【発明の詳細な説明】[Detailed description of the invention]
(産業上の利用分野)
本発明は新規な導電性材料に関する。
電気伝導性及び光透過性の特徴を併せ持つ導電
性材料からなる透明導電膜は、電気光学素子の目
覚ましい発展し相まつて、近年飛躍的に需要が伸
びつつある工業材料である。
その中で、酸化スズ系導電性材料からなる透明
導電膜は、物理・化学的な耐久性に優れ、また、
酸化インジウム系のものに比べて安価であること
から広く使用されている。
(従来の技術)
この様な導電性材料からなる透明導電膜は、通
常気相法、例えばCVD法、真空蒸着法、反応性
イオンプレーテイング法、スパツタリング法等の
膜形成法により、基板上に膜状に被覆され、実用
に供せられている。
しかし、これらの方法はいずれも装置が複雑で
あり、また膜形成速度が遅いという欠点を有する
ばかりでなく、膜形成が小面積であり、大面積の
膜を得ることができないことで問題がある。
これに対し、液状の原料を基板にコーテイング
して膜を形成する所謂塗布法は、比較的単純なプ
ロセスにより大面積の薄膜が得られるという利点
があり、工業的に有望な方法である。
酸化スズ系の材料に於てもこの塗布法は幅広く
検討されており、多種多様の液状スズ系化合物の
熱分解挙動が研究されている。
主なものとしては、無機あるいは有機酸のス
ズ塩水溶液、常温で液体である有機スズ化合
物、スズアルコキシド及びその加水分解物等が
あげられるが、いずれもコーテイングに用いる導
電性材料としては欠点があり、実用化されるには
至つていない。
即ちの材料では、基板へのコーテイング後の
乾燥工程において、該塩の結晶が基板上に晶析し
やすく、均一な膜が得られにくい。
またの材料では、乾燥薄膜が得られないため
に膜厚の制御が難しく、また、焼成時における基
板の保持方法も問題である。
更にの材料は、最近開発されたものである
が、コーテイング液が非常に不安定であり、均一
透明な膜とするためには、厳密な水分管理が必要
であるなど工業的に問題が多い。
(発明が解決しようとする問題点)
本発明者らはこれらの実情に鑑み、優れた透明
導電性膜を容易に得ることが可能な導電性材料を
得るべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成さ
せるに至つたものである。
(問題点を解決するための手段)
即ち、本発明はしゆう酸、乳酸、グリコール酸
またはグルコン酸から選ばれた有機酸の塩基性有
機酸スズ溶液からなる導電性材料に関する。
(作用)
以下、本発明を更に詳細に説明する。
透明導電膜用のみならず、一般にコーテイング
剤として所望される導電性材料の特性は、コー
テイング時に於ける成膜性に優れ、均一な膜が得
られること、膜厚の制御が容易であることであ
る。
本発明者らは、各種スズ塩類水溶液を透明導電
コーテイング剤として検討した結果、特定種の塩
基性有機酸スズ塩水溶液が上記二特性を満たすこ
とを見出したものである。
水可溶性の正塩組成の有機酸スズは、従来より
公知である。
しかし前述の如く、この溶液を基板上にコーテ
イングしても、基板上に該塩の結晶が析出し、均
一透明な乾燥膜となり得ない。また仮に、乾燥条
件を特別工夫してマクロ的には晶析を防いだとし
ても、微結晶として析出することは本質的に避け
られない点であり、これを焼成して酸化スズ組成
の膜とした場合、該結晶が形骸化し、ミクロ的に
均一な膜とならない。
これらの不均一性は、電気伝導性及び光透過性
双方に悪影響を及ぼすことは明らかである。
これに比し、本発明の塩基性有機酸スズ溶液に
よるコーテイングによれば、その乾燥膜はマクロ
的にもミクロ的にも均一なものとなり、更にその
焼成品である酸化スズ組成の膜も均一なものとな
つて得られる。
本発明の塩基性有機酸スズは新規なものであ
り、従つて、その溶液の乾燥物がなぜ正塩のよう
な晶析現象を示さないのかは、今のところ不明で
ある。
均一なコーテイング膜を得るための本発明の塩
基性有機酸スズとしては、その組成上いくつかの
望ましい範囲が存在する。
先ず、使用される有機酸の種類としては、当然
ながらスズと可溶性塩基性塩を生成するものでな
ければならない。
本発明者らは、各種の有機酸について検討した
結果、導電性材料として、実質上有用であるのは
しゆう酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、グルコン
酸塩であることを見出した。
これら以外の有機酸として、例えば蟻酸、酢
酸、トリクロロ酢酸、マロン酸、酒石酸等は後述
する製造方法によつても可溶性塩基性塩を製造す
ることはできない。
次に塩基度としては、コーテイング時に於ける
成膜性の良否と密接な関係にあり、一口に言え
ば、塩基度の高いものほど成膜性に優れるものと
なる。従つて、前述の有機酸を使用して塩基度は
30%以上とし、上限については概ね80%であり、
使用する有機酸の種類によつては90%程度まで調
製が可能である。
尚、塩基度が高い程、スズに対する有機酸の使
用量が少量で済むことは言うまでもなく、この経
済的な意味からも塩基性塩は有用である。
本発明の塩基性有機酸スズが最低限備えるべき
組成上の制限は、上記二条件のみであるが、本発
明はスズ単独系のみに限定されるものではない。
即ち、一般に酸化スズの電気伝導性の改善を目的
として、アンチモン、インジウム、カドミウム、
ガリウム、ビスマス等が添加されることが多い
が、本発明の塩基性有機酸スズの場合も上記物質
を適量添加することにより、電気伝導性を改善す
ることができる。
例えば、より優れた導電性を示すアンチモンを
含む塩基性有機酸スズは、後述の方法により製造
することができる。
更に、本発明の導電性材料には、透明導電膜の
物性、特にその強度を改善するための添加剤を併
用することも可能である。
例えば、焼成により結合力を発現するりん酸塩
系材料、低融点ガラス組成物、有機シリケート類
等が挙げられる。
更に、塗布時に於ける基板とのぬれ性を改善す
るために、本発明の導電性材料に適当な有機溶
媒、例えばアルコール、セロソルブ等を混合し、
作業性をより容易にすることも可能である。
本発明の導電性材料は、従来全く知られていな
かつたものであり、透明導電材料の適用分野に於
て新たな用途を生み出すものである。
本発明の導電性材料の特徴を改めて列挙すれば
次の通りである。
第一に、前述の通り、塗布法により均一なコー
テイング膜を得ることができる点である。
また、塗布液の濃度を変えることにより、膜厚
の制御も自在である。
第二は、乾燥或いは焼成時に腐食性のガスを発
生しない点である。
本発明の導電性材料は、実質的にスズ(及びア
ンチモン等の添加剤)と有機物とのみからなる。
従つて、これを焼成して酸化物とする工程で発
生するガスは二酸化炭素と水のみであり、何等の
対策も要しない。
これに比べ、無機のスズ塩水溶液として、例え
ば、塩化第二スズを使用すると、焼成時に有害腐
食性の塩化水素ガスを多量に発生し、炉の選定や
作業環境上好ましくない。
このような理由から、本発明の導電性材料は工
業的に有用である。
第三は、安定性に優れていることである。スズ
アルコキシドは非常に不安定であり、経時安定性
に劣ると云う致命的な欠陥を有していた。本発明
の導電性材料は高純度である上に、安定性も良好
であり、より高品位のものであると云える。
以上のような優れた特徴をもつ本発明の導電性
材料は、透明導電膜材料として非常に有益である
ばかりか、各種フイラーにコーテイングすること
による導電性付与剤、更にはガスセンサー材料等
のエレクトロセラミツクス分野への適用について
も有用であり、その他数多くの用途に適用し得る
新規な物質である。
本発明の塩基性有機酸スズは、以下の方法によ
つて製造することができる。
先ず第一に、スズ化合物と重炭酸アルカリ金属
塩または重炭酸アンモニウム塩とを反応させるゲ
ルを製造する。
スズ化合物としては、塩化第二スズ、硫酸第二
スズ等を、重炭酸アルカリ金属塩として重炭酸ナ
トリウム、重炭酸カリウム等を例示することがで
きる。
その使用割合は、ゲル生成反応の反応終了時の
反応液PHが6以上となるような割合で使用するこ
とが好ましい。
重炭酸アルカリ金属塩または重炭酸アンモニウ
ム塩の使用量がこれよりも少量であると、スズが
完全にゲル化せず収率が悪くなり、また経済的理
由等から好ましくない。
また別の方法として、スズ化合物にスズ酸ナト
リウム、スズ酸カリウム等を用い、これと二酸化
炭素とを反応させてゲルを製造してもよい。
尚、前述の導電性改善のための添加剤、例えば
アンチモンを含む塩基性有機酸スズを得たい場合
は、スズ化合物の水溶液に予めアンチモン化合物
を添加しておき、スズと共に沈澱させ、ゲルを得
る方法が簡便である。
勿論、スズとアンチモンとを別々に沈澱させた
後、双方のゲルを混合して後段の処理に供しても
差し支えない。
このようにして製造したゲルは、次いで洗浄を
行い不純物を除去する。
残存不純物量に関しては、塩基性有機酸スズの
製造上、また用途上少ない方が好ましい。
洗浄手段に関しては特に限定されず、通常用い
られる注水ろ過、リパルプー遠心分離法等の任意
の方法を用いることができる。
また、適当なイオン交換樹脂等と接触させ、不
純物を除去する方法も採用し得る。
洗浄後のゲルに、次いで有機酸及び必要に応じ
て水を加えて溶解させることにより、本発明の塩
基性有機酸スズが得られる。
尚、ここで使用する有機酸は、前述のしゆう
酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸の中から選
ばれた酸である。
また、その使用量は塩基度が30%以上、換言す
れば、スズに対する有機酸の当量が0.7以下とな
る量とする。
更に、水量は所望の濃度のものを得るべく、適
宜使用すれば良い。
尚、ゲルの溶解性を高めるため、必要に応じて
加熱を行つてもよい。
(実施例)
以下に本発明の実施例を掲げ更に説明を行う
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、%は特にことわらない限り全て重量%を
示す。
実施例 1
重炭酸アンモニウム水溶液(NH32.9%)1000
部に攪拌を行いながら塩化第二スズ水溶液
(SnO216.5%)300部を徐々に添加した。
生成したゲルをろ別した後、ゲル中に塩素が認
められなくなるまで注水ろ過洗浄を行つた。その
結果、SnO236.5%を含有するゲルを得た。
次いで、このゲルを用いて、塩基度25%、
SnO2濃度5%の各種塩基性有機酸スズ水溶液を
製造した。
方法は、該ゲル各100部にそれぞれ第1表に示
した量の有機酸及び水を添加混合し、攪拌を行い
ながら、90℃で1時間加熱処理を行つた。
得られた各種塩基性有機酸スズ溶液他生成物の
性状を第1表に示す。
(Industrial Application Field) The present invention relates to a novel conductive material. Transparent conductive films made of conductive materials that have both electrical conductivity and optical transparency are industrial materials whose demand has been increasing dramatically in recent years, coupled with the remarkable development of electro-optical devices. Among them, transparent conductive films made of tin oxide-based conductive materials have excellent physical and chemical durability, and
It is widely used because it is cheaper than indium oxide-based products. (Prior art) A transparent conductive film made of such a conductive material is usually formed on a substrate by a film forming method such as a vapor phase method, such as a CVD method, a vacuum evaporation method, a reactive ion plating method, or a sputtering method. It is coated in a film and is used for practical purposes. However, all of these methods not only have the drawbacks of complicated equipment and slow film formation speed, but also have the problem of forming a film on a small area and not being able to obtain a film with a large area. . On the other hand, the so-called coating method, in which a film is formed by coating a substrate with a liquid raw material, has the advantage that a large-area thin film can be obtained through a relatively simple process, and is an industrially promising method. This coating method has been extensively studied for tin oxide based materials as well, and the thermal decomposition behavior of a wide variety of liquid tin based compounds has been studied. The main ones include aqueous solutions of tin salts of inorganic or organic acids, organic tin compounds that are liquid at room temperature, tin alkoxides, and their hydrolysates, but all of them have drawbacks as conductive materials for use in coatings. However, it has not yet been put into practical use. With such materials, the salt crystals tend to crystallize on the substrate in the drying process after coating the substrate, making it difficult to obtain a uniform film. With other materials, it is difficult to control the film thickness because a dry thin film cannot be obtained, and there are also problems in how to hold the substrate during firing. Although these materials have recently been developed, they have many industrial problems, such as the coating liquid being very unstable and the need for strict moisture control in order to form a uniform and transparent film. (Problems to be Solved by the Invention) In view of these circumstances, the present inventors have conducted intensive research to obtain a conductive material from which an excellent transparent conductive film can be easily obtained, and as a result, the present invention has been developed. This is what led to the completion of the project. (Means for Solving the Problems) That is, the present invention relates to a conductive material comprising a basic organic acid tin solution of an organic acid selected from oxalic acid, lactic acid, glycolic acid, or gluconic acid. (Function) The present invention will be explained in more detail below. The characteristics of conductive materials that are desired not only for transparent conductive films but also as coating agents in general are that they have excellent film forming properties during coating, can form a uniform film, and can easily control film thickness. be. The present inventors investigated various tin salt aqueous solutions as transparent conductive coating agents and found that a specific type of basic organic acid tin salt aqueous solution satisfies the above two characteristics. Water-soluble organic acid tin acids having a normal salt composition are conventionally known. However, as described above, even if this solution is coated on a substrate, crystals of the salt will precipitate on the substrate, making it impossible to form a uniform and transparent dry film. Furthermore, even if drying conditions are specially devised to prevent crystallization from a macroscopic perspective, it is essentially unavoidable that the crystals will precipitate as microcrystals. In this case, the crystals become bulky and a microscopically uniform film cannot be obtained. It is clear that these non-uniformities have a negative impact on both electrical conductivity and optical transparency. In contrast, when coating with the basic organic acid tin solution of the present invention, the dried film is uniform both macroscopically and microscopically, and the fired film with a tin oxide composition is also uniform. You can get it by becoming something. The basic organic tin acid of the present invention is new, and therefore, it is currently unclear why the dried product of its solution does not exhibit the crystallization phenomenon like a normal salt. The basic organic acid tin of the present invention for obtaining a uniform coating film has several desirable composition ranges. First, the type of organic acid used must naturally form a soluble basic salt with tin. The present inventors investigated various organic acids and found that oxalates, lactates, glycolates, and gluconates are substantially useful as conductive materials. Organic acids other than these, such as formic acid, acetic acid, trichloroacetic acid, malonic acid, and tartaric acid, cannot be used to produce soluble basic salts even by the production method described below. Next, the basicity is closely related to the quality of film formation during coating, and to put it simply, the higher the basicity, the better the film formation. Therefore, using the organic acids mentioned above, the basicity is
30% or more, with an upper limit of approximately 80%,
Depending on the type of organic acid used, it is possible to prepare up to about 90%. It goes without saying that the higher the basicity, the smaller the amount of organic acid used relative to tin, and from this economic point of view basic salts are also useful. Although the basic organic acid tin of the present invention must have at least the above two conditions, the present invention is not limited to tin alone.
That is, antimony, indium, cadmium,
Although gallium, bismuth, etc. are often added, electrical conductivity can also be improved in the case of the basic organic acid tin of the present invention by adding an appropriate amount of the above substances. For example, a basic organic tin acid containing antimony that exhibits superior conductivity can be produced by the method described below. Furthermore, the conductive material of the present invention can also be used in combination with additives for improving the physical properties of the transparent conductive film, particularly its strength. Examples include phosphate-based materials, low-melting point glass compositions, and organic silicates that develop bonding strength upon firing. Furthermore, in order to improve the wettability with the substrate during coating, the conductive material of the present invention is mixed with an appropriate organic solvent such as alcohol, cellosolve, etc.
It is also possible to make the workability easier. The conductive material of the present invention is completely unknown in the past, and creates new uses in the field of application of transparent conductive materials. The characteristics of the conductive material of the present invention are listed below. First, as mentioned above, a uniform coating film can be obtained by the coating method. Furthermore, the film thickness can be freely controlled by changing the concentration of the coating liquid. Second, it does not generate corrosive gas during drying or firing. The conductive material of the present invention consists essentially only of tin (and additives such as antimony) and organic substances. Therefore, the only gases generated in the process of firing this into an oxide are carbon dioxide and water, and no measures are required. In contrast, when stannic chloride, for example, is used as the inorganic tin salt aqueous solution, a large amount of harmful and corrosive hydrogen chloride gas is generated during firing, which is unfavorable in terms of furnace selection and working environment. For these reasons, the conductive material of the present invention is industrially useful. Thirdly, it has excellent stability. Tin alkoxide is extremely unstable and has a fatal defect of poor stability over time. The conductive material of the present invention has not only high purity but also good stability, and can be said to be of higher quality. The conductive material of the present invention having the above-mentioned excellent characteristics is not only very useful as a transparent conductive film material, but also can be used as a conductivity imparting agent by coating various fillers, and can also be used as an electroconductor for gas sensor materials, etc. It is also useful for application in the ceramics field, and is a novel substance that can be applied to many other uses. The basic organic acid tin of the present invention can be produced by the following method. First of all, a gel is prepared by reacting a tin compound with an alkali metal bicarbonate or an ammonium bicarbonate salt. Examples of the tin compound include stannic chloride and stannic sulfate, and examples of the alkali metal bicarbonate include sodium bicarbonate and potassium bicarbonate. It is preferable to use it in such a proportion that the pH of the reaction solution at the end of the gel-forming reaction is 6 or more. If the amount of the alkali metal bicarbonate or ammonium bicarbonate used is smaller than this, the tin will not be completely gelled and the yield will be poor, which is also undesirable for economic reasons. Alternatively, a gel may be produced by using sodium stannate, potassium stannate, or the like as a tin compound and reacting this with carbon dioxide. In addition, if you want to obtain the above-mentioned additive for improving conductivity, for example, a basic organic acid tin containing antimony, add an antimony compound to an aqueous solution of the tin compound in advance and precipitate it together with the tin to obtain a gel. The method is simple. Of course, tin and antimony may be precipitated separately, and then both gels may be mixed and subjected to subsequent processing. The gel thus produced is then washed to remove impurities. Regarding the amount of residual impurities, it is preferable to have a small amount from the viewpoint of production and usage of the basic organic acid tin. The cleaning means is not particularly limited, and any commonly used methods such as water filtration and repulp centrifugation can be used. Alternatively, a method of removing impurities by contacting with a suitable ion exchange resin or the like may also be adopted. The basic organic acid tin of the present invention can be obtained by adding and dissolving an organic acid and, if necessary, water to the washed gel. Incidentally, the organic acid used here is an acid selected from the above-mentioned oxalic acid, lactic acid, glycolic acid, and gluconic acid. The amount used is such that the basicity is 30% or more, in other words, the equivalent of organic acid to tin is 0.7 or less. Furthermore, the amount of water may be appropriately used to obtain the desired concentration. In addition, in order to improve the solubility of the gel, heating may be performed as necessary. (Example) The present invention will be further explained below with reference to Examples, but the present invention is not limited thereto. Moreover, all percentages indicate weight % unless otherwise specified. Example 1 Ammonium bicarbonate aqueous solution (NH 3 2.9%) 1000
300 parts of an aqueous solution of stannic chloride (SnO 2 16.5%) was gradually added to the mixture while stirring. After filtering the generated gel, water injection filtration and cleaning were performed until no chlorine was found in the gel. As a result, a gel containing 36.5% SnO 2 was obtained. Then, using this gel, basicity 25%,
Various basic organic acid tin aqueous solutions with a SnO 2 concentration of 5% were produced. The method was to add and mix 100 parts of each of the gels with organic acid and water in the amounts shown in Table 1, and heat-treat at 90° C. for 1 hour while stirring. Table 1 shows the properties of the various basic organic acid tin solutions and other products obtained.
【表】
第1表で明らかな様に、しゆう酸、乳酸、グリ
コール酸、グルコン酸を用いた場合にのみ、本発
明の塩基性有機酸スズ水溶液が得られることがわ
かる。
実施例 2
各種塩基度の塩基性しゆう酸スズ水溶液を調製
し、導電性材料としての性能を調べた。
実施例1で得たSnO236.5%を含有するゲル100
部に、それぞれ第2表に示した量のしゆう酸(二
水和物)及び水を添加混合し、攪拌を行いながら
温度90℃で1時間加熱処理を行つた。
その結果、SnO2濃度2%、塩基度30、50及び
80%の塩基性しゆう酸スズ水溶液が得られた。
(本発明例)
また比較例として、しゆう酸及び水の添加量を
第2表に示した量とした他は、前記と同様の操作
により、正塩組成のしゆう酸スズ水溶液を得た。
(比較例)
これら本発明及び比較例の水溶液を、76×26mm
のスライドガラス上に回転数1000rpmでスピンコ
ーテイングを行つた。
次いで、これらのコーテイングガラスを100℃
で乾燥し、表面状態を観察した。更に、これらを
60℃で30分間熱処理し、得られた透明導電コーテ
イングガラスの表面抵抗及び光透過率を測定し
た。
結果を第2表に示した。[Table] As is clear from Table 1, the basic organic acid tin aqueous solution of the present invention can be obtained only when oxalic acid, lactic acid, glycolic acid, or gluconic acid is used. Example 2 Basic tin oxalate aqueous solutions of various basicities were prepared and their performance as conductive materials was investigated. Gel 100 containing 36.5% SnO 2 obtained in Example 1
Oxalic acid (dihydrate) and water were added and mixed in the amounts shown in Table 2, and heat treated at 90° C. for 1 hour while stirring. As a result, SnO2 concentration 2%, basicity 30, 50 and
An 80% basic aqueous tin oxalate solution was obtained.
(Example of the present invention) As a comparative example, a tin oxalate aqueous solution having a normal salt composition was obtained by the same operation as above except that the amounts of oxalic acid and water added were changed to the amounts shown in Table 2. . (Comparative example) These aqueous solutions of the present invention and comparative example were prepared in a 76×26 mm
Spin coating was performed on a slide glass at a rotation speed of 1000 rpm. These coated glasses are then heated to 100°C.
The surface condition was observed. Furthermore, these
After heat treatment at 60° C. for 30 minutes, the surface resistance and light transmittance of the obtained transparent conductive coated glass were measured. The results are shown in Table 2.
【表】
第2表で明らかな様に、本発明例の塩基性しゆ
う酸スズ水溶液によるコーテイング処理によれ
ば、良好な透明導電ガラスが得られるのに対し、
正塩組成のしゆう酸スズ水溶液では、表面抵抗、
光透過率ともに劣るものとなる。
実施例 3
導電性改善のための添加剤として、アンチモン
を含有した塩基性乳酸スズ水溶液からなる本発明
の導電性材料を以下の方法で製造した。
塩化第二スズ水溶液(SnO217.6%)1000部に、
三塩化アンチモン5.4部を加え、80℃に加温して
溶解させた。
冷却後、これを重炭酸アンモニウム水溶液
(NH33.0%)3494部に攪拌を行いながら徐々に添
加しゲルを生成させた。
生成したゲルをろ別し、これに約1000部の水を
加えてリパルプ混合した後、遠心分離機により固
液分離した。
この操作を、ゲル中に塩素が認められなくなる
まで繰り返し、その結果、SnO232.1%、Sb0.52
%を含有するゲルを得た。
次いで、該ゲル100部に50%乳酸19部と水41部
を添加混合し、攪拌を行いながら90℃で1時間加
熱処理し、ゲルを溶解させた。
その結果、SnO220%、塩基度75%のアンチモ
ンを含有する塩基性乳酸スズ水溶液を得た。
これをSnO2濃度2.5%となるように水で希釈し
た後、実施例2と同様の操作により、ガラス上に
コーテイング処理を行い、透明導電コーテイング
ガラスを得た。
このガラスの表面抵抗及び光透過率を測定した
結果、表面抵抗は5.5KΩ/□であり、光透過率は
91%であつた。[Table] As is clear from Table 2, good transparent conductive glass can be obtained by the coating treatment using the basic tin oxalate aqueous solution of the example of the present invention.
In a tin oxalate aqueous solution with a normal salt composition, the surface resistance,
Both light transmittance becomes inferior. Example 3 A conductive material of the present invention comprising a basic tin lactate aqueous solution containing antimony as an additive for improving conductivity was produced by the following method. To 1000 parts of stannic chloride aqueous solution (SnO 2 17.6%),
5.4 parts of antimony trichloride was added and dissolved by heating to 80°C. After cooling, this was gradually added to 3494 parts of an aqueous ammonium bicarbonate solution (NH 3 3.0%) while stirring to form a gel. The generated gel was filtered, about 1000 parts of water was added thereto, repulped and mixed, and solid-liquid separated using a centrifuge. This operation was repeated until no chlorine was observed in the gel, and as a result, SnO 2 32.1%, Sb 0.52
A gel was obtained containing %. Next, 19 parts of 50% lactic acid and 41 parts of water were added and mixed to 100 parts of the gel, and heated at 90° C. for 1 hour while stirring to dissolve the gel. As a result, a basic tin lactate aqueous solution containing 20% SnO 2 and antimony with a basicity of 75% was obtained. After diluting this with water to a SnO 2 concentration of 2.5%, coating treatment was performed on glass in the same manner as in Example 2 to obtain transparent conductive coated glass. As a result of measuring the surface resistance and light transmittance of this glass, the surface resistance was 5.5KΩ/□, and the light transmittance was
It was 91%.