JPH0543727A - セラミツクス被覆プラスチツクス成形体 - Google Patents

セラミツクス被覆プラスチツクス成形体

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JPH0543727A
JPH0543727A JP3228712A JP22871291A JPH0543727A JP H0543727 A JPH0543727 A JP H0543727A JP 3228712 A JP3228712 A JP 3228712A JP 22871291 A JP22871291 A JP 22871291A JP H0543727 A JPH0543727 A JP H0543727A
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ceramics
thin plate
resin
cracks
crushed
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JP3228712A
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English (en)
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Kojiro Ito
孝治郎 伊藤
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐擦過・耐磨耗性、耐薬品性、及び耐汚染性
が一段と向上し、かつ、成形加工性の優れた新規なセラ
ミックス被覆プラスチックス成形体を提供する。 【構成】 多数の薄砕片1の間隙をなす割れ目2を有
し、該割れ目に充填樹脂3が充填されてなる樹脂充填割
れ目含有セラミックス薄板4によってプラスチックス成
形体6の表面が被覆されたセラミックス被覆プラスチッ
クス成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サイディング、人工石
材、透明プラスチックスパネル等に用いるセラミックス
被覆プラスチックス成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子材料を主構成体とするプラスチッ
クスは、その優れた成形加工性と断熱性、電気絶縁性、
軽量等の有用な特性のため、多様な用途にて大量に使用
されているが、反面、金属、セラミックス等の無機系材
料と比較すると、硬度が小さいために擦過に対して傷つ
き易く、静電気を帯電し易い、油類、有機薬品に対する
耐薬品性が小さい、汚れが着き易い、耐候性があまり良
くないという欠点を持つ。このような欠点は、人手に触
れ易く、長期にわたって外観と力学特性の不変性を要求
される建材、家庭用品、輸送機材料等の用途において
は、実用上大きなハンディキャップになる。特に、透明
パネル(有機ガラス板)、透明容器、光学材料、人工大
理石等の光学特性を利用した製品の場合には、その変化
が目につき易いため、さらに問題が大きく、改質への要
望が強い。
【0003】プラスチックスのかかる欠点を改良する方
法として、従来(1)セラミックス等の硬度の高い充填
剤を多量に配合する、(2)硬質顔料を含有するコーテ
ィング剤にて表面を被覆する、(3)シリコン系表面硬
化剤等の表面硬化剤を用いて化学的に表面層を硬化す
る、(4)架橋剤を配合し、高度の架橋を行う、等の方
法が試みられているが、(1)及び(2)の方法の場合
には、充填剤あるいは顔料の配合量に限界があるために
期待した程の改質効果が得られない、(3)及び(4)
の方法の場合には、現状では硬度がまだ不十分であるこ
とと改質剤の値段及び処理コストが高価である等の理由
によって前記した汎用品には適用し得ないという問題が
あって、いずれも極一部の例外を除いてほとんど実用化
されていない現状にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる現状
に鑑みて行われたもので、プラスチックス成形体の特性
は何ら変質することなく、その表面にセラミックス並み
の硬度と耐薬品性、耐汚染性及び耐候性が付与された改
質プラスチックス成形体を提供することを目的とするも
のである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために鋭意研究した結果、多数の割れ目を有し、
該割れ目に樹脂が充填されてなるセラミックス薄板によ
って表面が被覆されていることを特徴とするプラスチッ
クス成形体を採用することにより上記目的を達成するこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本
発明は、硬度、耐薬品性、耐汚染性及び耐候性に優れた
セラミックスの薄板を被覆層の主構成材の1つとして用
いた新しい被覆プラスチックス成形体に関するものであ
る。
【0006】以下、本発明を図面を用いて詳述する。セ
ラミックス薄板に割れ目を入れ、多数の薄砕片に破砕す
る(この破砕されたセラミックス薄板を破砕セラミック
ス薄板と称する)。そして、各薄砕片の相対位置関係が
破砕前とほとんど変わりなく、割れ目、すなわち各薄砕
片の間の間隙が破砕したままの状態か、あるいは平均的
に拡大された所定の幅を有する状態に保ち、この割れ目
への樹脂の充填とプラスチックス成形体表面への被覆を
行う。この破砕セラミックス薄板の樹脂充填と被覆と
は、この順序で行うか、逆の順序で行うか、あるいは同
時に行うか、いずれでも良い。
【0007】これを図を用いて説明すると、図1は、本
発明の一実施態様を例示するセラミックス被覆プラスチ
ックス成形体の正面図で、多数個に破砕された薄砕片1
とその間隙をなす割れ目2に充填樹脂3を充填してなる
セラミックス被覆プラスチックス成形体の被覆層上面を
示している。また、図2は、本発明の一実施態様を例示
するセラミックス被覆プラスチックス成形体(以後、単
に被覆体と略称する)の図1に示したA−Aa面で切断
した断面図であり、上記被覆体の被覆層、すなわち、後
記する樹脂充填割れ目含有セラミックス薄板(本例にお
いては、充填樹脂と同素材の裏打樹脂3Aによって下面を
裏打ちしてある)4が接着剤5によってプラスチックス
成形体(本例においては、人工大理石を例示)6に積層
接合された被覆体の例を示している。
【0008】セラミックス薄板の素材としては、広義の
セラミックス、すなわち、凡ての無機成形材料が使用さ
れる。例えば、天然あるいは人工の石材よりなる石板;
琺瑯、土器、陶器、磁器、タイル等の陶磁器;テラコッ
タ、普通煉瓦、耐火煉瓦等の煉瓦;アルミナ、ムライ
ト、マグネシア、ジルコニア、窒化珪素、窒化硼素、窒
化アルミニウム、サイアロン等の無機化合物の焼結体よ
りなるエンジニアリングセラミックス;マイカ焼結体、
マイカ/ガラス結合体、マイカ/燐酸結合体、マイカグ
ラスセラミックス等のマイカセラックス;水ガラス、石
灰、石膏、ポルトランドセメント等のセメントあるいは
本セメントと砂、礫等の骨材、フライアッシュ、シリカ
ヒューム、珪酸カルシュウム、パーライト等の配合材及
び必要に応じその他の配合材料との配合物より成形した
モルタル・コンクリート成形材(水硬性複合材);ソー
ダライム、カリウムライム、カリウム鉛、ボロシリケー
ト、アルミナシリケート、アルミナボロシリケート、ハ
イシリカ、石英、合成シリカ等の組成物よりなるガラス
あるいは結晶化ガラス;黒鉛、人工黒鉛、C−Cコンポ
ジット、黒鉛層間化合物等の炭素成形材、等が挙げられ
る。
【0009】セラミックス薄板の厚みは、対象とする製
品に応じて適宜選択するが、実用上採用し易いものは、
3μm 〜6mmの範囲のものである。表面形態は、凹凸の
激しい粗面体から完全な鏡面に近い平滑体まで種々のも
のが使用される。
【0010】セラミックス薄板に割れ目を入れるには、
従来公知のいずれの方法も採用し得るが、特に(1)高
温に加熱した状態から急冷して局部的に大きな温度勾配
を与え、その歪みによって破砕する方法、(2)板の表
面に垂直に局部的な機械的衝撃を付与する方法、(3)
切り傷法、エッチング法等によってミクロな傷をつけて
おき、その傷を中心とする局部的な熱膨張によりクラッ
クを発生させる方法、(4)ビーム加熱性のレーザー光
線により不規則な割れ目模様を描いて融断する方法(厳
密には破砕とはいえないが、薄砕片の形状、破断面とも
に破砕体と類似であるので、本カテゴリーに入れる)等
の方法が好適に使用される。
【0011】なお、(1)の方法は、これに(3)の方
法を併用した方法、すなわち、セラミックス薄板にあら
かじめ多数のミクロな傷を規則的なパターンにて印して
おき、これを高温に加熱した状態から急冷することによ
り強制的に位置ずけして破砕する破砕法を採用すること
により、比較的大きさの揃った薄砕片よりなる割れ目模
様の制御された破砕セラミックス薄板が得られる。上記
した割れ目の形成において、割れ目の端が残っているも
のは、以後の製造加工工程中あるいは製品化後の使用中
にあまり外力の作用しないような用途においてはさして
問題にならないが、その他の用途においてはその割れ目
の端が樹脂充填・硬化後の外力負荷によりクラックを派
生させる源となるので好ましくない。したがって、この
ような用途の場合にはできるかぎり割れ目が二次元的に
連続して連なっているような構造体、すなわち大多数の
薄砕片に有端の割れ目が残っていない構造体にするのが
好ましい。
【0012】かくて破砕された破砕セラミックス薄板
は、そのまま次の操作である樹脂充填・被覆のプロセス
に移っても良いが、後記する多くの用途の場合には、割
れ目の間隙をある程度あけてからそれらの操作を行う。
すなわち、破砕後の個々に独立した薄砕片が相互にその
相対位置関係をほとんど変えることなく、それらの間隙
が比較的長さのそろった所定の拡大幅を持って孤立配置
をとるように再配置する(この再配置された破砕セラミ
ックス薄板を割れ目拡大破砕セラミックス薄板と称す
る)。
【0013】薄砕片は通常不定形であるが、実用上その
平均的な大きさ(薄板平面の最大径と最小径の平均値)
はほぼ1mm〜10cm、平均大きさ/厚みは1〜1000
0程度のもの、また、割れ目の平均的間隙は0.1μm 〜
3mm、割れ目の平均間隙/厚みは0.0002〜10の範
囲のものを、対象とする用途に応じて選択するのが好ま
しい。上記したような範囲の採用により、表面での樹脂
対セラミックスの比率が、前記した従来のセラミックス
粒子の間隙に樹脂を充填した複合体と比較すると著しく
大きな値となるために、後記する本発明の効果が顕著に
発現される。例えば、全表面積に対するセラミックス表
面積の比を表面セラミックス率と定義すると、従来品で
はこの値が最高0.6〜0.7であるのに対して、本発明の
被覆体では0.98以上が可能となる。
【0014】破砕セラミックス薄板の割れ目を広げ、ほ
ぼ所定拡大幅の間隙を形成する再配置法としては、例え
ば、(1)破砕セラミックス薄板を水平に保った平滑な
平面上に乗せ、その平面に四方から水平方向に衝撃的振
動を全方向均等に付与する方法、(2)静電荷を負荷し
たセラミックス薄板を破砕し、その破砕セラミックス薄
板をその密度より大きな密度を有する液体(例えば、水
銀、低融点溶融金属、無機溶融塩)上に浮かせ、同種電
荷間の反撥力を利用して間隙を拡大する方法、(3)割
れ目間隙に、水等のような融点(氷点)以下に冷却する
ことによって固化するに伴い臨界的に体積膨張する低粘
性液体をしみ込ませ、融点以下に冷却固化させ、その際
の体積膨張を利用して間隙を拡大し、その後再び加熱・
融解して同液体を流出させる方法、(4)破砕セラミッ
クス薄板の片面に粘着エラストマーフィルムを貼り、四
方から均等に延伸して、もう一方の面を通常の粘着フィ
ルムあるいはエアーサッカー等の手段を利用して固定
し、しかる後にその粘着エラストマーフィルムを剥がす
方法、(5)前記加熱性レーザービーム法(この場合
は、破砕と同時にビーム幅に相当する間隙が形成され
る)が好適に採用し得る。
【0015】破砕セラミックス薄板あるいは割れ目拡大
破砕セラミックス薄板(両者を総称して割れ目含有セラ
ミックス薄板と称する)の割れ目間隙に樹脂を充填し
(この割れ目含有セラミックス薄板の割れ目間隙に樹脂
を充填したものを、樹脂充填割れ目含有セラミックス薄
板と称する)、プラスチックス成形体の表面に被覆する
には、例えば、(1)平板上に配置した割れ目含有セラ
ミックス薄板に減圧下充填樹脂液を流し込み、割れ目に
樹脂を充填するとともに割れ目含有セラミックス薄板面
上に裏打樹脂層を形成し、硬化させて樹脂充填割れ目含
有セラミックス薄板を成形し、この裏打樹脂層にプラス
チックス成形体に対して接着性を有する接着剤をコーテ
ィングし、プラスチックス成形体を貼り合わせて硬化
し、積層接合する方法(図1及び図2にて例示した被覆
体の樹脂充填・被覆方法)、(2)平板上に配置した割
れ目含有セラミックス薄板に減圧下プラスチックス成形
体に対して接着性を有する充填樹脂液を流し込み、割れ
目に樹脂を充填するとともに割れ目含有セラミックス薄
板面上に成形体との接着層を形成し、未硬化状態にてプ
ラスチックス成形体を貼り合わせて硬化し、積層接合す
る方法、(3)被覆しようとするプラスチックス成形体
の表面、割れ目含有セラミックス薄板の表面(片面)あ
るいはそれらの両面に本成形体に対して接着性を有する
接着剤を薄層コーティングしておき、未硬化状態にて割
れ目含有セラミックス薄板を積層押圧し硬化させて割れ
目含有セラミックス薄板をプラスチックス成形体に接着
し、この接合割れ目含有セラミッスク薄板の非接合表面
に真空下充填樹脂液を流し込み、割れ目に樹脂を充填し
て硬化させ、割れ目含有セラミックス薄板上に溢れて硬
化した樹脂を研磨等の手段によって除去する方法、
(4)被覆しようとするプラスチックス成形体の表面に
本成形体に対して接着性を有する充填樹脂液をコーティ
ングしておき、未硬化状態にて粘着フィルム等によって
片面をシールした割れ目含有セラミックス薄板を非シー
ル面が充填樹脂層に接するように積層押圧して割れ目に
充填樹脂液を充填し、硬化させて積層接合した後、割れ
目含有セラミックス薄板のシールを剥がす方法、(5)
金型内平板上に配置した割れ目含有セラミックス薄板に
減圧下プラスチックス成形体用の成形原料組成物(液
状)を流し込んで割れ目に樹脂充填するとともに成形原
料組成物の金型内充填を行い、そのまま硬化させて一体
成形する方法、等の方法が好適に使用できる。
【0016】上記、(1)、(2)、及び(5)の各方
法において、平板上に割れ目含有セラミックス薄板を配
置する際には、平板面と薄砕片面との接合面の隙間に充
填樹脂液が漏洩しないように両面を完全に密封する必要
がある。この方法としては、粘着剤、ワックス、ホット
メルト樹脂、シーラント等のシール剤の使用が有効であ
る。
【0017】割れ目含有セラミックス薄板として割れ目
間隙の比較的大きな割れ目拡大破砕セラミックス薄板を
用い、初期粘度の小さい充填樹脂液を用いて割れ目充填
を行う場合には、常圧下、あるいは減圧下に短時間で充
填が終了するが、さもないとき、特に割れ目拡大処理を
全く行わない破砕セラミックス薄板の場合には、極めて
長時間を要し、実質的に充填不良となることがある。こ
のような場合には、減圧下に充填樹脂液を流入後、圧縮
空気等によって加圧するか、あるいは減圧下に充填樹脂
液を高圧注入することによって充填速度が著しく促進さ
れ、完全充填体が容易に得られる。
【0018】本発明にて用いられる充填樹脂としては、
熱可塑性あるいは熱硬化性のいずれの樹脂も用いられる
が、充填に際しては溶媒、分散媒体等の助剤を用いず、
しかもできるだけ低粘性のものを用いるのが好ましい。
従って、モノマー等重合原料のメルト等の液体の形で割
れ目に供給し、間隙内で比較的短時間に重合あるいはさ
らに架橋等の二次反応を行わせることのできる樹脂を選
択するのが有利である。このような樹脂の例としては、
アクリル・メタクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリスチレン、ナイロン
RIM重合体、ポリジエチレングリコールアリルカーボ
ネート、シリコーン樹脂等の樹脂あるいはこれらの共重
合体、ポリマーアロイ等の複合体、従来公知の感光性樹
脂等が挙げられる。
【0019】本発明の方法を人工大理石、透明プラスチ
ックスパネル等の半透明あるいは透明の製品に適用する
には、セラミックス薄板としてガラス、結晶ガラス、マ
イカセラミックス、透明アルミナ等の透明セラミックス
シートを用いればよい。また、割れ目に充填する樹脂と
しては、上記したモノマーキャストタイプの樹脂はすべ
て好適に使用し得るが、それ以外にポリカーボネート、
ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート共重合
体、アモルファスポリオレフィン等の樹脂も使用可能で
ある。
【0020】ただし、これらセラミッスク薄板と充填樹
脂の材料選択に際しては、用途によって基準が異なる
が、割れ目がほとんど目立たないことを意図する製品の
場合には、これら両材料の可視光線に対する屈折率がほ
とんど等しいものを選んで用いることが必要である。前
記した通常の人工大理石、透明プラスチックスパネルや
光学材料の場合には、本例に相当する。この両材料の屈
折率の相対偏差は、3%以内のものが好ましい。
【0021】本発明の方法にて対象となるプラスチック
ス成形体は、従来公知のすべての天然高分子物質、合成
高分子、あるいはそれらに各種の配合剤、複合材(充填
材、補強材、積層材等)、泡状気体等を含んだ高分子組
成物からなるフィルム、シート、ボード、柱体、パイプ
等の比較的平坦な表面を有する成形体が好適に使用され
る。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施態様の例を用いて詳細に
説明する。 実施例 1 厚み0.3mm、寸法30cm×30cmのソーダライム板ガラ
ス(旭硝子株式会社、屈折率1.52)を2枚の同寸法の
ステンレススチール製パンチングメタル板の間に挟み、
加熱炉に入れて約400℃に加熱し、瞬時に4℃の冷水
に浸漬して板ガラスを多数の薄砕片に破砕した。薄砕片
の平均大きさは4.5mmであった。凡ての薄砕片は有端の
割れ目を有していないことを確認した。この破砕セラミ
ックス薄板を、先端面にミクロポーラス・スクリーンを
設けたエアーサッカーを用いてその表面が完全に水平に
なるように設置した鏡面仕上げステンレススチール板の
上に移し、このステンレススチール板に対して手動にて
四方より水平方向に衝撃的振動を与え、割れ目の平均間
隙を約40μm に調節した。
【0023】かくて調製した割れ目拡大破砕セラミック
ス薄板の片面に両面粘着フィルムを貼り、本粘着フィル
ムの薄板への接面と反対側の粘着面に固定用のアルミ板
を貼り、上下逆にひっくり返して拡大割れ目破砕セラミ
ックス薄板の非被覆面を上にしてオートクレーブの底面
に水平に設置し、60℃に加熱するとともに、1mm水銀
柱以下の真空度に保ち、割れ目拡大破砕セラミックス薄
板の上面にメチルメタクリレート6.3部、スチレン3.7
部、過酸化ベンゾイル0.2部を均一に配合し、素早く6
0℃に昇温して調製した充填樹脂液10mlを約90μm
の厚さにコーティングし、厚み5mm、寸法30cm×30
cmのアクリル樹脂系人工大理石(水酸化アルミニウム、
超微粒子シリカ等のフィラーを約60%配合)をこのコ
ーティング面に貼り合わせ、即座にオートクレーブ内を
50kg/cm2 に加圧した。かくて2時間充填・重合・接
着接合処理を続け、操作を終了した。
【0024】本被覆体の硬度、耐磨耗性及び耐汚染性を
測定したところ、以下の表1に示した結果が得られた。
本被覆体の被覆面は、割れ目が全く認められず、極めて
平滑で透明性の優れた天然大理石並みの外観を呈してい
た。ちなみに、本充填樹脂の屈折率を測定したところ1.
52であった。また、表面セラミックス率は0.982で
あった。本被覆体は最大曲率半径50cmまでの曲げ加工
が可能であった。
【0025】
【表1】
【0026】実施例 2 厚さ1mm、寸法30cm×30cmのボロシリケート板ガラ
ス(日本電気硝子株式会社、BL−C、屈折率1.49)
2枚を用いて、実施例1と同じ方法で多数の薄砕片に破
砕した。薄砕片の平均大きさは、それぞれ6.3mmと5.8
mmであった。これら両破砕セラミックス薄板の凡ての薄
砕片は有端の割れ目を有していないことを確認した。
【0027】これらの破砕セラミックス薄板の片面に両
面粘着フィルムを貼り、この粘着フィルムの薄板への接
面と反対側の粘着面を解体した内寸32cm×32cm×0.
7cmの組立型金型の相対する両方形内面に中心を合わせ
るように貼りつけ、この金型を再び組立てた。この金型
内を10-3mm水銀柱以下の真空度、60℃の温度に保
ち、メチルメタクリレート10部、過酸化ベンゾイル0.
2部を均一に配合し、素早く60℃に昇温して調製した
成形・充填樹脂液720mlを50kg/cm2 の圧力で注入
した。かくて2時間同温度にて充填・重合処理を続け、
操作を終了した。
【0028】本被覆体の硬度、耐磨耗性及び耐汚染性を
測定したところ、以下の表2に示した結果が得られた。
本被覆体の被覆面は、割れ目が全く認められず、極めて
平滑で透明性に優れたものであった。ちなみに、本充填
樹脂の屈折率を測定したところ1.49であった。また、
表面セラミックス率は0.997であった。本被覆体は最
大曲率半径150cmまでの曲げ加工が可能であった。
【0029】
【表2】
【0030】実施例 3 ボロシリケート板ガラスを用いる代わりにカリウム鉛板
ガラス(旭硝子株式会社、屈折率1.64)を採用した以
外は、実施例2と全く同一の方法にて透明パネルを調製
した。本被覆体は、透明ではあるが表面に細かい連続し
た割れ目模様を有する、美観的に優れた外観を呈してい
た。
【0031】実施例 4 厚さ5mm、寸法横97cm×縦195cmの天然大理石を板
表面に垂直に局部的な機械的衝撃を付与する方法で多数
の薄砕片に破砕した。薄砕片の平均大きさは2.8cmであ
った。この破砕セラミックス薄板を実施例1にて用いた
方法で割れ目の間隙を拡大し、平均間隙0.7mmの割れ目
拡大破砕セラミックス薄板に再配置した。
【0032】この割れ目拡大破砕セラミックス薄板の片
面に片面粘着フィルムを貼り、厚さ5mm、寸法横弧長1
00cm×縦200cm、横曲率半径5mの円柱孤面状硬質
ポリ塩化ビニール製曲板の凸面にエポキシ樹脂(セメダ
イン株式会社、セメダインスーパー)を約70ミクロン
の厚さにコーティングし、割れ目拡大破砕セラミックス
薄板の粘着フィルムを貼っていない面、すなわち、セラ
ミックス薄板の露出面を本コーティング面に合わせるよ
うに貼りつけた。50℃で1時間加熱して接着剤を硬化
させ、片面粘着フィルムを剥がした。この処理物をオー
トクレーブに入れ、1mm水銀柱以下の減圧下に、着色顔
料を1%配合し、脱泡処理した低粘度エポキシ樹脂(国
際ケミカル株式会社、クリスタル・レジン)を割れ目拡
大破砕セラミックス薄板の表面にドクターナイフにより
数回コーティングし、割れ目に樹脂を充填するとともに
系外に取り出し、ガラス表面に残った余分の樹脂をウェ
スにより拭き取り、70℃で40分間加熱して硬化さ
せ、表面に残存する微量の硬化樹脂を除去するとともに
表面全体が真の円柱面になるように研磨した。本被覆体
は、天然大理石の柱孤状曲面に着色された細かい連続割
れ目模様の入った豪華な外観を呈していた。本被覆体は
樹脂充填後完全に硬化するまで過程であれば、曲面に沿
って最大曲率半径200〜250cmまでの曲げ加工が可
能であった。以上の各実施例についての結果より明らか
なように、本被覆体は被覆処理前のプラスチックス成形
体に比較して表面の硬度が一段と強化されており、また
耐汚染性も向上している。さらに曲げ加工においても処
理前のプラスチックス成形体とほとんど同様に加工を行
うことができる。
【0033】
【発明の効果】本発明の被覆体は、表面の大部分がセラ
ミックスにより構成されているので、硬度が高く、耐擦
過性、耐磨耗性、耐薬品性、耐汚染性、耐候性が優れて
いる。しかも基体がプラスチックスであるので、断熱
性、電気絶縁性に優れ、軽量で、耐衝撃性にも優れてい
る。また、割れ目の存在によりセラミックス体の曲面加
工が可能となり、これとプラスチックスの良好な成形加
工性を組み合わすことにより、多様な形状の製品を創製
することができる。さらに、プラスチックス成形体に均
一なセラミックス薄板を積層接合した従来のラミネート
体と比較すると、従来の場合には、その表面への局所的
な衝撃力によって割れ目が衝撃点を中心として全面に放
射状に広がるが、本被覆体の場合には薄砕片が孤立して
おり、その周りを衝撃吸収性の大きな充填樹脂によって
取り囲まれているので、このようなことは派生しない。
比較的緩慢な平坦面押圧においても、従来の場合は、押
圧部と非押圧部との間でセラミックス薄板が容易に破断
し、特に薄板の厚みが薄くなるとこの傾向が強かった
が、本発明の被覆体の場合には、薄砕片を取り巻く割れ
目充填樹脂の弾性変形能のため破断は著しく軽減され、
また、これに及ぼす薄板の厚さの影響が緩和される。
【0034】本発明のこのような改質効果を利用するこ
とにより、レンズ、鏡、ウィンドー材等の光学材料;窓
ガラス、自動車ウインドー、ショウインドー、ショーケ
ース、広告パネル、ポーチ・サンルーム・テラス構成
材、天窓、アーケード屋根材、温室構成材、間仕切り
材、照明器具カバー、ヘルメット防風マスク等に使用さ
れる透明プラスチックスパネル;人工大理石、人工御影
石、人工琥珀等の人工石材;サイディング、床材、柱
材、内壁材、キッチン・トイレタリー材等の建材等にお
いて好適に使用することができる。また割れ目模様を意
匠デザインとして採用した各種プラスチックス成形体の
被覆体として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を例示するセラミックス被
覆プラスチックス成形体の正面図である。
【図2】本発明の一実施態様を例示するセラミックス被
覆プラスチックス成形体の図1に示したA−Aa面で切
断した断面図である。
【符号の説明】
1 薄砕片 2 割れ目 3 充填樹脂 3A 裏打樹脂 4 樹脂充填割れ目含有セラミックス薄板 5 接着剤 6 プラスチックス成形体

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の割れ目を有し、該割れ目に樹脂が
    充填されてなるセラミックス薄板によって表面が被覆さ
    れていることを特徴とするセラミックス被覆プラスチッ
    クス成形体。
  2. 【請求項2】 セラミックス薄板としてガラス薄板等の
    透明薄板が用いられ、割れ目に充填する樹脂として透明
    性に優れた樹脂で、その屈折率が該透明薄板のそれとほ
    とんど等しいものが用いられてなる請求項1記載のセラ
    ミックス被覆プラスチックス成形体。
JP3228712A 1991-08-13 1991-08-13 セラミツクス被覆プラスチツクス成形体 Pending JPH0543727A (ja)

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Cited By (4)

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