JPH05329571A - アルミニウム合金製タペットの製造方法 - Google Patents
アルミニウム合金製タペットの製造方法Info
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- JPH05329571A JPH05329571A JP13050191A JP13050191A JPH05329571A JP H05329571 A JPH05329571 A JP H05329571A JP 13050191 A JP13050191 A JP 13050191A JP 13050191 A JP13050191 A JP 13050191A JP H05329571 A JPH05329571 A JP H05329571A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 粉末鍛造方法を用いたアルミニウム合金製タ
ペットの製造方法において、タペットの天板部に形成さ
れるシム係止突起の強度を高め、シムとの干渉によるこ
の凸部の破損を防ぐ。 【構成】 ダイの内部で円柱状の上パンチおよび円柱状
の下パンチにより圧粉体を鍛造し、上パンチと下パンチ
の間で円板状の天板部を成形するとともに、下パンチと
ダイとの間で周壁部を成形し、これら天板部および周壁
部とからなる鍛造体を得る際に、前記上パンチの下面
の、最終的にシム係止突起となる箇所を鍛造する位置
に、円環状の凹部を形成しておくことにより、鍛造時に
この凹部への材料流れを生じさせ、シム係止突起内に鍛
流線を生じさせる。
ペットの製造方法において、タペットの天板部に形成さ
れるシム係止突起の強度を高め、シムとの干渉によるこ
の凸部の破損を防ぐ。 【構成】 ダイの内部で円柱状の上パンチおよび円柱状
の下パンチにより圧粉体を鍛造し、上パンチと下パンチ
の間で円板状の天板部を成形するとともに、下パンチと
ダイとの間で周壁部を成形し、これら天板部および周壁
部とからなる鍛造体を得る際に、前記上パンチの下面
の、最終的にシム係止突起となる箇所を鍛造する位置
に、円環状の凹部を形成しておくことにより、鍛造時に
この凹部への材料流れを生じさせ、シム係止突起内に鍛
流線を生じさせる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉末鍛造方法を用いた
有底円筒状のアルミニウム合金製タペットの製造方法に
係わり、特に、その天板部に形成されるシム係止突起の
強度を高めるための改良に関する。
有底円筒状のアルミニウム合金製タペットの製造方法に
係わり、特に、その天板部に形成されるシム係止突起の
強度を高めるための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】上記タペットは、例えばエンジンのバル
ブの先端に固定され、カムの回転運動をバルブの往復動
に転換するための部材であり、図7中二点鎖線はその一
例の断面形状を示している。このタペット1は、円板状
の天板部1Aと、この天板部1Aの外周縁から垂下した
円筒状の周壁部1Bとからなり、前記天板部1Aの上面
外周縁には円環状のシム係止突起1Cが形成されてい
る。
ブの先端に固定され、カムの回転運動をバルブの往復動
に転換するための部材であり、図7中二点鎖線はその一
例の断面形状を示している。このタペット1は、円板状
の天板部1Aと、この天板部1Aの外周縁から垂下した
円筒状の周壁部1Bとからなり、前記天板部1Aの上面
外周縁には円環状のシム係止突起1Cが形成されてい
る。
【0003】そして、シム係止突起1Cの中央に耐摩耗
性の材質からなる円板形のシム(図示略)をはめ込み、こ
のシムの上面にカムの外周面を当接させることにより、
カムの回転運動をバルブの直線運動に転換する。なお、
シムはシム係止突起1C内に固定されるのではなく、シ
ム係止突起1C内で平面方向に若干のがたつきが可能と
なっている。
性の材質からなる円板形のシム(図示略)をはめ込み、こ
のシムの上面にカムの外周面を当接させることにより、
カムの回転運動をバルブの直線運動に転換する。なお、
シムはシム係止突起1C内に固定されるのではなく、シ
ム係止突起1C内で平面方向に若干のがたつきが可能と
なっている。
【0004】ところで、タペット1の材質として、最近
ではSi等が添加されたアルミニウム合金が多用されて
いる。この材質は、優れた強度、剛性、靭性、耐熱性お
よび耐食性等の特徴を有するが、原料となるアルミニウ
ム合金粉末の表面が強固な酸化皮膜で覆われているた
め、通常の焼結成形による製造は不可能であり、一般に
粉末鍛造法を用いて成形される。
ではSi等が添加されたアルミニウム合金が多用されて
いる。この材質は、優れた強度、剛性、靭性、耐熱性お
よび耐食性等の特徴を有するが、原料となるアルミニウ
ム合金粉末の表面が強固な酸化皮膜で覆われているた
め、通常の焼結成形による製造は不可能であり、一般に
粉末鍛造法を用いて成形される。
【0005】従来の粉末鍛造法ではまず、アルミニウム
合金粉末をプレス型で成形し、円柱状の圧粉体を成形す
る。次にこの圧粉体を、図6に示すようにダイ3の内部
で円柱状の上パンチ5および円柱状の下パンチ4により
鍛造し、上パンチ5と下パンチ4の間で円板状の天板部
2Aを成形するとともに、下パンチ4とダイ3との間で
天板部2Aから垂下する円筒状の周壁部2Bを成形し、
これら天板部2Aおよび周壁部2Bとからなる鍛造体2
を得る。さらに、この鍛造体2に適宜機械加工を施し、
図7中二点鎖線に示す有底円筒状のタペット1を得る。
合金粉末をプレス型で成形し、円柱状の圧粉体を成形す
る。次にこの圧粉体を、図6に示すようにダイ3の内部
で円柱状の上パンチ5および円柱状の下パンチ4により
鍛造し、上パンチ5と下パンチ4の間で円板状の天板部
2Aを成形するとともに、下パンチ4とダイ3との間で
天板部2Aから垂下する円筒状の周壁部2Bを成形し、
これら天板部2Aおよび周壁部2Bとからなる鍛造体2
を得る。さらに、この鍛造体2に適宜機械加工を施し、
図7中二点鎖線に示す有底円筒状のタペット1を得る。
【0006】なお、この鍛造体2では、天板部2Aの外
径が周壁部2Bよりも大きく、このため天板部2Aの外
周部は、半径方向に突出する円環状の凸部2Cとなって
いる。このような凸部2Cを形成しておくと、鍛造時に
この凸部2Cが形成される過程で材料流れが生じ、最終
製品であるタペット1の天板部1Aと周壁部1Bの境界
部の強度を高めることができる。
径が周壁部2Bよりも大きく、このため天板部2Aの外
周部は、半径方向に突出する円環状の凸部2Cとなって
いる。このような凸部2Cを形成しておくと、鍛造時に
この凸部2Cが形成される過程で材料流れが生じ、最終
製品であるタペット1の天板部1Aと周壁部1Bの境界
部の強度を高めることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の製造
方法で得られたタペット1では、実際の使用時に、シム
係止突起1C内でシムが激しく平面方向に振動するた
め、シムに直接触れるシム係止突起1Cに亀裂や破損が
生じ易く、タペット1の寿命が短く制限されるという欠
点を有しており、シム係止突起1Cの強度を高めること
が強く望まれている。
方法で得られたタペット1では、実際の使用時に、シム
係止突起1C内でシムが激しく平面方向に振動するた
め、シムに直接触れるシム係止突起1Cに亀裂や破損が
生じ易く、タペット1の寿命が短く制限されるという欠
点を有しており、シム係止突起1Cの強度を高めること
が強く望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになされたもので、鍛造型の上パンチの下面
の、最終的に前記シム係止突起となる箇所を鍛造する部
分に、円環状の凹部を形成しておくことにより、鍛造時
にこの凹部への材料流れを生じさせ、前記鍛造体の天板
部の上面に円環状の突起形成用凸部を形成することを特
徴としている。
するためになされたもので、鍛造型の上パンチの下面
の、最終的に前記シム係止突起となる箇所を鍛造する部
分に、円環状の凹部を形成しておくことにより、鍛造時
にこの凹部への材料流れを生じさせ、前記鍛造体の天板
部の上面に円環状の突起形成用凸部を形成することを特
徴としている。
【0009】なお、前記鍛造を行うに際し、さらに上パ
ンチの下面の外周縁に全周に亙る凹段部を形成しておく
ことにより、前記鍛造体の天板部の上面外周縁に上方に
突出する円環状の環状凸部を形成してもよい。
ンチの下面の外周縁に全周に亙る凹段部を形成しておく
ことにより、前記鍛造体の天板部の上面外周縁に上方に
突出する円環状の環状凸部を形成してもよい。
【0010】
【作用】本発明の方法によれば、上パンチの下面の、最
終的にシム係止突起となる箇所を鍛造する部分に円環状
の凹部を形成しておくため、鍛造時には、材料がこの凹
部に流れ込み、鍛造体の天板部と垂直な方向に向けて材
料流れが生じつつ、天板部の上面に円環状の突起形成用
凸部が形成される。これにより、突起形成用凸部を加工
して得られるタペットのシム係止突起には、その突出方
向へに鍛流線が生じて強度を向上することができ、シム
との衝突によるシム係止突起の破損が低減できる。
終的にシム係止突起となる箇所を鍛造する部分に円環状
の凹部を形成しておくため、鍛造時には、材料がこの凹
部に流れ込み、鍛造体の天板部と垂直な方向に向けて材
料流れが生じつつ、天板部の上面に円環状の突起形成用
凸部が形成される。これにより、突起形成用凸部を加工
して得られるタペットのシム係止突起には、その突出方
向へに鍛流線が生じて強度を向上することができ、シム
との衝突によるシム係止突起の破損が低減できる。
【0011】また、上パンチの下面の外周縁に、全周に
亙って円環状の凹段部を形成した場合には、上パンチの
前記凹段部と凹部との間に形成される凸壁部の可撓性を
高め、鍛造時にかかる応力を緩和して、この凸壁部が鍛
造時に割れるおそれが低減できる。
亙って円環状の凹段部を形成した場合には、上パンチの
前記凹段部と凹部との間に形成される凸壁部の可撓性を
高め、鍛造時にかかる応力を緩和して、この凸壁部が鍛
造時に割れるおそれが低減できる。
【0012】
【実施例】以下、図面を用いて、本発明に係わるアルミ
ニウム合金製タペットの製造方法の実施例を説明する。
図1は、この実施例の方法に使用する鍛造型の断面図で
あり、先の従来例と同一の部分には同一符号を付してい
る。なお、以下の説明で使用する上下は図面に基づくも
ので、使用方向を限定することはない。
ニウム合金製タペットの製造方法の実施例を説明する。
図1は、この実施例の方法に使用する鍛造型の断面図で
あり、先の従来例と同一の部分には同一符号を付してい
る。なお、以下の説明で使用する上下は図面に基づくも
ので、使用方向を限定することはない。
【0013】この鍛造型の主たる特徴は、上プレス5の
下面の、鍛造体2の周壁部2Bを形成する部分と対向す
る箇所(すなわち最終的にシム係止突起となる箇所を鍛
造する部分)に、円環状の凹部5Aを形成したことにあ
る。この凹部5Aの内面は全面に亙って曲面とされ、全
周に亙って深さは一定である。この深さDは、図2に示
すように、最終製品であるタペット1のシム係止突起1
Cの突出量Tの200〜600%であることが望まし
い。200%未満では鍛造時に凹部5Aの内部で十分な
材料流れを生じさせることができず、シム係止突起1C
の強度向上効果が低下する。また600%より大きくて
も、シム係止突起1Cの強度向上効果はもはや向上しな
い。
下面の、鍛造体2の周壁部2Bを形成する部分と対向す
る箇所(すなわち最終的にシム係止突起となる箇所を鍛
造する部分)に、円環状の凹部5Aを形成したことにあ
る。この凹部5Aの内面は全面に亙って曲面とされ、全
周に亙って深さは一定である。この深さDは、図2に示
すように、最終製品であるタペット1のシム係止突起1
Cの突出量Tの200〜600%であることが望まし
い。200%未満では鍛造時に凹部5Aの内部で十分な
材料流れを生じさせることができず、シム係止突起1C
の強度向上効果が低下する。また600%より大きくて
も、シム係止突起1Cの強度向上効果はもはや向上しな
い。
【0014】凹部5Aの幅W2は、シム係止突起1Cの
幅W1の120〜300%とされることが望ましい。1
20%未満では後の機械加工時にシム係止突起1Cを得
るための加工代が十分でなく、他方300%より大では
鍛造体2に形成される突起形成用凸部2Dが大きすぎて
材料の無駄が生じる。
幅W1の120〜300%とされることが望ましい。1
20%未満では後の機械加工時にシム係止突起1Cを得
るための加工代が十分でなく、他方300%より大では
鍛造体2に形成される突起形成用凸部2Dが大きすぎて
材料の無駄が生じる。
【0015】また、従来の製造方法に使用されていた鍛
造型では、図7に示すように、成形される鍛造体2の天
板部2Aの肉厚が、タペット1の天板部1Aの肉厚にシ
ム係止突起1Cの突出量を加えた値よりも大とされてい
たが、この実施例の鍛造型では、鍛造体2の天板部2A
の肉厚がタペット1の天板部1Aの肉厚より若干厚い程
度とされている。
造型では、図7に示すように、成形される鍛造体2の天
板部2Aの肉厚が、タペット1の天板部1Aの肉厚にシ
ム係止突起1Cの突出量を加えた値よりも大とされてい
たが、この実施例の鍛造型では、鍛造体2の天板部2A
の肉厚がタペット1の天板部1Aの肉厚より若干厚い程
度とされている。
【0016】なお、この方法に使用されるアルミニウム
合金粉末は、ガスアトマイズ法、遠心法、回転カップ
法、ロール法等、いかなる粉末製造方法によって得られ
た粉末でもよい。粉末に添加される元素としては、従来
この種の合金に使用されているいずれの元素も使用可能
である。例えば、Si,Cu,Mg,Fe,Ni,Co,Mn,Cr,L
i,Ti,Zr,Ce,Mo,V,Zn等が使用可能で、勿論複数種
を混合してもよい。鍛造温度、圧力等、鍛造前後の処理
等の鍛造条件そのものについては、従来法と同様でよ
い。
合金粉末は、ガスアトマイズ法、遠心法、回転カップ
法、ロール法等、いかなる粉末製造方法によって得られ
た粉末でもよい。粉末に添加される元素としては、従来
この種の合金に使用されているいずれの元素も使用可能
である。例えば、Si,Cu,Mg,Fe,Ni,Co,Mn,Cr,L
i,Ti,Zr,Ce,Mo,V,Zn等が使用可能で、勿論複数種
を混合してもよい。鍛造温度、圧力等、鍛造前後の処理
等の鍛造条件そのものについては、従来法と同様でよ
い。
【0017】上記構成からなるアルミニウム合金製タペ
ットの製造方法によれば、上パンチ5の下面に、鍛造体
2の周壁部2Bと対向させて円環状の凹部5Aを形成し
ておくため、鍛造時には、材料がこれら凹部5Aに流れ
込み、鍛造体2の天板部2Aと垂直な方向に向けて材料
流れが生じつつ、突起形成用凸部2Dが形成される。し
たがって、この突起形成用凸部2Dを加工して得られる
タペット1のシム係止突起1Cには、その突出方向へ延
びる鍛流線が残り強度が向上するから、使用中のシムと
の干渉によるシム係止突起1Cの破損を低減することが
可能である。
ットの製造方法によれば、上パンチ5の下面に、鍛造体
2の周壁部2Bと対向させて円環状の凹部5Aを形成し
ておくため、鍛造時には、材料がこれら凹部5Aに流れ
込み、鍛造体2の天板部2Aと垂直な方向に向けて材料
流れが生じつつ、突起形成用凸部2Dが形成される。し
たがって、この突起形成用凸部2Dを加工して得られる
タペット1のシム係止突起1Cには、その突出方向へ延
びる鍛流線が残り強度が向上するから、使用中のシムと
の干渉によるシム係止突起1Cの破損を低減することが
可能である。
【0018】さらに、鍛造体2に凸部2Dを形成したこ
とにより、従来の鍛造体よりも天板部2Aの肉厚が低減
できるため、後の機械加工による材料の除去量を削減
し、材料の歩留まりを向上することが可能である。
とにより、従来の鍛造体よりも天板部2Aの肉厚が低減
できるため、後の機械加工による材料の除去量を削減
し、材料の歩留まりを向上することが可能である。
【0019】次に、図3および図4は本発明の第2実施
例を示し、この例では上記実施例の構成に加え、上パン
チ5の下面の外周縁に、全周に亙って延びる凹段部5B
を形成しておくことを特徴としている。これにより、鍛
造体2の天板部2Aの外周縁上面、すなわち円環状凸部
2Cの上面には、上方に突出する凸部2Eが形成され
る。
例を示し、この例では上記実施例の構成に加え、上パン
チ5の下面の外周縁に、全周に亙って延びる凹段部5B
を形成しておくことを特徴としている。これにより、鍛
造体2の天板部2Aの外周縁上面、すなわち円環状凸部
2Cの上面には、上方に突出する凸部2Eが形成され
る。
【0020】凹段部5Bは内面全面に亙って曲面とされ
ており、その深さは凹部5Aの深さと同程度であること
が望ましい。また、凹部5Aと凹段部5Bとの間に形成
される凸壁部5Cの肉厚W3は、鍛造時に凸壁部5Cが
適度な可撓性を有するように設定されている。
ており、その深さは凹部5Aの深さと同程度であること
が望ましい。また、凹部5Aと凹段部5Bとの間に形成
される凸壁部5Cの肉厚W3は、鍛造時に凸壁部5Cが
適度な可撓性を有するように設定されている。
【0021】上記構成からなる第2実施例の方法によれ
ば、鍛造時に凹部5Aおよび凹段部5Bの双方に材料が
流れ込むことにより、凸壁部5Cの外周側からの圧力お
よび内周側からの圧力が相殺し合ううえ、凸壁部5Cの
幅W3が小さい分、半径方向への可撓性が増しているた
め、前記第1実施例よりも、鍛造時に凸壁部5Cにかか
る応力が小さく、凸壁部5Cが鍛造時に割れるおそれが
低減できる。
ば、鍛造時に凹部5Aおよび凹段部5Bの双方に材料が
流れ込むことにより、凸壁部5Cの外周側からの圧力お
よび内周側からの圧力が相殺し合ううえ、凸壁部5Cの
幅W3が小さい分、半径方向への可撓性が増しているた
め、前記第1実施例よりも、鍛造時に凸壁部5Cにかか
る応力が小さく、凸壁部5Cが鍛造時に割れるおそれが
低減できる。
【0022】なお、本発明は図示の実施例に限定される
ものではなく、必要に応じてタペット1の形状は変更可
能であるし、それに伴い、鍛造型および鍛造体2の形状
も変更してよい。
ものではなく、必要に応じてタペット1の形状は変更可
能であるし、それに伴い、鍛造型および鍛造体2の形状
も変更してよい。
【0023】(実験例)次に、実験例を挙げて本発明の
効果を実証する。Al−17wt%Si−4wt%Fe
−3wt%Cu−1wt%Mgの組成からなるアルミニ
ウム合金粉末を使用して、図3に示した鍛造型により図
4に示す鍛造体2を成形した。鍛造体2の寸法は以下の
通りである。
効果を実証する。Al−17wt%Si−4wt%Fe
−3wt%Cu−1wt%Mgの組成からなるアルミニ
ウム合金粉末を使用して、図3に示した鍛造型により図
4に示す鍛造体2を成形した。鍛造体2の寸法は以下の
通りである。
【0024】天板部2Aの外径:41mm 天板部2
Aの肉厚:4mm 周壁部2Bの外径:33mm 周壁部2Bの全長:2
1.5mm 突起形成用凸部2Dの突出量D:4mm 突起形成用凸部2Dの幅W2:3.5mm 環状凸部2Eの突出量:3mm 凸壁部5Cの幅W3:3mm 鍛造温度は470℃、鍛造圧力は9000Kgf/cm
2とした。
Aの肉厚:4mm 周壁部2Bの外径:33mm 周壁部2Bの全長:2
1.5mm 突起形成用凸部2Dの突出量D:4mm 突起形成用凸部2Dの幅W2:3.5mm 環状凸部2Eの突出量:3mm 凸壁部5Cの幅W3:3mm 鍛造温度は470℃、鍛造圧力は9000Kgf/cm
2とした。
【0025】そしてこの鍛造体2に機械加工を施し、以
下の寸法のタペットを得た。 外径:30mm 天板部1Aの肉厚:3.5mm 周壁部1Bの全長:22mm シム係止突起1Cの突出量T:1.5mm シム係止突起1Cの幅W1:1.5mm
下の寸法のタペットを得た。 外径:30mm 天板部1Aの肉厚:3.5mm 周壁部1Bの全長:22mm シム係止突起1Cの突出量T:1.5mm シム係止突起1Cの幅W1:1.5mm
【0026】一方、比較例として、図6に示した鍛造型
により図7に示した鍛造体を成形した。この鍛造体には
上記の突起形成用凸部2Dおよび環状凸部2Eがなく、
天板部2Aの肉厚が6mmである点のみが上記実験例と
異なる。鍛造条件およびタペットの形状は上記実験例と
全く同じである。
により図7に示した鍛造体を成形した。この鍛造体には
上記の突起形成用凸部2Dおよび環状凸部2Eがなく、
天板部2Aの肉厚が6mmである点のみが上記実験例と
異なる。鍛造条件およびタペットの形状は上記実験例と
全く同じである。
【0027】以上のように得られた2種のタペットを図
5に示す試験装置にセットし、シム係止突起1Cの強度
試験を行った。図中符号10は固定台、11はシム係止
突起1Cに嵌合された段付きリング、12は段付きリン
グ11の外周面を押す押圧部であり、シム係止突起1C
が破損に至るまでの押圧力を測定した。
5に示す試験装置にセットし、シム係止突起1Cの強度
試験を行った。図中符号10は固定台、11はシム係止
突起1Cに嵌合された段付きリング、12は段付きリン
グ11の外周面を押す押圧部であり、シム係止突起1C
が破損に至るまでの押圧力を測定した。
【0028】その結果、本発明の方法で得られたタペッ
トでは560kgfであったのに対し、従来法で得られ
たタペットでは430kgfだった。
トでは560kgfであったのに対し、従来法で得られ
たタペットでは430kgfだった。
【0029】また、2種のタペット1を縦に切断し、各
タペット1のシム係止用凸部1Cの内周側基端部(図4
中符号P位置)の組織写真を倍率100倍にて撮影し
た。図8は本発明の実験例での写真、図9は比較例での
写真である。写真から明らかなように、本発明品ではシ
ム係止用凸部1C内に鍛流線が生じているのに対し、比
較例では鍛流線が生じていない。
タペット1のシム係止用凸部1Cの内周側基端部(図4
中符号P位置)の組織写真を倍率100倍にて撮影し
た。図8は本発明の実験例での写真、図9は比較例での
写真である。写真から明らかなように、本発明品ではシ
ム係止用凸部1C内に鍛流線が生じているのに対し、比
較例では鍛流線が生じていない。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のアルミニ
ウム合金製タペットの製造方法によれば、上パンチの下
面の、最終的にシム係止突起となる箇所を鍛造する部分
に円環状の凹部を形成しておくため、鍛造時には、圧粉
体である材料がこの凹部に流れ込み、鍛造体の天板部と
垂直な方向に向けて材料流れが生じつつ、天板部の上面
に円環状の突起形成用凸部が形成される。これにより、
突起形成用凸部を加工して得られるタペットのシム係止
突起には、その突出方向へに鍛流線が生じて強度が向上
し、シムとの衝突によるシム係止突起の破損が低減で
き、タペットの使用寿命が延長できる。
ウム合金製タペットの製造方法によれば、上パンチの下
面の、最終的にシム係止突起となる箇所を鍛造する部分
に円環状の凹部を形成しておくため、鍛造時には、圧粉
体である材料がこの凹部に流れ込み、鍛造体の天板部と
垂直な方向に向けて材料流れが生じつつ、天板部の上面
に円環状の突起形成用凸部が形成される。これにより、
突起形成用凸部を加工して得られるタペットのシム係止
突起には、その突出方向へに鍛流線が生じて強度が向上
し、シムとの衝突によるシム係止突起の破損が低減で
き、タペットの使用寿命が延長できる。
【0031】また、上パンチの下面の外周縁に、全周に
亙って円環状の凹段部を形成した場合には、上パンチの
前記凹段部と凹部との間に形成される凸壁部の可撓性を
高め、鍛造時にかかる応力を緩和して、この凸壁部が鍛
造時に割れるおそれが低減できる。
亙って円環状の凹段部を形成した場合には、上パンチの
前記凹段部と凹部との間に形成される凸壁部の可撓性を
高め、鍛造時にかかる応力を緩和して、この凸壁部が鍛
造時に割れるおそれが低減できる。
【図1】本発明の第1実施例の方法で使用される鍛造型
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図2】同鍛造型により成形された鍛造体を示す断面図
である。
である。
【図3】本発明の第2実施例の方法で使用される鍛造型
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図4】同鍛造型により成形された鍛造体を示す断面図
である。
である。
【図5】シム係止突起の強度測定装置を示す断面図であ
る。
る。
【図6】従来法で使用される鍛造型を示す断面図であ
る。
る。
【図7】従来法により得られた鍛造体を示す断面図であ
る。
る。
【図8】本発明の実験例で得られたタペットの組織写真
である。
である。
【図9】比較例で得られたタペットの組織写真である。
1 タペット 1A 天板部 1B 周壁部 1C シム係止突起 2 鍛造体 2A 天板部 2B 周壁部 2C 凸部 2D 突起形成用凸部 2E 環状凸部 3 ダイ 4 下パンチ 5 上パンチ 5A 凹部 5B 凹段部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】本発明の実験例で得られたタペットの金属組織
を示す写真である。
を示す写真である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】比較例で得られたタペットの金属組織を示す写
真である。
真である。
Claims (2)
- 【請求項1】 アルミニウム合金粉末から成形された圧
粉体を、ダイの内部で円柱状の上パンチおよび円柱状の
下パンチにより鍛造することにより、前記上パンチと前
記下パンチの間で円板状の天板部を成形するとともに、
前記下パンチと前記ダイとの間で前記天板部の外周部か
ら垂下する円筒状をなす周壁部を成形し、これら天板部
および周壁部とからなる鍛造体を得た後、この鍛造体を
機械加工して、円筒状の周壁部とこの周壁部の上端を塞
ぐ天板部とからなり、この天板部の上面には円環状のシ
ム係止突起を有するタペットを製造するアルミニウム合
金製タペットの製造方法において、 前記上パンチの下面の、最終的に前記シム係止突起とな
る箇所を鍛造する部分に、円環状の凹部を形成しておく
ことにより、鍛造時にこの凹部への材料流れを生じさ
せ、前記鍛造体の天板部の上面に円環状の突起形成用凸
部を形成することを特徴とするアルミニウム合金製タペ
ットの製造方法。 - 【請求項2】 前記鍛造を行うに際し、前記上パンチの
下面の外周縁に全周に亙る凹段部を形成しておくことに
より、前記鍛造体の天板部の上面外周縁に上方に突出す
る円環状の環状凸部を形成することを特徴とする請求項
1記載のアルミニウム合金製タペットの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13050191A JPH05329571A (ja) | 1991-05-02 | 1991-05-02 | アルミニウム合金製タペットの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13050191A JPH05329571A (ja) | 1991-05-02 | 1991-05-02 | アルミニウム合金製タペットの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05329571A true JPH05329571A (ja) | 1993-12-14 |
Family
ID=15035783
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13050191A Withdrawn JPH05329571A (ja) | 1991-05-02 | 1991-05-02 | アルミニウム合金製タペットの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05329571A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104420909A (zh) * | 2013-09-09 | 2015-03-18 | 舍弗勒技术有限两合公司 | 制造机械式杯状挺杆的方法 |
CN106166567A (zh) * | 2016-06-02 | 2016-11-30 | 温州职业技术学院 | 一种c100拨叉成形模 |
-
1991
- 1991-05-02 JP JP13050191A patent/JPH05329571A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104420909A (zh) * | 2013-09-09 | 2015-03-18 | 舍弗勒技术有限两合公司 | 制造机械式杯状挺杆的方法 |
CN106166567A (zh) * | 2016-06-02 | 2016-11-30 | 温州职业技术学院 | 一种c100拨叉成形模 |
CN106166567B (zh) * | 2016-06-02 | 2018-01-19 | 温州职业技术学院 | 一种c100拨叉成形模 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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