JPH05306816A - ガスタービンエンジン用燃焼装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 火炎安定性を高めるため、全出力運転中、単
一のトロイダル状再循環領域を維持する燃焼器−燃料噴
射装置を提供する。 【構成】 環状燃焼器ライナ３２は、ライナ３２の上流
ドーム形状部３４に隣接して単一のトロイダル状渦６８
を形成させるためのルーバ５２，５４，５６，７０，７
２を含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガスタービンエンジン
用の燃焼装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ガスタービンエンジンの機能として重要
なことは、加熱された燃焼生成物を下流のタービン部に
放出する前に、上流の燃焼器部から配送されるエンジン
燃料と圧縮空気を完全に反応させることである。

【０００３】典型的な燃焼器は、内側及び外側のエンジ
ンケース壁によって形成される環状領域内にエンジン作
動流体を含む一方、燃料及び空気は、その環状領域内に
配置された一個以上の燃焼室内で混合され、反応させら
れる。

【０００４】典型的な燃焼室は、空気冷却されるライナ
によって形成され、そのライナは、上流にあるエンジン
圧縮機部によって送り出される加圧空気を通すための複
数個の開口と、燃焼燃料流を配送するための少なくとも
一個の燃料ノズルを含んでいる。設計者が、混合、火炎
安定性、ターンダウン比、燃焼効率、及び限られた空間
内での圧損の最大化を試行するほど、燃焼室内でのガス
の動力学は非常に複雑である。混合及び火炎安定性は、
大型のエンジンにおいては、燃料ノズルが燃焼器ライナ
を貫通する比較的大きな開口の周辺に配置された複数の
ルーバすなわち開口を通して、圧縮された空気の実質的
な一部を燃焼室内に送り込むことによって得られる。こ
のノズル空気流は、普通、渦巻き状になるか、さもなく
ば燃焼器内の放出燃料ストリームの近傍に即時再循環領
域を創り出すように方向付けられる。その再循環空気と
燃焼生成物は、燃焼室内の反応燃料空気混合物を安定化
させ、火炎乱れや他の不安定性を防止する。急速渦巻き
や再循環空気混合物もまた、燃焼室内の燃料の分散及び
反応を高め、燃焼室を出る前に、燃料と空気の燃焼反応
が完了するよう助ける働きをする。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】各室が単一の対応燃料
ノズルを有する複数個の個々の燃焼室が環状燃焼器領域
内に配置されている燃焼器装置において、必要としなく
とも、各燃料ノズルに対して個々の空気渦発生器を用い
るのが普通である。個々の渦発生器の使用はまた、単一
環状燃焼器装置が用いられる大型のガスタービンエンジ
ンでもごく普通であるが、各ノズルに対しての個々の空
気渦発生器を収容する空間を与えることが困難な小型の
ガスタービンエンジンに対しては望ましくないことがわ
かっている。ガスタービンエンジンの燃焼器の設計で考
慮されるべき他の要素としては、安定性を維持しなが
ら、変化する燃料及び空気流を許容するような燃焼器能
力がある。

【０００６】本発明の目的は、火炎安定性を高めるた
め、全出力運転中、単一のトロイダル状再循環領域を維
持する燃焼器−燃料噴射装置を提供することにある。

【０００７】本発明の他の目的は、低いすなわち始動空
気流速度で充分に動作する燃焼器−燃料噴射装置を提供
することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、ガスタ
ービンエンジンの燃焼器部は、ディフューザ出口等から
の圧縮空気の流れを受ける。その燃焼器部は、環状燃焼
室を形成する燃焼器ライナ、及び燃焼生成物の流れを下
流のタービン部の環状入口に送り出すための環状流路を
境界付ける２つの下流壁を含み、上記ライナは、流入圧
縮空気流ストリーム内に直接配設される上流のドーム形
状部を形成するように形づくられている。

【０００９】少なくとも１個の空気ブラスト型燃料ノズ
ルは、このライナの外部上を流れる圧縮空気ストリーム
のよどみ点でドーム形状部を通して延びている。そのノ
ズルは、燃焼可能な燃料を燃焼室の内部に放出する。

【００１０】そのライナは、さらに、圧縮空気をそのラ
イナの外部側から燃焼室中に通すため、ライナ壁とドー
ム形状部内に配置された複数個のルーバ開口を含んでい
る。それらのルーバは、ライナの内面に隣接する燃焼室
中に、そのような内面に局所的に平行な方向に空気を放
出するように向けられている。

【００１１】

【作用】実質的に同じ方向に冷却空気を放出するよう、
それらの壁の一つのルーバ及びドーム形状部を配列する
ことによって、本発明のライナ装置は、燃焼室内にかつ
ドーム形状部の内壁に隣接して、単一のトロイダル状再
循環領域すなわち渦を創り出させる。そのノズルは、単
一再循環領域の中央部に液体燃料の分散ストリームを放
出させるようになっている。その結果、良好な混合及び
安定化した火炎が得られる。

【００１２】空気ブラスト燃料ノズルは、適切に機能す
るために、ノズルを通るある量の空気流を必要とする。
そのノズル開口を外部空気流よどみ点と一致するドーム
形状部に配置することによって、本発明に係るライナ装
置は、低減されたすなわち比較的低い空気流の期間中ノ
ズルに隣接して流入する空気の比率を高め、それによっ
て、そのような期間中のノズル及び燃焼器性能を改善し
ている。燃焼器内の局所的空気流配分を大きくすること
によって、燃料ノズルに隣接する再循環領域を維持し、
それによって燃焼器の低負荷安定性を大きくしている。

【００１３】

【実施例】図１を参照する。図１には、ガスタービンエ
ンジン１０の半横断面が示されている。このエンジン
は、前部圧縮機部１２、後部タービン部１４、及び中間
燃焼器部１６を備えている。エンジンに入る空気流は、
一つ以上の圧縮機段を通過し、図１に示された実施例に
おいては、流速を低減させると共に圧縮機出口空気の静
圧を増大させるための複数個のディフューザ管２２に接
続されている、圧縮機出口２０の位置にある最終段１８
に出て行く。

【００１４】ディフューザを出る空気流２４は、径方向
に離れて置かれた一対の内側及び外側エンジンケース２
６，２８によって形成されている燃焼器部１６の環状領
域２５に流入する。

【００１５】ライナ３２によって形成された環状燃焼室
３０は、離れて環状燃焼領域２５内に配設されている。
そのライナ３２は、さらに、ドーム形の横断面を有する
上流部３４、及びそのドーム形状部３４とタービン部１
４の環状入口との間に伸びている径方向に離れて置かれ
た２つの下流壁３６，３８を含んでいる。

【００１６】ライナ３２は、そこに配設された複数個の
開口を含んでいる。上流ドーム部３４をインパクトする
ディフューザ出口流の外部流体流よどみ点に対応する点
でドーム形状部３４内に配置された上流ノズル開口４２
を含めて、そこに配設された複数個の開口を含んでい
る。空気ブラスト燃料ノズル４４は、ノズル開口４２を
通してそのライナ３２を貫いていると共に、分散燃料空
気流４８を燃焼室中に放出するためのノズル先端４６を
含んでいる。

【００１７】ライナ３２は、燃焼器領域２５から燃焼室
３０の内部中に圧縮空気を通す複数個のルーバ開口５
２，５４，５６，７０，７２，７４，７６によって冷却
される。それらのルーバは、以下に述べられるような特
定の方向であって、かつライナ３２の内面に実質的に平
行に空気を放出するように配列されている。

【００１８】本発明によれば、ルーバ５２，５４及び５
６は、ドーム３４の内部に関して実質的に同一の全体方
向に、対応する空気ジェット６２，６４及び６６を放出
するように方向付けられている。従って、ドーム空気ジ
ェット６２−６４は、燃焼器ライナ３２のドーム形状部
３４に隣接して単一の再循環トロイダル状渦を形成させ
る。この再循環渦６８は、さらに、壁部３６，３８に設
けられた上流ルーバ７０，７２から放出される空気ジェ
ット５８，６０によって支えられる。

【００１９】図１に明示されている如く、ルーバ７０，
７２は、対応空気ジェット６０，５８をドーム部３４方
向に放出するように方向付けられている。従って、空気
ジェット６０は、渦６８の形成を増大させるように作用
する。一方、ドーム状空気ジェット６２−６６に関して
逆方向に放出する空気ジェット５８は、ドーム形状部３
４に隣接して渦６８を安定化させるライナ３２の内面か
ら、循環流を追い出すよう働く。ドーム状ジェット６２
−６４と逆放出ジェット５８との間に位置付けされた一
連の普通の放出ジェット８０もまた図示されている。付
加壁ルーバ７４，７６は、従来から良く知られているよ
うに、膜冷却によってライナ壁３６，３８を保護するた
めの付加冷却空気７８を放出する。

【００２０】ノズル先端４６から放出された分散燃料４
８は、循環渦６８内で空気と混合され、電子点火装置
（図示せず）によって最初に点火される。ガスタービン
エンジンの運転中、反応する燃料と空気は、熱い燃焼生
成物を未反応の燃料及び空気と連続的に混合することに
よって、燃焼工程を安定化させる渦６８内で、循環す
る。熱い生成物は、燃焼室内に新たに入る燃料と空気を
点火させる作用をする。その結果、燃料及び空気の流れ
がエンジン運転包絡線にわたって変えられるとき、燃焼
器に安定な反応火炎を維持させることができる。

【００２１】本発明に係る燃焼装置を有するガスタービ
ンエンジン１０は、複数個の燃料ノズル４４を用いてお
り、そのそれぞれは、エンジン中心線（図示せず）に関
して周方向に離れた位置で環状ライナ３２を貫いてい
る。各ノズル４４は、燃料を単一トロイダル状渦６８中
に放出する。それは各ノズルが周囲渦巻発生器のような
ものを有する従来のノズル装置よりも大きな安定性をも
たらす。本発明に係る燃焼装置の単一渦は、燃焼器の上
流端付近に燃料ノズルを配置するに際して融通性があ
り、特定のエンジンの幾何学的特徴を有利にできる。こ
の融通性のある燃料ノズル配置は、また、軸方向及び接
線方向燃料放出軌道も可能にする。

【００２２】ディフューザ管２２から放出される外部空
気流２４のよどみ点と一致する燃料ノズル４４及びノズ
ル開口４２の位置は、低負荷状態で燃料スプレーを噴霧
するために空気入口開口７９を通して燃料ノズルを入れ
なければならないとき、低負荷、低流量性能を増大させ
る。外面上を流れるガスのよどみ点は、本体表面上の最
高静圧点と対応する。従って、ライナ３２の外面上の最
高静圧は、ノズル開口４２の領域内にある。よって、た
とえ低ディフューザ放出空気流速でも、ノズル先端４６
を出る空気流と同様に、燃料ノズル４４に隣接して配置
されたルーバ５２，５４，５６からの空気流は、燃焼室
３０の残部のルーバ等からよりも比較的高流速である。
その大きな局所空気流は、たとえ低負荷状態でも大きな
再循環渦及び良好なノズル性能を維持する。

【００２３】遠心圧縮機最終段、管ディフューザ及びル
ーバ燃焼器ライナ３２を有するガスタービンエンジンに
ついて説明したが、本発明の燃焼装置が、圧縮空気を燃
焼室の内部に通し、放出するための成形穴や他の手段を
利用する冷却ライナ及び環状ディフューザを有する完全
軸流圧縮機に関しても適用できることは明らかである。

【００２４】

【発明の効果】本発明によれば、全出力運転中、燃焼器
内に単一のトロイダル状再循環領域が維持されるので、
火炎の安定性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明に係る燃焼室装置を有するガス
タービンエンジンの燃焼器部の部分横断面図である。

【符号の説明】

１０…ガスタービンエンジン １２…圧縮機部 １４…タービン部 １６…燃焼器部 ３０…燃焼室 ３２…ライナ ５２，５４，５６，７０，７２…ルーバ ６８…単一トロイダル状渦

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アレックス プロシウ カナダ，オンタリオ，エルミラ，メドウラ ーク ロード26 (72)発明者 フランク シャム カナダ，オンタリオ，ミッシソウガ，エイ ピーティー．704，ウエスト，ラスバーン ロード 330

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部燃焼室を形成し、当該環状ライナの
   外部に向けられた加圧空気流を受ける環状ライナと、液
   体燃料を燃焼室内中に放出するために、上記ライナを介
   して延びている複数個燃料ノズルとを有するガスタービ
   ンエンジン用環状燃焼装置において、 ライナのドーム形状部に配設された第１の複数個のルー
   バと、２つの下流に延びているライナ壁の一方の上流端
   に配設された第２の複数個のルーバと、他方のライナ壁
   の上流端に配設された第３の複数個のルーバとを備え、 上記第１のルーバは、上記ライナの内部の側部に沿う空
   気の第１の流れを実質的に第１の方向に放出するように
   方向付けられており、 上記第２のルーバは、上記ライナの内部の側部に沿いか
   つ上記ドーム形状部方向に向けられた空気の第２の流れ
   を通すように方向付けられ、 上記第３のルーバは、上記ライナの内部の側部に沿いか
   つ上記ドーム形状部方向に向けられた空気の第３の流れ
   を通すように方向付けられ、その第３の空気流は、上記
   第１の空気流と実質的に反対の方向に向けられており、 さらに、複数個の燃料ノズルのそれぞれは、局所的外部
   空気流よどみ点と一致する点で、上記ライナのドーム形
   状部を介して延びていることを特徴とする燃焼装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の燃焼装置において、各
   燃料ノズルは、さらに、該ノズルへの第４の空気流を通
   すため、上記ライナの外部に配置された空気入口開口を
   備え、上記第４の空気流は、液体燃料と一緒に上記燃焼
   室に放出されることを特徴とする燃焼装置。