JPH0530461B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、眼球運動を高精度に測定する眼球運
動測定装置に関するものであり、さらに詳しく
は、眼球屈折力測定装置のための眼球運動の測
定、あるいは自動車運転者の注視方向の計測、心
理的実験における視線方向の計測等に適した眼球
運動測定装置に関するものである。

［従来の技術］ 従来から知られている眼球運動測定装置として
は、 (a) 角膜反射光を利用する方法、 (b) 瞳孔縁の反射光を利用する方法、 (c) プルキニエの第１、第４像を利用する方法
（例えば、APPLIED OPTICS Vol.24、No.４
1985参照）、 などがあるが、いずれも被測定眼の角膜等、光学
的屈折面の曲率の個人差に依存する方法で、その
個人差を除去して高精度の測定を行うことは、原
理上困難である。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明の技術的課題は、各個人において異なる
角膜の曲率半径等の影響を排除することが可能で
あるばかりでなく、眼球運動を高精度に測定可能
にした眼球運動測定装置を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記課題を解決するため、本発明の眼球運動測
定装置は、眼球の動きに応じて回転させる回転ミ
ラーを備え、眼球の実像を眼球の向きの変化に拘
らず静止させた状態に結像させるリレー光学系、
上記光学系において眼球を正面から照射する光ビ
ームと光学的に同軸の光軸上に配置されたモニタ
ー、零位法によつて眼球の角膜反射光の光点を常
にモニターの画面の原点に保持するように、回転
ミラーの揺動駆動機構を制御する制御器を備え、
この制御器から出力される回転ミラーの偏位角を
用いて眼球の回転角を測定可能に構成している。

［作用］ 制御器においては、光学系の光軸上に設置した
モニター上の原点に角膜反射光の光点を保持する
ように回転ミラーの制御（零位法）を行い、この
ような制御を行うための回転ミラーの偏位角を用
いて眼球の回転角が測定される。

その結果、各個人において異なる角膜の曲率半
径等の影響を排除することが可能であるばかりで
なく、眼球運動を高精度に測定可能にした眼球運
動測定装置を得ることができる。

［実施例］ 本発明は、本発明者らが先に提案した特願昭60
−146227号（発明の名称：「眼球屈折力測定装
置」）における眼球運動追従部の追従速度と測定
分解能を上げるようにしたものであるが、眼球屈
折力測定装置における眼球運動の測定に限るもの
でないことは勿論であり、各種の眼球運動の測定
に適用することができる。

第１図に示す本発明の実施例は、上述した眼球
屈折力測定装置に本発明に係る眼球運動測定装置
を付設した場合を示すもので、同図において、１
は測定対象である被験者の眼球、２はその被験者
の頭部の特定位置に設けた基準点で、以下に詳述
するように、測定器と眼球の位置を一定の関係に
保持し、眼球の平行移動を補償するためのもので
ある。

眼球屈折力の測定に用いる光源兼受光測定装置
４は、上記眼球１に対してビーム状赤外光パルス
を照射すると共に、眼底からの反射光を受光する
もので、その光源兼受光測定装置４と眼球１の前
方に配設されるダイクロイツクミラー５との間に
は、上記光源兼受光測定装置４の側から、順次、
ビームスプリツタ７、一対のレンズ８，９を有す
る光学系、回転ミラー１０、球面ミラー１１、上
記回転ミラー１０と共に傾動が制御される回転ミ
ラー１２、上記球面ミラー１１と相対向する球面
ミラー１３が配設されている。上記回転ミラー１
０，１２は、それらを直交２軸のまわりに回転可
能な単一の回転ミラーによつて構成することもで
きる。

眼球１の前方に配設される上記ダイクロイツク
ミラー５は、可視光を通過させるが赤外光を反射
させるものである。そのため、光源兼受光測定装
置４からの赤外光ビームは、上記レンズ及び各ミ
ラーからなるリレー光学系を通して眼球１を照射
することになるが、これは眼球の実像がレンズ８
の光源兼受光測定装置４側に作られることにほか
ならない。

而して、回転ミラー１０，１２を眼球の動きに
応じて２軸あるいはいずれかの軸のまわりに所定
量傾ければ、リレー光学系によつて作られる眼球
の実像を眼球１の向きの変化に拘らず静止させた
状態にすることができ、赤外光ビームによつて眼
球１を常に正面から照射することができる。な
お、この点については、前記特願昭60−146227号
において詳細に開示している。

眼球１の前方に配設される上記ミラー５及びそ
の背後のダイクロイツクミラー１５を介して透視
される情報入出力装置１６は、眼球の屈折力の測
定に際して視標として用いられるものであり、ま
たそのダイクロイツクミラー１５によつて反射さ
れる光の向きに配設した眼球１の位置補正用イメ
ージセンサ（PSD：Position Sensitive Ditector
またはCCDによつて実現される。）１８は、頭部
に固定された前記基準点２を測定し、屈折力測定
装置と眼球の位置を一定の関係に保持させるため
のものである。さらに、前記ビームスプリツタ７
によつて分割された光軸上、即ち測定光と光学的
に同軸の光軸上には、PSDまたはCCDによつて
構成されるモニター２０を配置している。このモ
ニター２０は、零位法によつて眼球の反射光点を
常にモニターの画面２１の原点に保持するよう
に、回転ミラー１０，１２の揺動駆動機構（図示
せず）を制御し、回転ミラー１０，１２に必要な
傾動を与えるものである。

なお、図中における２５は、装置全体を載置し
て、上下、前後及び左右に位置調整可能にした測
定器ベツドを示し、イメージセンサ１８において
基準点２を原点に保持すべく制御する（零位法）。
しかしながら、被験者の頭部を菌型等によつて固
定するようにすれば、その位置調整機能を省略す
ることができる。

このような構成を有する眼球屈折力測定装置
は、位置補正用イメージセンサ１８により頭部に
固定した基準点２を測定し、それによつて屈折力
測定装置と眼球の位置を一定の関係に保持させ
て、眼球の平行移動を補償し、その状態で眼球１
の向きの変化をモニター２０で検出し、その出力
に応じて回転ミラー１０，１２を傾動させ、眼球
１の向きに拘らずに常に赤外光を眼球１の正面か
ら投射可能とし、それにより眼球の屈折力の測定
を行うようにしたものである。

さらに具体的に説明すると、光源兼受光測定装
置４は、ビーム状に収束された赤外光をパルス状
に変調して射出すると共に、眼底からの反射光を
受光して屈折力を測定するが、その測定光の光軸
上に配置しモニター２０によつて、常に眼球１の
反射光点がモニターの原点を保持するように、回
転ミラー１０，１２が制御される。即ち、モニタ
ー２０においては、零位法によつて反射光点をモ
ニターの原点に保持する制御が行われる。この方
法によつて、PSDまたはCCD等のモニターの画
面における非線形性に影響されることなく、高精
度の制御が可能になる。また、特に零位法を採用
することによつて、従来の眼球運動法定法におい
て問題になつていたところの、各個人において異
なる角膜の曲率半径等の影響を、排除することが
可能になり、同時に、模型眼等を用いて基準点か
らの回転角度の絶対測定も可能になる。さらに、
ガルバノの回転角度の２倍まで測定可能となるた
め、従来のものより広角度の眼球回転角度が測定
可能となる。

第２図は、上記眼球運動測定装置における回転
ミラー１０，１２の揺動駆動機構を零位法によつ
て制御する制御器のブロツクダイヤグラムを示し
ている。即ち、眼球の回転θeにより、角膜反射光
の光点はPSDからなるモニター２０の画面上の
重心位置として出力される。制御器においては、
モニター２０の出力と回転ミラー１０，１２に取
付けたガルバノの偏差信号を用いて、Ｉ−PD制
御系が構成される。ここで、モニター２０の出力
と設定値の差が積分器に直接入力されるため、上
記制御系が安定である限り、モニター２０の出力
は設定値に一致する。即ち、モニター２０は指定
された位置に常に角膜反射光の光点がくるよう
に、上記ガルバノの角度θが制御される。よつ
て、モニター２０が非線形性を持つていても、さ
らに各個人の角膜の曲率が異なつていても、ガル
バノに取付けられたミラーの角度は、モニター２
０の分解能（PSDでは1/5000程度）、全体のノイ
ズレベル程度まで、高精度に設定され、結果的に
眼の回転角が高精度に測定可能となる。

［発明の効果］ 本発明の眼球運動測定装置によれば、眼球運動
の測定に際し、各個人において異なる角膜の曲率
半径等の影響を排除することが可能であるばかり
でなく、モニターの画面における非線形性等の影
響を受けることがなく、さらに眼球の平行移動の
影響を排除し、眼球運動を高精度に測定すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例の全体的構成を示す斜
視図、第２図は上記実施例における回転ミラーを
制御するための制御器のブロツクダイヤグラムで
ある。 １……眼球、２……基準点、４……光源兼受光
測定装置、１０，１２……回転ミラー、１８……
イメージセンサ、２０……モニター。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 眼球の動きに応じて回転させる回転ミラーを
   備え、眼球の実像を眼球の向きの変化に拘らず静
   止させた状態に結像させるリレー光学系、上記光
   学系において眼球を正面から照射する光ビームと
   光学的に同軸の光軸上に配置されたモニター、零
   位法によつて眼球の角膜反射光の光点を常にモニ
   ターの画面の原点に保持するように、回転ミラー
   の揺動駆動機構を制御する制御器を備え、この制
   御器から出力される回転ミラーの偏位角を用いて
   眼球の回転角を測定可能にしたことを特徴とする
   高精度眼球運動測定装置。