JPH05306493A - シリンダーロッドおよびその製造方法 - Google Patents

シリンダーロッドおよびその製造方法

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JPH05306493A
JPH05306493A JP15139592A JP15139592A JPH05306493A JP H05306493 A JPH05306493 A JP H05306493A JP 15139592 A JP15139592 A JP 15139592A JP 15139592 A JP15139592 A JP 15139592A JP H05306493 A JPH05306493 A JP H05306493A
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篤夫 末広
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硬質クロムメッキ層の厚みが小さくても、耐
蝕性を高め、シリンダーロッドの位置検出を可能とす
る。 【構成】 レジストをスクリーン印刷法などにより鉄系
ロッドに塗布し、エッチングし、前記鉄系ロッドの軸方
向に、周方向に延びる複数の位置検出用溝2を形成す
る。前記溝2を除くロッドの領域にレジストを残したま
ま、硬質クロムメッキを施し、溝2のみをメッキした
後、レジストを除去する。一次メッキ品を、必要に応じ
て塩化第2鉄水溶液によりエッチングし、一次メッキ品
の表面に硬質クロムメッキを施す。そして、耐蝕性を高
めるため、100〜800℃で加熱処理し、バフ仕上げ
する。これにより、硬質クロムメッキ層3の厚みが5〜
100μmと薄くても、シリンダーロッド1の耐蝕性を
高めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建設機械、産業機械、
産業車両などに使用されるシリンダーロッドおよびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、パ
ワーシャベルなどの建設機械の油圧機などには、ピスト
ンロッドなどのシリンダーロッドが使用されている。シ
リンダーに対して摺動する前記ロッドには、硬度、耐摩
耗性が高いこと、表面精度を含めた寸法精度が高いこと
などの特性が要求される。そこで、シリンダー用ロッド
は、通常、鉄系材料からなるロッドに硬質クロムメッキ
を施すことにより製造されている。
【0003】しかし、硬質クロムメッキにより形成され
たメッキ層には、他の電気メッキ層と異なり、メッキ層
の厚みが100μm程度であっても、クラック、ピンホ
ールやピットなどの多数の欠陥部が生成する。従って、
硬質クロムメッキを施したロッドは、種々の優れた特性
を有するにも拘らず、腐蝕し、錆が発生し易い。特に、
塩化ナトリウムなどの塩化物、酸の存在下や高温多湿環
境下では、前記数多くの欠陥部に起因して、ロッドが著
しく腐蝕する。ロッドが腐蝕すると、シリンダーとの摺
動により傷が発生し、油洩れなどの原因となる。
【0004】なお、硬質クロムメッキ物の腐蝕を防止す
るため、防錆剤を塗布し、クラックなどの欠陥部に浸透
させることが行なわれているが、根本的な解決法とは言
い難い。また、硬質クロムメッキ物の腐蝕を防止するた
め、厚み0.05〜0.1mm程度のメッキ層を形成す
ることが行なわれている。しかし、メッキ層の厚みを大
きくすると、生産性が低下する。
【0005】特公平3−14913号公報には、高品質
の鏡面クロムメッキを施す方法に関し、マイクロクラッ
クタイプのクロムメッキ浴を用いて、鉄製基材の表面
に、仕上りメッキ層の約2倍の厚さのメッキ層を形成
し、苛酷な条件(使用標準温度の上限値よりも40〜6
0℃高い温度で40〜50時間)でベーキングした後、
メッキ層の40〜50%を研磨などにより除去し、温和
な条件(使用標準温度の上限値よりも10〜20℃高い
温度で20〜30時間)でベーキングし、仕上げ研磨す
る方法が開示されている。
【0006】しかし、この方法では、厚みの大きなメッ
キ層を形成し、しかも40〜50%のメッキ層を除去す
る必要があるので、経済的でないばかりか、メッキ処
理、メッキ層の除去に長時間を要する。しかも、2度に
亘るベーキングに長時間を必要とする。そのため、ドラ
ムやロールなどの生産性が著しく低下する。さらに、前
記先行文献には、耐蝕性に関して何ら記載されていな
い。
【0007】一方、産業機械や建設機械などにおいて、
シリンダで進退動するロッドの位置を検出するため、ロ
ッドに所定のパターンを形成する方法が提案されてい
る。例えば、特開昭61−136696号公報には、ロ
ッド基材が浸蝕されるのを防止するため、ロッドの全面
に合成樹脂などのコーティング層を形成し、メッキなど
方法により、銅やアルミニウムなどの導電層を前記コー
ティング物質の上に形成し、エッチングなどにより導電
層を除去して所定のパターンを形成し、表面仕上げ用の
コーティング、例えばクロムメッキを全面に施す方法が
開示されている。
【0008】しかし、この方法で得られたロッドは、前
記のように、表面仕上げ用のクロムメッキ層の耐蝕性が
小さい。そのため、クロムメッキ層を通じて導電層が腐
蝕し、クロムメッキ層の密着性が低下し、膨れなどが生
じ、表面平滑性が低下し易い。そして、シリンダとの摺
接により、前記所定のパターンに形成された導電層およ
び下地のコーティング層が損傷し、ロッド全体が早期に
腐蝕する。
【0009】従って、本発明の目的は、硬質クロムメッ
キ層の厚みが小さくても、耐蝕性に優れていると共に、
シリンダに対して進退動するロッドの位置検出が可能な
シリンダーロッドを提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、前記の如き優れた特
性を有するロッドを経済的かつ生産性よく製造できる方
法を提供することにある。
【0011】
【発明の構成】本発明者らは、上記目的を達成するた
め、鋭意検討の結果、硬質クロムメッキを施した後、加
熱処理すると、耐蝕性が著しく向上することを見いだ
し、本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明は、鉄系ロッドに硬質ク
ロムメッキが施されたロッドであって、前記ロッドの軸
方向に複数の凹部が形成され、これらの凹部が前記硬質
クロムメッキ層で埋設されていると共に、前記ロッドの
表面が硬質クロムメッキ層で被覆されているシリンダー
ロッドを提供する。
【0013】また、本発明は、鉄系ロッドの軸方向に複
数の凹部を形成し、硬質クロムメッキを施す方法であっ
て、前記凹部を除くロッドの領域をマスクして硬質クロ
ムメッキを施す第1のメッキ工程と、前記マスクを除去
する工程と、硬質クロムメッキを施す第2のメッキ工程
と、この第2のメッキ工程の後、少なくとも加熱する加
熱工程とを含むシリンダーロッドの製造方法を提供す
る。
【0014】以下、必要に応じて、添付図面を参照しつ
つ本発明を詳細に説明する。
【0015】図1は本発明のシリンダーロッドの一例を
示す概略斜視図である。
【0016】この例において、シリンダーロッド1は、
円筒状の鉄系ロッドと、このロッドの軸方向に、所定の
ピッチで周方向に延びる複数の溝2と、これらの溝2を
含めて、前記ロッドの表面に施された硬質クロムメッキ
層3とで構成されている。前記溝2は前記硬質クロムメ
ッキ層3で埋設されていると共に、前記ロッドの表面は
表面が平滑な硬質クロムメッキ層3で被覆されている。
【0017】なお、硬質クロムメッキ層3により被覆さ
れた溝2は視認できない。また、ロッドの端面からはシ
ャフト4が延設されている。
【0018】このようなシリンダーロッド1において、
周方向に形成された複数の溝2の位置は、位置検出セン
サ、例えば、磁気抵抗変化により検出する電磁式位置検
出センサ、静電容量により検出するポテンシオメータな
どのセンサにより検出できる。好ましい位置検出センサ
は、溝2の厚み(深さ)や幅を磁気的手段により検出で
きる電磁式位置検出センサである。この電磁式位置検出
センサは、溝3に対応して渦電流が流れることを利用し
て、前記溝2の位置を検出する。そのため、ロッド1を
シリンダのピストンロッドとして使用した場合、シリン
ダに対するピストンロッド1の進退動に応答して生じる
渦電流の検出信号をカウントすることにより、ピストン
ロッド1の進退度を検出できる。
【0019】なお、前記ロッドは、鉄系材料、例えば、
低炭素鋼、高炭素鋼、焼入れ鋼、高速度鋼、クロム鋼、
ニッケル鋼、ニッケル・クロム鋼、ニッケル・クロム・
モリブデン鋼、ステンレス鋼、タングステン鋼などの種
々の材料で形成できる。
【0020】前記溝のピッチは、溝の位置検出精度が低
下しない範囲で選択でき、例えば、0.1〜50mm、
好ましくは0.5〜25mm程度である。溝の深さも、
溝加工作業性が低下しない範囲で適当に選択できるが、
例えば、1〜200μm、好ましくは10〜150μ
m、さらに好ましくは25〜100μm程度である。
【0021】ロッドには、前記溝に限らず、種々の位置
検出用凹部、例えば、ロッドの軸方向に散在する凹部、
好ましくは所定のピッチ毎に凹部が形成されていればよ
い。前記位置検出用凹部はスポット状であってもよい
が、ロッドの周面全体に亘り形成した環状溝や螺旋状
溝、ロッドの軸方向に沿って、周方向に少なくとも部分
的に延びる溝が好ましい。特に好ましい位置検出用溝
は、ロッドの軸方向に延びる領域に、ロッドの軸方向と
直交する周方向に延びている。さらに、溝は基準マーカ
ーとなる基準溝を含んでいてもよい。
【0022】図2は、本発明のシリンダーロッドの他の
例を示す概略斜視図である。この例では、位置検出用凹
部および基準凹部がいずれも溝であるシリンダーロッド
が示されている。
【0023】シリンダーロッド11は、円筒状の鉄系ロ
ッドの軸方向に、所定のピッチで周方向に延びる複数の
位置検出用溝12と、これらの溝12のピッチよりも大
きなピッチで周方向に形成された基準溝13と、これら
の溝12,13を含めて、前記ロッドの表面に施された
硬質クロムメッキ層14とで構成されている。前記溝1
2,13は、前記と同様に、前記硬質クロムメッキ層1
4で埋設されていると共に、前記ロッドの表面は表面が
平滑な硬質クロムメッキ層14で被覆されている。
【0024】このようなロッド11では、前記基準溝1
3を基準マーカーとして利用できる。すなわち、基準溝
13を検出する位置検出センサからの検出信号を基準信
号とし、この基準信号に基づいて、ロッド11をシリン
ダから前進又は後退させることができる。
【0025】より詳細には、シリンダからロッド11が
所定距離前進した後、再度、シリンダからロッド11を
前進又は後退させる場合、図1に示されるようなロッド
では、基準点まで、ロッドをシリンダ内に一旦戻した
後、渦電流による検出信号をカウントしながら、ロッド
を前進又は後退させる必要がある。
【0026】これに対して、基準溝13が形成されたロ
ッド11を用いると、基準溝13で生じる渦電流の検出
信号を基準信号として利用できるので、ロッド11を基
準位置に戻すためのストロークを小さくできるだけでな
く、前記基準信号を基準として、位置検出用溝12で生
じる渦電流の検出信号をカウントしながら、ロッド11
を所定ストロークだけ前進又は後退させることができ
る。
【0027】なお、基準溝も、溝状に限らず前記位置検
出用凹部と同様に形成できる。好ましい基準凹部は、前
記と同様に、ロッドの軸方向に沿って、周方向に少なく
とも部分的に延びる溝である。特に好ましい基準溝は、
ロッドの軸方向に延びる領域に、ロッドの軸方向と直交
する周方向に延びている。
【0028】基準凹部は、位置検出用凹部と独立して形
成してもよく、この場合、基準凹部の深さ及び/又は幅
は前記位置検出用凹部と異なっていてもよく、前記位置
検出用凹部の間に形成することもできる。さらに、基準
凹部は、位置検出用凹部と兼用することもできる。すな
わち、例えば、所定間隔毎に位置する位置検出用凹部の
深さ及び/又は幅が、他の位置検出用凹部と異なる凹部
を基準凹部としてもよい。基準凹部の深さ及び/又は幅
が異なるロッドでは、深さ及び/又は幅による検出信号
が位置検出用凹部による検出信号と異なるので、深さ及
び/又は幅による検出信号を基準信号として利用でき、
ロッドの進退度をさらに精度よく制御できる。
【0029】なお、位置検出用凹部とは深さが異なる基
準凹部は、位置検出センサからの検出信号の強弱により
検出でき、幅が異なる基準凹部は、位置検出センサから
の検出信号をA/Dコンバータによりディジタル信号と
し、微分回路や積分回路などに与えることにより検出で
きる。
【0030】前記鉄系ロッドの表面からの硬質クロムメ
ッキ層の厚みは、耐蝕性を損わない範囲で選択でき、例
えば、5〜100μm、好ましくは10〜80μm、さ
らに好ましくは20〜75μm程度である。特に好まし
い硬質クロムメッキ層の厚みは20〜50μm程度であ
る。また、凹部からの硬質クロムメッキ層の厚みは、凹
部の深さに応じて選択でき、例えば、15〜150μ
m、好ましくは25〜125μm程度である。このよう
に膜厚が薄くても、加熱処理により耐蝕性を高めること
ができる。好ましいシリンダー用ロッドは、加熱処理
と、バフ仕上げが施されている。
【0031】本発明においては、前記先行文献のよう
に、ロッドの全面に樹脂コーティングを施す必要がない
だけでなく、導電層を形成する必要もなく、ロッドの溝
と硬質クロムメッキ層という簡単な構成で、精度よくロ
ッドの位置検出を行なうことができる。特に、苛酷な条
件で使用される建設機械などのシリンダーピストンロッ
ドとして使用しても、硬質クロムメッキ層の厚みが薄い
にも拘らず、耐蝕性が著しく優れている。
【0032】本発明の製造方法は、鉄系ロッドの軸方向
に複数の凹部を形成する凹部形成工程と、前記凹部を除
くロッドの領域をマスクして硬質クロムメッキを施す第
1のメッキ工程と、前記マスクを除去する工程と、硬質
クロムメッキを施す第2のメッキ工程と、第2のメッキ
工程の後、少なくとも加熱する加熱工程とを含む。
【0033】なお、凹部形成工程に先だって、鉄系ロッ
ドは、通常、前処理工程に供される。この前処理工程に
おいて、前記鉄系ロッドは、通常、有機溶剤、アルカリ
浸漬、アルカリ電解脱脂などによる脱脂処理、必要に応
じて、塩酸、硫酸などの酸による酸洗処理を行なっても
よい。
【0034】また、必要に応じて、凹部形成工程に先立
って、鉄系ロッドを研磨工程に供してもよい。ロッドの
研磨は、慣用の方法、例えば、研磨力の大きな円筒研磨
(リングバフ)、バーチカル研磨など;エメリーバフ研
磨、ベルト研磨、フラップホイール研磨などの粗研磨;
綿バフ、サイザルバフ、これらを組合せた中研磨や仕上
げ研磨などを単独で、または組合せて行なうことができ
る。なお、中研磨、仕上げ研磨は、クローズドフェー
ス、オープンフェース、ユニットフェースタイプのいず
れであってもよい。
【0035】図3乃至図6は本発明の製造方法を説明す
るための図であり、この例において、図3は凹部形成工
程を示す断面図、図4は第1のクロムメッキ工程を示す
断面図、図5はマスクを除去する除去工程を示す断面
図、図6は第2のクロムメッキ工程を示す断面図であ
る。なお、この例では、凹部形成工程において溝を形成
している。
【0036】凹部形成工程では、鉄系ロッド21の表面
に、スクリーン印刷法、フォトレジスト法、テープマス
キング法などにより、凹部に対応する部分を余してレジ
スト22を形成し、その後、エッチングすることにより
溝23を形成できる。この場合、スクリーン印刷法にお
けるインキ、フォトレジスト法におけるフォトレジス
ト、およびテープマスキング法におけるマスキングテー
プとしては、それぞれ、耐エッチング性及び耐クロムメ
ッキ性を有する材料が使用できる。
【0037】スクリーン印刷法において、インキは、メ
ッキレジスト及び/又はエッチングレジストなどが使用
でき、これらのレジストは、熱硬化性樹脂、紫外線硬化
性樹脂などであってもよい。スクリーン印刷法において
は、ロッドの表面に所定のパターンを印刷し、レジスト
の種類に応じた硬化手段により硬化させ、その後、エッ
チングすることにより溝を形成すればよい。
【0038】フォトレジスト法においては、鉄系ロッド
の少なくとも所定の表面にフォトレジストを塗布し、必
要に応じてて乾燥させる。フォトレジストは、鉄系ロッ
ドの表面全体に塗布してもよい。その後、所定のパター
ン原稿でロッド表面を覆って露光し、現像により、溝部
に対応する部位のレジストが除去され、前記と同様のエ
ッチングにより溝が形成される。フォトレジストは、ネ
ガ型又はポジ型のいずれであってもよい。現像には、慣
用の現像剤、例えば、有機溶媒、アルカリ水溶液などが
使用できる。
【0039】さらに、溝部に対応する部位を余して、鉄
系ロッドの表面をテープマスキングし、エッチングによ
り溝を形成することもできる。
【0040】エッチングは、慣用の方法、例えば、塩
酸、硫酸、硝酸などの酸、塩化第2鉄の水溶液などのエ
ッチング液を用いて行なうことができる。また、ドライ
エッチングにより溝を形成してもよい。エッチング工程
の後、エッチング加工された鉄系ロッドは、通常、洗
浄、中和、乾燥工程に供される。
【0041】なお、溝は、エッチングによることなく、
機械的加工により形成してもよい。この場合、ロッドの
表面を耐エッチング性を有するコーティング層で被覆
し、鉄針などにより素地に至る溝を形成してもよい。
【0042】好ましい溝加工工程は、レジストを鉄系ロ
ッドに塗布する工程と、レジストを硬化させる硬化工程
と、エッチング工程とを含んでいる。このような工程を
経ることにより、溝を精度よく効率的に形成できる。
【0043】なお、第1のクロムメッキ工程に先立っ
て、鉄系ロッドは、メッキ下地調整のため、陽極酸化に
よるエッチング処理に供してもよい。陽極酸化によるエ
ッチング処理は、例えば、ロッドを陽極として、温度3
0〜60℃程度、電流密度10〜50A/dm2 程度、
時間10〜600秒程度の条件で電解処理することによ
り行なうことができる。なお、陽極酸化によるエッチン
グ処理に代えて、または陽極酸化によるエッチング処理
と共に、塩酸、硫酸などに浸漬する酸浸漬処理を行なっ
てもよい。
【0044】第1のクロムメッキ工程においては、前記
レジスト22を残したまま鉄系ロッド21にクロムメッ
キが施される。このクロムメッキにより、レジスト22
が付着した部位はメッキされず、溝23には効率よくク
ロムメッキ部24が形成される。
【0045】第1のクロムメッキ工程では、前記溝23
を除く鉄系ロッド21の領域をマスクしてクロムメッキ
すればよい。例えば、溝を機械的加工により形成した場
合には、溝23を除く領域をテープマスキングにより被
覆し、クロムメッキしてもよい。
【0046】また、クロムメッキ部24の厚みは前記溝
23の深さよりも小さくてもよいが、通常、溝23の深
さと略同一又は溝23から膨出している。
【0047】クロムメッキ浴の組成は特に制限されず、
慣用のメッキ浴が使用できる。メッキ浴としては、例え
ば、無水クロム酸CrO3 、硫酸を含むサージェント
浴;無水クロム酸CrO3 、硫酸に加えて、ケイフッ化
ナトリウムやケイフッ化カリウムなどを含むケイフッ化
浴などであってもよい。また、クロムメッキ浴は、ケイ
フッ酸、フッ化アンモニウム、硫酸ストロンチウム、ク
エン酸、酒石酸、シュウ酸、ギ酸などの少なくとも1つ
の成分を含んでいてもよい。メッキ浴は、通常、三価ク
ロムを0.1〜3g/L程度含む場合が多い。
【0048】メッキ浴、例えば、サージェント浴におけ
る無水クロム酸と硫酸との割合は、通常、無水クロム
酸:硫酸=100:0.8〜1.5(g/L)程度であ
る。耐蝕性を高めるためには、無水クロム酸100g/
Lに対する硫酸量は、1.0〜1.5g/L、好ましく
は1.02〜1.3g/L、さらに好ましくは1.05
〜1.25g/L程度である。硫酸量が少なくなるにつ
れて、被覆力が向上するが、耐蝕性が低下し易く、硫酸
量が多くなるにつれて、耐蝕性が向上するが、密着性、
メッキ層の均一性が低下し易くなる。
【0049】なお、メッキ浴は、高濃度浴、標準浴、低
濃度浴のいずれであってもよく、無水クロム酸濃度は、
通常100〜400g/L、好ましくは150〜350
g/L、さらに好ましくは200〜300g/L程度で
ある。
【0050】硬質クロムメッキに際しては、陽極とし
て、鉛合金、鉄などを、適宜配置して使用できると共
に、メッキ部を均一化するため、補助陰極、遮蔽板など
を使用できる。
【0051】メッキ条件は、浴の組成などに応じて選択
でき、通常、メッキ温度20〜70℃、好ましくは40
〜65℃程度、電流密度10〜100A/dm2 、好ま
しくは30〜60A/dm2 程度である。また、メッキ
時間は、浴の温度、電流効率、所望するメッキ膜厚など
に応じて選択できる。
【0052】マスクとしての前記レジスト22を除去す
る除去工程では、研磨などの機械的方法、酸やアルカリ
を用いてレジスト22を剥離させる化学的方法などによ
りレジスト22を除去できる。好ましい除去方法は、機
械的方法、特に研磨である。レジスト22を除去した一
次メッキ品はバフ仕上げしてもよい。このような方法で
は、レジスト22の除去だけでなく、鉄系ロッド21と
クロムメッキ部24の表面を平滑にでき、第2のクロム
メッキのための下地を調整できる。
【0053】前記除去工程の後、エッチングにより下地
を調整するのが好ましい。エッチングは、エッチング
液、好ましくは塩化第2鉄を含むエッチング液を使用し
て行なうことができる。なお、前記陽極酸化によるエッ
チング処理だけでは、クロムメッキ下地としては不十分
である。すなわち、このエッチング処理時のロッド表面
には、図5に示されるように、クロムメッキ部24と鉄
系ロッド21の鉄とが共存する。従って、この状態でク
ロムメッキ浴やクロム酸水溶液を電解液とした陽極酸化
処理を行なうと、電流は専らクロム24の溶出に利用さ
れ、鉄系ロッド21の表面は殆どエッチングされない。
【0054】一方、エッチング手段として、エッチング
液、特に塩化第2鉄水溶液を用いてエッチングする方法
は極めて有効である。この方法によると、クロムメッキ
部24と鉄系ロッド21の鉄とが共存していても、効率
的に鉄系ロッド21の表面をエッチングすることができ
る。さらに、引続いて、前記陽極酸化によるエッチング
処理を行なうことにより、クロムメッキ部24の表面も
エッチングされ、鉄系ロッド21の表面全体が清浄化及
び活性化できる。そのため、第2のクロムメッキ工程で
の下地として極めて良好な表面を形成することができ
る。
【0055】塩化第2鉄を含む水溶液の濃度は、例え
ば、塩化第2鉄10〜600g/L、好ましくは20〜
100g/L程度である。エッチング液の塗布方法とし
ては、スプレー法、浸漬法、刷毛塗り法、スポンジブラ
ッシング法などのいずれであってもよい。エッチング
は、例えば、10〜300秒、好ましくは30〜120
秒程で完了する。エッチング終了後、水洗、必要であれ
ば、乾燥の後、陽極酸化処理してもよい。なお、エッチ
ング液によるエッチングの後、陽極酸化によるエッチン
グを行なう場合、陽極酸化は短時間行なえばよい。
【0056】第2のクロムメッキ工程では、前記第1の
クロムメッキ工程と同様にしてクロムメッキが施され、
溝23を埋設するクロムメッキ部24と共に、鉄系ロッ
ド21の表面が、硬質クロムメッキ層25で被覆され
る。この第2のクロムメッキにより、溝23には二重メ
ッキが施されるので、腐蝕し易い溝23の防錆効果が著
しく増大する。
【0057】第2のクロムメッキ工程では、最終製品に
おける鉄系ロッド21の表面からの硬質クロムメッキ層
25の厚みが、前記のように、5〜100μm、好まし
くは10〜80μm、さらに好ましくは20〜75μm
程度となるようにクロムメッキすることも重要である。
最終製品における特に好ましい硬質クロムメッキ層の厚
みは30〜50μm程度であり、このような厚みのメッ
キ層は、例えば、1〜2時間程度で形成できる。
【0058】硬質クロムメッキ層25の厚みが小さい場
合には、耐蝕性が低下し易く、厚過ぎる場合には、経済
的でないばかりかメッキに長時間を要し生産性が低下す
る。
【0059】そして、加熱工程において、前記クロムメ
ッキを施したメッキ物を、加熱処理する。この加熱処理
により、硬質クロムメッキ層の厚みが小さくても、耐蝕
性が著しく改善される。
【0060】加熱処理は、例えば、ベーキング、誘導加
熱(例えば高周波加熱など)の種々の加熱方法が採用で
き、その種類は特に制限されない。好ましい加熱処理に
は、ベーキング処理及び高周波加熱処理が含まれる。
【0061】加熱温度は、耐蝕性を向上できる範囲で適
当に選択でき、例えば、100〜800℃、好ましくは
125〜650℃、さらに好ましくは150〜600℃
程度である。加熱温度が100℃未満では、耐蝕性を高
めるのに長時間を要し、800℃を越えると過度な温度
となり作業性が低下し易くなる。
【0062】加熱温度は、加熱方法に応じて選択するこ
ともできる。例えば、ベーキング処理の場合には、伝熱
効率が小さく高温で加熱すると熱エネルギーの損失が大
きくなり易い。そのため、ベーキング温度は、通常、1
00〜300℃、好ましくは125〜250℃、さらに
好ましくは150〜250℃程度の範囲内で選択するの
が好ましい。ベーキング時間は、ベーキング温度に応じ
て、例えば、30分〜12時間、好ましくは1〜8時間
程度の範囲で選択できる。
【0063】ベーキングは、赤外線加熱炉、熱風炉、電
気炉などの種々の加熱炉を用いて行なうことができる。
【0064】一方、誘導加熱による場合には、短時間内
に効率よくシリンダーロッドを加熱処理できるので、シ
リンダーロッドの生産性を著しく向上させることができ
る。特に高周波加熱は、加熱処理効率が高い。高周波加
熱の場合、加熱温度は、100〜800℃、好ましくは
125〜600℃、さらに好ましくは150〜600℃
程度の範囲内で適当に選択できる。なお、高周波加熱の
場合には、加熱温度を直接測定するのが困難であるが、
シリンダーロッドの表面温度を加熱温度とすることがで
きる。
【0065】高周波加熱による加熱の程度は、例えば、
コイルの内径、コイルの幅、高周波発生機の出力、周波
数、シリンダーロッドとコイルとの相対的送り速度など
を調整することにより、任意に制御できる。なお、これ
らのファクターは相互に関連しているので、熱処理に際
して、1つのファクターのみを独立して決定できるもの
ではない。
【0066】以下、ロッドの外径が30〜100mmφ
である場合、高周波加熱条件の一例を、より具体的に説
明する。コイルとシリンダーロッドとの距離が大きくな
るにつれて、誘導電流が小さくなり、表面温度の上昇が
抑制されるので、コイルとシリンダーロッドとの距離
は、熱処理の程度に応じて、例えば、10〜50mm、
好ましくは15〜30mm程度の範囲で選択できる。
【0067】また、コイルの幅は、熱処理時間、および
シリンダーロッドとコイルとの相対的送り速度に関連す
る。コイルの長さが小さい場合や送り速度が大きい場合
には、発熱の程度が小さくなる。そのため、コイルの長
さは、送り速度との関係で適当に選択できるが、通常1
0〜50mm程度で十分である。なお、シリンダーロッ
ドとコイルとの相対的送り速度は、例えば、0.1〜5
m/分、好ましくは0.5〜5m/分程度とすることが
できる。高周波加熱によると、ベーキング処理に比べて
送り速度を大きくできるので、耐蝕性に優れたシリンダ
ーロッドを連続的に効率よくかつ短時間内に製造でき
る。
【0068】高周波発生機の出力は、誘導電流のエネル
ギーに比例するので、出力が大きい程、シリンダーロッ
ドの表面温度が高くなる。高周波発生機の出力は、例え
ば、30〜150kw程度の範囲内で選択できる。周波
数が小さくなると、シリンダーロッドの深部にまで誘導
電流が流れ、局部的な温度上昇が抑制されるようであ
る。周波数は、例えば、3kHz〜1MHz、好ましく
は4〜100kHz、さらに好ましくは4〜10kHz
程度の範囲で選択できる。
【0069】なお、誘導加熱により熱処理する場合、シ
リンダーロッドの大きさ、所望する熱処理の程度などに
応じて、前記条件は適宜選択できる。
【0070】ロッドが焼入れ鋼である場合、前記加熱処
理は、鉄系素地の焼戻し温度を越えない温度で行なうの
が好ましい。ベーキング処理後、メッキ物は、通常、徐
冷される。
【0071】前記加熱時間は、前記先行技術文献に記載
のベーキング時間よりも著しく短い。しかも、本発明に
おいては、1回の加熱処理により耐蝕性が著しく向上す
る。
【0072】前記加熱処理の後、メッキ物の硬質クロム
メッキ層は、バフ仕上げ工程に供するのが好ましい。硬
質クロムメッキ物をバフ仕上げ工程に供することによ
り、耐蝕性をさらに高めることができる。
【0073】このバフ仕上は、前記研磨工程と同様に行
なうことができる。好ましい方法は、大きな研磨力を作
用させて研磨し、順次細かいバフ仕上げを行なう方法で
ある。特に#400〜1000程度のリングバフを行な
った後、#240〜600程度の研磨剤による綿バフや
サイザルバフを行ない、オープンサイザルバフを行なう
のが好ましい。このような方法でバフ仕上げを行なう
と、前記リングバフにより大きな研磨力が作用すると共
に、綿バフやサイザルバフにより、メッキ層の突起部な
どが切削されるだけでなく、塑性変形し、前記メッキ層
のクラックなどの開口部が閉塞され、かつ平滑化される
ため、耐蝕性が向上する。
【0074】このようにして得られたシリンダーロッド
は、メッキ層にクラックなどが存在していても、苛酷な
条件下、例えば、塩水噴霧試験に供しても腐蝕しない。
なお、促進試験により耐蝕性を評価する場合には、10
0〜400℃程度にメッキ物を加熱して上記塩水噴霧試
験に供したり、温度の高い塩水を噴霧すればよい。
【0075】本発明の好ましい態様は次の通りである。
【0076】(1)鉄系ロッドに、加熱処理された硬質
クロムメッキが施されたロッドであって、前記ロッドの
軸方向に、周方向に延びる複数の溝が形成され、これら
の溝が前記硬質クロムメッキ層で埋設されていると共
に、前記ロッドの表面がバフ仕上げされた硬質クロムメ
ッキ層で被覆されているシリンダーロッド。
【0077】(2)鉄系ロッドからの硬質クロムメッキ
層の厚みが、5〜100μmであるシリンダーロッド。
【0078】(3)鉄系ロッドの軸方向に、周方向に延
びる複数の溝を形成し、硬質クロムメッキを施す方法で
あって、前記溝部を除くロッドの領域をマスクして硬質
クロムメッキを施す第1のメッキ工程と、前記マスクを
除去する工程と、エッチングするエッチング工程と、硬
質クロムメッキを施す第2のメッキ工程と、加熱工程
と、バフ仕上げ工程とを含むシリンダーロッドの製造方
法。
【0079】(4)第2のメッキ工程で、鉄系ロッドの
表面からの厚みが10〜150μmの硬質クロムメッキ
層を形成し、加熱処理し、バフ仕上げ工程で、鉄系ロッ
ドの表面からの硬質クロムメッキ層の厚みを5〜100
μmとするシリンダーロッドの製造方法。
【0080】(5)ベーキング温度が100〜300℃
であり、ベーキング時間が30分〜12時間であるシリ
ンダーロッドの製造方法。
【0081】(6)高周波加熱により、シリンダーロッ
ドの表面を100〜800℃に加熱処理するシリンダー
ロッドの製造方法。
【0082】(7)第2のメッキ工程に先立って、メッ
キ下地調整のため、塩化第2鉄の水溶液を用いてエッチ
ングするシリンダーロッドの製造方法。
【0083】本発明は、種々のシリンダーロッド、例え
ば、建設機械用シリンダーロッド、特にピストンロッド
に好適に適用できる。
【0084】
【発明の効果】本発明のシリンダーロッドは、硬質クロ
ムメッキ層の厚みが小さくても、耐蝕性に優れていると
共に、シリンダに対して進退動するロッドの位置検出が
可能である。
【0085】本発明の製造方法によれば、前記の如き優
れた特性を有するロッドを経済的かつ生産性よく製造で
きる。
【0086】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。
【0087】実施例1 外径75mmφの低炭素鋼(S43C)製のロッドを脱
脂処理し、メッキレジスト[大日本インキ化学工業
(株)製、DIC・UV−PR−H」をシルクスクリー
ン印刷法により塗布し、ピッチ100mm、幅2mmの
溝パターンを形成した。なお、溝パターンは、前記ロッ
ドの軸方向に沿って、周方向に延びる複数の被塗布部で
構成されている。紫外線を照射し、メッキレジストを硬
化させた後、ロッドの両端面をテープでマスキングし、
塩化第2鉄の水溶液(濃度500g/L)を20分間ス
プレーし、エッチングした。このエッチング加工によ
り、深さ約100μmの溝を形成した。
【0088】次いで、ロッドを水洗、乾燥し、下記のメ
ッキ浴を用い、ロッドを陽極として陽極酸化法により電
流密度35A/dm2 、30秒間のエッチングを行なっ
た後、メッキ浴の温度50℃、電流密度35A/d
2 、メッキ時間270分の条件で、ロッドの溝部をク
ロムメッキした。
【0089】メッキ浴組成 無水クロム酸:224g/L 硫酸 :2.5g/L 三価クロム :1.5g/L 得られた一次メッキ品を、グラインダ研磨機で研磨し、
レジスト膜を除去した後、円筒バフによりバフ加工する
と共に、塩化第2鉄の水溶液(濃度50g/L)を用い
て3分間に亘りエッチングし、水洗、乾燥することによ
り一次メッキ品の下地を調整した。
【0090】そして、前記メッキ浴を用い、メッキ時間
を90分とする以外、前記と同様の条件で、硬質クロム
メッキを行ない、鉄系ロッドの表面からの厚みが35μ
mの硬質クロムメッキ層を形成した。
【0091】得られた二次メッキ品を温度180℃で5
時間ベーキングし、徐冷した後、仕上げバフ工程に供
し、硬質クロムメッキが施されたピストンロッドを作製
した。なお、仕上げバフは、#1000番のリングバ
フ、#320番の綿バフ、#400番の綿バフ、及びオ
ープンサイザルバフの順序で行なった。バフ仕上げによ
り、鉄系ロッドの表面からの硬質クロムメッキ層の厚み
は33μmとなった。
【0092】実施例2 ベーキング温度を160℃とし、最終バフ仕上げによ
る、鉄系ロッドの表面からの硬質クロムメッキ層の厚み
を50μmとする以外、実施例1と同様にして、ピスト
ンロッドを作製した。
【0093】実施例3 ベーキング温度を230℃とし、最終バフ仕上げによ
る、鉄系ロッドの表面からの硬質クロムメッキ層の厚み
を25μmとする以外、実施例1と同様にして、ピスト
ンロッドを作製した。
【0094】実施例4 メッキ浴の組成を、無水クロム酸224g/L、硫酸
2.3g/L及び三価クロム1.5g/Lとする以外、
実施例1と同様にして、ピストンロッドを作製した。
【0095】実施例5 仕上げバフ工程における#1000番のリングバフに代
えて、#600番のリングバフを行なう以外、実施例1
と同様にして、ピストンロッドを作製した。
【0096】実施例6 一次メッキ品を、塩化第2鉄の水溶液によるエッチング
処理に供することなく、実施例1と同様にして、ピスト
ンロッドを作製した。
【0097】比較例1 ベーキング処理することなく、実施例1と同様にして、
ピストンロッドを作製した。
【0098】比較例2 メッキ浴の組成を、無水クロム酸224g/L、硫酸
1.9g/L及び三価クロム1.5g/Lとし、ベーキ
ング処理することなく、実施例1と同様にして、ピスト
ンロッドを作製した。
【0099】そして、各実施例及び比較例で得られたピ
ストンロッドの耐蝕性を、次のような促進試験方法によ
り評価した。
【0100】先ず、メッキ後48時間経過後のピストン
ロッドを400℃に加熱し、冷却した後、JIS Z
2371に準じて塩水噴霧試験に供し、8時間経過後の
腐蝕の程度を下記の基準で評価した。結果を表に示す。
【0101】優 :赤錆の発生なし 良 :5〜10%赤錆あり 可 :10〜20%赤錆あり 不可:30%以上赤錆あり
【0102】
【表1】 表より、実施例1〜6で得られたピストンロッドは、比
較例1及び比較例2で得られたピストンロッドよりも著
しく耐蝕性が高い。なお、実施例1〜5で得られたピス
トンロッドは、100時間の塩水噴霧試験に供しても赤
錆が発生しなかった。また、実施例6で得られたピスト
ンロッドは、48時間の塩水噴霧試験ににより、5〜1
0%赤錆が発生した。
【0103】実施例7 実施例1のロッドに代えて、外径65mmφの低炭素鋼
(S43C)製のロッド(ロッド全体の長さ590m
m、シャフトの長さ120mm)を用い、実施例1と同
様にして、鉄系ロッドの表面からの厚み30μmの硬質
クロムメッキ層を形成した。
【0104】次いで、コイル(内径86mmφ、幅20
mm)の中空部に前記ロッドを配し、電圧300V、高
周波発生機の出力50kw、周波数5.0kHz、コイ
ルの送り速度2.8m/分の条件で高周波加熱処理し
た。なお、上記条件で処理したときのピストンロッドの
表面温度を測定したところ、180℃であった。
【0105】加熱処理したピストンロッドを最終バフ仕
上げに供し、鉄系ロッドの表面からの硬質クロムメッキ
層の厚み27μmのシリンダーロッドを作製した。
【0106】そして、得られたピストンロッドの耐蝕性
を、次のような促進試験に供した。すなわち、ピストン
ロッドをベーキング炉を用い175℃で90分間加熱
し、冷却した後、JIS Z 2371に準じて50℃
に加熱した塩水を噴霧する塩水噴霧試験に供し、48時
間経過後の腐蝕の程度を前記と同様の基準で評価した。
その結果、赤錆の発生は認められなかった。
【0107】実施例8 実施例7のコイルを用い、高周波加熱条件を、電圧46
0V、高周波発生機の出力80kw、周波数6.0kH
z、コイルの送り速度3.3m/分とする以外、実施例
7と同様にして、シリンダーロッドを作製した。
【0108】なお、上記の条件で高周波加熱処理したと
きのピストンロッドの表面温度を測定したところ、50
0℃であった。
【0109】そして、得られたピストンロッドを、実施
例7と同様の促進試験に供し、耐蝕性を評価したとこ
ろ、赤錆の発生は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のシリンダーロッドの一例を示す
概略斜視図である。
【図2】図2は、本発明のシリンダーロッドの他の例を
示す概略斜視図である。
【図3】図3は凹部形成工程を示す断面図である。
【図4】図4は第1のクロムメッキ工程を示す断面図で
ある。
【図5】図5はマスクを除去する除去工程を示す断面図
である。
【図6】図6は第2のクロムメッキ工程を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1,11…シリンダーロッド 2,12…溝 3,14…クロムメッキ層 13…基準溝 21…鉄系ロッド 22…レジスト 23…溝 24…クロムメッキ部 25…クロムメッキ層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄系ロッドに硬質クロムメッキが施され
    たロッドであって、前記ロッドの軸方向に複数の凹部が
    形成され、これらの凹部が前記硬質クロムメッキ層で埋
    設されていると共に、前記ロッドの表面が硬質クロムメ
    ッキ層で被覆されているシリンダーロッド。
  2. 【請求項2】 鉄系ロッドの軸方向に複数の凹部を形成
    し、硬質クロムメッキを施す方法であって、前記凹部を
    除くロッドの領域をマスクして硬質クロムメッキを施す
    第1のメッキ工程と、前記マスクを除去する工程と、硬
    質クロムメッキを施す第2のメッキ工程と、この第2の
    メッキ工程の後、少なくとも加熱する加熱工程とを含む
    シリンダーロッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 第2のメッキ工程に先立って、ロッドを
    塩化第2鉄によりエッチングする請求項2記載のシリン
    ダーロッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 硬質クロムメッキ工程において、無水ク
    ロム酸100g/Lに対して硫酸を1.0〜1.5g/
    L含むメッキ浴を用いる請求項2記載のシリンダーロッ
    ドの製造方法。
  5. 【請求項5】 加熱をベーキング又は高周波加熱で行な
    う請求項2記載のシリンダーロッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 加熱温度が100〜800℃である請求
    項2記載のシリンダーロッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 加熱した後、バフ仕上げする請求項2記
    載のシリンダーロッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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US6855235B2 (en) 2002-05-28 2005-02-15 Applied Materials, Inc. Anode impedance control through electrolyte flow control
WO2010035570A1 (ja) * 2008-09-29 2010-04-01 株式会社ジェイテクト 転がり摺動部材およびその製造方法

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