントが選定される。ここで、従来のシミユレ
ータと異なりイベント間の因果関係が明確である
ため、時間的経過に拘束されることなく、因果関
係を満たす範囲で、任意の順序で処理イベントを
選択することが可能である。従つて、従来方法の
様に時間的経過に対するチエツクの必要性がな
く、またあらかじめ因果関係に沿つて処理をすす
めるため、シミユレーシヨン過程において、その
都度因果関係の矛盾のチエツクを行なう必要もな
く、非常に効率的な処理が行ないうる。また、イ
ベント処理順序も従来方法に比べ自由度が大き
く、状況、目的に応じた柔軟な対応が可能であ
る。

次に、処理可能イベント選定装置１２により選
定されたイベントに対し、イベント処理装置１３
によりイベント処理を行なう。このイベント処理
では、作業メモリ８中の列車ダイヤ、運転条件デ
ータ、因果グラフ等を用いてイベント時刻、すな
わち列車の設備使用開始時刻を求める。さらに列
車位置を更新し、因果グラフを用いて新たな処理
可能イベントを検索し、作業メモリ８に登録す
る。

以降処理可能イベント選定装置１２による処理
可能イベントの選定〔第４図ステツプ１６〕と、
イベント処理装置１３によるイベント処理が繰返
し実行され〔第４図ステツプ１９〕、処理終了と
判定〔第４図ステツプ１７〕されたのち、第４図
ステツプ１８に移り、最終的なシミユレーシヨン
結果が図形出力編集装置４を介し、予測ダイヤと
してグラフイツクデイスプレイ装置５に表示され
る。以上の説明から明らかなように、因果グラフ
を用いない従来のシミユレータでは、同一設備を
使用して互いに干渉し合う列車が特定できないた
め、列車ダイヤ全体にわたつて実際の時間的進行
に沿つてイベント処理を行う必要があり計算効率
が悪いが、因果グラフを用いる本実施例では、干
渉し合う列車が特定されているため、イベント処
理に必要な計算の範囲が最小限ですみ、計算効率
が高く大幅な高速化が可能である。

なお、上記実施例では条件入力をキヤラクタデ
イスプレイ装置から行なつたものを示したが、列
車進路制御系など他の処理系ともオンラインで接
続しデータの転送を行なつてもよい。また予測ダ
イヤ出力もグラフイツクデイスプレイ装置に表示
する例を示したが、静電プリンター、プロツター
等に接続して作図してもよい。

また、設備として駅間線路、駅構内番線単位の
ものを示したが、より細密に、閉そく単位、軌道
回路単位で使用しても良い。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明によれば、因果グラフ
作成装置２１により作成された因果グラフに従つ
てシミユレーシヨンを実行するように構成したの
で、シミユレーシヨン処理の高速化、汎用化が図
れるとともに、列車ダイヤの矛盾検出が容易にな
るなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の列車運行シミユレータの構成
図、第２図はこの発明の一実施例による列車運行
シミユレータの構成図、第３図は第２図における
因果グラフの説明図、第４図は第２図のシミユレ
ータの処理のフローチヤート図である。 １…データ処理装置、２…キヤラクタデイスプ
レイ装置（入力装置）、３…データベース、４…
図形出力編集装置、５…グラフイツクデイスプレ
イ装置、６…初期設定装置、８…作業メモリ、９
…シミユレーシヨン装置、１０…列車ダイヤ切り
出し装置、１１…初期値設定器、１２…処理可能
イベント選定装置、１３…イベント処理装置、２
１…因果グラフ作成装置、２２…列車ルート作成
装置、２３…運転条件設定装置、３０…出力装
置。なお、図中、同一符号は同一、又は相当部分
を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ データ処理装置１と、入力装置２と、データ
   ベース３と、出力装置３０とを有する列車運行シ
   ミユレータであつて、 入力装置２は、シミユレーシヨンの開始時刻及
   び終了時刻を設定し、 データベース３は、各列車が使用する設備の設
   備データ及び列車出発順序データ、番線使用順序
   データなどの列車ダイヤを格納し、 データ処理装置１は、入力装置２とデータベー
   ス３と出力装置３０とに接続され、初期設定装置
   ６と因果グラフ作成装置２１とシミユレーシヨン
   装置９とを有し、 初期設定装置６は、列車ダイヤ切り出し装置１
   ０と列車ルート作成装置２２とを有し、列車ダイ
   ヤ切り出し装置１０が、データベース３により格
   納された列車ダイヤから、当該シミユレーシヨン
   時間内の列車ダイヤを切り出し、列車ルート作成
   装置２２が、列車ダイヤ切り出し装置１０により
   切り出された列車ダイヤ及びデータベース３によ
   り格納された設備データに基づいて、各列車ごと
   にシミユレーシヨン時間内で列車が使用する設備
   を時系列的に表した列車ルートを作成し、 因果グラフ作成装置２１は、列車ルート作成装
   置２２により作成された列車ルート及び列車ダイ
   ヤ切り出し装置１０により切り出された列車ダイ
   ヤに基づいて、列車相互の設備使用に関する因果
   関係を表す因果グラフを作成し、 シミユレーシヨン装置９は、因果グラフ作成装
   置２１により作成された因果グラフに従つてシミ
   ユレーシヨンを実行し、そのシミユレーシヨン結
   果を出力装置３０に表示させるものである 列車運行シミユレータ。