JPH0532594B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、例えば冷凍サイクルの圧縮機として
用いられる小型のロータリコンプレツサに関す
る。

（従来の技術） 近年、小型軽量で効率の良いコンプレツサとし
てロータリベーンコンプレツサが多く用いられて
いる。これはケーシングとロータとベーンとで構
成され、ケーシングには気体の吸入口と吐出口と
が設けられ、ロータはケーシング内に偏心して軸
支され、このロータの溝には摺動可能のベーンが
挿入され、このベーンは遠心力によつてケーシン
グの内壁に接触しながら回転し、ロータが回転す
ると気体は吸入口から圧縮室に吸入され、次第に
圧力を上昇して遂に吐出口から吐出かれるように
構成されたものである。

上記従来技術においては、ベーンに曲げ、圧
縮、摩擦等の種々な力の作用を受けるとともに、
ロータは偏心状態に位置して回転するため強度的
に不具合が有るとともに騒音及び振動の問題があ
つた。

これに対して、実公昭51−18483号公報、特開
昭49−39104号公報あるいは実公昭59−39193号公
報などに記載されているように、両端を閉塞した
円筒状のケーシング内に、その内周面に沿つて弾
性を有するチユーブを設けるとともに、このチユ
ーブをケーシングの内周面へ向けて押圧しながら
自転するとともに公転して転動する複数のローラ
を設けたロータリコンプレツサも知られている。
このロータコンプレツサにおいては、チユーブ内
であつてローラ間に流体の圧縮室が形成され、ロ
ーラが転動するのに伴い、圧縮室がチユーブの吸
入口側から吐出口側へ移動して、吸入口から吸入
された流体が吐出口から吐出されるようになつて
いる。

このようなチユーブおよびローラを用いたロー
タリコンプレツサは、強度的問題を有するベーン
をもとより用いておらず、かつ騒音及び振動を防
止できる。しかしながら、ローラの転動に伴い移
動する圧縮室を形成するために、チユーブを用い
ており、このチユーブは破損などを生じやすいた
め、耐久性が悪く、寿命が短いとともに、低速で
しか作動できない欠点を有している。

（発明が解決しようとする課題） 前述のように、従来の弾性を有するチユーブお
よびローラを用いたロータリコンプレツサは、ロ
ータリベーンコンプレツサなどに比べて、騒音及
び振動が少ない利点がある反面、チユーブが破損
などを生じやすいため、耐久性が悪く、寿命が短
いとともに、高速回転できない問題があつた。

本発明は、このような問題点を解決しようとす
るもので、騒音及び振動が少ないとともに、チユ
ーブを用いたロータリコンプレツサに比べ、耐久
性が高く、寿命が長いとともに、高速回転できる
ロータリコンプレツサを提供することを目的とす
る。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 本発明のロータリコンプレツサは、前記目的を
達成するために、ケーシングと、このケーシング
内に設けられたロータと、このロータに設けられ
た主ローラおよび従ローラと、前記ケーシング内
に設けられた弾性を有するシールベルトとを備
え、前記ケーシングは、内部が円柱形状部とこの
円柱形状部からその径方向に張出した張出し部と
からなるロータ室になつているとともに、前記円
柱形状部の内周面における前記張出し部に隣接す
る両端部位置から外部へそれぞれ通じる吸入口お
よび吐出口を有し、前記ロータは、前記ロータ室
の円柱形状部の中心軸を回転軸として回転駆動さ
れ、前記主ローラは、前記ロータにおいて前記中
心軸を囲みかつこの中心軸から等距離の複数位置
にそれぞれあり、前記中心軸と平行な回転軸を中
心として自転自在であり、前記従ローラは、前記
ロータにおいて前記中心軸を囲みかつ前記主ロー
ラ間の位置にそれぞれあり、前記主ローラよりも
前記円柱形状部の内周面から離れて位置するとと
もに、前記中心軸と平行な回転軸を中心として自
転自在であり、前記シールベルトは、前記ロータ
室の張出し部における円柱形状部の内周面に隣接
する両端部に両端部がそれぞれ固定され、前記主
ローラおよび従ローラの外周に掛装されるととも
に、前記主ローラにより円柱形状部の内周面に摺
接され、かつ、両側縁が前記ロータ室の両端面に
摺動自在にかつ気密に接しているものである。

（作用） 本発明のロータリコンプレツサでは、ロータ室
の内面とシールベルトとの間に圧縮室を形成す
る。この圧縮室は、ロータの回転駆動により主ロ
ーラが公転するのに伴い、これら主ローラがシー
ルベルトを円柱形状部の内周面に摺接させている
位置が移動していくことにより、吸入口から吐出
口へと次々に移動していく。それに伴い、気体が
吸入口から圧縮室に取り入れられ、この圧縮室内
の気体が圧縮されつつ吐出口から吐出される。な
お、ロータの回転に伴い、シールベルトの両側縁
は、ロータ室の両側面を気密に摺動する。また、
ロータにあつて主ローラよりも円柱形状部の内周
面から離れて位置している従ローラは、主ローラ
とともにシールベルトを内周側から保形する。さ
らに、ロータの回転に伴い、ローラは、それぞれ
自転してシールベルトの内面を転動し、摩擦抵抗
を小さくする。

（実施例） 以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説
明する。

第１図乃至第３図において、１はケーシングで
あり、このケーシング１の内部は、ロータ室２と
なつている。このロータ室２は、相互に連通する
円柱形状部２Ａとほぼ直方体形状の張出し部２Ｂ
とからなつている。この張出し部２Ｂは、前記円
柱形状部２Ａからその径方向に張出したものであ
り、円柱形状部２Ａの中心軸l₀について180°未満
の範囲に渡るものである。なお、ケーシング１の
ロータ室２の開口側には蓋体３が止着固定されて
いる。この蓋体３は、ロータ室２の一端面を形成
するものである。また、前記ケーシング１の両側
下部には、そのロータ室２の円柱形状部２Ａの内
周面２Ｃにおける張出し部２Ｂに隣接する両端部
位置からケーシング１外へそれぞれ通じる吸入口
４および吐出口５が形成されている。

６は前記ロータ室２内に設けられロータで、こ
のロータ６は、前記ロータ室２の円柱形状部２Ａ
の中心の中心軸l₀回転軸として回転駆動されるも
のである。すなわち、このロータ６は、前記ケー
シング１と蓋体３間に軸受７を介し回転可能に設
けられた駆動軸８に軸着され、この駆動軸８には
カツプリング９を介しDCモータ１０が連結され
ている。１１，１２は一対の主ローラ群で、これ
ら主ローラ群１１，１２は、前記ロータ６にフラ
ンジ１３および支軸１４を介してそれぞれ回転可
能に設けられており、ロータ室２の円柱形状部２
Ａの中心軸l₀と平行な回転軸を中心として自転で
きるものである。そして、両主ローラ群１１，１
２は、ロータ室２の円柱形状部２Ａの中心軸l₀に
ついて対称に位置している。さらに、両主ローラ
群１１，１２は、それぞれ、その軸方向に並んだ
３列のローラ１１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃ，１２Ａ，
１２Ｂ，１２Ｃを有し、中間のローラ１１Ｂ，１
２Ｂが他のローラ１１Ａ，１１Ｃ，１２Ａ，１２
Ｃに比べ径小に構成されている。１５，１６は従
ローラ群で、これら従ローラ群１５，１６は、前
記ロータ６にフランジ１３および支軸１４を介し
てそれぞれ回転可能に設けられており、ロータ室
２の円柱形状部２Ａの中心軸l₀と平行な回転軸を
中心として自転できるものである。そして、両従
ローラ群１５，１６は、前記両主ローラ群１１，
１２の回転軸を通る平面l₁について対称に位置し
ているとともに、前記ロータ室２の円柱形状部２
Ａの中心軸l₀を中心軸とする同一円柱面l₂上に並
んでいる。なお、この円柱面l₂の径は、円柱形状
部２Ａの中心軸l₀を中心軸としかつ両主ローラ群
１１，１２の回転軸を通る円柱面の径よりも若干
小さくなつている。これとともに、各従ローラ群
１５，１６は、前記主ローラ群１１，１２より径
小であり、したがつて、主ローラ群１１，１２よ
りも前記円柱形状部２Ａの内周面２Ｃから離れて
位置している。さらに、各従ローラ群１５，１６
は、その軸方向に並んだ３列のローラ１５Ａ，１
５Ｂ，１５Ｃ，１６Ａ，１６Ｂ，１６Ｃを有し、
中間のローラ１５Ａ，１５Ｃ，１６Ａ，１６Ｃに
比べ径小に構成されている。

１７は合成ゴムからなり弾性を有するシールベ
ルトで、このシールベルト１７は、その両端部が
前記ロータ室２の張出し部２Ｂにおける円柱形状
部２Ａの内周面２Ｃに隣接する両端部内面に止着
部材１８によりそれぞれ固定されている。これと
ともに、シールベルト１７は、前記主ローラ群１
１，１２および従ローラ群１５，１６の外周に掛
装されており、円柱形状部２Ａの内周面２Ｃに沿
つて位置しているが、前記主ローラ群１１，１２
により円柱形状部２Ａの内周面２Ｃに摺接される
ものである。さらに、シールベルト１７は、第４
図に示すように、内面中央に突起部１９を有し、
この突起部１９は径小な前記中間のローラ１１
Ｂ，１２Ｂ，１５Ｂ，１６Ｂに嵌合状態に掛装さ
れて位置決めガイドの作用をなしている。また、
シールベルト１７の幅は、ロータ室２の幅寸法に
合わせて形成され、その両側縁には油溜２０を有
するリツプ部２１が形成されており、ロータ室２
の両側面２Ｄに対しオイルシール部２２を構成し
ている。また、ロータ室２の端面２Ｄには、シー
ルベルト１７のオイルシール部２２を案内する段
部２３が形成されている。こうして、シールベル
ト１７は、その両側縁がロータ室２の両端面２Ｄ
に摺動自在にかつ気密に接している。

このような構成により、ロータ室２の内面とシ
ールベルト１７の外面との間に、このシールベル
ト１７における主ローラ群１１，１２により円柱
形状部２Ａの内周面に摺接された位置で仕切られ
る圧縮室２４が形成されるようになつている。

つぎに、前記の構成について、その作用を説明
する。使用時には、第１図及び第５図乃至第７図
に示すように、DCモータ１０を駆動してロータ
６をケーシング１内において矢印方向に回転駆動
する。このロータ６の回転駆動により主ローラ群
１１，１２が公転するのに伴い、ロータ室２の内
面とシールベルト１７の外面との間に形成された
圧縮室２４は、主ローラ群１１，１２がシールベ
ルト１７を円柱形状部２Ａの内周面２Ｃに摺接さ
せている位置が図示時計回りに移動していくこと
により、ロータ６の回転の周期の半分の周期で、
吸入口４から吐出口５へと次々に移動していく。
そして、一つの圧縮室２４に注目すると、この圧
縮室２４へ吸入口４が開口している間、すなわ
ち、一方の主ローラ群１１，１２が吸入口４を通
過してからロータ６が半回転して他方の主ローラ
群１２，１１が吸入口４を通過するまでの間に、
この吸入口４から圧縮室２４へ気体が取り入れら
れる。ついで、圧縮室２４は、吸入口４から気密
に遮断され、気密性を保つたまま吐出口５へと移
動していく。さらに、この吐出口５が圧縮室２４
へ開口するようになるが、その間、すなわち、一
方の主ローラ群１１，１２が吐出口５を通過して
からロータ６が半回転して他方の主ローラ群１
２，１１が吐出口５を通過するまでの間に、この
吐出口５へ圧縮室２４内の気体が圧縮されつつ吐
出される。なお、ロータ６の回転に伴い、波形変
形するシールベルト１７の両側縁がロータ室２の
両端面２Ｄを摺動するが、シールベルト１７の両
側縁にオイルシール部２２があり、かつ、このオ
イルシール部２２を案内する段部２３がロータ室
２の両端面２Ｄにあるので、シールベルト１７の
両側縁からの気体の漏洩が防止される。また、従
ローラ群１５，１６は、主ローラ群１１，１２と
ともにシールベルト１７を内周側から保形する。
さらに、ロータ６の回転に伴い、ローラ群１１，
１２，１５，１６は、それぞれ自転してシールベ
ルト１７の内面を転動し、摩擦抵抗を小さくす
る。

なお、ロータ６の回転方向を逆転すれば、吸
入、排気が逆に行われる。

このように上記実施例においては、曲げ、圧
縮、摩擦等の種々の力の作用を受けるベーンに代
えてケーシング１内で回転駆動するロータ６に
主、従ローラ群１１，１２，１５，１６を設ける
とともに、これらローラ群１１，１２，１５，１
６にシールベルト１７を掛装し、主ローラ群１
１，１２を介しシールベルト１７をロータ室２の
円柱形状部２Ａの内周面２Ｃに摺接させることに
より圧縮室２４を構成するようにしたから、強度
的問題が解消される。これとともに、ロータ６が
ロータ室２の円柱形状部２Ａと同軸にあり、か
つ、ロータ６の回転によつて圧縮室２４を移動さ
せるため、振動、騒音を防止することができる。
また、シールベルト１７は突起部１９を有し、こ
の突起部１９が中間ローラ１１Ｂ，１２Ｂ，１５
Ｂ，１６Ｂに嵌合状態に掛装され、かつオイルシ
ール部２２によつて、圧縮室２４の気密性を保持
するようにしているため、安定した動作が可能で
ある。そして、ロータ６の回転数4000rpmでは圧
力２Kg／cm²、流量30／min、また、騒音が60cm
離れたところで45dB以下の結果が得られた。ま
た、シールベルト１７を用い、ロータ室２の内面
とシールベルト１７との間に圧縮室２４を形成す
るようにしたので、従来のチユーブを用いたロー
タリコンプレツサに比べ、オイルシール部２２な
どを介して圧縮室２４内からその外部へ気体が漏
れる可能性はあり、より低圧用となるものの、シ
ールベルト１７は破損しにくく、耐久性が向上
し、寿命がより長くなるとともに、前述のような
4000rpmといつた高速運転が可能となる。

なお、本発明は、上記実施例に限定されるもの
ではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変
形実施が可能である。例えば主、従ローラの寸法
あるいは従ローラの数またはシールベルトのシー
ル構造は適宜設定すればよい。

［発明の効果］ 本発明によれば、ケーシングと、このケーシン
グ内に設けられたロータと、このロータに設けら
れたローラと、このローラに掛装されたシールベ
ルトとで構成されたロータリコンプレツサである
ことにより、強度的問題を有するベーンの使用を
省略し、かつ騒音及び振動を予防できる。また、
シールベルトとケーシングのロータ室の内面との
間に、主ローラの公転に伴い移動する圧縮室を形
成するので、従来のチユーブを用いたロータリコ
ンプレツサに比べ、耐久性が向上し、寿命が長く
なるとともに、高速回転できるロータリコンプレ
ツサを提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第７図は本発明の一実施例を示し、
第１図は縦断面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断
面図、第３図は第１図のＢ−Ｂ線断面図、第４図
はシールベルトの拡大断面図、第５図乃至第７図
は作用状態を示す断面図である。 １……ケーシング、２……ロータ室、２Ａ……
円柱形状部、２Ｂ……張出し部、４……吸入口、
５……吐出口、６……ロータ、１１，１２……主
ローラ群（主ローラ）、１５，１６……従ローラ
群（従ローラ）、１７……シールベルト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ケーシングと、このケーシング内に設けられ
   たロータと、このロータに設けられた主ローラお
   よび従ローラと、前記ケーシング内に設けられた
   弾性を有するシールベルトとを備え、前記ケーシ
   ングは、内部が円柱形状部とこの円柱形状部から
   その径方向に張出した張出し部とからなるロータ
   室になつているとともに、前記円柱形状部の内周
   面における前記張出し部に隣接する両端部位置か
   ら外部へそれぞれ通じる吸入口および吐出口を有
   し、前記ロータは、前記ロータ室の円柱形状部の
   中心軸を回転軸として回転駆動され、前記主ロー
   ラは、前記ロータにおいて前記中心軸を囲みかつ
   この中心軸から等距離の複数位置にそれぞれあ
   り、前記中心軸と平行な回転軸を中心として自転
   自在であり、前記従ローラは、前記ロータにおい
   て前記中心軸を囲みかつ前記主ローラ間の位置に
   それぞれあり、前記主ローラよりも前記円柱形状
   部の内周面から離れて位置するとともに、前記中
   心軸と平行な回転軸を中心として自転自在であ
   り、前記シールベルトは、前記ロータ室の張出し
   部における円柱形状部の内周面に隣接する両端部
   に両端部がそれぞれ固定され、前記主ローラおよ
   び従ローラの外周に掛装されるとともに、前記主
   ローラにより円柱形状部の内周面に摺接され、か
   つ、両側縁が前記ロータ室の両端面に摺動自在に
   かつ気密に接していることを特徴とするロータリ
   コンプレツサ。