JPH05296018A - 気泡除去装置内蔵型オイルパン - Google Patents

気泡除去装置内蔵型オイルパン

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JPH05296018A
JPH05296018A JP12293792A JP12293792A JPH05296018A JP H05296018 A JPH05296018 A JP H05296018A JP 12293792 A JP12293792 A JP 12293792A JP 12293792 A JP12293792 A JP 12293792A JP H05296018 A JPH05296018 A JP H05296018A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本出願人の発明した小型で気泡除去効率の優
れた気泡除去装置を、各種自動車、機械のオイルパンの
内部に装着して、オイルパン中のオイルから気泡を迅速
かつ効率的に除去、補集する。 【構成】 オイルパンを二室に分け、その一室に気泡除
去装置を取り付け、気泡除去装置によって分離・除去さ
れた気泡含有量が大量に多いオイルと気泡含有量の少な
いオイルをそれぞれオイルパンの各室に補集し、油圧作
動装置や潤滑各部からの還流オイルと気泡含有量が大量
に多いオイルを混合してポンプで気泡除去装置に循環さ
せる。 【効果】 本発明は、極めて優れた気泡除去効果を有し
ている。このため、各種自動車、機械の潤滑状態を良好
に保ち、油圧作動系統の作動を安定化させ、動力伝達効
率の向上に有効であり、高速化、高出力化の要請に十分
対応することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車や油圧機器等の
オイルパンに関する。更に詳しくは、オイルパンに気泡
除去装置を内蔵して、オイルパン中のオイルに含まれる
気泡を連続的に分離・除去し、自動車、油圧機器等の作
動の安定性の向上、摺動面の良好な潤滑状態を可能とす
ることを特徴とする、気泡除去装置内蔵型オイルパンに
関する。
【0002】
【従来の技術】車両の原動機、産業用工作機械、建設機
械、運搬機械等には、エンジン油、ギヤ油、自動変速機
油、トルクコンバーター油、パワーステアリング油、油
圧作動油、タービン油、コンプレッサー油、圧延油その
他、各種の潤滑油が使用されているが、循環使用の過程
で、攪拌により、潤滑油中に気泡が生じる。気泡が潤滑
油中に大量に生じると、潤滑油の機能が低下して、様々
なトラブルを起こす。例えば、自動変速機油の場合、自
動変速機の回転数や負荷が高くなると、オイルパン中の
オイルに多量の気泡が混入する。気泡含有量の多いオイ
ルが供給ポンプで油圧作動装置や潤滑各部に流送される
と、油圧作動系統の作動不良、動力伝達効率の低下を起
こしたり、潤滑面の摩耗、焼き付きの原因となる。
【0003】とりわけ、最近は、自動車の高回転化、高
出力化に伴い、自動変速機も高回転化が要求されてお
り、従来以上に気泡が自動変速機油中に過大に混入し、
支障をきたしている。これは、自動変速機油に限らず、
エンジン油、油圧作動油その他の場合でも同様である。
【0004】従来、オイルパン中のオイルに含まれる気
泡を分離・除去するために、オイルパンの内部に仕切り
板を取り付けたり、オイルパンの容量を大きくして、オ
イルの滞留時間を長くし、脱泡させやすくする方法が用
いられていた。しかし、これらの方法は、オイル中の気
泡を積極的に除去するのではなく、オイル表面からの自
然脱泡法によっているため、迅速かつ効率的に気泡を分
離・除去することが困難であった。このため、オイルパ
ンのオイル中の気泡を積極的かつ効率的に除去すること
が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、本出願人の
発明した気泡除去装置を各種自動車、油圧機器等のオイ
ルパンの内部に設置し、オイルパン中のオイルを気泡含
有量が大量に多いオイルと気泡含有量の少ないオイルに
迅速かつ効率よく分離・捕集する、気泡除去装置内蔵型
オイルパンを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本出願人は、特開平1−
104315号、特開平2−52013号、特開平3−
123605号に示すように、気泡を含有する液体中に
おいて、旋回流によって気泡含有量が大量に多い液体と
気泡含有量の少ない液体に分離・除去する、小型で気泡
除去効率が優れた気泡除去装置を提案している。
【0007】旋回流によってオイル中の気泡を分離する
ためには、強い旋回流を起こすに足る十分な油量が必要
であるが、オイルパンには多量のオイルが貯えられてい
る。このため、オイルパンの内部に上記気泡除去装置を
適切な工夫の下に組み込み、オイルパン中のオイルから
気泡を分離・除去するのが最も効果的である。本発明者
らは、上記目的を達成するために検討と実験を重ねた結
果、本発明を完成した。
【0008】本発明は、オイルパンに内蔵された気泡除
去装置によって、迅速かつ効率的に、気泡を含有するオ
イルを気泡含有量が大量に多いオイルと気泡含有量の少
ないオイルに分離・除去して、二室に分かれたオイルパ
ンの各室にそれぞれ捕集し、油圧作動装置や潤滑各部か
ら還流する気泡を多量に含有するオイルと該気泡含有量
が大量に多いオイルを混合してポンプで気泡除去装置に
循環させることを特徴とする。
【0009】本発明で用いる気泡除去装置は、中心軸に
直交する断面が円形で、該断面の直径がオイルの流動方
向に向かうにしたがって減少し、両端が閉じられた形状
の旋回流室と、該旋回流室の中心軸に沿って該旋回流室
の一端を貫通する気泡除去管を基本構造とする。
【0010】なお、該気泡除去管の壁面には、旋回流中
心軸部に集められる気泡含有量が大量に多いオイルを、
旋回流中で迅速かつ効率的に分離できるように、複数個
の気泡除去孔が設けられている。
【0011】オイルパンは、隔壁によって二室(A、
B)に分け、その一室(A)に、通油管(油圧作動装置
や潤滑各部からの還流オイル及び気泡除去装置によって
分離された気泡含有量が大量に多いオイルを、オイルパ
ンA室に導入する)、気泡除去装置及び導出管(気泡除
去装置によって分離された気泡含有量の少ないオイル
を、オイルパンA室から導出する)を設ける。
【0012】油圧作動装置や潤滑各部からの還流オイル
及び上記の気泡含有量が大量に多いオイルは、トロコイ
ドポンプ、ギヤポンプ等の回転ポンプ等のポンプによっ
て、オイルパンのA室に圧送し、気泡除去装置の旋回流
室に導入する。
【0013】気泡除去装置によって分離された気泡含有
量が少ないオイルは、オイルパンA室から、導出管を経
由して、供給ポンプで油圧作動装置や潤滑各部に流送す
る。
【0014】オイルパンの他の一室(B)には、気泡除
去装置の気泡除去管又はこれと接続するパイプを突出さ
せ、導出口(気泡除去装置によって分離された気泡含有
量が大量に多いオイル及び油圧作動装置や潤滑各部から
の還流オイルを、オイルパンB室から導出する)を設け
る。この導出口は、オイルパンA室の通油管と連結す
る。
【0015】
【作用】旋回流室に導入された気泡を含有するオイル
は、旋回流となる。そして、比重差によって、気泡含有
量が大量に多いオイルは旋回流中心軸部に集められ、気
泡含有量が少ないオイルは旋回流外縁部に集められ、そ
れぞれ旋回流の中で分離される。
【0016】旋回流の強さは、流量と流速によって決定
される。旋回流が強ければ強いほど気泡の分離効率が大
きくなる。本発明では、油圧作動装置や潤滑各部からの
還流オイルと気泡除去装置によって分離された気泡含有
量が大量に多いオイルを混合して気泡除去装置に循環さ
せるため、十分な流量を確保することができる。また、
これらの気泡を含有するオイルをポンプによって旋回流
室に圧送することによって、流速を大きくしている。
【0017】さらに、旋回流室は、その断面の直径がオ
イルの流動方向に向かうにしたがって減少する形状とな
っているため、気泡の分離能力は極めて大である。即
ち、半径rの位置に、気泡を含まないオイル(質量
)と気泡(質量m)のかたまりがあり、このかた
まりが角速度ωで旋回運動をしているとする。オイルと
気泡の分離能力Sは、それぞれの遠心力の差として下記
の式で表される。
【0018】
【数1】 S=mrω2 −mrω2 =rω2 (m−m
【0019】ここで、mは極めて小さいため無視する
ことができるから、Sはrω2 に近似できる。この
ことは、分離能力がrω2 に比例することを示してい
る。旋回流室断面の直径がオイルの流動方向に向かうに
したがって減少していくと、rは小さくなるが、流速ω
は大きくなり、ω2 は更に大となるため、分離能力が大
きくなる。
【0020】さらに、本発明は、オイルパンを二室に分
け、気泡含有量が大量に多いオイルと少ないオイルを別
々の室に捕集した上で、気泡含有量が大量に多いオイル
を油圧作動装置や潤滑各部からの還流オイルとともに気
泡除去装置に循環させる構成としているため、オイルか
ら気泡を連続して分離・除去することができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に述べる。但
し、本発明は、これに限定されるものではない。
【0022】図1に、実施例に使用する気泡除去装置の
一例を示す。
【0023】(構造)気泡除去装置は、金属又は合成樹
脂で形成されており、旋回流室1と気泡除去管2を基本
構造とする。旋回流室1は、中心軸に直交する断面が円
形で、該断面の直径がオイルの流動方向に向かうにした
がって減少し、両端が閉じられた円錐台の形状となって
いる。旋回流室1の最外周部付近の一端には、オイル導
入孔3が接線方向に設けられている。また、旋回流室1
の壁面には、オイル導出孔4が壁面全周にわたって均一
間隔で多数個開けられている。気泡除去管2は、円筒で
あり、旋回流室1の中心軸に沿って位置している。気泡
除去管2の一端は、旋回流室1の上部を貫通している。
旋回流室内の気泡除去管下端は閉じられており、上端は
開口している。気泡除去管2の壁面には、気泡除去孔5
が壁面全周にわたって均一間隔で多数個開けられてい
る。
【0024】(分離・除去過程)回転ポンプ6によって
圧送されてきた、気泡を含有するオイルは、通油管7を
通ってオイル導入孔3から旋回流室1に入る。旋回流室
1において、気泡を含有するオイルは旋回流となる。こ
の旋回流の中で、比重差によって、気泡含有量が大量に
多いオイルは旋回流中心軸部に集められ、気泡含有量が
少ないオイルは旋回流外縁部に集められる。そして、気
泡含有量が大量に多いオイルは、気泡除去管2の気泡除
去孔5から気泡除去管内に入り、気泡除去管上端の開口
部から除去される。気泡含有量が少ないオイルは、旋回
流室1のオイル導出孔4から導出される。
【0025】(実施例1)図2は、図1に示す気泡除去
装置を、上下二段に分けたオイルパンの下段に設置した
実施例である。
【0026】旋回流室1は、オイルパン上段(B室)8
とオイルパン下段(A室)9との間の隔壁10に固定さ
れ、オイルパンA室9内に設置されている。気泡除去管
2の上端は、隔壁10によつて支持、固定され、隔壁1
0を貫通してオイルパンB室8内に開口している。
【0027】オイルパンB室8内には、油圧作動装置や
潤滑各部からの還流オイルと、気泡除去管2から除去さ
れた気泡含有量が大量に多いオイルが貯められている。
これらのオイルは、回転ポンプ6によって吸引圧送さ
れ、オイルパンB室8の導出口11を経由してオイルパ
ンA室9の通油管7に流送される。
【0028】一方、オイルパンA室9内に導出された気
泡含有量が少ないオイルは、供給ポンプ13によって、
オイルパンA室9とオイルパンB室8を貫通する導出管
12を通って、油圧作動装置や潤滑各部に送られる。
【0029】なお、図2の変型として、隔壁10を斜め
に設置し、気泡除去管2の上端にパイプを接続し、該パ
イプをオイルパンB室8内に開口させることによって、
オイルパンの高さを低くすることもできる。
【0030】(実施例2)図3は、図1に示す気泡除去
装置を、左右二室に分けたオイルパンの一室に設置した
実施例である。
【0031】オイルパン右室(A室)9内に旋回流室1
を設置し、気泡除去管2の上端に接続したパイプ14
は、オイルパン左室(B室)8に開口している。オイル
パンを左右二室に分けることによって、オイルパンの高
さを実施例1より更に低くすることができる。
【0032】(実験)実施例1の気泡除去装置内蔵型オ
イルパン及び従来型オイルパンを、それぞれ自動変速機
の下部に設置して、気泡定量装置を用いて、オイルパン
中の自動変速機油の気泡含有率を測定した。気泡含有率
は、体積%で、15℃、1気圧換算である。
【0033】表1に、実験条件を示す。
【0034】
【表1】
【0035】表2に、実験結果を示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2に示すとおり、実施例の気泡除去装置
内蔵型オイルパン中の自動変速機油気泡含有率は、従来
型オイルパン中の自動変速機油気泡含有率に比べて極め
て低い。とりわけ、3,000〜5,000rpmの高
速回転領域では、6/100〜10/100に過ぎな
い。また、実施例の気泡除去率は、上記の高速回転領域
において90%以上である。しかも、実施例の気泡除去
装置内蔵型オイルパンは、何のトラブルもなく、円滑に
実験できた。
【0038】
【発明の効果】本発明の気泡除去装置内蔵型オイルパン
は、本出願人が発明した気泡除去装置を各種自動車、機
械等のオイルパンに組み込み、気泡が大量に混入するオ
イルパン中のオイルから気泡を迅速かつ効率的に除去す
るものである。潤滑油に気泡が大量に生じると、潤滑油
の機能が低下し、油圧作動系統の作動不良、動力伝達効
率の低下、摺動面の潤滑異常その他の様々なトラブルが
生じる。とりわけ、最近は、自動車、機械等の高回転
化、高出力化が要求されており、従来以上に潤滑油中に
気泡が大量に混入する。
【0039】本発明は、本出願人の発明した気泡除去装
置がオイルパンの内部で効果的に機能を発揮するよう、
オイルパンの構造を二室に分け、その一室に、油圧作動
装置や潤滑各部からの還流オイルと気泡除去装置によっ
て除去された気泡を大量に含有するオイルを混合して導
入し、ポンプで気泡除去装置に循環させる構造としてい
るため、気泡を分離するのに十分な流量、流速を有する
強い旋回流を起こすことができる。本発明を自動変速機
に用いて実機テストを行ったところ、3,000〜5,
000rpmの高速回転領域における気泡除去率は90
%以上の好成績であった。
【0040】本発明は、極めて優れた気泡除去効果を有
しているため、潤滑状態を良好に保ち、油圧作動系統の
作動を安定化させ、動力伝達効率の向上に効果を発揮
し、各種自動車、機械の高回転化、高出力化の要請に十
分対応することが可能である。
【0041】また、本発明は、本出願人の発明した小型
の気泡除去装置をオイルパンに内蔵する構成としている
ため、気泡除去装置をオイルパン内にコンパクトに設置
でき、気泡除去装置をオイルパンの外部に設置する従来
技術に比べて、スペース的にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】出願人の発明した気泡除去装置の断面図
【図2】実施例1の断面図
【図3】実施例2の断面図
【符号の説明】
1 旋回流室 2 気泡除去管 3 オイル導入孔 4 オイル導出孔 5 気泡除去孔 6 回転ポンプ 7 通油管 8 オイルパンB室 9 オイルパンA室 10 隔壁 11 導出口 12 導出管 13 供給ポンプ 14 パイプ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心軸に直交する断面が円形で、該断面
    の直径がオイルの流動方向に向かうにしたがって減少
    し、両端が閉じられた形状の旋回流室と、該旋回流室の
    中心軸に沿って該旋回流室の一端を貫通する気泡除去管
    からなる気泡除去装置を内蔵するオイルパンにおいて、
    該オイルパンが隔壁によって二室に分かれており、該気
    泡除去装置によって分離・除去された気泡含有量が大量
    に多いオイルと気泡含有量の少ないオイルをそれぞれ該
    オイルパンの各室に捕集し、油圧作動装置や潤滑各部か
    らの還流オイルと該気泡含有量が大量に多いオイルを混
    合してポンプで該気泡除去装置に循環させることを特徴
    とする、気泡除去装置内蔵型オイルパン。
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