JPH0532532Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、高温に加熱されるスラブ等の鋼片表
面に発生するスケールを防止するための酸化防止
剤水溶液をオンラインでスプレーする装置に関す
るものである。

（従来の技術） 一般に鋼材の多くは、連続鋳造法と分塊圧延法
のいずれかによる加工工程を経て製造されてい
る。連続鋳造法では、製鋼炉から取り出した溶鋼
を連続鋳造機でスラブ、ビレツト、ブルーム等の
各種鋼片に成形し、加熱炉内で長時間加熱した
後、圧延して製品としている。一方、分塊圧延法
では、製鋼炉から取り出した溶鋼を一旦鋼塊に造
塊し、これを均熱炉で加熱して、スラブ、ビレツ
ト、ブルーム等の各種鋼片に分塊圧延し、更に加
熱炉内で再加熱した後、圧延して製品としてい
る。

ところで、連続鋳造法及び分塊圧延法における
上記加熱は、高温で長時間行われるため、加熱中
に鋼塊及び鋼片の表面にスケールが多量に発生
し、歩留りが著しく悪くなる。そしてスケールが
発生すると、その後の圧延工程においてスケール
によるカミコミ疵、アバタ疵等を生起し、歩留り
を更に悪くする。

そこで、従来は別ラインで鋼塊及び鋼片の表面
に酸化防止剤水溶液をハケ等を用いた人為的手段
で塗布した後加熱することによつて前記スケール
の発生を防止していた。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、酸化防止剤としては種々の研究・試
験の結果、本出願人が特公昭60−26804号公報で
開示したような低コストで十分な酸化防止効果を
得られるものが開発されているが、この酸化防止
剤の塗布手段を未だ人為的作業に依存しているた
めに十分な効果を得ることができていないのが実
情である。

本考案はかかる実情に鑑みて成されたものであ
り、前記した酸化防止剤水溶液を加熱炉装入テー
ブル上のオンラインでスプレーできる装置を提供
せんとするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、鋼片配列テーブルと加熱炉間に介設
された加熱炉装入テーブルの途中に配置され、加
熱炉迄搬送される鋼片の表面及び側面に所要の酸
化防止剤水溶液をスプレーするノズル装置と、該
ノズル装置によりスプレーされた余剰の前記水溶
液を回収するタンクと、該タンクで回収された水
溶液を回収パイプを介して除塵した状態で受け取
ると共に、混合タンク内で所要の濃度に攪拌混合
された酸化防止剤水溶液を受け取り、これら両水
溶液をスプレーするのに適した濃度に攪拌混合す
る供給タンクと、該供給タンク内の水溶液を前記
ノズル装置に供給する配管を具備して成ることを
要旨とする鋼片への酸化防止剤水溶液スプレー装
置である。

（作用） 本考案に係る鋼片への酸化防止剤水溶液スプレ
ー装置は、鋼片配列テーブルと加熱炉間に介設さ
れた加熱炉装入テーブルの途中に配置され、加熱
炉迄搬送される鋼片の表面及び側面に所要の酸化
防止剤水溶液をスプレーするノズル装置と、該ノ
ズル装置によりスプレーされた余剰の前記水溶液
を回収するタンクと、該タンクで回収された水溶
液を回収パイプを介して除塵した状態で受け取る
と共に、混合タンク内で所要の濃度に攪拌混合さ
れた酸化防止剤水溶液を受け取り、これら両水溶
液をスプレーするのに適した濃度に攪拌混合する
供給タンクと、該供給タンク内の水溶液を前記ノ
ズル装置に供給する配管を具備して成るものであ
る為、酸化防止剤水溶液をオンラインでしかも均
一な膜厚で塗布できる。

（実施例） 以下本考案を添付図面に示す一実施例に基づい
て説明する。

第２図は本考案に係るスプレー装置の設置位置
を示す概略図であり、同図に示す如くスプレー装
置１は鋼片配列テーブル２と加熱炉３間に介装さ
れた加熱炉装入テーブル４の途中に設置されるも
のである。

そして、このスプレー装置１は例えば第１図に
示す如く構成されている。

第１図において、５は前記加熱炉装入テーブル
４の上方に配置され、この加熱炉装入テーブル４
上を搬送されてくる例えばビレツト６の表面及び
両側面に所要の酸化防止剤水溶液をスプレーする
ノズル装置であり、このノズル装置５から噴射さ
れビレツト６の表面及び両側面にスプレーされた
後の前記水溶液の余剰分は、該ノズル装置５の下
方に設置された回収タンク７内に落下する。そし
てこの回収タンク７に回収されたスプレー後の水
溶液の余剰分は回収パイプ８を介して供給タンク
９内に導かれる。

この供給タンク９では例えばフイルター１０に
よつて前記水溶液を除塵したものと、後述する混
合タンク１１から供給される新たな水溶液を攪拌
装置１２により攪拌混合した後、ポンプ１３によ
つて再度前記ノズル装置５迄配管１４を介して供
給し、再使用する。なお１５はポンプ１３の駆動
用エアー配管である。

１１は前記供給タンク９に必要時に新たな水溶
液を配管１６を介して供給する混合タンクであ
り、この混合タンク１１には例えば本出願人が先
に特公昭60−26804号公報で開示した酸化防止剤
の投入口１７と、この酸化防止剤を水溶液となす
ための給水配管１８及びこれらを一定濃度に攪拌
混合するための攪拌装置１９が設けられている。

なお、第１図中２０は前記供給タンク９及び混
合タンク１１内の水溶液量を所定の量に保持すべ
くその上限及び下限を検知するためのリミツトス
イツチ、２１はエアーレーシヨン用配管、２２は
酸化防止剤の搬送用コンベア装置、２３はバイパ
ス配管を示す。

本考案に係るスプレー装置１は以上説明したよ
うな構成であり、加熱炉３迄加熱炉装入テーブル
４上を搬送されてゆく途中において、オンライン
で、前記混合タンク１１及び供給タンク９でスプ
レーに適した所要の濃度に攪拌混合された酸化防
止剤水溶液をノズル装置５によつてビレツト６の
表面及び両側面に均一にスプレーしてその塗膜を
形成させるのである。

そして、スプレーした余剰の水溶液は回収タン
ク７、回収パイプ８を介して供給タンク９に導か
れ、再使用される。

なお前記した配管１４には配管洗浄用のエアー
配管２４とノズル洗浄用のエアー配管２５が設置
されており、配管詰まりやノズル詰まりを防止す
べく成されている。

次に本考案に係るスプレー装置１を使用した場
合と、従来のハケ塗りによる場合のスケールロス
発生割合の実験結果を第３図に示す。

第３図より明らかな如く、従来のハケ塗りの場
合と比較して本考案スプレー装置１を使用した場
合にはスケールロスの発生が略1/2に低減できた。

（考案の効果） 以上説明したように本考案に係る鋼片への酸化
防止剤水溶液スプレー装置は、鋼片配列テーブル
と加熱炉間に介設された加熱炉装入テーブルの途
中に配置され、加熱炉迄搬送される鋼片の表面及
び側面に所要の酸化防止剤水溶液をスプレーする
ノズル装置と、該ノズル装置によりスプレーされ
た余剰の前記水溶液を回収するタンクと、該タン
クで回収された水溶液を回収パイプを介して除塵
した状態で受け取ると共に、混合タンク内で所要
の濃度に攪拌混合された酸化防止剤水溶液を受け
取り、これら両水溶液をスプレーするのに適した
濃度に攪拌混合する供給タンクと、該供給タンク
内の水溶液を前記ノズル装置に供給する配管を具
備して成るものである為、酸化防止剤水溶液をオ
ンラインでしかも均一な膜厚で塗布できる。従つ
て本考案によれば、短時間でしかも鋼片全域に亘
り均一な塗布が行え、スケールの発生を効果的に
防止できることとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案スプレー装置の構成の一例を示
す図面、第２図は本考案に係るスプレー装置の設
置位置を説明する概略平面図、第３図は実験結果
の一例を示す図面である。 １はスプレー装置、２は鋼片配列テーブル、３
は加熱炉、４は加熱炉装入テーブル、５はノズル
装置、６はビレツト、７は回収タンク、９は供給
タンク、１０はフイルター、１１は混合タンク、
１２，１９は攪拌装置、１４は配管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鋼片配列テーブルと加熱炉間に介設された加熱
   炉装入テーブルの途中に配置され、加熱炉迄搬送
   される鋼片の表面及び側面に所要の酸化防止剤水
   溶液をスプレーするノズル装置と、該ノズル装置
   によりスプレーされた余剰の前記水溶液を回収す
   るタンクと、該タンクで回収された水溶液を回収
   パイプを介して除塵した状態で受け取ると共に、
   混合タンク内で所要の濃度に攪拌混合された酸化
   防止剤水溶液を受け取り、これら両水溶液をスプ
   レーするのに適した濃度に攪拌混合する供給タン
   クと、該供給タンク内の水溶液を前記ノズル装置
   に供給する配管を具備して成ることを特徴とする
   鋼片への酸化防止剤水溶液スプレー装置。