JPH0530757Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、使用済みの輸液セツト、注射器、
試験管等の医療用廃棄物をダスト容器に入れ、そ
のまま滅菌粉砕処理装置に入れて安全に処理して
投棄する際の前記容器に関するものである。

〔従来の技術〕

従来においては、使用済みの医療廃棄物はその
ままの状態、あるいは軽く消毒してから投棄して
いた。従つてその医療廃棄物によるエイズ、肝炎
ウイルス等の二次感染や環境汚染がなされ、今日
大変騒がれ、社会問題となつている。また医療廃
棄物を消毒してから投棄しても注射針を踏み付け
るという危険性がある。

このような二次感染と環境汚染を防止するとい
う観点から使用済みの医療廃棄物の滅菌粉砕処理
を行う装置が考え出され、現在病院等で使用され
ている。この滅菌粉砕処理装置は医療廃棄物をま
とめて該装置の滅菌槽内に投入し、該滅菌槽内に
おいて160℃〜200℃の温度で所定時間熱風を循環
させることによつて医療廃棄物を加熱滅菌し、そ
の後滅菌された医療廃棄物を粉々に粉砕するもの
であり、全自動で一貫処理を行うものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

上述した滅菌粉砕処理装置に医療廃棄物をまと
めて投入するには、通常ごみ箱のようなダスト容
器に使用済みの医療廃棄物を捨て、ある程度一杯
になつたところでダスト容器ごと医療廃棄物を装
置の滅菌槽内に投入するようになつている。

しかし医療廃棄物を高温で加熱滅菌するため、
容器が合成樹脂材で作られている場合、ダスト容
器自体が融解すると容器内の医療廃棄物がばらば
らの状態となつてしまい、次の工程の粉砕処理工
程に滅菌された医療廃棄物がスムーズに移行しな
いとともに、ダスト容器が融解すれば滅菌槽内の
内壁面にくつついてしまうという課題を有してい
る。また使用済みの医療廃棄物は前述したように
二次感染等の危険性が高いので、ダスト容器内に
捨てた場合、ダスト容器に蓋をする必要があり、
そしてこの状態で加熱滅菌するときダスト容器内
の医療廃棄物がダスト容器から出ないようにする
必要がある。

本考案は上記課題に着目してなされたものであ
つて、ダスト容器ごと医療廃棄物を滅菌粉砕処理
装置の滅菌槽内に投入して加熱してもダスト容器
本体は融解せずに滅菌槽壁に付着することがな
く、容器ごと医療廃棄物を充分に加熱滅菌するこ
とができ、次の粉砕工程にスムーズに移行するこ
とができる医療廃棄物用ダスト容器を提供するこ
とを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解消するため本考案に係る医療廃棄
物用ダスト容器は、医療廃棄物を収納する容器本
体と、該容器本体に着脱可能に付けられる蓋体と
からなり、前記容器本体は100℃から200℃で軟化
するプラスチツク材からなり、前記蓋体は100℃
〜200℃で融解し、かつ50℃〜100℃で軟化するプ
ラスチツク材とした。

前記容器本体のプラスチツク材としては、高密
度ポリエチレンが好ましく使用され、前記蓋体の
プラスチツク材としては、低密度ポリエチレンが
好ましく使用される。

また蓋体に複数の小孔を設けるようにしておけ
ば、滅菌の際に熱風が容器本体内に入り易くなる
ので好ましい。

〔作用〕

第１図において医療廃棄物１６が入つたダスト
容器１０を滅菌粉砕処理装置の滅菌槽内に投入し
滅菌用熱風を吹き付けると、蓋体１４の孔１８か
ら熱風が容器本体１２内に入り、熱風が容器本体
１２内で循環することにより医療廃棄物１６は加
熱滅菌される。そして先ず蓋体１４が熱風により
軟化した後融解し始め、容器本体１２は軟化状態
となる。しかし容器本体１２は160℃〜200℃の熱
風では融解することはなく、滅菌に必要な所定時
間経過後により蓋体１４は溶けた状態、容器本体
１２はぐにやつと曲がつた軟化した状態で医療廃
棄物１６を包んで密封した状態となる。従つて容
器本体１２は軟化状態になるだけであつて、装置
の内壁にくつつくことはない。また蓋体１４はダ
スト容器１０の上部に僅かにあるだけであつて、
融解しても容器本体１２内に入り込み、装置内の
内壁にくつつくことがない。そして所定時間経過
後にはダスト容器全体として塊状態となり、次の
粉砕工程にスムーズに移行される。

〔実施例〕

以下、本考案を添付図面に示す一実施例に基づ
いて具体的に説明する。

第１図は本考案に係る医療廃棄物用ダスト容器
１０の断面図であり、第２図はその上面図であ
る。図において１２は上部が開口する容器本体で
あり、１４は容器本体１２の上部に着脱自在に取
付けられる蓋体である。このダスト容器１０は通
常病院等の診察室に置いてあり医療廃棄物１６、
例えば使用済みの注射器を容器本体１２内に投入
し、医療廃棄物１６が一杯になつたら蓋体１４を
閉めてそのまま滅菌粉砕処理装置（図示せず）に
まで人が手で持つて運んで行く。蓋体１４は必ず
しもなくてもよいが、運んで行く途中において人
とぶつかつたりあるいは転んで医療廃棄物１６が
散らばると環境汚染となるので蓋体１４をした方
が好ましい。

前記容器本体１２の材質としては、滅菌の際
に160℃〜200℃の熱風を吹き付けることにより該
容器本体１２が融解することのない合成樹脂材で
あること、容器本体１２が熱風により軟化する
熱可塑性の合成樹脂材であること、軟化しても
滅菌粉砕処理装置に付着することがないこと、
粉砕工程においてクラツシユの邪魔とならないこ
と、等の条件が必要である。このような条件を満
たす材料として高密度ポリエチレンが使用され、
該高密度ポリエチレンとしては、昭和電工株式会
社製の商品名「シヨウレツクス S6002」が好ま
しく使用され、この高密度ポリエチレンの軟化点
は128℃である。

また蓋体１４の材質としては、容器本体１２
と異なり、160℃〜200℃の滅菌熱風により融解す
る材質のものであること、粉砕工程においてク
ラツシユの邪魔とならないこと、等の条件が必要
である。このような条件を満たす材料として低密
度ポリエチレンが使用され、該低密度ポリエチレ
ンとしては、住友化学工業株式会社製の商品名
「スミカセン G806」が好ましく使用され、この
低密度ポリエチレンの軟化点は79℃である。

図において１８は蓋体１４に形成された孔であ
つて、複数形成されている。この孔１８は医療廃
棄物１６を熱風により滅菌する際、熱風が充分に
容器本体１２内に通つて熱風がよく循環して滅菌
効果を挙げるために設けられているとともに、ダ
スト容器１０内のエアー抜き用に設けられたもの
である。この孔１８はダスト容器１０内から医療
廃棄物１６が抜け落ちなく、かつ熱風をよく通す
位の小孔であるのが好ましい。

医療廃棄物１６が入つた本考案に係るダスト容
器１０を滅菌粉砕処理装置の滅菌槽内に投入し滅
菌用熱風を吹き付けると、蓋体１４の孔１８から
熱風が容器本体１２内に入り、熱風が容器本体１
２内で循環することにより医療廃棄物１６は加熱
滅菌される。そして先ず蓋体１４が熱風により融
解し始め、その後、容器本体１２は可塑状態にな
る。しかし容器本体１２は160℃〜200℃の熱風で
は融解することはなく、滅菌に必要な所定時間経
過後により蓋体１４は溶けた状態、容器本体１２
はぐにやつと曲がつた軟化した状態で医療廃棄物
１６を包んで密封した状態となる。従つて容器本
体１２は軟化状態になるだけであつて、装置の内
壁にくつつくことはない。また蓋体１４はダスト
容器１０の上部に僅かにあるだけであつて、融解
しても容器本体１２内に入り込み、装置内の内壁
にくつつくことがない。そして所定時間経過後に
はダスト容器全体として塊状態となり、次の粉砕
工程にスムーズに移行される。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、容器本体
には100℃〜200℃で軟化するプラスチツク材、特
に高密度ポリエチレンを使用し、蓋体には100℃
〜200℃では融解し、50℃から100℃で軟化するプ
ラスチツク材、特に低密度ポリエチレンを使用す
るようにしたので、医療廃棄物が入つたダスト容
器をそのまま滅菌粉砕処理装置に投入して加熱滅
菌しても全体として塊状態となり、該処理装置に
くつつくことがなくスムーズに次の粉砕工程に移
行することができるとともに、ダスト容器全体と
して持ち運びができ二次感染あるいは環境汚染を
することなく安全であるという実用的効果を奏す
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係るダスト容器の断面図、
第２図は、蓋体の上面図である。 １０……ダスト容器、１２……容器本体、１４
……蓋体、１６……医療廃棄物、１８……孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 医療廃棄物を収納する容器本体と、該容器本
   体に着脱可能に付けられる蓋体とからなり、前
   記容器本体は100℃から200℃で軟化するプラス
   チツク材からなり、前記蓋体は100℃〜200℃で
   融解し、かつ50℃〜100℃で軟化するプラスチ
   ツク材からなることを特徴とする医療廃棄物用
   ダスト容器。 (2) 前記容器本体のプラスチツク材が高密度ポリ
   エチレンであり、前記蓋体のプラスチツク材が
   低密度ポリエチレンであることを特徴とする請
   求項１に記載の医療廃棄物用ダスト容器。 (3) 前記蓋体に複数の小孔を設けたことを特徴と
   する請求項１又は２に記載の医療廃棄物用ダス
   ト容器。