JPH0534654Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、種々用途に適用可能な牽引具に関
し、例えば火災等の危急時に寝たきり病人や老人
等をそのまま敷布団ごと引張つて、或いは担架代
りとして使用して緊急脱出させるのに特に好適な
緊急用寝具牽引具等に利用できる牽引具に関す
る。

（従来の技術） 例えば、従来より病人や老人ホーム等の自力歩
行が困難な人を収容した施設において、火災等の
発生によつて収容者を緊急に避難させる場合に
は、担架や車イス等にのせて避難させるか、看護
人が収容者を担いで避難させるか等していた。

（考案が解決しようとする課題） しかし、通常、上記施設において担架や車イス
等を全収容者分揃えてあることは稀であり、また
看護人が収容者を担いで避難することは、収容者
数が少なく避難距離が短い場合以外は実際的でな
く、さらには個々の収容者の寝具の端を掴んで後
ろむきに引張つて避難させることもでき難いこと
であつた。

本考案は、上記に鑑み、危急の際に敷布団等の
寝具に取付けて簡便かつ有効に避難させることの
できる牽引具、並びに他用途にも適用可能な牽引
具を提供せんとするものである。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するための本考案は、湾曲乃至
折曲した２本の杆体の中間上方部分を相互に枢動
可能に軸支し、該軸支部より下方部分を挾持部と
し、上方部分を装着部とし、該軸支部付近の杆体
には挾持部先端部が互いに圧接する方向に付勢さ
れたばね材を配設し、上記装着部は互いに先端ほ
ど離反拡開させ、両装着部に渡つて両装着部間狭
窄具を連設し、該狭窄具に着脱自在にベルト等の
牽引部材を装着した構成を有した牽引具であるこ
とを特徴とする。

（作用） 挾持部を広げて、この間に敷布団等の端部を差
し入れると、これを挾持部先端部がばねの付勢を
受けて圧接挾持し、さらに牽引部材を引張ると、
離反拡開している装着部を狭窄具が締付けて装着
部の両杆体部を相互に引き寄せ、これに対応して
挾持部先端部が一層敷布団等を強く圧接挾持し、
牽引部材による牽引を効果的にする。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１〜４図において、牽引具は湾曲した２本の
杆体１，２の上方部分を相互に枢動可能にリベツ
ト等で軸支し、該軸支部３より下方部分を敷布団
その他任意の被牽引体の挾持部１ａ，２ａとし、
該端部には相互に当接し得る圧接部１ｄ，２ｄを
形成し、各杆体１，２の軸支部３より上方部分を
装着部１ｂ，２ｂとし、該装着部は互いに先端ほ
ど離反拡開させると共に、先端から外側方に夫々
折曲し、さらにその少なくとも一方を延設して握
圧用突出部１ｃを形成し、該突出部１ｃと他方の
杆体２の挾持部２ａ上部とを親指と他の四指とで
握持できるような挾持部拡開用握圧部５とし、両
端に合成樹脂等の保護キヤツプを被冠してある。
４はリング状のばね材であり、軸支部３を囲むよ
うに配設され、装着部１ｂ，２ｂ間で分離するば
ね材４の端部は、夫々装着部１ｂ，２ｂの外側部
に嵌着し、該ばね圧は、装着部１ｂ，２ｂを接近
させるように作用すると同時に、圧接部１ｄ，２
ｄを当接方向に押圧する。圧接部１ｄ，２ｄは、
第５図に示す如く、被牽引体を挾持しやすくする
ため、適宜面積の当接面を持つ、例えば杆体に同
材質の板体を熔接し、表面を合成樹脂被覆し、各
当接面が対向するように挾持部１ａ，２ａの各先
端部に固定されると共に、被牽引体を挾持し易い
ように上部が対向面側に折れ込んでいる。

また上記装着部１ｂ，２ｂ間には狭窄具６が装
着されており、該狭窄具６は、第２図に示す如く
該狭窄具６が装着部１ｂ，２ｂの開放端側に位置
した時に、該装着部１ｂ，２ｂを引寄せ可能なよ
うに、帯状板体の両端部に装着部１ｂ，２ｂの開
放端付近の両装着部１ｂ，２ｂ間の距離を持つて
装着部１ｂ，２ｂ挿通用の長穴６ａ，６ｂが穿孔
形成されており、かつ牽引部材取付用のリング状
の係合部を延端側に形成した支柱６ｃを長孔６
ａ，６ｂ間に揺動自在に止着した長円形状の平板
からなつている。

而して、上記牽引具を利用して寝たきりの人を
危急の際に運び出すには、予め、長さ調整可能な
ベルト７等の牽引部材の両端に取付けた一対の牽
引具を、その寝ている布団８の枕元乃至裾側端縁
部に、夫々第３図（図では片方のみ表示してあ
る。）に示すようにして、装着部１ｂ，２ｂに遊
着する狭窄具６を矢印方向へ移動させて挾持部１
ａ，２ａを自由にしつつ、握圧部５を片手で握圧
し圧接部１ｄ，２ｄの相互間をばね材４のばね圧
に抗して開き、他方の手で布団８の端部を圧接部
１ｄ，２ｄ間に挟む。ここで、突出部１ｃの握圧
部５は、握り易くするため杆体２の握圧部５の方
向に凸形の湾曲形としてあるのが好ましい。この
段階では、布団８はばね４のみによつて挾持され
る。次いで、ベルト７を持つか肩に掛けるかして
引張ると、第４図に示すように、狭窄具６は開放
端側に引き寄せられて長孔６ａ，６ｂの外周部と
装着部１ｂ，２ｂが当接することになり、さらに
強く引張ると狭窄具６は装着部１ｂ，２ｂを内側
に押し込むように開放端側に移動する。

この牽引状態においては、被牽引体自体の重量
と寝ている人の体重及び床との摩擦抵抗等により
生じる荷重に比例して圧接部１ｄ，２ｄの圧接力
が増加して、被牽引体を挾持する力が一層強めら
れ確実に寝ている人を敷布団等の被牽引体ごと運
ぶことができる。

なお、本考案は上述各実施例に限定されること
なく、杆体、圧接部、装着部、突出部、ばね狭窄
具、吊り具等の形状及び取付位置等は適宜変形可
能である。杆体は、湾曲させるだけでなく、適宜
被牽引体を挾持できさえすれば、折曲して形成し
てもよい。圧接部は、第５図乃至第７図に示す如
く、上端内面に相互に咬合する噛合い部分を形成
したり、当接面に多数の小突起を設けたりして圧
接部の挾持力、或いは圧接部への喰い込み力を増
強した構成としてもよく、また第８図に示す如
く、圧接部を挾持部先端部に回動自在に軸着し
て、牽引時に被牽引体が後方に引ずれることによ
つて、圧接部上部の噛合い分が被牽引体により強
く喰い込むようにしてもよく、該圧接部は被牽引
体を挾持牽引可能ならばその形状は任意である。
装着部は挾持部と一体のものでも或いは別体のも
のをねじ止めするようにしてもよく、突出部は両
方の装着部に形成しておいてもよい。ばね材４は
第１図において２点鎖線で示した如く、杆体の中
間部相互間にコイル状のばね材を配設しておくこ
とにより形成してもよいし、軸支部にねじりばね
を配して両端を各杆体に掛けておくこと等により
形成する等、圧接部を被牽引体に押圧付勢するも
のでありさえすればよい。狭窄具は、両装着部上
端に牽引部材に連結した鎖等を止着して、牽引部
材を引張つた時に装着部に窄り込む構造を持つな
らば、その形状及び取付手段は任意である。

牽引具は、敷布団以外に毛布、マツトレス等、
人を寝かせて牽引可能な強度及び大きさを持つ適
宜な被牽引体に使用可能である。

また、本考案は非常時ばかりでなく、普段布団
等を干すのに使用しても差支えない。

さらに、杆体の挾持部及び装着部の材質は限定
されないが、プラスチツク或いはアルミニウム、
鉄等の金属で一体に形成しておいてもよいし、挾
持部をプラスチツク、装着部を金属として、両者
間はインサート或いはねじ止め等により一体的に
固定してもよい。材質が金属材の場合は、少なく
とも端部付近を合成樹脂等で被覆しておくのが好
ましい。

（考案の効果） 以上のようにして本考案の牽引具によれば、担
架や車イス等の運搬手段がなくても、例えば敷布
団等に人を寝かせたままこれを極めて簡便かつ省
力的に牽引することができ、火災等の危急時に歩
行が困難な人を迅速に避難させることができ、ま
た敷布団等の弾力によつて寝ている人に加わる衝
撃を弱めることができると共に、これを吊り下げ
れば、敷布団等が人を包むように丸まることによ
つて、火の粉等を防ぐことができる等使用の簡便
さと１人でも牽引可能な簡易さがあり、かつ安全
性が高い。

さらに製造コストが安いために、担架等を設備
する場合に比べ、容易に収容人員分の避難具を低
コストで揃えることができ、防災避難具として好
適である。

また、本考案牽引具は上記の外、挟着可能なも
のであれば様々な用途に使用可能であり、用途を
広いものとする。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る牽引具の正面図、第２図
はその装着部の拡大斜視図、第３図及び第４図は
第１図の牽引具の使用状態を示す正面図、第５図
乃至第７図は圧接部の別実施例を示す斜視図、第
８図は同じく更に別実施例を示す側面図である。 １，２……杆体、１ａ，２ａ……挾持部、１
ｂ，２ｂ……挾持部、３……軸支部、４……ばね
材、６……狭窄具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 湾曲乃至折曲した２本の杆体の中間上方部分を
   相互に枢動可能に軸支し、該軸支部より下方部分
   を挾持部とし、上方部分を装着部とし、該軸支部
   付近の杆体には挾持部先端部が互いに圧接する方
   向に付勢されたばね材を配設し、上記装着部は互
   いに先端ほど離反拡開させ、両装着部に渡つて両
   装着部狭窄具を連設し、該狭窄具に着脱自在にベ
   ルト等の牽引部材を装着した構成を有したことを
   特徴とする牽引具。