JPH05299065A - 圧潰封止形管球およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】圧潰封止部と覆い部材の間に注入した接着剤が
外部リード線に付着しないようにした圧潰封止形管球お
よび製造方法を提供する。 【構成】バルブ１の端部に形成した圧潰封止部２に覆い
部材８を被せ、これら圧潰封止部と覆い部材を接着剤１
０を介して接合した管球において、上記圧潰封止部の先
端に膨出部３０を形成したことを特徴とする。 【作用】圧潰封止部の先端に膨出部を形成したので、覆
い部材と圧潰封止部との間に接着剤を注入した場合、圧
潰封止部を伝わって流下する接着剤は上記膨出部により
垂れ下がりが阻止され、外部リード線に付着するのが防
止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、バルブの端部に形成し
た圧潰封止部に接着剤を介して口金等のような覆い部材
を接合した圧潰封止形管球およびその製造方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】管球のバルブとして石英等のような耐熱
性ガラスを用いたランプは、端部を圧潰して封止してあ
る。このような圧潰封止部（ピンチシール部）には、口
金や反射鏡が取り付けられることがある。

【０００３】例えば、片側封止構造のハロゲン電球の場
合について、図２および図３にもとづき説明すると、１
はハロゲン電球のバルブであり、透明な石英ガラスある
いは硬質ガラスなどのような耐熱性ガラスにより円筒形
に形成されている。このバルブ１の一端には圧潰封止部
２が形成されている。この封止部１にはモリブデンなど
からなる一対の金属箔導体３，３が封着されており、こ
れら金属箔導体３，３は内部導線兼用のサポ−トワイヤ
４，４が接続されている。これらサポ−トワイヤ４，４
はバルブ１内に導かれ、これらの両端間にタングステン
からなるコイルフィラメント５が架設されている。ま
た、金属箔導体３，３には外部リード線６、６が接続さ
れており、これら外部リード線６、６は圧潰封止部２の
端面から導出されている。

【０００４】上記圧潰封止部２には口金８が取り付けら
れている。図の口金８は、金属製のシェル８０と、セラ
ミックスなどの絶縁体からなるベ−ス９０とを有してい
る。金属製シェル８０は、両端が開口した円筒部８１の
一端にフランジ部８２を有している。絶縁セラミックベ
−ス９０は、一端が開口した有底円筒形をなしており、
内部には上記圧潰封止部２が嵌め込まれる大きさの中空
部９１を有し、他端の底壁には一対の貫通孔９２、９２
が形成されている。この絶縁セラミックベ−ス９０は上
記金属製シェル８０の円筒部８１に嵌め込まれ、これら
両者は耐熱性絶縁接着剤（セメント）９により接合され
ている。

【０００５】また、絶縁セラミックベ−ス９０には上記
圧潰封止部２が挿入され、これら絶縁セラミックベ−ス
９０の内面と圧潰封止部２の外面との間には耐熱性絶縁
接着剤（セメント）１０が充填され、この接着剤１０に
より圧潰封止部２は絶縁セラミックベ−ス９０に接合さ
れている。

【０００６】圧潰封止部２の端面から導出された外部リ
ード線６、６は、絶縁セラミックベ−ス９０の中空部９
１を挿通し、底壁に形成した一対の貫通孔９２、９２に
取着されたハトメ端子１１、１１に半田１２などの手段
で接続されている。このような構造により、片封止形ハ
ロゲン電球は口金８に取着されているものである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】このようなハロゲン電
球において圧潰封止部２と絶縁セラミックベ−ス９０と
を耐熱性絶縁接着剤１０により接合する場合、圧潰封止
部２を絶縁セラミックベ−ス９０の開口部から差し込
み、この開口部より図３に示すように、注入ノズル２０
を通じて接着剤１０を中空部９１に充填するようにして
いる。この場合、注入された接着剤１０は、粘性液状で
あるから垂れ下がり、圧潰封止部２を伝わって流下す
る。この際、圧潰封止部２は平坦面であるから、接着剤
１０は圧潰封止部２の下面側に回り込み、圧潰封止部２
の下面から導出されている外部リード線６、６の回りに
付着する。

【０００８】このような状態においては、使用する接着
剤１０として絶縁性に優れた接着剤を用いているが、こ
の種の接着剤は吸湿性が強い性質をもち、使用中に回り
の環境湿度が高くなると絶縁性能が著しく低下し、吸着
した湿気のためむしろ導電性が良くなることがある。こ
のように接着剤１０の絶縁性が劣化すると、一対の外部
リード線６、６間が導電状態になり、短絡する心配があ
る。そして、接着剤１０の回り込みを防止するため、接
着剤の注入量を制限した場合は、接着強度が不足してル
ーズベースを発生し易くなる。

【０００９】本発明はこのような事情に基づき成された
もので、その目的とするところは、注入した接着剤が外
部リード線に付着しないようにして絶縁低下を防止し、
しかも抜け出しも防止されるようにした圧潰封止形管球
およびその製造方法を提供しようとするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の管球は、バルブ
の端部に圧潰封止部を形成し、この圧潰封止部から外部
リード線を導き、上記圧潰封止部に覆い部材を被せ、こ
れらの圧潰封止部と覆い部材とをこれらの間に注入した
接着剤を介して接合した管球において、上記圧潰封止部
の先端に膨出部を形成したことを特徴とする。

【００１１】本発明の管球の製造方法は、バルブの端部
に圧潰封止部を形成するとともにこの圧潰封止部の先端
に膨出部を形成し、この圧潰封止部およびこの圧潰封止
部から導出された外部リード線に覆い部材を被せ、上記
圧潰封止部の基端側から上記圧潰封止部と覆い部材との
間に接着剤を充填し、上記圧潰封止部の先端に形成した
膨出部により上記接着剤が外部リード線に接触するのを
規制するようにしたことを特徴とする

【００１２】

【作用】本発明の管球および製造方法のいづれの場合
も、圧潰封止部の先端に膨出部を形成したので、口金な
どのような覆い部材と圧潰封止部との間から接着剤を注
入した場合、圧潰封止部を伝わって流下する接着剤は上
記膨出部により垂れ下がりが阻止され、外部リード線に
付着するのが防止される。また、この膨出部は抜け止め
抵抗となり、ランプが覆い部材から抜け出すのが防止さ
れる。

【００１３】

【実施例】以下本発明について、図１に示す一実施例に
もとづき説明する。図１においては、図２および図３に
示した従来と同様の構成は同一番号を付して説明を省略
し、異なる構成のみを説明する。

【００１４】本実施例では、バルブ１の端部に形成した
圧潰封止部２の先端部に膨出部３０を形成してある。こ
の膨出部３０は、圧潰封止工程においてバルブの端部を
圧潰治具にて押し潰す時に、この先端部を残して押し潰
すことにより形成することができ、図１の状態ではフレ
ア形状にみえる。

【００１５】このようなハロゲン電球においては、圧潰
封止部２を絶縁セラミックベ−ス９０に差し込んで耐熱
性絶縁接着剤１０を絶縁セラミックベ−ス９０の開口部
から注入ノズル２０を通じて充填すると、接着剤１０は
粘性液状であるから垂れ下がり、圧潰封止部２を伝わっ
て流下する。しかし、この場合、圧潰封止部２の下端部
には膨出部３０を形成してあるから、接着剤１０が圧潰
封止部２の下面側に回り込むのが防止され、圧潰封止部
２の下面から導出されている外部リード線６、６に接着
剤１０が付着するのが阻止される。

【００１６】したがって、接着剤１０が吸湿作用により
絶縁性能が著しく低下しても、外部リード線６、６は接
着剤に接触していないから外部リード線６、６間が接着
剤により導電状態になる心配はない。これら外部リード
線６、６は絶縁空間を存して離間しているから、絶縁状
態が保たれる。このため、接着剤の注入量を制限する必
要がなく、接着強度の不足によるルーズベースの発生を
防止する。

【００１７】しかも、上記膨出部３０は接着剤１０から
抜け出す場合の抵抗となり、バルブ１が絶縁セラミック
ベ−ス９０から抜け出すのが防止され、接着強度が高く
保たれる。

【００１８】また、膨出部３０を形成することにより、
圧潰封止部２の表面積が平坦な場合に比べて大きくな
り、放熱面積が増すから圧潰封止部２の温度を引き下
げ、金属箔導体３、３の酸化、封着部のリークなどが防
止される。なお、本発明は上記実施例の構造に制約され
るものではない。

【００１９】つまり、上記実施例の場合、口金８が金属
製のシェル８０と、セラミックスなどの絶縁体からなる
ベ−ス９０とで構成されている場合を説明したが、口金
は金属製シェルのみで構成したもの、またはセラミック
スなどの絶縁体からなるベ−スのみで構成したものであ
ってもよい。

【００２０】また、この種のハロゲン電球はレフレクタ
と組み合わせて投光装置を構成することがあり、この場
合ハロゲン電球の圧潰封止部をレフレクタの中央背面に
形成した筒形の収容部に挿入し、これら両者を接着剤で
接合するようになっている。本発明は、レフレクタの筒
形収容部が覆い部に相当し、よってこのような構造の管
球にも適用可能である。

【００２１】さらにまた、本発明は圧潰封止部を有する
管球に適用可能であり、この種の管球は実施例で示した
片封止形ハロゲン電球の外に、両端封止形ハロゲン電球
に適用可能であるばかりでなく、放電灯の発光管、外管
などにも適用可能であ。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように本発明によると、圧
潰封止部の先端に形成した膨出部が圧潰封止部を伝わっ
て流下する接着剤の垂れ下がりが防止し、外部リード線
に付着するのを阻止する。このため、接着剤が吸湿作用
により絶縁性能を低下しても、外部リード線間は接着剤
に接触していないから短絡する心配がない。よって、接
着剤の注入量を制限する必要がなく、接着強度の低下に
よるルーズベースの発生を防止し、また、上記膨出部は
接着剤から抜け出す場合の抵抗となり、バルブが絶縁セ
ラミックベ−スから抜け出すのが防止され、接着強度が
高く保たれる。さらに、膨出部を形成することにより、
圧潰封止部の表面積が平坦な場合に比べて大きくなり、
放熱面積が増すから圧潰封止部の温度を引き下げ、金属
箔導体の酸化や封着部のリークなどを防止するようにな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す片封止形ハロゲン電球
と口金の接合状態を示す図。

【図２】従来の片封止形ハロゲン電球と口金の分解斜視
図。

【図３】従来の片封止形ハロゲン電球と口金の接合状態
を示す図。

【符号の説明】 １…バルブ、２…封止部、５…フィラメント、６…外部
リード線、８…口金、９、１０…接着剤、１１…ハトメ
端子、３０…膨出部、８０…金属製のシェル、９０…セ
ラミックベ−ス。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】バルブの端部に圧潰封止部を形成し、この
   圧潰封止部から外部リード線を導き、上記圧潰封止部に
   覆い部材を被せ、これらの圧潰封止部と覆い部材とをこ
   れらの間に注入した接着剤を介して接合した管球におい
   て、 上記圧潰封止部の先端に膨出部を形成したことを特徴と
   する圧潰封止形管球。
2. 【請求項２】 上記管球はハロゲン電球であることを特
   徴とする請求項１に記載の圧潰封止形管球。
3. 【請求項３】 バルブの端部に圧潰封止部を形成すると
   ともにこの圧潰封止部の先端に膨出部を形成し、この圧
   潰封止部およびこの圧潰封止部から導出された外部リー
   ド線に覆い部材を被せ、上記圧潰封止部の基端側から上
   記圧潰封止部と覆い部材との間に接着剤を充填し、上記
   圧潰封止部の先端に形成した膨出部により上記接着剤が
   外部リード線に接触するのを規制するようにしたことを
   特徴とする圧潰封止形管球の製造方法。