JPH05312307A - 触媒燃焼器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は排出窒素酸化物が少なく安全な触媒
燃焼器に関するものであり、燃焼器外から燃焼状態を確
認できるとともに、ガラスに被覆された透明導電性膜が
安全装置とつながっているため、ガラスが破損しても燃
料が室内に流出するのを防ぐことができる安全な触媒燃
焼器を実現することを目的とするものである。 【構成】 燃焼用触媒１６はハニカム型セラミック担体
にアルミナをウオッシュコートした後、ＰｄとＰｔを担
持し、燃料ガスが水平に通過するように設置した。ま
た、燃焼用触媒１６の前面に燃料通路１３をはさんで石
英ガラス１を、透明導電性膜２の形成した面を燃焼器外
に向けて取り付け、ガラス窓１４とした。さらに、透明
導電性膜２の両端を端子取り付け部３、４とし、安全装
置１５と銅線にてつないだ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は暖房に用い、排出窒素酸
化物が少なく、かつ安全な触媒燃焼器に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、暖房に用いる家庭用燃焼器は都市
ガスや灯油等の燃料を火炎燃焼させる方式を主体として
きた。

【０００３】しかしながら、この方式では、１０００℃
以上の高温部が火炎中に発生するため、空気中の窒素や
燃料中に含まれる含窒素有機化合物と、空気中の酸素と
の反応により、窒素酸化物が生成し室内に排出されると
いった問題があった。

【０００４】このため、据置型の燃焼器では排ガスを戸
外に排出するなどの措置が取られているが、一般の家庭
用小型燃焼器では燃焼器を移動させる場合も多く、戸外
に直接排ガスを排出することは困難である。

【０００５】そこで、近年以下のような触媒燃焼器が提
案されている。すなわち、燃焼開始時には燃料供給部か
ら供給される気体燃料もしくは気化させた燃料を、予熱
用バーナで火炎燃焼させ、予熱用バーナ下流の燃焼用触
媒を触媒活性化温度まで加熱する。燃焼用触媒が活性化
温度まで加熱された時点で予熱用バーナを消火し、燃焼
用触媒に直接燃料ガスを供給する。燃焼用触媒は既に活
性化されているため、燃料である炭化水素などを炭酸ガ
スと水などへと酸化分解するとともに、燃焼熱により燃
焼器の置かれている雰囲気中を暖房する。燃焼用触媒で
の触媒燃焼は火炎を形成しないため、火炎燃焼に比べよ
り低温（９００℃以下）で行われる。このため、空気中
の窒素や燃料中に含まれる含窒素有機化合物と、空気中
の酸素との反応により生成する窒素酸化物が、火炎燃焼
に比べ大きく低減されるというものである。

【０００６】また、燃焼用触媒において燃焼された後、
排ガスを排ガス浄化用触媒にて浄化する方法もある。こ
の方法により、燃焼用触媒を未燃のまま通過した燃料
や、燃焼用触媒により完全に分解されなかった中間生成
物を浄化し、室内に臭気を漏らさないようになる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記のような触媒燃焼
器において、燃焼用触媒の周りの壁の少なくとも一部ガ
ラス壁で覆われていることにより、燃焼用触媒の燃焼状
態を様々な角度から確認することができる。また、燃焼
により赤く光る触媒により、暖かい印象を使用者に与え
ることができる。

【０００８】しかしガラスが破損した場合、未燃ガスが
室内に排出されることになり、火事や爆発の危険性があ
る。また、燃焼用触媒から排出される有臭ガスが、排ガ
ス浄化用触媒を通らず室内に排出されることになる。

【０００９】本発明は上記課題を解決するもので、安全
で快適な触媒燃焼器を提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、触媒燃焼器の燃焼用触媒の周りの少なくと
も一部をガラスで覆い、かつ前記ガラス壁に透明導電性
膜が被覆し、前記透明導電性膜に連動している安全装置
を用いる構成である。

【００１１】

【作用】本発明は上記した構成により、燃焼器外から燃
焼状態が確認でき、故障等を確認できるとともに、燃焼
により赤く光る触媒により、暖かい印象を使用者に与え
ることができる。

【００１２】また、ガラスに透明導電性膜が被覆されて
いるためガラスの破損により透明導電性膜が断線された
場合、安全装置がこれを検知し燃料の供給を停止する等
の安全装置が働く。このため、仮にガラス壁が破損して
も未燃ガスが室内に排出されることがなく、火事や爆発
を未然に防ぐことができるものである。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照しながら説
明する。

【００１４】（実施例１）縦２０mm、横１５mm、厚さ１
mmの石英ガラス１に、酸化インジウムと酸化スズを主成
分とする透明導電性膜２を形成させた。なお、透明導電
性膜２は、幅１ｍｍの１本の線状の膜が石英ガラス１の
片面を均一に覆うよう形成させた。（図１ーａ）にその
概略を示す。

【００１５】一方、灯油を燃料とする触媒燃焼器を作成
した。この触媒燃焼器は、燃料タンク５、気化室７、送
風機９、予熱用バーナ炎口部１１、ガラス窓１４、燃焼
用触媒１６、排気口１７などからなる。燃焼用触媒１６
は、縦２０mm、横１５mm、厚さ１５mmのハニカム型セラ
ミック担体にアルミナをウオッシュコートした後、Ｐｄ
とＰｔを担持し、燃料ガスが水平に通過するように設置
した。また、燃焼用触媒１６の前面に燃料通路１３をは
さんで（図１ーａ）の石英ガラス１を、透明導電性膜２
の形成した面を燃焼器外に向けて取り付け、ガラス窓１
４とした。さらに、透明導電性膜２の両端を端子取り付
け部３、４とし、安全装置１５と銅線にてつないだ。
（図１ーｂ）にその構成を示す。

【００１６】本触媒燃焼器のスイッチを入れると、燃料
タンク５から燃料供給管６を通り、気化室７にてヒータ
８により気化され、送風機９から一次空気管１０を通っ
て供給された一次空気と共に予熱用バーナ炎口部１１に
送られる。燃焼開始時には、予熱用バーナ１１が着火さ
れ火炎燃焼により、送風機９から二次空気管１２を通っ
た空気と共に、燃焼用触媒１６を加熱する。燃焼用触媒
１６が触媒活性化温度まで加熱された時点で、予熱用バ
ーナ１１を消火し燃焼用触媒１６に直接燃料ガスを送
り、触媒燃焼による暖房を行う。排ガスは排気口１７か
ら排出される。また、燃焼器使用中は、燃焼機内に別に
設けた安全装置１５からガラス窓１４に被覆された透明
導電性膜２に通電され、ガラス窓１４の破損により透明
導電性膜２が断線された場合、通電が停止され安全装置
１５はこれを検知し燃料の供給を停止する。

【００１７】（実施例２）実施例１と同様に透明導電性
膜１９を形成させた石英ガラス１８を作成した。作成し
た透明導電性膜１９を被覆した石英ガラス１８を（図２
ーａ）に示す。

【００１８】また、実施例１で作成した触媒燃焼器にお
いて、燃焼用触媒３２の下流に、ガラス窓３４取り付け
部を設け、先に作成した（図２ーａ）の石英ガラス１８
を透明導電性膜１９が形成されている面を燃焼器外に向
けて取り付け、ガラス窓３４とした。さらに、この石英
ガラス１８の透明導電性膜１９の両端の端子取り付け部
２０、２１を銅線にて安全装置３５とつないだ。また、
ハニカム型セラミック担体にアルミナをウオッシュコー
トしてＰｔを担持した排ガス浄化用触媒３６を作成し、
排気口に取り付けた。（図２ーｂ）にその概略図を示
す。

【００１９】本触媒燃焼器では、未燃のまま燃焼用触媒
３２を通過した燃料や完全に分解されなかった中間生成
物を、未浄化の排ガスにより十分加熱され活性化された
排ガス浄化触媒３６により分解することができる。ま
た、燃焼用触媒３２と排ガス浄化用触媒３６の間の通路
がガラス窓３４で覆われているため、燃焼用触媒３２の
燃焼状態を様々な角度から確認することができる。さら
に、燃焼器使用中は燃焼用触媒３６背面の石英ガラス窓
３４に被覆された透明導電性膜１９に、安全装置３５か
ら通電が行われ、ガラス窓３４の破損により透明導電性
膜１９が断線された場合安全装置３５はこれを検知し燃
料の供給を停止する。このため、燃焼用触媒３２から排
出される臭気を含んだガスが、室内に排出されることは
ない。

【００２０】以上の例では、燃料ガスが水平に流れるよ
う燃焼用触媒を設置した燃焼器について述べたが、燃焼
用触媒、排ガス浄化用触媒とも下から上に燃料ガスおよ
び未浄化排ガスが通過するよう設計した触媒燃焼器に適
用しても構わない。この場合には、燃焼用触媒と排ガス
浄化用触媒の間にガラス窓を設けることができるため、
燃焼用触媒の燃焼状態を上方から確認することができ
る。

【００２１】なお、透明導電性膜は、酸化スズ、酸化イ
ンジウムなど種々の材料を用いることができる。また、
透明導電性膜の形状は、直線、らせん状などガラス壁の
形状に合わせ、種々の形状を用いることができる。

【００２２】また、透明導電性膜は種々の方法にて形成
することができる。例えば、スプレ−法、ディップ法、
化学蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法等がある。

【００２３】触媒の形状は、ハニカム型、ペレットなど
種々の形状を用いることができるが、ハニカム型が流路
抵抗が少なく望ましい。

【００２４】また、本発明で用いられる触媒は、貴金属
触媒、ペロブスカイト型触媒、ヘキサアルミネート触
媒、二酸化マンガン触媒など種々の触媒を用いることが
できる。この中で、燃焼用触媒は耐熱性が高く耐被毒性
が強いＰｄを主成分とした貴金属触媒が望ましく、排ガ
ス浄化用触媒は高温にさらされることが少ないため低温
から活性である触媒が望ましい。

【００２５】

【発明の効果】以上の説明から明かなように、本発明に
よれば内部の視認性を悪くすることなくガラス部に透明
導電性膜を配し、これと連動する安全装置を用いること
により、安全で信頼性のある触媒燃焼器を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の触媒燃焼器を示す図 （ａ）はガラス部の構成図 （ｂ）は断面図

【図２】本発明の他の実施例の触媒燃焼器を示す図 （ａ）はガラス部の構成図 （ｂ）は断面図

【符号の説明】

１ 石英ガラス ２ 透明導電性膜 ３ 端子取り付け部 ４ 端子取り付け部 ５ 燃料タンク ６ 燃料供給管 ７ 気化室 ８ ヒータ ９ 送風機 １０ 一次空気管 １１ 予熱用バーナ炎口部 １２ 二次空気管 １３ 燃料通路 １４ ガラス窓 １５ 安全装置 １６ 燃焼用触媒 １７ 排気口 １８ 石英ガラス １９ 透明導電性膜 ２０ 端子取り付け部 ２１ 端子取り付け部 ２２ 燃料タンク ２３ 燃料供給管 ２４ 気化室 ２５ ヒータ ２６ 送風機 ２７ 一次空気管 ２８ 予熱用バーナ炎口部 ２９ 二次空気管 ３０ 燃料通路 ３１ ガラス窓 ３２ 燃焼用触媒 ３３ 未浄化の排ガス通路 ３４ ガラス窓 ３５ 安全装置 ３６ 排ガス浄化用触媒

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ２４Ｃ 5/00 Ｎ 6909−3Ｌ (72)発明者 山出 恭枝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】気体燃料もしくは気化させた燃料を燃焼さ
   せる燃焼用触媒を用い、前記燃焼用触媒を囲む匡体の少
   なくとも一部がガラスであり、前記ガラスを透明導電性
   膜で被覆し、前記透明導電性膜に連動する安全装置を有
   することを特徴とする触媒燃焼器。