JPH0545363Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、液面下に浸漬配備された傾斜板群又
は傾斜管群等の傾斜ブロツクを効率良く洗浄する
ことができる沈降分離装置に関するものである。

〔従来の技術〕

原水を底部に分配する回転式デイストリビユー
タや沈殿汚泥を掻き寄せるための回転式汚泥掻寄
機などの回転体を備えた凝集沈殿装置その他の沈
降分離装置において、沈降面積の増大、処理能率
の向上を図るため、液面下のほとんど全面に傾斜
板群又は傾斜管群等の傾斜ブロツクを浸漬配備す
ることが行われている。

しかし、運転を継続するにつれて、傾斜ブロツ
クに液中の懸濁物が付着して次第に堆積し、遂に
は傾斜ブロツク内の流路を閉塞し、処理不能に至
るため、定期的に傾斜ブロツクの洗浄を行う必要
があつた。傾斜ブロツクの洗浄には、水による洗
浄と空気による洗浄とがある。水による洗浄は、
傾斜ブロツク上部全面に噴射ノズルを取り付けた
散水管を布設し、圧力水を全面的に噴射させて付
着物を洗い流したり、ホース等を用いて部分毎に
洗浄していくものである。また、空気による洗浄
は、傾斜ブロツク下部に散気管を布設し、全面的
又は部分的に液中で散気を行い、気泡の上昇及び
それに伴う乱流により付着物を剥離するものであ
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、この従来の洗浄では、いずれの洗浄
方式でも特に傾斜ブロツクの設置面積が大きくな
ると、 傾斜ブロツクの上部に設ける散水管、あるい
は傾斜ブロツクの下部に設ける散気管の布設が
施工上困難である。

傾斜ブロツクの全面に同時に散水又は散気を
行う場合、散水用のポンプ又は散気用のブロワ
の容量が大きくなり、過大設備となる。

部分毎に洗浄する場合、洗浄区域の切替えを
行うのに、手動又は自動のバルブ切替え等の操
作が必要になる。

傾斜ブロツクの全面に布設した散水管又は散
気管を均一なレベルにすることがむずかしく、
均等な散水又は散気を行うことができない。な
どの問題があつた。

また、水による洗浄では、噴射圧力による洗浄
効果を想定しているが、水中においては粘性が大
きいために効果的でなく、洗浄水量、噴射圧を高
めると多大なエネルギーを必要とするし、水面を
下げて大気部において洗浄することもできるが、
均一な洗浄効果が望めなく、洗浄むらが多く発生
するほか水利用や運転上の問題もあつた。

本考案は、これら従来の諸欠点を排除しようと
するもので、沈降分離装置に浸漬配備した傾斜ブ
ロツクの洗浄において、洗浄用配管の布設を必要
最少限とし、洗浄に要する動力を小さくし、さら
に均一な洗浄ができるし、切替操作の不必要な連
続的洗浄を可能にする装置を提供しようとするも
のである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、槽本体の底部に水平回転する回転体
と原水流入管とを備えた沈降分離装置において、
槽体内中央部には、原水流入管から流入した原水
を導くドラフトチユーブが回転するように設けら
れ、ドラフトチユーブ下部にはドラフトチユーブ
と共に回転しつつ原水を分配するデイストリビユ
ータを設けた回転体とすると共に、該回転体上方
で槽内液面下に傾斜ブロツクを浸漬配備し、該傾
斜ブロツクの下面より下に洗浄用散気管を前記ド
ラフトチユーブに連動して回転可能に装備したこ
とを特徴とする沈降分離装置である。

〔作用〕

槽内液面下にある傾斜ブロツクの洗浄には、傾
斜ブロツクの下部から洗浄用散気管で回転体と共
に回転しながら空気噴射を行い、傾斜ブロツク内
を上昇する気泡によつて付着物を剥離する。

洗浄用散気管は、槽底で水平回転する原水分配
用のデイストリビユータを設けたドラフトチユー
ブに連結された回転部分等に取り付けられ、それ
らに連動して回転するから、空気である洗浄媒体
源の動力を投入するのみでなく、回転のための動
力を要することなく、比較的小さなエネルギーで
自動的かつ連続的に傾斜ブロツク全体の洗浄を効
率よく行う。

洗浄に要する時間は、回転体が回転する時間に
よつて決定され、回転体の回転速度を早くすれば
洗浄時間が短縮でき、また洗浄用散気管を均等に
複数本布設することによつても洗浄時間の短縮を
図ることができる。さらに、洗浄強度は、同一回
転数においては空気の噴射量により、また同一噴
射量においては回転速度によりコントロールする
ことができる。従つて、運転状況に応じて洗浄時
間の変更や洗浄強度の変更をすることができる。

〔実施例〕

第１図のスラリブランケツト型凝集沈殿装置に
おいて、１は槽体であつて底部に原水流入管２が
接続開口され、上部には処理水の流出ロンダ３が
配設されて処理水流出部４に連なつている。

槽体１内の中央部には、原水流入管２から流入
した原水を導くドラフトチユーブ５が駆動装置６
でゆるやかに水平回転するように設けられ、ドラ
フトチユーブ５下部にはドラフトチユーブ５と共
に回転しつつ原水を分配するデイストリビユータ
７が連通固定されている。また、ドラフトチユー
ブ５内には駆動装置８で駆動されるインペラ９が
備えられ、このインペラ９の回転により原水に注
入された凝集剤を混和し、ドラフトチユーブ５内
を下降させてデイストリビユータ７に移送し槽底
に分配すると共に、デイストリビユータ７から分
配されたスラリの一部を流入原水に混入して循環
させる。

また、槽体１内の流出ロンダ３の下の液面下に
は、槽内を上昇する水中の濁質の除去を促進する
ための、傾斜板群又は傾斜管群等の傾斜ブロツク
１０が、槽体１内のほとんど全面にわたつて取付
架台１１によつて浸漬支持されている。

さらに、傾斜ブロツク１０の下側には、傾斜ブ
ロツク１０を洗浄するための空気洗浄用の散気管
１９が、ドラフトチユーブ５と共に回転するデイ
ストリビユータ７上に固定された取付サポート２
０によつて支持され、傾斜ブロツク１０を支持す
る取付架台１１の下に布設される。また、散気管
１９へ洗浄用空気を供給するためのブロワ２１
は、回転するドラフトチユーブ５の内側の大気部
に架台２２を取り付けて設置し、ブロワ２１への
電源供給はブロワ２１が通過する円周軌跡上部に
設置したトロリーダクト１７を介して行われる。

図中、１８はデイストリビユータ７に取り付け
られて共に回転する汚泥掻寄羽根を示す。

〔考案の効果〕

本考案は、槽体内中央部には、原水流入管から
流入した原水を導くドラフトチユーブが回転する
ように設けられ、ドラフトチユーブ下部にはドラ
フトチユーブと共に回転しつつ原水を分配するデ
イストリビユータを設けた回転体とすると共に、
該回転体上方で槽内液面下に傾斜ブロツクを浸漬
配備し、該傾斜ブロツクの下面より下に洗浄用散
気管を前記ドラフトチユーブに連動して回転可能
に装備したことにより、槽内底部に備えられて水
平回転する回転体の回転を利用して洗浄用散気管
を回転させて傾斜ブロツクの空気泡洗浄を行うも
のであるから、洗浄用配管を必要最少限とし、洗
浄に要する動力は洗浄媒体源の動力を投入するの
みで洗浄に要する動力を小さくし、均等で切替操
作不要な連続洗浄を可能にし、さらに、この空気
による洗浄は水を張つた状態で比較的小さなエネ
ルギーで洗浄効果が得られるメリツトがあり、洗
浄のためブロツク前面において均一な洗浄が可能
であつて、制御もきわめて容易で運転状況に応じ
てた洗浄時間、洗浄強度の変更を自由にコントロ
ールすることもできるほか、原水処理水量、原水
濁度の増大に伴つて傾斜装置の堆積物、付着物も
増加する傾向があつて、洗浄の頻度、強度がより
必要となつても回転速度を大きくする回転体に連
動させることによつて沈殿池の機能に即した洗浄
が可能となるし、洗浄むらもないほど多くの有益
なる効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図であ
る。 １……槽体、２……原水流入管、３……流出ロ
ンダ、４……処理水流出部、５……ドラフトチユ
ーブ、６，８……駆動装置、７……デイストリビ
ユータ、９……インペラ、１０……傾斜ブロツ
ク、１１……取付架台、１７……トロリーダク
ト、１９……散気管、２０……取付サポート、２
１……ブロワ、２２……架台。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 槽体１内の底部に水平回転する回転体と原水流
   入管２とを備えた沈降分離装置において、槽体１
   内中央部には、原水流入管２から流入した原水を
   導くドラフトチユーブ５が回転するように設けら
   れ、ドラフトチユーブ５下部にはドラフトチユー
   ブ５と共に回転しつつ原水を分配するデイストリ
   ビユータ７を設けた回転体とすると共に、該回転
   体上方で槽内液面下に傾斜ブロツク１０を浸漬配
   備し、該傾斜ブロツク１０の下面より下に洗浄用
   散気管１９を前記ドラフトチユーブ５に連動して
   回転可能に装備したことを特徴とする沈降分離装
   置。