JPH05287566A - 熱交換器の電気防食装置 - Google Patents

熱交換器の電気防食装置

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JPH05287566A
JPH05287566A JP4094527A JP9452792A JPH05287566A JP H05287566 A JPH05287566 A JP H05287566A JP 4094527 A JP4094527 A JP 4094527A JP 9452792 A JP9452792 A JP 9452792A JP H05287566 A JPH05287566 A JP H05287566A
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垣 修 一 稲
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 海水冷却器等の熱交換器に使用されるフェラ
イト系スーパーステンレス鋼材の水素脆性を抑制し、か
つフェライト系スーパーステンレス鋼材と共に用いられ
るネーバル黄銅材及び炭素鋼の部分においても、ガルバ
ニック腐食によってこの表面が腐食されるのを確実に防
止する。 【構成】 フェライト系スーパーステンレス鋼の伝熱管
4と、ネーバル黄銅の管板3と、フェライト系スーパー
ステンレス鋼及びネーバル黄銅よりも電気化学的に卑な
金属材料の水室5b及び配管装置を有する熱交換器の電
気防食装置において、水室5b内の管板3の近傍をフェ
ライト系スーパーステンレス鋼の水素脆性を抑制できる
電位に、水室5b内の管板3及び水室5bを少なくとも
海水中における自然電位よりも卑側の電位にそれぞれ保
つように水室5b内に外部より作動及びコントロールで
きる外部電源方式の電極19a,19bを取り付けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷媒として海水を使用
した熱交換器を構成する冷却管、管板、水室及びこれに
接続された配管装置のガルバニック腐食を防止するため
に用いられる熱交換器の電気防食装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、海水を冷却水として使用する熱
交換器、例えば発電プラントにおける海水冷却器として
は、シェル・アンド・チューブ方式を採用したものが広
く用いられている。
【0003】この種の海水冷却器の冷却管は、海水と直
接に接触するので、その材料として腐食しにくい貴なる
金属、例えばアルミニウム黄銅を主とする銅合金が、ま
た海水冷却器の管板には、ネーバル黄銅板等が一般に使
用されている。
【0004】また、近年の発電プラントにおいては、海
水冷却器の冷却管及び管板に耐食性の優れるチタンが使
用されるようになってきている。これは、アルミニウム
黄銅管は、コストが安く伝熱性能に優れているものの、
完全な耐食性を期待することができないからであるが、
チタン管は、耐食性には優れているもののコストが割高
になってしまう。
【0005】一方、海水に対する耐食性に優れたフェラ
イト系スーパーステンレス鋼が開発され、開発以来、熱
交換器用の冷却管として使用されて良好な使用実績を積
みつつある。そこで、近年では、チタン管並の耐食性が
期待でき、かつチタン管よりコストの安いフェライト系
スーパーステンレス鋼管が熱交換器用の冷却管として採
用されるようになってきている。
【0006】また、発電プラントの既設の海水冷却器に
ついても、熱交換器としての性能向上及び冷却管の耐食
性向上を図るために、冷却管がアルミニウム黄銅管製
で、管板がネーバル黄銅板製の既設の海水冷却器に対し
て、冷却管のみをアルミニウム黄銅管からフェライト系
スーパーステンレス鋼管にリプレースすることが行なわ
れている。
【0007】このリプレースにあたり、チタン管よりフ
ェライト系スーパーステンレス鋼管が選定される理由と
しては、耐食性はチタン管に劣るもののコストが安い
点、同等の性能を満足させる場合にチタン管では肉厚が
薄く強度的に弱くなり冷却管を支える支え板や補強管の
追設が必要となってしまう点、鉄及びネーバル黄銅との
ガルバニック腐食に対してチタンよりもフェライト系ス
ーパーステンレス鋼の方が卑側に位置するため電位差と
しては小さくなっている点、更に同材料はエロージョン
特性にも優れている点が挙げられる。
【0008】以上、海水冷却器の冷却管のみをリプレー
スしてフェライト系スーパーステンレス鋼管にする理由
について説明したが、海水冷却器及びこれに接続された
配管装置の材料の構成としては、前述のように冷却管は
フェライト系スーパーステンレス鋼管が、管板はネーバ
ル黄銅板が、また海水冷却器の水室及びこれに接続する
配管装置は炭素鋼がそれぞれ使用されている。
【0009】以下、発電プラントの冷却管をフェライト
系スーパーステンレス鋼管にリプレースした海水冷却器
(熱交換器)及びこれに接続された配管構造についての
一例を図7乃至図9を用いて説明する。
【0010】ここに、図7は海水冷却器の概略構成図
を、図8は図7のA−A線矢視図を、図9は図7のB−
B線矢視図をそれぞれ示す。
【0011】即ち、熱交換器としての海水冷却器1に
は、円筒状の海水冷却器本体(熱交換器胴)2が備えら
れ、この冷却器本体2の両端に管板3が配置されている
とともに、この管板3にリプレースされたフェライト系
スーパーステンレス鋼管製の冷却管(伝熱管)4が多数
挿入されている。そして、各管板3には、前記冷却器本
体2に連なる一対の水室5a,5bがそれぞれ接続され
ている。更に、海水冷却器本体2には、淡水入口管6と
淡水出口管7とが取り付けられている。
【0012】なお、前記海水冷却器本体2、淡水入口管
6及び淡水出口管7は、炭素鋼鋼板等で製作されてお
り、内面の塗装及びライニングは施されていない。
【0013】これにより、淡水8は、淡水入口管6を通
って海水冷却器本体2内に入り、冷却管4の内部を流れ
る海水9と熱交換して冷却され、淡水出口管7を経て他
の機器(図示せず)に流入するようなされている。
【0014】前記海水冷却器1の前部側(図7の右側)
に位置する水室5aは、T字状の仕切板10aにより3
つの室に区切られているとともに、下半の水室5aに海
水入口管11と海水出口管12がそれぞれ接続されてい
る。また、前部側の水室5aの内面には、犠牲陽極13
aが取り付けられている。
【0015】一方、後部側(図7の左側)に位置する水
室5bは、鉛直方向に延びる仕切板10bによって2つ
の室に区切られているとともに、この内面に犠牲陽極1
3bが取り付けられいている。
【0016】なお、これらの海水冷却器1の水室5a,
5b、海水入口管11及び海水出口管12は、例えば炭
素鋼鋼板等で製作され、海水9と直接接触するため、腐
食防止として、タールエポキシ樹脂等の防食性塗料又は
被覆材が施されている。
【0017】そして、海水9は、前部側の水室5aの海
水入口管11よりこの内部に流入し、冷却管4を通り、
後部側の水室5b、冷却管4、前部側の水室5a、冷却
管4、後部側の水室5b、冷却管4、前部側の水室5a
を順次経て海水出口管12より外部に流出するようなさ
れている。
【0018】この海水冷却器1は、4パス式のシェル・
アンド・チューブ方式を採用したものであり、冷却管4
の内側の海水9は、冷却管4の外側の淡水8の熱を該冷
却管4を介して吸収し、これによって、海水9は温度上
昇しながら海水出口管12より外部に流出する。
【0019】ここに、海水冷却器1の冷却管4は、従来
のアルミニウム黄銅管(78Cu,2Al,20Zn)
から耐食性に優れているフェライト系スーパーステンレ
ス鋼(25Cr,4Ni,4Mo)にリプレースされ、
一方管板3は、ネーバル黄銅板(50Cu,1Sn,3
9Zn)で既設のままの状態となっている。
【0020】また、冷却管4のフェライト系スーパース
テンレス鋼と管板3のネーバル黄銅板及び炭素鋼鋼板製
の水室5a,5bとの間でのガルバニック腐食を防止す
るために、亜鉛又はアルミニウム合金等の犠牲陽極13
a,13bが水室5a,5bの内側に設置され、ネーバ
ル黄銅板の管板3と炭素鋼鋼板製の水室5a,5b、並
びにこれに接続された炭素鋼鋼板製の海水入口管11及
び海水出口管12の防食を行なうようなされている。
【0021】なお、管板3のネーバル黄銅板及び水室5
a,5b等の炭素鋼鋼板の防食にあたり、管板3に直接
接触している冷却管4のフェライト系スーパーステンレ
ス鋼が、水素吸収を生じない電位になるように、陽性電
極13a,13bの位置は、一般に経験則により決めら
れている。
【0022】ところで、海水冷却器や配管構造の海水に
直接触れる部分は、海水による腐食を防止するため、材
料の選定や金属面の塗装又は防食性被覆材による保護な
ど十分な注意が払われている。即ち、一般に、腐食現象
には、環境中の金属単体が腐食する自然腐食と、異種金
属が接触している場合に生じるガルバニック腐食があ
り、このガルバニック腐食は、腐食速度が非常に速いた
め特に注意しなければならない。
【0023】ここに、ガルバニック腐食とは、例えば電
気的に接続されている異種金属が電解質溶液中に置かれ
ていると、貴なる金属を陰極に、卑なる金属を陽極にし
て電位差が形成され、陽極金属が金属イオンとなって電
解質溶液中に溶出して卑金属が腐食される現象をいう。
【0024】図10に海水中における各種金属の自然電
位を示す。ここでは5種類の金属の自然電位を示してい
るが、チタンが最も貴側の金属であり、亜鉛が最も卑側
の金属となる。
【0025】例えば、海水中で、貴側のネーバル黄銅と
卑側の鉄とが接水し、ネーバル黄銅と鉄とが電気的に接
続されている場合には、この2つの金属間の自然電位差
Vにより卑側の鉄がこの電位差によるガルバニック腐食
を受けることになる。他の金属の組み合わせでも同様な
ことがいえ、これらの2つの金属間の自然電位差が大き
い程ガルバニック腐食は著しく進むことになる。
【0026】なお、同図における横軸の電位VSCE は、
飽和甘こう電極電位を基準として示している。
【0027】これらの現象は、発電プラントの海水系に
も起こり得る。例えば、熱交換器に使用されている冷却
管、ストレーナ、弁、温度計ウェル等の計装品の露出金
属の間にガルバニック腐食が生じる可能性がある。
【0028】また、この他にも、前述の材料と次のよう
なものが考えられる。即ち、海水冷却器の水室及び配管
装置類の内面には、鋼(鉄)表面の腐食を防止するた
め、鋼表面が直接に海水と触れないように防食性塗装ま
たは被覆材が施されている。しかしながら、何らかの原
因により塗装または被覆面が破損した場合には、鋼表面
が海水中に露出することになり、前述の貴金属材料と卑
金属の鋼表面が電気的に接続されると、この2つの金属
の電位差により卑側の鋼表面がガルバニック腐食を受け
ることになる。
【0029】即ち、海水冷却器1の冷却管4にフェライ
ト系スーパーステンレス鋼管が、管板3にネーバル黄銅
板がそれぞれ使用されている場合、水室5a,5b、海
水入口管11及び海水出口管12は、通常鋼板により製
作されているため、鋼板が卑側の金属となる。これらの
水室5a,5b、海水入口管11及び海水出口管12
は、腐食性塗装または被覆材が施されるのは上述した通
りであるが、これらの塗装または被覆箇所が施工不良や
海水の流れ等により損傷し、下地である鋼表面が露出す
ると、前述のようにフェライト系スーパーステンレス鋼
と鉄との間の電位差のため、卑金属の鋼(鉄)表面がガ
ルバニック腐食を受けることになる。
【0030】また、冷却管4は、アルミニウム黄銅管よ
り耐食性が優れているフェライト系スーパーステンレス
鋼にリプレースされ、冷却管4のフェライト系スーパー
ステンレス鋼と管板3のネーバル黄銅板は、共に海水中
で露出しており、かつ電気的に接続されているため、貴
金属側の2つの金属であるが、海水中ではネーバル黄銅
板が卑側にあり、フェライト系スーパーステンレス鋼と
ネーバル黄銅板の間の電位差により卑金属側のネーバル
黄銅板がガルバニック腐食を受ける。
【0031】以下、この現象を図を参照して以下に説明
する。
【0032】図11において、海水入口管11及び海水
出口管12は、前部側の水室5aに接続されているが、
説明のために同図には仮想線で示している。
【0033】先ず、海水冷却器1の水室5b(5a)に
被膜損傷部14a,14bが、また海水入口管11及び
海水出口管12にも被膜損傷部部14cがそれぞれ存在
していると想定する。従って、各被膜損傷部14a,1
4b,14cは鋼表面が海水9に露出していることにな
る。また、冷却管4のフェライト系スーパーステンレス
鋼及び管板3のネーバル黄銅板も海水9にその表面を露
出している。
【0034】ここで、海水冷却器1の水室5bと管板
3、及び水室5bとこの蓋15とは導通16により電気
的に接続されている。
【0035】以上から、水室5bの被膜損傷部14a,
14b、及び海水入口管11及び海水出口管12の被膜
損傷部14cから冷却海水9を通り、管板3及び冷却管
4を経て水室5b、海水入口管11及海水出口管12を
通る電気的回路が形成され、これにより被膜損傷部14
a,14b,14cから管板3及び冷却管4へ腐食電流
17が流れて被膜損傷部14a,14b,14cがガル
バニック腐食されることになる。
【0036】また、管板3から冷却用の海水9が冷却管
4に入り、管板3と冷却管4とは電気的に接続されてい
るため、管板3、海水9及び冷却管4についても電気的
回路が形成され、これにより管板3から冷却管4に腐食
電流17が流れて、管板3がガルバニック腐食されるこ
とになる。
【0037】なお、この現象は、後部側の水室5bに限
られたものではなく、前部側の水室5aについても事情
は全く変わらない。
【0038】このような海水冷却器1の管板3、水室5
a,5b並びに海水入口管11及び海水出口管12にお
けるガルバニック腐食現象から機器を守るために、水室
5a,5b、及び海水入口管11及び海水出口管12内
に防食電流を流すことが広く行われている。
【0039】以下、これらの対策を中心として電気防食
の具体的な手段を説明する。
【0040】図12において、符号13bは犠牲陽極を
示しており、防食電流18を発生させるために取り付け
られている。
【0041】なお、ここでは後部側の水室5bについて
述べているが、前部側の水室5aにも同様の装置が設置
され、同様な効果が得られるようになっている。
【0042】上記構成において、防食電流18は、犠牲
陽極13aから管板3、冷却管4及び被膜損傷部14
a,14b,14cへ流れ、管板3及び被膜損傷部14
a,14b,14cより流れる腐食電流17(図11参
照)が消滅させられる。これにより管板3及び被膜損傷
部14a,14b,14cのガルバニック腐食を防止す
ることができる。
【0043】通常、陰極防食を行なう場合には、防食す
べき金属の自然電位よりも200〜260mV SCE程度卑
側にすることにより行なわれる。一般に、海水中におけ
る鉄の自然電位は、図10に示すように、−450〜−
650mV SCE程度であり、また、ネーバル黄銅の海水中
の自然電位は、−300〜−400mV SCE程度であるの
で、これから防食電位が設定される。
【0044】なお、卑側にすればする程、防食効果を高
めることができるが、防食のために鋼表面に施されるゴ
ム、タールエポキシ樹脂等の被覆材料は、あまり卑側に
すると表面が劣化して剥離するという問題があり、あま
り卑側に設定することはできない。従って、通常は−6
50〜−900mV SCEの範囲に設定される。
【0045】しかしながら、従来より実施されている管
板3がネーバル黄銅板で、冷却管4がアルミニウム黄銅
管の海水冷却器1の場合には前述の防食電位で問題はな
いものの、冷却管3がフェライト系スーパーステンレス
鋼管の場合には、水素脆性という問題が生じる。
【0046】ここに、水素脆性とは、水素の吸収により
金属材料が脆くなる現象で、フェライト系スーパーステ
ンレス鋼材を海水中において、約−800mV SCEより卑
側に分極させると、水素吸収が始まることから引き起こ
される。
【0047】従って、図12に示すようにしてガルバニ
ック腐食を防止する場合の防食電位は、フェライト系ス
ーパーステンレス鋼材が水素脆性を生じない電位に設定
する必要がある。
【0048】以上より、図12に示す海水冷却器1の冷
却管4、即ち管板3の近傍の電位は、フェライト系スー
パーステンレス鋼材の水素脆性の発生を回避する上で、
−800mV SCEよりも貴側になるように設定されてい
る。また、水室5a,5b、海水入口管11及び海水出
口管12、更に管板3の防食にあたっては、鉄及びネー
バル黄銅を対象に−650〜−900mV SCE程度の電位
になるようにしている。
【0049】従って、海水冷却器1の水室5a,5b、
及び海水入口管11及び海水出口管12については、−
650〜−900mV SCE程度の防食電位で問題はない
が、冷却管4に接続された管板3に対する防食電位は、
両者を満足する−650〜−800mV SCE程度に限定さ
れてくる。
【0050】上記の内容を反映し、海水冷却器1の水室
5b内に、犠牲陽極13bを経験則により位置を決めて
配置した場合についての水室5b内の電位分布を実験及
び解析により求めたものを図13に示す。
【0051】図中、縦軸は、下半水室中心OーOに沿っ
た電位を示し、横軸はグラフの上に示した水室5bの部
位を示している。電位分布は、冷却管4の海水9の流れ
が止まる停止中のものを曲線kとして、冷却管4の海水
9が流れる運転中のものを曲線lとして示したものであ
る。
【0052】この場合、犠牲陽極13bは、亜鉛又はア
ルミニウムを主成分とする犠牲陽極であり、水室5bの
ほぼ中央に配置され、海水中での電位が約−1000mV
SECに保つように設定されたものである。そして、実験
及び解析により求めた下半の水室5bの中心O−O線に
沿った電位を結んで分布曲線k,lとして示したもので
ある。
【0053】曲線kは、冷却管4内に海水9の流れがな
い停止中の水室5b内の電位分布を示すものであり、こ
の場合、管板3の近傍の位置で−850〜−950mV S
CEとなりフェライト系スーパーステンレス鋼の水素脆性
の電位−800mV SCEより卑側の状態となっている。ま
た、犠牲陽極13bの近傍では−1000mV SCEを保持
し、水室5bの蓋15側、即ち管板4より離れるにつれ
て、電位は−1000mV SCEより貴側に徐々に変化して
いる。
【0054】これにより、水室5bの鋼板及び管板3の
ネーバル黄銅板は、−800mV SCEより卑側であり十分
に防食されているが、冷却管4のフェライト系スーパー
ステンレス鋼は水素脆性が問題となる電位となってい
る。
【0055】次に、曲線lは、冷却管4内に海水9が流
れる運転中の水室5b内の電位分布を示すものであり、
この場合、管板3の近傍の位置の電位は、約−550mV
SCE程度となりフェライト系スーパーステンレス鋼の水
素脆性の電位−800mV SCEより充分に貴側の電位とな
っている。
【0056】また、管板3より犠牲陽極13bに近づく
につれ、電位が卑側に変化し犠牲陽極13bの近傍では
−1000mV SCEとなり、水室5bの蓋15側、即ち管
板3より離れるにつれ、電位は−1000mV SCEより貴
側に徐々に変化している。
【0057】なお、管板3及び管板3に近い水室5bの
部分では、鋼板及びネーバル黄銅板の防食電位−650
mV SCEより貴側となっている。
【0058】これにより、冷却管4に接続された管板3
の電位は、約−550mV SCE程度となっており、冷却管
4のフェライト系スーパーステンレス鋼の水素脆性の問
題はない。しかしながら、管板3及び管板3の近傍の水
室5bは、防食電位の−650mV SECより貴側であり、
ネーバル黄銅板の管板4及び鋼板の水室5bの防食を行
うことができない。
【0059】従って、犠牲陽極13bを水室5bのほぼ
中央に配置した場合、冷却管4の海水9の流れが止まる
停止中においては、ネーバル黄銅板の管板3及び鋼板の
水室5bを充分に防食することができるが、フェライト
系スーパーステンレス鋼の冷却管4は水素脆性が生じる
電位となる。
【0060】また、冷却管4の海水9が流れる運転中に
おいては、フェライト系スーパーステンレス鋼の冷却管
4は水素脆性の生じる電位とはならないが、ネーバル黄
銅板の管板3及び該管板3の近傍の鋼材の水室5bにつ
いては防食することができない。従って、前記の両者を
満足できない場合が多く、片方が犠牲になることが多か
った。
【0061】また、これらを満足させるために、外部電
源方式の電気防食装置を取り付けることも行われている
が、この場合、特に、冷却管4に海水9が流れる運転中
において、冷却管4に流入する電流が多く、いわゆる損
失電流が大きいため、非常に効率の悪い電気防食装置と
なってしまう。
【0062】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、冷却
管4にフェライト系スーパーステンレス鋼を使用し、管
板3にネーバル黄銅板を使用した海水冷却器1では、ネ
ーバル黄銅板の管板3、及び水室5a,5bや海水入口
管11及び海水出口管12に発生した被膜損傷部14
a,14b,14cの露出鋼面のガルバニック腐食を防
止するために、水室5a,5bのほぼ中央に犠牲陽極1
3a,13bを設け、ここから防食電流18を、例えば
管板3、及び水室5bの被膜損傷部14a,14b、海
水入口管11及び海水出口管12の被膜損傷部14cに
向けて流すようにしているが、先ず、冷却管4の海水9
の流れが止まる停止中をみてみると、管板3及び被膜損
傷部14a〜14cに防食電流18が流れると同時に、
防食対象外の冷却管4にも防食電流18が流れ込むこと
になる。
【0063】このように損失電流が冷却管4に流入する
と、フェライト系スーパーステンレス鋼材の分極特性
は、電流値の大きさ及び冷却管4内の流速により変動す
るものであるが、フェライト系スーパーステンレス鋼材
が海水中に示す自然電位より卑側の電位を示すようにな
る。特に、冷却管4内に流速がない場合には、小さな電
流値によっても分極特性が大きく変化してしまい、フェ
ライト系スーパーステンレス鋼材の海水中で示す自然電
位よりかなり大きい卑側の電位となる。このため、冷却
管4の電位が、フェライト系スーパーステンレス鋼材の
水素脆性を起こす電位約−800mV SCEより卑側になっ
てしまう。
【0064】この場合、ネーバル黄銅板の管板3、及び
水室5bや海水入口管11及び海水出口管12の被膜損
傷部14a,14b,14cの鋼面の防食は十分なもの
となっている。
【0065】以上より、損失電流が冷却管4に流れ込
み、冷却管4内に海水9が流れていない場合には、フェ
ライト系スーパーステンレス鋼の分極特性が大きく、電
位が卑側に移る度合が大きいため、損失電流値を小さく
する必要がある。
【0066】従って、このフェライト系スーパーステン
レス鋼の水素脆性を考えると、損失電流値を小さくする
ためには、犠牲陽極13a,13bを管板3より遠くに
離して設置することが考えられる。これにより、冷却管
4に流入する損失電流値を小さくして、フェライト系ス
ーパーステンレス鋼の分極特性を小さくなし、水素脆性
の問題をなくすことができる。
【0067】次に、冷却管4に海水9が流れる運転中に
ついて考えてみると、前述と同様に、管板3及び被膜損
傷部14a〜14cに防食電流18が流れると同時に、
防食対象外の冷却管4にも防食電流18が流れ込む。し
かしながら、冷却管4内に海水9が流れる流速がある場
合には、損失電流値が大きい場合であっても、分極特性
の変化は小さく、フェライト系スーパーステンレス鋼の
電位はあまり卑側に変化しない。
【0068】従って、冷却管4の電位は、フェライト系
スーパーステンレス鋼材の水素脆性を起こす電位約−8
00mV SCEより貴側となっており、水素脆性の問題はな
くなる。
【0069】しかしながら、この場合には、ネーバル黄
銅板の管板3及び該管板3に近い鋼材の水室5a,5b
は、これらの防食電位を満足しなくなり腐食されること
になる。これから、冷却管4内を海水9が流れている場
合には、ネーバル黄銅板の管板3及び該管板3に近い鋼
材の水室5a,5bの防食電位を保つために、防食電流
18を増加させる必要がある。
【0070】従って、ネーバル黄銅板の管板3及び鋼材
の水室5a,5bの防食を考えると、防食電流18を大
きくするためには、犠牲陽極13a,13bを管板3に
近づけて設置することが考えられる。これにより、管板
3及び管板3に近い水室5a,5bに流入する防食電流
18を大きくして、防食電位を保持し防食することがで
きる。
【0071】以上の結果より、冷却管4内に海水9の流
速がない停止中の場合には、犠牲陽極13a,13bを
管板4よりを離れた位置に取り付け、また冷却管4内に
海水9の流速がある運転中の場合には、犠牲陽極13
a,13bを管板3に近い位置に設置すればよいのであ
るが、2種類の犠牲陽極を設置して上記の2つの条件を
満足させることは困難である。
【0072】即ち、運転状態及び流体条件により2種類
の犠牲陽極を使い分けたり、冷却管4内に海水9が流れ
る場合と止まる場合、即ち運転状態及び流体条件等によ
り犠牲陽極の位置を変えるようにすることは一般に困難
である。また、犠牲陽極は、一定の電流を発生させるも
のであり電位をコントロールすることはできない。
【0073】以上から1種類の犠牲陽極では、2つの運
転条件、即ち、冷却管4内に海水9が流れ込む運転中
と、冷却管4内の海水9が止まる停止中の運転条件につ
いて、ネーバル黄銅板の管板3、海水入口管11、海水
出口管12及び水室5a,5bの鋼板の防食、及びフェ
ライト系スーパーステンレス鋼の冷却管4の水素脆性の
問題を解決することはできない。
【0074】以上のように、犠牲陽極方式の場合には、
前述のガルバニック腐食と水素脆性の両者を同時に満足
させることはできないが、この対策として、外部電源方
式による電気防食装置を設置することが行われている。
この電気防食装置の場合、電極を管板3(冷却管4)よ
り離れた位置に設置する必要があり、冷却管4内に海水
9が流れる運転中における損失電流が大きくなって、効
率がかなり悪くなってしまう。
【0075】一方、先に述べたように、犠牲陽極13
a,13bの取付けに当たっては、経験則によるところ
が多く、犠牲陽極13a,13bの設置場所等に必要な
配慮を欠いて、真にガルバニック腐食に役立つものとは
いえないところがある。
【0076】本発明は上記に鑑み、海水冷却器等の熱交
換器に使用されるフェライト系スーパーステンレス鋼材
の水素脆性を抑制し、かつフェライト系スーパーステン
レス鋼材と共に用いられるネーバル黄銅材及び炭素鋼の
部分においても、ガルバニック腐食によってこの表面が
腐食されるのを確実に防止できるようにしたものを提供
することを目的とする。
【0077】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る熱交換器の電気防食装置は、熱交換器
胴に連なる一対の水室を有し、冷媒としての海水を前記
水室から前記熱交換器胴の内部にその両端を管板で支持
して配置した伝熱管を通して流すようにした熱交換器で
あって、前記各伝熱管をフェライト系スーパーステンレ
ス鋼で、前記管板をネーバル黄銅で、前記水室を該水室
に連なる配管装置と共にフェライト系スーパーステンレ
ス鋼及びネーバル黄銅よりも電気化学的に卑な金属材料
でそれぞれ構成した熱交換器の電気防食装置において、
前記各水室内の管板近傍をフェライト系スーパーステン
レス鋼の水素脆性を抑制できる電位に、前記各水室内の
管板及び各水室を少なくとも海水中における自然電位よ
りも卑側の電位にそれぞれ保つように各水室内に外部よ
り作動及びコントロールできる外部電源方式の電極を取
り付けたことを特徴とするものである。
【0078】
【作用】上記のように構成した本発明によれば、水室内
に取り付けた電極を外部より作動及びコントロールし
て、フェライト系スーパーステンレス鋼製の伝熱管の水
素脆性を抑制するとともに、ネーバル黄銅製の管板、及
び炭素鋼製等の水室や配管装置のガルバニック腐食を防
止することができる。
【0079】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。なお、上記従来例と同一部分には同一符号を付し
てその説明を省略する。
【0080】図1乃至図4は、第1の実施例を示すもの
で、同図において、海水冷却器1の一方の水室5bに被
膜損傷部14a,14bが存在していると想定してい
る。従って、被膜損傷部14a,14bは、鋼表面が海
水9に露出している。また、冷却管4のフェライト系ス
ーパーステンレス鋼及び管板3のネーバル黄銅板につい
ても海水9にその表面が露出している。
【0081】ここで、海水冷却器1の水室5bと管板
4、及び水室5bとその蓋15とは導通16によりそれ
ぞれ電気的に接続されている。
【0082】前記水室5b内には、その蓋15側に位置
して冷却管4内の海水9の流れが止まる停止中に使用す
る複数の電極19aが設置されているとともに、この各
電極19aは、導線20aにより接続されて外部に配置
されたスイッチ21aを介して外部電源22a及び水室
5bに接続されている。
【0083】これにより、電極19a、海水9、被膜損
傷部14a,14b、冷却管4、水室5b、導線20
a、外部電源22a、スイッチ21a、導線20a及び
電極19aが接続され、スイッチ21aによって閉ルー
プが形成されて通電が可能となっている。
【0084】また、水室5b内には、管板3側に位置し
て冷却管4内に海水9が流れる運転中に使用する複数の
電極19bが設置されているとともに、この各電極19
bは、導線20bにより接続されて外部に配置されたス
イッチ21bを介して外部電源22b及び水室5bに接
続されている。
【0085】これにより、電極19b、海水9、被膜損
傷部14a,14b、冷却管4、水室5b、導線20
b,外部電源22b、スイッチ21b、導線20b及び
電極19bが接続され、スイッチ21bによって閉ルー
プが形成されて通電が可能となっている。
【0086】なお、上記の説明は海水冷却器1の水室5
bについて述べたが、前部側の水室5aについても同様
である。
【0087】なお、以上の説明は、熱交換器である海水
冷却器1に関し、冷却管4がフェライト系スーパーステ
ンレス鋼製で、管板3がネーバル黄銅板製の場合につい
て述べているが、従来より一般に使用されている、冷却
管4がアルミニウム黄銅管製で、管板3がネーバル黄銅
板製の海水冷却器1についても適用できる。従って、こ
れらの冷却管4、管板3及び水室5a,5bを防食する
ような熱交換器にも適用することができる次に上記実施
例の作用を説明する。
【0088】先ず、図2に基づいて、冷却管4内の海水
9の流れが止まる停止中についての操作を説明する。こ
の場合、停止中に使用する水室5bの蓋15側に設置さ
れた電極19aを作動させるため、外部よりスイッチ2
1aを閉じる。これにより、電極19a、海水9、被膜
損傷部14a,14b、管板3、冷却管4、水室5bを
経て、導線20a、外部電源22a、スイッチ21a、
導線20aを通り電極19aに接続された閉ループの電
気回路が形成され、防食電流18が流れて、被膜損傷部
14a,14b及び管板3を防食することができる。
【0089】ここに、電極19aを管板3より離して設
置することにより、冷却管4に流入する損失電流を小さ
くして、フェライト系スーパーステンレス鋼の分極を小
さくし、これによって、水素脆性の問題を解消すること
ができる。
【0090】次に、図3に基づいて、冷却管4内に海水
9が流れる運転中についての操作を説明する。この場
合、運転中に使用する水室5bの管板3側に設置された
電極19bを作動させるため、外部よりスイッチ21b
を閉じる。これにより、電極19b、海水9、被膜損傷
部14a,14b、管板3、冷却管4、水室5bを経
て、導線20b、外部電源22b、スイッチ21b、導
線20bを通り、電極19bに接続された閉ループの電
気回路が形成され、防食電流18が流れて、被膜損傷部
14a,14b及び管板3を防食することができる。
【0091】即ち、図4は、この時の実験及び解析によ
り求めた水室5bの下半の中心部O−Oに沿った電位分
布を示すものである。図中、縦軸は、下半水室中心の電
位を示し、横軸は、グラフの上に示した水室5bの部位
を示している。
【0092】同図において、曲線aは、冷却管4内に海
水9の流れがない停止中に水室5bの蓋15側に設置し
た電極19aを作動させた場合の水室5bの下半の中心
の電位分布を示すものである。この場合、冷却管4の管
板3の近傍の電位は、約−750mV SCE程度となってお
り、水室5bの蓋15側に設置した電極19aに向かっ
て徐々に卑側に移り、電極19aの近傍で約−1000
mV SCE程度となっている。
【0093】従って、冷却管4内に流れのない停止中の
場合に、冷却管4の近傍の電位は、約−750mV SCE程
度であり、フェライト系スーパーステンレス鋼の水素脆
性が生じる電位−800mV SCEより貴側にあり水素脆性
の問題はなく、損失電流値も小さくなる。また、管板3
及び水室5b内は、全ての領域で−650mV SCEより卑
側であり、ネーバル黄銅板の管板3及び鋼板の水室5b
は十分な防食状態となっている。
【0094】また、曲線bは、冷却管4内に海水9が流
れる運転中に管板3側に設置した電極19bを作動させ
た場合の水室5bの下半の中心の電位分布を示すもので
ある。この場合にも、冷却管4の管板3の近傍の電位
は、約700mV SCE程度となっている。また、管板3か
ら電極19bに向かって電位は卑側に急激に変化し、電
極19bの近傍で約−1000mV SCE程度となっている
とともに、この電極19bより水室5bの蓋15に向か
っても徐々に貴側に移行している。
【0095】従って、冷却管4内に流れのある運転中の
場合に、冷却管4の近傍の電位は、約−700mV SCE程
度であり、フェライト系スーパーステンレス鋼に水素脆
性が生じる電位−800mV SCEより貴側にあり水素脆性
の問題はない。また、管板3及び水室5b内は、全ての
領域で−650mV SCEより卑側であり、ネーバル黄銅板
の管板3及び鋼板の水室5bは十分な防食状態となって
いる。
【0096】以上より、冷却管4内に海水9が流れる運
転中に作動させる電極19bを水室5bの管板3側に、
冷却管4内の海水9の流れが止まる停止中に作動させる
電極19aを水室5bの蓋15側に夫々設置し、この2
種類の電極19a,19bを運転状態に応じて外部に設
けたスイッチ21a,21b1より動作及びコントロー
ルすることにより、前述の運転中及び停止中の2条件に
ついて、ネーバル黄銅板の管板3及び鋼板の水室5bを
効率良く防食するとともに、フェライト系スーパーステ
ンレス鋼の冷却管3の水素脆性の問題も同時に解消する
ことができ、しかも損失電流値も小さい抑えることがで
きる。
【0097】図5は、他の実施例を示すもので、この実
施例の上記実施例と異なる点は、海水冷却器1の水室5
b(5a)内に複数個の電極19a,19bを2列に亘
って配置するとともに、管板4側に位置する電極19b
の数を例えば4個に、蓋15側に位置する電極19aの
数を前記電極19bの数よる少ない例えば3個にし、冷
却管4に海水9が流れる運転中には、管板3側の方の電
極19b又は2列の電極19a,19bの全てについて
スイッチ21a,21bを閉じて作動させ、また冷却管
4の海水9が流れが止まる停止中には、蓋15側の方の
電極19aをスイッチ21aを閉じて作動させるように
した点にある。
【0098】図6は、更に他の実施例を示すもので、こ
の実施例において、海水冷却器1の水室5b(5a)内
には、網目状に多数の電極19が配置され、これらの全
ての電極19は、外部電源を備えたコントロール装置2
3に導線20により接続され、更に、このコントロール
装置23は、導線20により水室5bに接続されてい
る。これにより、電極19、海水9、管板3、冷却管
4、水室5b、導線20、コントロール装置23、導線
20及び電極19が接続されて閉ループが形成され、外
部電源を備えたコントロール装置23より前記電極19
の動作及び制御ができるようなされている。
【0099】また、水室5b内の各部には、網目状に照
合電極24が配置され、この各照合電極24は導線20
により演算装置25に接続されて、その部位の電位を入
力できるようなされているとともに、この演算装置25
は前記コントロール装置23に接続されている。
【0100】この実施例は、水室5b内の各部の電位を
照合電極24により感知して演算装置25に入力し、予
めインプットされている設定値と比較・対比して、コン
トロール装置23に入力する。そして、このコントロー
ル装置23により、水室5b内に配置した電極19の動
作を制御して、予め設定した所定の電位になるようにし
たものである。
【0101】即ち、コントロール装置23は、演算装置
25及び照合電極24により電位を感知し、電極19を
動作、制御させるためにフィードバックをかけるような
されている。
【0102】ここに、電位としては、例えば鋼材の水室
5b及びネーバル黄銅板の管板3の防食電位として、約
−650mV SCEよりも卑側に、また、フェライト系スー
パーステンレス鋼の冷却管4の水素脆性がない電位とし
て、約−850mV SCEより貴側にし、制御範囲として、
−650〜800mV SCEの範囲の制御に設定されてい
る。これにより、流速の有無、海水の汚れ状態等の使用
状態により電極19を任意に動作及び制御することがで
きる。
【0103】この実施例の場合、水室5b内の電位分布
をフィードバックをかけて理想的なものとなし、更に、
水室5b内の理想的な電位分布により防食電流18を最
小値にすることができる。
【0104】以上は海水系の限られた機器類の防食につ
いて説明したが、海水系に使用される他の機器類及び他
の腐食性流体に使用する機器類の防食に対しても適用す
ることができる。また、機器の使用条件、流体条件及び
環境変化に対し、電極を外部より動作及び制御すること
により防食を効率良く実施することができる。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
フェライト系スーパーステンレス鋼製の伝熱管(冷却
管)に水素脆性が発生してしまうことを防止するととも
に、ネーバル黄銅板からなる管板や炭素鋼製等からなる
水室等のガルバニック腐食現象を確実に防止することが
でき、しかも防食電流も最小値にすることができるとい
った効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成図。
【図2】同じく、停止中の作用の説明に付する図。
【図3】同じく、運転中の作用の説明に付する図。
【図4】同じく、電位分布図。
【図5】他の実施例を示す概略構成図。
【図6】更に他の実施例を示す概略構成図。
【図7】従来例を示す概略構成図。
【図8】図7のA−A線矢視図。
【図9】同じく、B−B線矢視図。
【図10】海水中における各種金属の自然電位を示す特
性図。
【図11】海水冷却器におけるガルバニック腐食現象に
ついての説明に付する図。
【図12】海水冷却器における電気腐食防止装置の一例
を示す図。
【図13】図12における水室内の電位の分布状態を示
す特性図。
【符号の説明】
1 海水冷却器(熱交換器) 2 海水冷却器本体(熱交換器胴) 3 管板 4 冷却管(伝熱管) 5a,5b 水室 13a,13b 犠牲電極 14a,14b,14c 被膜損傷部 17 腐食電流 18 防食電流 19,19a,19b 電極 21a,21b スイッチ 22a,22b 外部電源 23 コントロール装置 24 照合電極 25 演算装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱交換器胴に連なる一対の水室を有し、冷
    媒としての海水を前記水室から前記熱交換器胴の内部に
    その両端を管板で支持して配置した伝熱管を通して流す
    ようにした熱交換器であって、前記各伝熱管をフェライ
    ト系スーパーステンレス鋼で、前記管板をネーバル黄銅
    で、前記水室を該水室に連なる配管装置と共にフェライ
    ト系スーパーステンレス鋼及びネーバル黄銅よりも電気
    化学的に卑な金属材料でそれぞれ構成した熱交換器の電
    気防食装置において、前記各水室内の管板近傍をフェラ
    イト系スーパーステンレス鋼の水素脆性を抑制できる電
    位に、前記各水室内の管板及び各水室を少なくとも海水
    中における自然電位よりも卑側の電位にそれぞれ保つよ
    うに各水室内に外部より作動及びコントロールできる外
    部電源方式の電極を取り付けたことを特徴とする熱交換
    器の電気防食装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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