JPH05176937A - 内視鏡手術における縫合糸クリツプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 充分大きなクランプ力を得る。 【構成】 外科クリップは第一及び第二の脚部を有し、
それらの脚は隣接する端部において弾力のある関節手段
により結合されており、分離した端部にラッチ手段を有
する。各脚部は外面及びクランプ内面を有し、各脚部の
外面はクリップ綴じ機のあご部によって受容されるよう
に成形されている。クリップ設計における改良点は各脚
部の大きさに関する。各脚部はクランプ内面長さの脚部
幅に対する比が２．０以下であることにより規定され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は広く外科用クリップに関
する。更に詳しくは、内視鏡手術における縫合糸結糸に
代わるよう適化したこの種のクリップに関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする問題点】医療
及び病院費用が増加するなかにおいて、外科医は常に外
科的技術の向上に努めている。外科分野における進歩の
多くは組織を侵す外科的処置が少なく、かつ患者の外傷
手術全般を減らす手術技術の開発に関連する。このよう
な方法により入院期間は著しく減らすことができ、これ
により、病院費用及び医療費も削減することができる。

【０００３】外科処置における組織の侵食を減らすため
の最近の躍進的な進歩の一つとして、内視鏡手術があ
る。内視鏡手術は内視鏡を用いる。これは、体の空洞部
を視覚的に検査拡大を可能にする装置である。内視鏡は
鋭く尖った器具であるトカールにより体の空洞部の壁を
貫通する穴を開け、套管を介して挿入する。外科医は必
要に応じて、必要とされる体内の空洞に小径の開口を開
け付加的な套管を挿入し、これを介して挿入されるよう
設計されている器具の補助により手術部の診断及び治療
をすることができる。

【０００４】外傷のある体組織を修復または再生するた
めに医者の必要としてきた昔からの方法として縫合があ
る。幸いにも最近は縫合糸または縫合糸及び針を外科医
が套管の小径の穴から操作出来るような医療器具が設計
されてきている。しかしながら、縫合糸をうまく結ぶの
は非常に厄介であり、問題が多い。

【０００５】この問題に対処するために、外科医は従来
の結び目をつくる方法に取って代わる内視鏡手術に適す
る方法を探求してきた。これらの代替方法の中には止血
クリップを使用するものがあり、これは縫合糸の結糸の
代わりに血管及びその他の管を縛るように設計されてい
る。このような止血クリップは例えば合衆国特許Ｎｏ．
４，４１８，６９４及び４，４７６，８６５に記載され
ている。これらのクリップは套管の小径の穴から操作出
来るようになっているクリップ綴じ機によりの簡単に取
り付けることができる。しかし、縫合糸からクリップを
外すのに必要な力が、残念ながら不十分であり低い。こ
のため、この技術によって示されている種類の止血クリ
ップは一般的な内視鏡手術の必要を満足することができ
ない。

【０００６】縫合糸を結糸の代替手段を開発する為の従
来技術の欠陥の観点から、医療においては内視鏡技術に
応用でき、縫合糸の結びを代用できる適切な器具が求め
られている。更に詳しくは、縫合糸結糸の代わりをする
為の、効果的に機能する十分なクランプ力を有するクリ
ップが求められている。

【０００７】

【問題を解決するための手段】本発明は改良された外科
クリップである。この種のクリップは第一及び第二の脚
部を有し、それらの脚は隣接する端部において弾力のあ
る関節手段により結合されており、分離した端部にラッ
チ手段を有する。各脚部は外面及びクランプ内面を有す
る。クランプ内面はもう一方の脚部のクランプ内面に対
向している。各脚の外面はクリップ綴じ機のあご部によ
って受容されるように成形されている。クリップにおけ
る改良点は各脚部の大きさに関する。各脚部の大きさは
クランプ内面長さの脚部幅に対する比が２．０以下であ
ることにより規定される。

【０００８】本発明のクリップは特に内視鏡手術の際の
縫合結糸の代わりを要する分野における結合クリップと
して用いられる。本クリップは縫合糸を留める際、この
分野で従来より開示されていたクリップによるクランプ
力より顕著に大きなクランプ力を示す。このクランプ力
の顕著な改善により、縫合結糸の代用としての使用にお
いてクリップが効果的に機能する。更には、このほかの
使用として、本クリップは特に内視鏡手術に関連し使用
することができる。

【０００９】

【実施例】図１において本発明の外科用クリップ１０を
示す。本クリップは第一脚部１１及び第二脚部１２をそ
れぞれ有する。脚部は関節部１３によりそれぞれの隣接
部において接続されている。本発明の関節部は弾性的で
ある。即ち、弾性記憶を有し、クリップの梱包及び取り
扱い及び取り付けをし易くするばねとして機能する。第
一脚部１１の端末部はフック部１４で構成されており、
そのフック部は内面１５を有する。好適な実施例におい
ては、フック部の端面は２６において面取りされてお
り、クリップを綴じるときにフック部が曲がり易くなっ
ている。第一脚部１１のクランプ内面１６は凹型の曲率
半径を有し、関節部からフック部の始まる部分に至って
いる。第二脚部１２は凸型の曲率半径を有し、関節部か
らフック部の始まる部分まで至るクランプ内面１８を有
する。クランプ面１８の曲率半径はクランプ面１６の曲
率半径より小さい。第二脚部１２は端面１９を持つ。こ
の端面は面取りされており、クリップを綴じるときフッ
ク部を曲がり易くするようにフック部上の面取り部を補
う面取りにより構成されている事が好ましい。

【００１０】各脚部の外面は円柱状の突起部２０及び２
２を有する。これらの突起部は、後で図３の関連で簡単
に説明するが、クリップを確実につかむ為に適したあご
部を有する内視鏡用クリップ綴じ機等の適切な器具でク
リップを扱う為に使用される。クリップは図２に示すよ
うに、縫合糸のまわりを綴じる。このとき、第一脚１１
上のフック部の端面２６を引っ掛け、第一脚部１２の端
面１９がフック部１４を曲げるまで円柱状突起部２０及
び２２に対し矢印の方向に圧力をかけ二つの脚部の端末
部を合わせる。二つの脚部は弾性関節１３について回動
して、綴じられる。本好適実施例において、第二脚部１
２の円柱状突起部２２は接触面２８を有し、クリップを
綴じるとこれが端面２６に当接し、縫合糸を確実に綴じ
る。

【００１１】図１及び２のクリップにおいては、クリッ
プの各脚部１１及び１２の幅が重要である。止血に適す
るように従来から設計されているクリップは図２に示す
ようにその脚部は幅３０を有する。しかし本発明の各脚
部１１及び１２は従来のクリップの脚部の幅よりかなり
大きい幅３１となっている。図２において長さ３２で規
定されている内部クランプ面長さは通常約１２０ミル
（１ミルは１０００分の１インチ）である従来の止血ク
ランプにおいては、各脚部の幅３０は約４０ミルとなっ
ている。これに対し、図２に示されている本発明の最適
なクリップの各脚部の幅３１はおよそ１２０ミルになっ
ており、一方、内部クランプ面の幅３２はそのままにな
っている。各脚部の幅３１が大きくなると、クリップに
よって固定される縫合糸２７の長さが長くなり、これに
よりクリップから縫合糸２７を外す為に必要な引っぱり
力も著しく増加する。例えば、従来のＵ．Ｓ．Ｐサイズ
２／０の縫合糸が本クリップによって留められている場
合に本クリップから縫合糸を解除する際に必要な引っぱ
り力はインストロンユニバーサルテスター（Ｉｎｓｔｒ
ｏｎ Ｕｎｉｖｅｒｓａｌ Ｔｅｓｔｅｒ）により測定
した場合、１．５ポンドより大きく、更に好ましくは
２．０ポンドより大きい。これに対し、幅３０である脚
部を有するクリップについては縫合糸を解除する引力は
一般に０．５ポンド未満である。本発明のクリップは各
脚部の幅に対する内部クランプ面の長さの比が２．０以
下であることが望ましく、さらには１．５以下であるこ
とが好ましい。更には、この比が１．２以下であれば最
適である。

【００１２】本発明の範囲のクリップは内視鏡の応用に
おいて従来の縫合糸の結糸に取っ替わる。これは図３に
示すように行われる。図３において、細長い小径の縦部
材７６を有するクリップ綴じ機７０を示す。この縦部材
７６は従来のトロカール７１にトロカール套管７７を介
し挿入されるようになっている。トロカールは手術部分
に接近するために体組織７２を貫通する開口部を提供す
る。クリップ綴じ機７０は先端部にあご部７３を有し、
これはクリップ７４の脚の外面をつかむことが出来るよ
うに構成されている。クリップ綴じ機７０を手術部分内
で動かしクリップ７４をクランプする縫合糸７５に誘導
する。

【００１３】本発明のクリップは生体適合性を有する材
料であれば従来の製法で製造することが出来る。本クリ
ップは生体適合性を有する各種金属、例えば、チタン、
タンタル及び重合体材料により構成される。本クリップ
はグリコリド、ラクチド及びパラジオキサノンのホモポ
リマーまたは重合体などの生体吸収される重合体材料に
より構成されるのが更に好ましい。生体吸収可能な重合
材料からクリップを製造する好適な方法としては、この
ような重合システムにおいて従来より行われている処理
条件で適切な設計した型に適切な重合体融体を注入する
ことにより行う。重合体融体が冷えると、型によってク
リップの設計条件に合うように成形された重合体を簡単
に型から外すことができる。その後、成形されたクリッ
プは従来の方法で殺菌され外科用のクリップとして使用
される。

【００１４】この好適な具体例の説明はいかなる方法に
おいても請求範囲の発明を制限するものではない。この
分野の精通者にとっては本発明の範囲及び意図内での多
くの更なる具体例が容易に明白となるであろう。

【００１５】本発明の主なる特徴及び態様は以下のとお
りである。

【００１６】１．隣接端部が弾性的関節手段によって接
続されており、分離端部にラッチ手段を有する第一及び
第二の脚部を有し、各脚部は外面及びクランプ内面を有
しており、該クランプ内面は他方の脚部のクランプ内面
に対向しており、各脚部の外面はクリップ綴じ機のあご
部により受容されるようになっている外科用クリップに
おいて、各脚部の大きさが該クランプ内面長さの該脚部
幅に対する比が２．０以下であるとして規定されること
を特徴とする外科用クリップ。

【００１７】２．比が１．５以下であることを特徴とす
る上記１に記載のクリップ。

【００１８】３．比が１．２以下であることを特徴とす
る上記２に記載のクリップ。

【００１９】４．該第一脚の分離端部が偏向可能なフッ
ク部を有する上記３のクリップ。

【００２０】５．該第一脚部のクランプ内面の関節手段
及びフック手段の間が凹型の曲率半径を有し、該第二脚
部のクランプ内面のヒンジ手段及び端部の間が凹型の曲
率半径を有し、該第二脚部のクランプ内面の曲率半径が
該第一脚部のクランプ内面の曲率半径より小さいことを
特徴とする上記４のクリップ。

【００２１】６．各脚部の外面がクリップ綴じ機のあご
部によって該クリップを引っ掛ける円柱状の突起部を具
備する上記５のクリップ。

【００２２】７．各脚部の幅が約１２０ミル（１ミルは
１０００分の１インチ）である上記６のクリップ。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明によるクリップの拡大透視図であ
る。

【図２】図２は図１のクリップを縫合糸にクランプした
ところを説明する。

【図３】図３は本発明のクリップを用いて縫合糸を内視
鏡手術においてクランプするための内視鏡手術用のクリ
ップ綴じ機を説明する。

【符号の説明】

１０ クリップ １１ 第一脚部 １２ 第二脚部 １３ 関節部 １４ フック部 １６ クランプ内面 ２０ 突起部

フロントページの続き (72)発明者 マーク・オーテイズ アメリカ合衆国オハイオ州45150ミルフオ ード・バレイブルツク904

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 隣接端部が弾性的関節手段によって接続
   されており、分離端部にラッチ手段を有する第一及び第
   二の脚部を有し、各脚部は外面及びクランプ内面を有し
   ており、該クランプ内面は他方の脚部のクランプ内面に
   対向しており、各脚部の外面はクリップ綴じ機のあご部
   により受容されるようになっている外科用クリップにお
   いて、各脚部の大きさが該クランプ内面長さの該脚部幅
   に対する比が２．０以下であるとして規定されることを
   特徴とする外科用クリップ。