JPH0530736Y2 - - Google Patents

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JPH0530736Y2
JPH0530736Y2 JP1986086723U JP8672386U JPH0530736Y2 JP H0530736 Y2 JPH0530736 Y2 JP H0530736Y2 JP 1986086723 U JP1986086723 U JP 1986086723U JP 8672386 U JP8672386 U JP 8672386U JP H0530736 Y2 JPH0530736 Y2 JP H0530736Y2
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【考案の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本考案は手術用使い捨てクリツプ、特に精密外
科手術などに用いる血管保持用の小型クリツプの
改良に関する。
[従来の技術] 外科手術の際に患者からの出血を防ぐことは極
めて重要であり、このために各種の血管保持用の
クリツプが実用化されている。また、近年の精密
外科手術においては、手足あるいは指などの身体
から切断された部分を再び縫合するために血管自
体の縫合手術が必要となり、このような精密外科
手術あるいは顕微鏡外科手術においては、血管を
正しく所定位置に保持するためのクリツプが必要
とされる。
従来において、このような血管の保持は鉗子を
用いて行われていたが、一般的な鉗子はそれ自体
大型であり特に近年のごとき精密外科手術におい
ては、術部自体が小さく、このような鉗子を用い
た保持では到底対応することができないという問
題があつた。
また、切断された指などの小さな部分における
縫合手術の場合、切断された血管の端部が互いに
対向して手術中正しく位置決め保持されなければ
ならず、両血管端部を対向した状態で顕微鏡など
の視野内に正確に配置し、また両端部を接近させ
てちようど当接した位置に保持しながら縫合手術
が行われ、この手術中に安定した保持状態を保つ
ことが必要である。
従来においても、このようなクリツプは例えば
実開昭54−125951として知られるごとく周知であ
り、手術用小型クリツプとして実用化されてい
る。
[考案が解決しようとする問題点] しかしながら、従来における手術用小型クリツ
プは通常直線状の挟持部を有しており、単に血管
の一部を1ケ所で保持する構成からなつていた。
従つて、このような従来装置では、手術対象と
なる血管を複数個所保持する場合、例えば血管を
側面より保持する場合等には複数のクリツプを必
要とし、縫合手術が行い難いという問題があつ
た。
前記血管を複数個所で保持するような手術例と
しては、心臓血管の一部に欠損等がある場合にバ
イパスを作る血管バイパス手術等が知られてい
る。
この血管バイパス手術を行う場合、患部近傍の
正常な心臓血管を2ケ所近接した位置で保持し、
この保持された血管部のほぼ中央部にバイパス用
の血管の端部を縫合させる手術が必要となる。
従つて、心臓血管に対しては従来においては近
接した2ケ所の位置にてそれぞれ別個のクリツプ
を使用して行つていた。そして、この結果、術者
は正しい血管位置に少なくとも2回クリツプを保
持固定する作業を要求され、また別個のクリツプ
が血管にぶらさがる結果、手術中に両保持位置間
の血管部が動いてしまうというような問題が生じ
ていた。
また、従来においても、前記血管バイパス手術
以外にも、しばしば血管その他を2ケ所で互いに
関連付けながら保持する必要があり、従来におい
ては、このような手術に好適なクリツプを得るこ
とができなかつた。
更に、前述した従来の小型クリツプは通常複数
回連続して使用され、手術に用いるたびの洗浄あ
るいはその後に保守が極めて面倒であるという欠
点を有していた。また、このように繰返し使用す
る場合、どうしてもクリツプを介して雑菌が術部
に侵入しやすく、手術管理に対して大きな問題が
あつた。
従来における小型クリツプは、他の手術用具と
同様に、耐腐蝕、耐薬品性に優れたステンレスに
て形成されることが常識であり、一般にステンレ
ス平板を曲げ成型するか、あるいはステンレス線
材を折り曲げて所望のクリツプを得ている。
従つて、従来のクリツプはその材料価格及び製
造工程の複雑さからどうしても高価格となり到底
手術ごとに使い捨てにすることができなかつた。
この結果、従来のステンレス小型クリツプは使
用の都度洗浄滅菌されて次の使用に備えるが、ク
リツプ自体クリツプ片と軸との結合部あるいはバ
ネ掛け部などに挟まつた血液残滓あるいは組織片
等が固化してしまい、これらを完全に除去するこ
とはほとんど不可能であつた。そして、再使用時
のクリツプは滅菌が施された後でも、どうしても
前記汚れ部に細菌が繁殖しやすく、手術中に術部
に感染事故が生じるなどの恐れがあつた。
また、従来のクリツプはステンレスの薄板を折
り曲げあるいは線バネの折り曲げからなるので小
型軽量とした場合、本体自体が曲げ力に弱く、特
に血管を挾む挾持部には数回の使用によつて曲り
が生じ易く、このような不良クリツプでは手術が
良好にできない場合が多く実際上多数回の使用に
耐えることができなかつた。
また、従来のクリツプは血管と直接接触する挾
持部に前記洗浄時の残滓を生じさせないために通
常平らな面あるいはわずかな滑り止め溝を設ける
に止まり、この結果、血管を挾持するときに血管
との間で滑りが生じやすく、この結果手術中に血
管の位置がずれたりあるいは場合によつて血管の
外れなどが生じるという問題を有していた。
更に、前記洗浄しやすいほとんど平らな挾持面
を有することから、従来のクリツプではクリツプ
力(保持力)を比較的大きく設定することが行わ
れ、この結果、例えば90g以上の保持力に設定し
たクリツプが多く、このような比較的大きな圧力
を血管に加えた場合、血管自体の損傷が生じる恐
れがあり、術者の満足するクリツプ作用を提供す
ることができなかつた。
本考案は上記従来の課題に鑑みなされたもので
あり、その目的は、血管バイパス手術その他にお
いて血管を隣接した2カ所で正しく挟持できると
共に、糸による血管縫合作業を効率よく実施可能
な簡単な構造の手術用使い捨てクリツプを提供す
ることにある。
[問題点を解決するための手段] 上記目的を達成するために、本考案は、クリツ
プの挾持部を湾曲させてその湾曲した通常両端部
にて血管を同時に挾持してしまうと共に、少なく
とも一方のクリツプ片の挟持部に挟持部から外方
へ広がつた薄板から成る糸止めガイドを一体に設
けたことを特徴とする。
本考案によれば、手術の開始前或いは手術中に
糸止めガイドに切り込みを形成し、縫合手術中の
縫合糸をこの切り込み部に引つかけることによ
り、例えば縫合時に必要な糸の部分に対して張力
を与えてきちつとした結び目をつくることがで
き、また糸の不必要部分が手術部位にからむこと
を回避できる等、縫合時の作業性を著しく向上で
きる。
本考案によれば、前記湾曲した両端部は1回の
操作によつて手術対象となる血管の隣接した2ケ
所を同時に保持することができ、また、湾曲され
た挾持部の開放側においては血管部が何らクリツ
プに邪魔されることなく手術に供し得るので、困
難な手術を補助するために極めて有用である。
また、本考案において、クリツプ片を合成樹脂
にて形成することも好適であり、これによつて極
めて低価格のクリツプを提供可能とし、手術の都
度使い捨て可能なクリツプを提供することができ
る。
前記合成樹脂からなるクリツプは小型軽量で使
いやすく、その材料費及び射出成型等を用いた大
量生産方式の導入によりその価格を従来に比して
1/10以下とすることができ、この結果完全に1回
ごとの使い捨てクリツプを提供することができ、
従来における使用後の洗浄あるいは保管などの面
倒な取扱を全く必要とすることがない。
また、本考案のクリツプは前記合成樹脂で形成
すれば、完全な使い捨てとすることができ、血管
を挾持する面にはクリツプ片の長手方向及びこれ
と直交する方向のいずれに対しても血管との滑り
を除去する滑り止め用の凹凸部を容易に形成する
ことができ、血管を確実に保持し、また血管縫合
時に位置決め接合作用を極めてスムーズに行うこ
とができる。
また、本考案によれば、前記プラスチツク及び
挾持面の凹凸部により血管を挾持するクリツプ力
も従来に比して小さくすることができ、血管に与
える損傷をほとんど除去することができた。
[実施例] 以下図面に基づいて本考案の好適な実施例を説
明する。
第1図には本考案に係る小型クリツプの組立て
た状態が示されており、一対のクリツプ片10,
20が軸30にて互いに回動自在に軸支されてい
る。
前記軸30にはコイルバネ32が係止され、そ
の両端が前記クリツプ片10,20の尾端部1
1,21の内面側に形成されているそれぞれのバ
ネ受け12,22に掛けられ、この結果、コイル
バネ32は両クリツプ片10,20の先端側であ
る挾持部13,23を常に閉止方向に付勢するこ
とが理解される。
第2図の分解斜視図で示されるごとく、本考案
に係る小型クリツプは、一方のクリツプ片20が
D穴24を有し、軸30がD軸から成ることによ
り、第1図の組立状態で軸30に対してクリツプ
片20が回動不能に軸支される。一方、他方のク
リツプ片10は円型の軸穴14を有し、この結
果、組立状態において、クリツプ片10は軸30
に対して回動可能となり、両クリツプ片10,2
0はコイルバネ32の付勢力によつて挾持部1
3,23が所定のクリツプ力で閉じられるととも
に、尾端部11,21を操作して挾持部13,2
3をコイルバネ32の付勢力に抗して任意に開く
ことができる。
前記両尾端部11,21の外面側にはそれぞれ
溝15,25が設けられており、手術中に術者が
鉗子その他でクリツプを開き操作することができ
る。
本考案において特徴的なことは、前記両クリツ
プ片10,20の挾持部13,23が第2図及び
後述する第4図に示されるごとく湾曲形状からな
ることである。
この湾曲形状は、心臓血管等をその湾曲した両
端部にて同時に近接する2ケ所で挾持あるいは保
持することを可能とし、この結果、1回の操作に
よつて血管を2ケ所で極めて容易に保持できるこ
とが理解される。
前記保持された状態で、両保持位置は互いに単
一のクリツプで位置決め固定されるために、その
後の手術中にも両保持位置間の相対位置は一定し
ており、手術自体を行い易くするために極めて有
益である。
また、前記湾曲形状によれば、第2図の矢印A
で示す方向に対してはクリツプの挾持部13,2
3は開放されるので、その両端部に血管が挾持さ
れた状態においても、この保持位置間の血管は矢
印A方向に対してはクリツプによつて何ら邪魔さ
れることなく手術に供することができ、手術を極
めてやり易くすることができる。
また、実施例において特徴的なことは、前記両
クリツプ片10,20が合成樹脂から形成されて
いることであり、実施例においてこの合成樹脂材
料としては、ポリカーボネートその他が好適であ
り良好な耐薬品性、耐腐蝕性により、手術時に術
部あるいは血管と接触した場合においても組織に
何等影響を与えることのない安定した化学的性質
によりクリツプ片として極めて良好である。そし
て、このような合成樹脂クリツプ片は射出成型に
よつて任意の形状が低価格で形成でき、図示のご
とき比較的複雑な形状のクリツプ片10,20で
あつても低価格で供給可能である。
従つて、本実施例のごときクリツプ片は一回ご
との手術で完全に使い捨てとすることができ、表
面に細かい傷がついた状態で次回の使用に供され
ることがなく、前記細かい傷での細菌の繁殖など
のない常に清潔なクリツプをその都度手術におい
て用いることのできる利点を奏する。
また、本実施例のごとく合成樹脂製のクリツプ
片によればその形状を任意に選択でき、従来のご
ときステンレス薄板あるいは線材を用いる装置と
異なり、軸30の近傍では十分に肉厚を大きくし
て機械的強度を保ち、また尾端部11,21には
その内面にコイルバネ32を確実に保持するため
のバネ受け12,22が一体成型にて加工でき、
同時に鉗子などを受けるための溝15,25もク
リツプ片10,20の一体射出成型によつて同時
成型可能である。そして、血管を把持するときに
最も重要な挾持部13,23も軸30の近傍から
徐々に肉厚を薄くした形状とすることができ、小
型でありながら挾持部13,23の湾曲した全長
に亘つて安定した挾持力を提供することができ
る。
本実施例においては、更に、少なくとも一方の
挾持部13の湾曲した両端部には挾持部13から
外方で広がつた薄板からなる糸止めガイド13
a,13bが挾持部13と一体成型されている。
この糸止めガイド13a,13bは射出成型時の
バリ程度の厚みに形成されており、後述するごと
く、手術中に術者がメスにてこのガイド13a,
13bを部分的に切込み、手術中における縫合糸
を一時的にこの切込み部にひつかけることができ
る。
第3,4図にはそれぞれ前述した実施例におけ
るクリツプ片10,20の分解した状態での挾持
面が示されており、本実施例においては、挾持面
には挾持部13,23の軸方向及びこれと直交方
向に対してそれぞれ血管との滑りを防止するため
の凹凸部16,26が全面に亘つて設けられてい
る。
従つて、このような少なくとも2軸方向に亘つ
て整列あるいは点在配置された凹凸部16,26
は第1図の組立状態において確実に血管を把持す
ることができ、血管とのいずれの方向に対しても
滑りを防ぎ手術中に血管を正しく位置決めし、ま
た血管縫合手術時には切断された血管の端部を正
しく位置合わせして縫合中にその端部を密接させ
ることができる。
このような凹凸部は従来のステンレス製クリツ
プの平坦な挾持面あるいは僅かな溝を有する挾持
面と異なり極めて安定した血管保持作用を提供す
ることができる。
本実施例において、前記凹凸部16,26は互
いに挾持部13,23の長手方向と直交する方向
に対して位相がずれており、このために、両者の
組立状態においては、第5図で示されるごとく、
各略四角錐形状の凸部16a,26aが互いに噛
合い状態を呈し、これによつて血管を挟んだ場合
においても血管の滑りを確実に防止することがで
きる。
実施例において、このような各凹凸部の位置ず
れは長手方向と直交方向に設けられているが、長
手方向に対しての位置ずれあるいは両方向に対し
てそれぞれ位置ずれを設けても同様の効果を達成
可能である。
前記比較的複雑な凹凸部形状16,26も、本
考案によれば、クリツプ片10,20を合成樹脂
で形成することによつて射出成型で極めて簡単に
形成可能であり、もちろん実施例における四角錐
は単なる複数の半球を整列配置し、あるいはその
他の凹凸形状とすることも可能である。
また、本実施例におけるクリツプは手術の都度
使い捨てであるため、前記凹凸部16,26に残
つた血液残滓あるいは組織体があつてもこれを再
び使用することがないので、クリツプとして何等
問題となるところがない。
本実施例においては、更に、前記挾持部13,
23には僅かな傾斜が与えられており、これによ
つて挾持部13,23の全長に亘つて極めて安定
したクリツプ力あるいは把持力が与えられてい
る。
第6図は一方側のクリツプ片10の拡大図が示
されており、その軸穴14の中心から挾持部13
の先端に湾曲して向かう面の水平線100に対し
て、実際の挾持部13面は凹凸部先端で示した直
線200で表され、直線100と200とを比較
すれば明らかなごとく、両者間には角度θの傾斜
が設けられており、挾持部13の先端に行くに従
つて、対向するクリツプ片側に向かつて挾持部が
傾いていることが理解される。本実施例において
相手方のクリツプ片20も同様の傾斜θを有す
る。この結果、本考案に係るクリツプはその挾持
部13,23を閉じた時には常に湾曲した先端部
から順次軸30に向かつて挟持面あるいは凹凸面
16,26が接触することとなる。
即ち、前述したように、軸30に係止されたコ
イルバネ32によつてクリツプ片の挟持部13,
23は常に閉止方向に付勢されている。ここで、
もし挾持部13,23に上記のような傾斜が設定
されていなければ、挟持部に対するバネ32の閉
止方向への付勢力は、力学上容易に理解できるよ
うに、位置的にバネ係止部に最も近い部分が最も
大となり、挟持部先端へ向かうにつれて弱くなる
というクリツプ力のばらつきが生じてしまう。
本発明では、両クリツプ片の挟持部に傾斜θを
形成することにより、傾斜が形成されていない場
合に最もクリツプ力の弱くなる先端部から最も強
くなるバネ係止部に向けて順次挟持面が接触する
よう設計したものである。この傾斜によつて挟持
部各位置において生じる相互のクリツプ力のばら
つきが補償されることとなる。
尚、第6図に示したような同一傾斜を形成した
一対のクリツプ片を単に合わせただだけでは、当
然先端部だけが接触して軸部に近いほど大きな隙
間が生じた状態であるが、前述したように両クリ
ツプ片にはコイルバネの付勢力が常時印加されて
いる。従つて、血管その他を挾持することなくク
リツプを閉じた第1図から明らかなごとく、この
ような全閉状態においても、挟持部13,23は
全域にわたつて安定したクリツプ力を提供し得
る。
従つて、本考案によれば、極めて細い血管を掴
む場合においても、挾持部13,23の全長に亘
つてどの部分で掴んだ場合にも2ケ所の保持位置
の両者に対して確実な保持作用を提供することが
できる。
また、前述傾斜θの設定により、挾持部13,
23は常に先端から掴み作用を開始するので、常
に安定した滑りのないかつ操作しやすい血管の掴
み作用を提供可能である。
以上のごとく、本実施例によれば、クリツプ片
10,20を合成樹脂で形成し、かつ挾持部には
血管との滑りを防止した凹凸部16,26を設け
ており、滑りのない安定した把持力を得ることが
できるので、クリツプ全体のクリツプ力あるいは
保持力としては従来に比して小さな力で血管を抑
えることができ、例えば実施例においてこのよう
なクリツプ力は通常50g以下に押えることが可能
であり、これによつて血管に与える損傷をほとん
ど完全に除去することが可能となる。
前述した実施例において、合成樹脂からなるク
リツプ片はポリカーボネートからなるが本考案に
使用可能な合成樹脂としては、耐薬品性、耐腐蝕
性に優れた安定した合成樹脂であれば任意の材料
を用いることができ、例えばポリカーボネートよ
り僅かに硬度が高い例えばTPX(ポリメチルペン
テン)を少し大型のクリツプに用いることも極め
て有用である。
本考案において、前記軸30及びコイルバネ3
2は金属例えばステンレスが好ましいが、本考案
において、このような軸あるいはコイルバネも他
の任意のプラスチツク材とすることも可能であ
る。
第7図には本考案に係る合成樹脂クリツプを用
いて血管の縫合作用を行う血管バイパス手術状態
を示す。
図において、血管100は患部を有する心臓血
管を示し、例えば血管100の図示していないが
左側前方に血管欠損部が存在する。このような場
合、前記欠損部に近傍にある血管にバイパス路を
縫合接続し、血液をバイパス路を通じて流すよう
にする血管バイパス手術が効果的である。
図において、血管100の選択された個所には
本考案に係る湾曲した挾持部13,23を持つた
クリツプが1回の操作によつて挾持取付けされ
る。
図から明らかなごとく、血管100は挾持部1
3,23の両端部によつて2ケ所で挾持されこれ
によつて、両保持位置間で血管100はしつかり
と位置決め固定されかつ止血作用が行われる。
前述したごとく、本考案によれば、湾曲した挾
持部13,23の開放側に前記血管100は矢印
Aで示されるようにクリツプに邪魔されない手術
用の十分なスペースを提供することができ、これ
によつて術者は、前記位置決めされた血管100
に対してバイパス用の血管200を臨ませ、図示
のごとき両血管100,200の縫合作用を容易
に行うことができる。
本考案において、湾曲した挾持部13,23
は、第7図から明らかなように、2ケ所で正しく
血管100を保持するとともに、その開放側にお
いて手術を行い易い広いスペースを提供すること
ができる。
また、実施例において、前記一方の挾持部13
にはその両端側に糸止めガイド13a,13bが
設けられており、術者は手術の開始前あるいは手
術中に前記糸止めガイド13a,13bに図示の
ごとき切込み300a,300bを形成し、縫合
手術中の縫合糸400を一時的にこの切込み部に
ひつかけて手術を続行することができ、実際上極
めて手術に対する手助けとなることが認められ
る。
ま本実施例における前記糸止め用の切込み部は
術者が任意に糸止めガイド13a,13bから選
択した場所に設けることができ、またこの切込み
部に糸をひつかけてしごくことにより縫合した糸
の弛みをなくし縫合部あるいは結び目部に適用な
張力を与え、きちつとした結びを作ることができ
る利点を有する。
前述した実施例において実施例においては、一
方のクリツプ片10側の挾持部13にのみ前記糸
止めガイド13a,13bが設けられているが、
第4図の鎖線で示されるごとく、他方側のクリツ
プ20の挾持部23にも同様の挾持部23から外
方へ広がつた薄板からなる糸止めガイド23a,
23bを挾持部23と一体と成型することも好適
であり、両クリツプ片の糸止めガイドを任意に使
い分け、あるいはクリツプをひつくり返して使用
する場合においても最適な糸止めガイドを利用可
能である。
なお、前述した実施例においては、挾持部1
3,23の湾曲形状は半円状に形成されている
が、本考案において、この湾曲形状はU字状ある
いはコ字状、馬蹄形状その他任意の湾曲形状を選
択可能である。
第8,9,10,11図には本考案に係るクリ
ツプの他の形状が示されている。
第8図は略U字状の挾持部にて血管100を2
ケ所で同時に保持することができ、又第9,10
図はそれぞれ挾持部が内方あるいは外方へ傾斜し
た実施例を示す。
更に、第11図はU字状の挾持部にて血管10
0を保持するとともに、一方の挾持部が更に符号
40で示されるように90度折れ曲つたアームを形
成し、このアーム40にて前記血管100に縫合
される他の血管200を同時に保持することが可
能である。
また、本実施例によれば、第7図から明らかな
ごとく、血管100に対して尾端部11,21と
湾曲した挾持部13,23とは互いに反対方向に
位置決めされ、これによつて、血管100に対す
るクリツプのバランスがほぼ平行状態となり、こ
れによつて、血管100に一方側へのぶらさがり
力等が生じることがない利点を有する。
[発明の効果] 以上説明したように、本考案によれば、合成樹
脂製クリツプ片の挟持部に糸止めガイドを一体形
成したので、この糸止めガイドに切り込みを形成
することにより、手術中の縫合糸を引つかけてた
るみを除去したり不要部分の縫合部への侵入を阻
止する等、縫合作業性向上に画期的効果が得られ
る。
また、クリツプの挾持部を湾曲形状としてこと
によつて、血管の所定部を2ケ所同時に確実に保
持可能であり、特に血管バイパス手術等には極め
て好適なクリツプを得ることができる。
また、本考案において、クリツプ片を合成樹脂
の射出成型により一体成型することにより複雑な
形状であつても低価格なクリツプを提供すること
ができ、この結果各手術ごとにクリツプを使い捨
てとし、その後の洗浄あるいは保守を極めて容易
にし、また雑菌が術部を汚染することのない安全
な手術を可能とする利点を有する。
また、本考案において挾持部の凹凸面は血管を
確実に滑りなく保持することができ、またこの結
果、クリツプ力を従来に比して十分に低下させ、
血管自体に与える損傷を著しく低減させることが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案に係る手術用使い捨てクリツプ
の好適な実施例を示す組立状態の正面図、第2図
は第1図の分解斜視図、第3,4図はそれぞれ第
1図におけるクリツプ片10,20の挾持面を示
すそれぞれの平面図、第5図は第1図における挾
持部13,23の凹凸部16,26の噛合い図、
第6図は第1図における一方のクリツプ片の挾持
部に与えられている傾斜を説明する正面図、第7
図は本考案に係るクリツプを用いて、血管バイパ
ス手術を行う状態を示す説明図、第8,9,1
0,11図はそれぞれ本考案に係るクリツプの他
の実施例を示す平面図である。 10,20……クリツプ片、11,21……尾
端部、13,23……挾持部、16,26……凹
凸部、30……軸、32……コイルバネ、50,
60……クリツプ、100,200……血管。

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 一対のクリツプ片を互いに軸支し、両クリツ
    プ片間に付勢バネを係合して両クリツプ片の先
    端側を挟持部として常に閉止方向に付勢すると
    ともに両クリツプ片の尾端側を操作部として用
    いる手術用クリツプにおいて、 前記両クリツプ片は合成樹脂にて形成され、 両クリツプ片の挟持部は血管を所定間隔で2
    ケ所同時に保持しかつ両保持位置間の血管部が
    挟持部で邪魔されないように湾曲形状からな
    り、 少なくとも一方のクリツプ片の挟持部には、
    挟持部から外方へ広がつた薄板から成る糸止め
    ガイドが一体に設けられていることを特徴とす
    る手術用使い捨てクリツプ。 (2) 実用新案登録請求の範囲(1)に記載のクリツプ
    において、両クリツプ片の挟持部にはそれぞれ
    互いに対向する面に各クリツプ片と一体成型に
    てクリツプ片の斜め方向及びこれと直交する方
    向の両者に対して滑り止めを行う凹凸部が設け
    られていることを特徴とする手術用使い捨てク
    リツプ。 (3) 実用新案登録請求の範囲(2)記載のクリツプに
    おいて、両クリツプ片の凹凸部が互いに噛み合
    い状態を作るように異なる位相で配置されてい
    ることを特徴とする手術用使い捨てクリツプ。 (4) 実用新案登録請求の範囲(1)、(2)、(3)のいずれ
    かに記載のクリツプにおいて、互いに軸支状態
    で組み合わされたクリツプの挟持部は、閉止時
    に先端部ほど先に接触するように対向する面に
    傾斜が与えられていることを特徴とする手術用
    使い捨てクリツプ。
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