JPH0531166A - 生体活性複合インプラント材 - Google Patents
生体活性複合インプラント材Info
- Publication number
- JPH0531166A JPH0531166A JP3209835A JP20983591A JPH0531166A JP H0531166 A JPH0531166 A JP H0531166A JP 3209835 A JP3209835 A JP 3209835A JP 20983591 A JP20983591 A JP 20983591A JP H0531166 A JPH0531166 A JP H0531166A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- surface layer
- implant material
- mgo
- porous
- glass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Materials For Medical Uses (AREA)
- Prostheses (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 緻密質部分と多孔質部分からなるインプラン
ト材であって、多孔質部分の破壊や剥離が起こり難く、
しかも生体活性に優れており、自然骨と強固に結合する
ことが可能な生体活性複合インプラント材を得る。 【構成】 緻密な構造を有する基体部の表面に、生体活
性結晶化ガラスよりなる中間層を介して、多孔質の表層
部が融着されてなる。該表層部は、重量百分率でSiO
2 40〜60%、CaO 30〜45%、MgO 1〜
17%、(ただしSiO2 +CaO+MgO≧90%)
の組成を有し、ウオラストナイト及びジオプサイドが析
出した結晶化ガラスからなり、且つ、平均孔径が20〜
2000μm、気孔率が40〜95体積%であり、三次
元的に連通した気孔構造を有する。
ト材であって、多孔質部分の破壊や剥離が起こり難く、
しかも生体活性に優れており、自然骨と強固に結合する
ことが可能な生体活性複合インプラント材を得る。 【構成】 緻密な構造を有する基体部の表面に、生体活
性結晶化ガラスよりなる中間層を介して、多孔質の表層
部が融着されてなる。該表層部は、重量百分率でSiO
2 40〜60%、CaO 30〜45%、MgO 1〜
17%、(ただしSiO2 +CaO+MgO≧90%)
の組成を有し、ウオラストナイト及びジオプサイドが析
出した結晶化ガラスからなり、且つ、平均孔径が20〜
2000μm、気孔率が40〜95体積%であり、三次
元的に連通した気孔構造を有する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体活性を有し、骨補
填材として有用なインプラント材に関するものである。
填材として有用なインプラント材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、欠損した骨の補填には、患者本人
の正常部位から採取した自家骨が用いられていたが、こ
の方法では、損傷箇所以外の骨組織を切除するため患者
の苦痛が大きいこと、その手術を行うに当たって多大な
労力を要すること、また自家骨の採取量に限界があるこ
と等の問題を有している。このような事情から、自家骨
の代わりに人工的に作製したインプラント材を使用する
ことが試みられている。
の正常部位から採取した自家骨が用いられていたが、こ
の方法では、損傷箇所以外の骨組織を切除するため患者
の苦痛が大きいこと、その手術を行うに当たって多大な
労力を要すること、また自家骨の採取量に限界があるこ
と等の問題を有している。このような事情から、自家骨
の代わりに人工的に作製したインプラント材を使用する
ことが試みられている。
【0003】インプラント材の中で近年注目を集めてい
るものに、中心部が強度の高い緻密質で、表面部が体液
の流通が良く、新生骨が増生侵入しやすい多孔質の構造
を有するインプラント材がある。例えば特公昭62−3
121号に、リン酸カルシウム焼結体よりなる多孔質の
管状体が、接着剤によって金属製の基体部に接着されて
なるインプラント材が開示されている。
るものに、中心部が強度の高い緻密質で、表面部が体液
の流通が良く、新生骨が増生侵入しやすい多孔質の構造
を有するインプラント材がある。例えば特公昭62−3
121号に、リン酸カルシウム焼結体よりなる多孔質の
管状体が、接着剤によって金属製の基体部に接着されて
なるインプラント材が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
公昭62−3121号に開示のインプラント材は、管状
体に用いられているリン酸カルシウム焼結体の強度が低
いため、この部分において材料の破壊が起こり易い。ま
た接着剤として使用する合成樹脂の劣化によって、管状
体が基体部からはずれることがある。しかも合成樹脂が
リン酸カルシウム焼結体の生体活性を阻害するため、自
然骨と強固に結合し難いという問題を有している。
公昭62−3121号に開示のインプラント材は、管状
体に用いられているリン酸カルシウム焼結体の強度が低
いため、この部分において材料の破壊が起こり易い。ま
た接着剤として使用する合成樹脂の劣化によって、管状
体が基体部からはずれることがある。しかも合成樹脂が
リン酸カルシウム焼結体の生体活性を阻害するため、自
然骨と強固に結合し難いという問題を有している。
【0005】本発明の目的は、多孔質部分の破壊や剥離
が起こり難く、しかも生体活性に優れており、自然骨と
強固に結合することが可能な生体活性複合インプラント
材を提供することである。
が起こり難く、しかも生体活性に優れており、自然骨と
強固に結合することが可能な生体活性複合インプラント
材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の生体活性複合イ
ンプラント材は、緻密な構造を有する基体部の表面の少
なくとも一部に多孔質の表層部が融着されてなり、該表
層部は、重量百分率でSiO2 40〜60%、CaO
30〜45%、MgO 1〜17%、(ただしSiO2
+CaO+MgO≧90%)の組成を有し、ウオラスト
ナイトが析出した結晶化ガラスからなり、且つ、平均孔
径が20〜2000μm、気孔率が40〜95体積%で
あることを特徴とする。
ンプラント材は、緻密な構造を有する基体部の表面の少
なくとも一部に多孔質の表層部が融着されてなり、該表
層部は、重量百分率でSiO2 40〜60%、CaO
30〜45%、MgO 1〜17%、(ただしSiO2
+CaO+MgO≧90%)の組成を有し、ウオラスト
ナイトが析出した結晶化ガラスからなり、且つ、平均孔
径が20〜2000μm、気孔率が40〜95体積%で
あることを特徴とする。
【0007】また本発明の生体活性複合インプラント材
は、緻密な構造を有する基体部の表面の少なくとも一部
に、生体活性ガラス又は生体活性結晶化ガラスよりなる
中間層を介して、多孔質の表層部が融着されてなり、該
表層部は、重量百分率でSiO2 40〜60%、CaO
30〜45%、MgO 1〜17%、(ただしSiO
2 +CaO+MgO≧90%)の組成を有し、ウオラス
トナイトが析出した結晶化ガラスからなり、且つ、平均
孔径が20〜2000μm、気孔率が40〜95体積%
であることを特徴とする。
は、緻密な構造を有する基体部の表面の少なくとも一部
に、生体活性ガラス又は生体活性結晶化ガラスよりなる
中間層を介して、多孔質の表層部が融着されてなり、該
表層部は、重量百分率でSiO2 40〜60%、CaO
30〜45%、MgO 1〜17%、(ただしSiO
2 +CaO+MgO≧90%)の組成を有し、ウオラス
トナイトが析出した結晶化ガラスからなり、且つ、平均
孔径が20〜2000μm、気孔率が40〜95体積%
であることを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明の生体活性複合インプラント材は、表層
部に用いるSiO2 −CaO−MgO系結晶化ガラスが
高い機械的強度を有するために、表層部の破壊が起こり
難い。また、外部からの応力によって多孔質の表層部の
表面に生じたクラックが内部へ向かって伝播しても、緻
密な構造を有する基体部の表面まで達すると、そこでク
ラックの伝播が止まる。それゆえ材料自体の破壊も起こ
り難い。さらに表層部は生体活性を有するため、生じた
クラックは新たな生体活性面となる。その結果、クラッ
クは自己修復され、インプラント材の強度は保たれる。
部に用いるSiO2 −CaO−MgO系結晶化ガラスが
高い機械的強度を有するために、表層部の破壊が起こり
難い。また、外部からの応力によって多孔質の表層部の
表面に生じたクラックが内部へ向かって伝播しても、緻
密な構造を有する基体部の表面まで達すると、そこでク
ラックの伝播が止まる。それゆえ材料自体の破壊も起こ
り難い。さらに表層部は生体活性を有するため、生じた
クラックは新たな生体活性面となる。その結果、クラッ
クは自己修復され、インプラント材の強度は保たれる。
【0009】また本発明の生体活性複合インプラント材
は、表層部が融着によって基体部に結合しているため
に、接着剤による生体活性の阻害や接着部分の劣化によ
る基体部との結合力の低下が生じない。
は、表層部が融着によって基体部に結合しているため
に、接着剤による生体活性の阻害や接着部分の劣化によ
る基体部との結合力の低下が生じない。
【0010】本発明の生体活性複合インプラント材にお
いて、表層部に用いる結晶化ガラスは、機械的強度の高
いウオラストナイト(CaO・SiO2 )を主結晶とし
て析出する。なお他結晶としてジオプサイド(CaO・
MgO・2SiO2 )を析出させることにより、結晶化
ガラスの機械的強度をさらに高めることが可能である。
また主結晶であるウオラストナイトは体液によく溶解す
るため、インプラント材表面近傍にはCa2+イオン濃度
の高い層が形成される。その結果、Ca2+イオンと体液
中のHPO4 2- イオンやPO4 3- イオンが結合して、イ
ンプラント材表面にアパタイトの結晶層が形成される結
果、自然骨と結合し易くなる。
いて、表層部に用いる結晶化ガラスは、機械的強度の高
いウオラストナイト(CaO・SiO2 )を主結晶とし
て析出する。なお他結晶としてジオプサイド(CaO・
MgO・2SiO2 )を析出させることにより、結晶化
ガラスの機械的強度をさらに高めることが可能である。
また主結晶であるウオラストナイトは体液によく溶解す
るため、インプラント材表面近傍にはCa2+イオン濃度
の高い層が形成される。その結果、Ca2+イオンと体液
中のHPO4 2- イオンやPO4 3- イオンが結合して、イ
ンプラント材表面にアパタイトの結晶層が形成される結
果、自然骨と結合し易くなる。
【0011】次に、表層部に用いる結晶化ガラスの組成
を上記のように限定した理由を以下に述べる。
を上記のように限定した理由を以下に述べる。
【0012】SiO2 が40%より少ないと失透性が高
くなってガラスの溶解、成形が困難になると同時に、ウ
オラストナイトの析出量が少なくなるため、機械的強度
や生体活性が低下する。一方60%より多いとガラス融
液の粘度が高くなり、溶解し難くなる。
くなってガラスの溶解、成形が困難になると同時に、ウ
オラストナイトの析出量が少なくなるため、機械的強度
や生体活性が低下する。一方60%より多いとガラス融
液の粘度が高くなり、溶解し難くなる。
【0013】CaOが30%より少ないとガラスが少量
のウオラストナイトしか析出せず、45%より多いと失
透性が高くなり、融液のガラス化が困難になる。
のウオラストナイトしか析出せず、45%より多いと失
透性が高くなり、融液のガラス化が困難になる。
【0014】MgOが1%より少ないと溶融ガラスの粘
度が高くなり、均一に溶解することが困難になり、17
%より多いと失透性が高くなり、融液のガラス化が困難
になる。
度が高くなり、均一に溶解することが困難になり、17
%より多いと失透性が高くなり、融液のガラス化が困難
になる。
【0015】なお上記以外にも、他成分としてB2 O
3 、Al2 O3 、Na2 O、K2 O、Li2 O、Ba
O、SrO、ZnO、TiO2 、Nb2 O3 、Ta2 O
5 、CaF2 の何れか1種又は2種以上を10%未満含
有することが可能である。ただしこれらの他成分が10
%以上になると、析出結晶の結晶量や種類が変化した
り、機械的強度が低下するため好ましくない。
3 、Al2 O3 、Na2 O、K2 O、Li2 O、Ba
O、SrO、ZnO、TiO2 、Nb2 O3 、Ta2 O
5 、CaF2 の何れか1種又は2種以上を10%未満含
有することが可能である。ただしこれらの他成分が10
%以上になると、析出結晶の結晶量や種類が変化した
り、機械的強度が低下するため好ましくない。
【0016】また本発明において、表層部は体液の流通
が良く、新生骨の増生侵入が容易な多孔質体であり、そ
の平均孔径は20〜2000μm、好ましくは50〜1
000μm、気孔率は40〜95体積%、好ましくは5
0〜90体積%である。平均孔径が20μmより小さい
と新生骨が侵入できず、2000μmより大きいと十分
な機械的強度が得られない。気孔率が40%より少ない
と十分な量の新生骨が侵入できず、また独立気孔を含み
やすくなり、95%より大きいと十分な機械的強度が得
られない。なお表層部として使用する多孔質体は、気孔
の分布が均一であり、独立気孔を含まないものであるこ
とが好ましく、特に三次元的に連通した気孔構造を有し
ていることが望ましい。
が良く、新生骨の増生侵入が容易な多孔質体であり、そ
の平均孔径は20〜2000μm、好ましくは50〜1
000μm、気孔率は40〜95体積%、好ましくは5
0〜90体積%である。平均孔径が20μmより小さい
と新生骨が侵入できず、2000μmより大きいと十分
な機械的強度が得られない。気孔率が40%より少ない
と十分な量の新生骨が侵入できず、また独立気孔を含み
やすくなり、95%より大きいと十分な機械的強度が得
られない。なお表層部として使用する多孔質体は、気孔
の分布が均一であり、独立気孔を含まないものであるこ
とが好ましく、特に三次元的に連通した気孔構造を有し
ていることが望ましい。
【0017】本発明の生体活性複合インプラント材にお
いて、緻密な構造を有する基体部には強度の高い材料、
例えば結晶化ガラス、セラミックス、あるいは金属を使
用することができる。
いて、緻密な構造を有する基体部には強度の高い材料、
例えば結晶化ガラス、セラミックス、あるいは金属を使
用することができる。
【0018】結晶化ガラスとしては、生体為害性のない
ものであれば使用することが可能であるが、特に前記し
たようなSiO2 −CaO−MgO系結晶化ガラスが、
強度が高く、しかも生体親和性や生体活性に優れている
ため好ましい。
ものであれば使用することが可能であるが、特に前記し
たようなSiO2 −CaO−MgO系結晶化ガラスが、
強度が高く、しかも生体親和性や生体活性に優れている
ため好ましい。
【0019】セラミックスとしては、アルミナ、ジルコ
ニア、チッ化珪素、炭化珪素から選ばれる1種又は2種
以上からなる焼結体が高強度で、しかも生体為害性がな
いため好ましい。
ニア、チッ化珪素、炭化珪素から選ばれる1種又は2種
以上からなる焼結体が高強度で、しかも生体為害性がな
いため好ましい。
【0020】金属としては、チタン又はチタン合金が高
強度で、しかも生体為害性がないため好ましい。
強度で、しかも生体為害性がないため好ましい。
【0021】また本発明において、基体部と表層部とを
より強固に結合させるために、必要に応じて生体活性ガ
ラス又は生体活性結晶化ガラスよりなる中間層を介在さ
せることができる。中間層としては、流動性が良く、生
体活性を有するガラス又は結晶化ガラス、例えばバイオ
ガラスやリン酸カルシウム系結晶化ガラス等を使用する
ことが可能であるが、特に先記したようなSiO2 −C
aO−MgO系結晶化ガラスを用いることが好ましい。
より強固に結合させるために、必要に応じて生体活性ガ
ラス又は生体活性結晶化ガラスよりなる中間層を介在さ
せることができる。中間層としては、流動性が良く、生
体活性を有するガラス又は結晶化ガラス、例えばバイオ
ガラスやリン酸カルシウム系結晶化ガラス等を使用する
ことが可能であるが、特に先記したようなSiO2 −C
aO−MgO系結晶化ガラスを用いることが好ましい。
【0022】次に、本発明の生体活性複合インプラント
材の製造方法を説明する。
材の製造方法を説明する。
【0023】まず、基体部と表層部とからなる生体活性
複合インプラント材を製造するには、例えば所定形状に
成形した緻密な基体部と、生体活性を有する多孔質の結
晶性ガラスよりなる表層部を用意し、次いで両者を接触
させた状態で加熱し、該表層部を軟化させて基体部と融
着一体化させるとともに、該表層部を結晶化させる方法
がある。
複合インプラント材を製造するには、例えば所定形状に
成形した緻密な基体部と、生体活性を有する多孔質の結
晶性ガラスよりなる表層部を用意し、次いで両者を接触
させた状態で加熱し、該表層部を軟化させて基体部と融
着一体化させるとともに、該表層部を結晶化させる方法
がある。
【0024】また、中間層を有する生体活性複合インプ
ラント材を製造するには、基体部の表面に、流動性がよ
く、生体活性を有するガラス粉末をスラリー状にして塗
付し、該スラリー上に表層部を接触させて加熱する。こ
の場合、結晶性ガラスよりなる多孔質の表層部を、予め
結晶化させてから使用してもよい。なおスラリーに使用
するガラス粉末は、表層部に用いる結晶性ガラス(ある
いは結晶化ガラス)と同一組成であることが好ましい。
ラント材を製造するには、基体部の表面に、流動性がよ
く、生体活性を有するガラス粉末をスラリー状にして塗
付し、該スラリー上に表層部を接触させて加熱する。こ
の場合、結晶性ガラスよりなる多孔質の表層部を、予め
結晶化させてから使用してもよい。なおスラリーに使用
するガラス粉末は、表層部に用いる結晶性ガラス(ある
いは結晶化ガラス)と同一組成であることが好ましい。
【0025】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明の
生体活性複合インプラント材を説明する。
生体活性複合インプラント材を説明する。
【0026】(実施例1)表1は基体部と表層部とが直
接融着されてなる実施例(試料No. 1〜3)を示すもの
である。
接融着されてなる実施例(試料No. 1〜3)を示すもの
である。
【0027】
【表1】
【0028】各試料は以下のようにして作製した。
【0029】まず、表中の組成になるようにガラス原料
を調合し、白金坩堝にいれて1400〜1600℃で3
時間溶融した後、ロール成形した。次いでこの成形物を
ボールミルにて粉砕した後、200メッシュの篩で分級
してガラス粉末を得た。このガラス粉末100重量%に
対して、水60%、ポリビニルアルコール(PVA)3
%を混合してスラリーとし、このスラリーを気孔径の異
なる円筒形のウレタンフォームに適当量含浸させ、乾燥
させて、表層部となる乾燥物を得た。
を調合し、白金坩堝にいれて1400〜1600℃で3
時間溶融した後、ロール成形した。次いでこの成形物を
ボールミルにて粉砕した後、200メッシュの篩で分級
してガラス粉末を得た。このガラス粉末100重量%に
対して、水60%、ポリビニルアルコール(PVA)3
%を混合してスラリーとし、このスラリーを気孔径の異
なる円筒形のウレタンフォームに適当量含浸させ、乾燥
させて、表層部となる乾燥物を得た。
【0030】また上記と同様にして、表中の組成になる
ようにして調製したガラス粉末を9φ×39mmの大き
さに加圧成形し、次いでこの成形体を1時間に30〜3
00℃の速度で昇温し、1000〜1200℃で4時間
焼成することにより、該成形体を焼結、結晶化させ、7
φ×30mmの円柱形の基体部を得た。なお基体部はウ
オラストナイト、及びジオプサイドを析出していた。
ようにして調製したガラス粉末を9φ×39mmの大き
さに加圧成形し、次いでこの成形体を1時間に30〜3
00℃の速度で昇温し、1000〜1200℃で4時間
焼成することにより、該成形体を焼結、結晶化させ、7
φ×30mmの円柱形の基体部を得た。なお基体部はウ
オラストナイト、及びジオプサイドを析出していた。
【0031】次に、表層部となる乾燥物の中空部分に基
体部を挿入した後、1時間に30〜300℃の速度で昇
温し、1000〜1200℃で4時間焼成することによ
り、PVA及びウレタンフォームを焼失させ、またガラ
ス粉末を焼結、結晶化させて多孔質の表層部を形成させ
るとともに、該表層部を基体部に融着一体化させた。こ
のようにして平均孔径が100〜300μm、気孔率が
65〜80%の表層部を有する試料を得た。なお表層部
は、三次元的に連通した気孔構造を有しており、またそ
の析出結晶は基体部と同様、ウオラストナイト及びジオ
プサイドであった。
体部を挿入した後、1時間に30〜300℃の速度で昇
温し、1000〜1200℃で4時間焼成することによ
り、PVA及びウレタンフォームを焼失させ、またガラ
ス粉末を焼結、結晶化させて多孔質の表層部を形成させ
るとともに、該表層部を基体部に融着一体化させた。こ
のようにして平均孔径が100〜300μm、気孔率が
65〜80%の表層部を有する試料を得た。なお表層部
は、三次元的に連通した気孔構造を有しており、またそ
の析出結晶は基体部と同様、ウオラストナイト及びジオ
プサイドであった。
【0032】このようにして得られた試料を、ビーグル
犬の大腿骨に人工的に作製した欠損部に埋入し、8週間
後及び24週間後に取り出して、自然骨との引き剥がし
強度を測定したところ、表から明らかなように、8週間
後の引き剥がし強度が8.1〜8.6kg、24週間後
のそれが9.9〜10.2kgであった。また破壊はす
べて自然骨内部で起こっていた。
犬の大腿骨に人工的に作製した欠損部に埋入し、8週間
後及び24週間後に取り出して、自然骨との引き剥がし
強度を測定したところ、表から明らかなように、8週間
後の引き剥がし強度が8.1〜8.6kg、24週間後
のそれが9.9〜10.2kgであった。また破壊はす
べて自然骨内部で起こっていた。
【0033】(実施例2)表2は、基体部と表層部とが
中間層を介して融着してなる実施例(試料No. 4〜7)
を示すものである。
中間層を介して融着してなる実施例(試料No. 4〜7)
を示すものである。
【0034】
【表2】
【0035】各試料は以下のようにして調製した。
【0036】まず実施例1と同様にして、表中の組成に
なるように調製したガラス粉末をPVA及び水と混合し
てスラリーとし、ウレタンフォームに含浸させ、乾燥さ
せた。次いでこれらの乾燥物を1時間に30〜300℃
の速度で昇温し、1000〜1200℃で4時間焼成す
ることにより、PVA及びウレタンフォームを焼失させ
るとともに、ガラス粉末を焼結、結晶化させて、平均孔
径200〜1000μm、気孔率50〜70%の三次元
的に連通した気孔構造を有する多孔質体を得た。なおす
べての多孔質体において、析出結晶はウオラストナイト
及びジオプサイドであった。その後、これらの多孔質体
を外径10φmm、内径7φmm、長さ30mmの円筒
形になるように加工して表層部を作製した。
なるように調製したガラス粉末をPVA及び水と混合し
てスラリーとし、ウレタンフォームに含浸させ、乾燥さ
せた。次いでこれらの乾燥物を1時間に30〜300℃
の速度で昇温し、1000〜1200℃で4時間焼成す
ることにより、PVA及びウレタンフォームを焼失させ
るとともに、ガラス粉末を焼結、結晶化させて、平均孔
径200〜1000μm、気孔率50〜70%の三次元
的に連通した気孔構造を有する多孔質体を得た。なおす
べての多孔質体において、析出結晶はウオラストナイト
及びジオプサイドであった。その後、これらの多孔質体
を外径10φmm、内径7φmm、長さ30mmの円筒
形になるように加工して表層部を作製した。
【0037】またチタン合金、及びジルコニア、アルミ
ナ、炭化珪素の焼結体を用意し、それぞれ外径7φm
m、長さ30mmの円柱形になるように加工して基体部
を得た。
ナ、炭化珪素の焼結体を用意し、それぞれ外径7φm
m、長さ30mmの円柱形になるように加工して基体部
を得た。
【0038】さらに表層部の作製に用いたのと同じ組成
を有するガラス粉末を用意し、水及びPVAと混合して
スラリーを作製した。
を有するガラス粉末を用意し、水及びPVAと混合して
スラリーを作製した。
【0039】次に基体部の表面にスラリーを塗付し、表
層部の中空部分に挿入した後、1時間に30〜300℃
の速度で昇温し、1000〜1200℃で4時間焼成す
ることにより、ガラス粉末を軟化させて基体部と表層部
とを融着一体化させるとともに、該ガラス粉末を結晶化
させた。このようにして平均孔径が200〜1000μ
m、気孔率が50〜70%の表層部と、中間層を有する
試料を得た。
層部の中空部分に挿入した後、1時間に30〜300℃
の速度で昇温し、1000〜1200℃で4時間焼成す
ることにより、ガラス粉末を軟化させて基体部と表層部
とを融着一体化させるとともに、該ガラス粉末を結晶化
させた。このようにして平均孔径が200〜1000μ
m、気孔率が50〜70%の表層部と、中間層を有する
試料を得た。
【0040】これらの試料について、実施例1と同様に
して骨との引き剥がし強度を測定したところ、8週間後
の引き剥がし強度が7.8〜8.5kg、24週間後の
それが9.0〜10.0kgであった。また破壊はすべ
て自然骨内部で起こっていた。
して骨との引き剥がし強度を測定したところ、8週間後
の引き剥がし強度が7.8〜8.5kg、24週間後の
それが9.0〜10.0kgであった。また破壊はすべ
て自然骨内部で起こっていた。
【0041】(比較例)比較例の試料は次のようにして
作製した。
作製した。
【0042】重量%でCaO 44.5%、P2 O5 5
5.5%の組成になるように原料を混合し、1300℃
で2時間焼成することによってリン酸カルシウム焼結体
を得た。この焼結体をボールミルにて粉砕し、200メ
ッシュの篩を通過させて平均粒径5μmの粉末とした。
さらにこの粉末100重量%に対して、水60%、PV
A1%を混合してスラリーとし、ウレタンフォームに含
浸させ、乾燥させた。次いでこの乾燥物を1時間に30
0℃の速度で昇温し、1300℃で4時間焼成すること
により、平均孔径200μm、気孔率70%の三次元的
に連通した気孔構造を有する多孔質体を得た。その後こ
の多孔質体を加工して、外径10φmm、内径7φm
m、長さ30mmの大きさの円筒形の表層部を得た。
5.5%の組成になるように原料を混合し、1300℃
で2時間焼成することによってリン酸カルシウム焼結体
を得た。この焼結体をボールミルにて粉砕し、200メ
ッシュの篩を通過させて平均粒径5μmの粉末とした。
さらにこの粉末100重量%に対して、水60%、PV
A1%を混合してスラリーとし、ウレタンフォームに含
浸させ、乾燥させた。次いでこの乾燥物を1時間に30
0℃の速度で昇温し、1300℃で4時間焼成すること
により、平均孔径200μm、気孔率70%の三次元的
に連通した気孔構造を有する多孔質体を得た。その後こ
の多孔質体を加工して、外径10φmm、内径7φm
m、長さ30mmの大きさの円筒形の表層部を得た。
【0043】次に、予め7φ×30mmの大きさに加工
したチタン合金製の基体部の表面にエポキシ樹脂を塗布
し、表層部の中空部分に挿入することによって試料を得
た。
したチタン合金製の基体部の表面にエポキシ樹脂を塗布
し、表層部の中空部分に挿入することによって試料を得
た。
【0044】このようにして得られた試料について、実
施例と同様にしてビーグル犬の大腿骨に埋入した後、骨
との引き剥がし強度を測定したところ、8週間後の引き
剥がし強度が3.3kgであり、また24週間後のそれ
は4.9kgであった。これらの値は、表層部の平均孔
径及び気孔率、並びに基体部の材質が同一である実施例
の試料No. 4と比較すると、8週間後において5.2k
g、24週間後において5.1kgも低い値であった。
なお、破壊は表層部と自然骨との界面で起こっていた。
施例と同様にしてビーグル犬の大腿骨に埋入した後、骨
との引き剥がし強度を測定したところ、8週間後の引き
剥がし強度が3.3kgであり、また24週間後のそれ
は4.9kgであった。これらの値は、表層部の平均孔
径及び気孔率、並びに基体部の材質が同一である実施例
の試料No. 4と比較すると、8週間後において5.2k
g、24週間後において5.1kgも低い値であった。
なお、破壊は表層部と自然骨との界面で起こっていた。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の生体活性
複合インプラント材は、表層部の破壊や剥離が起こり難
く、しかも生体活性に優れているために、自然骨と強固
に結合することが可能であり、骨欠損部等に使用するイ
ンプラント材として好適である。
複合インプラント材は、表層部の破壊や剥離が起こり難
く、しかも生体活性に優れているために、自然骨と強固
に結合することが可能であり、骨欠損部等に使用するイ
ンプラント材として好適である。
Claims (2)
- 【請求項1】 緻密な構造を有する基体部の表面の少な
くとも一部に多孔質の表層部が融着されてなり、該表層
部は、重量百分率でSiO2 40〜60%、CaO 3
0〜45%、MgO 1〜17%、(ただしSiO2 +
CaO+MgO≧90%)の組成を有し、ウオラストナ
イトが析出した結晶化ガラスからなり、且つ、平均孔径
が20〜2000μm、気孔率が40〜95体積%であ
ることを特徴とする生体活性複合インプラント材。 - 【請求項2】 緻密な構造を有する基体部の表面の少な
くとも一部に、生体活性ガラス又は生体活性結晶化ガラ
スよりなる中間層を介して、多孔質の表層部が融着され
てなり、該表層部は、重量百分率でSiO2 40〜60
%、CaO30〜45%、MgO 1〜17%、(ただ
しSiO2 +CaO+MgO≧90%)の組成を有し、
ウオラストナイトが析出した結晶化ガラスからなり、且
つ、平均孔径が20〜2000μm、気孔率が40〜9
5体積%であることを特徴とする生体活性複合インプラ
ント材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3209835A JPH0531166A (ja) | 1991-07-26 | 1991-07-26 | 生体活性複合インプラント材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3209835A JPH0531166A (ja) | 1991-07-26 | 1991-07-26 | 生体活性複合インプラント材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0531166A true JPH0531166A (ja) | 1993-02-09 |
Family
ID=16579412
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3209835A Pending JPH0531166A (ja) | 1991-07-26 | 1991-07-26 | 生体活性複合インプラント材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0531166A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005110708A (ja) * | 2003-10-02 | 2005-04-28 | Rikogaku Shinkokai | 骨修復材料、被覆骨修復材料、これらの製造方法 |
WO2008017203A1 (en) * | 2006-08-01 | 2008-02-14 | Unilever Plc | Biomaterials, their preparation and use |
US7470640B2 (en) * | 2006-04-11 | 2008-12-30 | Corning Incorporated | Glass-ceramic seals for use in solid oxide fuel cells |
EP2007690A2 (en) * | 2006-04-11 | 2008-12-31 | Corning Incorporated | High thermal expansion cyclosilicate glass-ceramics |
US9149419B2 (en) | 2006-12-05 | 2015-10-06 | Conopco, Inc. | Oral care product |
US9682166B2 (en) | 2014-08-11 | 2017-06-20 | Ricoh Company, Ltd. | Additive manufacturing powder and method of manufacturing the same |
CN111494218A (zh) * | 2019-01-30 | 2020-08-07 | 广东东阳光药业有限公司 | 一种生物活性玻璃 |
-
1991
- 1991-07-26 JP JP3209835A patent/JPH0531166A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005110708A (ja) * | 2003-10-02 | 2005-04-28 | Rikogaku Shinkokai | 骨修復材料、被覆骨修復材料、これらの製造方法 |
US7470640B2 (en) * | 2006-04-11 | 2008-12-30 | Corning Incorporated | Glass-ceramic seals for use in solid oxide fuel cells |
EP2007690A2 (en) * | 2006-04-11 | 2008-12-31 | Corning Incorporated | High thermal expansion cyclosilicate glass-ceramics |
JP2009533311A (ja) * | 2006-04-11 | 2009-09-17 | コーニング インコーポレイテッド | 高熱膨張サイクロケイ酸塩ガラスセラミック |
EP2007690A4 (en) * | 2006-04-11 | 2009-12-23 | Corning Inc | RINGSILIKAT GLASS CERAMICS WITH HIGH THERMAL EXPANSION |
WO2008017203A1 (en) * | 2006-08-01 | 2008-02-14 | Unilever Plc | Biomaterials, their preparation and use |
US7674735B2 (en) | 2006-10-11 | 2010-03-09 | Corning Incorporated | Glass-ceramic seals for use in solid oxide fuel cells |
US9149419B2 (en) | 2006-12-05 | 2015-10-06 | Conopco, Inc. | Oral care product |
US9682166B2 (en) | 2014-08-11 | 2017-06-20 | Ricoh Company, Ltd. | Additive manufacturing powder and method of manufacturing the same |
CN111494218A (zh) * | 2019-01-30 | 2020-08-07 | 广东东阳光药业有限公司 | 一种生物活性玻璃 |
CN111494218B (zh) * | 2019-01-30 | 2024-05-14 | 广东东阳光药业股份有限公司 | 一种生物活性玻璃 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3465796B2 (ja) | 新規複合材及びその使用 | |
US7709081B2 (en) | Porous bioactive glass and preparation method thereof | |
US5356436A (en) | Materials for living hard tissue replacements | |
Kitsugi et al. | Bone bonding behavior of MgO CaO SiO2 P2O5 CaF2 glass (mother glass of A· W‐glass‐ceramics) | |
Nakamura et al. | A new glass‐ceramic for bone replacement: Evaluation of its bonding to bone tissue | |
US5120340A (en) | Bioreactive material for a prosthesis or composite implants | |
Kitsugi et al. | Bone bonding behavior of three kinds of apatite containing glass ceramics | |
US5236458A (en) | Bioreactive material for a prosthesis or composite implants | |
JP4358374B2 (ja) | 生体インプラント材の製造方法 | |
Vitale-Brovarone et al. | Feasibility and tailoring of bioactive glass-ceramic scaffolds with gradient of porosity for bone grafting | |
Jiang et al. | Coating of hydroxyapatite on highly porous Al2O3 substrate for bone substitutes | |
JP2002532158A (ja) | 新しい生体活性生成品及びその使用 | |
JPH03136664A (ja) | 骨組織で充填することによる骨欠陥部または欠損部の修復方法 | |
HUT61899A (en) | Bioactive glass composition for bone-supplying, fibres, fibre-bunch and granules produced from the same and method for producing such fibres | |
Vitale-Brovarone et al. | Foam-like scaffolds for bone tissue engineering based on a novel couple of silicate-phosphate specular glasses: synthesis and properties | |
JPH0531166A (ja) | 生体活性複合インプラント材 | |
Jianguo et al. | The early host and material response of hydroxyapatite/β-tricalciumphosphate porous ceramics after implantation into the femur of rats | |
EP0401793B1 (en) | Use of ceramic materials for living hard tissue replacements | |
US9125967B2 (en) | Fluorapatite glass-ceramics | |
JP2001046489A (ja) | 骨補填材 | |
JPH0249260B2 (ja) | ||
JPH0555150B2 (ja) | ||
JPS62187142A (ja) | 生体用複合材料 | |
JP2001046491A (ja) | 生体活性複合インプラント材 | |
JPH04261653A (ja) | 生体活性複合インプラント材 |