JPH0529700Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、超音波振動により生物組織を切削、
分離するための外科手術装置の超音波ホーンに関
するものである。

〔従来の技術〕

従来、生物組織、特に硬骨組織及び軟骨組織の
切断分離には外科用メスが用いられているが、切
断作業の効率が悪く長時間を要し、手術者に多大
の労力がかかり、且つ切断分離に高度の技術を必
要とするという欠点があつた。

また、超音波を利用した外科手術用具も多数開
発されており、超音波振動源に接続された操作部
を超音波振動させ、接触した生物組織を破砕し、
吸引除去する為の外科手術用具（例えば特公昭47
−39197号公報）や、硬質及び軟質の生物組織の
切断分離用として開発された、超音波振動源に接
続されたのこぎり状の操作部分を有する外科用手
術用具などが知られている。しかし、振動方向に
対して垂直な平面の操作部を有した振動体が、軟
質の生物組織の表面層を超音波振動によつて破
砕、乳化、吸引除去する外科手術用具は、超音波
周波数の機械的振動によつて生物組織の表面層を
たたく作用で組織を破砕しているため、操作部を
生物組織に深くくい込ませて組織を切断分離する
作業は難しく、更に硬い生物組織を切断するには
不適当であつた。また、超音波振動するのこぎり
状の操作部分によつて生物組織を切断分離する外
科手術用具は、切断効率を向上させるために操作
部の形状を工夫しているが、切断に必要とされる
30〜50μｍ程度の操作部の振幅によつて、操作部
と切断される生物組織との間に摩擦熱が発生し、
操作部、例えば熱伝導性の優れたチタン合金の場
合でも数百度の表面温度に達し、切断されている
組織は炭化される。更に、刃形状等の肉厚の薄い
操作部は摩擦熱によつて劣化し、破断する恐れが
あつた。

この他、従来のホーンでは作業部が大きく接触
面積が大き過ぎる為に、必要以上に生物組織を破
砕する問題もあつた。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は、従来の外科手術用具のこのような問
題点を解決することを目的としたもので、ホーン
の発熱により生物組織を炭化させ、あるいはホー
ン自体を劣化させるという問題を解消すると共
に、細かい作業に適した形状の医療用超音波ホー
ンを提供しようとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

即ち本考案は、超音波振動により生物組織を切
削、分離する外科手術装置の超音波ホーンであつ
て、該ホーンの前方部が多角錐形状もしくは多稜
錐形状をなし、内部に送液通路を有すると共に、
該送液通路がホーンの先端近傍部内で分岐し、ホ
ーンの先端近傍部表面で開口していることを特徴
とする医療用超音波ホーンである。

以下、図面に基づいて本考案を詳しく説明す
る。

第１図は本考案の実施例となる医療用超音波ホ
ーンを示す側面図（一部断面図）で、第２図およ
び第３図は第１図ａのＡ−A′断面図である。こ
れらの図から分かるように、ホーン１の前方部は
錐形状をなしており、第２図に断面形状を示した
如く、三角錐、四角錐、六角錐等の多角錐形状、
もしくは第３図に示したような断面形状の多稜錐
形状の中から選ぶことが出来る。

ホーン１後方の円柱状部６と前方の錐形状部７
との接続は、第１図ａのように円柱状部６をステ
ツプ形状にて絞り込んだ先に錐形状部７が続く形
状、第２図ｂのように円柱状部６から絞り込まず
直ちに錐形状部７に続く形状、第１図ｃのように
ステツプ形状に絞り込んだ先に円錐形状部８を設
け、その先に錐形状部７を続けた形状、第１図ｄ
のようにステツプ形状に絞り込んだ先に円柱状部
９、さらに錐形状部７と続けた形状等、各種の接
続形状が可能で、その接続部の位置や、錐形状部
７の長さ等は特に限定されるものではない。

錐形状部７の先端５の形状は、第１図に示した
ように針状に鋭く尖つた形でも良く、また第４図
のようにフラツトな端面を持つた形でも良い。こ
のような形にする場合は、フラツトな端面の直径
は１mm以下、好ましくは0.1〜0.3mm程度とするこ
とにより、非常に細かい部位においても適切な処
置を行なうことが可能になる。

また、ホーン１には、第１図ａに示したように
送液通路２となる貫通孔を設け、その後端を接続
部３によつて、図示してないが超音波振動源とネ
ジ等適宜な方法で接続しても良い。送液通路２の
後端は、接続部３を通じて超音波振動源に設けら
れた貫通孔と接続する他、第１図ｂに示したよう
に、ホーン１後方の側部に開口端となる接続部４
を設けて、送液用のチユーブ等の外部ニツプルと
接続しても良い。送液通路２は、ホーン１や施術
部を冷却し、あるいは施術部を洗浄するためのイ
リゲーシヨン液（生理食塩水等）の通路となるも
ので、ホーン１の先端近傍の表面に開口している
が、第４図に示したように、ホーン１の先端近傍
部内で分岐させ、複数個の分岐路１０をその表面
に開口させることも可能である。

送液通路２もしくはその分岐路１０の開口位置
は、ホーン１の先端近傍が多角錐形状の場合はそ
の稜線上および／もしくは面上とし、また、多稜
錐形状の場合には稜間の谷部に設けるのがよい。

錐形状部７はホーン１の円柱状部６と一体加工
で製作しても良く、また、これらを別々に製作し
ておきネジ等適宜な方法で接続しても構わない。
この場合には、施術中にも形状に応じて形状の異
なる錐形状部、あるいは錐形状以外の作業用具と
も交換して使用することができ好都合である。

さらに、第５図に示したように、ホーン１錐形
状部７の途中に屈曲部１１を設けることも出来
る。屈曲部１１の屈曲角度Ａは特に限定されるも
のではないが、ホーン１の長軸方向に対して０〜
90度、望ましくは０〜40度程度とするのが良い。
これによつて、施術対象部位が変つても、外科手
術用具を持ちかえたり、超音波ホーン１の角度を
大きく変えたりすることなく、施術を続けること
が出来、好適である。尚、屈曲部１１を設ける位
置は、錐形状部７の前方とするのが一般的である
が、第１図ｃ，ｄのように円錐形状部８や円柱状
部９を有していてその寸法が長い場合には、円錐
形状部８もしくは円柱状部９の前方に設けること
も可能である。

ホーン１の材質としは、従来より用いられてい
るチタン合金、ステンレス鋼、セラミツク等の耐
食性や耐熱性の優れたものが望ましいが、特に限
定されるものではない。

〔作用〕

次に本考案による超音波ホーンの作用の特徴に
ついて述べる。

本考案の超音波ホーンは先端部が錐形状で細径
の端面が、針状になつているため、硬組織、特に
硬骨組織の細工作業が、従来より使用されている
のみ、リユエル、ボーンソウ、電気ドリル等に比
べて、精密かつ正確な細工が行なえると共に、例
えば、電気ドリル等の硬骨組織の細工の際に周辺
軟組織を巻き込むという欠点や、鋸刃形状の作業
部を有する超音波ホーンの刃形状が邪魔になつて
正確な作業が困難であると言つた問題を解消する
ことが出来る。

また、送液通路を分岐させて、錐形状の先端作
業部に複数個の開口端を設けたことにより、イリ
ゲーシヨン液がホーン先端の作業部全体に行きわ
たるので、超音波ホーンの発熱を抑え、周辺組織
への影響を最小限にとどめて点作業を行なう上で
有用である。

〔考案の効果〕

本考案に従うと、生物組織、特に硬骨組織及び
軟骨組織の切削、分離作業が、技術の熟練を必要
とせずに精密な施術を行なうことが出来、対象部
位以外の組織を必要以上に削除することがなく、
また、発熱によるホーンの劣化や生物組織の壊死
を防ぐことが出来るので、硬骨組織等の切削、分
離のための外科手術用具として有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例となる超音波ホーンを
示す側面図（一部断面図）、第２図および第３図
は第１図ａのＡ−A′断面図で、第２図は錐形状
部が多角錐の例、第３図は錐形状部が多稜錐の例
である。第４図および第５図は本考案の他の実施
例を示し、第４図はホーン先端近傍の拡大断面
図、第５図はホーンの側面図である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 超音波振動により生物組織を切削、分離する
   外科手術用具の超音波ホーンであつて、該ホー
   ンは前方部が多角錐形状もしくは多稜錐形状を
   なし、内部に送液通路を有すると共に、該送液
   通路がホーンの先端近傍部内で分岐し、ホーン
   の先端近傍部表面で開口していることを特徴と
   する医療用超音波ホーン。 (2) 請求項(1)の超音波ホーンの先端近傍部が、該
   ホーンの長軸方向に対して０〜90度の角度をな
   すように屈曲していることを特徴とする医療用
   超音波ホーン。