JPH05317038A - アグロバクテリウム・リゾゲネスmaff03−1724変異株及びその製造方法 - Google Patents

アグロバクテリウム・リゾゲネスmaff03−1724変異株及びその製造方法

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JPH05317038A
JPH05317038A JP5002421A JP242193A JPH05317038A JP H05317038 A JPH05317038 A JP H05317038A JP 5002421 A JP5002421 A JP 5002421A JP 242193 A JP242193 A JP 242193A JP H05317038 A JPH05317038 A JP H05317038A
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JP
Japan
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maff03
strain
agrobacterium
medium
streptomycin
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JP5002421A
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English (en)
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Nobukazu Tanaka
伸和 田中
Sanesato Takao
実里 高尾
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacte
rium rhizogenes) MAFF03-1724変異株 (SmR)、SmR 菌
は、アグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724 株の
自然突然変異により、アグロバクテリウム・リゾゲネス
MAFF03-1724 変異株 (KmS)、KmS 菌は、SmR 菌を突然変
異誘発剤を含んだ培地で培養して得られた培養物からの
分離により得られた突然変異体、そして、アグロバクテ
リウム・リゾゲネスMAFF03-1724 変異株 (CmS)。CmS 菌
は、KmS 菌を突然変異誘発剤を含んだ培地で培養して得
られた培養物からの分離により得られた突然変異体であ
る。 【効果】 薬剤耐性遺伝子を選抜マーカーとする目的菌
の選抜精度を改善させると共に、植物への有用遺伝子の
導入、アグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724株
の遺伝子レベルでの改良手段として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般に、日本産アグロ
バクテリウム・リゾゲネス (Agrobacteriumrhizogenes)
MAFF03-1724 株由来の薬剤耐性アグロバクテリウム・
リゾゲネスMAFF03-1724 変異株、ならびに前記薬剤耐性
に加えて、さらに薬剤感受性を備えたアグロバクテリウ
ム・リゾゲネスMAFF03-1724 変異株に関する。
【0002】
【従来の技術】アグロバクテリウム・リゾゲネス (Agro
bacterium rhizogenes) は、植物に感染すると感染部位
から毛状根という不定根を誘発する性質を有する植物病
原土壌細菌である。 この毛状根は、植物ホルモンを含
まない植物組織培養培地で非常に良く増殖するため、有
用物質生産植物に本菌を接種し、得られた毛状根の培養
による有用物質の生産が試みられている(Matsumoto, e
t al., "Agric. Biol.Chem.", vol.55, pp.1019-1025,
(1991)) 。
【0003】一方、毛状根から再生した植物体は、器官
の小型化や形態変異、節間の短縮による矮化、頂芽優勢
の消失、根の生育向上による根部比率の上昇、開花期の
変動等の、いわゆる「毛状根症候群」を示すことが知ら
れ、これら形質を有用植物に導入して、植物の改良を行
う試みもなされている(Tepfer, "Cell", vol.37, pp.95
9-967, (1984))。
【0004】また、毛状根から比較的容易に植物体が再
生するため、最近では、根頭癌腫病菌アグロバクテリウ
ム・ツメファシエンス (Agrobacterium tumefaciens)よ
りもアグロバクテリウム・リゾゲネスを植物形質転換用
ベクターの宿主として用いる事例が増加している(Shahi
n, et al., "Theor, Appl. Genet.", vol.72, pp.770-7
77, (1986)) 。
【0005】現在、日本国内で頻繁に使用されているア
グロバクテリウム・リゾゲネスA4株は、主に米国カリフ
ォルニア州産のバラの毛根病から単離されたいわゆる外
国産菌株である。 これに対して、国内産のアグロバク
テリウム・リゾゲネス属の菌株としては、1986年に千葉
県のメロン温室内で発見され、1988年にメロン毛根病菌
と命名されたアグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1
724 株 (農林水産省遺伝資源センター寄託細菌;塩見
等、「日植病報」、vol. 53, pp. 454-459、1988年) を
始めとする幾つかの類似系統がある。 この菌株は、待
望の国内産菌株として、日本国内各所で利用されつつあ
るが、最近発見された菌株であるため、その性状はほと
んど解明されておらず、その変異株等も全く得られてい
ない状態であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述したアグロバクテ
リウム・リゾゲネスA4株を始めとする外国産菌株は植物
病原菌株であるため、国内で供するためには下記の如く
様々な制約を受けるものである。 すなわち、 菌株を輸入する場合は農林水産大臣の許可が必要で
あり、 菌株を実験に使用する際には、輸入菌の産地・品名
・数量等、管理場所及び管理責任者職名・氏名、利用期
間、保管数量、研究目的及び内容に関する許可申請を要
し、 菌株の使用許可後も、毎年、輸入禁止品管理利用状
況報告書を提出し、利用状況及び研究結果を報告した
後、研究施設への植物防疫官の立ち入り検査を仰ぐ必要
があり、 実験終了時には、終了報告を行い、植物防疫官の立
ち合いの下で、菌を死滅させねばならず、 菌株を分譲する場合には、植物防疫所長の譲り受け
許可を要し、 実際に使用する場合は、指定場所以外では取り扱っ
てはならず、菌の野外放出はもちろん、使用後もその都
度、菌及び使用器具を殺菌消毒することが求められ、 菌を使用して形質転換した植物の野外栽培は禁止さ
れ、 本菌株の使用は植物防疫法によって規制され、その
規制の範囲は、アグロバクテリウム・リゾゲネスA4菌株
のRiプラスミドおよびそのDNA レベル(T-DNA領域)ま
でおよび、さらに、 前記Riプラスミドを大腸菌等の宿主を用いてクロー
ニングして得られた形質転換体(例えば、細菌、毛状根
等)の移動についても植物防疫法の規制が加えられるの
である。
【0007】これに対して、アグロバクテリウム・リゾ
ゲネスMAFF03-1724 株を始めとするメロン毛根病菌は国
内産であるため、上述のような外国産の菌株におけるよ
うな制約を一切受けないばかりではなく、土壌への散布
による自然条件下における毛状根誘発実験も、周辺に対
する汚染の心配がなければ制約を受けない等の利点を併
せ持っている。
【0008】しかしながら、上述した如く、アグロバク
テリウム・リゾゲネスMAFF03−1724株の性状
はほとんど解明されておらず、その変異株等も全く得ら
れていない状態であった。 さらに、アグロバクテリウ
ム・リゾゲネスMAFF03−1724 株は野性株で
あるので、テトラサイクリン、アンピシリン、カナマイ
シン、クロラムフェニコール等の比較的使用頻度の高い
薬剤に対して感受性を持たず、あるいは感受性を有して
いても容易に耐性に変異することから、アグロバクテリ
ウム・リゾゲネスMAFF03-1724 株を植物形質転換用ベク
ターの宿主とし、ベクターに連結された薬剤耐性遺伝子
をマーカーとする目標細菌の選抜手法の精度が著しく低
減される等の問題点があった。
【0009】すなわち、薬剤耐性遺伝子を選抜マーカー
とし、有用遺伝子を組み込んだベクターをアグロバクテ
リウム・リゾゲネスMAFF03-1724 株に導入して、前記選
抜マーカーが耐性を示す薬剤を用いた導入菌の選抜を試
みても、付与された耐性は自然変異してしまうため、薬
剤耐性が付与された菌も同時に生育してしまい、目的と
する前記有用遺伝子を組み込んだベクターを導入した菌
の選抜精度が著しく低下した結果を招くのである。
【0010】従って、当該技術分野では、薬剤耐性遺伝
子をマーカーとして利用する観点からも、アグロバクテ
リウム・リゾゲネスMAFF03- 1724株の薬剤感受性変異株
の取得が急務とされていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
に鑑みて発明されたものであり、その要旨とするところ
は;メロン毛根病菌アグロバクテリウム・リゾゲネスMA
FF03-1724 株の自然突然変異により得られたストレプト
マイシン薬剤耐性を有したアグロバクテリウム・リゾゲ
ネスMAFF03-1724 変異株(以下、「SmR 菌」と称する)
ならびにその製造方法;前記SmR 菌に、外来遺伝子用ベ
クター利用の際の選抜マーカーとして頻用されるカナマ
イシンに対する感受性をさらに付与した、ストレプトマ
イシン薬剤耐性とカナマイシン薬剤感受性を併せ持った
アグロバクテリウム・リゾゲネス MAFF03-1724 変異株
(以下、「KmS 菌」と称する) ならびにその製造方法;
および前記KmS 菌に、外来遺伝子用ベクター利用の際の
選抜マーカーとして頻用されるクロラムフェニコールに
対する感受性をさらに付与した、ストレプトマイシン薬
剤耐性、カナマイシン薬剤感受性、およびクロラムフェ
ニコール薬剤感受性を併せ持ったアグロバクテリウム・
リゾゲネス MAFF03-1724変異株(以下、「CmS菌」と称
する) ならびにその製造方法である。
【0012】より具体的には、SmR 菌は、増殖したアグ
ロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724 株をストレプ
トマイシンが添加されたアグロバクテリウム属細菌培養
用液体培地で培養し、自然突然変異により生成したコロ
ニーから得られる。
【0013】なお、前記アグロバクテリウム属細菌培養
培地としては、下記実施例にて開示したLBMG培地の他
に、YEB 培地、ルリア・ブロース培地、ニュートリエン
ト・ブロス培地、AB培地、SM培地、MG培地などの市販の
培地でも使用可能である。
【0014】また、KmS 菌は、増殖したSmR 菌をアグロ
バクテリウム属細菌培養用液体培地にて培養し、得られ
た菌体懸濁液をニトロソグアニジンなどの突然変異誘発
剤を含んだアグロバクテリウム属細菌培養用液体培地で
培養し、ここで得られた培養菌株をストレプトマイシン
が添加された培地、カナマイシンが添加された培地それ
ぞれに接種して、レプリカ培養する。 そして、前記カ
ナマイシンが添加された培地で生成しなかったコロニー
に対応するコロニー、すなわちKmS 菌を含んだコロニー
を前記ストレプトマイシン添加培地から選抜する。
【0015】さらに、CmS 菌は、増殖したKmS 菌をアグ
ロバクテリウム属細菌培養用液体培地にて培養し、得ら
れた菌体懸濁液をニトロソグアニジンなどの突然変異誘
発剤を含んだアグロバクテリウム属細菌培養用液体培地
で培養し、ここで得られた培養菌株をストレプトマイシ
ンが添加された培地、クロラムフェニコールが添加され
た培地それぞれに接種して、レプリカ培養する。 そし
て、前記クロラムフェニコールが添加された培地で生成
しなかったコロニーに対応するコロニー、すなわちCmS
菌を含んだコロニーを前記ストレプトマイシン添加培地
から選抜する。
【0016】なお、SmR 菌やKmS 菌の突然変異を促すた
めに、前記した突然変異誘発剤の使用に加え、紫外線や
X線等を任意にコロニー(菌体)に照射することも可能
である。
【0017】
【実施例】以下に、アグロバクテリウム・リゾゲネスMA
FF03-1724 株のストレプトマイシン耐性変異株(SmR
菌)、ストレプトマイシン耐性とカナマイシン感受性を
備えた変異株(KmS 菌)、およびストレプトマイシン耐
性、カナマイシン感受性ならびにクロラムフェニコール
感受性を備えた変異株(CmS 菌)の取得方法ならびに取
得菌の性状について説明する。
【0018】実施例1:SmR 菌 アグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724 株を5ml
のLBMG液体培地(トリプトン:5g、酵母エキス: 2.5
g、塩化ナトリウム:5g、マニトール:5g、グルタ
ミン酸ナトリウム:1.16g、リン酸水素カリウム:0.25
g、硫酸マグネシウム: 0.1g、ビオチン: 0.001g、
水:1l、pH7.0)に接種し、30℃で一晩振盪培養した。
上記LBMG液体培地を1.5%寒天で固化し、ストレプトマ
イシン濃度が 100μg/mlとなるようストレプトマイシン
が添加された固形培地(以下、「Smプレート」と称す
る)上に、得られた培養菌株を滅菌水で1000倍希釈した
ものを塗布接種した。
【0019】このSmプレートを、30℃で2日間培養し、
得られたコロニーをSmR 菌とした。
【0020】本実施例で得られたSmR 菌をAgrobacteriu
m rhizogenes DC-AR1 とした。
【0021】実施例2:KmS 菌 実施例1で得られたSmR 菌(Agrobacterium rhizogenes
DC-AR1)を8mlのLBMG液体培地に接種し、指数増殖期に
至るまで6時間、30℃で振盪培養した。 振盪培養して
得られた菌を、5000回転で10分間遠心し、沈殿を8mlの
LBMG液体培地に懸濁して、再び5000回転で10分間遠心
し、沈殿を8mlのLBMG液体培地に再懸濁した。
【0022】この懸濁液に、2mg/ml のニトロソグアニ
ジン(NTG) が含まれるようにニトロソグアニジンが溶解
されたLBMG液体培地を 0.4ml添加(NTG最終濃度 100μg/
ml)し、30℃で4時間振盪培養した。 振盪培養して得
られた菌を、6000回転で10分間遠心し、沈殿を4mlの0.
85%NaClに懸濁し、その懸濁液 0.1mlを2mlのLBMG液体
培地に加え、一晩30℃で培養した。
【0023】この培養液を滅菌水で希釈し、1プレート
当たり 102個単位でコロニーが出現するようにSmプレー
ト(ストレプトマイシン濃度 100μg/ml)に、前記滅菌
水で希釈した培養液を塗布接種して、2日間30℃で培養
した。
【0024】培養して得られたコロニーを、50μg/mlの
カナマイシンを添加したLBMG固形培地(以下、「Kmプレ
ート」と称する)上にレプリカ・プレーティングし、2
日間30℃で培養した。 そして、Kmプレートで出現しな
かったコロニーをSmプレートから検索し、5枚のSmプレ
ート(約1000コロニー)から該当する二つのコロニーを
選抜した。
【0025】これら選抜されたコロニーをLBMG液体培地
に接種し、30℃で一晩培養後、再度SmプレートとKmプレ
ートに塗布接種し、さらに30℃で一晩培養した。 その
結果、一方のコロニーは、Smプレートで増殖し、Kmプレ
ートでは増殖が完全に抑えられることが確認され、スト
レプトマイシン薬剤耐性とカナマイシン薬剤感受性を兼
ね備えたアグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724
変異株(KmS菌) が取得できたことが判明した。
【0026】本実施例で得られたKmS 菌をAgrobacteriu
m rhizogenes DC-AR2 とした。
【0027】実施例3:CmS 菌 実施例2で得られたKmS 菌(Agrobacterium rhizogenes
DC-AR2)を実施例2で行ったのと全く同じ方法で培養
し、ニトロソグアニジン(NTG) で処理し、Smプレートに
塗布接種して、2日間、30℃で培養した。
【0028】培養して得られたコロニーを、34μg/mlの
クロラムフェニコールを添加したLBMG固形培地(以下、
「Cmプレート」と称する)上にレプリカ・プレーティン
グし、2日間、30℃で培養した。 そして、Cmプレート
で出現しなかったコロニーをSmプレートから検索し、5
枚のSmプレート(約1000コロニー)から該当する二つの
コロニーを選抜した。
【0029】これら選抜されたコロニーをLBMG液体培地
に接種し、30℃で一晩培養後、再度SmプレートとCmプレ
ートに塗布接種し、さらに一晩30℃で培養した。 その
結果、両方のコロニーともSmプレートで増殖し、Cmプレ
ートでは増殖が完全に抑えられることが確認され、スト
レプトマイシン薬剤耐性、カナマイシン薬剤感受性、お
よびクロラムフェニコール薬剤感受性を兼ね備えたアグ
ロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724 変異株(CmS
菌) が取得できたことが判明した。
【0030】本実施例で得られたKmS 菌をAgrobacteriu
m rhizogenes DC-AR3 とした。
【0031】実施例4:KmS 菌の性状 実施例2で取得したKmS 菌(Agrobacterium rhizogenes
DC-AR2)が、アグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1
724 株由来の変異株であるか否かを、毛状根誘発能なら
びに毛状根中でのミキモピン(植物形質転換マーカーと
して利用される非タンパク態アミノ酸誘導体オパインの
一種)生産の有無を調べることによって確認した。
【0032】LBMG液体培地で30℃で一晩培養したKmS 菌
の培養液に、シソ科キランソウ属植物アジュガ・レプタ
ンス・バー・アトロパープレア無菌植物葉片(1cm×1cm)
を浸漬して接種した。 この葉片に 500μg/mlバンコマ
イシンと 500μg/mlカルベニシリンを添加し、0.2%ジェ
ランガムで固化したムラシゲ−スクーグ培地に置床し
て、約2週間暗黒下25℃で培養したところ、葉片から直
接毛状根が出現した。
【0033】この毛状根を切り取って、電気泳動用濾紙
上で摩砕してスポットし、5g/l 炭酸アンモニウム溶液
(pH9.8)を用いて濾紙電気泳動を行った。 電気泳動後
に濾紙を乾燥し、パウリ試薬で呈色反応を行ったとこ
ろ、ミキモピン標準品と同じ位置にピンクのスポットが
認められたので、ミキモピンの存在が確認された。
【0034】これより、実施例2で取得されたKmS 菌
が、アグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724 株由
来の変異株であることが確認されたのである。
【0035】実施例5:CmS 菌の性状 実施例3で取得したCmS 菌(Agrobacterium rhizogenes
DC-AR3)が、アグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1
724 株由来の変異株であるか否かを、同様にして毛状根
誘発能ならびに毛状根中でのミキモピン生産の有無を調
べることによって確認した。
【0036】すなわち、実施例4と全く同じ方法でCmS
菌をアジュガ・レプタンス・バー・アトロパープレア無
菌植物葉片に接種したところ、毛状根が出現し、濾紙電
気泳動によって毛状根中でのミキモピンの存在が確認さ
れたのである。
【0037】これより、実施例3で取得されたCmS 菌
も、アグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724 株由
来の変異株であることが確認されたのである。
【0038】
【発明の効果】本発明によって、野性株と同様の毛状根
誘発能力を有するストレプトマイシン薬剤耐性を備えた
アグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724 変異株(S
mR菌)、およびストレプトマイシン薬剤耐性とカナマイ
シン薬剤感受性を兼ね備えたアグロバクテリウム・リゾ
ゲネスMAFF03-1724 変異株(KmS菌) 、ならびにストレプ
トマイシン薬剤耐性、カナマイシン薬剤感受性、および
クロラムフェニコール薬剤感受性を兼ね備えたアグロバ
クテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724 変異株(CmS菌) が
提供されたのである。
【0039】このような薬剤耐性を有したアグロバクテ
リウム・リゾゲネスMAFF03-1724 変異株、例えば、カナ
マイシン薬剤感受性を有する KmS菌やクロラムフェニコ
ール薬剤感受性を有するCmS 菌の取得により、KmS 菌に
外来のカナマイシン薬剤耐性遺伝子を含むDNA を導入し
たとき、カナマイシン耐性目的菌株の取得が容易にな
り、また、CmS 菌に外来のクロラムフェニコール耐性遺
伝子を含むDNA を導入したとき、クロラムフェニコール
耐性目的菌株の取得が容易になり;さらに、カナマイシ
ン薬剤感受性を有する KmS菌およびクロラムフェニコー
ル薬剤感受性を有するCmS 菌が取得されたことにより、
カナマイシンを細菌の選抜マーカーとする(バイナリー
ベクターpBIN19、pBI101、pBI121などの)植物形質転換
用ベクターならびにクロラムフェニコールを選抜マーカ
ーとする植物形質転換用ベクターの宿主をアグロバクテ
リウム・リゾゲネスMAFF03-1724 株とし、アグロバクテ
リウム・リゾゲネスMAFF03-1724 株が保有する毛状根誘
発プラスミドpRi1724 の病原性領域を利用して、植物に
有用遺伝子を導入する方法、および、アグロバクテリウ
ム・リゾゲネスMAFF03-1724 株の毛状根誘発Riプラスミ
ドpRi1724や染色体DNA を単離し、それらの単離断片を
改変し、カナマイシン耐性遺伝子やクロラムフェニコー
ル耐性遺伝子と結合させ、アグロバクテリウム・リゾゲ
ネスMAFF03-1724 株に導入して、相同組み換えすること
により、アグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724
株の遺伝子レベルでの改良の途をも開くなど優れた効果
が期待される。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ストレプトマイシン薬剤耐性を有するア
    グロバクテリウム・リゾゲネス (Agrobacterium rhizog
    enes) MAFF03-1724 変異株。
  2. 【請求項2】 前記変異株が、Agrobacterium rhizogen
    es DC-AR1 である請求項1に記載の変異株。
  3. 【請求項3】 ストレプトマイシン薬剤耐性とカナマイ
    シン薬剤感受性を有するアグロバクテリウム・リゾゲネ
    ス (Agrobacterium rhizogenes)MAFF03-1724変異株。
  4. 【請求項4】 前記変異株が、Agrobacterium rhizogen
    es DC-AR2 である請求項3に記載の変異株。
  5. 【請求項5】 ストレプトマイシン薬剤耐性、カナマイ
    シン薬剤感受性、およびクロラムフェニコール薬剤感受
    性を有するアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacte
    rium rhizogenes) MAFF03-1724 変異株。
  6. 【請求項6】 前記変異株が、Agrobacterium rhizogen
    es DC-AR3 である請求項5に記載の変異株。
  7. 【請求項7】 アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrob
    acterium rhizogen-es) MAFF03-1724 変異株の製造方法
    であって、下記工程を含む。 すなわち、(a) アグロバ
    クテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724 株を液体培地に接
    種して、培養し、(b) 前記工程(a) で得られた培養菌株
    をストレプトマイシンが添加された培地に接種し、およ
    び(c) 前記ストレプトマイシンが添加された培地で生成
    したコロニーを採取する。
  8. 【請求項8】 下記工程をさらに含む請求項7に記載の
    アグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724 変異株の
    製造方法。 すなわち、(d) 前記工程(c) で採取された
    コロニーを液体培地に接種して、培養し、(e) 前記工程
    (d) で得られた培養菌株を突然変異誘発剤が添加された
    液体培地にて、培養し、(f) 前記工程(e) で得られた培
    養菌株をストレプトマイシンが添加された培地、カナマ
    イシンが添加された培地それぞれに接種して、レプリカ
    培養し、および、(g) 前記カナマイシンが添加された培
    地で生成しなかったコロニーに対応するコロニーを前記
    ストレプトマイシン添加培地から選抜する。
  9. 【請求項9】 下記工程をさらに含む請求項8に記載の
    アグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03-1724 変異株の
    製造方法。 すなわち、(h) 前記工程(g) で採取された
    コロニーを液体培地に接種して、培養し、(i) 前記工程
    (h) で得られた培養菌株を突然変異誘発剤が添加された
    液体培地にて、培養し、(j) 前記工程(i) で得られた培
    養菌株をストレプトマイシンが添加された培地、クロラ
    ムフェニコールが添加された培地それぞれに接種して、
    レプリカ培養し、および 、(k) 前記クロラムフェニコ
    ールが添加された培地で生成しなかったコロニーに対応
    するコロニーを前記ストレプトマイシン添加培地から選
    抜する。
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