JPH053008A - 回転陽極ｘ線管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 重量の大きい陽極ディスクとロータ軸との、
またはロータ軸とロータ金具との締結ろう付け強度を高
め、両者間の寸法精度は損なわれないようにすること。 【構成】 ロータ軸の両端部に設けられているフランジ
部と当たる締結接合部の少なくとも一方に、位置出し用
の当たり面とろう付け面とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は回転陽極Ｘ線管に関し、
とくに重量が大きいその陽極部の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】回転陽極Ｘ線管は近年の需要としてその
出力Ｘ線量の大容量なものが求められており、つまりこ
のような大容量化に伴ない、陽極部の陽極ディスクない
しターゲットディスクの重量は従来では５００ｇ程度で
あったものが数倍の１．５〜２．０Ｋｇにも達してい
る。また、この重量の大きなターゲットディスクを従来
と変わらぬように僅か３〜４秒の間に０〜９０００ｒ．
ｐ．ｍに起動させてやる必要があり、図５に示すよう
に、陽極ディスク１とこれと直結したロータのロータ軸
２との締結部およびロータ軸２のろう付け部には大きな
ねじり力が加わる。このため、両者に対し、ろう付けを
行なっている。

【０００３】なお、図５において、他の部材として、３
はロータ金具、２ａと２ｂはロータ軸２が締結用に備え
たフランジ部、４はロータシリンダであり、ロータはロ
ータ軸２、ロータ金具３及びロータシリンダ４とからな
る。

【０００４】また、この図面に示していないが、陽極デ
ィスク１の左側に陰極部が配置され、陽極部と陰極部と
が図示しない容器により包持されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前記したねじり力に対
してゆるみ止めの効果を示すように、ろう付け面６、
６’は図３及び図４に示すとおり、回転軸２ｘから距離
をとったフランジ部２ａ、２ｂに対しても設けることが
望ましい。なお、図３はロータ軸２と陽極ディスク１と
の締結要部を、また図４はロータ軸２とロータ金具３と
の締結要部をそれぞ示している。

【０００６】ところが、このフランジ部２ａ、２ｂにお
いては、相手との締結接合面は２つの部材の位置出しの
ための当り面を兼ねているため、すき間がほとんどな
い。このため、ろう材５、５’が流れない。または流れ
たとしてもごく僅かになり、ろう接強度が落ちてしま
う。

【０００７】本発明の目的は、重量の大きい陽極ディス
クとロータ軸との、またはロータ軸とロータ金具とのろ
う付け強度を高め、同時に両者間の位置合わせの精度も
確保できる、回転陽極Ｘ線管を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記した目的は、外囲器
内に真空包持された陽極部と陰極部とからなり、陽極部
は陰極部からの加速、集束された電子と衝突させるディ
スクと、これを回転させるロータとを有し、このロータ
は、少なくとも前記ディスクの取り付け端に形成された
連結用フランジ部を有するロータ軸と、前記ロータ軸が
固定されたロータ金具と、このロータ金具に一体のロー
タシリンダとよりなる、回転陽極Ｘ線管において、ディ
スクとロータ軸のフランジ部との接合部の少なくとも１
方に、位置出し用の当り面とろう付け用の面とを設ける
ことにより、達成される。

【作用】

【０００９】ディスクとロータ軸の一方端フランジ部と
の接合部の少なくとも１方に、またロータ軸の他方端フ
ランジ部とロータ金具との接合部の少なくとも１方に、
位置出し用の当り面とろう付け用の面とを設けているの
で、位置出し用の当り面により両者間の位置合わせ精度
を確保でき、ろう付け面により両者間のろう付け強度が
高められる。

【００１０】

【実施例】本発明の好適な実施例は、図１及び図２につ
いて説明される。

【００１１】図３では陽極ディスク１とロータ軸２とは
すきまばめであるため、はめ合い部にはすき間がある
が、フランジ部２ａの陽極ディスクとの接合面は位置出
し用の当り面であり、すき間はない。

【００１２】そこで、本発明によれば、図１のようにフ
ランジ２ａには位置出し用の面２ｃとろう付け用の面２
ｄが設けられている。 ろう付け用の面２ｄは位置出し
用の面２ｃに対して好ましくは１０〜３０μｍ程度の段
差があり、これによって組立てられたときに、ろう付け
用の面２ｄにはこの段差に等しいすき間が生じる。

【００１３】ろう付けの際には、すなわち外部からの高
周波加熱など、或いは電子衝撃による熱により、このす
き間にろう材５が流れこみ、高いろう付け強度が得られ
る。

【００１４】図２は本発明によるロータ軸とロータ金具
との締結要部破断面図であり、位置出し用面２ｅとろう
付け用面２ｆとが配設されており、図１と同様の作用効
果を奏する。

【００１５】なお、ろう付け面と位置出し用との段差、
すなわちろう付けすき間は使用するろう材の特性によっ
て任意に選ぶことができる。ろう材としては、例えば、
Ａｕ−Ｐｄの９２対８の重量％合金、Ｐｄ−Ｎｉの６０
対４０の重量％合金、或いは１００％Ｃｕ、さらにはＮ
ｉ−Ｃｒ−Ｂ−Ｓｉ−Ｆ合金などが挙げられる。

【００１６】上記の図示例では、いずれもロータ軸側２
に対して２つの面をもつようなフランジ２ａ、２ｂを設
けたが、陽極ディスク側１やロータ金具側３に、位置出
し用面とろう付け用面との２つの面を配設しても同様の
効果が得られることは明白である。

【００１７】

【効果】陽極ディスクの重量が大きく、従って大容量の
Ｘ線量が求められるＸ線撮影において、陽極部の破損が
少なく、寿命の長い回転陽極Ｘ線管を提供する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例を示した要部破断面図。

【図２】他の実施例を示した要部破断面図。

【図３】従来例を示した要部破断面図。

【図４】他の従来例を示した要部破断面図。

【図５】回転陽極Ｘ線管の陽極部概略図。

【符号の説明】

１ 陽極ディスク ２ ロータ軸 ３ ロータ金具 ４ ロータシリンダ ５ ろう材 ６ ろう付け面 ２ａ フランジ部 ２ｂ フランジ部 ２ｃ 位置出し用面 ２ｄ ろう付け用面 ２ｅ 位置出し用面 ２ｆ ろう付け用面

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 外囲器内に真空包持された陽極部と陰極
   部とからなり、陽極部は陰極部からの加速、集束された
   電子と衝突させるディスクと、これを回転させるロータ
   とを有し、このロータは、少なくとも前記ディスクの取
   り付け端に形成された連結用フランジ部を有するロータ
   軸と、前記ロータ軸が固定されたロータ金具と、このロ
   ータ金具に一体のロータシリンダとよりなる、回転陽極
   Ｘ線管において、ディスクとロータ軸のフランジ部との
   接合部の少なくとも１方に、位置出し用の当り面とろう
   付け用の面とを設けていることを特徴とする、回転陽極
   Ｘ線管。