JPH0530834U - 液晶表示器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 外部入出力端子を接続した透明電極を形成し
た透明絶縁基板を対向させ、内部に液晶を封入し、各々
の透明絶縁基板の外側に偏光板を配置し、前記外部入出
力端子の間にダイオードを接続してなる。 【効果】 表示時間のバラツキを少なくできる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は静電気によって一定時間、絵、文字、記号、模様などを表示する液晶 表示器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に静電気はガラス棒を絹布で摩擦するとガラス棒に正の静電気が発生し、 エボナイト棒を毛皮で摩擦するとエボナイトの棒に負の静電気が生じることが知 られている。またアクリル、ナイロン、ポリエステル、ポリエレン、塩化ビニー ル、ポリアミド等を材料とした化学繊維、プラスチックは摩擦により容易に静電 気を帯びる。

【０００３】 電界効果型液晶を使用した液晶表示器は上記静電気を利用して表示を行うもの である。

【０００４】 電界効果型液晶を使用した液晶表示器は、透明導電膜を表面に形成し、裏面に 偏光板を配置してなる一対の透明絶縁基板を透明導電膜が相対するように配置し 、この一対の透明絶縁基板の間に液晶を封入したものである。この表示器は、静 電気を帯びた物質を透明導電膜に接触させると偏光板および透明基板が分極し、 これが液晶の分子に作用してその配列が変化して、その部分の光の透過率が変化 するために表示がなされる。

【０００５】 静電気により液晶が分極し配列が変化し、液晶表示器が一度表示されると、液 晶の配列はそのままの状態で長時間保持される。このため液晶表示器の表示は長 時間消えずに残っていた。

【０００６】 液晶表示器の表示を消失させるためには一対の透明導電膜間の電位を同じにす る必要がある。そこでこの透明導電膜に、それぞれ外部入出力端子を設け、そし てこの外部入出力端子間に一定の抵抗体を設置することによって、透明導電膜間 の電位を同じにすることで、一旦表示させた後、この表示を消失させることが行 われている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】

表示時間のバラツキが大きくほぼ一定の表示時間を示す液晶表示器の作製が困 難なことである。

【０００８】 液晶の表示時間は、抵抗の値と液晶の静電容量の積として算出される。液晶の 静電容量は、その大きさによっても異なるが一般に１平方センチ当りナノファラ ッドである。このため１秒以上表示させるためには抵抗の値がメガ（１０⁶ ）オ ーム以上必要となる。メガオーム以上の抵抗体としては、酸化インジウム、酸化 スズ、カーボンブラック等を溶剤と樹脂とで分散し塗料またはペーストとしたも のの乾燥塗膜が使用されている。

【０００９】 この塗料またはペーストを前記一対の外部入出力端子の間に塗布することで、 静電気で表示した液晶表示器の表示を数秒から数十秒表示またはそれ以上の時間 表示させた後消失させることができる。

【００１０】 しかしながら、上記塗料またはペーストを用いた場合、塗布量を一定にする機 器（ディスペンサー）などを用いても正確に塗布量を一定にすることは困難であ り、また溶剤乾燥工程のバラツキによっても抵抗値が著しく変化するので、表示 機の表示時間のバラツキが大きく、ほぼ一定の表示時間を示す液晶表示器を作製 するに当たって作業性及び抵抗値管理の点で大きな問題を抱えていた。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案者等は、上記の問題を解決し、ほぼ一定の表示時間を示す液晶表示器を 提供することを目的として本考案を完成させた。

【００１２】 本考案は、一対の外部入出力端子を接続した透明導電膜を表面に形成し、裏面 に偏光板を配置してなる一対の透明絶縁基板を透明導電膜が相対するように配置 し、この一対の透明絶縁基板の間に液晶を封入してなる液晶表示器であって、前 記一対の外部入出力端子間にダイオードを接続したことを特徴とする液晶表示器 を要旨とするものである。

【００１３】 以下、詳細に説明する。 図１に本考案に使用する液晶表示器の実施例を示す。１は、ガラス等の透明絶 縁基板であり、その表面には、ＮＥＳＡ膜などの透明導電膜２を形成している。 一対の透明絶縁基板１は透明導電膜２が相対するよう配置され、その間には液晶 ３が封入されている。液晶３は、電界によって分子が変化する電界効果型のもの を使用する。電界効果型の液晶としてはネマチック型、ツウィストネマチック型 、複屈折制御型、相移転型、ゲスト・フォスト型、超ねじれネマチック型、コレ ステリック型等が使用できるが、製造のしやすさ、コスト、応答性においてはツ ウィストネマチック液晶が良好である。前記一対の透明絶縁基板１の外側には偏 光板４が配置されている。なお、このような液晶表示器は市販品として容易に入 手できるものであり、一例として液晶表示器ＬＭＣ−５０７Ｃ（シチズン時計（ 株）製）が挙げられる。５は透明導電膜２に接続した外部入出力端子である。外 部入出力端子５としては、透明導電膜２に直接ピンコネクタをとりつけて、この ピンコネクタを外部入出力端子として使用してもよいし、ゼブラタイプコネクタ を使用してもよいが、ピンコネクタは、ダイオードを直接ハンダ付け出来るので より好ましい。また、液晶表示器に対する外部入出力端子の向きは同じ向きでも 逆向きでもよく、向きの方向性にはこだわらない。

【００１４】 前記一対の外部入力端子５の間にダイオード６を接続する。ダイオード６は一 般的なＰＮ接合のトランジスタ型ダイオードが使用できる。また特殊ダイオード を使用しても同様の効果がある。特殊ダイオードとしては、例えばツェナーダイ オード、可変容量ダイオード、発光ダイオード、ホトダイオード、ガンダイオー ド、トンネルダイオード等が挙げられる。前記ダイオードの中から目的とする液 晶表示時間に対応するダイオードを任意に選択することで静電気による液晶表示 時間をコントロールできる。またダイオードを２個以上直列または並列に接合す ることで抵抗値を大きくしたり、小さくしたりすることが出来る。ダイオード６ の接続方法は、外部入出力端子５とダイオード６のカソード及びアノードの電極 とを直接ハンダ付けしてもよいし、銀または銅を使用した導電性接着剤を使用し 接着してもよい。

【００１５】 接続時のダイオード６の方向性について説明する。プラスの静電気が入力され る場合はダイオード６のカソードを静電気が入力される外部入出力端子５ａに接 合し、アノードを他方の外部入出力端子５ｂに接合する（図２参照）。逆に、マ イナスの静電気が入力される場合はダイオード６のアノードを静電気が入力され る外部入出力端子５ａに接合し、カソードを他方の外部入出力端子５ｂに接合す る（図３参照）。更に、静電気がプラスかマイナスか不明な場合は、ダイオード を直列に２個接続する。この場合、接続方法はカソードとカソードとを接続する 方法と、アノードとアノードとを接続する方法がある（図４参照）が、接続方法 はどちらでも良く、常に逆方向バイアスがかかった接続になっていればよい。な お、静電気が入力されない外部入出力端子はグランドに接地されていても、いな くてもよい。

【００１６】 静電気により液晶表示器を表示させる表示パターンは、透明電極膜２にフォト マスク、スクリーン、エッチング等によって容易に形成できる。偏光板４はポー ラロイドＫＮ−４２（人工偏光板、米国、ポラロイド社製）などを使用し偏光面 を調節して固定する。偏光板の後面に反射板を配置することで反射型の液晶表示 器にする事もできる。

【００１７】

【作用】

ダイオードは、アノード側からは電気を通すことが出来るがカソード側からは 電気を通しにくいという特性を有している。本考案に係る液晶表示器は、ダイオ ードの電器の通り難さを抵抗として利用したものである。従って、外部入出力端 子の一方に静電気がかかると、ダイオードを通して他方の外部入出力端子に静電 気が流れ外部入出力端子間の電圧が徐々に同じ電圧になる。静電気が外部入出力 端子間を流れている間液晶表示器は表示し、流れ終わると表示が消える。ダイオ ードは抵抗体としての値のバラツキが小さいため、ほぼ一定の表示時間を示す液 晶表示器が得られる。

【００１８】

【実施例】

以下実施例について説明する。

【実施例１】 液晶表示器ＬＣＭ−５０７Ｃ（シチズン時計（株）製）の静電気を入力させる 外部入出力端子にダイオード（１Ｓ２０７６、（株）日立製作所製）のカソード をハンダ付けし、他方の外部入出力端子にアノードをハンダ付けして液晶表示器 を得た。

【００１９】

【実施例２】 実施例１においてダイオードのアノードとカソードとを逆向けにハンダ付けし た以外は実施例１と同様になして液晶表示器を得た。

【００２０】

【実施例３】 実施例１においてダイオードの代わりにカソード共通２端子内蔵３端子パッケ ージのダイオード（ＭＡ１５１ＷＫ、松下電子部品工業（株）製）を使用し、液 晶表示器の一方の外部入出力端子と一方のアノード端子とをハンダ付けし、他方 の外部入出力端子と他方のアノード端子とをハンダ付けして液晶表示器を得た。

【００２１】

【比較例１】 実施例１における液晶表示器にダイオードを取り付けないもの。

【００２２】

【比較例２】 実施例１における液晶表示器に帯電防止塗料Ｄ−４７０１（（株）シントーケ ミトロン製）をディスペンサー（ＭＥ−５０５、武蔵エンジニアリング（株）製 ）を使用して外部入出力端子の間に塗布し（条件、ＰＮ−２２Ｇ−Ａのニードル 、空気圧力１．５Ｋｇ／ｃｍ² 、滴下時間３／１００秒）６０℃、１時間乾燥し て液晶表示器を得た。

【００２３】

【効果】

上記実施例及び比較例で得た液晶表示器を各々１００個用いて、表示試験を行 った。結果を表１に示す。

【００２４】 表示試験：液晶表示器の外部入出力端子に静電気発生装置を使用しプラスまた はマイナス５０００Ｖ−５０ｐＦの静電気を入力した。試験条件は温度２５℃、 湿度４０％である。 （以下、余白）

【００２５】

【表１】 ┏━━━━━┳━━━┳━━━━━━━┳━━━━━┓ ┃ ┃静電気┃表示時間（秒）┃標準偏差 ┃ ┣━━━━━╋━━━╋━━━━━━━╋━━━━━┫ ┃実施例 １┃ ＋ ┃ ２．５０ ┃ ０．１０┃ ┃実施例 ２┃ − ┃ １．４５ ┃ ０．１４┃ ┃実施例 ３┃ ＋ ┃ ２．５０ ┃ ０．１０┃ ┃実施例 ４┃ ＋ ┃ ４．８０ ┃ ０．２１┃ ┃実施例 ４┃ − ┃ ４．８０ ┃ ０．２１┃ ┣━━━━━╋━━━╋━━━━━━━╋━━━━━┫ ┃比較例 １┃ ＋ ┃ ６４．７５ ┃３０．２４┃ ┃比較例 ２┃ ＋ ┃ ４．３０ ┃ １．２５┃ ┗━━━━━┻━━━┻━━━━━━━┻━━━━━┛

【００２６】 以上詳細に説明したように、本考案に係る液晶表示器は表示時間バラツキが少 なく、作業上の問題も発生しない優れたものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】液晶表示器の概念図

【図２】ダイオードの接続方法の一例を示す回路図

【図３】ダイオードの接続方法の他の例を示す回路図

【図４】ダイオードの接続方法の他の例を示す回路図

【符号の説明】

１ 透明絶縁基板 ２ 透明導電膜 ３ 液晶 ４ 偏光板 ５ 外部入出力端子 ６ ダイオード

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の外部入出力端子を接続した透明導
   電膜を表面に形成し、裏面に偏光板を配置してなる一対
   の透明絶縁基板を透明導電膜が相対するように配置し、
   この一対の透明絶縁基板の間に液晶を封入してなる液晶
   表示器であって、前記一対の外部入出力端子間にダイオ
   ードを接続したことを特徴とする液晶表示器。