JPH05321039A - 気相法炭素繊維の製造方法 - Google Patents

気相法炭素繊維の製造方法

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JPH05321039A
JPH05321039A JP12765792A JP12765792A JPH05321039A JP H05321039 A JPH05321039 A JP H05321039A JP 12765792 A JP12765792 A JP 12765792A JP 12765792 A JP12765792 A JP 12765792A JP H05321039 A JPH05321039 A JP H05321039A
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JP
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carbon fiber
fiber
vapor
organic matter
reaction
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JP12765792A
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English (en)
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Shingo Morimoto
信吾 森本
Hitoshi Iijima
均 飯島
Akitaka Sudo
彰孝 須藤
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭化水素の熱分解による気相成長法で得られ
る炭素繊維の製造方法に関し、有機物表面付着物による
導電性低下のない気相法炭素繊維を効率良く製造する方
法を提案する。 【構成】 有機物の表面付着物が3%以下(好ましく
は、1%以下)の気相法炭素繊維を、1000℃以上の
高温処理する工程を有することを特徴とする気相法炭素
繊維の製造方法に構成する。有機物の表面付着物をクロ
ロホルム抽出によって減らす。あるいは、反応炉1の出
口付近から反応後のガスを排気管10で抜き出し、生成
した炭素繊維4とガスとの接触を短くて有機物付着量を
減らす。それから炭素繊維を高温熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭化水素の熱分解によ
る気相成長法で得られる炭素繊維、より詳しくは、該炭
素繊維の生成の際に繊維表面に付着する有機物による特
性劣化を防止した気相法炭素繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維の気相製造方法は、加熱炉内で
炭化水素を熱分解して微細な炭素繊維(ホイスカー)を
1工程で得ることの出来る優れた方法ではあるが、工業
的な生産性に問題があり、改善・改良がなされてきた。
【0003】この生産性向上をある程度可能としたとこ
ろ、従来は重要視されていなかった後処理が必要になっ
て来た。即ち、生産性の高い手法で製造した気相法炭素
繊維には、冷却過程で接触する反応後のガスから主とし
てタール成分である有機物が析出付着し、実用に供する
にはこの表面付着物を除去する必要が生じたのである。
【0004】一方、市販されているPAN系炭素繊維お
よびピッチ系炭素繊維では1000〜1500℃での炭
素化処理と、2000℃以上の黒鉛化処理とが一般に行
われているので、炭素繊維の熱処理自体は自明のことと
言える。しかしながら、直径が1μm以下という非常に
細い気相法炭素繊維を熱処理した時には、付着有機物の
挙動が変わり、電気伝導性で評価すると、導電性がほと
んど向上しないことが分かった。これは、比表面積の大
きい状態で付着有機物が炭化されると導電性の悪いハー
ドカーボンが生成することに相当している。
【0005】また、有機物が表面に付着したままで、樹
脂との複合材を作成したのでは炭素繊維・樹脂界面の残
留有機物が複合材物性の低下の原因になるので、付着有
機物を少なくすることが以前より検討されている。その
一つの例が特開平2−259120号であり、この公報
によると、表面に有機物の付着した炭素繊維を、不活性
ガス雰囲気中で加熱して表面付着物を昇華させて除去す
る方法、或いは有機溶媒で表面付着物を洗浄ないし抽出
して除去する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、本発明者ら
の研究によると、表面付着物(有機物)のある気相法炭
素繊維を不活性雰囲気中で加熱すると、該付着物が炭化
し、ハードカーボン(導電性の悪いカーボン)となり、
導電性、特に繊維表面での導電性を悪くする。
【0007】上述公報では、付着物の量を溶剤抽出で評
価しているから、ハードカーボン(溶剤に溶けない)は
付着物とは見なされない(ハードカーボンがあっても、
付着物無しとしている)。さらに、上述公報に開示され
たように気相法炭素繊維を溶剤処理すれば、付着物を除
去することができ、その後に、これを熱処理することは
上述公報には記載がない。
【0008】有機物が付着したまま炭素繊維を加熱する
と、意に反して、特性が向上しないが、炭素繊維自体は
より高温で熱処理することによって、電気伝導性、弾性
率などの特性が向上するので、有機物付着が無い又は少
ない状態にて、高温熱処理すること検討した。
【0009】気相法炭素繊維は、ベンゼン等の炭化水素
を鉄等の触媒粒の介在のもとで、加熱熱分解で生成され
ている。繊維生成に適した温度は1200℃前後の限ら
れた範囲にあるので、工業レベルでの量産を狙って、大
量の原料炭化水素を供給すると、一部の炭化水素は、未
分解又は半分解したままで、反応帯域を通過してしま
う。この分解不十分炭化水素は、同伴している炭素繊維
とともに反応器出口に向かって流下していく際に、凝縮
し、主として、炭素繊維表面上に有機物(主に、タール
分)として析出している。この析出物を少なくするため
に、得られた気相法炭素繊維を有機溶媒で洗浄する方法
および反応帯域を通過してから気相法炭素繊維を含む固
体部分と有機物を含む気体部分とを有機物が繊維に付着
する前に分離する方法を検討した。
【0010】本発明の目的は、有機物表面付着物による
導電性低下のない気相法炭素繊維を効率良く製造する方
法を提案することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的が、有機物の
表面付着物が3%以下(好ましくは、1%以下)の気相
法炭素繊維を、高温処理する工程を有することを特徴と
する気相法炭素繊維の製造方法によって達成される。
【0012】高温処理が1000℃以上の温度であるこ
とは好ましい。なお、気相法炭素繊維は多くは直径が0.
05〜2μmで、長さが1〜100μmで、長さ/直径
の比が10〜50である。
【0013】
【作用】炭素繊維表面の付着物を単に後の熱処理のみで
除去しようとすると、導電性に劣る炭化物として残るこ
とになるため、予めこの表面付着物をある量以内に制限
した後で熱処理することによって、樹脂などとの複合材
とした場合の実用的な導電性に優れた炭素繊維を得るこ
とができるのである。
【0014】表面付着物の有機物が3重量%を越える
と、その有機物が炭化熱分解した際にできるハードカー
ボンの量が過大になるために電気伝導性が悪くなる。付
着有機物は少ない程良いが、3重量%以下であれば実用
上問題はないが、1重量%以下ならばさらに好ましい。
そして、熱処理温度を1000℃以上にするのは、少量
の残留有機物を炭化、熱分解するためであり、2000
℃以上に加熱すると、繊維自身の結晶構造が改善(黒鉛
化)され、さらに導電性が良くなる。
【0015】
【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明の実施態
様例および比較例によって本発明を詳細に説明する。な
お、本発明はこれら実施態様例によって限定されるもの
ではない。
【0016】実施例1 図1に示すように、従来の縦型の製反応(加熱)炉(内
径20cm)1をヒータ2で1200℃に昇温・維持し、
2.5%のフェロセンを含むベンゼンの液体原料を50g
/分の流量で、水素(100リットル/分)よってスプ
レーノズル3から炉内に供給した。反応炉1内で気相成
長した炭素繊維4がフィルター5により捕集室6内に集
められ、反応後のガスが排気管7から排出される。得ら
れた炭素繊維の有機物量をクロロホルム抽出分で測定し
たところ4.3%であった。
【0017】この有機物付着量の炭素繊維100gに対
してベンゼン200gを加え、30分間煮沸し、そして
分離・乾燥した。このように溶剤抽出によって有機物を
除去することで得られる炭素繊維は、その残っている有
機物量をクロロホルム抽出分で測定したところ0.2%で
あった。
【0018】このように有機物量を減らした炭素繊維を
非酸化性雰囲気下で1400℃にて1時間熱処理した。
この炭素繊維をPP樹脂(昭和電工株式会社製品:SM
A410)に混ぜて、40%炭素繊維を含有する繊維強
化プラスチック(複合材)の試験片を製造した。この試
験片の比抵抗値を測定したところ0.10Ωcmであった。
【0019】実施例2 図2に示すような、縦型の製反応(加熱)炉(内径20
cm)1をヒータ2で1200℃に昇温・維持し、2.5%
のフェロセンを含むベンゼンの液体原料を50g/分の
流量で、水素(100リットル/分)よってスプレーノ
ズル3から炉内に供給した。反応炉出口付近の比較的温
度の高い部分(ガス温度で300℃以上)で生成した炭
素繊維4とガスとを分離して、有機物付着の機会を少な
くした炭素繊維を得た。この場合には、フィルター9付
きの排気管10を反応炉出口付近に取り付けて、比重の
重い炭素繊維を下方に落下させながら、軽いガスを横方
向に抜き出した(排気した)。得られた炭素繊維の有機
物量をクロロホルム抽出分で測定したところ0.5%であ
った。
【0020】実施例1と同様にして、有機物量の少ない
炭素繊維を非酸化性雰囲気下で1400℃にて1時間熱
処理し、この炭素繊維をPP樹脂に混ぜて、40%炭素
繊維を含有する繊維強化プラスチック(複合材)の試験
片を製造した。この試験片の比抵抗値を測定したところ
0.12Ωcmであった。
【0021】実施例3 実施例2において、熱処理温度を2600℃にしたこと
以外は同じ工程で炭素繊維(炭素化している)を得て、
それを実施例1と同様にPP樹脂に混ぜ、繊維強化プラ
スチックの試験片を製造した。その試験片の比抵抗値を
測定したところ0.08Ωcmであった。
【0022】比較例1 図1に示すように、縦型のSiC製反応(加熱)炉(内
径20cm)を1200℃に昇温・維持し、2.5%のフェ
ロセンを含むベンゼンの液体原料を50g/分の流量
で、水素(100リットル/分)よってスプレーノズル
から炉内に供給した。得られた炭素繊維の有機物量をク
ロロホルム抽出分で測定したところ7.2%であった。こ
の有機物量の比較的多い炭素繊維を非酸化性雰囲気下で
1400℃にて1時間熱処理し、実施例1と同様にし
て、この炭素繊維をPP樹脂に混ぜて、40%炭素繊維
を含有する繊維強化プラスチック(複合材)の試験片を
製造した。この試験片の比抵抗値を測定したところ0.4
5Ωcmであった。
【0023】比較例2 比較例1において、熱処理温度が2600℃であること
以外は同じ工程で炭素繊維(炭素化している)を得て、
それを実施例1と同様にPP樹脂に混ぜ、繊維強化プラ
スチックの試験片を製造した。その試験片の比抵抗値を
測定したところ0.40Ωcmであった。これらの例に示
すように、炭素繊維強化プラスチックとして成形して電
気導電性を測定、比較した結果、本発明の製造方法によ
る炭素繊維の方が導電性が良い(比抵抗が小さい)。
【0024】
【発明の効果】気相法炭素繊維は、それ自身導電性に優
れた素材であるが、その繊維表面状態によって導電性が
変化する。本発明は、その高温熱処理の前の炭素繊維表
面付着物を制限することで、大量生産時おいても、良好
な導電性を達成し、気相法炭素繊維の導電性素材として
の実用性に大きな可能性を見出したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の気相法による炭素繊維製造装置の概略断
面図である。
【図2】有機物表面付着物を低減できる気相法炭素繊維
製造装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1…反応(加熱)炉 2…ヒータ 3…スプレー 4…炭素繊維 5…フィルター 6…捕集室 7…排気管 9…フィルター 10…排気管

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機物の表面付着物が3%以下の気相法
    炭素繊維を、高温処理する工程を有することを特徴とす
    る気相法炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機物の表面付着物が1%以下の気相法
    炭素繊維を、高温処理する工程を有することを特徴とす
    る気相法炭素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記高温処理が1000℃以上であるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2記載の気相法炭
    素繊維の製造方法。
JP12765792A 1992-05-20 1992-05-20 気相法炭素繊維の製造方法 Pending JPH05321039A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6489026B1 (en) 1999-03-25 2002-12-03 Showa Denko K.K. Carbon fiber, method for producing the same and electrode for cell
WO2003055054A1 (fr) * 2001-12-21 2003-07-03 Kitagawa Industries Co., Ltd. Moteur ultrasonore et compteur de temps electronique comportant celui-ci

Cited By (3)

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US6946110B2 (en) 1999-03-25 2005-09-20 Showa Denko K.K. Carbon fibers, production process therefor and electrode for batteries
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