JPH0532147A - バンパ用エネルギー吸収部材 - Google Patents

バンパ用エネルギー吸収部材

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JPH0532147A
JPH0532147A JP7328391A JP7328391A JPH0532147A JP H0532147 A JPH0532147 A JP H0532147A JP 7328391 A JP7328391 A JP 7328391A JP 7328391 A JP7328391 A JP 7328391A JP H0532147 A JPH0532147 A JP H0532147A
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Akiji Anahara
明司 穴原
Hiroshi Omori
裕志 大森
Yoshiharu Yasui
義治 安居
Yasumi Miyashita
康己 宮下
Toshiro Kondo
利郎 近藤
Naohiro Tada
直弘 多田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 斜め方向からの荷重に対しても高い衝撃吸収
能力を持ち、衝突変形時における応力変動が小さく、一
定量の変形に対して吸収するエネルギーが大きく、より
軽量化を図ることができるバンパ用エネルギー吸収部材
を提供する。 【構成】 断面楕円形状をなすようにフィラメントが周
方向に巻き付けられるとともに樹脂で硬化された繊維強
化複合材料で形成された第1の筒状体2の内側に、断面
円形状をなすようにフィラメントが周方向に巻き付けら
れるとともに樹脂で硬化された繊維強化複合材料で形成
された第2の筒状体3が複数個、互いに当接する状態で
かつ第1の筒状体2とも接する状態で配置されている。 【効果】 複数の第2の筒状体が互いに当接した状態に
あるため、単純な圧縮変形では剥離、破壊を発生させる
程大きな応力が発生しない箇所にも圧縮変形の際に剥
離、破壊が発生し、吸収エネルギーが増大する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車に装備されるバン
パの衝撃吸収部材として使用されるバンパ用エネルギー
吸収部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車には衝突時における車体及び搭乗
者の保護のため、一般に車体の前後に衝突時の衝撃エネ
ルギーを吸収するバンパが取り付けられている。バンパ
は自動車が障害物と衝突した際に加わる大きな負荷に対
して非可逆的にエネルギーを吸収する必要がある。そし
て、吸収エネルギーを大きくするため、従来からバンパ
本体を支持する支持部材の材質や構造の改良が種々なさ
れている。
【0003】例えば、1988年2月18日公開のドイ
ツ特許(3626150)には、図11に示すように楕
円環状の減衰成形体21を介してバンパ22を車体のス
テイ23に取り付けたものが開示されている。減衰成形
体21は周方向に繊維が配列されたFRP(繊維強化プ
ラスチック)により形成され、楕円形の長手側面がバン
パ22及びステイ23にそれぞれ接触するように取り付
けられている。
【0004】又、特開昭57−124142号公報には
バンパに使用するエネルギー吸収用構造材として、図1
3に示すように繊維複合材料(例えばエポキシ樹脂含浸
ガラス繊維)製の条帯24からなる網状組織で円筒状に
形成された構造体25が提案されている。構造体25は
筒の軸方向に圧縮負荷が加わる状態で使用され、構造体
25に軸方向の荷重が作用すると網状組織の対向する結
節点26において層間剥離を起こし、剪断降伏が繊維と
マトリックスとの界面で生ずることによりエネルギーを
段階的に吸収するようになっている。又、各結節点26
は約10層の繊維複合材料製の条帯24で形成されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記ドイツ特許には周
方向に繊維が配列されたFRP製の減衰成形体21をエ
ネルギー吸収部材として使用することは開示されている
が、その部材に荷重が加わった際に発生する応力、その
変動、吸収エネルギー等については全く触れられていな
い。周方向に無端状の長繊維(フィラメント)が配列さ
れたFRP製の環状構造体の製法としては、フィラメン
トに樹脂を含浸(付着)させながらマンドレル(芯材)
に多層に巻き付けた後、加熱硬化するフィラメントワイ
ンディング(FW)法が一般に用いられる。FW法で作
製した円環状の構造体をその側面からの荷重で圧縮して
いくと、円弧部分に撓みが発生するとともに変形応力を
発生し、ある限度を越えると撓みの大きい部位で繊維の
層間剥離を起こし、応力が突発的に低下する。その後の
変形の進行による撓みは、更に新たな剥離を引き起こし
つつ、数次にわたる応力の突発的変動を繰り返して層間
剥離が進行し、次第に対向する圧縮面が相互に接近す
る。対向面の接近とともに圧縮面に挟まれ、大きく撓ん
だ円弧の中間部位で積層繊維の曲げ破壊がおこり、応力
は急速に低下してエネルギー吸収力も大幅に減少する。
この圧縮変形過程で発生する応力と変形量の積(具体的
には圧縮荷重−変位量曲線と変位量を表す軸との間の面
積)がそのときの吸収エネルギーとなる。バンパ支持部
材のように人体への衝撃を小さくするという条件がある
場合には、応力の最大値を人体への影響の低いレベルに
抑える必要があり、応力変動の激しい場合には全体とし
てのエネルギー吸収量が小さくなる。従って、人体への
衝撃を小さく、しかも変形時のエネルギー吸収量を大き
くするという要求を満たすためには、突発的な応力の発
生を防止し、圧縮荷重−変位量曲線をできるだけ応力変
動の少ない平坦なレベルに保つことが重要となる。
【0006】ドイツ特許に開示されたものと同様に周方
向にガラス繊維が配列されたFRP製で厚さが一定な楕
円環状の構造体を作製し、楕円形の長手方向側面からの
荷重で圧縮した時の荷重と変位量の関係を測定したとこ
ろ図12に示すような結果が得られた。この場合は最初
に剥離の始まる点で荷重の突発的な変化が発生し、その
変動が非常に激しいため、荷重の最大値を人体への影響
の低いレベルに抑えると、エネルギー吸収量が小さくな
り、バンパのエネルギー吸収部材としては不十分であ
る。
【0007】一方、特開昭57−124142号公報に
開示された筒状のエネルギー吸収用構造材は、筒の軸方
向に圧縮荷重が加わる場合はその機能が発揮されるが、
斜め方向からの荷重に対してはほとんど対応できない。
又、前記のように吸収エネルギーを大きくするには変位
量が増加しても荷重が一定レベルに保たれることが重要
であるが、このエネルギー吸収用構造材は変位量の増加
に伴って荷重が次第に減衰し、エネルギー吸収量が大き
くなり難いという問題がある。
【0008】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は自動車の衝突時の衝撃を和ら
げ、人体への衝撃の伝達を緩和するため、衝突変形時に
ある一定以上の応力を発生せず、一定量の変形に対して
吸収するエネルギーが大きく、しかも斜め方向からの荷
重に対しても高い衝撃吸収能力を持ち、金属に比較して
軽量化されたバンパ用エネルギー吸収部材を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは円環形状
の繊維強化複合材料が側面からの圧縮荷重を受けた際の
圧縮変形時に発生する応力、エネルギーは、円弧部の厚
みにほぼ比例することを見出し、その知見に基づいて前
記の目的を達成するための発明を完成した。請求項1に
記載の発明においては、断面円環状をなすようにフィラ
メントが周方向に巻き付けられるとともに樹脂で硬化さ
れた繊維強化複合材料で形成された第1の筒状体の内側
に、断面円環状をなすようにフィラメントが周方向に巻
き付けられるとともに樹脂で硬化された繊維強化複合材
料で形成された第2の筒状体が少なくとも1個、第1の
筒状体と少なくとも1点で接するように配置されてい
る。
【0010】又、請求項2に記載の発明においては、断
面円環状をなすようにフィラメントが周方向に巻き付け
られるとともに樹脂で硬化された繊維強化複合材料で形
成された第1の筒状体の内側に、断面円環状をなすよう
にフィラメントが周方向に巻き付けられるとともに樹脂
で硬化された繊維強化複合材料で形成された第2の筒状
体が複数個、互いに当接する状態でかつ第1の筒状体と
も接触する状態で配置されている。
【0011】
【作用】本発明のバンパ用エネルギー吸収部材は筒部の
側面から圧縮荷重を受けるように取り付けられる。エネ
ルギー吸収部材が圧縮変形時に一定量のエネルギーを吸
収するためには、ある厚さの円弧部が必要となる。エネ
ルギー吸収部材を複数の筒状体で構成した場合は、変形
による応力・エネルギーの発生部位数が増し、エネルギ
ー吸収部材としてはそれら各部位で発生する応力・エネ
ルギーが平均化され、応力の突発的な発生が抑止され
る。従って、自動車の衝突時に搭乗者に与える衝撃を緩
和する効果が大きい。
【0012】請求項2に記載の発明では、第1の筒状体
の内側に配置された複数の第2の筒状体が互いに当接し
た状態にあるため、単純な圧縮変形では剥離、破壊を発
生させる程大きな応力が発生しない箇所にも圧縮変形の
際に剥離、破壊が発生する。従って、応力・エネルギー
が平均化されて応力の突発的な発生が防止されるだけで
なく、吸収エネルギーが増大する。エネルギー吸収部材
を構成するFRPが同一厚さ・重量の場合、20〜40
%もの大きなエネルギー吸収能力をもつ。
【0013】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明を具体化した第1実施例を図
1,図2に従って説明する。図1に示すように、エネル
ギー吸収部材1は、断面がほぼ楕円形に近い第1の筒状
体2の内側ほぼ中央部に、断面が円形の第2の筒状体3
が2点で接する状態で一体に形成されている。両筒状体
2,3は合成樹脂を無端状の長繊維(フィラメント)で
補強したFRPで形成され、フィラメントが周方向に巻
き付けられた状態に形成されている。この実施例ではフ
ィラメントとしてガラス繊維を、合成樹脂としてエポキ
シ樹脂をそれぞれ使用した。製法にはガラス繊維に樹脂
を付着しながらマンドレル上に巻き付けた後、樹脂を加
熱硬化させるフィラメントワインディング(FW)法を
使用した。まず第2の筒状体3に相当する円筒をFW法
で作製した後、その円筒を中央に挟持するマンドレルを
使用し、樹脂が付着したガラス繊維を第2の筒状体3の
外周部に接触するようにFW方式で巻き付け、樹脂を加
熱硬化することによりエネルギー吸収部材1が作製され
る。
【0014】前記のように構成されたエネルギー吸収部
材1に対して、その側面から圧縮荷重を作用させた場合
の荷重と変位量との関係を測定した結果を図2に示す。
このエネルギー吸収部材1は側面からの圧縮荷重に対し
て当初から4個の円弧部で変形エネルギーを吸収し、エ
ネルギー吸収部材1の全体応力は各円弧部の変形応力が
平均化されたものとなるため、1個の筒状体の圧縮荷重
−変位量曲線に比較して荷重の突発的な変化が減少する
とともに、塑性変形後半における荷重の低下も小さくな
る。従って、このエネルギー吸収部材1は荷重の変動が
小さくエネルギー吸収量と最大荷重との比が従来のもの
に比較して大きくなり、バンパ用のエネルギー吸収部材
として好ましい。又、エネルギー吸収部材1の材質が比
重約2近辺のFRPであるため、金属のそれに比較して
はるかに小さく、軽量化が図れる。
【0015】(実施例2)次に第2実施例を図3,図4
に従って説明する。図3に示すように、この実施例のエ
ネルギー吸収部材1は断面がほぼ楕円形に近い第1の筒
状体2の内側に、断面が円形の第2の筒状体3が2個、
第1の筒状体2の両側の円弧に接する状態で一体に形成
されている点が前記実施例のものと異なっている。第2
の筒状体3は圧縮荷重を受けて変形した場合に、最後ま
で互いに接触しない状態に間隔をあけて平行に配列され
ている。このエネルギー吸収部材1はまず第2の筒状体
3に相当する円筒をFW法で作製した後、2個の円筒を
間隔をあけて平行に配列し、その外周部に樹脂が付着し
たガラス繊維をFW方式で巻き付け、樹脂を加熱硬化す
ることにより作製される。
【0016】エネルギー吸収部材1に対して、その側面
から圧縮荷重を作用させた場合の荷重と変位量との関係
を測定した結果を図4に示す。この実施例の場合もエネ
ルギー吸収部材1は側面からの圧縮荷重に対して当初か
ら4個の円弧部で変形エネルギーを吸収し、しかも破壊
の最後の段階まで両第2の筒状体3同士が接触しないた
め、エネルギー吸収部材1の全体応力は各円弧部の変形
応力が平均化されたものとなる。従って、圧縮荷重−変
位量曲線は前記実施例の場合とほぼ同様な形状となる。
【0017】(実施例3)次に第3実施例を図5,図6
に従って説明する。図5に示すように、この実施例のエ
ネルギー吸収部材1は第1の筒状体2の内側に、2個の
第2の筒状体3が互いに当接し、かつ第1の筒状体2の
円弧部とも接する状態で一体に形成されている点が前記
第2実施例のものと異なっている。各筒状体2,3はい
ずれもガラス繊維のロービングと高強度ポリエチレン繊
維(商品名;ダイニーマ、東洋紡績株式会社製)とを混
合して引き揃えた繊維束(容積比でポリエチレン繊維が
約10%)が強化繊維として使用されている。
【0018】このエネルギー吸収部材1はまず第2の筒
状体3に相当する円筒をFW法で作製した後、2個の円
筒を互いに当接する状態で平行に配列し、その外周部に
ポリエチレン繊維とガラス繊維との混合繊維に樹脂を付
着させながらFW方式で巻き付け、樹脂を加熱硬化する
ことにより作製される。円弧部が単純な圧縮荷重を受け
た場合にエネルギー吸収部材1の圧縮変形時に発生する
応力・エネルギーは、変形する円弧部の厚さにほぼ比例
して発生する。従って、前記両実施例のようにエネルギ
ー吸収部材1を構成する円弧部がそれぞれ独立した状態
で圧縮変形が進行する場合は、部材重量と吸収エネルギ
ーとはほぼ比例関係となり、軽量化効果としては複合材
料化したことによる効果以上のものは望めない。
【0019】繊維を周方向に巻き付けて作製した円環状
の繊維強化複合材料を、側面から圧縮する場合の破壊過
程をよく観察すると、圧縮面間に挟まれ、圧縮方向に対
して平行な円弧部位の剥離・破壊が優先的に発生し、そ
の他の部位ではあまり発生しない。すなわち、円環状を
なす部材の極一部のみが変形に関与し、他の部位は単に
円環を形成するための役割を持っているに過ぎない。し
かし、この実施例のエネルギー吸収部材1は第2の筒状
体3が最初から互いに当接状態にあるため、エネルギー
吸収部材1の圧縮変形と同時に第2の筒状体3同士が相
互に圧着されて大きな変形応力を発生する。そして、円
弧部同士が互いに干渉しない場合にはほとんど破壊に関
与しない、圧縮荷重の方向に対して平行な円弧部位以外
の部位にも、剥離・破壊が発生してエネルギー吸収能が
増大する。ただし同じ素材を使用した場合には、前記実
施例のものに比較して応力の平均化効果は乏しくなる。
しかし、強化繊維の材質を変更する等の改良により応力
(荷重)変動を抑制することが可能で、この実施例では
強化繊維にポリエチレン繊維とガラス繊維とを混合した
ものを使用することにより、図6に示すように、圧縮荷
重−変位量曲線の荷重変動が減少し、同種素材で作成し
た図3に示すような非接触型のエネルギー吸収部材に比
較して吸収エネルギーが増大した。
【0020】(実施例4)次に第4実施例を図7,図8
に従って説明する。この実施例のエネルギー吸収部材1
は第1の筒状体2の内側に、3個の第2の筒状体3が互
いに当接し、かつ両端の第2の筒状体3が第1の筒状体
2の円弧部と接する状態で一体に形成されている点が前
記第3実施例のものと異なっている。強化繊維は前記実
施例と同様に容積比でポリエチレン繊維が約10%混合
されたガラス繊維が使用されている。第2の筒状体3の
数を増やすことにより各筒状体3の肉厚を2個の場合よ
り薄くできるため、応力平均化効果が増す。又、第2の
筒状体3同士の当接箇所が増すため、剥離・破壊がより
発生し易くなり、エネルギー吸収機能も内部筒状体が非
接触の場合に比べて増大する。エネルギー吸収部材1に
対してその側面から圧縮荷重を作用させた場合の圧縮荷
重−変位量曲線(図8)からもこのことが裏付けられ
る。
【0021】(実施例5)次にエネルギー吸収部材1を
他の部材と結合するための手段の例を、第2の筒状体3
を2個有する場合について図9に従って説明する。エネ
ルギー吸収部材1はボルト4及びナット5を介してバン
パ及び車体のフレーム等の他の部材6に連結される。エ
ネルギー吸収部材1にはボルト4を挿通する孔が形成さ
れ、ボルト4がエネルギー吸収部材1の内側から前記孔
及び部材6を貫通するように挿通され、部材6の外側か
ら座金7を介してナット5が螺着される。図9(a)に
示すように、部材6と第2の筒状体3とが対応する4か
所全ての位置においてエネルギー吸収部材1を部材6に
結合した場合は、圧縮荷重を受けた際に第1の筒状体2
の平面部の伸びが妨げられる。従って、第2の筒状体3
の互いに当接状態にある部分の破壊が激しくなるととも
に、荷重(応力)変動の平均化効果が低くなる。図9
(b),(c)に示すように、各部材6に対してそれぞ
れ1か所、合計2か所で部材6と第2の筒状体3とが対
応する位置において結合した場合は、圧縮時において第
1の筒状体2の平面部の伸びは妨げられないため、荷重
(応力)変動は図9(a)の場合より小さくなる。又、
図9(d)に示すように、第2の筒状体3が離れて配置
されたエネルギー吸収部材1の場合、第1の筒状体2の
平面部の中央部の2か所で結合すると、第1の筒状体2
の変形がほとんど妨げられないため、荷重変動が増加す
ることはなくなる。
【0022】なお、本発明は前記各実施例に限定される
ものではなく、例えば、図10(b)に示すように、第
1の筒状体2の内側に第2の筒状体3を第1の筒状体2
の円弧と接する状態に配置してもよい。この場合はエネ
ルギー吸収部材1の円弧が3個となるため、第1実施例
の場合に比較して発生応力の平均化効果は低くなるが、
単独の筒状体に比較すれば応力変動は減少する。そし
て、第2の筒状体3が存在する側を車体の外側に設置す
れば、斜め方向からの衝突に対するエネルギー吸収効果
も大きい。又、図10(c)に示すように、第1の筒状
体2の内側に設けられた2個の第2の筒状体3が、圧縮
初期では非接触状態にあり、圧縮変形過程で相互が接触
可能な状態に配置してもよい。この場合、エネルギー吸
収部材1は変形の初期には第2の筒状体3の各円弧部は
互いに独立状態で変形し、各円弧の荷重平均化効果によ
り圧縮初期における応力変動が穏やかになる。そして、
変形途中で両筒状体3の円弧部が互いに当接する状態と
なり、その後の圧縮変形過程で次第に接触・圧着されて
大きな変形応力を発生し、単純な圧縮変形では剥離・破
壊を発生させる程大きな応力が発生しない箇所にも、前
記第3,4実施例の場合のように剥離・破壊が発生して
吸収エネルギーが増大する。従って、圧縮変形時に次第
に応力が低下するような材質の場合に、応力の維持・増
大が図れて有効となる。又、図10(a)に示すよう
に、第1の筒状体2の内側中央部に第1の筒状体2の円
弧部より小径の第2の筒状体3を1点で接する状態に配
置してもよい。この場合には圧縮変形の初期段階では第
2の筒状体3を設けた効果がないが、変形途中で第1の
筒状体2と第2の筒状体3とが接触した後、第2の筒状
体3の変形により応力が増大するとともに、吸収エネル
ギーも大きくなる。又、エネルギー吸収部材1の筒部の
断面形状としては円形、楕円形に限らず曲率の異なる円
弧の組み合わせ等実質的に円環状であればよい。又、素
材のFRPを構成する樹脂はエポキシ樹脂に限らずフェ
ノール樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂を
使用したり、強化繊維としてガラス繊維に代えてカーボ
ン繊維、アラミド繊維等の高弾性、高強度の物性をもっ
た各種の機能繊維を使用したりしてもよい。又、第3実
施例において応力変動を防ぐ手段として、強化繊維にポ
リエチレン繊維とガラス繊維とを混合したものを使用す
る代わりに他の有機繊維と無機繊維とを混合したものを
使用したり、第1の筒状体2の強化繊維として伸度の大
きい繊維を使用したりしてもよい。又、第2の筒状体3
の数を4個以上に増やしたり、径を違えてもよい。
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、エ
ネルギー吸収部材が断面円環状に形成されてその側面か
ら圧縮荷重を受ける状態で使用されるため、斜め方向か
らの荷重に対しても高い衝撃吸収能力を持つ。又、エネ
ルギー吸収部材が複数の筒状体の組合せにより構成され
ているので、変形による応力・エネルギーの発生部位数
が増加し、エネルギー吸収部材全体としてはそれらの各
部位で発生する応力・エネルギーが平均化されて応力の
突発的な発生が防止される。従って、自動車の衝突時に
搭乗者に与える衝撃を緩和する効果が大きい。
【0024】又、請求項2に記載の発明では、第1の筒
状体の内側に配置された複数の第2の筒状体が互いに当
接した状態にあるため、単純な圧縮変形では剥離、破壊
を発生させる程大きな応力が発生しない箇所にも圧縮変
形の際に剥離、破壊が発生し、吸収エネルギーが増大す
る。従って、同じエネルギー吸収能力をもたせた場合に
はエネルギー吸収部材の大幅な軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のエネルギー吸収部材の概略斜視図
である。
【図2】第1実施例のエネルギー吸収部材の圧縮荷重−
変位量曲線である。
【図3】第2実施例のエネルギー吸収部材の概略斜視図
である。
【図4】第2実施例のエネルギー吸収部材の圧縮荷重−
変位量曲線である。
【図5】第3実施例のエネルギー吸収部材の概略斜視図
である。
【図6】第3実施例のエネルギー吸収部材の圧縮荷重−
変位量曲線である。
【図7】第4実施例のエネルギー吸収部材の概略斜視図
である。
【図8】第4実施例のエネルギー吸収部材の圧縮荷重−
変位量曲線である。
【図9】エネルギー吸収部材を他の部材に結合した状態
を示す概略断面図である。
【図10】変更例のエネルギー吸収部材を示す概略斜視
図である。
【図11】従来のバンパ支持部材によるバンパ支持状態
を示す概略平面図である。
【図12】従来のバンパ支持部材の圧縮荷重−変位量曲
線である。
【図13】従来のエネルギー吸収用構造材を示す概略斜
視図である。
【符号の説明】
1…エネルギー吸収部材、2…第1の筒状体、3…第2
の筒状体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安居 義治 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 宮下 康己 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 近藤 利郎 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 多田 直弘 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面円環状をなすようにフィラメントが
    周方向に巻き付けられるとともに樹脂で硬化された繊維
    強化複合材料で形成された第1の筒状体の内側に、断面
    円環状をなすようにフィラメントが周方向に巻き付けら
    れるとともに樹脂で硬化された繊維強化複合材料で形成
    された第2の筒状体が少なくとも1個、第1の筒状体と
    少なくとも1点で接するように配置されたバンパ用エネ
    ルギー吸収部材。
  2. 【請求項2】 断面円環状をなすようにフィラメントが
    周方向に巻き付けられるとともに樹脂で硬化された繊維
    強化複合材料で形成された第1の筒状体の内側に、断面
    円環状をなすようにフィラメントが周方向に巻き付けら
    れるとともに樹脂で硬化された繊維強化複合材料で形成
    された第2の筒状体が複数個、互いに当接する状態でか
    つ第1の筒状体とも接触する状態で配置されたバンパ用
    エネルギー吸収部材。
JP3073283A 1991-04-05 1991-04-05 エネルギー吸収部材 Expired - Fee Related JP2892854B2 (ja)

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