JPH05346309A - 透明薄膜の厚さ及び音速の同時測定法 - Google Patents

透明薄膜の厚さ及び音速の同時測定法

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JPH05346309A
JPH05346309A JP3146533A JP14653391A JPH05346309A JP H05346309 A JPH05346309 A JP H05346309A JP 3146533 A JP3146533 A JP 3146533A JP 14653391 A JP14653391 A JP 14653391A JP H05346309 A JPH05346309 A JP H05346309A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 不透明基板上の透明薄膜の厚さ及び音速の非
接触、非破壊測定方法を提供する。 【構成】 超短パルスコヒ−レント光を用いて、ポンプ
・プロ−ブ光学系を構成し、ポンプ・プロ−ブ光の遅延
時間を変化させて不透明基板上の透明薄膜に照射し、透
明薄膜内の応力パルスからと、透明薄膜と基板との境界
面からと、薄膜上面からとの反射プロ−ブ光の干渉によ
り生じる反射率の時間変化のうなり振動の周期τBを測
定し、該周期τB と、既知の透明薄膜の屈折率nと、該
プロ−ブ光線の透明薄膜中の入射角θと該プロ−ブ光線
の波長λから、透明薄膜中の音速vを算出し、さらに応
力パルスの該透明薄膜中の伝播時間τを測定し、該伝播
時間τと、前記音速vより透明薄膜の厚さdを算出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不透明基板上の透明薄
膜の厚さ及び音速を同時に測定し、透明薄膜の評価をす
ることに関する。音速によって、例えば薄膜の純度、結
晶性あるいは欠陥等を評価することに使われる。薄膜の
厚さによって、静電容量、耐食性、耐摩耗性等を評価す
ることに使われる。
【0002】
【従来の技術】超高速物理過程を測定するポンプ・プロ
ーブ法を用いた光学系は広く使われている。超高速レー
ザパルスを用いた薄膜中の超音波の発生・検出に関する
例として、論文C.Thomsen,H.T.Grah
n,H.J.Maris and J.Tauc,Ph
ysical Review B,Vol.34,p4
129,1988をあげることができる。彼らの方法は
透明薄膜の他色々な薄膜に適用されてきた。例えば、
H.T.Grahn,H.J.Maris andJ.
Tauc,IEEE Journal of Quan
tum Electronics, vol.25,p
2562,1989の論文では透明膜内の応力パルスの
発生・検出を目的とする不透明付加膜を透明薄膜上に蒸
着させる。しかしこの方法では、蒸着作業を必要とする
ため不便であり、さらには試料に損傷を与える恐れがあ
る。
【0003】透明材料内の応力パルスを検出する方法も
考案されている。例えば、C.Thomsen,H.
T.Grahn,H.J.Maris and J.T
aucの論文 Optics Communicati
ons Vol.60,p55,1986では、不透明
薄膜を透明基板の上に蒸着し、透明基板内の応力パルス
を検出する方法を記述している。この方法は、応力パル
スからの反射プローブ光と薄膜基板の境界面からの反射
プローブ光との干渉を検出する方法に基づいている。う
なり周波数の逆数は、音速と透明基板の屈折率の積に比
例している。従って、透明基板の屈折率が既知であれば
透明基板の音速を測定できる。
【0004】同様の手法はH.T.Grahn,D.
A.Young,H.J.Maris,J.Tauc,
J.M.Hong and T.P.Smith等の論
文Applied Physics Letters,
vol.53,p2023,1988で適用されてい
る。この論文では、2層構造の厚さ既知の透明薄膜の音
速及び屈折率を決定できることが記述されている。この
方法では、透明薄膜上に厚さ14nmのInSb付加膜
を蒸着し、この付加膜でポンプ光を吸収して超音波を発
生させ、薄膜内での超音波エコーの往復時間及びプロー
ブ光の干渉のうなり周期を利用している。したがって、
付加膜が必要不可欠であるので、蒸着作業も必要で、試
料に損傷を与えることがある。
【0005】非接触・非破壊の別の手法が論文O.B.
Wright,T.Matsumoto,T.Hyog
uchi and K.Kawashima,‘Phy
sical Acoustics:Fundament
al and Applied’,edited by
O.Leroy,Plenum Press,199
1で提案された。この方法では、透明薄膜のエコー時間
から、音速と厚みの率を測定する。この方法では、不透
明基板上の透明薄膜に適用でき、薄膜の厚さまたは、音
速どちらか一方を得るために使われる。
【0006】一般に超音波法による厚さ測定では、薄膜
の音速データを与える必要があり、また、音速の測定で
は、厚さを与える必要がある。このように厚さ及び音速
を同時に測定する方法はなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】非破壊・非接触で光学
的方法を用いて超音波を発生・検出することにより、不
透明基板上の透明薄膜の厚さ及び音速を同時に測定する
方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、超短パルスコヒーレント光源を用いて、ポンプ・
プロープ光学系を構成し、ポンプ・プローブ光の遅延時
間を変化させて不透明基板上の透明薄膜に照射し、透明
薄膜内の応力パルスからと、透明薄膜と基板との境界面
からと、薄膜上面からとの反射プローブ光の干渉により
生じる反射率の時間変化のうなり振動の周期τB を測定
し、該周期τB と、既知の透明薄膜の屈折率nと、該プ
ローブ光線の透明薄膜中の入射角θと、該プローブ光線
の波長λから、透明薄膜中の音速vを算出し、さらに応
力パルスの該透明薄膜中の伝播時間τを測定し、該伝播
時間τと、前記音速vより透明薄膜の厚さdを算出する
ことを特徴とする、不透明基板上の透明薄膜の厚さ及び
音速の同時測定法を提供することにあり、さらには、該
伝播時間τは反射率のうなり振動の位相変化の時間、ま
たは間隔から求めること、あるいは、反射率の振幅変化
の時間、または間隔から求めること、あるいは透明薄膜
上面変位、あるいは透明薄膜と基板境界面変位からの反
射率の変化の時間、または間隔から求めること、あるい
は透明薄膜上面から基板に戻る応力パルスのエコーの時
間、または間隔から求めることにある。
【0009】さらに、本発明は不透明基板上の透明多層
薄膜の各厚みd1 ・・dN 及び各音速v1・・vN の同
時測定にも拡張できる。
【0010】
【作用】本発明の詳細を図を参照しながら説明する。図
1に示すように、超短パルスコヒーレント光源を用いて
ポンプ・プローブ光学測定系を構成する。超短パルスコ
ヒーレント光源の一形態である超短パルスレーザ1から
ビームスプリッタ2で分割してポンプ光3と入射プロー
ブ光4を得る。ここで言うコヒーレント光源とは、コヒ
ーレンス長さが10nmより大きいものである。ポンプ
光3により、透明薄膜5内に応力パルスは発生する。入
射プローブ光4をコーナーキューブ6の移動により光路
長すなわち、遅延時間を変化させてすべての反射プロー
ブ光23を光検出器7で検出し、反射率変化を測定す
る。ポンプ光3とプローブ光4をミラー8,9,10,
11,12とレンズ13,14,15の調整により、該
透明薄膜5の同一領域か一部が重なった領域に照射させ
る。ポンプ光3とプローブ光4は相互干渉防止のため、
1/2波長板16と偏光板17により偏光方向を直交さ
せることが望ましい。ポンプ光3の光強度を光変調器1
8により周波数fで変調し、周波数fの信号を光検出器
7で測定することが信号・雑音比が上がるので望まし
い。ポンプ光3と入射プローブ光4は同期している2つ
のレーザ光であれば波長が異なっていてもよい。典型的
な光パルスは、波長1nmから100μm、パルス幅
0.01psから100ps、平均パワー10μWから
1kW、繰り返し周波数は1HZ から10GHZ であ
る。透明薄膜の膜厚の典型的な範囲は5nmから500
μmである。透明薄膜はレーザ光の波長域で十分透明で
あることが必要であり、一般に透明薄膜5の光学吸収深
さζtは透明膜厚dより大きいか同じオーダーであるこ
とが条件である。一方、不透明基板19の光学吸収深さ
ζは膜圧dより小さいか同じオーダーであることが条件
である。
【0011】図2はポンプとプローブ光の基本的な光線
と試料の関係を示す。ポンプ光3は、不透明基板19に
吸収され、応力パルス20が該基板19内に発生する。
理解しやすくするために応力パルス20の深さ方向の空
間分布を無視している。この応力パルス20は透明薄膜
5に伝達され、該透明薄膜上面21と透明薄膜5と基板
19の境界面22との間で多重反射する。さらに、応力
パルスの一部は、周期的に基板の中に入る。応力によ
り、基板と透明薄膜の複素屈折率が変化し、反射プロー
ブ光23の強度変化が生じる。図3に一回反射のプロー
ブ光を示す。透明薄膜5内の応力パルス20から反射
し、透明薄膜上面21を透過する反射プローブ光27が
生じる。反射プローブ光27と反射プローブ24と反射
プローブ光26の光学的位相差により干渉が生じ、その
結果、反射したすべてのプローブ光23の強度がさらに
変調される。たとえば応力パルス20からの反射プロー
ブ光25と反射プローブ光24の光学的位相差はψ=4
πnzcosθ/λ+Ψoradianで与えられる。こ
こで、λはプローブ光の波長、zは伝播する応力パルス
から境界面22までの距離、θは透明薄膜5内の入射プ
ローブ光4の入射角、nは透明薄膜5の屈折率Ψoは、
境界面22からの反射位相差でzに関係なく一定であ
る。図4では入射プローブ光4が応力パルス20から1
回反射し、透明薄膜上面21を透過する反射プローブ光
27と、透明薄膜上面21と境界面22間で多重反射し
透明薄膜上面21を透過する反射プローブ光28を示
す。図5では入射プローブ光4が境界面22から反射
し、応力パルス20から1回反射し、透明薄膜上面21
と境界面22間で多重反射し透明薄膜上面21を透過す
る反射プローブ光29を示す。図6は応力パルスと関係
なく、多重反射の様子を示す。入射プローブ光4が透明
薄膜上面21から反射する反射プローブ光26と、透明
薄膜上面21と境界面22間で多重反射し透明薄膜上面
21を透過する反射プローブ光24と30を示す。応力
パルス20の反射率は充分低いので、2回以上の反射は
無視できて、1回の反射のみを考慮すれば良い。従って
図4、5、6に示した反射プローブ光が、考慮すべきす
べての反射プローブ光を表す。但し、透明薄膜上面と透
明薄膜と基板との境界面での多重反射の表示は途中で打
ち切ってある。
【0012】透明薄膜の音速と膜厚を測定する方法を以
下に記述する。応力パルス20からと境界面22からと
透明薄膜の上面21からとの反射プローブ光の干渉によ
って反射率変化の時間変化の正弦波状のうなり振動が生
ずる。うなり振動の周期τBは測定された反射率変化か
ら測定できる。うなり周期τB はz=vτB の位置の時
間でΨ−Ψ0=2πとなる。ここで、vは透明薄膜の音
速である。従ってτB=λ/(2nvcosθ)である。
透明薄膜の厚さが長さvτB より大きいか、または同程
度であれば、前記τB は正確に決定できる。透明薄膜の
屈折率n、プローブ光入射角θ、波長が既知であれば、
v=λ/2τBn・cosθ)から透明薄膜の音速vを決
定できる。次に透明薄膜内の伝播時間τを測定する。さ
らにd−vτから透明薄膜の膜厚dを決定できる。
【0013】
【実施例】さらに、本発明を実施例に基づき詳細に説明
する。図7は、Cr基板上の厚さ900nmのシリカ薄
膜の、反射率変化の実験データである。レーザ光は波長
630nm、パルス幅約3ps、繰り返し周波数76M
HZ 、平均パワー30mWである。空気中のプローブ光
の入射角は55°で、プローブ光は入射面に対し直角方
向に偏光されている。反射率変化はポンプ光とプローブ
光とのごくわずかな遅延時間差の間に急激に変化し、そ
の後指数的に減衰している。これは、バックグラウンド
成分が、重畳しているためである。バックグラウンド成
分は、熱により反射率と電子励起過程により生ずる成分
であることがよく知られている。バックグラウンド成分
は、指数的減衰曲線にあてはめることにより、反射率変
化より除去できて応力パルス信号成分のみを抽出でき
る。この結果を図8(a)に示す。図8(a)の信号に
はうなり振動の位相変化が見える。この位相変化に対応
する時間はτ、2τ、3τ・・・である。さらに、時間
165psecで信号の平均レベルの変化が見える。こ
れは、透明薄膜上面変位からの反射率変化を示してい
る。この変化に対応する時間はτである。
【0014】図8(b)に前記シリカ薄膜の反射変化の
計算結果を示す。この理論では二つの成分が含まれてい
る。図8(c)に示す成分は透明薄膜の反射率変化のう
なり振動の成分である。図8(d)に示す成分は透明薄
膜上面の変位の反射率変化の成分である。この変位は透
明薄膜上面からの応力パルスの反射のためである。さら
に境界面22からの応力パルスの反射のため境界面22
の変位と反射率変化も生じるがこの変化は一般に比較的
に小さいので理論では無視されている。理論計算の方法
について以下に記述する。まず、応力パルス波形を光吸
収による不透明基板の温度上昇の深さ方向プロファイル
と一次元弾性方程式から計算する。つぎに応力パルスに
よる反射率変化の理論を使って反射率変化を計算する。
さらに透明薄膜上面の変位による反射率変化を計算す
る。このシリカ薄膜とCr基板の場合、基板の応力パル
スによる反射率変化は無視出来る。図8(c)に示す反
射率変化の正弦波状のうなりは応力パルス20と境界面
22と透明薄膜の上面21からの反射光の干渉によって
生ずる。この理論計算では図4,図5,図6に示す光線
による反射率変化への影響を考慮している。実際は、時
間経過とともに透明薄膜上面の変位が三次元弾性方程式
に基づいて緩和するが、図8の例ではこの緩和時間は2
τより大きいから理論計算ではこの緩和を無視してい
る。
【0015】図8(c)に示すうなりは透明薄膜の上面
・下面での応力パルス到達時間に対応した時間τ,2
τ,3τ...で位相が変化する。この様に時間τは反
射率のうなり振動の位相変化の時間、あるいは間隔から
求めることができる。境界面22までの応力パルス到達
時間2τ,4τ,6τ...では、境界面22の応力パ
ルス反射係数に等しい減衰率で、うなり信号の振幅は小
さくなる。この様に時間τは反射率のうなり振動の振幅
変化の時間、あるいは間隔から求めることができる。透
明薄膜上面21の変位によって薄膜厚さが変化して薄膜
上面からの反射率と境界面22からの反射光が干渉する
から図8(d)の反射率変化成分が生じる。この変化が
時間τ,3τ,5τ...で変わり始める。さらに境界
面22の変位の反射率変化が時間2τ,4τ,6
τ...で変わり始める。この様に時間τは透明薄膜上
面変位、あるいは透明薄膜と基板の境界面変位からの反
射率変化の時間、あるいは間隔から求めることができ
る。この透明薄膜上面変位の成分が膜厚に依存するので
小さくなる場合もある。
【0016】この例では測定値τ B≒48psec、τ
≒165psecからv≒5500ms-1、d≒900
nmを決定出来た。ここでシリカの屈折率n=1.46
は既知とした。透明薄膜の厚さが透明薄膜内の応力パル
スの深さ方向の長さwより大きいかまたは同程度であれ
ば、前記τは正確に決定出来る。ここでw≒ζv/
s、vsは基板の音速、ζは不透明基板の光学吸収深さ
である。さらに、wはλ/nより小さいかまたは同程度
であれば、前記τBは正確に決定できる。ここでλはプ
ローブ光の波長、nは透明薄膜の屈折率である。
【0017】図9にアモルファスGeの基板上の厚さ2
60nmのシリカ薄膜の実験結果を示す。この基板それ
自体もシリカベース上の厚さ460nmの膜である。図
10の上側の曲線はバックグラウンド信号成分を除去し
たデータを示している。図10の下側の曲線は前述の理
論による計算結果を示している。透明薄膜、基板両者の
応力による反射率変化の影響はこのデータを説明するた
めに重要である。理論に基づく計算結果を図11
(a),(b),(c),(d)に示す。図11(a)
はシリカ薄膜上面からGe基板に戻る応力パルスのエコ
ー成分を示す。応力パルスのエコーに対応する反射率変
化は、応力パルスが基板に再び入る時に対応する。この
効果は基板の応力による反射率変化によって生じる。図
11(a)のエコー間隔の1/2は応力パルスの透明薄
膜中の伝播時間τに等しい。図11(b)は基板内に最
初に伝達された応力パルスからの成分を示す。図11
(c)は透明薄膜の反射率変化のうなり振動の成分を示
す。図11(d)は透明薄膜上面変位反射率変化の成分
を示す。図11(d)の例では、透明薄膜上面の変位の
緩和時間は2τより大きいから理論計算ではこの緩和を
無視している。
【0018】時間τは透明薄膜上面から基板に戻る応力
パルスのエコーの時間2τ,4τ,6τ...あるい
は、間隔から求めることができる。この例では透明薄膜
の上面に応力パルスが到達する時間τ,3τ,5
τ...でうなり信号の位相変化が小さく、検出が困難
である。この場合、2τ,4τ,6τ...での位相変
化または、2τ,4τ,6τ...での振幅の減少部ま
たは、図11(a)のエコー成分の時間から、時間τは
より正確に決定される。この例では図11(d)の成分
は割合小さいので、この成分からτは正確に決定できな
い。この例ではτB≒46psec、τ≒43psec
からv≒5600ms-1、d≒240nmを決定でき
た。
【0019】以上の議論は空気、他の低密度物質あるい
は真空にさらされた薄膜に適用できる。更に、透明な液
体中の不透明基板上の透明薄膜にも適用できる。また、
不透明基板上の多層透明薄膜にも適用できる。この場
合、各層の膜厚と音速も決定出来る。例えば、不透明基
板上の膜厚d1(上側薄膜),d2(下側薄膜)の2層薄
膜の場合、時間0〜τ2(τ2=d2/v2)の間の信号波
形には、周期τB2=λ/(2 n22cosθ2)の振動周
期があり、時間τ2〜τ1+τ2(τ1=d1/v1)の間の
信号波形には、周期τB2の振動にτB1=λ/(2n11
cos θ1)の振動が重なっている。ここで、v1
1,θ1,τ1,v2,n2,θ2,τ2はそれぞれ上側薄
膜、下側薄膜の音速、屈折率、薄膜内の入射角度、薄膜
内の伝播時間である。周期τB2を時間0〜τ2の間の反
射率変化のデータから直接決定できる。周期τB1を時間
τ2〜τ1+τ2の間で透明薄膜の応力による反射率変化
から計算される理論的反射率変化をあてはめることによ
り決定できる。位相の変化に対応する時間は、薄膜間の
境界あるいは上側薄膜上面あるいは、下側薄膜と基板の
境界面に応力パルスが到達する時間に相当する位置と考
えられる。従って、τ2とτ1の値を決定できる。θ1
θ2,λ,n1,n2が既知であれば2層の音速と膜厚を
決定できる。このような議論は以下に示すように透明多
層薄膜に容易に拡張できることがわかる。各層の透明薄
膜のうなり振動の周期τ1...τNを求め、既知の各透
明多層膜の屈折率n1...nN,ブロープ光線の薄膜内
の入射角θ1...θN、ブロープ光線の波長λにより各
層の音速v1...vNが算出できてさらに、各層の透明
薄膜内の伝播時間τ1...τNと前記v1...vNから
各層の厚みd1...dNを決定できる。
【0020】
【発明の効果】本発明により、非接触・非破壊で不透明
基板上の透明薄膜の厚さ及び音速を同時に測定すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】超短バルスレーザ光源を用いたポンプ・プロー
ブ光学系を示す。
【図2】ポンプ光とプローブ光の基本的光線と、試料と
の関係を示す。
【図3】入射プローブ光と1回反射の反射プローブ光を
示す。
【図4】入射プローブ光が応力パルスで1回反射した
後、多重反射する様子を示す。
【図5】入射プローブ光が、薄膜・基板境界面で反射
し、更に応力パルスで1回反射した後、多重反射する様
子を示す。
【図6】入射プローブ光の応力パルスでの反射を含まな
い多重反射を示す。
【図7】Cr基板上の厚さ900nmのシリカ薄膜から
の反射率変化の測定結果を示す。
【図8】(a)は図7からバックグラウンドを除去した
結果を示す。(b)は図8(a)の反射率変化の計算結
果を示す。(c)は透明薄膜の反射率変化のうなり振動
の成分を示す。(d)は透明薄膜上面変位の反射率変化
の成分を示す。
【図9】アモルファスGe基板上の厚さ260nmのシ
リカ薄膜からの反射率変化の測定結果を示す。
【図10】上側の曲線は図9からバックグラウンド信号
成分を除去した結果を示し、下側の曲線は理論による計
算結果を示す。
【図11】(a)はシリカ薄膜上面からGe基板に戻る
応力パルスのエコー成分を示す。(b)は基板内に最初
に伝達された応力パルスからの成分を示す。(c)は透
明薄膜の反射率変化のうなり振動の成分を示す。(d)
は透明薄膜上面変位の反射率変化の成分を示す。
【符号の説明】
1 超短パルスレーザ 2 ビームスプリッター 3 ポンプ光 4 入射プローブ光 5 透明薄膜 6 コーナーキューブ 7 ヒカリ検出器 8、9、10、11、12 ミラー 13、14、15 レンズ 16 1/2波長板 17 偏光板 18 光変調器 19 不透明基板 20 応力パルス 21 透明薄膜上面 22 透明薄膜と基板の境界面 23 全ての反射ブロープ光 24 薄膜上面からの反射ブロープ光 26、27、28、29、30 反射ブロープ光
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月2日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】 図7からバックグラウンドを除去した結果、
その結果の反射率変化の計算結果、透明薄膜の反射率変
化のうなり振動の成分、透明薄膜上面変位の反射率変化
の成分をそれぞれ示す図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】 シリカ薄膜上面からGe基板に戻る応力パ
ルスのエコー成分、基板内に最初に伝達された応力パル
スからの成分、透明薄膜の反射率変化のうなり振動の成
分、透明薄膜上面変位の反射率変化の成分をそれぞれ示
す図である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】 図2はポンプとプローブ光の基本的な光
線と試料の関係を示す。ポンプ光3は、不透明基板19
に吸収され、応力パルス20が該基板19内に発生す
る。理解しやすくするために応力パルス20の深さ方向
の空間分布を無視している。この応力パルス20は透明
薄膜5に伝達され、該透明薄膜上面21と透明薄膜5と
基板19の境界面22との間で多重反射する。さらに、
応力パルスの一部は、周期的に基板の中に入る。応力に
より、基板と透明薄膜の複素屈折率が変化し、反射プロ
ーブ光23の強度変化が生じる。図3に一回反射のプロ
ーブ光を示す。透明薄膜5内の応力パルス20から反射
し、透明薄膜上面21を透過する反射プローブ光27が
生じる。反射プローブ光27と反射プローブ24と反射
プローブ光26の光学的位相差により干渉が生じ、その
結果、反射したすべてのプローブ光23の強度がさらに
変調される。たとえば応力パルス20からの反射プロー
ブ光25と反射プローブ光24の光学的位相差はψ=4
πnzcosθ/λ+Ψoradianで与えられる。
ここで、λはプローブ光の波長、zは伝播する応力パル
スから境界面22までの距離、θは透明薄膜5内の入射
プローブ光4の入射角、nは透明薄膜5の屈折率Ψo
は、境界面22からの反射位相差でzに関係なく一定で
ある。図4では入射プローブ光4が応力パルス20から
1回反射し、透明薄膜上面21を透過する反射プローブ
光27と、透明薄膜上面21と境界面22間で多重反射
し透明薄膜上面21を透過する反射プローブ光28を示
す。図5では入射プローブ光4が境界面22から反射
し、応力パルス20から1回反射し、透明薄膜上面21
と境界面22間で多重反射し透明薄膜上面21を透過す
る反射プローブ光29を示す。図6は応力パルスと関係
なく、多重反射の様子を示す。入射プローブ光4が透明
薄膜上面21から反射する反射プローブ光26と、透明
薄膜上面21と境界面22間で多重反射し透明薄膜上面
21を透過する反射プローブ光24と30を示す。応力
パルス20の反射率は充分低いので、2回以上の反射は
無視できて、1回の反射のみを考慮すれば良い。従って
図4、5、6に示した反射プローブ光が、考慮すべきす
べての反射プローブ光を表す。但し、透明薄膜上面と透
明薄膜と基板との境界面での多重反射の表示は途中で打
ち切ってある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】 透明薄膜の音速と膜厚を測定する方法を
以下に記述する。応力パルス20からと境界面22から
と透明薄膜の上面21からとの反射プローブ光の干渉に
よって反射率変化の時間変化の正弦波状のうなり振動が
生ずる。うなり振動の周期τB は測定された反射率変
化から測定できる。うなり周期τB はz=vτB の位
置の時間でΨ−Ψ0=2πとなる。ここで、vは透明薄
膜の音速である。従ってτB =λ/(2nvcos
θ)である。透明薄膜の厚さが長さvτBより大きい
か、または同程度であれば、前記τBは正確に決定でき
る。透明薄膜の屈折率n、プローブ光入射角θ、波長が
既知であれば、v=λ/2τB・cosθ)から透明
薄膜の音速vを決定できる。次に透明薄膜内の伝播時間
τを測定する。さらにd−vτから透明薄膜の膜厚dを
決定できる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】 以上の議論は空気、他の低密度物質ある
いは真空にさらされた薄膜に適用できる。更に、透明な
液体中の不透明基板上の透明薄膜にも適用できる。ま
た、不透明基板上の多層透明薄膜にも適用できる。この
場合、各層の膜厚と音速も決定出来る。例えば、不透明
基板上の膜厚d1(上側薄膜),d2(下側薄膜)の2層
薄膜の場合、時間0〜τ2(τ2=d2/v2)の間の信号
波形には、周期τB2=λ/(2n2 2cosθ2)の振
動周期があり、時間τ2〜τ1+τ2(τ1=d1/v1)の
間の信号波形には、周期τB2の振動にτB1=λ/(2n
1 1cos θ1)の振動が重なっている。ここで、v1
1,θ1,τ1,v2,n2,θ2,τ2はそれぞれ上側薄
膜、下側薄膜の音速、屈折率、薄膜内の入射角度、薄膜
内の伝播時間である。周期τB2を時間0〜τ2の間の反
射率変化のデータから直接決定できる。周期τB1を時間
τ2〜τ1+τ2の間で透明薄膜の応力による反射率変化
から計算される理論的反射率変化をあてはめることによ
り決定できる。位相の変化に対応する時間は、薄膜間の
境界あるいは上側薄膜上面あるいは、下側薄膜と基板の
境界面に応力パルスが到達する時間に相当する位置と考
えられる。従って、τ2とτ1の値を決定できる。θ1
θ2,λ,n1,n2が既知であれば2層の音速と膜厚を
決定できる。このような議論は以下に示すように透明多
層薄膜に容易に拡張できることがわかる。各層の透明薄
膜のうなり振動の周期τ1...τNを求め、既知の各透
明多層膜の屈折率n1...nN,ブロープ光線の薄膜内
の入射角θ1...θN、ブロープ光線の波長λにより各
層の音速v1...vNが算出できてさらに、各層の透明
薄膜内の伝播時間τ1...τNと前記v1...vNから
各層の厚みd1...dNを決定できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超短パルスコヒーレント光源を用いて、
    ポンプ・プローブ光学系を構成し、ポンプ・プローブ光
    の遅延時間を変化させて不透明基板上の透明薄膜に照射
    し、透明薄膜内の応力パルスからと、透明薄膜と基板の
    境界面からと、薄膜上面からとの反射ブロープ光の干渉
    により生じる反射率の時間変化のうなり振動の周期τB
    を測定し、該周期τB と、既知の透明薄膜の屈折率n
    と、該ブロープ光線の透明薄膜中の入射角θと、該ブロ
    ープ光線の波長λから、透明薄膜中の音速vを算出し、
    さらに応力パルスの該透明薄膜中の伝播時間τを測定
    し、該伝播時間τと、前記音速vより透明薄膜の厚さd
    を算出することを特徴とする、不透明基板上の透明薄膜
    の厚さ及び音速の同時測定法。
  2. 【請求項2】 応力パルスの透明薄膜中の伝播時間τは
    反射率のうなり振動の位相変化の時間、あるいは間隔か
    ら求めることを特徴とする請求項1記載の不透明基板上
    の透明薄膜の厚さ及び音速の同時測定法。
  3. 【請求項3】 応力パルスの透明薄膜中の伝播時間τは
    反射率のうなり振動の振幅変化の時間、おるいは間隔か
    ら求めることを特徴とする請求項1記載の不透明基板上
    の透明薄膜の厚さ及び音速の同時測定法。
  4. 【請求項4】 応力パルスの透明薄膜中の伝播時間τは
    透明薄膜上面変位、あるいは透明薄膜と基板の境界面変
    位からの反射率変化の時間、あるいは間隔から求めるこ
    とを特徴とする請求項1記載の不透明基板上の透明薄膜
    の厚さ及び音速の同時測定法。
  5. 【請求項5】 応力パルスの透明薄膜中の伝播時間τは
    透明薄膜上面から基板に戻る応力パルスのエコーの時
    間、あるいは間隔から求めることを特徴とする請求項1
    記載の不透明基板上の透明薄膜の厚さ及び音速の同時測
    定法。
  6. 【請求項6】 透明薄膜が多層であり、反射率の時間変
    化のうなり周期τBNを測定し、該周期τB と、既知の透
    明薄膜の屈折率nN と、該プローブ光線の透明薄膜中の
    入射角θN と、該ブロープ光線の波長λから、透明薄膜
    中の音速vNを算出し、応力パルスの該透明薄膜中の伝
    播時間τn を測定し、該伝播時間τnと、前記音速vn
    より該多層透明薄膜の熱さdN を測定することを特徴と
    する請求項1記載の不透明基板上の多層透明薄膜の各厚
    さ及び各音速の同時測定法。
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