JPH0545881B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は鉛直方向に孔を掘り下げるための回転
型掘削機に関する。

（従来技術） 従来、回転型掘削機の一つとして、駆動回転さ
れる少なくとも一のドリルパイプと、前記ドリル
パイプの一端部に固定された切削手段とを備える
ものがある。この掘削機によれば、前記ドリルパ
イプの吊持下において該ドリルパイプを介して前
記切削手段を回転させかつ前記切削手段に推力を
与えて穿孔が行なわれる。

回転型掘削機による穿孔では、地層の変化、岩
盤の存在等のために掘削方向線が計画線から偏倚
することがある。このときには孔が計画線方向に
伸びないいわゆる孔曲がりを生じるが、前記従来
の掘削機はその切削手段が計画線に沿つて推進さ
れているか否かを確認するための手段を欠く。こ
のため、前記孔曲がりが生じているか否かの確認
は、穿孔の途中またはその終了後、前記ドリルパ
イプおよび切削手段を孔外に引き下げ、その後、
孔内に超音波測距装置を吊り下げ、前記鉛直線か
ら孔壁までの距離を測定することによつて行なわ
れていた。

しかし、前記ドリルパイプの引き上げおよび前
記超音波測距装置による測定作業には多大の労力
と長時間とを要するという問題がある。

（発明の目的） 本発明の目的は、掘削された孔に曲がりが生じ
ているか否かの確認のために従来必要であつたド
リルパイプおよび切削手段の孔外への引き上げお
よびその後の超音波測距装置による測定を不要に
することができる回転型掘削機を提供することに
ある。

（発明の構成） 本発明に係る回転型掘削機は、駆動回転される
ドリルパイプの一端部すなわち切削手段が取り付
けられる一端部にドリルパイプの軸線に関して線
対称に複数の傾斜計を配置したことを特徴とす
る。

（発明の作用および効果） 複数の傾斜計を備える本発明の装置によれば、
掘削孔内における前記傾斜計が示す指示値が異な
るか、全てが同一であるかにより、前記ドリルパ
イプの軸線がその先端部において計画線から偏倚
しているか否かを知ることができる。したがつ
て、前記ドリルパイプおよび切削手段を孔外に引
き上げることなしに、掘削孔に曲がりが生じてい
るか否かを確認することができる。

また、前記複数の傾斜計の指示値を連続的に検
知することにより、孔曲がりの発生を即座に知る
ことができる。このことから、前記計画線から偏
倚して掘削される孔の掘削長を最少限に抑えるこ
とができ、これにより、孔曲がりの修正のために
切削手段を孔の曲がり始めの位置まで容易に引き
戻すことができる。

ところで、傾斜計の指示値は、ドリルパイプの
傾斜に関する情報と、ドリルパイプの回転掘削に
伴う該ドリルパイプに働く遠心力および振動の情
報とからなる。

本発明にあつては、傾斜計が線対称関係に配置
されていることから、相対する２つの傾斜計の指
示値の和を求めることにより、ドリルパイプの回
転運動に伴う遠心力および振動ノイズを除いた、
ドリルパイプの傾斜角度のみの情報を得ることが
でき、この情報から、ドリルパイプの傾斜角度を
知ることができる。また、ドリルパイプが一回転
する間の複数の回転角度における相対する２つの
傾斜計の指示値の差から、これらの差の平均値を
差し引くことにより、前記回転角度位置における
掘削地盤の硬軟の程度、玉石の存在等の情報を得
ることができる。

（実施例） 本発明が特徴とするところは、図示の実施例に
ついての以下の説明により、さらに明らかとなろ
う。

本発明に係る回転型掘削機１０は、直列に接続
された複数のドリルパイプ１２と、該ドリルパイ
プの一端部（下端部）に取り付けられた切削手段
１４とを備える。図示のドリルパイプ１２の一部
および切削手段１４は、泥水や清水のような安定
液が満たされた孔１６内にクレーン（図示せず）
で吊持されている。ドリルパイプ１２の数量は掘
削当初は一本であり、孔１６の掘削深度に応じて
順次に継ぎ足される。

図示の切削手段１４は互いに周方向に間隔をお
かれた一対の羽根板１５から成り、各羽根板はド
リルパイプ１２の径方向に互いに間隔をおいて配
置された複数のビツト１７を有する。

孔１６は、駆動回転されるドリルパイプ１２を
介して回転される切削手段１４の切削作用を孔底
地盤１８に及ぼすことによりさらに掘進される。
前記ドリルパイプには、該ドリルパイプに接続さ
れたケリーバ２０であつて地上に設置されたター
ンテーブル２２の回転動力を受けるケリーバ２０
と、該ケリーバの上端部に接続された管部材２１
とが含まれる。

ドリルパイプ１２の下端部には、切削手段１４
の上方に、回転中のドリルパイプ１２および切削
手段１４の振れを抑制するための筒状のスタビラ
イザ２４が取り付けられている。また、ドリルパ
イプ１２の下端部には、スタビライザ２４の上方
にこれと間隔をおいて、孔掘削の間に切削手段１
４に下方に向けて推力を及ぼすための重錘である
筒状のドリルカラー２６が取り付けられている。

スタビライザ２４の内部において、一対の傾斜
計２８がドリルパイプ１２に取り付けられてい
る。各傾斜計２８として例えばサーボ型加速度セ
ンサを用いることができる。言うまでもなく、サ
ーボ型加速度センサはその内部の振り子がドリル
パイプ１２に沿つて伸びるように配置される。一
対の傾斜計２８はドリルパイプ１２の軸線に関し
て線対称に配置されている。傾斜計の数量は二対
以上とすることができる。

孔１６の掘削中、ドリルパイプ１２の軸線が鉛
直であれば、両傾斜計２８は、ドリルパイプ１２
の回転に伴なう遠心力は受けるが、等しい値を出
力する。他方、ドリルパイプ１２の軸線が非鉛直
のとき、すなわち鉛直線から偏倚するとき、両傾
斜計２８はドリルパイプ１２とともに傾斜するこ
とから、一方の傾斜計２８の出力値は他方の傾斜
計２８の出力値より大または小となる。すなわ
ち、両出力値は不等となる。したがつて、両傾斜
計２８の出力値が等しいか否かをみることによ
り、ドリルパイプ１２が鉛直状態にあるか否かす
なわち孔１６が鉛直方向に掘削されているか否か
について確認することができる。

また、孔１６の掘削深度が大きくなりかつ継ぎ
足されたドリルパイプ１２の全長が大きくなる
と、該ドリルパイプはその下端部のみが前記鉛直
線から偏倚し他の部分は前記鉛直線上にある状態
となることがあるが、前記したように、傾斜計２
８の取り付け位置をドリルパイプ１２の下端部と
することにより、孔１６の掘削方向が鉛直線上に
あるか否かを正確に判断することができる。

２つの傾斜計２８が線対称に配置されているこ
とから、２つの傾斜計２８の指示値を加算するこ
とにより、これらの指示値に含まれた方向が正反
対の遠心加速度の影響成分を除去し、ドリルパイ
プ１２の傾斜角度を求めることができる。この角
度情報は、ドリルパイプが回転する際の各回転角
度におけるドリルパイプの傾斜角である。この角
度情報から、傾斜計が設置されている平面（回転
面）の方向余弦を算出することにより、ドリルパ
イプの軸傾斜角を求めることができる。また、ド
リルパイプ１２が一回転する間の複数の回転角度
における各傾斜計の指示値の平均の差を求め、各
指示値の差と平均値との差から、前記回転角度位
置における掘削地盤の硬軟の角度位置およびその
程度、玉石の存在等の情報を得ることができる。

各傾斜計２８の出力は、その出力電気信号を送
信するための送信手段と、該送信手段からの信号
を受信する受信手段とを介して取り出すことがで
きる。

前記送信手段は、その一例として、各傾斜計２
８の出力電気信号を弾性波信号に変換するための
信号変換器（図示せず）と、前記弾性波信号をド
リルパイプ１２に伝達する送信器３０とで構成す
ることができる。前記変換器および前記送信器は
ドリルカラー２６の内部においてドリルパイプ１
２に取り付けることができる。また、前記受信手
段は、ドリルカラー２６の内部においてドリルパ
イプ１２に取り付けられ、ドリルパイプ１２を伝
播した前記弾性波信号を受信する受信器３２およ
び該受信器の出力信号を電気信号に変換するため
の信号変換器（図示せず）と、該変換器と電気的
に接続されかつ管部材２１に取り付けられた一対
のブラシ（図示せず）および該ブラシと対をなす
スリツプリング３４と、該スリツプリングに電気
的に接続された表示器（図示せず）とで構成する
ことができる。前記表示器は、地上に設置され
る。

前記送信手段および受信手段の他の例として
は、図示しないが、各傾斜計２８に電気的に接続
され、該傾斜計の出力信号を送信するための送信
器（送信手段）と、該送信器に電気的に接続され
た前記したと同様のブラシおよびスリツプリン
グ、該スリツプリングに電気的に接続され、前記
送信器の出力信号を受信する受信器および前記し
たような表示器（受信手段）とで構成することが
できる。送信器は前記したと同様にドリルパイプ
１２に取り付けられ、また、前記受信器および表
示器は地上に設置される。

ケリーバ２０の上方に位置する管部材２１には
その一部を取り巻くウオータースイベル３６が取
り付けられている。ウオータースイベル３６が取
り巻く管部材２１の周面に周溝（図示せず）が設
けられている。また、管部材２１の周壁には、前
記周溝に連なりかつその軸線方向に伸びる二つの
通路（図示せず）が互いに間隔をおいて設けられ
ている。前記通路は、各ドリルパイプ１２に沿つ
て伸びる導管３８に連通している。各導管３８は
各ドリルパイプ１２の両端部に設けられたフラン
ジ部１２ａ，１２ｂに固定されており、該フラン
ジ部に設けられた孔（図示せず）を介して相互に
連通している。

最下方の各導管３８は、各羽根板１５に形成さ
れた導孔４０にその一端部で連通している。各導
孔４０は、その他端部において、各羽根板１５に
設けられた圧液噴射手段であるノズル４２に連通
している。ノズル４２はドリルパイプ１２の軸線
方向に向けて開口している。一対のノズル４２を
設ける図示の例に代えて、ノズル４２を一方の羽
根板１５にのみ設けることができる。また、各羽
根板に複数個のノズルを設けることができる。

ウオータースイベル３６にはホース４４が接続
され、該ホースは、高圧水のような圧液を供給す
るためのポンプ（図示せず）等を有する圧液供給
源（図示せず）に接続されている。

前記圧液供給源から供給される前記高圧水はホ
ース４４、ウオータースイベル３６、前記周溝、
前記通路、各導管３８および導孔４０を経てノズ
ル４２に至り、該ノズルから噴射される。高圧水
を噴射しかつ切削手段１４を回転させることによ
り、孔底地盤１８に環状の溝を形成することがで
きる。この噴射は、孔１６の掘削中に地質の予期
しない急変、岩盤の存在等によつてドリルパイプ
１２の下端部が前記鉛直線から偏倚し、これによ
り、孔１６に曲がりが生じたとき、該孔の曲がり
を修正するために行なう。

孔曲がりの発生は、前記受信手段の一部をなす
表示器が示す両傾斜計２８の両出力値を孔１６の
掘削の間連続的に検知することにより、迅速に知
ることができる。孔曲がりが生じた場合、前記ク
レーンを操作して切削手段１４の下部を孔の曲が
り始めの深度位置まで引き上げる。次いで、切削
手段１４を回転させつつ前記高圧水を噴射する。
この噴射により前記環状の溝を形成したのち、前
記噴射を停止し、回転される切削手段１４を下降
させて孔の掘削を再開する。前記環状の溝は鉛直
線に対して直角な面上に位置し、切削手段１４を
その進むべき正しい方向に導く先進導孔の作用を
なす。このため、孔１６は再び前記鉛直線に沿つ
て形成され、これにより、孔曲がりが修正され
る。前記した孔の修正において、前記高圧水の噴
射と、切削手段１４の回転および下降とを同時に
行なうことができる。この場合も、また、噴射さ
れる高圧水は切削手段１４の進行方向前方すなわ
ち下方に前記環状の溝を形成する。この場合、高
圧水は、前記環状の溝が適当な深さをもつて形成
されるに十分な時間だけ噴射され、その後はその
噴射が停止される。

孔１６の掘削の間、孔内に安定液が追加注入さ
れ、ドリルパイプ１２の開放下端部からその内部
に供給される圧縮空気により、掘削土砂が泥水と
ともにドリルパイプ１２内を上昇し、排土管４６
を経て地上に排出される。

排土管４６は、ドリルパイプ１２の一部をなす
最上方の管部材２１に接続された管部４８と、該
管部４８の回転を阻害しないように該管部に接続
された管部５０とを有する。下方の管部４８に
は、エアースイベル５２が、管部４８を取り巻き
かつ回転を阻害しないように該管部に取り付けら
れている。

管部４８の周面には周溝（図示せず）が形成さ
れ、また、その周壁には前記周溝に連なりかつ軸
線方向に伸びる一対の空気通路（図示せず）が設
けられている。管部材２１およびケリーバ２０に
もまた各空気通路に連通する空気通路が設けられ
ている。ケリーバ２０に設けられた一対の空気通
路は、各ドリルパイプ１２のフランジに固定され
かつ相互に連通する一対の空気導管５４に連通し
ている。最下方における一対の空気導管５４のそ
れぞれは、その下端部において、最下方のドリル
パイプ１２の側壁を貫通して伸び該ドリルパイプ
の内部に開放している。

エアースイベル５２には、管部４８の前記周溝
に連通するホース５６が接続され、該ホースはエ
アコンプレツサのような圧縮空気供給源（図示せ
ず）に接続されている。したがつて、圧縮空気
は、前記圧縮空気供給源から、ホース５６を介し
て前記空気通路に導かれ、空気導管５４からドリ
ルパイプ１２内に導入される。その結果、ドリル
パイプ１２中でエアリフト現象が生じる。

なお、両傾斜計２８は切削手段１４が受ける衝
撃によつて孔曲がりが生じていないにも拘らず互
いに異なる値をもつて出力することがある。しか
し、これは瞬間的なものであるから、引き続く前
記出力値の観察により、前記のような現象が前記
衝撃によるものであるか、孔曲がりによるもので
あるかを容易に判断することができる。しかし、
このような判断をより正確にすべく、例えば、ド
リルカラー２６とスタビライザ２４との間におい
てドリルパイプ１２に超音波測距装置のような距
離測定装置（図示せず）を取り付けることができ
る。この場合には、孔掘削の間、前記距離測定装
置により複数の回転角度位置における孔壁までの
距離を測定し、所定の深さ位置における測定距離
と、両傾斜計２８の出力値とを比較考量すればよ
い。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明に係る回転型掘削機の概略的な
立面図である。 １０：回転型掘削機、１２：ドリルパイプ、１
４：切削手段、２０，２１：ケリーバおよび管部
材（ドリルパイプ）、２４：スタビライザ、２
６：ドリルカラー、２８：傾斜計、３０，３２：
送信器および受信器、３８：導管、４２：ノズル
（圧液噴射手段）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 駆動回転される少なくとも一のドリルパイプ
   と、該ドリルパイプの一端部に固定された切削手
   段と、前記ドリルパイプの一端部に取り付けられ
   た複数の傾斜計とを含み、前記傾斜計は前記ドリ
   ルパイプの軸線に関して線対称に配置されてい
   る、回転型掘削機。