JPH0545881U - 陰極線管用電子銃 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案はカラー陰極線管用電子銃を提供す
る。 【構成】 本考案は前置三極管部をなすカソード、制
御電極及びスクリーン電極と複数の補助静電レンズをな
す第１、２、３、４、５フォーカス電極と第５フォーカ
ス電極と隣接されるように設置され主静電レンズをなす
最終加速電極を備えてなるカラー陰極線管用電子銃に関
するもので、第４フォーカス電極に横長形の電子ビーム
通過孔を形成し、第１、３、５フォーカス電極には所定
のフォーカス電圧を印加し、第４フォーカス電極にはフ
ォーカス電圧より低く偏向同期信号に同期するダイナミ
ックフォーカス電圧を印加し、第２フォーカス電極には
フォーカス電圧より高い定電圧が印加され、最終加速電
極にはフォーカス電圧より高いアノード電圧が印加され
る。 【効果】 電子ビームのフォーカス特性を向上し、偏
向収差を減少するので、陰極線管の解像度を向上させら
れる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はカラー陰極線管用電子銃に関するもので、更に詳しくは電子銃をなす 各電極に電圧を印加する電圧印加方法が改善されたカラー陰極線管用電子銃に関 するものである。

【０００２】

【従来の技術】

通常、陰極線管は図１に示したようにシャドウマスクフレーム組立体ＳＦがそ の内部に装着されたパネルＰと、このパネルＰと封着されそのネック部Ｎの内外 部にそれぞれ電子銃Ｇと偏向ヨークＤが設置されるファンネルＦを備えて構成さ れる。

【０００３】 このように構成された陰極線管Ｔは、前記電子銃から放出された３つの電子ビ ームが前記パネルＰ内面に形成された蛍光膜の中央部で最適の状態でフォーカシ ングされるとしても、偏向ヨークＤにより蛍光膜の周辺部に偏向される電子ビー ムに関してはパネルＰ内面の幾何学的曲率及びインライン形に配列設置された電 子銃により前記蛍光膜にランディングされる電子ビーム間のフォーカス距離差が 発生することになる。そして蛍光膜周辺部への偏向ヨークの不均一な磁界により 電子ビーム断面が歪み、前記電子ビームが全蛍光膜に一定の電子ビーム断面を形 成することができないので、陰極線管の解像度が低下する問題点があった。

【０００４】 図２には前述した問題点を解決するための従来陰極線管用電子銃の一例を示し た。

【０００５】 これは前置三極管部をなすカソード２、制御電極３及びスクリーン電極４と、 電子ビームを集束及び加速するフォーカス電極５、ダイナミックフォーカス電極 ６及びアノード電極７から構成され、前記フォーカス電極５の出射側面５ａとダ イナミックフォーカス電極６の入射側面６ａにはそれぞれ縦長形の電子ビーム通 過孔５Ｈと横長形の電子ビーム通過孔６Ｈが形成される。そして前記フォーカス 電極５とアノード電極７にはフォーカス電圧Ｖｆとアノード電圧Ｖｅがそれぞれ 印加され、前記ダイナミックフォーカス電極６には前記フォーカス電圧Ｖｆを基 低電圧にしかつ偏向ヨークの垂直水平同期信号により可変されるダイナミックフ ォーカス電圧Ｖｄが印加される。

【０００６】 このように構成された従来の陰極線管用電子銃では、前記カソード２から放出 された電子ビームが蛍光膜の周辺部に偏向されるとき前記ダイナミックフォーカ ス電圧Ｖｄが前記ダイナミックフォーカス電極６に印加され、前記フォーカス電 極５とダイナミックフォーカス電極６の間に４重極レンズが形成される。即ち、 前記フォーカス電極５の出射側面５ａに形成された縦長形の電子ビーム通過孔５ Ｈとダイナミックフォーカス電極６の入射側面６ａに形成された横長形の電子ビ ーム通過孔６Ｈにより、垂直方向には水平方向に比べて相対的に弱い集束レンズ と強い発散レンズが形成され、水平方向には垂直方向に比べて相対的に強い集束 レンズと弱い発散レンズが形成され、これを通過する電子ビームが水平方向には 集束し垂直方向には発散する力を受けることになり縦長形のビーム断面を持つこ とになる。従って、電子ビームが偏向ヨークにより蛍光膜周辺部に偏向されると き、この不均一磁界による電子ビームの歪みを補整し、蛍光膜周辺部で円形の電 子ビームスポットが得られる。

【０００７】 また、前記ダイナミックフォーカス電極６にはフォーカス電圧Ｖｆとダイナミ ックフォーカス電圧Ｖｄが混合して印加されるので前記アノード電極７との電位 差が小さくなり、これらの間に形成される主レンズの強度が弱くなり、更には電 子ビームのフォーカスの長さが長くなり蛍光膜周辺部に良い状態でフォーカシン グされることになる。

【０００８】 このような従来の電子銃は前述したようにフォーカス特性と非点収差は補整で きるが、前記ダイナミックフォーカス電極６に電圧が印加されるので内電圧特性 が良くなく高圧のダイナミックフォーカス電圧を印加するための回路的な構成が 難しく、前記カソードから放出されたビームのフォーカス距離変化及び電子ビー ム断面の定型が電子ビームを最終加速させる最終加速電極と隣接した高圧側で行 なわれるので、ダイナミックフォーカス電圧が印加されるとき３つの電子ビーム を集める集中度が変化するコンバージョンスドリフトが発生し、コンバージョン ス特性が低下する問題点があった。

【０００９】 このような問題点を解決するため、電子銃から放出され蛍光面にランディング される電子ビームのフォーカシング距離を調整する電圧が固定フォーカス電圧よ り低い方式である低電圧駆動方式を採用しているが、フォーカス特性の補整効果 がとても低下するという問題点が内在している。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、前記問題点を解決するため各電極の電子ビーム通過孔と各電 極に所定の電圧を印加するための結線方法を改善し、フォーカス特性及び偏向ヨ ークによる電子ビーム断面の歪みを補整することにより、これを採用した陰極線 管の解像度を向上させることができるカラー陰極線管用電子銃を提供するところ にある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

前記目的は、前置三極管部をなすカソード、制御電極及びスクリーン電極と、 複数の補助静電レンズをなす第１、２、３、４、５フォーカス電極と前記第５フ ォーカス電極と隣接されるように設置され主静電レンズをなす最終加速電圧を備 えてなるカラー陰極線管用電子銃であって、

【００１２】 前記第４フォーカス電極に横長形の電子ビーム通過孔が形成され、前記第１、 ３、５フォーカス電極に所定のフォーカス電圧が印加され、前記第４フォーカス 電極には前記フォーカス電圧より低い偏向同期信号に同期するダイナミックフォ ーカス電圧が印加され、前記第２フォーカス電極には前記フォーカス電圧より高 い定電圧が印加され、前記最終加速電極には前記フォーカス電圧より高いアノー ド電圧が印加されることを特徴とするカラー陰極線管用電子銃を提供することに よって達成される。

【００１３】 前記のような本考案の電子銃に於て前記第２フォーカス電極に印加される電圧 は前記最終加速電極に印加される電位と同電位で印加することが望ましい。

【００１４】

【作用】

本考案による陰極線管用電子銃によると、電子ビームのフォーカス特性を向上 させ偏向収差を減少させるので、これを採用した陰極線管の解像度を向上させる 利点がある。

【００１５】

【実施例】

図３に示した本考案による陰極線管用電子銃１０は、前置三極管部をなすカソ ード１１、制御電極１２及びスクリーン電極１３と、補助レンズ系をなすもので 前記スクリーン電極１３から順番に設置される第１、２、３、４、５フォーカス 電極１４、１５、１６、１７、１８と、前記第５フォーカス電極１８と隣接され るように設置され主レンズ系をなす最終加速電極１９とを備えて構成されるが、 前記第２フォーカス電極１５には縦長形の電子ビーム通過孔１５Ｈが形成され前 記第４フォーカス電極１７には横長形の電子ビーム通過孔１７Ｈが形成される。 ここで前記電子銃１０の電極に形成される電子ビーム通過孔は静電レンズの基本 的な配列を変化させない範囲内で色々な形態に変形させられる。例えば、第２フ ォーカス電極１５に形成される縦長形の電子ビーム通過孔は図４Ａで示したよう にインライン形に配列形成された３つの円形通過孔１５ａのそれぞれの内周面に 垂直方向に相互対向する凹部１５ｂを設けて縦長形に形成することができる。そ して、前記第４フォーカス電極１７に形成された縦長形の電子ビーム通過孔は図 ４Ｂで示したようにインライン形に配列形成された３つの円形通過孔１７ａそれ ぞれの内周面に水平方向に相互対向する凹部１７ｂを設けて横長形に形成でき、 図４Ｃで示したように３つの円形断面をなす通過孔１７ｃが水平方向に連通され るようにスロット１７ｄを中央の通過孔と両側の通過孔との間に形成し、両サイ ドに位置する円形断面をなす通過孔の内周面に前記スロット１７ｄと対向する凹 部１７ｅを形成して横長形に形成することもできる。

【００１６】 そして、前記電子銃１０を構成する各電極には所定の電圧が印加されるが、こ れを詳しく説明すると次のようである。

【００１７】 まず、前記第１、３、５フォーカス電極１４、１６、１８には所定のフォーカ ス電圧Ｖｆが印加され、前記第２フォーカス電極１５には前記フォーカス電圧Ｖ ｆより高い定電圧Ｖｓが印加され、前記第４フォーカス電極１７には前記フォー カス電圧Ｖｆより低く偏向ヨークの偏向信号に同期するダイナミックフォーカス 電圧Ｖｄが印加され、前記最終加速電極１９には前記フォーカス電圧Ｖｆより高 いアノード電圧Ｖｅが印加される。ここで前記第２フォーカス電極１５に印加さ れる定電圧Ｖｓは前記アノード電圧Ｖｅと同電位で印加することが望ましい。

【００１８】 このように構成された本考案による陰極線管用電子銃の作用を説明すると次の ようである。

【００１９】 まず、本考案による陰極線管用電子銃１０では、これを構成する各電極に所定 の電圧が印加される毎に、図５に図示されたように前記第１、２フォーカス電極 １４、１５の間にバイポテンシャル形フォーカス静電レンズである第１補助静電 レンズ１００が形成され、前記第３、４、５フォーカス電極１６、１７、１８の 間にはユニポテンシャル形フォーカス静電レンズである第２補助静電レンズ２０ ０が形成され、前記第５フォーカス電極１８と最終加速電極１９の間には主静電 レンズ３００が形成される。従って前記カソード１１から放出された電子ビーム は前記各静電レンズを通過した後パネルの内面に形成された蛍光膜に走査される ことになるが、この電子ビームの走査状態を蛍光膜の中央部と周辺部に分けて説 明すると次のようである。

【００２０】 まず、前記カソード１１から放出された電子ビームが蛍光膜の中央部に走査さ れるときは前記第４フォーカス電極１７に偏向ヨークの偏向信号に同期するダイ ナミックフォーカス電圧が印加されず、前記第２フォーカス電極１５は前記最終 加速電極１９に印加される電圧と同電位の定電圧Ｖｓが印加されるようになるの で、図５に示したように第１、２フォーカス電極１４、１５の間に形成される第 １補助静電レンズ１００は第２フォーカス電極１５に形成された縦長形の電子ビ ーム通過孔１５Ｈによりレンズの倍率が垂直方向には小さく水平方向には相対的 に大きくなる。そして前記第３、４、５フォーカス電極１６、１７、１８の間に 形成される第２補助静電レンズ２００は第４フォーカス電極１７に形成された横 長形の電子ビーム通過孔１７Ｈにより垂直方向にはレンズの倍率が大きく水平方 向には小さくなる。

【００２１】 従って前記カソード１１から放出された電子ビームは前記第１補助静電レンズ １００を通過しながら水平方向が垂直方向に比べて相対的に強い集束力を受ける ことになり、前記第２補助静電レンズ２００を通過しながら垂直方向が水平方向 に比べて相互的に強い集束力を受けることになる。従って前記第１、２補助静電 レンズ１００、２００を通過した電子ビームは集束力の平衡をなすことになり、 前記主静電レンズ３００を通過しながら最終集束及び加速され蛍光膜の中央部に ランディングされる電子ビームの断面が円形をなすことになる。

【００２２】 そして前記カソード１１から放出された電子ビームが蛍光膜の周辺部に偏向さ れるときは、前記第４フォーカス電極１７に偏向同期信号に同期するダイナミッ クフォーカス電圧Ｖｄが印加されることになるので第３、５フォーカス電極１６ 、１８と第４フォーカス電極１７の電位差が相対的に小さくなり、これらの間に 形成される第２補助静電レンズ２００の倍率が電子ビームが中央に走査されると きに比べて相対的に小さくなる。だが前記第４フォーカス電極１７に形成された 電子ビーム通過孔１７Ｈは横長形の形状を持つので第２補助静電レンズ２００の 水平と垂直方向のレンズの倍率が異なることになる。即ち、前記第４フォーカス 電極１７には横長形電子ビーム通過孔１７Ｈが形成されているのでこれらの間の 電界分布密度が水平方向に比べて垂直方向が高いので垂直方向のレンズ倍率が水 平方向のレンズ倍率に比べて相対的に大きくなるのである。従って、前記カソー ド１１から放出された電子ビームは図５に示したように第１補助静電レンズ１０ ０を通過しながら垂直方向には弱い収束力と水平方向には強い収束力を受けるこ とになる。そして電子ビームは前記第１補助静電レンズ１００で一時的に垂直方 向と水平方向にそれぞれ弱い収束力と強い収束力を受け、ダイナミックフォーカ ス電圧Ｖｄが印加されることにより相対的に弱められた第２補助静電レンズ２０ ０を通過しながら垂直方向には電子ビームが中央に走査されるときに比べて相対 的に弱い集束力を受けた後、主静電レンズ３００を通過することになるので、電 子ビームのフォーカスの長さが長くなり、水平方向には前記第１補助静電レンズ を通過しながら強い集束力を受けた後、前述したように相対的に弱められた第２ 補助静電レンズ２００と主静電レンズ３００を通過することなるので、フォーカ スの長さが垂直方向に比べて短くなる。

【００２３】 従って、前記電子銃が放出された電子ビームの断面は垂直、水平方向のフォー カスの長さの差により縦長形化になり、この縦長形化になった電子ビームは偏向 ヨークの不均一磁界による電子ビーム断面の歪みが補整され蛍光膜の周辺部で略 円形のビームスポットが得られる。

【００２４】

【考案の効果】

このように本考案の陰極線管用電子銃は、補助静電レンズの強度を偏向同期信 号に同期して変化することによりフォーカシング距離を調整して全蛍光膜で均一 な電子ビーム断面を得られるので、これを採用した陰極線管の解像度を向上させ られ、前記フォーカス電圧より低いダイナミックフォーカス電圧を利用してフォ ーカスの長さを調整できるので陰極線管の耐電圧特性を向上させられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】一般的なカラー陰極線管の一断面図。

【図２】従来のカラー陰極線管用電子銃の斜視図。

【図３】本発明によるカラー陰極線管用電子銃の斜視図
で電圧印加方法を示す。

【図４】図４はＡ、Ｂ及びＣからなり、Ａは、図３で示
された第２フォーカス電極の他の実施例を図示した正面
図。Ｂは、図３で示された第４フォーカス電極の他の実
施例を図示した正面図。Ｃは、第４フォーカス電極の更
に他の実施例を図示した正面図。

【図５】本発明によるカラー陰極線管用電子銃の電極管
に形成される静電レンズを可視化させ示した図面。

【符号の説明】

１１ カソード １２ 制御電極 １３ スクリーン電極 １４ 第１フォーカス電極 １５ 第２フォーカス電極 １５Ｈ 縦長形の電子ビーム通過孔 １６ 第３フォーカス電極 １７ 第４フォーカス電極 １７Ｈ 横長形の電子ビーム通過孔 １８ 第５フォーカス電極 １９ 最終加速電極 Ｖｆ フォーカス電圧 Ｖｄ ダイナミックフォーカス電圧 Ｖｅ アノード電圧 Ｖｓ 定電圧

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前置三極管部をなすカソード、制御電
   極及びスクリーン電極と、複数の補助静電レンズをなす
   第１、２、３、４、５フォーカス電極と、前記第５フォ
   ーカス電極と隣接されるように設置され主静電レンズを
   なす最終加速電極とを備えてなるカラー陰極線管用電子
   銃に於て、 前記第４フォーカス電極に横長形の電子ビーム通過孔が
   形成され、 前記第１、３、５フォーカス電極には所定のフォーカス
   電圧が印加され、前記第４フォーカス電極には前記フォ
   ーカス電圧より低い偏向同期信号に同期するダイナミッ
   クフォーカス電圧が印加され、前記第２フォーカス電極
   には前記フォーカス電圧より高い定電圧が印加され、前
   記最終加速電極には前記フォーカス電圧より高いアノー
   ド電圧が印加されることを特徴とするカラー陰極線管用
   電子銃。
2. 【請求項２】 前記定電圧が前記アノード電圧と等電
   位であることを特徴とする請求項１に記載のカラー陰極
   線管用電子銃。
3. 【請求項３】 前記横長形の電子ビーム通過孔が円形
   断面をなす通過孔の内周面に水平方向に相互対向する凹
   部を形成してなることを特徴とする請求項１に記載のカ
   ラー陰極線管用電子銃。
4. 【請求項４】 前記第２フォーカス電極に縦長形の電
   子ビーム通過孔を形成してなることを特徴とする請求項
   １に記載のカラー陰極線管用電子銃。
5. 【請求項５】 前記縦長形の電子ビーム通過孔が円形
   断面をなす通過孔の内周面に垂直方向に凹部を形成して
   なることを特徴とする請求項４に記載のカラー陰極線管
   用電子銃。