JPH0536667B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は、往復圧縮機の摺動軸貫通部に設けら
れる高圧軸封装置に係り、特に低温ガスを用いて
軸封パツキンに加わる差圧負荷の低減と温度上昇
の防止を図ることにより、耐久性の向上を図つた
高圧軸封装置に関する。

［発明の技術的背景とその問題点］ 一般に、往復圧縮機の摺動軸貫通部には、機内
の高圧側と機外の低圧側（一般に大気圧）との間
をシールするための高圧軸封装置が用いられてい
る。この高圧軸封装置は、上記貫通部にパツキン
室を設け、このパツキン室内に上記摺動軸上に軸
方向に多段に被嵌される軸封パツキンを収容して
なるもので、高圧側と低圧側の圧力差乃至差圧が
大きくなるにつれ、高圧側被圧縮流体のリークを
生じ易くなるので、従来では差圧の増大に伴つて
軸封パツキンの段数を増加させていた。

しかしながら、軸封パツキンの段数を増加する
と、それだけ装置の大型化を招くのみならず、摺
動軸の摩擦抵抗が増大して摩擦熱の発熱量が増大
すると共にこの摩擦熱が各パツキンに蓄熱される
ようになり、パツキンの熱劣化を生起し、耐久性
の低下を余儀なくされる問題があつた。

［発明の目的］ 本発明は、上記従来技術の問題点を有効に解決
すべくなされたものであり、その目的は装置の小
型化及び耐久性の向上を図ることができる高圧軸
封装置を提供することにある。

［発明の構成］ 本発明は、上記目的を達成するために、往復圧
縮機の高圧側から低圧側に摺動軸が貫通する貫通
部に、摺動軸上に軸方向に多段に被嵌される軸封
パツキンを収容するパツキン室を形成し、該パツ
キン室内の軸封パツキン間に圧力室を設け、該圧
力室に上記往復圧縮機からガスクーラを介して吐
出される冷却高圧ガスの一部を高圧側と低圧側と
の間の圧力に調圧して導入する圧力制御弁を有す
る導入管路を接続したことを特徴とする。

［発明の実施例］ 以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて詳
述する。

第１図において、１は被圧縮流体を圧縮するた
めの往復圧縮機のシリンダであり、両死点に吸入
弁２と吐出弁３を一対宛有する。このシリンダ１
内には、ピストン４が往復移動自在に嵌挿されて
いる。シリンダ１の吸入弁２側には吸入管路５
が、吐出弁３側には吐出管路６が夫々接続され、
吸入管路５は図示しない被圧縮流体供給源に、且
つ吐出管路６はガスクーラ７を介して図示しない
タンク等の容器に夫々接続されている。ピストン
４にはピストンロツドたる摺動軸８の一端が連結
され、この摺動軸８の他端はシリンダ１の一端か
ら外部に貫通延出して図示しない駆動部に連結さ
れている。そして、シリンダ１の摺動軸貫通部９
には、摺動軸８上に軸方向に多段に被嵌された環
状軸封パツキン１０…を収容するパツキン室１１
が形成されている。なお、このパツキン室１１は
グランドパツキンを構成するもので、端部にグラ
ンド押えを有している（図示省略）。このパツキ
ン室１１内の軸封パツキン１０…間には高圧側
（シリンダ内）Ａと低圧側（外部）Ｂとの間の略
中間の圧力に調圧された低温ガスを通過させるた
めの圧力室１２が設けられている。圧力室１２は
軸封パツキン１０…間に例えばスペーサリング等
を介設することにより構成され、供給された低温
ガスによつて膨張して圧力室１２内が所定の圧力
に維持されるようになつている。圧力室１２には
上記吐出管路６におけるガスクーラ７の出口側が
導入管路１３を介して接続され、ガスクーラ７に
よつて冷却された被圧縮流体が供給されるように
なつている。また、圧力室１２は導出管路１４を
介して吸入管路５に接続され、被圧縮流体を吸入
管路５に戻すようにしてある。更に、圧力室１２
内を所定圧に保つため、導入管路１３と導出管路
１４とには圧力制御弁１５，１６が夫々介設され
ている。

本実施例によれば、吸入管路５を介してシリン
ダ１内に吸入された被圧縮流体たる低圧ガスはピ
ストン４で圧縮されて高圧ガスとして吐出管路６
から吐出され、ガスクーラ７を経て冷却されつつ
タンク等の容器に圧送される過程で、冷却高圧ガ
スの一部が導入、出管路１３，１４と制弁１５，
１６を介して所定の圧力に調節されつつ圧力室１
２に循環供給される。従つて、低温で且つ高圧側
Ａと低圧側Ｂとの間の適当なガス圧が圧力室１２
に保持され、各軸封パツキン１０に負荷される差
圧を低減することができ、装置の小型化を達成し
得る。しかも、軸封パツキン１０に負荷される差
圧の低減に伴う摩擦熱の低減と相俟ち、軸封パツ
キン１０を低温の圧力室１２を介して積極的に冷
却するため、軸封パツキン１０の蓄熱、温度上昇
を防止でき、耐久性を向上させることができる。

尚、前記第１実施例では圧力室１２を１つ設け
たが、２以上設けてもよい。

［発明の効果］ 以上要するに本発明によれば次の如き優れた効
果を発揮する。

(1) 軸封パツキン間に設けた圧力室に往復圧縮機
からガスクーラを介して吐出される冷却高圧ガ
スの一部を高圧側と低圧側との間の圧力に調圧
して導入するようにしたので、各軸封パツキン
に負荷される差圧力が低減されることにより摺
動摩擦熱も低減し、冷却ガスによる積極的冷却
と相俟つて軸封パツキンの蓄熱、昇温を防止で
き、耐久性が向上する。

(2) また、各軸封パツキンに負荷される差圧力の
低減によつて、リークを防止できるので、軸封
パツキンの段数を削減でき、装置の小型化が図
れる。

(3) 特に、自らの往復圧縮機からガスクーラを介
して吐出される冷却高圧ガスの一部を調圧して
圧力室に導入するようにしたので、別途冷却ガ
ス供給源を設ける必要がなく、構造の簡素化お
よびコストの低減が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る高圧軸封装置の一実施例
を示す構成図である。 図中、Ａは高圧側、Ｂは低圧側、８は摺動軸、
９は貫通部、１０は軸封パツキン、１１はパツキ
ン室、１２は圧力室である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 往復圧縮機の高圧側から低圧側に摺動軸が貫
   通する貫通部に、摺動軸上に軸方向に多段に被嵌
   される軸封パツキンを収容するパツキン室を形成
   し、該パツキン室内の軸封パツキン間に圧力室を
   設け、該圧力室に上記往復圧縮機からガスクーラ
   を介して吐出される冷却高圧ガスの一部を高圧側
   と低圧側との間の圧力に調圧して導入する圧力制
   御弁を有する導入管路を接続したことを特徴とす
   る高圧軸封装置。