JPH0542571B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、二つの構造物の間に取り付けられて
構造物の振動を減衰する振動減衰装置に関する。

前記振動減衰装置は、構造物が受ける衝撃又は
振動が負荷に直接伝達されるのを回避すべきどん
な場合にも有効に使用できる。この種の装置の主
な使用例としては、機械、自動車、兵器システム
の構成部材のサスペンシヨン、及びロケツト発射
時に大きな衝撃を受けて振動が生じるランチヤ等
の構成部材のサスペンシヨンが挙げられる。

上記タイプの減衰装置には既に知られているも
のがある。全方向性減衰装置としては、螺旋状に
巻かれた単一の多重より線ワイヤケーブル片を含
み、固定手段を構成するバーの互いに対向し合う
ゾーン内にこのケーブル片の各巻きが収容される
ようなものが挙げられる。減衰はケーブルのより
線の相互摩擦によつて得られる。このような構造
は衝撃の減衰には有効であるが、広い周波数範
囲、例えばランチヤに生じる20〜500Hzの周波数
範囲にわたる振動の減衰には余り効果がない。

振動を十分に減衰させるために外部補助ダンパ
を付加することは可能であるが、このような補助
ダンパを付けると重量及び高さがしばしば許容し
得ない程増大する。

本発明の目的は、装置本体の寸法及び重量を増
大することなく広い周波数範囲にわたる振動に対
して大きな減衰効果を生起し得、振動による騒音
を減少し得、しかも二つの構造物への取付けを容
易かつ確実に行い得る振動減衰装置を提供するこ
とにある。

本発明によれば、前記目的は、二つの構造物の
振動を減衰する振動減衰装置であつて、二つの構
造物に夫々固定されるべき二つの取付部材と、中
心軸が二つの構造物の間を伸長するように配置さ
れるコイルばねと、コイルばねの径方向に関して
互いに対向する巻き部を二つの取付部材に夫々結
合する複数のクリツプ部材と、外側表面がクリツ
プ部材の各外側表面とほぼ同一面をなすように取
付部材、コイルばね及びクリツプ部材を埋設する
と共に高減衰率を有しており、二つの構造物に当
接されるべきエラストマ部材と、コイルばねから
エラストマ部材の外側表面までの厚さとコイルば
ねからエラストマ部材の内側表面までの厚さとが
ほぼ等しくなるようにエラストマ部材に配設され
た貫通孔とを備えている振動減衰装置によつて達
成される。

本発明の振動減衰装置によれば、コイルばねと
二つの取付部材とが複数のクリツプ部材により互
いに結合されており、高減衰率を有するエラスト
マ部材は外側表面がクリツプ部材の各外側表面と
ほぼ同一面をなすように取付部材、コイルばね及
びクリツプ部材を埋設している。二つの取付部材
が二つの構造物に夫々固定されると、コイルばね
は中心軸が二つの構造物の間を伸長するように配
置されると共に、エラストマ部材が二つの構造物
に当接される。加えて、エラストマ部材にはコイ
ルばねからエラストマ部材の外側表面までの厚さ
とコイルばねからエラストマ部材の内側表面まで
の厚さとがほぼ等しくなるように貫通孔が配設さ
れている。従つて、本発明の振動減衰装置によれ
ば、構造物に振動が発生した場合、コイルばね及
びエラストマ部材は同時に一体で、しかもエラス
トマ部材には貫通孔が設けられているため容易に
弾性変形し、内部応力によるエネルギを拡散しつ
つ変形する。従つて、衝撃による振動のみでな
く、広い周波数範囲にわたる振動を他のダンパ装
置を併用することなく減衰し得、しかもばね部材
単体から構成される振動減衰装置と比較してより
大きな減衰効果を当該装置とほぼ同一の寸法及び
重量にて生起し得る。加えて、エラストマ部材に
埋設されたコイルばねは中心軸が二つの構造物の
間を伸長するように配置されるため、コイルばね
及びエラストマ部材の中心軸方向の長さを任意に
決定し得、コイルばね及びエラストマ部材の数を
少なくすると共に二つの構造物への取付けを容易
かつ確実に、しかもバランスよく実施し得る。そ
の結果、装置本体の寸法及び重量を増大すること
なく広い周波数範囲にわたる振動に対して大きな
減衰効果を生起し得、振動による騒音を減少し
得、しかも二つの構造物への取付けを容易かつ確
実に行い得る。

以下、本発明を図面に示す好ましい実施例を用
いて詳述する。

第１図から第４図に示した装置は、螺旋状に巻
かれた一片の多重より線ワイヤケーブルからなる
コイルばねとしてのばね１２を含む構造体１０を
有する。ばね１２の巻きは、二つのバー１４が互
いに対向して規定するゾーンを介して二つのバー
１４を貫通している。取付部材としてのバー１４
は、例えば金属等の剛性を有する材料からなり、
ばね１２の各端部より先の末端部分に取付手段を
有している。この取付手段はネジを通す穴からな
る。第３図及び第４図の実施例では、各バー１４
がクリツプ部材としてのクリツプ１８によつて互
いに固定された一対のストリツプ１６で構成され
ている。一対のストリツプ１６の互いに対向する
面に設けられた半円筒形凹部１９は、互いに協働
してばね１２の巻き線を収容する円筒形通路を構
成する。

本発明では、構造体１０は内部減衰率の高いエ
ラストマ材料のエラストマ部材としてのオーバー
モールデイング成形体２０の中に封入されてい
る。成形体２０は、ばね１２の軸方向に伸長する
貫通孔としてのボア２２を有しており、ばね１２
は成形体２０の中に完全に埋め込まれている。ボ
ア２２の寸法は、成形体２０におけるエラストマ
材料の厚さがばねの巻き線の内側及び外側でほぼ
同じになるように決定すると有利である。好まし
い方法の一つとして、成形体２０の外側の面がク
リツプ１８の外側の面に一致して平らになるよう
に成形体２０を構成するとよい。このようにすれ
ば、必要な空間を余り増大させることなく、より
大きな減衰効果を得ることができる。

実際に使用されるエラストマ材料は、通常、熱
間硬化性シリコーン含有エラストマであり、構造
体１０にしつかりと付着される。この固定は、ば
ね１２を予め接着物質で被覆しておけば、熱間硬
化又は重合により実施され、従来のオーバーモー
ルデイング技術によつて得ることができる。使用
し得るエラストマとしては、特に商標
“RHODORSIL”で市販されている材料が挙げら
れる。実験の結果、第１図から第４図に示した構
造を有する本発明の装置は、通常−50℃から＋
130℃に及ぶ広い温度範囲で使用でき、５〜3000
Hzの範囲の振動を十分に減衰させることが判明し
た。

このようにばね１２と成形体２０とを組合わ
せ、かつ成形体２０の内部応力によりエネルギ拡
散を伴う変形が生じるように少なくとも一つのボ
ア２２を設けているため、ばね１２のみを使用し
た場合とは比較にならない程大きな減衰効果が体
積増加を伴わずに得られる。但し、エラストマ材
料の成形体２０にボア２２ではなく簡単なスリツ
トを設けてもボア２２と同じような効果は得られ
ない。

第５図に簡単な従来例を示す。この従来例は、
ばね鋼からなるＵ字のジヨー型構造体２４を有す
る。ジヨー型構造体２４に代えて、複数のケーブ
ル片を一列に配置したものを使用してもよい。こ
の従来例においては、取付手段は、例えばジヨー
型構造体２４のＵ字の腕部分に溶接にて固定され
かつネジ通し穴を備えた補強プレート２５で構成
し得る。エラストマ材料の成形体２０はＵ字のジ
ヨー型構造体２４の内側及び外側の両方を被覆し
ている。成形体２０は中央にボア２２を有する
が、ボア２２もエラストマ材料の厚さがほぼ一定
になるように考慮して設けられる。

他の従来例を第６図に示す。第５図の従来例と
異なり、全方向性減衰を得るために使用される。
この場合は、金属構造体２６が、例えば四つの輪
状体２８と輪状体２８の先端に固定されたスタツ
ド３０とで構成される。他の方法として、輪状体
２８を構成する多重より線ケーブルをほぼ球体表
面の多数の子午線に沿つて軸を中心として巻き付
けることもできる。金属構造体２６も、輪状体２
８の間を通る複数のボア２２を備えたエラストマ
材料の成形体２０により内側及び外側の両方で被
覆される。

第７図に示した従来例は二方向性であり、ばね
鋼からなるジヨー型構造体２４を二つ含む。ジヨ
ー型構造体２４は中がエラストマ材料の成形体２
０で充たされ、構造体２４は接着物質で被覆され
る。成形体２０は、エラストマ材料の平均厚さが
ほぼ一定になるように選択された直径をもち、互
いに平行な複数のボア２２を有する。外側のジヨ
ー型構造体２４には、内側にネジ山を備えた取付
用の穴が設けられている。内側のジヨー型構造体
２４の内側には、中央貫通ボアを有するエラスト
マ材料の第２の成形体を配置してもよい。

本発明は、以上説明してきた実施例に限定され
ることなく、本発明の範囲内で様々に変形でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の好ましい実施例を示す部分断
面側面図、第２図は第１図の−部分断面図を
含む平面図、第３図は好ましい実施例の部分斜視
図、第４図は第３図の−断面図、第５図は従
来例を示す部分断面斜視図、第６図は他の従来例
を示す部分断面側面図、第７図は二方向性の従来
例を示す部分断面斜視図である。 １０……構造体、１２……ばね、１４……バ
ー、１６……ストリツプ、１８……クリツプ、２
０……成形体、２２……ボア、２４……ジヨー型
構造体、２６……金属構造体、２８……輪状体、
３０……スタツド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 二つの構造物の振動を減衰する振動減衰装置
   であつて、 前記二つの構造物に夫々固定されるべき二つの
   取付部材と、 中心軸が前記二つの構造物の間を伸長するよう
   に配置されるコイルばねと、 前記コイルばねの径方向に関して互いに対向す
   る巻き部を前記二つの取付部材に夫々結合する複
   数のクリツプ部材と、 外側表面が前記クリツプ部材の各外側表面とほ
   ぼ同一面をなすように前記取付部材、前記コイル
   ばね及び前記クリツプ部材を埋設すると共に高減
   衰率を有しており、前記二つの構造物に当接され
   るべきエラストマ部材と、 前記コイルばねから前記エラストマ部材の外側
   表面までの厚さと前記コイルばねから前記エラス
   トマ部材の内側表面までの厚さとがほぼ等しくな
   るように前記エラストマ部材に配設された貫通孔
   とを備えている振動減衰装置。 ２ 前記コイルばねの一端側の巻き方向と前記コ
   イルばねの他端側の巻き方向とが互いに異なる特
   許請求の範囲第１項に記載の装置。 ３ 前記コイルばねの前記エラストマ部材と接合
   すべき面に接着剤が塗布されており、前記エラス
   トマ部材は前記接着剤の熱間硬化により前記コイ
   ルばねに接合される特許請求の範囲第１項又は第
   ２項に記載の装置。 ４ 前記エラストマ部材がシリコーンを含有して
   いる特許請求の範囲第１項から第３項のいずれか
   一項に記載の装置。