JPH0532111Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は歯科メモリアルグツズに関するもので
あり、特に自然脱落、抜去等によつて離脱した乳
歯等の歯牙を、見やすく永久保存し、かつ口腔知
識の涵養に役立ち、審美的にも優れ、紛失するお
それの少ない歯科メモリアルグツズに構成したも
のである。

【従来の技術及びその問題点】

歯科メモリアルグツズとしては、従来から手
形、足形、写真、等のような、その人の成長過程
の或るときのものを写したもの、あるいは記念す
べき日又は場所に関連した物を見やすい形で保存
したもの等があつた。 しかし、前者は何らかの方法でその人の全部又
は一部を写したものに過ぎないので、後日これを
取り出して見る時に、さほどの実感が湧かない
し、後者はその人の歴史に関連があるというだけ
であるから、なおさらその人との関係が薄くなつ
てしまう。 そこで、もつと切実な方法として、所持者にと
つて身近なものである脱落歯、抜去歯等の「歯
牙」を、歯科メモリアルグツズとして保存するこ
とが望まれる。

【課題を解決するための手段及び作用】

本考案は上記問題に鑑み考案されたものであつ
て、所持者の一部を構成し、かつその人の将来の
歯の性質等にも影響を与えるものとされている乳
歯の自然脱落あるいは抜去したものを、見やすい
歯科メモリアルグツズに構成したものである。 すなわち本考案は、(1)自然脱落、抜去等によつ
て離脱した乳歯等の歯牙を、アクリル樹脂等の透
明な樹脂で包埋し、かつ氏名、年月日等のメモリ
アル事項を記載して成ることを特徴とする歯科メ
モリアルグツズと、(2)さらに前記に加えてその歯
牙の顎別及び歯別の歯牙位置特定事項を記載して
成ることを特徴とする歯科メモリアルグツズと、
(3)前記歯科メモリアルグツズをセツトして載置す
るための歯科メモリアルグツズ用載置台であつ
て、上面に前記の歯科メモリアルグツズの多数個
を嵌入させるべき多数の凹部を有し、かつそれら
多数個の凹部は歯列配置図と同様に上下２列に配
置し、そして該各凹部の付近には各歯牙の歯列配
置位置を表す符号を表記してなるものと、(4)前記
歯科メモリアルグツズの多数個を前記歯科メモリ
アルグツズ用載置台の凹部に嵌入させてセツトし
なることを特徴とする歯科メモリアルグツズセツ
トである。 該歯科メモリアルグツズは、そのままであるい
は載置台に並べてセツトにすることによつて、生
涯の記録になるばかりでなく、上記口腔知識の涵
養と、歯の審美性を保持し、紛失を防止する等の
ために役立つものである。

【実施例】

以下本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細
に説明する。 第１図は本考案を実施するための歯科メモリア
ルグツズ単体の斜視図であつて、自然に脱落し、
又は抜去によつて身体から離脱した乳歯歯牙１を
アクリル樹脂又はエポキシ樹脂等のような透明な
樹脂から成る直方体状物２に包埋し、該直方体状
物２の表面に、氏名、年月日等のメモリアル事項
を記載したプラスチツク板３を貼着したものであ
つて、その製造方法としては、実施例では、図示
を省略した透明なポリエチレン製の容器を使用
し、該容器の内法の縦、横、高さがそれぞれ２セ
ンチメートル程度のほぼ直方体状をなす容器に、
上記抜去等によつて離脱した歯牙１を入れ、その
上から「エポライト40E〕（共栄社油脂化学工業
株式会社製、エポキシジメタクリレート）50重量
部、２，２−ビス（40アクリロキシ２ヒドロキシ
プロポキシフエニル）プロパン45重量部、トリエ
チレングリコールジメタクリレート５重量部に、
カンフアーキノン0.05重量部、ベンゾイルパーオ
キサイド0.05重量部を撹拌、溶解した混合物を注
入し、これに可視光線照射器によつて光照射を行
つて上記混合物から成るアクリル樹脂を硬化させ
るのであるが、該硬化工程の途中で上記アクリル
樹脂が僅かに硬化し始めた段階で光照射を中止
し、針等によつて上記歯牙の姿勢を整え、再び光
照射によつて硬化を進行させ、硬化完了の直前に
再び光照射を中止して、上記アクリル樹脂の表面
に、別に用意した白色プラスチツクの薄板に、氏
名、抜去年月日等を記載したもの３を載置して、
再び上記同様にしてアクリル樹脂の硬化を完成さ
せ、しかる後に上記の図示を省略したポリエチレ
ン製の型枠を取り外して製造したものである。 なお、プラスチツク板３には、その歯牙の位置
特定、すなわちその歯牙の位置した顎別及び歯別
の表記（歯牙名称及び／又は符号の表記）をして
おくことが好ましい。これにより、後記載置台
（ケース）に、前記歯牙を透明樹脂で包埋してな
る歯科メモリアルグツズ単体を配列載置する際に
配列を誤るおそれがなくなる。 ただし、製造方法は上記に限らず、また歯牙を
包埋する素材も上記に限る必要はなく、透明な合
成樹脂に包埋すれば良いのであるが、使用する樹
脂は上記のようなアクリル樹脂又はエポキシ樹脂
のような、透明度が高く、経時変化が少ないもの
を用いることが望ましい。 次に、上記直方体状の歯科メモリアルグツズを
載置する載置台（ケース）は、塩化ビニル重合
体、ポリスチレン等の着色した樹脂で第２図に斜
視図を示すような平板状の載置台４を設け、該載
置台４の上面には所要数の（但し人の乳歯を全部
本考案の歯科メモリアルグツズに作成してセツト
するとすれば20個）単体歯科メモリアルグツズを
嵌合すべき凹部５，５′……を設けてあり、該凹
部５，５′……の付近には、それぞれ図示のよう
に各歯牙のあつた位置を表す文字又は記号等６，
６′……を記載して成るものである。 また別に上記載置台４を覆う透明な蓋部７を設
け、上記載置台４と上記蓋部７とを係合する要素
８を設けた載置台と蓋部とから成るケースであつ
て、上記凹部に前記単体の歯科メモリアルグツズ
を嵌合・載置してセツトとしたものである。 本考案の歯科メモリアルグツズが作成される過
程についてみると、標準的なものは次のような経
過をたどることになろう。 すなわち、幼児の乳歯を歯科医が抜去したと
き、又は乳歯が自然に脱落したときは、本考案に
よる歯科メモリアルグツズを作成する業者がこれ
を預かつて、上記のようにして単体の歯科メモリ
アルグツズを作成して歯の所持者に交付し、歯の
所持者はこれを歯科メモリアルグツズとして大切
に保管するわけであるが、乳歯は一度に抜けるの
ではなく数年の間に少しずつ自然に抜け、あるい
は歯科医によつて抜去してもらうものであるか
ら、最初に抜けた歯牙を業者によつて上記単体の
歯科メモリアルグツズに構成・加工してもらつた
歯の所持者は、これを単体のままで持つていたの
では紛失してしまうおそれが多分にある。 そこで、上記のような載置台４を有するケース
を別に購入して、抜去した乳歯を、順次上記ケー
ス内の、単体の歯科メモリアルグツズを嵌合すべ
き凹部５，５′……に嵌合させて保管し、前記20
箇所の凹部５，５′……が全て満たされたときに、
該歯科メモリアルグツズのセツトが完成すること
になり、該歯牙の所持者はこれを一生の記念品と
して大切に保管することになるものである。

【その他の実施例】

本考案は上記実施例だけに限定される理由はな
く、例えば上記単体の歯科メモリアルグツズを構
成する抜去した歯牙を包埋する直方体状について
も、必ずしも直方体に限らず、円柱状、球状、ピ
ラミツド状等、色々な形状に構成する余地がある
ことは言うまでもない。 また上記のように透明な素材内に入れる歯牙に
ついても、必ずしも抜去した歯牙の全体をそのま
まいれる必要はなく、例えば抜去した歯牙は我々
が通常見慣れない歯根がついているため、いい感
じを受けない者もいるので、そういう者のために
は希望により歯根部分を体裁よく切り取つて、抜
ける以前に見えていた部分だけを用いて、上記の
ような歯科メモリアルグツズに構成してもよい。 また前記の各単体の歯科メモリアルグツズは、
必ずしも上記のようなケースに並べてセツトにす
るのでなく、単体のままで、紐等を付けて保管
し、又は装身具として使用してもよい。特に装身
具として用いる場合には、上記のように歯根を切
り取つて使用した方が適切であろう。 もちろん本考案は、乳歯を用いた歯科メモリア
ルグツズに限らず、永久歯について学術研究用に
構成することもでき、この場合には、多数の人か
ら抜歯した永久歯の中から、比較的完全な形状の
ものを選んで、上下32個の単体の歯科メモリアル
グツズを造り、同数単体を載置する載置台に並べ
て構成することになる。

【考案の効果】

本考案は上記のような歯科メモリアルグツズ
と、それらを載置するための歯科メモリアルグツ
ズ用載置台とさらに、前記の歯科メモリアルグツ
ズの多数個を、前記歯科メモリアルグツズ用載置
台の凹部に歯科配置図にしたがつて嵌入させてセ
ツトしてなる歯科メモリアルグツズセツトである
から、(イ)単なる手形や写真等に比して、個人の成
長過程における身体の一部として、自己に準じた
親しみ、貴重感を以つて大切に保管されること
と、(ロ)実用的にも、その所持者の今後生えて来
る、又は既に生えている永久歯の性質等を予測す
る手掛かりとなることと、(ハ)半永久的に損耗しな
い身体の一部として後世の学術研究の対象にもな
り得るので、それだけ愛着心も増しマスコツトと
しての価値を高めることになる。 次に、上記歯牙を透明なアクリル樹脂等によつ
て包埋して成る歯科メモリアルグツズであるか
ら、(ニ)剥き出しの歯牙そのものではないので、審
美的にも優れ、歯科メモリアルグツズとして保管
するのにふさわしい体裁を有し、(ホ)何時でも取り
出して見ることができ、しかもそれによつて変色
したり擦り減つたり朽廃したりしないものであつ
て、(ヘ)そのため愛着心をもつて保管する対象とし
て適している等の長所を有すると共に、そのよう
な世界中に一つしかない物を所有している満足感
を所持者に与え、更には自己自身が、その世界中
に一人しかいない人間であることを実感させ、人
生に対する認識を高め、ひいては他人に対するい
たわりの心等を芽生えさせるよすがとなることも
期待される。 さらに、上記単体の歯科メモリアルグツズを載
置台の上に載置してセツトとしたものにあつて
は、(ト)セツトとして保管できるので、単体で保管
するのに比して散逸したり紛失したりするおそれ
が非常に少ないことと、（チ）各歯牙の位置やそ
の役目等を学習するのに役立ち、しかも自己の歯
牙に対するマスコツト的愛着心に助けられて、容
易にかつ正確に上記事項を学習できることが期待
でき、（リ）上記各効果と相俟つて自己の歯を大
切にし、歯磨き等の口腔衛生思想を涵養するのに
も役立つ等の幅の広い効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施せる単体の歯科メモリア
ルグツズの斜視図、第２図は単体の歯科メモリア
ルグツズをケース上に載置してセツトにしたもの
の斜視図を示す。 図中、１……歯牙、２……直方体状物、３……
メモリアル事項を記載したプラスチツク板、４…
…載置台、５，５′…………歯科メモリアルグツ
ズを嵌入すべき凹部、６，６′…………歯牙の位
置を表す記号、７……載置台４の蓋部、８……載
置台４と、その蓋部７との係合要素。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 自然脱落、抜去等によつて離脱した乳歯、永
   久歯等の歯牙を、アクリル樹脂等の透明な樹脂
   で包埋し、かつ氏名、年月日等のメモリアル事
   項を記載して成ることを特徴とする歯科メモリ
   アルグツズ。 (2) 自然脱落、抜去等によつて離脱した乳歯、永
   久歯等の歯牙を、アクリル樹脂等の透明な樹脂
   で包埋し、かつ氏名、年月日等のメモリアル事
   項及びその歯牙の顎別及び歯別の歯牙位置特定
   事項を表記して成ることを特徴とする歯科メモ
   リアルグツズ。 (3) 請求項１又は２記載の歯科メモリアルグツズ
   をセツトして載置するための歯科メモリアルグ
   ツズ用載置台であつて、上面に前記の歯科メモ
   リアルグツズの多数個を嵌入させるべき多数の
   凹部を有し、かつそれら多数個の凹部は歯列配
   置図と同様に上下２列に配置し、そして該各凹
   部の付近には各歯牙の歯列配置位置を表記して
   なることを特徴とする歯科メモリアルグツズ用
   載置台。 (4) 請求項１又は２記載の歯科メモリアルグツズ
   の多数個を、請求項３記載の歯科メモリアルグ
   ツズ用載置台の凹部に歯列配置図にしたがつて
   嵌入させてセツトしてなることを特徴とする歯
   科メモリアルグツズセツト。