JPH054609U - アレーアンテナ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 不要な信号が所望の信号と共にアレーアンテ
ナ装置に入射してきても、周波数及び偏波を選択して反
射できるレドームにより、必要な信号だけを素子アンテ
ナへ通過させる機能とステルス化を図れる機能を持つア
レーアンテナ装置を得る。 【構成】 アレーアンテナ装置のレドーム５の中に、複
数の周波数選択性素子６と、平行に配置された複数の細
長い金属状の線１１を挿入する。モジュール７では帯域
通過フィルタが省略されている。また、レドーム５はア
レーアンテナ面に対して傾きを持って設置されている。 【効果】 アレーアンテナ装置のレドーム自体が帯域通
過フィルタの機能を持つため、モジュール側ではフィル
タが省略され、モジュールの価格及び体積が縮小される
ことから、アレーアンテナ装置の低廉化及び小型化が図
れる効果がある。また、ステルス化を図れる効果もあ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、所望の周波数帯及び所望の偏波の信号を通過させ、他の周波数帯 及び他の偏波の信号を反射させる機能、及び、ステルス化を図る機能を持つレド ームを備えたアレーアンテナ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図８は従来のアレーアンテナ装置の構造図であり、図において１はレドーム、 ２は複数個のアンテナ素子、３は中に移相器、帯域通過フィルタ等が挿入されて いるモジュール、４は給電回路である。

【０００３】 次に動作について説明する。従来のアンテナ装置では、レドーム１を通過して 複数個のアンテナ素子２で受信された信号は、モジュール３に挿入されている帯 域通過フィルタにより所望の周波数帯域の信号のみが通過され、移相器を介して 給電回路４により合成されて、アレーアンテナ放射パターンを形成する。また、 レドーム１を電気的に影響の少ない材質及び電力反射を抑える構造で形成するこ とにより、受信される信号の電力の損失を少なくするようにしている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

従来のアレーアンテナ装置は以上のように構成されているので、レドームの中 を所望の信号だけでなく不要信号も通過してしまう。このため、素子アンテナ２ で受けた信号の中から不要信号を除去しなければならず、所望の周波数帯の信号 のみを給電回路４に伝送するためにモジュール３内に帯域通過フィルタを挿入す ることを必要とする。また、モジュール３内に帯域通過フィルタを挿入すること でモジュール３の価格及び体積が増大するため、アレーアンテナ装置の低廉化及 び小型化が困難になるなどの問題点があった。さらに、アンテナ面で反射された 不要信号から、他のレーダに上記アレーアンテナ装置のレーダ断面積を知られて しまう問題点があった。

【０００５】 この考案は上記のような課題を解消するためになされたものであり、モジュー ル内に帯域通過フィルタを挿入することなく所望の周波数帯域以外の信号を除去 することができるとともに、所望の偏波以外の信号を素子アンテナで受信する前 に除去することができ、かつ、レドームによりアンテナ本体のステルス化機能も 持つアレーアンテナ装置を得ることを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案に係わるアレーアンテナ装置は、アレーアンテナの周囲に設置された レドーム内に、複数の周波数選択性素子を挿入したものである。

【０００７】 また、アレーアンテナの周囲に設置されたレドーム内に、複数の細長い金属状 の線を並行して配置する。

【０００８】 さらに、複数の周波数選択性素子及び複数の金属状の線を挿入した平面状のレ ドームの面を、アレーアンテナ面に傾斜させた状態で設置したり、レドームの形 状を、近似的に半球形状あるいは部分球面形状さらには二次曲線回転形状にして 設置する。

【０００９】

【作用】

この考案におけるアレーアンテナ装置では、レドームを構成する誘電体層内に 挿入された複数の周波数選択素子が、各素子の共振作用により、ある周波数帯の 信号を透過させ、他の周波数帯の信号を反射する周波数特性を有するため、上記 レドーム部が帯域通過フィルタとして働く。

【００１０】 また、レドームを構成する誘電体層内に複数の細長い金属状の線を、ある周波 数の半波長以下の間隔で並行して配置することにより、所望の偏波の信号を透過 させ、他の偏波の信号を遮断する。

【００１１】 さらに、上記複数の周波数選択性素子を挿入したレドームの面を、アレーアン テナ面に対して傾斜させて設置すると、所望の周波数帯域外の信号を入射方向と 異なる方向に反射でき、他のレーダに上記アレーアンテナ装置のレーダ断面積を 知られない手段となる。

【００１２】 また、上記複数の周波数選択性素子を挿入したレドームを、近似的に半球形状 あるいは部分半球形状さらには二次曲線回転体形状にして設置すると、所望の周 波数帯域外の信号を入射方向と異なる方向に反射でき、他のレーダに上記アレー アンテナ装置のレーダ断面積を知られない手段となる。

【００１３】

【実施例】

実施例１． 以下、この考案の一実施例を図について説明する。図１において、２，４は上 記従来装置と同じものである。５は周波数選択機能を有した平面状レドーム、６ はレドーム５内に挿入された複数の周波数選択性素子、７はモジュール３から帯 域通過フィルタの省略され、移相器を有する小型モジュールである。

【００１４】 図２（ａ），（ｂ）は複数の周波数選択性素子６の断面図と正面図を示すもの であり、図２（ａ）において、８は誘電体基板、９はホール型二重リングの周期 構造を有する導体板、１０は低誘電率の誘電体板である。また、図２（ｂ）にお いて、９は上記図２（ａ）と全く同一のものである。

【００１５】 前記のように構成されたアレーアンテナ装置において、レドーム５に取付けら れた複数の周波数選択性素子６は、等価的にキャパシタンス、インダクタンスで 表される。複数の周波数選択性素子６が上記図２に示した形状をとるとき、各素 子の共振の作用により図３に示す周波数特性が得られ、複数の周波数選択性素子 ６は帯域通過フィルタとして動作する。したがって、いま所望の周波数帯の信号 と共に他の周波数帯の不要信号が本装置に入射しても、上記複数の周波数選択性 素子６による共振作業がレドーム５を通過しようとする不要信号を反射し、所望 の周波数帯の信号のみを透過させるため、素子アンテナ２に不要信号は届かない ことになる。

【００１６】 実施例２． 上記実施例１では、複数の周波数選択性素子６の導体板９の構造をホール型の ２重リングとしているが、本実施例では、導体板９の構造を逆に図４（ａ），（ ｂ）に示すパッチ型の２重リングとする。このとき複数の周波数選択素子６は、 反共振の作用により図５に示す周波数特性を有し、帯域阻止フィルタとして動作 する。したがって、特定の周波数帯域の不要信号の除去が期待できる。

【００１７】 実施例３． 図６はレドーム５内に複数の金属状の線を挿入した場合のアレーアンテナ装置 の実施形態を示すものである。図６において、２及び４〜７は上記実施例１と同 一のものである。１１は誘電体層内に並行して配置された複数の細長い金属状の 線である。

【００１８】 図７（ａ），（ｂ）は誘電体層内に配置された複数の金属状の線１１の断面図 と正面図を示すものである。１１は平行に並べられた複数の金属状の線であり、 １２は誘電体層である。

【００１９】 前記のように構成されたアレーアンテナ装置において、レドーム５に取付けら れた複数の金属状の線１１は、ある周波数の半波長以下の間隔で並べられている 。このため、複数の金属状の線１１は、ある周波数以下の信号で金属状の線１１ と平行な偏波を持つものを、遮断効果により反射させる。したがって、いま所望 の偏波の信号と共に他の不要偏波の信号が本装置に入射しても、上記複数の金属 状の線１１による遮断効果がレドーム５を通過しようとする不要偏波の信号を反 射し、所望偏波の信号のみを透過させるため、素子アンテナ２に不要偏波信号は 届かないことになる。

【００２０】 実施例４． 図８は、平面状のレドーム５を、素子アンテナ２が配置されているアレーアン テナ面に対して角度θの傾きをもたせて設置した場合のアレーアンテナ装置の実 施形態を示すものである。図８において、２，４〜７及び１１は上記実施例３と 同一のものである。

【００２１】 前記のように構成されたアレーアンテナ装置において、レドーム５は、アレー アンテナ面に対して傾斜をもたせて設置されている。このため、所望の周波数帯 域外の信号あるいは所望の偏波以外の偏波を持つ他レーダからの信号が、本アレ ーアンテナ装置に入射して来ても、上記傾斜レドームによって入射方向と異なる 方向に反射し、他のレーダに本アレーアンテナ装置のレーダ断面積が探知される ことを防止することになる。

【００２２】 実施例５． 図９は、複数の周波数選択性素子６及び複数の金属状の線１１が挿入されてい るレドームの形状を、部分球面形状とした場合のアレーアンテナ装置の実施形態 を示すものである。図９において、２，４，６，７及び１１は上記実施例４と同 一のものであり、１３は部分球面形状レドームである。

【００２３】 前記のように構成されたアレーアンテナ装置において、レドーム１３は、形状 にある曲率をもたせて設置されている。このため、所望の周波数帯域外の信号あ るいは所望の偏波以外の偏波を持つ他レーダからの信号が、本アレーアンテナ装 置に入射して来ても、上記曲面状レドームによって入射方向と異なる方向に反射 し、他のレーダに本アレーアンテナ装置のレーダ断面積が探知されることを防止 することになる。

【００２４】

【考案の効果】

この考案は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるよう な効果を奏する。

【００２５】 以上のように、この考案によればアレーアンテナ装置のレドームに複数の周波 数選択性素子を取付けることにより、レドーム自体が帯域通過フィルタの機能を 持つため、モジュール側ではフィルタが省略され、モジュールの価格及び体積が 縮小されることから、アレーアンテナ装置の低廉化及び小型化が図れる効果があ る。

【００２６】 また、レドームに複数の金属状の線を挿入することにより、アンテナで受信す る偏波を選択することができ、高性能な周波数・偏波選択レドームが得られる効 果がある。

【００２７】 また、複数の周波数選択素子及び複数の金属状の線が挿入された平面状のレド ームを、アンテナ面に対して傾きを持たせて設置すること、あるいは、レドーム を近似的に半球形状あるいは部分球面状さらには二次曲線回転体形状とすること により、アレーアンテナ装置本体のステルス化を図ることが出来る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例１を示すアレーアンテナ装置
の断面図である。

【図２】この考案の実施例１を示す複数の周波数選択性
素子の断面図及び正面図である。

【図３】この考案の実施例１を示す複数の周波数選択性
素子の周波数特性図である。

【図４】この考案の実施例２を示す複数の周波数選択性
素子の断面図及び正面図である。

【図５】この考案の実施例２を示す複数の周波数選択性
素子の周波数特性図である。

【図６】この考案の実施例３を示すアレーアンテナ装置
の断面図である。

【図７】この考案の実施例３を示す複数の金属状の線の
断面図及び正面図である。

【図８】この考案の実施例４を示すアレーアンテナ装置
の断面図である。

【図９】この考案の実施例５を示すアレーアンテナ装置
の断面図である。

【図１０】従来のアレーアンテナ装置を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

２ 素子アンテナ ４ 給電回路 ５ レドーム ６ 複数の周波数選択性素子 ７ モジュール １１ 複数の金属状の線

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 平面上に配列された複数の素子アンテナ
   と、この各素子アンテナに高周波信号の分配及び合成を
   行なう給電回路と移相器等よりなるモジュールとから構
   成されるアレーアンテナと、気象の悪条件からアンテナ
   系を保護するために上記アレーアンテナの周囲に配置さ
   れたレドームとからなるアレーアンテナ装置において、
   上記レドームを構成する誘電体層内に、周波数に応じて
   電波を透過あるいは反射する複数の周波数選択性素子を
   挿入することを特徴とするアレーアンテナ装置。
2. 【請求項２】 平面上に配列された複数の素子アンテナ
   と、この各素子アンテナに高周波信号の分配及び合成を
   行なう給電回路と移相器等よりなるモジュールとから構
   成されるアレーアンテナと、気象の悪条件からアンテナ
   系を保護するために上記アレーアンテナの周囲に配置さ
   れたレドームとからなるアレーアンテナ装置において、
   上記レドームを構成する誘電体層内に複数の細長い金属
   状の線を並行して挿入したことを特徴とするアレーアン
   テナ装置。
3. 【請求項３】 平面上に配列された複数の素子アンテナ
   と、この各素子アンテナに高周波信号の分配及び合成を
   行なう給電回路と移相器等よりなるモジュールとから構
   成されるアレーアンテナと、気象の悪条件からアンテナ
   系を保護するために上記アレーアンテナの周囲に配置さ
   れた平面状のレドームとからなるアレーアンテナ装置に
   おいて、上記レドームを構成する誘電体層内に周波数に
   応じて電波を透過あるいは反射する複数の周波数選択性
   素子を挿入し、更に上記レドーム面を、アンテナ面に対
   して傾斜させたことを特徴とするアレーアンテナ装置。
4. 【請求項４】 平面上に配列された複数の素子アンテナ
   と、この各素子アンテナに高周波信号の分配及び合成を
   行なう給電回路と移相器等よりなるモジュールとから構
   成されるアレーアンテナと、気象の悪条件からアンテナ
   系を保護するために上記アレーアンテナの周囲に配置さ
   れたレドームとからなるアレーアンテナ装置において、
   上記レドームを構成する誘電体層内に周波数に応じて電
   波を透過あるいは反射する複数の周波数選択性素子を挿
   入し、更に上記レドーム面の形状を、近似的に半球形状
   あるいは部分球面形状さらには二次曲線回転体形状にし
   たことを特徴とするアレーアンテナ装置。